JP3695908B2 - 硬貨払出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動販売機、両替機、サービス機器等に使用される硬貨処理装置に関し、特にこのような硬貨処理装置の一部を構成し、金種毎に選別収容された硬貨を釣銭の額に応じて払い出す硬貨払出装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動販売機、両替機、サービス機器等内には、投入硬貨の正偽を判別するとともに、正貨と見なされた投入硬貨を金種毎に選別収容し、さらに選別収容された硬貨を釣銭の額に応じて払い出す硬貨処理装置が配設されている。
【0003】
この硬貨処理装置は、大別して以下に示す3つの要素から構成されている。
【0004】
その第1は、投入硬貨の正偽を判別し、かつ正貨を金種毎に選別する硬貨選別装置である。
【0005】
また第2はこの硬貨選別装置の下方に配設され、当該硬貨選別装置により金種毎に選別された正貨を、それぞれ金種毎に収容する複数のコインチューブからなる硬貨収容装置である。
【0006】
そして第3は、この硬貨収容装置内から釣り銭の額に応じた硬貨を選択して払い出す硬貨払出装置である。
【0007】
このうち、従来の硬貨払出装置1は図9の要部破断概念斜視図に示すような構造をしている。
【0008】
この硬貨払出装置1は、一つの駆動モータ2と、この駆動モータ2の駆動力を伝達する図示せぬ歯車伝動手段が内部に配設されたギャボックス3と、このギャボックス3内の図示せぬ歯車伝動手段を介し伝達された駆動力により一払出動作ごとに一方向(時計方向)へ一回転する一対のペイアウトカム4、5と、このペイアウトカム4、5の下面に突設されたピン4a、5aと係合する溝6a、6bを有し、ペイアウトカム4、5が矢印方向(時計方向)へ一回転すると、図の初期位置から矢印Aの方向へ往復移動するペイアウトリンク6と、このペイアウトリンク6に対し一対のピン6c、6dを介し着脱自在に係合し、ペイアウトリンク6の往復運動に連動して矢印A方向へ往復運動するペイアウトスライド7とから構成されている。なお、上述した駆動モータ2、ギャボックス3、ペイアウトカム4、5、ペイアウトリンク6等によりペイアウトスライド駆動装置が構成される。
【0009】
このペイアウトスライド7には、硬貨収容装置を構成する図示せぬコインチューブの各最下面に収容された硬貨を一枚だけ収容する孔8、9、10、11がそれぞれ形成されている。なお、この孔8、9、10、11の下面には、図9の初期位置において常時はペイアウトスライド7の底面を覆い、各孔8、9、10、11内に収容された硬貨の落下を阻止する、硬貨払出装置の底板12が配設されている。
【0010】
一方、前記ペイアウトリンク6内には、先端が前記ペイアウトスライド7の各孔8、9、10、11の下面に臨み、各孔8、9、10、11内に一枚ずつ収容された硬貨の払出と非払出とを制御するチェンジスライド13、14、15、16が出没自在に嵌挿している。
【0011】
このチェンジスライド13、14、15、16うち、チェンジスライド13の先端13aは孔8内に、チェンジスライド14の先端14aは孔9内に、チェンジスライド15の先端15aは孔10内に、またチェンジスライド16の先端16aは孔11内に臨むように配設されている。
【0012】
また、この各チェンジスライド13、14、15、16の後端は、図示のチェンジスライド13、14、15の各後端13b、14b、15bで代表するように、各チェンジスライド13、14、15、16毎に独立して配設されたチェンジソレノイド21、22、23、24の各プランジャにより構成された、チェンジレバー17、18、19、20と係合し、常時はその移動が規制されている。なお上述した各チェンジソレノイドのうちチェンジソレノイド24と、そのプランジャにより構成されたチェンジレバー20の図示は省略されている。
【0013】
上述した、硬貨払出装置部1によると、例えば孔8内に収容された硬貨を一枚払い出す信号が入力されると、その信号に基き、モータ2の回転力によりペイアウトカム4、5が矢印方向に一回転しペイアウトスライド7を矢印A方向へ往復運動させて、ペイアウトスライド7の各孔8、9、10、11内に収容された各硬貨を一枚ずつ当該各孔8、9、10、11の下方から落下させようとするが、その際、孔8内に収容された硬貨を一枚払い出す信号に基づき、チェンジスライド13の後端13bの動きを規制するチェンジソレノイド21のチェンジレバー17のみが作動して矢印Bのように上動しチェンジスライド13の後端13bとの係合を解除するので、チェンジスライド13のみがペイアウトカム6の移動に連動して後方へスライド移動し、これにより孔8の底面の開放を維持し、そのため孔8内に収容された硬貨は孔8の下方へ落下して払い出される。
【0014】
なお他のチェンジスライド14、15、16はその後端が各チェンジレバー18、19、20によりその動きが規制されているので各孔9、10、11の底面は内にはチェンジスライド14、15、16の各先端14a、15a、16aが侵入して開放されず、よって他の孔9、10、11内に収容された硬貨はペイアウトスライド7が矢印A方向へ往復運動しても各孔9、10、11の底面から落下して払い出されることはない。
【0015】
すなわち、上述した硬貨払出装置1では、払い出す硬貨に対応したチェンジレバー17、18、19、20を作動(上動)させて、払い出す硬貨に対応したチェンジスライドの移動規制を解除すれば、その硬貨を払い出すことができるように構成されている。勿論同一種類の硬貨を複数枚払い出す場合は、その硬貨に対応するチェンジソレノイドのチェンジレバーを作動(上動)させてチェンジスライドの規制を解除し、その後、その払出枚数分だけペイアウトスライド7を往復運動させればよく、また複数種類の硬貨を同時に払い出す場合は、その複数種類の硬貨に対応する複数のチェンジソレノイドのチェンジレバーを同時に作動(上動)させて、払い出す複数種類の硬貨に対応したチェンジスライドの規制を解除すれば、その複数種類の硬貨を同時に払い出すことができることとなる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述した従来の硬貨払出装置1によると、各種の硬貨を払い出すためには、チェンジレバー駆動手段として機能するチェンジソレノイドが払出硬貨の種類に対応した数だけ必要となる。すなわち図9の従来例では4種類の硬貨をそれぞれ収容する各孔8、9、10、11に対応してチェンジソレノイドを4本(チェンジソレノイド17、18、19、20)配設する必要があり、このため部品点数及び組み立て工程数も多くなり、硬貨処理装置全体のコストアップの要因となるとともに、複数本のチェンジソレノイドを選択的に作動させねばならないから、その制御も複雑となる難点があった。
【0017】
この発明は上述した事情に鑑み、簡単な構造で複数の硬貨を選択的に払い出すことのできる硬貨払出装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、この発明では、払出硬貨を選択するチェンジレバー駆動手段を、各チェンジレバー近傍に回動自在に支承された軸と、この軸に固着され、周面が対応する前記チェンジレバーと摺接して該チェンジレバーを上下動させ、該チェンジレバーと前記チェンジスライドとの係合とその解除とを行う複数のカムと、前記軸を一方向へ所定の回転角度づつ回転させるラチェット機構と、このラチェット機構を駆動する一本のソレノイドからなるラチェット駆動手段とにより構成している。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係わる硬貨払出装置の一実施例を詳述する。
【0020】
図1はこの発明に係わる硬貨払出装置25を装着した硬貨処理装置26の要部破断概念断面図で、図9と同一部分を同一符号で示す。なお図1では、ペイアウトカム6にピン6c、6dを介し連設されるペイアウトスライド7の図示が省略されている。
【0021】
この硬貨払出装置25でも、各チェンジスライド13、14、15、16毎に配設され、硬貨の非払い時に各チェンジスライド13、14、15、16の各後端と係合してその移動を阻止し、また硬貨の払出の際は、前記各チェンジスライド13、14、15、16の各後端との係合を解除して、その移動を許容するチェンジレバー17、18、19、20の上方に、当該チェンジレバー17、18、19、20を上下動させるチェンジレバー駆動手段30が配設されている。
【0022】
この、チェンジレバー駆動手段30は各チェンジレバー17、18、19、20の上部に回動自在に支承された一本の軸31と、該軸31に固着され、周面が対応する前記チェンジレバー17、18、19、20の各頭部17a、18a、19a、20aに摺接する複数のカム32、33、34、35と、前記軸31を一方向へ所定の回転角度づつ回転させるラチェット機構36と、該ラチェット機構36を駆動するラチェット機構駆動手段37とから構成されている。
【0023】
次に、上述した複数のカム32、33、34、35の構造およびその作用を、チェンジレバー20の頭部20aに摺接するカム35を代表して説明する。
【0024】
図1の要部拡大図側面図で示す図2のように、軸31に固着されたカム35の周面には、円周方向に沿って所定間隔離れて形成された一対の小径部35a、35bと、この小径部35a、35b間に形成された一対の大径部35c、35dが形成されている。
【0025】
このような周面形状を有するカム35によると、カム35の大径部35d周面がチェンジレバー20の頭部20aと摺接すると、このチェンジレバー20を復帰スプリング40の付勢力に抗して下方へ押圧し、その下端20bをチェンジレバーガイド孔41内から突出させ、対応するチェンジスライド16の後端16bと係合させて、その移動を規制する。同様にカム35の大径部35cがチェンジレバー20の頭部20aと摺接した場合も、チェンジレバー20を下方へ押圧してチェンジスライド16の移動を規制する。
【0026】
一方、図3で示すように、ラチェット機構36により軸31が所定の回転角度回転して、カム35の小径部35bがチェンジレバー20の頭部20aと摺接すると、復帰スプリング40の付勢力によりチェンジレバー20は上方へ突出し、その下端20bがチェンジレバーガイド孔41内に退避するので、対応するチェンジスライド16の後端16bとの係合が解除され、その移動を許容する。
【0027】
同様にカム35の小径部35aがチェンジレバー20の頭部20aと摺接する場合も、チェンジスライド16の係合を解き、その移動を許容する。
【0028】
次に、上述した複数のカム32、33、34、35(図1)を固着した軸31を一方向へ所定の回転角度づつ回転させるラチェット機構36を詳述する。
【0029】
図2で示すように、このラチェット機構36は、軸31の側方に固着されたラチェット歯車45と、このラチェット歯車45に係合し当該ラチェット歯車45を反時計方向へ所定の回転角度(実施例では45度)づつ回転させる駆動爪46と、その回転の際にラチェット歯車45が所定の回転角度以上回転しないように、その回転を規制する回転規制爪47と、回転したラチェット歯車45の逆転を阻止するストッパー爪48とから構成されている。
【0030】
このうち、回転規制爪47は軸49に回動自在支承されており、また駆動爪46は軸49に回動自在に支承されたアーム50の端部に軸51を介して回動自在に支承されている。またストッパー爪48はその後端が軸70に回動自在に支承されている。なお、上述した回転規制爪47、アーム50、および後述するラチェット駆動手段37の駆動力を伝達する回転アーム52は上述した軸49に回動自在に支承され、かつ回転規制爪47、アーム50、および回転アーム52は互いに分離不可分に固着されている。
【0031】
したがって、回転アーム52が図2に示す初期位置から軸49を中心に反時計方向へ所定の回転角度回転すると、連動して回転規制爪47およびアーム50が反時計方向へ所定の回転角度回転し、図3で示すように、駆動爪46がラチェット歯車45に歯合して当該ラチェット歯車45を反時計方向へ所定の回転角度(実施例では45度づつ)づつ回転し、同時に回転規制爪47がラチェット歯車45と歯合して当該ラチェット歯車45の所定回転角度以上の回転を規制することとなる。
【0032】
なお、回転アーム52が図2の初期位置に復帰すると、ラチェット歯車45に対する駆動爪46と回転規制爪47との歯合が解除されるが、その際、ストッパー爪48がラチェット歯車45に歯合しているのでラチェット歯車45が逆転することはない。
【0033】
一方、上述したラチェット機構36を駆動するラチェット駆動手段37は、図2に示すように、一本のソレノイド60と該ソレノイド60により上下動するプランジャ61により構成されており、プランジャ61の下端61aにはピン62が穿設され、該ピン62は前記回転アーム52の先端に形成されたガイド孔52a内に嵌挿している。
【0034】
このような、ラチェット駆動手段37によると、ソレノイド60に電力が供給されると、図3で示すように、プランジャ復帰スプリング63の付勢力に抗してプランジャ61が上動し、それによりピン62およびガイド孔52aを介して駆動アーム52が軸49を中心に反時計方向へ回転するので、上述したラチェット機構36が作動することとなる。
【0035】
次に上述したチェンジレバー駆動手段30(図1)による硬貨払出と硬貨非払出の動作をカム35を代表して詳述する。
【0036】
図4は図1のCC断面図で、特にペイアウトカム6にピン6c、6dを介してペイアウトスライド7が連設された状態を示し、またこのペイアウトスライド7に形成された硬貨収容孔11内に、硬貨収容装置を構成する補助コインチューブ71の最下部に位置する硬貨(例えば10円硬貨D)を一枚収容した状態を示している。
【0037】
この図4に示す状態から、補助コインチューブ71に収容された硬貨Dを一枚払出す信号が送出されると、図示せぬ制御装置は、ラチェット駆動手段37のソレノイド60に駆動電力を所定回数送出し、これによりプランジャ61が所定回数上下動してラチェット機構36のラチェット歯車45を図5で示すように所定の回転角度だけ反時計方向に回転させる。
【0038】
すると、軸31もラチェット歯車45の回転角度と同一回転角度だけ回転し、カム35の小径部35bをチェンジレバー20の頭部20aに摺接させる。
【0039】
すると、チェンジレバー20は、復帰スプリング40の付勢力により上方へ突出し、その後端20bとチェンジスライド16の後端16bとの係合を解く。
【0040】
この図5で示す状態から、駆動モータ2が作動しギャボックス3を介してペイアウトカム4、5が一回転する間に、ペイアウトリンク6とともにペイアウトスライド7とチェンジスライド16とが図6で示すように後方へ移動する。すると、ペイアウトスライド7の硬貨収容孔11底面が解放され、当該硬貨収容孔11内に収容された硬貨Dが矢印のように下方へ落下して払い出されることとなる。
【0041】
一方、前述した図4に示す状態から、補助コインチューブ71に収容された硬貨Dを払い出さない旨の信号が送出されると、図示せぬ制御装置は、ラチェット駆動手段37のソレノイド60への駆動電力の供給を停止し、カム35の大径部35dとチェンジレバー20の頭部20aとの摺接を維持する。
【0042】
すると、チェンジレバー20は、その後端20bとチェンジスライド16の後端16bとの係合が維持されるので、この図4で示す状態から、駆動モータ2が作動しギャボックス3を介してペイアウトカム4、5が一回転すると、図7で示すようにペイアウトリンク6とともにペイアウトスライド7のみが、後方へ移動するので、ペイアウトスライド7の硬貨収容孔11底面がチェンジスライド16により覆われて当該硬貨収容孔11内に収容された硬貨Dの下方への落下が防止され、硬貨Dの非払出動作が行われる。なお、図7で符号16cはチェンジスライド16の下面に突設された突起で、この突起16cは初期位置(図4)ではペイアウトカム6の上面に形成された凹部6b内に嵌挿してその位置決めを行うものである。
【0043】
即ち、上述した硬貨払出装置25では、図1に示すチェンジレバー駆動手段30を構成する各カム32、33、34、35のカム形状を適宜異ならせ、かつこの各カム32、33、34、35を固着した軸31をラチェット機構36とラチェット駆動手段37を介して所定の回転角度づづ回転させて、各チェンジレバー17、18、19、20を選択的に作動させることにより、払出す硬貨に対応した各チェンジスライド13、14、15、16を作動させ、その硬貨を払い出すことができることとなる。
【0044】
次に、上述した各カム32、33、34、35のカム形状の一実施例と、このカム形状に対応した硬貨の選択的払出作用を説明する。
【0045】
図8は、図1に示す軸31に固着された各カム32、33、34、35のカム形状と、その回転停止位置に対応して払い出される硬貨の種類を表にしたものである。
【0046】
第1行は硬貨払出の待機状態、即ちいずれの硬貨も払出しない状態を示したもので、100円硬貨払出用のカムとして機能するカム32、10円硬貨払出用のカムとして機能するカム33、50円硬貨払出用のカムとして機能するカム34、サブチューブ内に収容された硬貨を払い出す、サブ用カムとして機能するカム35の各大径部32d、33d、34d、35dは、それぞれ最下端に位置していてるので、この各大径部32d、33d、34d、35dによって、図1に示す対応する各チェンジレバー17、18、19、20が下方へ押圧される。
【0047】
すると、各チェンジレバー17、18、19、20と対応する各チェンジスライド13、14、15、16との係合が維持されるので、ペイアウトスライド7が往復移動しても、当該ペイアウトスライド7に形成された各硬貨収容孔8、9、10、11の閉塞が維持されるので、当該各硬貨収容孔8、9、10、11内に収容された硬貨が払い出されることはない。
【0048】
次にソレノイド(SOL)60が1回動作すると、図8の表第2行めに記載されているように軸31が45度だけ反時計方向へ回転するので、100円硬貨払出用のカムとして機能するカム32だけが、その小径部32bを最下端に位置させることとなり、このため図1で示す対応するチェンジレバー17と、このチェンジレバー17に対応するチェンジスライド13との係合のみが解除されるので、ペイアウトスライド7が往復移動すると、チェンジレバー17に対応する硬貨収容孔8の閉塞のみが解除され、この硬貨収容孔8内に収容された硬貨、即ち100円硬貨のみが一枚払出されることとなる。
【0049】
またソレノイド60が2回動作すると、図8の表第3行めに記載されているように軸31の位置が90度だけ反時計方向へ回転するので、50円硬貨払出用のカムとして機能するカム34だけが、その小径部34bを最下端に位置させることとなり、このため図1で示す対応するチェンジレバー19と、このチェンジレバー19に対応するチェンジスライド15との係合のみが解除されるので、ペイアウトスライド7が往復移動すると、チェンジレバー19に対応する硬貨収容孔10の閉塞のみが解除され、この硬貨収容孔10内に収容された硬貨、即ち50円硬貨のみが一枚払出される。
【0050】
またソレノイド60が3回動作すると図8の表第4行めに記載されているように、軸31が135度だけ反時計方向へ回転するので、10円硬貨払出用のカムとして機能するカム33だけが、その小径部33bを最下端に位置させることとなり、このため図1で示す対応するチェンジレバー18と、このチェンジレバー18に対応するチェンジスライド14との係合のみが解除されので、ペイアウトスライド7が往復移動すると、チェンジレバー18に対応する硬貨収容孔9の閉塞のみが解除され、この硬貨収容孔9内に収容された硬貨、即ち10円硬貨のみが一枚払出されることとなる。
【0051】
さらにソレノイド60が4回動作すると図8の表第5行めに記載されているように、軸31が180度だけ反時計方向へ回転するので、サブ硬貨の払出用カムとして機能するカム35だけが、その小径部35bを最下端に位置させることとなり、このため図1で示す対応するチェンジレバー20と、このチェンジレバー20に対応するチェンジスライド16との係合のみが解除されるので、ペイアウトスライド7が往復移動すると、チェンジレバー20に対応する硬貨収容孔11の閉塞のみが解除され、この硬貨収容孔11内に収容されたサブ用硬貨、例えば10円硬貨のみが一枚払出されることとなる。
【0052】
さらにソレノイド60が5回動作すると図8の表第6行めに記載されているように、軸31が225度だけ反時計方向へ回転するので、100硬貨の払出用カムとして機能するカム32と10硬貨の払出用カムとして機能するカム33だけが、その小径部32aと33aを最下端に位置させることとなり、このため図1で示す対応するチェンジレバー17、18と、このチェンジレバー17、18に対応するチェンジスライド13、14との係合のみが解除されるので、ペイアウトスライド7が往復移動すると、チェンジレバー17、18に対応する硬貨収容孔8、9のみの閉塞が解除され、この硬貨収容孔8、9内に収容された100円硬貨と10円硬貨のみが、同時に一枚ずつ払出されることとなる。
【0053】
さらにソレノイド60が6回動作すると図8の表第7行めに記載されているように、軸31が270度だけ反時計方向へ回転するので、100硬貨の払出用カムとして機能するカム32と、10硬貨の払出用カムとして機能するカム33と、50硬貨の払出用カムとして機能するカム34だけが、その小径部32a、33a、34aを最下端に位置させるので、図1で示す対応するチェンジレバー17、18、19と、このチェンジレバー17、18、19に対応するチェンジスライド13、14、15の係合のみが解除されるので、ペイアウトスライド7が往復移動すると、チェンジレバー17、18、19に対応する硬貨収容孔8、9、10の閉塞が解除され、この硬貨収容孔8、9、10内に収容された100円硬貨、10円硬貨、50円硬貨のみが、同時に一枚ずつ払出されることとなる。
【0054】
さらにソレノイド60が7回動作すると図8の表第8行めに記載されているように、軸31が315度だけ反時計方向へ回転するので、10硬貨払出用のカム33と、サブ硬貨の払出用カムとして機能するカム35だけが、その小径部33aと35aを最下端に位置させるので、図1で示す対応するチェンジレバー18、20と、このチェンジレバー18、20に対応するチェンジスライド14、16の係合のみが解除されので、ペイアウトスライド7が往復移動すると、チェンジレバー14、16に対応する硬貨収容孔9、11の閉塞が解除され、この硬貨収容孔9、11内に収容された10円硬貨と硬貨収容孔11内に収容されたサブ用硬貨、例えば10円硬貨のみがそれぞれ一枚づつ払出されることとなる。
【0055】
なお、図8の表に記載した各カム32、33、34、35の周面形状は、単なる一例であり、この各カム32、33、34、35の周面形状を適宜変更することにより、軸31の回転に基づく硬貨の支払い順序、あるいは同時支払い時における硬貨の種類等を適宜選択することが可能であることは言うまでもない。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の硬貨払出装置では、払出硬貨を選択するチェンジレバー駆動手段を、軸に固着された複数のカムと、この軸を回転させるラチェット機構と、このラチェット機構を駆動する一本のソレノイドからなるラチェット駆動手段とにより構成したため、複数本のソレノイドを使用することなく、払出硬貨を適宜選択して払い出すことができ、このため硬貨払出装置の部品点数を著しく削減するだけでなく、その制御も簡単となり硬貨払出装置を安価に提供することができる。さらに、コインチューブの数を増し、これにより払い出す硬貨の種類を増した場合は、それに対応して軸に固着されるカムの数を増せばよく、このため上述した効果はいっそう顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明に係わる硬貨払出装置の要部破断正面図。
【図2】図2は図1の要部拡大側面図。
【図3】図3は図1の要部拡大正面図。
【図4】図4は図1のCC断面図。
【図5】図5はこの発明に係わる硬貨払出装置の作用を示す要部破断面図。
【図6】図6はこの発明に係わる硬貨払出装置の作用を示す要部破断面図。
【図7】図7はこの発明に係わる硬貨払出装置の作用を示す要部破断面図。
【図8】図8は硬貨の払出を制御する各カムの回転状態と、その回転状態時における払出硬貨を示す表。
【図9】図9は従来の硬貨払出装置を示す要部破断概念斜視図。
【符号の説明】
2、3、4、5…ペイアウトスライド駆動装置
7…ペイアウトスライド
8、9、10、11…硬貨収容孔
13、14、15、16…チェンジスライド
17、18、19、20…チェンジレバー
30…チェンジレバー駆動手段
31…軸
32、33、34、35…カム
36…ラチェット機構
37…ラチェット駆動手段
60…ソレノイド
Claims (1)
- 対応するコインチューブ内に積載収容された硬貨のうち、その最下部に位置する硬貨を一枚収容する硬貨収容孔が複数個形成されたペイアウトスライドと、該ペイアウトスライドを往復移動させるペイアウトスライド駆動装置と、前記ペイアウトスライドの前記硬貨収容孔毎に配設され、硬貨払出時に該ペイアウトスライドとともに往復移動し、前記硬貨収容孔を拡開して該硬貨収容孔内に収容された硬貨を下方へ落下させ、また硬貨非払出時に前記ペイアウトスライドの往復移動に対し停止して先端を前記硬貨収容孔内に臨ませ、該硬貨収容孔を閉塞して該硬貨収容孔内に収容された硬貨の落下を阻止するチェンジスライドと、該チェンジスライド毎に配設され、硬貨非払出時に前記チェンジスライドと係合し、前記ペイアウトスライドの往復移動に対する前記チェンジスライドの移動を停止させるとともに、硬貨払出時に前記チェンジスライドとの係合を解除し、前記ペイアウトスライドの往復移動に連動する前記チェンジスライドの移動を許容するチェンジレバーと、該チェンジレバーと対応するチェンジスライドとの係合とその解除とを行うチェンジレバー駆動手段とを少なくとも有する硬貨払出装置において、
前記チェンジレバー駆動手段は、
前記各チェンジレバー近傍に回動自在に支承された軸と、
該軸に固着され、周面が対応する前記チェンジレバーと摺接して該チェンジレバーを上下動させ、該チェンジレバーと前記チェンジスライドとの係合とその解除とを行う複数のカムと、
前記軸を一方向へ所定の回転角度づつ回転させるラチェット機構と、 該ラチェット機構を駆動する一本のソレノイドからなるラチェット駆動手段と
を具えたことを特徴とする硬貨払出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP28059497A JP3695908B2 (ja) | 1997-10-14 | 1997-10-14 | 硬貨払出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP28059497A JP3695908B2 (ja) | 1997-10-14 | 1997-10-14 | 硬貨払出装置 |
Publications (2)
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JPH11120399A JPH11120399A (ja) | 1999-04-30 |
JP3695908B2 true JP3695908B2 (ja) | 2005-09-14 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP3695908B2 (ja) |
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JP6203603B2 (ja) * | 2013-11-06 | 2017-09-27 | 株式会社日本コンラックス | 硬貨払出装置 |
-
1997
- 1997-10-14 JP JP28059497A patent/JP3695908B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH11120399A (ja) | 1999-04-30 |
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