JP3108286B2 - コイン払出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はコインチューブ内に積
載収容された複数種類のコイン、メタル、トークン等の
円板形状の物体を払い出すコイン払出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に自動販売機、両替機、サービス機
器等の内部には、投入コインの正偽を判別するととも
に、正貨のみを金種別に選別収容するコイン処理装置が
装着されている。また、このコイン処理装置内には選別
収容したコインを釣銭の金額に応じて選択的に払い出す
コイン払出装置が装着されている。

【０００３】このような従来のコイン払出装置として
は、実公昭５７−２１０９２号で開示されたようなもの
がある。

【０００４】この実公昭５７−２１０９２号に開示され
たコイン払出装置は、２つのソレノイドプランジャによ
り２枚の切換板の相対位置を変化させ、これにより複数
の釣銭払出板の駆動を選択制御することによって、釣銭
の額に応じた複数種類のコインを選択的に払い出すよう
にしたものである。

【０００５】一方、上述した従来のコイン払出装置は、
複数の釣銭払出板を一つのコイン払出用モータを介し往
復移動させる構造であるが、その際、特定のコインのみ
を払い出す場合であっても、この一つのコイン払出用モ
ータにより一旦全ての釣銭払出板に対し駆動力を加え、
その後上述した２枚の切換板により、特定コインを払い
出す釣銭払出板以外の釣銭払出板の移動を強制的に阻止
する構造である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のコイン払出装置においては、特定のコインのみを払
い出す場合でも、コイン払出用モータにより全部の釣銭
払出板に対して一旦駆動力が与えられ、その後、特定の
コインを払い出す釣銭払出板以外の釣銭払出板の駆動を
２枚の切換板により強制的に阻止する構造であるため、
釣銭の払出の際にコイン払出用モータに対し大きな負荷
が掛り、このためコイン払出用モータが劣化しやすく、
また消費電力が大きくなるという難点があった。

【０００７】また、近年では高額商品が販売される傾向
にあり、このようなことから釣銭コインの種類及び払い
出されるコインの枚数も増大する傾向にある。

【０００８】しかしながら上述した従来のコイン払出装
置では、複数の釣銭払出板があるにもかかわらず、一回
の釣銭払出操作で一枚のコインのみしか払い出すことが
できないため、釣銭が高額、すなわち釣銭の金種が増え
るとその増えた金種の分だけ払出回数を増さねばなら
ず、このため釣銭の全額を払い出すのに時間がかかると
いう難点もあった。

【０００９】この発明は上述した事情に鑑み、コイン払
出用モータに対する負荷を可及的に低減させるととも
に、釣銭コインを迅速に払い出すことができるコイン払
出装置を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ため、この発明に係わるコイン払出装置では、コインを
積載収容する複数のコインチューブと、該複数のコイン
チューブの各最下面に位置するコインを一枚づつ引き出
して排出するコイン通過孔が形成されるとともに、一方
向へ往復移動可能に配設された複数のペイアウトスライ
ドと、該複数のペイアウトスライド毎に形成されたカム
溝と、該複数のペイアウトスライド毎に独立して配設さ
れるとともに、該ペイアウトスライドのカム溝内に没す
る方向へ付勢された出没自在の突起を有し、該突起をペ
イアウトスライドのカム溝内に係合したまま該ペイアウ
トスライドを一方向へ往復運動させる回転カムと、該回
転カムの突起を前記付勢力に抗して押し上げてカム溝と
突起との係合を解除する解除部と、該回転カムの突起と
カム溝との係合に干渉しない非解除部とを有する複数の
切替カムからなる第１の選択グループと、該回転カムの
突起を前記付勢力に抗して押し上げてカム溝と突起との
係合を解除する解除部と、該回転カムの突起とカム溝と
の係合に干渉しない非解除部とを有する複数の切替カム
からなる第２の選択グループと、前記回転カムを駆動す
るための第１のモータと、前記切替カムを駆動するため
の正逆方向に回転可能な第２のモータと、前記第１のモ
ータが回転したときには該第１のモータの駆動力を前記
各回転カムへ同時に伝達して全ての回転カムを少なくと
も一回転させ、前記第２のモータが正方向に回転したと
きには該モータの駆動力を前記第１の選択グループに属
する切替カムに同時に伝達して当該切替カムをそれぞれ
所定の位置まで回転させるとともに、第２のモータが逆
方向に回転したときには該モータの駆動力を前記第２の
選択グループに属する切替カムに同時に伝達して当該切
替カムをそれぞれ所定の位置まで回転させる動力伝達手
段とを具え、コイン払い出しの際には、第２のモータを
正方向に回転させて、払い出しを行なわないコインチュ
ーブに対応する第１の選択グループに属する切替カムの
解除部をカム溝と対向する位置に設定してカム溝と突起
との係合を解除する状態とするとともに、払い出しを行
うコインチューブに対応する第１の選択グループに属す
る切替カムの非解除部をカム溝と対向する位置に設定し
てカム溝と突起との係合を維持する状態とし、次に第２
のモータを逆方向に回転させて、払い出しを行なわない
コインチューブに対応する第２の選択グループに属する
切替カムの解除部をカム溝と対向する位置に設定してカ
ム溝と突起との係合を解除する状態とするとともに、払
い出しを行うコインチューブに対応する第２の選択グル
ープに属する切替カムの非解除部をカム溝と対向する位
置に設定してカム溝と突起との係合を維持する状態と
し、次に第１のモータを回転させて払い出しを行うペイ
アウトスライドのみを往復運動させるようにしたことを
特徴とする。

【００１１】

【作用】上述したコイン払出装置によると、コインの払
い出し動作を行う場合は、最初に第２のモータを正方向
に回転させて、第１の選択グループに属する切替カムの
うち、払い出しを行なわないコインチューブに対応する
切替カムの解除部をカム溝と対向する位置に設定すると
ともに、払い出しを行うコインチューブに対応する切替
カムの非解除部をカム溝と対向する位置に設定する。続
いて、第２のモータを逆方向に回転させて、第２の選択
グループに属する切替カムのうち、払い出しを行なわな
いコインチューブに対応する切替カムの解除部をカム溝
と対向する位置に設定するとともに、払い出しを行うコ
インチューブに対応する切替カムの非解除部をカム溝と
対向する位置に設定する。

【００１２】このようにして切替カムの位置を設定した
後、第１のモータを回転させると、各回転カムに設けら
れた突起がペイアウトスライドのカム溝内を移動し、ペ
イアウトスライドは一方向へ往復運動してコインチュー
ブ最下面に位置するコインを一枚引き出して排出する。
このとき、先に解除部をカム溝と対向する位置に設定し
た切替カムについては、回転カムの突起がカム溝上を通
過するときに切替カムの解除部が回転カムの突起を付勢
力に抗して上方に押し上げるため、回転カムの突起とペ
イアウトスライドのカム溝との係合が解除される。した
がって、回転カムの突起はペイアウトスライドのカム溝
内を移動することはなく空回りするため、ペイアウトス
ライドの往復運動による払い出しは行われない。

【００１３】一方、非解除部をカム溝と対向する位置に
設定した切替カムについては、回転カムの突起がカム溝
上を通過するときに切替カムの非解除部は回転カムの突
起と接触することがないので、回転カムの突起とペイア
ウトスライドのカム溝との係合は維持される。したがっ
て、回転カムの突起はペイアウトスライドのカム溝内を
移動するため、ペイアウトスライドの往復運動による払
い出しが行われる。

【００１４】すなわち、上述したコイン払出装置では、
切替カムの解除部をカム溝と対向する位置まで回転させ
て非払い出しとした場合は、払い出し時に回転カムが空
回りしてモータの駆動力をペイアウトスライドに伝達し
ないように構成されているため、払い出しの際に全ての
回転カムにモータの駆動力が伝達されても、払い出され
るコインのみがペイアウトスライドから引き出され、払
い出しの必要のないコインについてはペイアウトスライ
ドからの引き出しが行われないので、ペイアウトスライ
ド引き出し時にモータに掛かる負荷を必要最小限とする
ことができる。また、第２のモータを正逆の２方向にそ
れぞれ回転させて、第１の選択グループおよび第２の選
択グループのそれぞれの切替カムを所定の位置まで回転
させると、各切替カム毎に払い出し、非払い出しの設定
を行うことができる。したがって、釣銭の金額に応じて
各切替カムの払い出し、非払い出しの組み合わせを選択
することにより、各グループ毎に同時に１つまたは複数
のペイアウトスライドを駆動することができるため、複
数種類のコインを同時に払い出すことが可能となる。

【００１５】

【実施例】以下、この発明に係わるコイン払出装置の一
実施例を図面を参照しながら詳述に説明する。

【００１６】図１は、この発明に係わるコイン払出装置
１を示す要部概念断面図である。

【００１７】このコイン払出装置１は、コインを金種別
に積載収容した図示せぬ複数のコインチューブ（後述す
る）と、このコインチューブの下方に設けられたコイン
払出手段２と、このコイン払出手段２を駆動するための
払出駆動手段３とから構成されている。

【００１８】まず、コイン払出手段２の構成を要部概念
断面図で示す図２を用いて説明する。コイン払出手段２
は、横一列に配設されたコインチューブＡ、Ｂ、Ｃ、Ｄ
の下方に配設されており、各コインチューブの下面ごと
に独立して一方向（矢印方向）へ往復移動可能に配設さ
れた４枚のペイアウトスライド２１、２２、２３、２４
を有する。

【００１９】各ペイアウトスライド２１、２２、２３、
２４の略中心には、対応するコインチューブの最下面に
位置するコインを一枚づつ引き出して排出するコイン通
過孔２１ａ、２２ａ、２３ａ、２４ａが形成されるとと
もに、一端には後述するペイアウトカムのピンが没入す
るカム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂが形成されて
いる。

【００２０】一方、上述した各ペイアウトスライド２
１、２２、２３、２４の上部には、各ペイアウトスライ
ド２１、２２、２３、２４の対応するカム溝２１ｂ、２
２ｂ、２３ｂ、２４ｂ内に出没自在なピン１１ａ、１２
ａ、１３ａ、１４ａを有するペイアウトカム１１、１
２、１３、１４が、それぞれ独立して配設されている。

【００２１】上述したペイアウトカム１１、１２、１
３、１４によると、各ピン１１ａ、１２ａ、１３ａ、１
４ａとペイアウトスライド２１、２２、２３、２４のカ
ム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂとを係合した状態
でペイアウトカム１１、１２、１３、１４を一回転させ
ると、各ピン１１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａが対応す
るカム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂ内を左右に移
動する間に、各ペイアウトスライド２１、２２、２３、
２４は矢印で示す方向に往復運動する。

【００２２】図２では、ペイアウトカム１１、１２、１
３、１４が一回転したときのピン１１ａ、１２ａ、１３
ａ、１４ａの軌跡を一点鎖線で示している。

【００２３】また、ペイアウトスライド２１、２２、２
３、２４のカム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂの下
方には、ピン１１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａとカム溝
２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂとの係合の解除／維持
の切り替えを行う切替カム３１、３２、３３、３４がペ
イアウトスライド２１、２２、２３、２４毎に独立して
設けられている。この切替カム３１、３２、３３、３４
はペイアウトスライド２１、２２、２３、２４が図２の
待機状態のときにカム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４
ｂと平面的に略一致する位置に配設されており、後述す
る従動ギヤと同軸で接続されている。

【００２４】この切替カムの３１、３２、３３、３４の
後述する解除部がカム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４
ｂと対向する位置に設定された状態でペイアウトカム１
１、１２、１３、１４のピン１１ａ、１２ａ、１３ａ、
１４ａがその上を通過すると、前記解除部はピン１１
ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａを付勢力に抗して上方に押
し上げてカム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂとピン
１１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａとの係合を解除する。
また切替カムの３１、３２、３３、３４の後述する非解
除部がカム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂと対向す
る位置に設定された状態でペイアウトカム１１、１２、
１３、１４のピン１１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａがそ
の上を通過すると、前記非解除部はピン１１ａ、１２
ａ、１３ａ、１４ａと接触しないために、１１ａ、１２
ａ、１３ａ、１４ａを上方に押し上げることはなく、カ
ム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂとピン１１ａ、１
２ａ、１３ａ、１４ａとの係合を維持する。

【００２５】これによると、解除部がカム溝と対向する
位置に設定された切替カムでは、対応するペイアウトス
ライドが動作せずコインの払い出しは行われないが、非
解除部がカム溝と対向する位置に設定された切替カムで
は、対応するペイアウトスライドが動作してコインの払
い出しが行われる。

【００２６】なお、切替カム３１、３２、３３、３４は
後述するモータの駆動方向により２つの選択グループに
分別され、それぞれ個別に駆動される。以下の説明にお
いては、出力軸４５で回転する切替カム３１、３２をＡ
グループ、出力軸４６で回転する切替カム３３、３４を
Ｂグループという。

【００２７】次に、上述したコイン払出手段２を駆動す
る払出駆動手段３の構成を図１により説明する。

【００２８】上述したコイン払出手段２を駆動する払出
駆動手段３は、ペイアウトカム１１、１２、１３、１４
へ駆動力を与えるモータ１７と、切替カム３１、３２、
３３、３４へ駆動力を与えるモータ１８と、各モータの
駆動力を上述したペイアウトカム１１、１２、１３、１
４および切替カム３１、３２、３３、３４に伝達するギ
ヤボックス１６と、歯車伝達手段１９とから構成されて
いる。

【００２９】ギヤボックス１６は２カ所に配置されたモ
ータ１７およびモータ１８からの駆動力を内部の図示せ
ぬ動力伝達機構を介して、二方向に配設されたそれぞれ
の出力軸に出力するように構成されている。すなわち出
力軸は、下方に突出して並列に配設された４つの出力軸
４１、４２、４３、４４と、ギヤボックス１６の背面に
突出して配設された２つの出力軸４５、４６からなる。

【００３０】このうち、出力軸４１、４２、４３、４４
は払い出し用の駆動力をペイアウトカム１１、１２、１
３、１４に伝達する出力軸であり、図示せぬ制御装置か
らのコイン払出信号に基づいてモータ１７が回転したと
きには、その駆動力を直接各ペイアウトカム１１、１
２、１３、１４へ伝達して全てのペイアウトカムを同時
に一方向に回転させる。なお、モータ１７の払い出し時
の回転方向は正方向または逆方向のいずれでもよい。

【００３１】また、出力軸４５、４６は払い出し、非払
い出しの切り替え用の駆動力を切替カム３１、３２、３
３、３４に伝達する出力軸であり、図示せぬ制御装置か
らの第１のカム切替信号によりモータ１８が正方向に回
転したときには、その駆動力をギヤボックス１６、歯車
伝達手段１９を通じてＡグループの切替カム３１、３２
に伝達し、同モータ１８が第２のカム切替信号により逆
方向に回転したときには、その駆動力をギヤボックス１
６、歯車伝達手段１９を通じてＢグループの切替カム３
３、３４に伝達する。

【００３２】上述した出力軸４５、４６はモータ１８の
回転方向に従って、いずれか一方のみが回転するように
構成されている。すなわち、出力軸４５はモータ１８が
正方向に回転したときのみ回転し、出力軸４６はモータ
１８が逆方向に回転したときのみ回転する。このため、
ギヤボックス１６内には出力軸４５、４６の回転方向が
逆転しないように図示せぬ逆転防止機構が設けられてい
る。なお、この実施例において、各出力軸４５、４６は
いずれも反時計方向に回転するものとする。

【００３３】したがって、図示せぬ制御装置からの第１
のカム切替信号によりモータ１８が正方向に回転したと
きには、ギヤボックス１６はモータ１８の駆動力を後述
する歯車伝達手段１９を介して切替カム３１、３２へ同
時に伝達し、各切替カム３１、３２をそれぞれ所定の位
置まで回転させる。同様にして、図示せぬ制御装置から
の第２のカム切替信号によりモータ１８が逆方向に回転
したときには、ギヤボックス１６はモータ１８の駆動力
を後述する歯車伝達手段１９を介して切替カム３３、３
４へ同時に伝達し、各切替カム３３、３４をそれぞれ所
定の位置まで回転させる。

【００３４】ここで、出力軸４１、４２、４３、４４と
出力軸４５、４６における駆動力の伝達機構を図１およ
び図２により説明する。

【００３５】上述した出力軸４１、４２、４３、４４
は、対応する各ペイアウトカム１１、１２、１３、１４
の各ボス部と係合するように構成されており、各出力軸
４１、４２、４３、４４からの駆動力は直接各ペイアウ
トカム１１、１２、１３、１４に伝達される。したがっ
て、モータ１７を回転させてゆくと、ペイアウトカム１
１、１２、１３、１４は図２で示すように時計方向に回
転し、各ペイアウトスライド２１、２２、２３、２４は
図の矢印方向に往復運動する。

【００３６】一方、出力軸４５、４６からの駆動力は複
数の歯車からなる歯車伝達手段１９を通じて切替カム３
１、３２、３３、３４に伝達される。この歯車伝達手段
１９は、出力軸４５、４６にそれぞれ固着されたピニオ
ンギヤ５１、５２と、このピニオンギヤ５１、５２を介
して駆動されるアイドルギヤ５３、５４と、このアイド
ルギヤ５３、５４に歯合して駆動される従動ギヤ５５、
５６、５７、５８とから構成され、切替カム３１、３
２、３３、３４は従動ギヤ５５、５６、５７、５８と同
軸で接続されている。

【００３７】なお、従動ギヤ５５、５６と従動ギヤ５
７、５８は機構的に連動していないため、４つの切替カ
ム３１、３２、３３、３４が同時に駆動されることはな
い。

【００３８】上述した歯車伝達手段１９では、モータ１
８が正方向に回転してギヤボックス１６の出力軸４５が
回転すると、ピニオンギヤ５１は矢印のように反時計方
向に回転するため、アイドルギヤ５３と従動ギヤ５５、
５６を介して切替カム３１、３２が反時計方向に同位相
で同時に回転する。同様に、モータ１８が逆方向に回転
してギヤボックス１６の出力軸４６が回転すると、ピニ
オンギヤ５２は矢印のように反時計方向に回転するた
め、アイドルギヤ５４と従動ギヤ５７、５８を介して切
替カム３３、３４が反時計方向に同位相で同時に回転す
る。

【００３９】次に、ペイアウトカムに設けられたピン１
１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａと切替カム３１、３２、
３３、３４との関係を図１により説明する。

【００４０】ペイアウトカム１１、１２、１３、１４の
ピン１１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａは、それぞれバネ
１５により下方に付勢された状態で配設されており、各
ピン１１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａの先端は、上方へ
の押し上げがない状態ではカム溝２１ｂ、２２ｂ、２３
ｂ、２４ｂ内に没入している。

【００４１】一方、上述した切替カム３１、３２、３
３、３４の周縁には、略Ｌ字形の非解除部３１ａ、３２
ａ、３３ａ、３４ａと解除部３１ｂ、３２ｂ、３３ｂ、
３４ｂが形成されている。

【００４２】非解除部３１ａ、３２ａ、３３ａ、３４ａ
はコインを払い出し可能とする領域であり、この非解除
部のいずれか一辺がペイアウトスライド２１、２２、２
３、２４のカム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂと対
向する位置に設定された状態で、ペイアウトカム１１、
１２、１３、１４のピン１１ａ、１２ａ、１３ａ、１４
ａがその上を通過すると、非解除部３１ａ、３２ａ、３
３ａ、３４ａは１１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａをバネ
１５のカム溝付勢力に抗して上方に押し上げることはな
く、カム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂとピン１１
ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａとの係合は維持される。

【００４３】一方、解除部３１ｂ、３２ｂ、３３ｂ、３
４ｂはコインを払い出し不可とする領域であり、この解
除部のいずれか一部分がペイアウトスライド２１、２
２、２３、２４のカム溝２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４
ｂと対向する位置に設定された状態でペイアウトカム１
１、１２、１３、１４のピン１１ａ、１２ａ、１３ａ、
１４ａがその上を通過すると、解除部３１ｂ、３２ｂ、
３３ｂ、３４ｂはピン１１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａ
をバネ１５の付勢力に抗して上方に押し上げてカム溝２
１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂとピン１１ａ、１２ａ、
１３ａ、１４ａとの係合を解除する。

【００４４】これを図１および図２で見てみると、Ａグ
ループの切替カム３１とＢグループの切替カム３３は、
それぞれ非解除部３１ａ、３３ａがカム溝２１ｂ、２３
ｂと対向する位置に設定されているため、ペイアウトス
ライド２１、２３からのコインの払い出しが可能とな
る。一方、Ａグループの切替カム３２とＢグループの切
替カム３４は、それぞれ解除部３２ｂ、３４ｂがカム溝
２２ｂ、２４ｂと対向する位置に設定されているため、
ペイアウトスライド２２、２４からのコインの払い出し
は不可能となる。

【００４５】次に、切替カム３１、３２、３３、３４の
回転角度と払い出し、非払い出しの関係を図３を用いて
説明する。

【００４６】図３はＡ／Ｂグループにおける各切替カム
の向きと回転角度との関係を示したもので、図１のギヤ
ボックス１６と歯車伝達手段１９を併せて示している。

【００４７】切替カム３１、３２、３３、３４は、出力
軸４５で回転するＡグループ（３１、３２）と出力軸４
６で回転するＢグループ（３３、３４）に分別されてい
るが、各グループに属する切替カム３１、３２と３３、
３４は、それぞれ互いに９０°づつの位相差をもって配
設されている。このため、モータ１８を正方向、逆方向
にそれぞれ９０°づつ回転させてゆくと、各グループに
おいて図３の下表に示すように９０°毎（０°、９０
°、１８０°２７０°）に非解除部と解除部の組み合わ
せが周期的に変化する。

【００４８】図３の下表において、Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄはコ
インチューブを表し、斜線の丸は切替カムの非解除部が
カム溝と対向する位置にある場合を、白丸は切替カムの
解除部がカム溝と対向する位置にある場合をそれぞれ表
している。また同表において、０°は待機位置であり、
回転角度２７０°の位置からさらに９０°回転させると
再び０°の待機位置に戻る。ただし、待機位置は９０
°、１８０°、２７０°のいずれであってもよい。

【００４９】この実施例のコイン払出装置１のように、
コインチューブが４本の場合はＡ、Ｂグループでそれぞ
れ４通りの組み合わせで払い出しができることになり、
Ａ、Ｂ合わせると１５通り（全コインチューブで非払い
出しの場合を除く）の組み合わせで払い出しを行うこと
ができることになる。

【００５０】釣銭の払い出しを行う場合は、最初にモー
タ１８を正方向に回転させてＡグループの切替カム３
１、３２を所定の角度に設定し、コインチューブＡ、Ｂ
での払い出しの組み合わせを設定する。次にモータ１８
を逆方向に回転させてＢグループの切替カム３３、３４
を所定の角度に設定し、コインチューブＣ、Ｄでの払い
出しの組み合わせを設定する。しかる後、モータ１７を
回転させてペイアウトカム１１、１２、１３、１４を回
転させると、ピンとカム溝の係合が維持されているペイ
アウトスライドのみが往復運動してコインの払い出しが
行われる。

【００５１】例えば、Ａグループの切替カム３１、３２
を１８０°に設定し、Ｂグループの切替カム３３、３４
を２７０°に設定すれば、３つのコインチューブＢ、
Ｃ、Ｄからコインが払い出されることになる。このよう
に、Ａ、Ｂグループのそれぞれの切替カムを所定の角度
を設定することにより、１枚〜４枚の同時払い出しが可
能となる。

【００５２】上述した各切替カム３１、３２、３３、３
４の設定位置を検出するため、このコイン払出装置１に
はＡ、Ｂグループのそれぞれの切替カムに図示せぬスイ
ッチが配設されている。切替カム３１、３２、３３、３
４のうち、Ａグループの切替カム３１、３２にはＳＷ
１、ＳＷ２が、Ｂグループの切替カム３３、３４にはＳ
Ｗ３、ＳＷ４が配設されている。

【００５３】ＳＷ１は切替カム３１が１回転する毎に１
回ＯＮ信号を出力し、ＳＷ２は切替カム３２が１回転す
る毎に４回ＯＮ信号を出力（９０°ごとに１回信号を出
力）する。同様に、ＳＷ３は切替カム３３が１回転する
毎に１回ＯＮ信号を出力し、ＳＷ４は切替カム３４が１
回転する毎に４回ＯＮ信号を出力（９０°ごとに１回信
号を出力）する。

【００５４】これらのスイッチＳＷ１〜ＳＷ４による
と、ＳＷ１（ＳＷ３）からのＯＮ信号を検出することで
切替カム３１（３３）の待機位置を知ることができ、Ｓ
Ｗ２（ＳＷ４）からのＯＮ信号を検出することで切替カ
ム３２（３４）の角度を知ることができる。例えば、コ
インチューブＢ、Ｃ、Ｄからコインを払い出す場合に
は、最初にモータ１８を正方向に回転させ、切替カム３
１のＳＷ１で待機位置（０°）のＯＮ信号を検出してか
ら、切替カム３２のＳＷ２で３回目のＯＮ信号を検出す
るまで切替カム３２を回転させる。これによりＡグルー
プの切替カム３１、３２は１８０°に設定される。次
に、モータ１８を逆方向に回転させ、切替カム３３のＳ
Ｗ３で待機位置（０°）のＯＮ信号を検出してから、切
替カム３４のＳＷ４で４回目のＯＮ信号を検出するまで
切替カム３４を回転させる。これによりＢグループの切
替カム３３、３４を２７０°に設定する。

【００５５】なお、この実施例では切替カム３１、３
２、３３、３４の回転角度を検出する手段としてスイッ
チを使用しているが、回転角度の検出手段はこれらに限
定されるものではなく、パルスモータなどを用いること
もできる。さらに、同等に機能し得るものであれば、他
の手段を用いることができる。

【００５６】次に、上述したコイン払出装置１によるコ
インの払い出し、非払い出しの切替え動作を説明し、併
せて構成をより詳細に説明する。

【００５７】図４は図２のコイン払出手段１０の主要部
分を示した要部概念平面図であり、図５は図２のＡＡ断
面に相当する要部概念断面図である。

【００５８】いま、図４および図５で示すペイアウトス
ライド２１、２２、２３、２４のうち、ペイアウトスラ
イド２１のコイン通過孔２１ａ内に収容されたコイン
（図示せず）を払い出す場合について詳述する。

【００５９】まず、図示せぬ制御装置からモータ１８に
第１のカム切替信号を送出し、モータ１８を正方向に回
転させてＡグループの切替カム３１、３２の回転角度を
図３の下表で示す０°に設定する。これにより、切替カ
ム３１では非解除部３１ａがカム溝２１ｂと対向する位
置に設定され、切替カム３２では解除部３２ｂがカム溝
２２ｂと対向する位置に設定される。次に、図示せぬ制
御装置からモータ１８に第２のカム切替信号を送出し、
モータ１８を逆方向に回転させてＢグループの切替カム
３３、３４の回転角度を図３の下表で示す９０°に設定
する。これにより、切替カム３３、３４では解除部３３
ｂ、３４ｂがカム溝２３ｂ、２４ｂと対向する位置に設
定される。

【００６０】しかる後、図示せぬ制御装置からモータ１
７に対してコイン払出信号を送出すると、モータ１７の
駆動力でペイアウトカム１１、１２、１３、１４が同時
に時計方向に回転する。

【００６１】なお、図４ではペイアウトスライド２１が
ペイアウトカム１１の回転により移動している状態を示
しているが、動作開始時のピン１１ａ、１２ａ、１３
ａ、１４ａの位置は図２で示すように切替カム３１、３
２、３３、３４の略真上にあるものとする。

【００６２】さて、各ペイアウトカム１１、１２、１
３、１４が回転し始めると、ペイアウトカム１１のピン
１１ａはペイアウトスライド２１のカム溝２１ｂと係合
した状態でカム溝２１ｂ内を移動するが、図５のＢＢ断
面図で示す図６のように、切替カム３１の非解除部３１
ａは上向きに位置しているため、ペイアウトカム１１の
ピン１１ａは切替カム３１上を通過する際に切替カム３
１の解除部３１ｂと接触することはない。したがって、
ペイアウトカム１１はピン１１ａをカム溝２１ｂ内に係
合したまま一回転することになり、ペイアウトスライド
２１は矢印（図４参照）で示す方向に往復運動すること
となる。この動作によりペイアウトスライド２１のコイ
ン通過孔２１ａ内に収容されたコイン（図示せず）が外
部に払い出されることになる。

【００６３】一方、ペイアウトカム１２のピン１２ａに
ついては、図５のＣＣ断面図で示す図７のように、切替
カム３２の解除部３２ｂがカム溝２２ｂの内部に入り込
んだ状態となっている。このため、ペイアウトカム１２
のピン１２ａは切替カム３２上を通過する際に切替カム
３２の解除部３２ｂによりバネ１５の付勢力に抗して上
方に押し上げられ、カム溝２２ｂとの係合が解除される
ことになる。この後、ペイアウトカム１２はペイアウト
スライド２２の上を空回りしながら一回転することにな
り、ペイアウトスライド２２は動作しない。また、この
ときにペイアウトカム１２のカム溝２２ｂ内には切替カ
ム３２の解除部３２ｂが入り込んだ状態となるため、ペ
イアウトスライド２２の図の左右方向への動きが規制さ
れることになり、ペイアウトスライド２２が不用意に動
くことはない。この動作によりペイアウトスライド２２
からのコイン（図示せず）の払い出しは行われないこと
になる。

【００６４】同様の作用により、ペイアウトカム１３、
１４についても、切替カム３３、３４の解除部３３ｂ、
３４ｂがカム溝２３ｂ、２４ｂの内部に入り込んだ状態
となっているため、ペイアウトカム１３、１４はペイア
ウトスライド２３、２４の上を空回りする。したがっ
て、ペイアウトスライド２３、２４は動作せず、ペイア
ウトスライド２３、２４からのコインの払い出しは行わ
れないことになる。

【００６５】したがって、切替カム３１、３２、３３、
３４を図５で示すような位置にセットした場合は、ペイ
アウトスライド２１からはコインの払い出しが行われ、
ペイアウトスライド２２、２３、２４からはコインの払
い出しが行われないことになる。

【００６６】この動作例では、図２のコインチューブＡ
に対応するペイアウトカム１１からコインの払い出しを
行う場合について説明したが、複数のコインチューブか
らコインを払い出し可能であることははいうまでもな
い。例えばペイアウトスライド２１、２２、２３、２４
のうち、図２のコインチューブＡ、Ｃ、Ｄに対応するペ
イアウトスライド２１、２３、２４から同時に払い出し
を行う場合は、モータ１８を正方向に回転させてＡグル
ープの切替カム３１、３２の回転角度を図３の下表で示
す０°に設定した後、モータ１８を逆方向に回転させて
Ｂグループの切替カム３３、３４の回転角度を図３の下
表で示す２７０°に設定すればよい。これにより、コイ
ンチューブＡ、Ｃ、Ｄに対応するペイアウトスライド２
１、２３、２４から同時にコインの払い出しが行われる
ことになる。

【００６７】このように、上述したコイン払出装置１で
は、切替カムの非解除部をカム溝と対向する位置に設定
したコインチューブでは、対応するペイアウトカムが空
回りしてモータの駆動力はペイアウトスライドに伝達さ
れず、切替カムの解除部をカム溝と対向する位置に設定
したコインチューブでは、対応するペイアウトカムのピ
ンがペイアウトスライドのカム溝に係合してモータの駆
動力をペイアウトスライドに伝達するため、払い出しの
際には払い出しの対象となるコインチューブのペイアウ
トスライドのみが動作してコインが引き出され、払い出
しの必要のないコインチューブのペイアウトスライドは
動作せずにコインの引き出し動作は行われない。

【００６８】したがって、上述したコイン払い出し装置
１では、従来のように釣銭払い出しの際に全てのコイン
チューブの最下面から１枚づつコインを引き出し、払い
出しを行わないコインチューブからのコインの払い出し
をレバーにより阻止するように構成された装置と比べる
と、コインチューブの最下面からコインを引き出す際の
抵抗は実際に払い出しを行うペイアウトスライド分のみ
となるため、払い出しの際にモータに掛かる負荷を必要
最小限とすることができる。したがって、モータの劣化
が抑制されるだけでなく、消費電力も低減することがで
きる。

【００６９】また、上述したコイン払出装置１では、切
替カム用のモータを正逆の２方向に回転させることで２
つの選択グループに分別されたそれぞれの切替カムの払
い出し、非払い出しの切り替えを行うようにしているた
め、各選択グループ毎に１つまたは複数のペイアウトス
ライドを駆動することができ、複数種類のコインを同時
に払い出すことが可能となる。例えば、この実施例のよ
うにコインチューブが４本の場合はＡ、Ｂグループでそ
れぞれ４通りの組み合わせで払い出しができることにな
り、２つのグループで合計すると１５通りの組み合わせ
で払い出しを行うことが可能となる。

【００７０】

【発明の効果】以上説明したように、この発明に係わる
コイン払出装置では、各コインチューブ毎に払い出し、
非払い出しの切り替えを行う切替カムを配設し、この切
替カムを非払い出しとしたコインチューブでは対応する
ペイアウトカムが空回りしてペイアウトスライドが動作
せず、切替カムを払い出しとしたコインチューブではペ
イアウトスライドが動作するようにしたため、払い出し
の際には払い出しの対象となるコインチューブのペイア
ウトスライドのみが動作することになり、コインチュー
ブの最下面からコインを引き出す際の抵抗を必要最小限
とすることができる。したがって、従来のように払い出
しの際に全てのペイアウトスライドを動作させるように
したものと比べると、払い出し時にモータに掛かる負荷
を可及的に低減することができる。

【００７１】また、切替カム用のモータを正方向、逆方
向の２方向に回転させることで、２つの選択グループに
属するそれぞれの切替カムの払い出し、非払い出しの切
り替えを行うようにしているため、釣銭の金額に応じて
各切替カムの払い出し、非払い出しの組み合わせを適宜
選択することにより、同時に１つまたは複数のコインを
払い出すことができる。したがって、従来のように一回
の釣銭払出操作で１枚のコインしか払い出せないものと
比べると、釣銭コインを迅速に払い出すことが可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１はこの発明に係わるコイン払出装置を示す
要部概念断面図。

【図２】図２はコイン払出手段の構成を示す要部概念断
面図。

【図３】図３は各切替カムの向きと回転角度との関係を
示した説明図。

【図４】図４はコイン払出手段の主要部分を示した要部
概念平面図。

【図５】図５は図２のＡＡ断面に相当する要部概念断面
図。

【図６】図６は図５のＢＢ断面図。

【図７】図７は図５のＣＣ断面図。

【符号の説明】

１…コイン払出装置 ２…コイン払出手段 ３…払出駆動手段 １１、１２、１３、１４…ペイアウトカム １１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａ…ピン １６…ギヤボックス １７…モータ（払い出し用） １８…モータ（切替カム用） １９…歯車伝達手段 ２１、２２、２３、２４…ペイアウトスライド ２１ａ、２２ａ、２３ａ、２４ａ…コイン通過孔 ２１ｂ、２２ｂ、２３ｂ、２４ｂ…カム溝 ３１、３２、３３、３４…切替カム ３１ａ、３２ａ、３３ａ、３４ａ…非解除部 ３１ｂ、３２ｂ、３３ｂ、３４ｂ…解除部 ４１、４２、４３、４４…出力軸（払い出し用） ４５、４６…出力軸（切替カム用）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コインを積載収容する複数のコインチュー
   ブと、 該複数のコインチューブの各最下面に位置するコインを
   一枚づつ引き出して排出するコイン通過孔が形成される
   とともに、一方向へ往復移動可能に配設された複数のペ
   イアウトスライドと、 該複数のペイアウトスライド毎に形成されたカム溝と、 該複数のペイアウトスライド毎に独立して配設されると
   ともに、該ペイアウトスライドのカム溝内に没する方向
   へ付勢された出没自在の突起を有し、該突起をペイアウ
   トスライドのカム溝内に係合したまま該ペイアウトスラ
   イドを一方向へ往復運動させる回転カムと、 該回転カムの突起を前記付勢力に抗して押し上げてカム
   溝と突起との係合を解除する解除部と、該回転カムの突
   起とカム溝との係合に干渉しない非解除部とを有する複
   数の切替カムからなる第１の選択グループと、 該回転カムの突起を前記付勢力に抗して押し上げてカム
   溝と突起との係合を解除する解除部と、該回転カムの突
   起とカム溝との係合に干渉しない非解除部とを有する複
   数の切替カムからなる第２の選択グループと、 前記回転カムを駆動するための第１のモータと、 前記切替カムを駆動するための正逆方向に回転可能な第
   ２のモータと、 前記第１のモータが回転したときには該第１のモータの
   駆動力を前記各回転カムへ同時に伝達して全ての回転カ
   ムを少なくとも一回転させ、前記第２のモータが正方向
   に回転したときには該モータの駆動力を前記第１の選択
   グループに属する切替カムに同時に伝達して当該切替カ
   ムをそれぞれ所定の位置まで回転させるとともに、第２
   のモータが逆方向に回転したときには該モータの駆動力
   を前記第２の選択グループに属する切替カムに同時に伝
   達して当該切替カムをそれぞれ所定の位置まで回転させ
   る動力伝達手段と、 を具え、 コイン払い出しの際には、第２のモータを正方向に回転
   させて、払い出しを行なわないコインチューブに対応す
   る第１の選択グループに属する切替カムの解除部をカム
   溝と対向する位置に設定してカム溝と突起との係合を解
   除する状態とするとともに、払い出しを行うコインチュ
   ーブに対応する第１の選択グループに属する切替カムの
   非解除部をカム溝と対向する位置に設定してカム溝と突
   起との係合を維持する状態とし、次に第２のモータを逆
   方向に回転させて、払い出しを行なわないコインチュー
   ブに対応する第２の選択グループに属する切替カムの解
   除部をカム溝と対向する位置に設定してカム溝と突起と
   の係合を解除する状態とするとともに、払い出しを行う
   コインチューブに対応する第２の選択グループに属する
   切替カムの非解除部をカム溝と対向する位置に設定して
   カム溝と突起との係合を維持する状態とし、次に第１の
   モータを回転させて払い出しを行うペイアウトスライド
   のみを往復運動させるようにしたことを特徴とするコイ
   ン払出装置。