JP3736840B2 - 反射防止転写材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、携帯電話、ビデオカメラ、デジタルカメラ、自動車用機器、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ用モニタ、紙のように軽くて薄く柔軟性に富む表示用電子装置である電子ペーパー、テレビなどの各種ディスプレイ、屋外掲示用電子機器などの各種電子機器、電子機器以外の各種表示部材、たとえば屋外表示板、額縁、写真立て、時計、窓ガラスなど、背後に位置するディスプレイ(表示画面としての機能を有する部材)などを透過して見ることができるようにして用いる反射防止成形品を得るために用いる反射防止転写材に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、ビデオカメラ、デジタルカメラ、自動車用機器などにおいて、ディスプレイ部分は、液晶パネルあるいは有機ELパネルとの組み合わせなどにより構成されている。ディスプレイ部分は、液晶パネルの破損を防止したり、液晶パネル近辺を装飾したりすることを目的として、縁取りなどの図柄が形成された透明基材により構成されるカバー部品により覆われている。
【0003】
カバー部品のディスプレイ部分は、表示された画面を見やすくするために、防眩性が要求される。そこで、フルネル反射と光の干渉を利用した反射防止層を形成する方法がある。
【0004】
その場合、反射防止層の厚さを制御することが極めて重要で、厚さが1/4波長のときが、膜表面からの反射光と膜/基材界面からの反射光とが打ち消しあって反射率が低減し、最もすぐれた反射防止効果が発揮される。たとえば、屈折率が1.36の反射防止層であれば、透過する光の中心波長が550nmのとき、反射防止層の厚さは100nm程度が最適となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような薄膜の反射防止層は、微視的に見て凹凸のある透明基材上に形成されるため、均一の厚さで形成することは非常に困難であり、期待した反射防止効果がなかなか得られないという問題があった(図6参照)。
【0006】
したがって、この発明は、上記のような欠点を解消し、均一な厚さの反射防止層を容易に形成するための反射防止転写材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の反射防止転写材は、上記の目的を達成するために、つぎのように構成した。
【0008】
すなわち、この発明の反射防止転写材は、基体シート上に少なくとも反射防止層が直接あるいは離型層を介して設けられ、基体シート表面または離型層表面の平均表面粗さRaが、2.0〜150nmであり、透明窓となる箇所のうちの視認領域では平均表面粗さRaが2.0〜35nmであり、透明窓となる箇所のうちの視認領域の周囲の周囲領域では平均表面粗さRaが35〜85nmであるように構成した。
【0009】
また、上記の発明において、基体シート表面または離型層表面の平均表面粗さRaが、5.0〜140nmであるように構成してもよい。
【0010】
また、上記の発明において、基体シート表面または離型層表面の平均表面粗さRaが、5.0〜80nmであるように構成してもよい。
【0011】
また、上記の発明において、反射防止層の上に、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂からなるハードコート層が形成されるように構成してもよい。
【0012】
また、上記の発明において、透明窓となる箇所を除く箇所に図柄層が形成されるように構成してもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0015】
図1は、この発明の反射防止転写材の一実施例を示す断面図である。図2は、この発明の反射防止転写材を用いて製造した反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。図3は、この発明の反射防止転写材を用いて製造した反射防止成形品の一実施例を示す斜視図である。図4〜5は、この発明の反射防止転写材を用いて反射防止成形品を製造する工程の一実施例を示す断面図である。図6は、従来の反射防止成形品を示す断面図である。図7は、この発明の反射防止転写材を用いて製造した反射防止成形品の一実施例を示す斜視図である。図8は、この発明の反射防止転写材を用いて製造した反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。図9は、この発明の反射防止転写材の一実施例を示す断面図である。図中、1は基体シート、2は反射防止層、3はハードコート層、4は図柄層、5は接着層、6は反射防止転写材、7は透明基材、8は防汚層、9は反射防止成形品、10は金型、11は離型層である。
【0016】
この発明の反射防止転写材6は、基体シート1上に少なくとも反射防止層2が直接あるいは離型層11を介して設けられ、基体シート1表面または離型層11表面の平均表面粗さRaが、2.0〜150nmであるものである(図1参照)。
【0017】
反射防止層2を均一の厚さで形成するには、その下地となる基体シート1が、平滑性を有することが必要である。基体シート1の平滑性について種々試験した結果、表1に示すように、基体シート1の平均表面粗さRaが、2.0〜150nmであれば優れた反射防止効果を得ることができることがわかった。平均表面粗さRaが2.0nm未満の基体シート1を製造することは非常に困難である。また、平均表面粗さRaが150nμmを越えると、反射防止層2の厚さが非常に不均一となり、反射防止層2の反射防止効果が非常に劣るものとなる。基体シート1の平均表面粗さRaを2.0〜150nmにするには、基体シート1の表面を鏡面プレス加工などで平滑化したり、レベリング特性に優れる離型層11を形成するなどすればよい。好ましくは、5.0〜140nmである。平均表面粗さRaが5.0nm未満の基体シート1を製造することは困難な場合がある。また、平均表面粗さRaが140nμmを越えると、反射防止層2の厚さが不均一となり、反射防止層2の反射防止効果が劣る場合がある。さらに好ましくは、5.0〜80nmである。また、平均表面粗さRaが35nm以下であれば、それより平滑にしても反射防止層2の厚み公差および反射防止転写材6を用いて製造した反射防止成形品9の反射率はほとんど変わらないこともわかった。
【0018】
基体シート1の材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シートなど、通常の転写材の基体シートとして用いるものを使用することができる。
【0019】
基体シート1からの転写層の剥離性がよい場合には、基体シート1上に反射防止層2を直接設ければよい。基体シート1からの転写層の剥離性を改善するためには、基体シート1上に反射防止層2を設ける前に、離型層11を全面的に形成してもよい。離型層11は、成形同時転写後に基体シート1を剥離した際に、基体シート1とともに転写層から剥離除去される。離型層11の材質としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤およびこれらの複合型離型剤などを用いることができる。離型層11の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0020】
反射防止層2は基体シート1上に直接あるいは離型層11上に全面的に形成する。反射防止層2は、透明基材7の反射を防止するための層である。
【0021】
反射防止層2の材質としては、Al2O3、ZnO2、MgF2などの金属化合物の蒸着層や、SiO2、MgF2などの低屈折率の金属化合物とZnO2、TiO2などの高屈折率の金属化合物とを積層した蒸着層や、フッ素系ポリマーや酸化ケイ素ゲルなどからなる樹脂コーティング層などを用いることができる。また、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0022】
反射防止層2の製造方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などがある。あるいは金属アルコラート、金属キレートなどの有機金属化合物を浸積法あるいは印刷法、コーティング法などにより塗布し、その後、光照射あるいは乾燥により金属酸化物皮膜を形成して反射防止層2を得る方法もある。
【0023】
反射防止層2は、低屈折率層1層だけでもよいし、低屈折率と高屈折率層の複合層であってもよい。複合層にすると反射防止性をより向上できる。複合層を形成するための工数が増えるのを解消するため、ロールツーロールによる連続コート方式で反射防止層2を形成するようにすれば、非常に効率的である。
【0024】
反射防止層2の膜厚は、一般式n×d=λ/4または一般式n×d=3λ/4(ただし、nは低屈折率物質の屈折率、dは低屈折率物質の膜厚、λは低反射中心波長をそれぞれ示す)を満たすように適宜選択するとよい。通常、反射防止層2の厚さは、10nm〜2.0μmの範囲となる。
【0025】
必要に応じて、反射防止層2の上にハードコート層3を形成してもよい。本発明でハードコート層3とは、その表面硬度がJIS K5400の測定方法にて測定した場合、H以上の鉛筆硬度を有する層をいう。また、転写材6上ではH未満の未硬化あるいは半硬化の状態にしておき、転写後に硬化させてH以上の鉛筆硬度にするようにしてもよい。ハードコート層3は、成形同時転写後に基体シート1を剥離した際に、反射防止成形品9の表面強度を高める層となる。
【0026】
ハードコート層3は、熱硬化型樹脂や紫外線・電子線などの電離放射線硬化型樹脂などを用いることができる。多用されているのはアクリルウレタン系などの紫外線硬化型樹脂である。
【0027】
紫外線硬化型樹脂としては、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂などがあり、光重合開始剤と共に使用される。たとえば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマーあるいはプレポリマーを反応させ、得られた生成物に、水酸基を有するアクリレート又はメタクリレート系のモノマーを反応させることによって得られる。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラキノン誘導体などを単独で、あるいは併用して用いることができる。紫外線硬化型樹脂には、さらに皮膜形成をよりよくさせるために熱可塑アクリル系樹脂などを適宜選択配合してもよい。
【0028】
ハードコート層3の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0029】
また、必要に応じて図柄層4を形成してもよい。図柄層4は、反射防止成形品9を装飾するための層である。反射防止成形品9がディスプレイ部分のカバー部品である場合、図柄層4は、透明窓となる箇所を除くパターンで、枠形状や文字形状となるように部分的に設けるのが通常である。図柄層4は、ハードコート層3の上に形成する。図柄層4は、通常は印刷層として形成する。印刷層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。印刷層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。
【0030】
また、図柄層4は、金属薄膜層からなるもの、あるいは印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、図柄層4として金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用する。金属薄膜層は、通常は、部分的に形成する。また、金属薄膜層を設ける際に、他の層との密着性を向上させるために、前アンカー層や後アンカー層を設けてもよい。
【0031】
また、透明基材7の上に上記の各層を接着するために接着層5を形成するとよい。接着層5としては、透明基材7の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。
【0032】
たとえば、透明基材7の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。また、透明基材7の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、透明基材7の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層5の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0033】
転写層の構成は、上記した態様に限定されるものではない。たとえば、図柄層4の材質として透明基材7との接着性に優れたものを使用する場合には、接着層5を省略することができる。
【0034】
なお、反射防止成形品8の用途によっては、その表面において、優れた反射防止機能が特に必要とされる領域と、やや反射防止機能が低下しても特に問題が生じない領域とに区分できる場合がある。図7は、携帯電話のフルカラー液晶表示部に用いる縦25mm、横33mmの大きさの反射防止成形品8を示す斜視図である。このような用途の反射防止成形品8においては、中央領域Aは携帯電話の使用者が最も注視する領域、言い換えれば、透明窓となる箇所のうち視認領域であるから反射防止機能がとくに必要な領域であり、平均表面粗さRaを2〜35nmにするのが望ましい。これに対し、中央領域Aの周縁の周囲領域Bは、携帯電話の使用者が注視する領域でないため、それほど高い反射防止機能は必要ではなく、Ra値が35〜85nm程度であっても特に支障は生じない。
【0035】
また、反射防止成形品8の表面形状の曲率半径Rが小さくなるほど、反射防止機能の必要性が低くなる。したがって、反射防止成形品8の表面形状の曲率半径Rが小さい領域においては、平均表面粗さRaをたとえば85〜140nm程度の範囲に低くすることが好ましい。また、特に支障が生じない場合には、反射防止機能をまったく有さないようにしてもよい。たとえば、図7に示した反射防止成形品8の表面形状が、図8に示す断面形状を有する場合、曲率半径Rが40mm未満であるような非常に小さい周囲領域Bでは、携帯電話の使用者が注視する可能性がほとんどない。
【0036】
したがって、平均表面粗さRaの異なる2以上の離型層11をパターン化して形成するようにしてもよい。すなわち、離型層11の平均表面粗さRaが大きいと、反射防止層との界面での剥離が困難になり、箔バリと呼ばれる剥離不良が生じる場合がある。したがって、図9に示すように、周囲領域Bの近傍付近においては、平均表面粗さRaを反射防止効果が失われない程度に大きくするとともに、離型層11Lの厚さを部分的に大きくすることによって、相対的に転写層の厚さを小さくすことができ、周囲領域Bにおける箔バリの発生を防止することができる。中央領域Aにおいては、平均表面粗さRaが小さい離型層11Hが位置するように形成するとよい。
【0037】
また、異なる材質からなる反射防止層2をパターン化して形成するようにしてもよい(図9参照)。すなわち、曲率半径Rが小さい周囲領域Bにおいて反射防止層2を設ける場合、フッ化マグネシウムなどの伸長性のない金属化合物からなる反射防止層2であれば、クラックが生じる可能性がある。したがって、周囲領域Bにはフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの樹脂材料からなる反射防止層2Lを部分的にパターン化して形成し、中央領域Aには金属化合物からなる反射防止層2Hを部分的にパターン化して形成するとよい。樹脂材料からなる反射防止層2Lは、反射防止効果は低いもののクラックが生じる可能性はかなり少ないためである。
【0038】
また、これらを組み合わせた構成であってもよい。すなわち、図9に示すように、中央領域Aにおいては、平均表面粗さRaを5nm程度とできるだけ小さい値で離型層11Hを形成するとともに、金属化合物の複数層からなる反射防止効果の高い反射防止層2Hを形成し、周囲領域Bにおいては、平均表面粗さRaを110〜140nm程度と最低限の反射防止効果が得られる範囲で離型層11Lを形成するとともに、伸縮性に優れたフッ素系樹脂からなる反射防止層2Lを形成するとよい。
【0039】
また、中央領域Aおよび周囲領域Bのいずれにも離型層11を形成せず、中央領域Aにおいては、基体シートの平均表面粗さRaを5nmとできるだけ小さい値となるようにするとともに、周囲領域Bにおいては、基体シートの表面粗さを110〜140nm程度になるようにしてもよい。
【0040】
また、基体シートの平均表面粗さRaと、離型層11の平均表面粗さRaとを併用して利用するように構成してもよい。
【0041】
以上に述べたような構成の反射防止転写材6を用い、転写法を利用して反射防止成形品9を容易に得ることができる。
【0042】
まず、透明基材7表面に、反射防止転写材6の接着層5側を密着させる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を備えたロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用い、温度80〜260℃程度、圧力490〜1960Pa程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して反射防止転写材6の基体シート1側から熱と圧力とを加える。こうすることにより、接着層5が透明基材7表面に接着する。
【0043】
最後に、冷却後に基体シート1を剥がすと、基体シート1と反射防止層2との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。また、基体シート1上に離型層11を設けた場合は、基体シート1を剥がすと、離型層11と反射防止層2との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。このようにして反射防止成形品9を得ることができる。
【0044】
次に、前記した反射防止転写材6を用い、射出成形による成形同時転写法を利用して反射防止成形品9を得る方法について説明する。
【0045】
成形用金型10としては、射出成形に用いられるものを利用する。
【0046】
まず、成形用金型10内に反射防止転写材6を送り込む(図4参照)。その際、枚葉の転写材6を1枚づつ送り込んでもよいし、長尺の転写材6の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。長尺の転写材6を使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、転写材6の図柄層4と成形用金型10との見当が一致するようにするとよい。また、転写材6を間欠的に送り込む際に、転写材6の位置をセンサーで検出した後に転写材6を可動型と固定型とで固定するようにすれば、常に同じ位置で転写材6を固定することができ、図柄層4の位置ずれが生じないので便利である。
【0047】
成形用金型10を閉じた後、ゲートから溶融樹脂を金型10内に射出充満させ、被転写物を形成するのと同時にその面に転写材6を接着させる(図5参照)。
【0048】
透明基材7に用いることができる樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂や、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。また、これらの成形樹脂にシリカビーズやアクリルビーズなどからなる光拡散剤などを混入してもよい。
【0049】
透明基材7の形状は、平板状のものであっても、二次元あるいは三次元の曲面を有するものであってもよい。
【0050】
被転写物である樹脂成形品を冷却した後、成形用金型10を開いて樹脂成形品を取り出す。最後に、転写材6の基体シート1を剥離する。このようにして、転写層のみを成形品に転移することができる(図2、3参照)。
【0051】
また、必要に応じて防汚層8を設けてもよい。防汚層8は、反射防止成形品9の汚染を防ぐために反射防止層2の上に設ける層であって、撥水性および撥油性を有する素材からなる層である。防汚層8としては、末端基にフッ素を有する界面活性剤などを用いるとよい。防汚層8を設けるには、コーティング法、浸漬法、真空蒸着法などによるとよい。防汚層8の膜厚は、できる限り薄い方が好ましい。防汚層8の厚さが大きいと反射防止成形品9の光透過率が低くなるからである。
【0052】
このように本発明は、平滑性にすぐれた基体シート1上に、反射防止層2を直接あるいは離型層11を介して形成した後に、ハードコート層3などの他層を形成することで、ハードコート層3などの他層の凹凸状態に関係なく、厚みの均一性に優れた反射防止層2を形成することができる。
【0053】
【実施例】
表1に示すような種々の平均表面粗さRaを有するポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを基体シートとし、その上にメラミン樹脂をコートして離型層を形成し、次いでフッ化マグネシウムを蒸着して厚さ約100nmの反射防止層を形成し、次いで光拡散剤が5%混入されたウレタンアクリレート系樹脂を用いて厚さ4μmのハードコート層を形成し、次いでアクリル系樹脂を用いて接着層を形成し、反射防止転写材を得た。
【0054】
厚さ50μmのポリカーボネートフィルムを透明基材とし、反射防止転写材に積層し、ロール転写機にて基体シート側から熱圧を加えて接着し、基体シートを離型層とともに剥離除去してパソコンディスプレイ部用反射防止シートである反射防止成形品を得た。
【0055】
【表1】
【0056】
評価結果の◎はきわめて良好、○は良好、△は可、×は不可をそれぞれ示す。
【0057】
このようにして得た各反射防止成形品の反射率を測定したところ、実施例1〜5は反射防止性が高く、かつハードコート性がある非常に優れた反射防止シートであった。実施例6は、実施例1〜5よりは反射防止性が少し低下しているが、用途によっては十分に要求されている性能を有するものであった。実施例7は反射防止効果が少し劣るものであった。実施例8は反射防止効果が劣るものであった。
【0058】
【発明の効果】
この発明は、以上のような構成を採るので、以下のような効果を奏する。
【0059】
この発明の反射防止転写材は、基体シート上に少なくとも反射防止層が直接あるいは離型層を介して設けられ、基体シート表面または離型層表面の平均表面粗さRaが、2.0〜150nmであるので、厚さの均一性に優れた反射防止層を有するものである。したがって、この反射防止転写材を用いると反射防止効果に優れた反射防止成形品を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の反射防止転写材の一実施例を示す断面図である。
【図2】この発明の反射防止転写材を用いて製造した反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。
【図3】この発明の反射防止転写材を用いて製造した反射防止成形品の一実施例を示す斜視図である。
【図4】この発明の反射防止転写材を用いて反射防止成形品を製造する工程の一実施例を示す断面図である。
【図5】この発明の反射防止転写材を用いて反射防止成形品を製造する工程の一実施例を示す断面図である。
【図6】従来の反射防止成形品を示す断面図である。
【図7】この発明の反射防止転写材を用いて製造した反射防止成形品の一実施例を示す斜視図である。
【図8】この発明の反射防止転写材を用いて製造した反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。
【図9】この発明の反射防止転写材の一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基体シート
2 反射防止層
3 ハードコート層
4 図柄層
5 接着層
6 反射防止転写材
7 透明基材
8 防汚層
9 反射防止成形品
10 金型
11 離型層
Claims (5)
- 基体シート上に少なくとも反射防止層が直接あるいは離型層を介して設けられ、基体シート表面または離型層表面の平均表面粗さRaが、2.0〜150nmであり、透明窓となる箇所のうちの視認領域では平均表面粗さRaが2.0〜35nmであり、透明窓となる箇所のうちの視認領域の周囲の周囲領域では平均表面粗さRaが35〜85nmであることを特徴とする反射防止転写材。
- 基体シート表面または離型層表面の平均表面粗さRaが、5.0〜140nmである請求項1記載の反射防止転写材。
- 基体シート表面または離型層表面の平均表面粗さRaが、5.0〜80nmである請求項2記載の反射防止転写材。
- 反射防止層の上に、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂からなるハードコート層が形成された請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止転写材。
- 透明窓となる箇所を除く箇所に図柄層が形成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止転写材。
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