JP3329924B2 - 反射防止フィルム及びその製造方法 - Google Patents

反射防止フィルム及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カーブミラー、バック
ミラー、ゴーグル、窓ガラスやパソコン・ワープロ等の
ディスプレイの表面において光の反射防止をすることの
できる耐擦傷性の改善された反射防止フィルムの製造方
法及びその製造方法によって得られた反射防止フィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カーブミラー、バックミラー、ゴ
ーグル、窓ガラス、パソコン・ワープロ等のディスプレ
イ、その他種々の商業ディスプレイ等には、ガラスやプ
ラスチック等の透明基板が用いられており、これらの透
明基板を通して物体や文字、図形の視覚情報を、或いは
ミラーでは透明基板を通して反射層からの像を観察する
場合に、これらの透明基板の表面が光で反射して内部の
視覚情報が見えにくいという問題があった。
【0003】このような透明基板の反射を防止する方法
としては、従来、ガラスやプラスチック表面に反射防止
塗料を塗布する方法、ガラス等の透明基板の表面に膜厚
0.1μm程度のMgF2 等の極薄膜や金属蒸着膜を設
ける方法、プラスチックレンズ等のプラスチック表面に
ハード性が付与できる電離放射線硬化型樹脂を塗工し、
その上に蒸着によりSiO2 やMgF2 の膜を形成する
方法等があった。
【0004】前記ガラス上に形成された膜厚0.1μm
程度のMgF2 の薄膜をさらに説明する。入射光が薄膜
に垂直に入射する場合に、特定の波長をλ0 とし、この
波長に対する反射防止膜の屈折率をn0 、反射防止膜の
厚みをh、および透明基板の屈折率をng とすると、反
射防止膜が光の反射を100%防止し、光を100%透
過するための条件は、次の式(1)および式(2)の関
係を満たすことが必要であることは既に知られている
(サイエンスライブラリ 物理学=9「光学」70〜7
2頁、昭和55年,株式会社サイエンス社発行)。
【0005】
【数1】 ガラスの屈折率ng =約1.5であり、MgF2 膜の屈
折率n0 =1.38、入射光の波長λ0 =5500Å
(基準)と既に知られているので、これらの値を前記式
(2)に代入すると、反射防止膜の厚みhは約0.1μ
mが最適であると計算される。
【0006】また、光の反射は屈折率が急変するような
界面が生じるために、その光の反射を防止するには、基
板に近い屈折率から徐々に空気に近い屈折率に変化して
いる膜ができれば、光の反射は生じなくなるとされてい
る。そのような原理を基にした反射防止膜には、例えば
特開平2−245702号公報に記載されるものがあっ
た。該公報には、ガラス基板とMgF2 との中間の屈折
率を持つ物質、例えばSiO2 (屈折率1.46)の微
粒子とMgF2 との微粒子を混合して、ガラス基板に塗
布し、ガラス基板面から該塗布膜表面に向かって徐々に
SiO2 微粒子の混合比を減らし、且つMgF2 微粒子
の混合比を増やすことにより、塗布面とガラス基板との
界面における屈折率変化が緩やかとなり、反射防止効果
が得られたことが示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記反
射防止塗料を前記透明基板に塗布する方法は形成された
塗膜の表面に傷がつきやすく、そのため光線透過率の低
下が生じるという問題がある。また、前記透明基板の表
面に極薄膜や金属蒸着膜を形成する方法は、その膜厚が
式(2)から前記のごとく計算されるように0.1μm
程度とかなり薄く、このために耐擦傷性が悪く、しかも
透明基板から剥離し易かった。
【0008】また、前記のような基材上に形成された電
離放射線硬化型樹脂のハードコート樹脂塗膜に蒸着膜を
積層する方法によって得られた反射防止膜は、樹脂表面
に無機化合物と反応する反応基がほとんど無いため、無
機化合物の蒸着膜との接着力が弱く剥がれやすい欠点が
あった。
【0009】また、前記特開平2−245702号公報
に記載されている反射防止膜は、混合比の異なる塗布膜
を積み重ねることによって形成しているが、その膜の形
成は煩雑であり、且つその屈折率の異なる膜を調製する
際に、屈折率のコントロールも困難であった。
【0010】そこで、本発明は、屈折率の異なる複数の
層が空気層と接する層から透明プラスチック基材フィル
ムにかけてその屈折率が段階的に緩やかに増大している
反射防止フィルムであって、且つ製造方法が容易で、各
層間の密着性がよく、ハード性を有する反射防止フィル
ム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記した問題点を解決す
るために本発明の反射防止フィルムの製造方法は、離型
フィルム上に高屈折率無機微粒子からなる高屈折率無機
微粒子層を形成し、一方、透明プラスチック基材フィル
ム上に電離放射線硬化型樹脂を塗工し、前記電離放射線
硬化型樹脂が溶剤で希釈されている場合には溶剤乾燥し
た後に、前記電離放射線硬化型樹脂が溶剤を含有してい
ない場合にはそのままで、前記工程で得られた離型フィ
ルムの高屈折率無機微粒子層側の面と、前記工程で得ら
れた透明プラスチック基材フィルムの電離放射線硬化型
樹脂側の面を圧着してラミネートして、高屈折率無機微
粒子層を電離放射線硬化型樹脂中に埋没させ、次いで、
前記工程で得られたラミネート物に電離放射線を照射し
て電離放射線硬化型樹脂を硬化させた後、離型フィルム
を剥離することにより、高屈折率無機微粒子層が埋没さ
れたハードコート層を形成し、次いで該ハードコート層
の表面にアッシング処理を施すことによって、ハードコ
ート層に埋没されている高屈折率無機微粒子層の表面を
露出させ、次いで、露出された高屈折率無機微粒子層の
表面に低屈折層を形成することを特徴とする。
【0012】図1及び図2は、本発明の反射防止フィル
ムの製造工程を示したものである。図1(a)は離型フ
ィルム1上に高屈折率無機微粒子のゾル自体又は高屈折
率無機微粒子のゾルにバインダー樹脂を含有させたもの
を塗布して、高屈折率無機微粒子層2を形成した状態で
ある。
【0013】離型フィルム1上に高屈折率無機微粒子層
2を形成する場合は、バインダー樹脂を特に使用しなく
ても、高屈折率無機微粒子5自身の持つ結着作用により
形成することができるが、その結着作用が弱いような場
合には必要に応じて、バインダー樹脂を使用してもよ
い。このようなバインダー樹脂には、熱硬化性樹脂、熱
可塑性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の一般的なものが
用いられるが、ハードコート層に使用する電離放射線硬
化型樹脂との密着性を考慮すると電離放射線硬化型樹脂
が望ましい。
【0014】図1(b)は透明プラスチック基材フィル
ム3上に電離放射線硬化型樹脂からなるハードコート層
4を形成したものに、前記の高屈折率無機微粒子層2が
形成された離型フィルム1を圧着しようとする状態であ
り、さらに図1(c)は圧着されている状態である。こ
の圧着状態で電子線または紫外線等の電離放射線を照射
して電離放射線硬化型樹脂を硬化させた後に、離型フィ
ルム1を剥離している状態が図1(d)である。
【0015】この離型フィルム1を剥離して得られた状
態のフィルムを図2(a)に示す。この高屈折率無機微
粒子層2の表面にはハードコート層4の電離放射線硬化
型樹脂が回り込んで膜を形成している。この高屈折率無
機微粒子層2の表面に低屈折率層を形成して効果的な反
射防止効果を発揮させるためには、前記高屈折率無機微
粒子層2の表面に回り込んだ電離放射線硬化型樹脂は、
反射防止を阻害するので取り除かねばならない。その回
り込んだ樹脂を除去するために本発明では、オゾンの存
在下で紫外線照射を行なうアッシング処理によって除去
する。
【0016】図2(b)は前記の工程で得られたアッシ
ング処理後の状態を示す。高屈折率無機微粒子層2の表
面に覆っていた電離放射線硬化型樹脂はアッシングによ
り分解除去されている。
【0017】図2(c)は前記アッシング工程で得られ
たフィルムの高屈折率無機微粒子層2の表面に、低屈折
率層6を蒸着、プラズマCVD、スパッタリング等の薄
膜形成法又はコーティング法により形成した状態を示
し、且つ本発明の反射防止フィルムの断面を示してい
る。
【0018】図2(c)から理解されるように、本発明
の反射防止フィルムは、空気と接する低屈折率層6の表
層から透明プラスチック基材フィルム3にかけてその屈
折率が段階的に緩やかに変化して増大しているので、光
の反射防止効果を有する。
【0019】また本発明の反射防止フィルムは、高屈折
率無機超微粒子5がハードコート層4の上部からハード
コート層4の内部にかけて極在化して固定されているの
で、単に高屈折率無機超微粒子5を電離放射線硬化型樹
脂に混合して製造したハードコート層4に比べて、高屈
折率無機超微粒子を多量に使用することなく機能性超微
粒子の性質を発現させやすい効果を有する。
【0020】また本発明の低屈折率層に無機材料を使用
した場合には、アッシング処理後の露出された高屈折率
無機超微粒子5に直接、無機材料の低屈折率層6が接す
ることになるので、両膜は無機材料−無機材料の組合せ
となり、有機材料−無機材料の組合せよりも密着力がよ
いという効果を有する。
【0021】離型フィルム:一般的なシート上にシリコ
ン、フッ素、アクリル−メラミンなど離型処理を施した
もの、または、未処理のものが使用される。その表面は
凹凸を有していてもよく、この場合、最終製品の表面に
凹凸が形成されるので、さらに反射防止効果又は防眩効
果を付与することができる。図3は、表面に凹凸を有す
る離型フィルムを用いて製造した本発明の反射防止フィ
ルムの断面図を示している。
【0022】高屈折率無機微粒子:高屈折率無機微粒子
にはSb2 5 、ZnO、ITO、SnO2 、TiO2
等が使用される。なお、この高屈折率無機微粒子は、そ
の表面がカップリング剤で疎水化処理されていてもよ
く、このような疎水化処理によりその微粒子表面への疎
水性基の導入が行なわれるので、電離放射線硬化型樹脂
に馴染みやすくなり、電離放射線硬化型樹脂との結合が
より強固となる。該カップリング剤には、シランカップ
リング剤、チタネート系カップリング剤、アルミナ系カ
ップリング剤等が用いられる。そのカップリング剤の添
加量は0(0を含まず)〜30重量部、望ましくは0
(0を含まず)〜10重量部である。
【0023】離型フィルム上への高屈折率無機微粒子の
塗布:離型フィルム上への高屈折率無機微粒子層の形成
方法は、高屈折率無機微粒子のゾル自体又は高屈折率無
機微粒子のゾルにバインダー樹脂を含有させたものを離
型フィルム上に塗布して形成する。離型フィルム上に高
屈折率無機微粒子層を形成する場合には、バインダー樹
脂を使用しなくても、高屈折率無機微粒子自身の持つ結
着作用により形成することができるが、その結着作用が
弱いような場合には必要に応じて、バインダー樹脂を使
用してもよい。そのバインダー樹脂の量は、高屈折率無
機微粒子がバインダー樹脂中に完全に埋没されない程度
の量とすることが機能性を発現するのに、特に、反射防
止膜とする場合に好ましい。
【0024】このようなバインダー樹脂には、熱硬化性
樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化型等の一般的なも
のが用いられるが、下層(電離放射線硬化型樹脂)との
密着性を考慮すると電離放射線硬化型樹脂が望ましく、
この場合、溶剤乾燥半硬化型樹脂が望ましい。また、こ
のようなバインダー樹脂に着色剤を混入することもでき
る。
【0025】透明プラスチック基材フィルム:反射防止
フィルムに適した透明プラスチック基材フィルムには、
透明性のあるフィルムであれば何れでもよいが、特に、
トリアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンテレフ
タレート(以下、PETと略称する)が透明性が優れて
おり適している。
【0026】ハードコート層:前記透明プラスチック基
材フィルム上に形成されるハードコート層に使用される
紫外線又は電子線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂
には、次のものが挙げれられる。電子線硬化型樹脂とし
て、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するも
の、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリ
エーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン
樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブ
タジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコ
ール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリ
ゴマーまたはプレポリマーおよび反応性希釈剤としてエ
チル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピ
ロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例
えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するもの
が使用できる。
【0027】さらに、上記の電子線硬化型樹脂を紫外線
硬化型樹脂とするには、この中に光重合開始剤として、
アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾ
イルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラ
メチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類
や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリーn−ブチルホスフィン等を混合して用いるこ
とができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタ
ンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトー
ルヘキサアクリレート等を混合するのが好ましい。
【0028】ハードコート層の膜厚は1〜10μm、望
ましくは3〜7μmである。このハードコート層中に
は、上記した高屈折率無機微粒子と同じもの又は別の機
能を有するものを必要に応じて添加してもよい。その添
加量はハード性を損なわない程度に、電離放射線硬化型
樹脂100重量部に対して0(0を含まない)〜300
重量部程度までである。また、ハードコート層を着色剤
により着色することも可能である。またハードコート層
用の上記電離放射線硬化型樹脂に、別の高屈折率樹脂を
混合したり、高屈折率無機微粒子を混合して分散させて
その屈折率を高めておいてもよい。
【0029】照射装置:ハードコート層用電離放射線硬
化型樹脂の硬化は、電子線または紫外線の照射によって
硬化することができる。例えば、電子線硬化の場合には
コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧
型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高
周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜10
00KeV、好ましくは100〜300KeVのエネル
ギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合に
は超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンア
ーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線
から発する紫外線等が利用できる。
【0030】アッシング処理:硬化されたハードコート
層に対してアッシング処理が行なわれる。アッシング処
理は、オゾンの存在下で245nmの紫外線を照射する
ことにより、オゾンO3 が励起酸素原子O* と酸素ガス
2 に変換される。この現象で生成される強力な酸化作
用を持つ励起酸素原子O* と紫外線によって、高屈折率
無機微粒子層の表面に覆っていた電離放射線硬化型樹脂
の薄い皮膜を酸化して、分解除去することができる。し
たがって、高屈折率無機微粒子層の表面は実質的に電離
放射線硬化型樹脂がなく、露出した状態となる。
【0031】また、このアッシング処理によって、高屈
折率無機微粒子層の表面に−OH基等の親水性基や活性
基が導入されて、その高屈折率無機微粒子層上に形成さ
れる低屈折率無機薄膜との密着性が向上する。
【0032】低屈折率層の形成:アッシング処理されて
露出した高屈折率無機微粒子層の表面に、MgF2 、S
iO2 等の低屈折率無機化合物の薄膜を形成することに
より、反射防止フィルムを製造する。この薄膜形成方法
には、蒸着、プラズマCVD、スパッタリング等の真空
プロセスが使用できる。薄膜の膜厚は250〜3000
Å、好ましくは、700〜1500Åである。
【0033】また、低屈折率層の別の形成方法には、M
gF2 、SiO2 等の微粒子分散液ないしは低屈折率有
機高分子組成物をコーティングして低屈折率層を形成す
る方法も適用できる。このコーティングによる低屈折率
層の膜厚も上記の真空プロセスの薄膜形成の場合と同程
度の膜厚とすることが好ましい。
【0034】
【実施例】
〔実施例1〕表面にアクリル−メラミン樹脂により処理
されている離型フィルム(MC−19:商品名、麗光株
式会社製)上にZnOコーティング液(ZS−300:
商品名、住友セメント株式会社製)を乾燥時膜厚が0.
14μmになるようにワイヤーバーで塗布した。
【0035】一方、ハードコート層用樹脂として電子線
硬化型樹脂(40−9:商品名、大日精化製)50重量
%に、メチルエチルケトン:トルエン=1:1溶液で希
釈した塗布溶液を調製した。この塗布溶液をトリアセチ
ルセルロースフィルム(以下、TACと略す。)上に、
ワイヤーバーにて、乾燥膜厚が6μmになるように塗布
し、乾燥させた。
【0036】次いで、前記塗工された離型フィルムとこ
の電離放射線硬化型樹脂が塗工されたフィルムを両塗工
面が向かい合うようにラミネートして、電子線を5Mr
ad、10m/分の条件で硬化させた。その後、離型フ
ィルムを剥がすことにより、ハードコート層内にTiO
2 の微粒子層が埋没して転写されたTACの積層フィル
ムを得た。
【0037】前記積層フィルムに対して、UVアッシン
グ装置(DEEP UV PROCESSOR DUV-1100-2B:商品名、日本
電池製)を用い、UVアッシングをオゾンの存在下で、
高出力定圧水銀灯にて720Wで3分間行なった。アッ
シングの後、直ちに、MgF2 の蒸着を以下の条件で行
なった。すなわち、蒸着機としてEMC−700(商品
名:国際電気製)を用い、真空度4×10-5torr、
基板温度を室温とし、ACCVOLTを5kV、EMI
SSIONを10mA、蒸着速度4A/Sで、MgF2
の膜厚が1000Åとなるように蒸着した。
【0038】このようにして得られた本実施例1の反射
防止フィルム(層構成:MgF2 1000Å/ZnOア
ッシング/40−9/TAC)の透過率、ヘイズ値、P
T値、硬度を測定した。その結果を下記の表1に示す。
比較例1としてTAC原反、比較例2として本実施例1
においてアッシング処理のみを省略したもの(層構成:
MgF2 1000A/ZnO/40−9/TAC)につ
いて、実施例1と同様に性能試験を行なった。その結果
を下記の表1に示す。
【0039】〔実施例2〕前記実施例1において、Zn
O微粒子コーティング液に換えて、TiO2 微粒子(出
光チタニアIT−UD:商品名、出光交換株式会社製)
10%分散液を用いた以外は、全て前記実施例1と同じ
処理を行なって、本実施例2の反射防止フィルム(層構
成:MgF2 1000Å/TiO2 アッシング/40−
9/TAC)を得た。この反射防止フィルムの透過率、
ヘイズ値、PT値、硬度を測定した。その結果を下記の
表1に示す。
【0040】比較例3として、本実施例2においてアッ
シング処理のみを省略したもの(層構成:MgF2 10
00A/TiO2 /40−9/TAC)について、同様
に性能試験を行なった。その結果を下記の表1に示す。
【0041】
【表1】 PTは直線透過率(散乱されないで透過した光の透過
率)を意味する。ヘイズ値(%)は、〔(透過率−P
T)/透過率〕×100で求められる。
【0042】
【発明の効果】本発明の反射防止フィルムは、空気と接
する低屈折率層の表層から透明プラスチック基材フィル
ムにかけてその屈折率が段階的に緩やかに変化して増大
しているので、光の反射防止効果を有する。
【0043】また本発明の反射防止フィルムは、高屈折
率無機微粒子がハードコート層の上部からハードコート
層の内部にかけて極在化して固定されているので、単に
高屈折率無機微粒子を電離放射線硬化型樹脂に混合して
製造したハードコート層に比べて、高屈折率無機微粒子
を多量に使用することなく高屈折率無機微粒子の性質を
発現させやすい効果を有する。
【0044】また本発明の低屈折率層は、アッシング処
理後の露出された高屈折率無機超微粒子層に直接、成膜
が形成されているので、低屈折率層の材料に無機材料を
使用している場合には、両層は無機材料−無機材料の組
合せとなり、有機材料−無機材料の組合せよりも密着力
がよいという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止フィルムの製造工程を示す。
【図2】図1に続く本発明の反射防止フィルムの製造工
程を示す。
【図3】表面に凹凸を有する離型フィルムを用いて製造
した本発明の反射防止フィルムの断面を示す。
【符号の説明】
1 離型フィルム 2 高屈折率無機微粒子層 3 透明プラスチック基材フィルム 4 ハードコート層 5 高屈折率無機超微粒子 6 低屈折率層
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−225302(JP,A) 特開 平7−156326(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 1/10 - 1/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)離型フィルム上に高屈折率無機微
    粒子からなる高屈折率無機微粒子層を形成し、 (2)一方、透明プラスチック基材フィルム上に電離放
    射線硬化型樹脂を塗工し、 (3)前記電離放射線硬化型樹脂が溶剤で希釈されてい
    る場合には溶剤乾燥した後に、前記電離放射線硬化型樹
    脂が溶剤を含有していない場合にはそのままで、前記工
    程で得られた離型フィルムの高屈折率無機微粒子層側の
    面と、前記工程で得られた透明プラスチック基材フィル
    ムの電離放射線硬化型樹脂側の面を圧着しラミネートし
    て、高屈折率無機微粒子層を電離放射線硬化型樹脂中に
    埋没させ、 (4)前記工程で得られたラミネート物に電離放射線を
    照射して電離放射線硬化型樹脂を硬化させた後、離型フ
    ィルムを剥離することにより、高屈折率無機微粒子層が
    埋没されたハードコート層を形成し、 (5)該ハードコート層の表面にアッシング処理を施す
    ことによって、ハードコート層に埋没されている高屈折
    率無機微粒子層の表面を露出させ、 (6)次いで、露出された高屈折率無機微粒子層の表面
    に低屈折率層を形成することを特徴とする反射防止フィ
    ルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記透明プラスチック基材フィルムは、
    トリアセチルセルロースフィルム又はポリエチレンテレ
    フタレートフィルムである請求項1記載の反射防止フィ
    ルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記低屈折率を形成する方法は、蒸着、
    プラズマCVD、スパッタリング等の真空プロセスから
    選ばれた方法である請求項1又は2記載の反射防止フィ
    ルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記低屈折率を形成する方法は、低屈折
    率有機材料を塗布して形成する方法である請求項1又は
    2記載の反射防止フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記離型フィルムの表面には微細な凹凸
    が形成されている請求項1、2、3又は4記載の反射防
    止フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4又は5記載の反射
    防止フィルムの製造方法によって製造された反射防止フ
    ィルム。
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