JP4801507B2 - カバーパーツの成形同時絵付け金型 - Google Patents

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Description

本発明は、携帯電話やビデオカメラなどの電子機器に搭載されている表示デバイス、またはカメラ用レンズを保護するカバーパーツを成形同時絵付け法により製造する成形同時絵付け金型に関する。
近年、携帯電話端末やビデオカメラや携帯可能な小型のパソコンなどの携帯機器が普及し一般に使用されるようになってきている。これらの携帯機器には、ほとんどディスプレイ表示部が設けられており、当該機器の使用者は、そのディスプレイ表示部に表示された文字や映像から多くの情報を得ている。そして、当該ディスプレイの表示面を保護するためのカバーパーツとして射出成形品が多く用いられている。
また、カメラがついた携帯電話端末やPDAも広く流通しており、当該カメラのレンズを保護するためのカバーパーツとしても射出成形品が多く用いられている。
これらの樹脂成形品は、アクリルやポリカーボネートなどの透明性に優れる樹脂を射出成形して作られており、透明窓部分とその周囲に設けられ必要に応じて加飾をした加飾部が設けられる。当該加飾部は、成形後にスクリーン印刷などの方法で直接加飾する方法、成形後にホットスタンプなどで絵柄を付す方法、成形時に金型内に転写用フィルムを挟み込み、溶融樹脂を射出して成形と同時に絵柄を付す成形同時絵付け方法などにより加飾される。
このようにして縁部に加飾がなされたカバーパーツは、表示デバイスやカメラレンズなどの光学部材の保護パネルとして用いられるが、当該透明窓部分に光を透過するため、透明窓部分に平滑度が求められる。これまでは、表示デバイスの疎密度が低かったり、モノクロの表示デバイスが用いられることが多かったため、カバーパーツの表面状態には注意があまり払われてこなかった。
しかし、昨今は表示デバイスの画素密度が高くなっており、カメラの解像度も高くなってきた。高画素密度のカラーの表示デバイス上にカバーパーツを設け、カバーパーツの透明窓を通して表示デバイスの画像を見ると、映像を構成している各画粗が均一に混じり合わず、ムラになるいわゆるギラツキが問題となっていた。特に、ギラツキ現象は、100ppi以上の高画素密度表示デバイスであるほど目立ちやすい。
また、カメラにおいても、高解像度のカメラにカバーパーツを取り付けて撮像すると、フレア現象と呼ばれる逆行撮影時の像のボケや解像度の低下が見られるという問題もある。特にカメラの解像度が30万画素以上になると見られ、高解像度になるにしたがってより顕著に見られる。
これらはいずれもカバーパーツの表面性状が原因しており、今後さらに画素密度が高くなると予想される表示デバイスや高解像度になると予想されるカメラの保護のためのカバーパーツにとっては大きな問題となりうる。
従来は、このカバーパーツの表面性状をより平滑にするため、表面を研磨処理し、凹凸を除去して表面を平滑にする処理を行っていた。この研磨処理により表面性状を平滑にするためには、研磨処理のためのコストがかかるという問題の他、以下の問題を有していた。
これまでのカバーパーツは曲面を有するものか、完全に平坦な形状かどちらかであった。前者は、曲面を有するため、研磨処理が手作業になり、表面にわずかに凹凸が残り、これがギラツキの原因となっていた。曲面を有するカバーパーツにギラツキが生じない程度に磨きを行うためには、非常に高価な機械を用いてその表面を鏡面研磨することが必要となり、カバーパーツのコストアップの原因となっていた。しかも、機械研磨を行う場合であっても、機械にかけることができる形状の制約は通常の手磨きをする場合に比較して大きかった。
一方、後者は、平坦なため、機械磨きによりきわめて平滑な鏡面研磨仕上げが可能であるが、形状が平坦に限られるため、デザイン上の自由度が低いという問題を有していた。
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、上記問題を解決し、ギラツキやフレアを発生させることなく、また、デザイン上の制約がない、光学部材のカバーパーツを成形同時絵付け法により製造するための成形同時絵付け用金型を提供することである。
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の成形同時絵付け用金型を提供する。
本発明の第1態様によれば、転写用フィルムが配置される第1金型と前記第1金型に対して対向配置された第2金型とを有し、前記第1金型と第2金型が前記転写用フィルムを挟んで閉じた状態で溶融樹脂が射出されて成形と絵付けを同時に行う成形同時絵付けに用いられ、透明窓部と前記透明窓部の周りに位置する縁部を有し前記透明窓部から透光可能な状態で光学部材を保護するカバーパーツを製造するための成形同時絵付け金型において、
前記第1金型は、
超鏡面磨き加工が施された平坦な表面を有し前記透明窓部を形成する窓部形成ブロックと、
前記窓部形成ブロックを挿入して固定するための凹部と、前記カバーパーツの縁部を形成するための三次元曲面部とを有する縁部形成ブロックと
を備え、
前記窓部形成ブロックの超鏡面磨き加工面は、ISO4287で規定される最大高さRzが300nm以下でありかつ、二乗平均平方根粗さRqが20nm以下である表面粗さを有し、粗さ曲線要素の平均長さRSmが50μm以下であることを特徴とする、成形同時絵付け金型を提供する。
本発明の第態様によれば、前記光学部材は、表示デバイスであることを特徴とする、第1態様の成形同時絵付け金型を提供する。
本発明の第態様によれば、前記光学部材は、カメラレンズであることを特徴とする、第1態様の成形同時絵付け金型を提供する。
本発明によれば、カバーパーツの光学機器に光を透過させる透明窓部を成形する部分である、転写用フィルムが設けられる金型の窓部形成ブロックの表面粗さを、現在一般に使用されている転写フィルムの表面粗さよりも小さくすることにより、カバーパーツ表面の凹凸を形成しないようにし、ギラツキやフレアの原因を解消することができる。また、窓部形成ブロックは、縁部形成ブロックとは別部材に構成されている板状部材であるため、単独で表面の超鏡面磨き加工を行うことができ、表面を平滑にすることの手間を省力化することができる。また、窓部形成ブロックが設けられていない縁部形成ブロックは、カバーパーツの透明窓部分以外の部分を成形するものであり、平滑となっていなくてもギラツキやフレアなどの問題を起こすことがなく、高度な研磨処理などを行う必要がない。したがって、例えば、三次元形状などにすることができ、カバーパーツのデザイン上の制約をなくすことができる。
また、金型の表面粗さが転写用フィルムの離型面の表面粗さよりも小さい場合、成形品の表面粗さはフィルムの離型面の表面粗さとほぼ同等となる。一方、金型の表面粗さが基材フィルムの離型面の表面粗さよりも大きい場合、成形品の表面粗さはフィルムの離型面の表面粗さよりも大きくなる。これは、金型の凹凸が転写用フィルムの凹凸よりも小さければ、金型の凹凸は転写用フィルムの凹凸の中に隠れてしまい、成型時、樹脂の熱圧がかかっても転写層と離型面の界面は、下のフィルムの離型面とほぼ同じで変化しないと考えられる。一方、金型の凹凸が転写用フィルムの凹凸より大きければ、フィルムの凹凸の中に金型の凹凸が隠れることなく、成型時、転写層と離型面の界面はフィルムと金型の凹凸が合成されたものになると考えられる。
本発明によれば、転写用フィルムの凹凸が金型の凹凸よりも小さい場合に転写成形品であるカバーパーツに凹凸が形成されやすいことから、窓部形成ブロックの表面粗さを、現在一般に使用されている転写用フィルムの離型面の表面粗さである、ISO4287で規定される最大高さRzが300nm以下であり、かつ、二乗平均平方根粗さRqが20nm以下とすることにより、カバーパーツ表面に凹凸が形成されることを防止することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る成形同時絵付け用金型について、図面を参照しながら説明する。成形同時絵付け用金型は、携帯電話端末などのディスプレイに設けられ、液晶ディスプレイなどの表示デバイスの表示面あるいは、カメラ付きの携帯電話端末やPDAのカメラレンズを保護するためのカバーパーツを製造する際に用いられる。まず、本実施形態にかかる成形同時絵付け用転写フィルムが用いられる成形同時絵付け装置の基本的な構成について説明する。図1に示すように、成形同時絵付け装置110は、可動盤61に取付けた可動側金型1と固定盤62に取付けた固定側金型と両金型間に画定される成形用空間に溶融樹脂を射出する射出ノズル65を備える。
この実施の形態では固定盤62は架台66に固定され、この固定盤62に固定されたタイバー64によって可動盤61が案内され固定盤62に離接可能に移動する。
可動盤61を移動することで可動側金型1のパーティング面と固定側金型のパーティング面が圧接し、固定側金型の第2キャビティ58と可動側金型1の第1キャビティ28とで成形用空間を画定した型閉じ状態と、両金型のパーティング面が離隔した型開き状態となる。
また、基本的には可動側金型1と固定側金型を用い当該2つの金型で成形用空間を形成するが、例えば、両金型に挟まれて成形用空間を形成する中間金型などの附随的な部材を用いることもできる。
前記可動盤61にはシート送り出し装置67とシート巻取り装置68が設けられている。シート送り出し装置67とシート巻取り装置68は、成形同時絵付け用転写フィルム100を可動側金型1の第1キャビティ28に対して縦方向(鉛直方向)に移動させる。成形同時絵付け用転写フィルム100は可動側金型1のパーティング面と離隔し、かつ平行となるように縦方向に移動される。
なお、可動金型側及び固定金型側のシート送り出し装置とシート巻取り装置の取りつけ位置は、図1に示すものに限るものではない。シート送り出し装置67を可動盤61の下部に設け、シート巻取り装置68を可動盤61の上部に設けるようにしてもよい。あるいは、可動金型側のシート送り出し装置67とシート巻取り装置68を左右側部に取付け、固定金型側のシート送り出し装置とシート巻取り装置を固定盤62の上部又は下部に取付けても良い。さらに、シート送り出し装置、シート巻取り装置を架台に直接取付けてもよい。
つまり、成形同時絵付け用転写フィルム100が、成形同時絵付けを行う前に金型のパーティング面(可動側金型1のパーティング面又は固定側金型のパーティング面)に対向して配置されるように、成形同時絵付け用転写フィルム100を移動可能である構成であればよい。
次に、成形同時絵付け用転写フィルム100の構成について説明する。図2は、本実施形態にかかる成形同時絵付け用転写フィルム100の外観構成を示す。本実施形態にかかる形同時絵付け用転写フィルム100は、ロールの状態から固定側金型のパーティング面上を移動するように送り出され、成形同時絵付けがなされた後、シート巻取り装置68でロール状に巻き取られる。
成形同時絵付け用転写フィルム100は、図2に示すように、図柄31が長手方向に間隔を置いて設けられている。成形同時絵付け用転写フィルム100は、図3に示すように基材フィルム35と転写層32とを備え、転写層32は剥離層34と、その上に図柄31を構成する図柄インキ層31aが設けられる。また、図柄インキ層31aの上には、接着層33が設けられており、成形同時絵付け時に溶融樹脂と接触してこれに接着し、図柄インキ層31aが剥離層34と共に基材フィルム35から剥離して転写層32が樹脂成形品に転写される。
成形同時絵付け時においては、基材フィルム35上に、剥離層34、図柄インキ層31a、接着層33などからなる転写層32を形成した成形同時絵付け用転写フィルム100を用い、このシートを成形金型内に挟み込み、キャビティ内に樹脂を射出充満させ、冷却して樹脂成形品を得るのと同時にその面に成形同時絵付け用転写フィルム100を接着させた後、基材フィルムを剥離して、樹脂成形品の表面に転写層32を転移して装飾を行う。
基材フィルム35の材質としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ビスフェノールなどのジオールと、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、アジピン酸、ナフタレンジカルボン酸、エイコ酸、ダイマー酸などで代表されるジカルボン酸とを縮重合させて得られるエステル基を主鎖にもつポリエステルを主成分とする樹脂が用いられる。具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン-p-オキシベンゾエート、ポリ-1,4-シクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートなどが挙げられる。これらのポリエステルは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分が挙げられる。これらの材質のうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを主成分とするものが好ましい。特に好ましいものは、引張り強度、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレートである。基材フィルム35は、一面に設けた図柄インキ層31aが他面側から透かして見えるようにする場合は、透明や半透明であってもよい。基材フィルム35は、着色されていてもよいが、図柄インキ層31a自体の色を活かすためには無色のものが好ましい。基材フィルム35は、表面を艶消ししたものでもよい。艶消しする方法としては、基材フィルム35上にマットインキを印刷してマット層を印刷により設ける方法や、基材フィルム35の成形時にマット材を練り込む方法などがある。
基材フィルム35の厚みDとしては、射出成形同時絵付け用として用いる場合は、一般的には0.025mm〜0.10mmであり、さらに好ましいのは0.030mm〜0.050mmである。0.025mmより薄いと成形樹脂による高熱と射出圧力によって成形同時絵付け用転写フィルム100が破れやすくなるからである。一方、0.10mmを超えると剛性が大きくなり図柄インキ層31aなどを印刷する際の印刷基材として用いにくくなる。また、基材フィルム35の離型面は、表面粗さが概ね、ISO4287(JIS B 0601)で規定される最大高さRzが300nm以下であり、かつ、二乗平均平方根粗さRqが20nm以下となるように構成されている。
離型層38は、基材フィルム35からの転写層32の剥離性を改善するために、基材フィルム35上に全面的に形成される。離型層38は、成形同時転写後に基材フィルム35を剥離した際に、基材フィルム35と共に転写層32から離型する。ただし、基材フィルム35からの転写層32の剥離性がよい場合などにはこれを設けることなく基材フィルム35上に転写層32または剥離層34を直接設けてもよい。離型層38の材質としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤及びこれらの複合型離型剤などを用いることができる。離型層38の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
剥離層34は、基材フィルム35または離型層38上に全面的または部分的に形成する。剥離層34は、成形同時転写後に、基材フィルムを剥離した際に基材フィルム35または離型層38から剥離して、被転写物の最外面となり、被転写物の表面保護を行うための層である。剥離層34の材質としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などの他、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いるとよい。剥離層34に硬度が必要な場合には、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いるとよい。剥離層34の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
剥離層34の厚みは、0.5〜50μmが好ましい。膜厚が0.5μmより薄いと、十分な接着性が得られないという問題があり、50μmより厚いと、印刷後に乾燥し難いという問題が生じる。
図柄インキ層31aは、例えば、オーディオやテレビ、洗濯機、携帯電話機などのフロントパネル、あるいは、自動車のメーターパネルやオーディオパネルなどの表面に形成される文字、数字、図形、記号、模様などを表現する層である。図柄インキ層31aは、剥離層34の上に、通常は印刷層として形成する。印刷層の材質としては、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。印刷層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印別法やグラビア印刷法が適している。また、単色の場合には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を採用することもできる。印刷層は、表現したい図柄に応じて、全部的に設ける場合や部分的に設ける場合もある。
また、図柄インキ層31aは、金属薄膜層からなるもの、あるいは印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、図柄インキ層31aとして金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーテイング法、鍍金法などで形成する。この場合、表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金又は化合物を使用する。部分的な金属薄膜層を形成する場合の一例としては、金属薄膜層を必要としない部分に溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上に全面的に金属薄膜を形成し、溶剤洗浄を行って溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去する方法がある。この場合によく用いられる溶剤は、水又は水溶液である。また、別の一例としては、全面的に金属薄膜を形成し、次に金属薄膜を残しておきたい部分にレジスト層を形成し、酸又はアルカリでエッチングを行い、レジスト層を除去する方法がある。なお、金属薄膜層を設ける際に、他の転写層と金属薄膜層との密着性を向上させるために、前アンカー層や後アンカー層を設けてもよい。前アンカー層および後アンカー層の材質としては、2液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用するとよい。前アンカー層および後アンカー層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
図柄インキ層31aの膜厚は0.5μm〜50μmが好ましい。膜厚が0.5μmより薄いと、十分な意匠性が得られないという問題があり、50μmより厚いと、印刷後に乾燥し難いという問題があるためである。但し、金属膜層の場合は5〜120nmが好ましい。金属膜層の膜厚が5nmより薄いと、十分な金属光沢感が得られないという問題があり、120nmより厚いと、クラックが生じやすいという問題があるためである。
接着層33は、樹脂成形品の面に上記の各層を接着するものである。接着層33は、接着させたい部分に形成する。すなわち、接着させたい部分が全面的なら、図柄インキ層31a上に接着層33を全面的に形成する。また、接着させたい部分が部分的な場合は、図柄インキ層31a上に接着層33を部分的に形成する。接着層33としては、樹脂成形品の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。例えば、樹脂成形品の材質がポリアクリル系樹脂の場合はポリアクリル系樹脂を用いるとよい。また、樹脂成形品の材質がポリフェニレンオキシド共重合体ポリスチレン系共重合体樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、樹脂成形品の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。
接着層33の厚みは、0.5〜50μmが好ましい。膜厚が0.5μmより薄いと、十分な接着性が得られないという問題があり、50μmより厚いと、印刷後に乾燥し難いという問題が生じる。接着層33の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
なお、転写層32の構成は、上記した態様に限定されるものではなく、たとえば、図柄インキ層31aの材質として樹脂成形品との接着性に優れたものを使用する場合には、接着層33を省略することができる。
図4は、本実施形態にかかる成形同時絵付け用金型によって成形された樹脂成形体であるカバーパーツ90の外観構成を示す図である。図4に示すカバーパーツ90は、図5に示すように携帯電話端末の前面ケーシング70の表面に取り付けられて用いられるカバーパーツである。前面ケーシング70には、開口73a,73bが設けられており、それぞれ、携帯電話端末に搭載される表示デバイスである液晶ディスプレイ71及び小型デジタルカメラ72がその下側に配置されて、当該開口から光を透過することができるように構成されている。カバーパーツ90は、当該開口73a,73bを同時に被覆し、液晶ディスプレイ71及び小型デジタルカメラ72を保護するものである。
カバーパーツ90は、図4に示すように、薄い透明樹脂製のパネルであり、加飾部分94及び透明窓部分91,93が設けられている。カバーパーツ90が前面ケーシング70に配置された場合には、透明窓部分91,93から開口73a,73bの下方にそれぞれ設けられる液晶ディスプレイ71、小型デジタルカメラ72を視認することができる。加飾部分94は、図6に示すように、上述した成形同時絵付け用転写フィルム100の転写層32が成形樹脂90aに転写され、柄インキ層31aによって絵付けされた部分であり、柄インキ層31aが形成されていない転写層32の部分が透明窓部分91,93として形成される。加飾部分94の周りには、縁部92が設けられており、当該縁部92は、三次元曲面を有する形状に構成されている。
次に金型について説明する。図7及び図10に一実施形態として示す成形同時絵付け用金型1,2は、薄板状の成形品の表面に成形と同時に絵付けを施す図1の成形絵付け装置に用いられる金型である。図7に示す可動側金型1及び図10に示す固定側金型2は、それぞれ、成形同時絵付け用転写フィルムを挿入すべき成形用のキャビティ28,58が2個分設けられた入れ子5,6と、当該入れ子5,6を固定する取り付け台3,4とを備えている。可動側金型の入れ子5は、本発明の縁部形成ブロックに相当する。
まず、可動側金型1について説明する。可動側金型1は、図7、図8に示すように、取り付け台3の他の金型2との対向面10に凹加工を施すことによって設けられたポケット11に、入れ子5が挿入されて固定される構成を有する。入れ子5の固定には、例えば、図示しない固定用ネジなどを用いることができる。固定用ネジで入れ子5を固定する場合には、取り付け台3のポケット11の周囲壁10bの側面にネジ穴を設けることが好ましい。可動側金型1は、取り付け台3のポケット11の周囲壁10bによって、型閉じ状態において固定側金型2と接触するパーティング面として機能する型締め力受け部を構成する。また、入れ子5には、成形同時絵付け用シート100を保持する2つのクランプ12が取り付けられている。
入れ子5は、後述するように、キャビティ形成面5aに第2のキャビティ28が設けられている。入れ子5の当該キャビティ形成面5aの裏面側は平滑に構成され、入れ子5を取り付け台3に取り付ける時に取り付け台3のポケット11内の取り付け面と密着するように構成されている。
取り付け台3の対向面の4つのコーナー部には、固定側金型との型締め位置を一定にするために、ガイドブッシュ13が設けられている。
クランプ12は、図7に示すように、成形同時絵付け用転写フィルム100を入れ子5のキャビティ形成面5aに押圧するように保持するためのものであり、成形同時絵付け用転写フィルム100の長手方向に対し直交する向きに延在し、互いに平行になるように配置される。各クランプ12は、図8に示すように、細長い板状のフィルム押さえ部12aとフィルム押さえ部12aの両端部近傍からそれぞれ垂設された2本の脚部12bとを備える。脚部12bは、入れ子5に設けられたクランプ用貫通穴5bを貫通し、取り付け台3に固定された状態で取り付け台3の取り付け面に設けられたクランプ用挿入穴11aに挿入される。取り付け台3には、クランプ用挿入穴11aに挿入されたクランプ12の脚部12bと連結し、クランプ12を上下移動させるための図示しないクランプ移動機構が設けられており、クランプ12を上下させて、成形同時絵付け用転写フィルム100の保持と開放を切り替え可能に構成されている。
クランプ12が上昇している場合は、成形同時絵付け用転写フィルム100は、クランプ12から開放され当該長手方向に移動可能である。一方、クランプ12が下降している場合は、成形同時絵付け用転写フィルム100は、クランプ12により入れ子5のキャビティ形成面5aに押圧され、その位置が保持される。クランプ12が上昇している場合は、主に両金型1,2が型開き状態にあり、成形同時絵付け用転写フィルム100の送りが行われる場合であり、クランプ12が下降している場合は、成形同時絵付け用転写フィルム100の位置合わせが終了し、金型を閉じて溶融樹脂を射出する場合など、当該位置に成形同時絵付け用転写フィルム100を保持する必要がある場合である。
次に、当該可動側金型1に用いられる入れ子について説明する。図7,図8に示すように、入れ子は、扁平形状の板状体であり、扁平面の一方の面は、キャビティ28が形成されたキャビティ形成面5aであり、他面は、取り付け台に取り付けられる場合の固定面を構成する。キャビティ形成面5aには、固定側金型2のスプルー54から高圧で射出される溶融樹脂を送り込むための溝25が設けられている。溝25は、型閉じ状態において、固定側金型2のランナー部55に対向するような位置に設けられている。
キャビティ28は、図9A、図9B、図9Cに示すように、入れ子5のキャビティ形成面5aに設けられた凹部であり、内部に窓部形成ブロック21を固定することができるようになっている。キャビティ28は、カバーパーツ90の縁部を成形する三次元曲面の縁部成形凹部22と、窓部形成ブロック21を挿入して固定するブロック挿入用凹部23が形成されている。
窓部形成ブロック21は、図9Aに示すように、少なくとも、カバーパーツ90の透明窓部91,93の部分を成形する平坦な板状部材である。窓部形成ブロック21の縁部は、転写用フィルムを損傷しないように、面取りがなされていることが好ましい。本実施形態の窓部形成ブロック21においては、当該表面21aによりカバーパーツ90の透明窓部91,93及び、透明窓部91,93の周囲に位置する加飾部分94も成形する。すなわち、窓部形成ブロック21の表面には、カバーパーツ90の透明窓部91,93を構成するため、成形時においては、成形同時絵付け用転写フィルム100の転写層32中の柄インキ層31aの部分が、透明窓部91,93を形成する領域91a,93aを含めて対向配置されることとなる。
窓部形成ブロック21の表面は、ISO4287(JIS B 0601)で規定される最大高さRzが300nm以下であり、かつ、二乗平均平方根粗さRqが20nm以下である表面粗さを有するように、平滑に処理されている。この表面粗さの値は、使用する成形同時絵付け用転写フィルム100の離型面の表面粗さよりもRq、Rzが小さくなるようにして求められたものであり、離型面の表面粗さがこの値である場合、金型の表面がこの値より平滑でないと金型に形成された凹凸が、樹脂成形体であるカバーパーツ90の表面の凹凸に影響を及ぼすためである。
すなわち、従来の成形同時絵付け用転写フィルム100の厚みが数十μmと金型の凹凸に比較して非常に大きいこと及び成形同時絵付け用転写フィルム100の凹凸が金型の凹凸に比較して大きい場合は、金型の表面の凹凸が成形品であるカバーパーツ90の表面の凹凸に原因になることはないが、近年、薄く平滑な成形同時絵付け用転写フィルム100が開発され、金型の微細な凹凸も成形品であるカバーパーツ90の表面の凹凸を形成する原因になることが判明した。これによりギラツキやフレアの原因となる透明窓部分91,93を形成する領域に位置する窓部形成ブロック21の表面を成形同時絵付け用転写フィルム100の表面の凹凸よりも小さくすることとしたものである。なお、近年の成形同時絵付け用転写フィルム100の表面粗さは、概ねRqが20nm以下であり、かつRzが300nm以下であることから、窓部形成ブロック21の表面粗さをこれよりも小さな値にすることとしている。
本実施形態においては、窓部形成ブロック21は、入れ子5とは別部材であるため、表面粗さを小さくするために研磨処理が容易であり、簡単に表面を平滑にすることができる。したがって、キャビティ28は、縁部成形凹部22に三次元曲面の形状を採用し、カバーパーツ90を曲面とすることができ、カバーパーツ90のデザイン上の制約を少なくすることができる。
次に、固定側金型2について説明する。固定側金型2は、図10に示すように、取り付け台4の他の金型1との対向面40に凹加工を施すことによって設けられたポケット41に、入れ子6が挿入されて固定される構成を有する。入れ子6の固定には、例えば、図示しない固定用ネジなどを用いることができる。固定用ネジで入れ子6を固定する場合には、取り付け台4のポケット41の周囲壁40bの側面にネジ穴を設けることが好ましい。固定側金型2は、取り付け台4のポケット41の周囲壁40bによって、型閉じ状態において可動側金型1と接触するパーティング面として機能する型締め力受け部6aを構成する。固定側金型2のコーナー部には、ガイドピン43が設けられており、可動側金型1との組み合わせ時に、可動側金型1のガイドブッシュ13にはまり込み、両者の位置あわせに用いられる。
入れ子6は、可動側金型1に用いられている入れ子5と概ね共通する構造を有するが、可動側金型1と固定側金型が閉じた場合に、可動側金型1のクランプ12が型締め力受け部6aと干渉しないように切り欠き53が設けられている点、及び、成形同時絵付け装置110の射出ノズル65から射出された溶融樹脂をキャビティ28内に送り込むためのスプルー54及びランナー55が設けられている点、クランプ保持用の挿入穴及び吸引穴などが設けられていない点などにおいて異なる。
前記した成形同時絵付け用転写フィルム100を図7及び図10に示す金型に用いて射出成形による成形同時転写法を利用して被転写物であるカバーパーツ90の面に装飾を行う成形同時絵付け方法について説明する。図11Aから図11Cは、樹脂の流れの理解のために、模式的な樹脂の流れを示している。まず、図11Aに示すように、可動側金型1と固定側金型とからなる成形同時絵付け用金型内に成形同時絵付け用転写フィルム100を送り込む。この場合、本実施形態においては、長尺の成形同時絵付け用転写フィルム100の必要部分を間欠的に送り込む構成としているが、葉の転写材を1枚ずつ送り込んでもよい。長尺の成形同時絵付け用転写フィルム100を使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、成形同時絵付け用転写フィルム100の図柄31と成形同時絵付け用金型との見当が一致するようにするとよい。
また、成形同時絵付け用転写フィルム100を間欠的に送りこむ際に、成形同時絵付け用転写フィルム100の位置をセンサーで検出した後に成形同時絵付け用転写フィルム100を可動側金型と固定側金型とで挟んで固定するようにすれば、常に同じ位置で転写材を固定することができ、図柄インキ層31aの位置ずれが生じないので便利である。
次に、図11Bに示すように、成形同時絵付け用金型を閉じた後、固定側金型に設けたゲート56より溶融樹脂をキャビティ内に射出充満させ、被転写物を形成するのと同時にその面に成形同時絵付け用転写フィルム100を接着させる。上述のように可動側金型1のキャビティ28に設けられている窓部形成ブロック21は、成形同時絵付け用転写フィルム100の表面粗さよりも小さい凹凸になるように構成されているため、カバーパーツ90の透明窓部91,93に凹凸が形成されることを防止することができ、液晶ディスプレイ71のギラツキや、小型デジタルカメラ72のフレアを防止することができる。なお溶融樹脂の冷却において、図示しない冷却水供給装置よりキャビティを冷却するための冷媒を両金型のキャビティに供給し、キャビティを冷却することにより溶融樹脂を短時間で固化することができ、成形に要する時間を短くすることができる。
次いで、図11Cに示すように、被転写物である樹脂成形品を冷却した後、成形同時絵付け用金型を開いて樹脂成形品を取り出す。最後に、基材フィルム35を剥がすことにより、射出された成形樹脂の表面に転写層32が転写され成形同時絵付けが完了する。
以上説明したように、本実施形態にかかる成形同時絵付け用金型によれば、カバーパーツ90の光学機器に光を透過させる透明窓部を成形する部分である、転写用フィルムが設けられる金型の窓部形成ブロック21の表面粗さを転写フィルム100の表面粗さよりも小さくすることにより、カバーパーツ90の表面の凹凸を形成しないようにし、ギラツキやフレアの原因を解消することができる。また、窓部形成ブロック21は、金型本体とは別部材に構成されている板状部材であるため、単独で表面の研磨処理を行うことができ、表面を平滑にすることの手間を省力化することができる。また、窓部形成ブロック21が設けられていない部分は、カバーパーツ90の透明窓部91,93以外の部分を成形するものであり、平滑となっていなくてもギラツキやフレアなどの問題を起こすことがなく、研磨処理などを行う必要がない。したがって、例えば、三次元形状などにすることができ、カバーパーツ90のデザイン上の制約をなくすことができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。例えば、本実施形態においては、図9Aにしめすように、表示デバイス用の透明窓部91と小型デジタルカメラ用の透明窓部93とを形成する窓部形成ブロック21を共有し、1つの窓部形成ブロック21のみを用いるようにしているが、それぞれの透明窓部91,93ごとに個別の窓部形成ブロック21を用いてもよい。もちろん、カバーパーツ90に、表示デバイス用の透明窓部91と小型デジタルカメラ用の透明窓部93がいずれか1つしか形成されていない場合も本発明に含まれるものである。
また、窓部形成ブロック21は、透明窓部91,93の周囲の加飾部分94を成形するようにしているため、カバーパーツ90の当該加飾部分94は平坦である形状であるが、例えば、透明窓部91,93のみを窓部形成ブロック21で形成するようにし、その他の加飾部分94を縁部成形凹部22で成形するようにしてもよい。
(実施例1)
高平滑な平坦面を有する窓部形成ブロックと、三次元曲面部を有する縁部形成ブロックからなる、携帯電話のディスプレイ部分のカバー部品用キャビティ金型を作製した。窓部形成ブロックは、プレート上の部材の表面を高度に研磨した。研磨は高平滑面を得るために高精度研磨装置でダイヤモンドペーストなどの研磨材を用いて超鏡面研磨を行った。縁部形成ブロックは鋼材を三次元曲面研削した後研磨するが、研磨は三次元曲面を含むため手作業によって行った。得られた窓部形成ブロックの表面粗さを測定したところ、Rq=9.6nm、Rz=80nm、RSm=11μmであった。
なお、Rq、Rzは、日本ビーコ株式会社製、光干渉式表面粗さ計(WYKO NT1100)にて測定した。測定条件は、測定倍率5.2倍で、評価長さ1mm、短波長側のカットオフ値を2μm、長波長側のカットオフ値を1mmとした。なお、形状補正は2次元曲線でフィッティングすることにより行った。
得られた金型を用いて、次のようにして成形同時転写絵付け加工を行い、携帯電話のディスプレイ部分のカバー部品を得た。離型面がRq値=15.7nm、Rz=191nm、RSm=28μmである転写フィルムを、転写層が形成された側の反対面がその金型のキャビティ面に接するように金型に配置した。このとき、転写フィルムの配置は、箔送り装置に搭載されることによって行われた。
その後金型を閉じて、アクリル樹脂を射出成形し、続いて金型を開くと同時に基材フィルムから成形品を剥離し、携帯電話のディスプレイ部分のカバー部品を得た。
このようにして得たカバー部品の窓部の転写面は、転写絵付けされた側の表面が基材フィルムの離型面の表面粗さに近く、一般的な成形同時絵付け成形品よりも高平滑な転写面を有する成形品であった。その表面粗さは、Rq値=16.3nm、Rz=182nm、RSm=24μmであった。
このカバー部品を画素密度180ppi、2.2インチの高精細TFT液晶パネルと勘合し、液晶ディスプレイのRGB点灯素子のうちGのみを点灯して表示画質を観察したところ、ギラツキはほとんどみられず、カバー部品がない状態と遜色のないきれいな画質が確認された。
なお、Gのみを点灯して確認した理由は、RGB全てを点灯する、もしくはR,Bのいずれかを点灯するよりもギラツキが顕著に確認できるためである。これは、Gが可視光領域の中間部に位置し、人間の目で最も感度の高い色であるためと考えられている。
(比較例1)
窓部形成部を有しない、すなわちブロック内に凹状のキャビティが設けられている携帯電話のディスプレイ部分のカバー部品用キャビティ金型を作製した。窓部形成部を有しない携帯電話のディスプレイ部分のキャビティ金型は実施例1の縁部形成部と同様の方法により、鋼材を三次元曲面研削した後、作業によって研磨を行った。
この場合、ディスプレイ部分のカバー部品の窓を形成する部分のキャビティ面は高度な平滑は得られず、Rq値=23.4nm、Rz=324nm、RSm=39μmであった。
この金型を用いて、実施例1と同様の転写フィルムを用い、同様の方法により携帯電話のディスプレイ部分のカバー部品を得た。このようにして得たカバー部品の転写面の表面粗さは、Rq値=23.4nm、Rz=357nm、RSm=43μmであった。
このカバー部品を画素密度180ppi、2.2インチの高精細TFT液晶パネルと勘合し、液晶ディスプレイのRGB点灯素子のうちGのみを点灯して表示画質を観察したところ、顕著なギラツキがみられ、カバー部品がない状態を比較すると著しく表示品質が悪いことが確認された。
(実施例2)
高平滑な平坦面を有する窓部形成ブロックと、三次元曲面部を有する縁部形成ブロックからなる、カメラレンズのカバー部品用キャビティ金型を作製した。窓部形成ブロック及び縁部形成ブロックは、実施例1と同様の方法により得た。得られた窓部形成ブロックの表面粗さを測定したところ、Rq値=11.3nm、Rz=123nm、RSm=19μmであった。実施例1と同じ転写フィルムを用い、実施例1と同様の方法により、カメラレンズのカバー部品を得た。このようにして得られたカバー部品の窓部の転写面の表面粗さは、Rq値=15.6nm、Rz=198nm、RSm=26μmであった。
このカバー部品を解像度130万画素のCCDカメラのレンズにかぶせ、暗室で100Wの電球形蛍光灯を被写体として撮影を行った。カバー部品を外した状態での撮影も行い、それぞれの撮像を観察し、被写体の鮮明性(フレアの大きさ)を比較した。いずれの場合でもフレアはほとんどみられず、被写体の鮮明さに差はみられなかった。
(比較例2)
窓部形成部を有しない、すなわちブロック内に凹状のキャビティが設けられているカメラレンズのカバー部品用キャビティ金型を作製した。金型は、比較例1と同様の方法により得た。カバーの透明窓部分を形成するキャビティ面の表面粗さを測定したところ、Rq値=25.9nm、Rz=328nm、RSm=33μmであった。実施例2と同様の方法により、カメラレンズのカバー部品を得た。このようにして得られたカバー部品の窓部の転写面の表面粗さは、Rq値=29.6nm、Rz=321nm、RSm=33μmであった。
このカバー部品を解像度130万画素のCCDカメラのレンズにかぶせ、実施例2と同様の方法により被写体の鮮明性(フレアの大きさ)を比較した。カバー部品をかぶせた場合に得られた画像は、わずかにフレアが観察され、カバー部品がない場合及び実施例1で得られたカバー部品をつけた場合に得られた画像と被写体の鮮明さに差がみられた。
本発明の一実施形態に係る成形同時絵付け用金型が用いられる成形同時絵付け装置の概略構成を示す図である。 図1の成形同時両面加飾装置において用いられる加飾フィルムの構成を示す外観斜視図である。 図2のIII-III線の断面を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る成形同時絵付け用金型によって製造された携帯電話用カバーパーツの外観構成を示す図である。 図4の携帯電話用カバーパーツを携帯電話端末に固定する状態を説明する模式図である。 図4のVI-VI線の断面を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る成形同時絵付け用金型の可動側金型の外観斜視図である。 図7の可動側金型の組み立て分解図である。 図7の部分拡大図である。 図9AのIXB-IXB線の断面を示す断面図である。 窓部形成ブロックを取り外した状態における図9AのIXB-IXB線の断面を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る成形同時絵付け用金型の固定側金型の外観斜視図である。 図1の成形同時絵付け装置における成形同時絵付けの工程を示す模式図である。 図1の成形同時絵付け装置における成形同時絵付けの工程を示す模式図である。 図1の成形同時絵付け装置における成形同時絵付けの工程を示す模式図である。
符号の説明
1 可動側金型
2 固定側金型
3,4 取り付け台
5,6 入れ子
21 窓部形成ブロック
22 縁部成形凹部
23 ブロック挿入用凹部
28,58 キャビティ
31a 図柄インキ層
32 転写層
35 基材フィル
0 カバーパーツ
91,93 透明窓部
92 縁部
100 転写用フィルム
110 成形同時絵付け装置

Claims (3)

  1. 転写用フィルムが配置される第1金型と前記第1金型に対して対向配置された第2金型とを有し、前記第1金型は前記第2金型に対して離接可能に移動し、前記第1金型と第2金型が前記転写用フィルムを挟んで閉じた状態で溶融樹脂が射出されて成形と絵付けを同時に行う成形同時絵付けに用いられ、透明窓部と前記透明窓部の周りに位置する縁部を有し前記透明窓部から透光可能な状態で光学部材を保護するカバーパーツを製造するための成形同時絵付け金型において、
    前記第1金型は、
    超鏡面磨き加工が施された平坦な表面を有し前記透明窓部を形成する窓部形成ブロックと、
    前記窓部形成ブロックを挿入して固定するための凹部と前記カバーパーツの縁部を形成するための三次元曲面部とを有する縁部形成ブロックと
    を備え、
    前記窓部形成ブロックの超鏡面磨き加工面は、ISO4287で規定される最大高さRzが300nm以下でありかつ、二乗平均平方根粗さRqが20nm以下である表面粗さを有し、粗さ曲線要素の平均長さRSmが50μm以下であることを特徴とする、成形同時絵付け金型。
  2. 前記光学部材は、表示デバイスであることを特徴とする、請求項1に記載の成形同時絵付け金型。
  3. 前記光学部材は、カメラレンズであることを特徴とする、請求項1に記載の成形同時絵付け金型。
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