JP3734068B2 - 硬貨払出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動販売機、両替機、サービス機器等に使用される硬貨処理装置に関し、特にこのような硬貨処理装置の一部を構成し、金種毎に選別収容された硬貨を釣銭の額に応じて払い出す硬貨払出装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動販売機、両替機、サービス機器等内には、投入硬貨の正偽を判別するとともに、正貨と見なされた投入硬貨を金種毎に選別収容し、さらに選別収容された硬貨を釣銭の額に応じて払い出す硬貨処理装置が配設されている。
【0003】
この硬貨処理装置は、大別して以下に示す3つの要素から構成されている。
【0004】
その第1は、投入硬貨の正偽を判別し、かつ正貨を金種毎に選別する硬貨選別装置である。
【0005】
第2はこの硬貨選別装置の下方に配設され、当該硬貨選別装置により金種毎に選別された正貨を、それぞれ金種毎に収容する複数のコインチューブからなる硬貨収容装置である。
【0006】
そして第3は、この硬貨収容装置を構成するコインチューブ内から釣り銭の額に応じた硬貨を選択して払い出す硬貨払出装置である。
【0007】
このうち、従来の硬貨払出装置1は図14の要部破断概念斜視図に示す構造をしている。
【0008】
この硬貨払出装置1は、図示せぬ駆動モータ、およびこの駆動モータの駆動力を伝達する歯車伝動手段等からなるペイアウトカム駆動手段と、このペイアウトカム駆動手段を介し伝達された駆動力により一払出動作ごとに一方向(時計方向)へ一回転する一対のペイアウトカム2、3と、このペイアウトカム2、3の下面に突設されたピン2a、3aと係合する溝4a、4bを有し、ペイアウトカム2、3が矢印方向(時計方向)へ一回転すると、図の初期位置から矢印Aの方向へ往復移動するペイアウトリンク4と、このペイアウトリンク4に対し一対のピン4c、4dを介し着脱自在に係合し、ペイアウトリンク4の往復運動に追従して矢印A方向へ往復運動するペイアウトスライド5とから構成されている。なお、上述した図示せぬペイアウトカム駆動手段、ペイアウトカム2、3、およびペイアウトリンク4によりペイアウトスライド駆動手段6が構成される。
【0009】
このペイアウトスライド5には、前述した硬貨収容装置を構成する図示せぬコインチューブの各最下面に収容された硬貨を一枚だけ収容する四つの孔7、8、9、10がそれぞれ形成されている。なお、この孔7、8、9、10の下面には、図14の初期位置において常時はペイアウトスライド5の底面を覆い、各孔7、8、9、10内に収容された各硬貨の落下を阻止する底板11が配設されている。なお、この底板11は前記硬貨収容装置を構成する図示せぬ複数本のコインチューブの底面を構成するものである。
【0010】
一方、前記ペイアウトリンク4内には、各先端が前記ペイアウトスライド5の対応する各孔7、8、9、10下面に臨み、当該各孔7、8、9、10内に一枚ずつ収容された各硬貨の払出と非払出とを制御するチェンジスライド12、13、14、15が出没自在に嵌挿している。
【0011】
なお、このチェンジスライド12、13、14、15には、図14で示す初期位置からペイアウトリンク4側への移動を規制する図示せぬストッパー手段が配設され、これによりペイアウトリンク4の矢印A方向へのスライド移動とともに、各チェンジスライド12、13、14、15は後方、即ち後述するチェンジソレノイド16、17、18、19側への移動は許容されるが図14の初期位置からペイアウトリンク4側への移動は規制される構造となっている。
【0012】
上述したチェンジスライド12、13、14、15うち、チェンジスライド12の先端12aは孔7内に、チェンジスライド13の先端13aは孔8内に、チェンジスライド14の先端14aは孔9内に、またチェンジスライド15の先端15aは孔10内に臨むように配設されている。
【0013】
また、この各チェンジスライド12、13、14、15の各後端12b、13b、14b、15bは、各チェンジスライド12、13、14、15毎に独立して配設されたチェンジソレノイド16、17、18、19の各プランジャから構成されたチェンジレバー16a、17a、18a、19aと係合し、常時はその移動が規制されている。
【0014】
上述した、硬貨払出装置部1によると、例えば孔9内に収容された図示せぬ硬貨を一枚払い出す信号が図示せぬ制御装置から入力されると、その払出信号に基き、図示せぬペイアウトカム駆動手段によりペイアウトカム2、3が矢印方向に一回転しペイアウトスライド5を矢印A方向へ往復運動させて、ペイアウトスライド5の各孔7、8、9、10内に収容された各硬貨を一枚ずつ当該各孔7、8、9、10の下方から落下させようとするが、その際、図15で示すように孔9内に収容された硬貨を一枚払い出す信号に基づき、チェンジスライド14の後端14bの動きを規制するチェンジソレノイド18のチェンジレバー18aのみが作動して矢印Bのように上動し、チェンジレバー18aとチェンジスライド後端14bとの係合を解除する。
【0015】
するとペイアウトカム2、3の図示を省略した図16で示すように、チェンジスライド14のみがペイアウトリンク4の矢印A方向への移動に連動して後方へスライド移動し、これにより孔9の底面の開放を維持して、当該孔9内に収容された硬貨を孔9の下方へ落下して払い出す。
【0016】
なお図16で示すように、他のチェンジスライド12、13、15は、その後端12b、13b、15bが各チェンジレバー16a、17a、19aによりその動きが規制されているのでペイアウトリンク4の移動量に応じて各チェンジスライド先端12a、13a、15aが対応する各孔7、8、10の底面内に侵入するので、その各孔7、8、10の底面は解放されず、よってこの孔7、8、10内に収容された硬貨はペイアウトスライド5が矢印A方向へ往復運動しても各孔7、8、10の底面から落下して払い出されることはない。
【0017】
すなわち、上述した硬貨払出装置1では、払い出す硬貨に対応したチェンジレバー16a、17a、18a、19aを作動(上動)させて、払い出す硬貨に対応したチェンジスライド12、13、14、15の移動規制を解除すれば、その硬貨を払い出すことができるように構成されている。勿論同一種類の硬貨を複数枚払い出す場合は、その払出硬貨に対応するチェンジソレノイドのチェンジレバーを作動(上動)させてそのチェンジスライドの規制を解除し、その後、その払出枚数分だけペイアウトスライド5を往復運動させればよく、また複数種類の硬貨を同時に払い出す場合は、その複数種類の硬貨に対応する複数のチェンジソレノイドのチェンジレバーを同時に作動(上動)させて、払い出す複数種類の硬貨に対応したチェンジスライドの規制を解除すれば、その複数種類の硬貨を同時に払い出すことができることとなる。
【0018】
一方、上述した硬貨払出装置1を、例えば硬貨の径、および種類が異なる世界各国で適用する場合は、硬貨払出装置1ができるだけ多くの種類の硬貨を払い出す機能を有することが望ましい。
【0019】
そこで、上述した従来の硬貨払出装置1に、もう一種類、別の種類の大径の硬貨の払出機能を加えたものが考えられる。
【0020】
図17は本願出願人が、図14に示す従来の硬貨払出装置1の基本的構造を採用して、もう一種類、別の大径の硬貨の払出機能を加え、合計5種類の硬貨の払出機能を具えた硬貨払出装置20を示す要部概念斜視図で、図14と同一部分を同一符号で示す。
【0021】
この硬貨払出装置20では、ペイアウトリンク4、ペイアウトスライド5、および底板11の図面左側方をそれぞれ延長して、そこに前記チェンジスライド12、13、14、15と同一構造のチエンジスライド21を配設するとともに、延長されたペイアウトスライド5には別の大径の硬貨を一枚収容する孔22を形成する。
【0022】
そして、チエンジスライド21の後端21bに、前記チェンジソレノイド16、17、18、19と同様のチェンジソレノイド23を配設して、そのプランジャにより構成されたチェンジレバー23aをチェンジスライド21の後端21bに係合させる。
【0023】
このような硬貨払出装置20によると、孔22内に収容された大径の硬貨を一枚払い出す信号が図示せぬ制御装置から入力されると、その払出信号に基き、図示せぬペイアウトカム駆動手段によりペイアウトカム2、3が矢印方向に一回転しペイアウトスライド5を矢印A方向へ往復運動させて、ペイアウトスライド5の各孔7、8、9、10、22内に収容された各硬貨を一枚ずつ当該各孔7、8、9、10、22の下方から落下させようとするが、その際、図18で示すように孔22内に収容された硬貨を一枚払い出す信号に基づき、チェンジスライド21の後端21bの動きを規制するチェンジソレノイド23のチェンジレバー23aのみが作動して矢印Bのように上動し、チェンジスライド後端21bとの係合を解除する。
【0024】
するとペイアウトカム2、3の図示を省略した図19で示すように、チェンジスライド21のみがペイアウトリンク4の矢印A方向に沿った移動に追従して後方へスライド移動し、これにより孔22の底面の開放を維持して、当該孔22内に収容された硬貨を孔22の下方へ落下して払い出すこととなる。
【0025】
したがって、上述した従来の硬貨払出装置1の基本的払出構造を採用しても5種類以上の硬貨を払い出すことができる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した硬貨払出装置1、20を装着した硬貨処理装置は、自動販売機等の機器内の限られたスペース内に装着することから、予めその全体のサイズが厳格に管理されており、特に図16で示すように、硬貨払出時におけるチェンジスライド14の往復移動距離を含め硬貨払出装置1の正面から背面までの奥行方向の長さLは厳密に規定されている。
【0027】
ところが、できるだけ多くの種類の硬貨を払い出すべく、図14の従来構造を採用して図17で示すような例えば別の大径の硬貨の払出機能を付加した硬貨払出装置20によると、その大径の硬貨を払い出すため、図19で示すように、チェンジスライド21の往復移動距離を含め硬貨払出装置20の正面から背面までの奥行方向の長さL´が極めて大きく(L´>L)なって、自動販売機等の機器内の限られたスペース内にこのような硬貨払出装置20を装着した硬貨処理装置を配設することができなくなる虞がある。
【0028】
この発明は、上述した事情に鑑み、奥行方向の長さを可及的に短くした硬貨払出装置を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、この発明では、ペイアウトリンクを介しペイアウトスライドを前後に往復移動させ、硬貨払出時に前記ペイアウトスライドに形成された硬貨収容孔を拡開して該硬貨収容孔内に収容された硬貨を下方へ落下させ、また硬貨非払出時に前記硬貨収容孔を閉塞して硬貨の落下を阻止するチェンジスライドを少なくとも有する硬貨払出装置において、前記ペイアウトリンクは前記チェンジスライドをその長手方向に沿って収納するチェンジスライド収納孔を有し、前記チェンジスライドは硬貨払出時にチェンジスライド回動手段を介し前記ペイアウトリンクの移動に連動して回転し、前記ペイアウトリンクのチェンジスライド収納孔内に収納されるようにしている。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係わる硬貨払出装置の一実施例を詳述する。
【0031】
図1はこの発明に係わる硬貨払出装置30の概念斜視図で、図14および図17と同一部分を同一符号で示す。
【0032】
この硬貨払出装置30でも、ペイアウトリンク4、ペイアウトスライド5、および底板11の図面左側方は別の種類の大径の硬貨を払い出すためにそれぞれ延長されており、ペイアウトスライド5の延長部分5aには大径の硬貨を一枚収容する孔22が形成され、またペイアウトリンク4の延長部分4eには孔22と対応するチェンジスライド31をその長手方向に沿って収納可能なチェンジスライド収納孔4fが形成されている。
【0033】
一方、上述したチェンジスライド31、チェンジスライド収納孔4f、およびペイアウトリンク4の上面を覆う後述する上カバーには、硬貨払出時に前記ペイアウトリンク4の移動に連動して前記チェンジスライド31を回動させる、後述するチェンジスライド回動手段がそれぞれ形成されている。
【0034】
このような、硬貨払出装置30によると、孔22内に収容された図示せぬ大径の硬貨を一枚払い出す信号が図示せぬ制御装置から入力されると、その払出信号に基き、図示せぬペイアウトカム駆動手段によりペイアウトカム2、3が矢印方向に一回転してペイアウトリンク4を介しペイアウトスライド5を矢印A方向へ往復運動させ、これによりペイアウトスライド5の各孔7、8、9、10、22内に収容された各硬貨を一枚ずつ当該各孔7、8、9、10、22の下方から落下させて払出そうとする。
【0035】
その際、図2で示すように孔22内に収容された硬貨を一枚払い出す信号に基づき、チェンジスライド31の後端31bの動きを規制するチェンジソレノイド23のチェンジレバー23aのみが作動して矢印Bのように上動し、チェンジスライド後端31bとの係合を解除する。
【0036】
するとペイアウトカム2、3の図示を省略した図3で示すように、チェンジスライド31のみがペイアウトリンク4の移動に追従して後述する回転軸を中心に一方向へ回転し、これによりチェンジスライド31がその長手方向に沿ってペイアウトリンク4の前記チェンジスライド収納孔4f内に収納される。
【0037】
これにより孔22の底面の開放は維持されるので、当該孔22内に収容された硬貨は孔22の下方へ落下し、払い出されることとなる。
【0038】
なお、孔22内に収容された大径の硬貨の非払出時には、図4で示すように、チェンジスライド31の後端31bとチェンジソレノイド23のチェンジレバー23aとの係合が維持されて、チェンジスライド31の回動が阻止されるので、チェンジスライド31はペイアウトリンク4の移動に連動することなくその停止状態を維持し、このためチェンジスライド31の先端31aが孔22の底面内に侵入して当該孔22の底面を閉塞し、当該孔22内に収容された硬貨の落下を規制して、硬貨の払出を阻止する。
【0039】
次に、図3で示す硬貨払出時にペイアウトリンク4のスライド移動に連動しチェンジスライド31を回転させるチェンジスライド回動手段40を詳述する。
【0040】
このチェンジスライド回動手段40は、チェンジスライド31の底面斜視図で示す図5のように、チェンジスライド31の底面31cから突設され、周面が一部切り欠いた形状の回転軸31dと、チェンジスライド31の上面斜視図で示す図6のように、チェンジスライド31の上面31eであって、チェンジスライド31の後端31b側から上方へ向け突設されたカム軸31fと、ペイアウトリンク4の延長部分4eを拡大した概念斜視図で示す図7のように、チェンジスライド収納孔4fの底面4gに形成された軸受孔4hと、図1で示すように、前記チェンジスライド31に突設されたカム軸31fを案内する円弧状のカム溝41とから構成されている。
【0041】
このうち、円弧状のカム溝41はペイアウトリンク4の上面を覆う後述する上カバーに形成されている。
【0042】
なお、図5から明らかなように、軸31dは二股に分岐された一対の軸部材31g、31hの各先端により形成されており、このため軸31dの径は一対の軸部材31g、31hの先端間が弾発的に伸縮する範囲内で、その径を縮小することが可能である。また、図5で符号31iは、チェンジスライド31の底面31c側方から突設されたガイド壁である。
【0043】
また図7で、符号4iは軸受孔4hの左側方に隣接して形成されたガイド溝で、このガイド溝4iは、図5で示す、チェンジスライド31のガイド壁31iを案内するものである。
【0044】
また図7で符号4j、4kは、図6で示すカム軸31fを収容するカム軸収容溝であり、また図7で符号4mは、軸受孔4hへ向け図5に示す回転軸31dが出没できるようにガイドするガイド溝である。
【0045】
次に、上述したチェンジスライド回動手段40の作用を詳述する。
【0046】
図8は図1に示す硬貨払出装置30の要部破断拡大底面図で、特にペイアウトリンク4、チェンジスライド5の各延長部分4e、5aを詳細に示したものである。
【0047】
この図8に示すペイアウトリンク4の初期位置ではチェンジスライド31の回転軸31dがペイアウトリンク4のチェンジスライド収納孔4f内に形成された前記軸受孔4h内に嵌着している。
【0048】
またチェンジスライド31の上面から突設されたカム軸31fは、ペイアウトリンク4の上面を覆う上カバー50に形成された円弧形状のカム溝41内に嵌挿し、さらに、このカム軸31fにはチェンジソレノイド23(図1)のチェンジレバー23aが係合している。
【0049】
この図8に示すペイアウトリンク4の初期位置において、孔22内に収容された大径の硬貨の非払出信号が図示せぬ制御装置から入力されると、その非払出信号に基き、図1に示すペイアウトカム2、3が矢印方向に一回転してペイアウトリンク4を介してペイアウトスライド5を矢印A方向へ往復運動させるが、図8で示すように、チェンジスライド31のカム軸31fとチェンジレバー23aとの係合が維持されているので、チェンジスライド31はペイアウトリンク4に連動して移動せず、その位置に停止した状態を維持する。
【0050】
このように、チェンジスライド31が停止した状態を維持したまま、ペイアウトリンク4が矢印A方向に移動すると、図9で示すようにチェンジスライド31の回転軸31dが軸受孔4h内から脱出すべく、その径を縮めてガイド溝4m内に侵入し、同時にチェンジスライド31のガイド壁31iがペイアウトリンク4のガイド溝4i内に嵌挿する。
【0051】
そしてペイアウトリンク4が図9で示す矢印A方向にさらに移動して、その復帰点に到達すると、図10で示すように、チェンジスライド31の回転軸31dがペイアウトリンク4内から完全に脱出し、かつチェンジスライド31のガイド壁31iがペイアウトリンク4のガイド溝4i内に嵌挿した状態となる。なお、図10で示すように、チェンジスライド31のガイド壁31iがペイアウトリンク4のガイド溝4i内に嵌挿した状態となるで、チェンジスライド31の回転軸31dがペイアウトリンク4内から完全に脱出した状態において、チェンジスライド31がカム軸31fを中心に左右方向へガタつくことはなく、その位置に停止した状態を維持することとなる。
【0052】
この図10に示すチェンジスライド31の停止位置では、その先端31aが孔22の底面内に完全に侵入し、当該孔22の底面を閉塞するので、当該孔22内に収容された硬貨の落下、即ち硬貨の払出が阻止されることとなる。なお、この図10で示すチェンジスライド31の位置決め態様は図4に示すチェンジスライド31の位置決め態様に対応するものである。
【0053】
なお、ペイアウトリンク4が図10で示す位置から初期位置に復帰すると、同様にチェンジスライド31も図8に示す初期位置に復帰する。
【0054】
一方、上述した硬貨払出装置30によると、図8に示すペイアウトリンク4の初期位置において、孔22内に収容された大径の硬貨を一枚払い出す信号が図示せぬ制御装置から入力されると、その硬貨払出信号に基きチェンジスライド31のカム軸31fとチェンジレバー23aとの係合が解除される(図2)。
【0055】
その後、図2に示すペイアウトカム2、3が矢印方向に一回転し、ペイアウトリンク4を介してペイアウトスライド5を矢印A方向へ往復運動させる。
【0056】
その際、ペイアウトリンク4が図11で示すように、矢印A方向へ若干移動すると、チェンジスライド31はペイアウトリンク4の軸受孔4hに嵌挿した回転軸31dを介し矢印A方向へ押されるが、カム軸31fとチェンジレバー23aとの係合が解除されているので、チェンジスライド31の後端31bは、カム軸31fが嵌挿した円弧形状のカム溝41に沿って図面右側へ移動し、同時にこの円弧形状のカム溝41に沿っての移動に連動してチェンジスライド31は軸受孔4hに嵌挿した回転軸31dを中心に反時計方向への回転、即ち姿勢変更を開始する。
【0057】
そしてさらに、ペイアウトリンク4が図12で示すように、さに矢印A方向へ移動すると、チェンジスライド31は軸受孔4hに嵌挿した回転軸31dを中心にさらに反時計方向への回転をおこなって、その回転姿勢を増し、当該チェンジスライド31全体をその長手方向に沿ってペイアウトリンク4のチェンジスライド収納孔4f内に突入させる。
【0058】
そしてペイアウトリンク4が図12で示す位置からさらに矢印A方向へ移動して、その復帰点に到達すると、図13で示すように、ガイド壁31iを除くチェンジスライド31全体がその長手方向に沿ってペイアウトリンク4のチェンジスライド収納孔4f内に収納される。
【0059】
この図13に示すチェンジスライド31の停止位置では、その全体が長手方向に沿ってペイアウトリンク4のチェンジスライド収納孔4k内に収納されて、チェンジスライド5の孔22の底面全体の開放を維持しているので、当該孔22内に収容された硬貨は下方に落下して払出されることとなる。なお、この図13で示すチェンジスライド31の位置決め態様は図3に示すチェンジスライド31の位置決め態様に対応するものである。
【0060】
したがって、上述した硬貨払出装置30によると、図3で示すように、硬貨払出時におけるチェンジスライド31の往復移動距離を含め硬貨払出装置30の正面から背面までの奥行方向の距離Mは、チェンジスライド31そのものがペイアウトリンク4内に収納されることから、従来のものと比較して極めて短く、このため硬貨払出装置30の奥行方向の長さを可及的に短くすることができることとなる。
【0061】
なお、上記実施例では本願発明に関わる硬貨払出装置30を、ペイアウトスライド5の孔22内に収容された比較的大径の硬貨の払出、および非払出に適用したが、この発明は上記実施例に限定されることなく、ペイアウトスライド5に形成された他の各孔7、8、9、10に収容される各硬貨の払出、および非払出に適用してもよく、この場合は、硬貨払出装置全体の奥行方向の長さを従来よりも一層短くすることができることとなる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の硬貨払出装置では、硬貨の払出と非払出とを制御するチェンジスライドを、硬貨払出時に回転させてペイアウトリンクの内部に収納するようにしたため、チェンジスライドの硬貨払出時に必要なチェンジスライドの移動距離を極めて短く設定することが可能となり、このため硬貨払出装置の奥行方向の長さを極めて短く設定して硬貨払出装置をコンパクトにすることができる。
【0063】
また硬貨払出装置をコンパクトにすることができるから、硬貨の径、および種類が異なる世界各国で適用する場合においても、その奥行き方向の基本的サイズを変更することなく数多くの種類の硬貨の払い出す機能を有する硬貨払出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係わる硬貨払出装置の概念斜視図。
【図2】図2は、この発明に係わる硬貨払出装置の作用を示す概念斜視図。
【図3】図3は、この発明に係わる硬貨払出装置の作用を示す概念斜視図。
【図4】図4は、この発明に係わる硬貨払出装置の作用を示す概念斜視図。
【図5】図5はチェンジスライドの下面を示す概念斜視図。
【図6】図6はチェンジスライドの上面を示す概念斜視図。
【図7】図7はペイアウトリンクの延長部分を示す概念拡大斜視図。
【図8】図8はこの発明に係わる硬貨払出装置を底面側から見た図を示す要部破断底面図。
【図9】図9はこの発明に係わる硬貨払出装置の作用を示す要部破断底面図。
【図10】図10はこの発明に係わる硬貨払出装置の作用を示す要部破断底面図。
【図11】図11は、この発明に係わる硬貨払出装置の作用を示す要部破断底面図。
【図12】図12は、この発明に係わる硬貨払出装置の作用を示す要部破断底面図。
【図13】図13は、この発明に係わる硬貨払出装置の作用を示す要部破断底面図。
【図14】図14は従来の硬貨払出装置を示す概念斜視図。
【図15】図15は従来の硬貨払出装置の作用を示す概念斜視図。
【図16】図16は従来の硬貨払出装置の作用を示す概念斜視図。
【図17】図17は従来の硬貨払出装置を示す概念斜視図。
【図18】図18は従来の硬貨払出装置の作用を示す概念斜視図。
【図19】図19は従来の硬貨払出装置の作用を示す概念斜視図。
【符号の説明】
4…ペイアウトリンク
4f…チェンジスライド収納孔
4h…軸受孔
5…ペイアウトスライド
22…硬貨収容孔
23a…チェンジレバー
30…硬貨払出装置
31…チェンジスライド
31d…回転軸
31f…カム軸
40…チェンジスライド回動手段
41…円弧状のカム溝
50…上カバー

Claims (2)

  1. ペイアウトリンクを介しペイアウトスライドを前後に往復移動させ、硬貨払出時に前記ペイアウトスライドに形成された硬貨収容孔を拡開して該硬貨収容孔内に収容された硬貨を下方へ落下させ、また硬貨非払出時に前記硬貨収容孔を閉塞して硬貨の落下を阻止するチェンジスライドを少なくとも有する硬貨払出装置において、
    前記ペイアウトリンクは前記チェンジスライドをその長手方向に沿って収納するチェンジスライド収納孔を有し、
    前記チェンジスライドは硬貨払出時にチェンジスライド回動手段を介し前記ペイアウトリンクの移動に連動して回転し、前記ペイアウトリンクのチェンジスライド収納孔内に収納されることを特徴とする硬貨払出装置。
  2. 前記チェンジスライド回動手段は、前記チェンジスライド底面から突設された回転軸と、前記チェンジスライド上面に突設されたカム軸と、前記チェンジスライド収納孔に形成され、前記回転軸を支承する軸受孔と、前記ペイアウトリンクを覆う上カバーに形成され、前記カム軸を案内する円弧状のカム溝からなることを特徴とする請求項(1) 記載の硬貨払出装置。
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