JP3733189B2 - 自動車内装材表皮用難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いた積層シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、およびそれを用いた積層体に関する。更に詳しくは、本発明は、カレンダー成形法における一次成形性及びシボ付け、圧空成形法および真空成形法等における二次成形性のいずれにも優れ、かつ得られる成型品が自動車内装材用途に適する柔軟性及び難燃性を備えるとともに、火災等の際の熱分解に伴う腐食性のガス又は有毒ガス等の発生が、ハロゲン系難燃剤が配合された組成物と比較して、極めて低い自動車内装材表皮用難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、およびそれを用いた積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル樹脂(PVC)は、従来より、自動車内装材の表皮シートとして多用されて来たが、その軽量性及びリサイクル性等に問題を残していた。そこで、最近では、このような塩化ビニル樹脂の代替材料として、柔軟性を備えると共に軽量で、かつリサイクル性に問題の少ないオレフィン系樹脂(PO)が自動車内装材の表皮シート材料として使用されるようになって来た。
【0003】
ところが、近年、自動車業界においても安全性が最優先となっているという背景から、自動車内装材に対する難燃化の要求が高まっており、オレフィン系樹脂で作成された自動車内装材の表皮シートにも「米国自動車安全基準FMVSS302」(以下「FMVSS」と略記することがある)に代表されるような高度な難燃性を要求されるようになってきた。
【0004】
最近のオレフィン系樹脂に対する難燃化技術の主流は、ハロゲン系難燃剤及び三酸化アンチモンをオレフィン系樹脂に配合して難燃性を付与する技術であったが、この技術には燃焼時又は成形時に有害性及び腐食性のハロゲン系ガス発生を伴うといった問題があった。
【0005】
このような問題を解決する一手段としてノン(非)ハロゲン難燃剤をオレフィン系樹脂に配合する技術が既に提供されている。
例えば、具体的には、特開昭53−92855号公報、特開昭54−29350号公報、特開昭54−77658号公報、特開昭56−26954号公報、特開昭57−87462号公報及び特開昭60−110738号公報等には、ノンハロゲン難燃剤として含水無機化合物(例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等)を用いる技術が既に提案されている。
【0006】
しかしながら、このような含水無機化合物を用いてFMVSSの基準を満たす為には、多量の含水無機化合物をオレフィン樹脂に配合しなければならない。その結果、得られる組成物は成形加工性の低下を来たすばかりでなく、この組成物を用いたシートが自動車内装材シートに要求される軽量性を満足させないという問題があった。
【0007】
また、熱可塑性樹脂又はポリプロピレン樹脂にポリ燐酸アンモニウムとトリアジン誘導体とを配合する方法(例えば特開昭59−147050号公報、特開平1−193347号公報及び特開平2−263851号公報等参照)が提案されている。このような方法で得られた組成物は、成形加工性が比較的良好で、加工時又は燃焼時での有害性ガス又は腐食性ガスの発生も少ないという利点を有している。しかしながら、この組成物を用いたシート等は、自動車内装材としては柔軟性に依然として改善の余地を残していた。
【0008】
オレフィン樹脂を用いた組成物を成形して得たシート等の柔軟性を改善する為に、本発明者等は、既に、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ燐酸アンモニウム及びトリアジン誘導体からなり、良好な成形性(射出成形、押出成形)と、高度な難燃性及び柔軟性とを兼備した難燃性組成物を提案している(特開平5−331322号公報参照)。
【0009】
しかしながら、この難燃性組成物は、上述のように成形性、難燃性並びに柔軟性には優れるものの、カレンダー成形法によるシートの成形性及び真空成形における加工性において、改善余地があることが見出された。
【0010】
即ち、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用した自動車内装材用表皮シートの成形法としては、カレンダー成形法又はTダイ押出成形法が一般的であって、特にカレンダー成形は歩留まりの非常に高い成形法であることから、他の成型法及び加工法と比べ抜群の生産性を誇っている。
【0011】
また塩化ビニル樹脂の代替としてオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用する場合には、塩化ビニル樹脂製シート製造時の製造ラインで新たな成形機も周辺機器も購入せずに成形可能であることが要請される。
【0012】
しかしながら、上述の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物では、組成物原材料をカレンダーロールに巻き付けて混練しながら、カレンダー成形法でシートとしようとすると、平行するロール間に挟持されてシート化される組成物が、挟持される直前でバンク(樹脂たまり)を形成し、このバンク原材料が均一に混練されないままで滞留するという傾向があることが新たに判った。このようなバンクは、これがそのまませり上がる通称「ベロ出し現象」を起こす他、カレンダーロールに粘着して製品歩留りを低下させる等の問題を発生させる。
【0013】
また、更に、この難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、カレンダー成形に続く真空成形法における加工時に延伸性不良に起因する型破れを生じ易いという問題をも残していることが判った。
【0014】
カレンダー成形法における一次成形性に優れたオレフィンエラストマー組成物としては例えば、下掲のものが提案されている:
エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー、ポリプロピレン樹脂及び鉱物油系軟化剤から成る混練物を有機ペルオキシドの存在のもとに動的に熱処理して得られる熱可塑性エラストマー、およびこれにポリエチレン樹脂を添加混練した熱可塑性エラストマー組成物(特公平2−37942号公報参照);
カレンダー成形法に於ける成形性及び真空成形法に於ける加工性に優れたα−オレフィン系共重合体エラストマー及びポリオレフィン系樹脂を含有する部分的に架橋された熱可塑性エラストマー、およびα−オレフィン系共重合体エラストマー及びポリオレフィン系樹脂を含有する部分的に架橋された熱可塑性エラストマーを含有する熱可塑性エラストマー組成物(特開平6−136205号公報参照)。
【0015】
しかしながら、本発明者等の実験によれば、上記のオレフィン系熱可塑性エラストマーに、前述したポリ燐酸アンモニウム及びトリアジン誘導体を配合した組成物は確かに上記特許公報に開示された範囲の特定部分においてカレンダー加工性を満足することが認められるものの、併せて必要とされる二次加工性、特に真空成形性を満足しない、つまりこの組成物を用いたシートの真空成形時に、シートの延伸性不良に起因する型破れが発生するという問題点のあることが判明した。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、カレンダー成形法における一次成形性及びシボ付け、圧空成形法および真空成形法等における二次成形性のいずれにも優れ、かつ得られる成型品が自動車内装材用途に適する柔軟性及び難燃性を備えるとともに、火災等の際の熱分解に伴う腐食性のガス又は有毒ガス等の発生が、ハロゲン系難燃剤が配合された組成物と比較して、極めて低い自動車内装材表皮用難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、およびそれを用いた積層体を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α-オレフィン系共重合体エラストマー(A)(ムーニー粘度:ML1+4(100℃)40〜100)50〜70重量%、ポリプロピレン樹脂(B)(結晶融点140〜165℃、エチレン成分含有量1〜2重量%)35〜21重量%および低密度ポリエチレン樹脂(C)(密度0.90〜0.93g/cm3,結晶融点102〜118℃)15〜9重量%からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)100重量部と、鉱物油(e)10〜30重量部、好ましくは15〜25重量部と、からなる油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)、および
前記油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)100重量部に対して、25〜50重量部、好ましくは28〜40重量部のメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)、8〜17重量部、好ましくは10〜13重量部の下記の一般式(I)で表される化学構造を有する1,3,5-トリアジン誘導体(j)、および0.1〜3重量部、好ましくは0.5〜2重量部の滑剤(f)を含むことを特徴としている。
【0018】
【化2】
【0019】
(式中、Xはモルホリノ基又はピペリジノ基、Yはピペラジンから誘導される2価の基、nは1以上の数である)
本発明に係る難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物では、前記ポリプロピレン樹脂(B)が、結晶性プロピレン−エチレン共重合体又は結晶性プロピレン単独重合体と、エチレン成分含有量0.5〜4重量%のプロピレン−エチレン共重合体とからなるプロピレン重合体組成物であり、かつその重合体組成物全体が、エチレン成分含有量1〜2重量%であることが望ましい。
【0020】
本発明に係る積層体は、ポリオレフィン系樹脂から形成される発泡体シートと上記難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から形成される難燃性シートとからなることを特徴としている。
【0021】
本発明に係る積層体では、前記発泡体シートが、発泡倍率20〜30倍かつ平均肉厚1〜3mmであり、前記難燃性シートが、平均肉厚0.25〜0.45mmであることが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いた積層体に付き、具体的に説明する。
【0023】
本発明に係る自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、特定量の油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)と、各々特定定量のメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)、1,3,5-トリアジン誘導体(j)、および滑剤(f)とからなる。
【0024】
また、本発明で用いられる油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)は、特定のエチレン・α-オレフィン系共重合体エラストマー(A)、ポリプロピレン樹脂(B)および低密度ポリエチレン樹脂(C)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)と、鉱物油(e)とを混練して得られる。
【0025】
以下、先ずオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)の各成分を説明する。
<エチレン・α-オレフィン系共重合体エラストマー(A)>
本発明で、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)の調製に用いられるエチレン・α-オレフィン系共重合体エラストマー(A)は、エチレンとα-オレフィン系モノマーとから形成された非晶性又は低結晶性共重合体であって、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が40〜100、好ましくは70〜90であある。
【0026】
ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が40を大きく下回るエチレン・α−オレフィン系共重合体エラストマーを用いた組成物は、カレンダー成形時でのカレンダーロールへの密着性が悪化する。他方、ムーニー粘度が100を大きく超えるエチレン・α−オレフィン系共重合体エラストマーを用いた組成物は、平行するロール間に挟持される直前でバンク(樹脂たまり)を形成し、これがそのまませり上がる通称「ベロ出し現象」を起こす。
【0027】
このようなオレフィン系共重合体エラストマー(A)としては、具体的にはエチレン−プロピレン共重合体エラストマー(以下「EPM」と略称することがある)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体エラストマー(以下「EPDM」と略称することがある)等を挙げることができる。その中でもそのプロピレン成分含有量が25〜30重量%、好ましくは26〜28重量%のEPM又はEPDMが特に好ましい。
【0028】
なお、本発明で好ましく用いられるEPDM中の非共役ジエン成分含有量は、沃素価で表わすと通常10〜20、好ましくは12〜15である。このようなEPDMに用いられる非共役ジエンとしては、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン又は1,4-ヘキサジエンが例示される。
【0029】
<ポリプロピレン樹脂(B)>
本発明で、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)の調製に用いられるポリプロピレン樹脂(B)は、その結晶融点が140℃〜165℃、好ましくは150〜156℃であるプロピレン系結晶性樹脂であって、そのエチレン成分含有量が1〜2重量%、好ましくは1.2〜1.6重量%である。
【0030】
そのエチレン成分含有量が2重量%を大きく超えるポリプロピレン樹脂を用いた組成物をシートに成形し、二次加工、例えばシボ付け及び真空成形を行なった場合、二次加工であるシボ付け時にシボ付けロールに粘着したり、或いはこれに続く真空成形時にシボ消えが発生する等の問題がある。また、そのエチレン成分含有量が0.5重量%を大きく下回るポリプロピレン樹脂を用いた組成物をシートに成形した場合、真空成形時に屡型破れを生ずる等の問題がある。
【0031】
このようなポリプロピレン樹脂(B)は樹脂組成物であってもよく、特に結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体又はプロピレン結晶性単独重合体と、エチレン成分含有量が通常0.5〜4重量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体とからなり、そのエチレン成分含有量が1〜2重量%、好ましくは1.2〜1.6重量%である樹脂組成物であることが望ましい。
【0032】
また、ポリプロピレン樹脂(B)は、特に限定されないが、そのメルトフローレート(MFR(230℃;2.16kgf))が通常1〜50g/10min、好ましくは5〜10g/10minであることが望ましい。
【0033】
<低密度ポリエチレン樹脂(C)>
低密度ポリエチレン樹脂は、分枝状ポリエチレンであり、この枝別れが稠密な分子配列を妨げる結果、低密度であり、強靱かつ柔軟性を有している。
【0034】
本発明で、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)の調製に用いられる低密度ポリエチレン樹脂(C)は、その真密度が0.90〜0.93g/cm3、好ましくは0.91〜0.92g/cm3であり、結晶融点が102〜118℃、好ましくは104〜112℃のエチレン系結晶性重合体である。
【0035】
ポリエチレン樹脂成分として、上記密度を有する低密度ポリエチレン樹脂(D)の代わりに他のポリエチレン樹脂、例えば直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L-LDPE)又は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)からなる樹脂組成物を用いてカレンダー成型法によってシートを成形し、これを真空成形法によって二次加工した場合、カレンダー成形時の良好な成形性(ロール加工性)および真空成形時の良好な加工性を同時には充足し難い。
【0036】
本発明で用いられる低密度ポリエチレン樹脂(C)は、特に限定されないが、そのメルトインデックス(MI(190℃、2.16kgf))が通常1〜20g/10min、好ましくは1〜10g/10min、更に好ましくは2〜5g/10minであることが望ましい。
【0037】
本発明で、油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)の調製に用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)は、以上説明した成分(A)、(B)および(C)の内、エチレン・α-オレフィン系共重合体(A)を、50〜70重量%、好ましくは54〜64重量%の量で含んでいる。
【0038】
エチレン・α-オレフィン系共重合体エラストマー(A)の含有量が50重量%を大きく下回る組成物(D'1)を用い、これに鉱物油(e)および後述の添加剤(h)、(j)および(f)を加えて得た組成物を用い、カレンダー成形法によりシートを成形した場合、カレンダーロールに粘着を生ずる。他方、このエラストマー(A)の含有量が70重量%を大きく超える組成物(D'2)を用いた場合、カレンダーロール上に形成されたバンクによる通称「ベロ出し」現象が発生する他、得られたシートを用いた二次加工時において、真空成形時での型破れ及び/又はシボ付け不良等の不具合を生ずる。
【0039】
本発明で用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)は、以上説明したポリプロピレン樹脂(B)を、35〜21重量%、好ましくは32〜25重量%の量で含んでいる。
【0040】
ポリプロピレン樹脂(B)の含有量が35重量%を大きく超える組成物(D'3)を用い、これに鉱物油(e)および後述の添加剤(h)、(j)および(f)を加えて得た組成物を用い、カレンダー成形法によりシートを成形した場合、カレンダーロールに粘着を生ずる。他方、このポリプロピレン樹脂(B)の含有量が21重量%を大きく下回る組成物(D'4)を用いた場合、カレンダーロール上に形成されたバンクによる通称「ベロ出し」現象が発生する他、得られたシートを用いた二次加工時に、真空成形時での型破れ及び/又はシボ付け不良等の不具合を生ずる。
【0041】
また、本発明で用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)は、以上説明した低密度ポリエチレン樹脂(C)を、15〜9重量%、好ましくは14〜11重量%の量で含んでいる。
【0042】
低密度ポリエチレン樹脂(C)の含有量が15重量%を大きく超える組成物(D'5)を用い、これに鉱物油(e)および後述の添加剤(h)、(j)および(f)を加えて得た組成物を用い、カレンダー成形法によりシートを成形しした場合、カレンダーロール上に形成されるバンクによる通称「ベロ出し」現象が発生する他、得られたシートを用いた二次加工でのシボ付与性が低下する。また、他方このポリエチレン樹脂(C)の含有量が9重量%を大きく下回る組成物(D'6)を用いた場合には、カレンダーロール表面への過度の粘着を生ずる。
【0043】
本発明で用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)は、カレンダー成形における成形性及び真空成形における加工性の観点から、以上説明した樹脂成分(A)、(B)及び(C)を架橋を生じさせずに混合して製造することが望ましい。
【0044】
具体的には、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)は、エチレン・α-オレフィン系共重合体エラストマー(A)、ポリプロピレン樹脂(B)及び低密度ポリエチレン樹脂(C)をそれぞれ所定量で配合し、攪拌混合装置[例えばヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー又はタンブラーミキサー等]に装入し、通常1〜10min攪拌混合して調製することができる。特に、タンブラーミキサーを用いれば約10minを要する一方、スーパーミキサーは、約3minの攪拌混合によって目的の組成物(D)を調製でき、好適である。
【0045】
また、必要に応じてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)をスクリュウ押出機等を用いて通常170〜250℃、好ましくは210〜230℃の温度で溶融混練し、押出してペレット化(造粒)することも可能である。
【0046】
本発明で用いられる油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)は、このようなオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)と鉱物油(e)とを含んでいる。
【0047】
本発明に用いられる鉱物油(e)は、特に限定されないが、カレンダー成形法における一次成形性を向上させるという特性に加えて、得られた成形品の機械的特性を改良するという観点から、高沸点の石油留分、例えばパラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油及びアロマティック系鉱物油等が好適に用いられ、中でも色相や臭気等の点でパラフィン系鉱物油が最適である。
【0048】
このような油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)では、鉱物油(e)は、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)100重量部に対して、10〜30重量部、好ましくは15〜25重量部の量で含まれる。
【0049】
上記鉱物油(e)の添加量が30重量部を大きく超える油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G'1)を用い、これに後述の添加剤(h)、(i)および(j)を加えた組成物から得られるシート又は成型品は、所定値よりも低い強度及び低い難燃性を示す。また、他方鉱物油(e)の添加量が10重量部を大きく下回る油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G'2)を用いた場合、カレンダー成型時にロール表面に過度の粘着を生ずる。
【0050】
本発明に用いられる油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)は、組成物(D)と同様の観点から、成分(D)および(e)を、樹脂成分同士が架橋を生じないように、混合して製造することが望ましい。具体的には、油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)は、所定量のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)に鉱物油(e)を添加して、上述したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)と同様にして製造することができる。また、得られた油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)は、同様に、スクリュウ押出機等を用いてペレット化(造粒)してもよい。
【0051】
本発明に係る難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(F)は、このような油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)とともに、各々メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)、1,3,5-トリアジン誘導体(j)および滑剤(f)とを含んでいる。
【0052】
以下、これら添加剤(h)、(j)および(f)の各々を詳細に説明する。
<メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)>
本発明で用いられるメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)とは、ポリ燐酸アンモニウムからなる芯材表面に、メラミンを付加および/または付着させた粒状体である。このようなメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)としては、例えば、下記一般式(II):
(NH4)n+2PnO3n+1 ... (II)
(式中nは2を超える正数である)
で表される非ハロゲン系難燃剤の粒子表面にメラミンを付加及び/又は付着させたものが例示できる。
【0053】
芯材としてのポリ燐酸アンモニウムは、ポリ燐酸アンモニウムとして市販されている。市販品としては、具体的には、商標「スミセーフ−P」(住友化学社製)、商標「エクソリット−422」(ヘキスト社製)、商標「エクソリット−700」(ヘキスト社製)、商標「フォスチェックP/40」(モンサント社製)等を挙げることができる。
【0054】
また、メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)の原料としては、特開平4−300204公報号に記載されたII型ポリ燐酸アンモニウム微粒子も用いることができる。II型ポリ燐酸アンモニウム粉末は例えば次の方法で得ることができる。
【0055】
等モルのリン酸ジアンモニウムと五酸化リンとを温度290〜300℃で加熱攪拌し、次いで尿素が0.5倍モルとなる量の尿素水溶液(濃度77重量%)を噴霧しながら添加し、引き続きアンモニア雰囲気下で数時間、温度250〜270℃で焼成してII型ポリ燐酸アンモニウム粉末を得る。
【0056】
本発明で用いられるメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)は、このようなポリ燐酸アンモニウムを用い、下記方法により製造可能である。
第一段階として予備加熱されたニーダー等の加熱混練装置内に上記一般式(II)で示される粉末状ポリ燐酸アンモニウムを投入し、該ポリ燐酸アンモニウム粉末が溶融せずにしかも該ポリ燐酸アンモニウム中のアンモニアが容易に脱離を起こす温度即ち300℃以下、好ましくは200〜280℃において0.5〜5時間加熱する。この加熱処理によって、本来ポリ燐酸アンモニウム中に化学量論量で存在しているアンモニアの一部(化学量論量のアンモニアに対して5〜10重量%)が脱離する。このようにして得たポリ燐酸アンモニウム(以下、「アンモニア不足ポリ燐酸アンモニウム」と総称することがある)の表面は、アンモニアの脱離によって、ヒドロキシル基(オキシ基)が形成されて酸性を示す様になる。アンモニア不足ポリ燐酸アンモニウムは、具体的には、1重量%懸濁水溶液のpHが4〜6を示す程度にアンモニア不足状態となっていることが望ましい。
【0057】
なお、アンモニア不足ポリ燐酸アンモニウムは、ポリ燐酸アンモニウムの公知の製造工程においてアンモニアの結合量を化学量論量以下とすることによっても製造できる。
【0058】
次いで第二段階として、例えばアンモニア脱離を行なったのと同一の装置で、アンモニア不足ポリ燐酸アンモニウム粉末を、その融点未満かつメラミンが昇華し得る温度、具体的には250〜300℃の温度でメラミンを添加して、アンモニア不足ポリ燐酸アンモニウム粒子表面に該メラミンを付加及び/又は付着させる。この反応で使用されるメラミンはメラミンモノマーとして市販されているものを使用すれば足りる。
【0059】
ここで「付加」とは添加されたメラミンがポリ燐酸アンモニウムに由来する酸性のヒドロキシル基(オキシ基)とイオン的に結合した状態を意味する。従って、「付加」したメラミンは加熱されても安定であって再度脱離することはない。また、「付着」とは、添加されたメラミンがポリ燐酸アンモニウム粒子の表面に吸着された状態を意味し、加熱の継続によってポリ燐酸アンモニウム粒子の表面に吸着しているメラミンが昇華と吸着とを繰り返して最終的には酸性ヒドロキシル基とイオン的に結合する。
【0060】
この際にメラミンは、ポリ燐酸アンモニウムに対して0.5〜20重量%、好ましくは2〜10重量%の量で添加されることが望ましい。添加されたメラミンは全量ポリ燐酸アンモニウム粒子表面に付加及び/又は付着し、その結果メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)が得られる。
【0061】
このようなメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)は、これをオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物中に混入した場合、高温又は炎との接触等による熱分解に際しても、非引火性ガス(水、二酸化炭素、窒素等)と炭素質残渣のみを生じ、腐食性ガス、ハロゲン系ガス又は有毒性ガスの発生を殆ど伴わない。
【0062】
<1,3,5-トリアジン誘導体成分(j)>
本発明で用いられる1,3,5-トリアジン誘導体成分(j)とは、非ハロゲン系難燃剤であって、1位、3位および5位の位置で窒素原子を含む六員環復素化合物の誘導体である。このような1,3,5-トリアジン誘導体成分(j)は、例えば、下記の一般式(I) :
【0063】
【化3】
【0064】
(式中、Xはモルホリノ基又はピペリジノ基、Yはピペラジンから誘導される2価の基、nは1以上、好ましくは2〜50であって通常は約11である)で表わされる。
【0065】
このような1,3,5-トリアジン誘導体成分(j)の好適具体例としては、置換基Xがモルホリノ基である2-ピペラジニレン-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジンのオリゴマー又はポリマー、および置換基Xがピペリジノ基である2-ピペラジニレン-4-ピペリジノ-1,3,5-トリアジンのオリゴマー又はポリマー等を挙げることができる。
【0066】
2-ピペラジニレン-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジンのポリマーは、例えば以下の方法で製造することができる。
等モルの2,6-ジハロ-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジン(例えば2,6-ジクロロ-4- モルホリノ-1,3,5-トリアジン又は2,6,-ジブロモ-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジン)とピペラジンとを、有機塩基(例えばトリエチルアミン又は、トリブチルアミン等)又は無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は炭酸ナトリウム等)の共存下、例えばキシレン等の不活性溶媒中で、好ましくはこの種の不活性溶媒の沸点以下の温度に加熱して反応させる。
【0067】
反応終了後に、反応混合物を濾過して固形物を分離し、分離された固形物を沸騰水で洗浄し、この際副生物の塩を該沸騰水に溶解させて除去した後に、残存する固形物を乾燥する。
【0068】
得られる2-ピペラジニレン-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジンの性状は以下の通りである:
・溶解性:水及び通常の有機溶剤に不溶;
・融点:無し(分解点310℃付近);
・嵩密度:0.3g/cc;
・構造式:下記の一般式(III)に示す。
【0069】
【化4】
【0070】
(式中、nは11である)
このような1,3,5−トリアジン誘導体成分(j)は、これをオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物中に混入した場合、高温又は炎との接触等による熱分解に際しても、非引火性ガス(水、二酸化炭素、窒素等)と炭素質残渣のみを生じ、腐食性ガス、ハロゲン系ガス又は有毒性ガスを殆ど伴わない。
【0071】
また、1,3,5-トリアジン誘導体(j)は上記メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)との相乗効果によって、本発明の自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物で形成されたシート又は他の成形品に優れた難燃性を付与し、かつ燃焼時だけでなく成形品の成形時にも腐食性ガス、ハロゲン系ガス又は有毒性ガスを殆ど発生させない。
【0072】
<滑剤(f)>
本発明で用いられる滑剤(f)とは、本発明の自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物をカレンダー成形する際に、溶融した該熱可塑性エラストマー組成物とある程度の相溶性を保持しながらそれに流動性を与え、それによってロール表面に対する摩擦抵抗を減少させてロールへの粘着を防ぐと共にその加工を容易にする。
【0073】
このような機能を有する滑剤(f)としては、例えば、パラフィン系高級炭化水素;高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸アミド及び高級脂肪酸アルキルエステル(高級脂肪酸と脂肪族一価または多価アルコールとのエステル)等の高級脂肪酸系化合物;高級脂肪族アルコール;ポリエーテル;フタル酸ジアミド及びフタル酸エステル等の芳香族カルボン酸系化合物;ジアミン/カルボン酸縮合体;シリコーン(珪素樹脂);天然及び合成ロジン;およびこれら化合物の2種以上からなる複合系滑剤等を挙げることができる。
【0074】
このような滑剤(f)としては、具体的には、
パラフィン系高級炭化水素としてのパラフィンワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、硬化ひまし油;
高級脂肪酸としてのステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸;高級脂肪酸金属塩としてのステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛;
高級脂肪酸アミドとしてのステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアロアミド、エチレンビスラウロアミド、ステアロオレオアミド;
高級脂肪酸アルキルエステルとしてのブチルステアレート、エチレングリコールモノステアレート、グリセリンジステアレート;
高級脂肪族アルコールとしてのステアリルアルコール、パルミチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール;
ポリエーテルとしてのエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体;
フタル酸エステルとしてのビス(2-エチルヘキシル)フタレート;
ジアミン/カルボン酸縮合体としてのキシリレンジアミン/脂肪族カルボン酸縮合物(wax:例えば分子量1000程度);
シリコーンとしてのポリジメチルシロキサン等を例示することができる。これら滑剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
本発明に係る自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(F)は、上述の油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)100重量部に対して、メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)を25〜50重量部、好ましくは30〜40重量部の量で含んでいる。
【0076】
メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)の添加量が50重量部を大きく超える組成物からカレンダー成形法によりシートを成形し、次いで真空成形法により二次加工した場合、カレンダーロール上に形成されるバンクによる通称「ベロ出し」現象が発生する他、得られるシート状成型品の機械的強度が低下し、かつこれを用いた真空成形時に型破れを生じ易い。他方組成物中のアンモニウム塩(h)の添加量が25重量部を大きく下回る場合には、得られるシートに所望の難燃性を付与することができない。
【0077】
本発明の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(F)は、油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物である組成物(G)100重量部に対して、1,3,5-トリアジン誘導体(j)を8〜17重量部、好ましくは10〜13重量部の量で含んでいる。
【0078】
1,3,5-トリアジン誘導体(j)の添加量が17重量部を大きく超える組成物からカレンダー成形法によりシートを成形し、次いで真空成形法により二次加工した場合、カレンダーロール上に形成されるバンクによる通称「ベロ出し」現象が発生する他、得られるシート状成型品の機械的強度が低下し、かつ真空成形時に型破れを生じ易い。他方組成物の1,3,5-トリアジン誘導体(j)の添加量が8重量部を大きく下回る場合には、得られるシートに所望の難燃性を付与することができない。
【0079】
また、本発明の自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(F)は、油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)100重量部に対して、滑剤(f)を0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜2重量部の量で含んでいる。
【0080】
滑剤(f)の添加量が0.1重量部を大きく下回る組成物からカレンダー成形法によりシートを成形した場合、カレンダーロールルへの過度の粘着性を発現する。他方滑剤(f)の添加量が3重量部を大きく超える場合、成形中または成形後のシート表面に滑剤が移行し、その結果として、カレンダー成形の際に往々にしてカレンダーロールへの巻付き不良を起こす他、製品シートの塗装性不良及び/又は外観不良をを来たす。
【0081】
このような難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(F)は、組成物(D)、(G)と同様の観点から、成分(D)、(h)、(j)および(f)を、樹脂成分同士に架橋を生じさせないように混合して製造することが望ましい。具体的には、難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(F)は、所定量の油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)に添加剤(h)、(i)および(j)を添加して、上述したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)と同様にして製造することができる。また、得られた耐熱性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(F)は、同様に、スクリュウ押出機等を用いてペレット化(造粒)してもよい。
【0082】
また、本発明における難燃性熱可塑性エラストマー組成物にあっては、本発明の目的を損なわない範囲において、他の各種添加剤および充填剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば酸化防止剤、帯電防止剤、銅害防止剤、中和剤(例えばステアリン酸金属塩、ハイドロタルサイト等)、紫外線吸収剤、老化防止剤又は顔料等を例示することができる。
【0083】
本発明の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(F)は、これをシート状に成形した場合、自動車内装材用途に適する柔軟性及び難燃性を備え、かつ火災等の際の熱分解に伴う腐食性のガス又は有毒ガス等の発生が極めて低い。
【0084】
本発明に係る積層体は、この難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(F)からなる難燃性シートと、ポリオレフィン系樹脂発泡体シートとを積層してなり、このポリオレフィン系樹脂発泡体シートは積層体に更に柔らかい触感(ソフト感)を与える。
【0085】
本発明の積層体で用いられる難燃性シートは、難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(F)をカレンダー成形法によりシートに成形し、次いで加圧成形等により二次加工してその表面にシボ付けする等、模様を形成して製造することができる。
【0086】
このような難燃性シートは非発泡であることが望ましく、その平均肉厚0.25〜0.45mm、好ましくは0.3〜0.4mmのものである。
本発明の積層体で用いられる発泡体シートは、ポリオレフィン系樹脂を原材料としているが、このようなポリオレフィン系樹脂としては、発泡させることにより、柔軟な成形品としうる従来公知の何れのポリオレフィン系樹脂を用いてもよい。
【0087】
このようなポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等を例示できる。
また、発泡体シートは、このようなポリレフィン系樹脂と、従来公知の発泡剤、例えばアゾジカルボニルアミド等、及び架橋助剤、例えばジビニルベンゼン等とを押出機中で発泡剤の分解温度以下の温度で溶融混合し、Tダイより押し出してシート状成形体を得、次いでこのシートに電子線照射を行なって樹脂成分を架橋させ、さらにこのシートを発泡剤の分解温度以上の条件で発泡させることにより製造することができる。
【0088】
このような発泡体シートは、その発泡倍率が通常20〜30倍、好ましくは23〜28倍であり、平均肉厚が通常1〜3mm、好ましくは1.5〜2.5mmであることが望ましい。
【0089】
本発明に係る積層体は、上記の発泡シートと非発泡難燃性シートとを積層して貼合わせることによって製造することができる。この貼合せの法は、特に限定されないが、例えば、予め製造された発泡シートと難燃性シートとを、両者の貼合せ面が融着可能な温度で、押圧積層する熱貼合せ法(heat-lamination method)が好適である。
【0090】
このようにして得られた積層体は、二次加工性に優れており、真空成形法によって、所望の凹凸形状を付与することが可能である。
【0091】
【実施例】
以下、実施例によって本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、これらの実施例及び比較例における特性評価に用いられた試験方法は以下の通りである。
(1)ロールへの粘着性(通称「ロール粘着性」)評価
試料作成装置:2本ロール[ロールサイズ200mmφ×500mm、加工温度175℃、回転速度12rpm/14rpm、10min混練(西村工機社製)]を用いた。
試料作成操作:ロール間隙をでき上がりのシート厚みが0.35mmとなるべき値に設定する。ペレット試料をロールに巻き付けながら溶融混練し、10min後に練り上がったシートをロールから剥離し、シート状試験片をサンプリングする。
【0092】
この溶融混練の操作において、ロールから竹ヘラ等で混練シートを剥離(切り替えし)させる際に感知される粘着性およびその際のシート化された原料の収率から、下記4段階の評価を行なった。評価結果の中の○及び◎を合格と判定した。
【0093】
◎・・・非常に容易に剥離可能(サンプリング可能:収率80%以上)
○・・・容易に剥離可能(サンプリング可能:収率40%以上80%未満)
△・・・剥離困難(サンプリング辛くも可能:収率40%未満)
×・・・剥離が不可能(サンプリング不能)。
(2)ロール上のバンク部からの通称「ベロ出し」性評価
上記(1)項におけるロール粘着性評価の際に、ペレット試料をロールに巻き付けながら混練するとロール上の間隙にバンク(樹脂たまり)が形成される。この際にバンクを形成した材料が混練されずにバンク状で滞留し、さらにせり上がって来る状態を「ベロ出し」と呼ぶ。
【0094】
本件試験ではこのベロ出し性を4段階で評価した。評価結果の中で○及び◎を合格と判定した。
◎・・・ベロ出しが全く無く、バンクが順調にに混練されている。
【0095】
○・・・ベロ出しが殆ど無く、バンクがかなり均一に混練されている。
△・・・バンク部の一部分からベロ出しが発生しているが、それ以上にせり上がらずにその場で滞留
×・・・バンク部の一部分又は全体からベロがせり上がって来る。
(3)真空成形時の耐型破れ性の評価
上記(1)項で得られたシート状試験片(難燃性シート:肉厚0.35mm)と発泡PPシート(肉厚2mm;発泡倍率25倍)とを相互に熱融着させて積層し、この積層体から試験片(JISK6301 1号ダンベル)を得る。次に恒温槽(110℃)中でこの試験片を引張り試験に供して、観測された「引張り破断伸び率」を5段階で評価して、これを真空成形時の耐型破れ性の指標とする。
【0096】
なお、用いられた試験片の表面に亀裂又は孔が発生した場合にはその時点の伸び率を引張り破断伸び率とした。引張り条件はJIS−K6301に準拠した。評価結果の中で○及び◎を合格と判定した。
【0097】
◎・・・300%≦伸び率
○・・・250%≦伸び率<300%
△・・・200%≦伸び率<250%
×・・・150%≦伸び率<200%
××・・・・・・・伸び率<150%。
(4)シボ残存度合評価
上記(1)項で得られたシート状試験片(肉厚0.35mm)に加熱プレス(温度200℃)でシボ付け(皮シボ調)を行ない、次にシボ付けシート表面の平均粗さ(Ra)1を測定する。
測定装置:表面粗さ計(小坂研究所製)、
測定条件:平均粗さ測定距離40mm、測定速度0.5mm/sec、カットオフ0.8mm)。
【0098】
更にこのシボ付けシートをドライオーブン中に静置(140℃;3min)した後に、シボ付け面に表面平滑な耐食鋼(通称「ステンレス」)製の平板を載せ、更にこの耐食鋼製平板の上に荷重(2.4kgf)を載せてドライオーブン中に静置(140℃;5min)する。その後サンプルを取り出し、手早く荷重と耐食鋼製平板とを取り去ってシートを室温にまで自然冷却する。冷却の後にシボ付けシートのシボの残存率をシボ面の平均粗さ(Ra)2に基づいて前述の測定装置および測定条件で測定する。
【0099】
シボ保持量を以下の式によって算出し、その値をシボ残存率とする。このシボ残存率を真空成形後のシボの残存率の指標として位置付け、5段階で評価し、評価の中で○及び◎を合格と判定する。
シボ残存率=[(Ra)2/(Ra)1]×100(%)
[ここで、(Ra)2:加熱後の表皮シボ;(Ra)1:加熱前の表皮シボ]。
【0100】
◎・・・75%≦シボ残存率
○・・・60%≦シボ残存率<75%
△・・・50%≦シボ残存率<60%
×・・・40%≦シボ残存率<50%
××・・・・・・シボ残存率<40%。
(5)難燃性
上記(3)項で得られた積層体(難燃性シート(肉厚0.35mm)//発泡PPシート(肉厚2mm))をシート状試験片とし、FMVSS−302に準拠してその燃焼性を評価した。なお、試験時には難燃性シート(肉厚0.35mm)側を接炎面とした。判定基準は燃焼速度100mm/min未満を合格とした。
【0101】
また、実施例及び比較例に用いられたエチレン・α−オレフィン系共重合体エラストマー、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、鉱物油、ポリ燐酸アンモニウム、1,3,5-トリアジン誘導体、滑剤及び他の添加剤等を下記のように略称する。
【0102】
(エチレン・α−オレフィン系共重合体エラストマー)
(A1) :エチレン−プロピレン−5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体エラストマー(プロピレン成分含有量28重量%、ムーニー粘度:ML1+4(100℃)88、置換ノルボルネン成分含有量(沃素価基準で)15);
(A2) :エチレン−プロピレン−5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体エラストマー(プロピレン成分含有量26重量%、ムーニー粘度:ML1+4(100℃)38、置換ノルボルネン成分含有量(沃素価基準で)19);
(ポリプロピレン樹脂)
(B1) :プロピレン−エチレン結晶性共重合体(結晶融点154℃、エチレン成分含有量1.4重量%、MFR(230℃;2.16kgf)8g/10min);
(B2) :プロピレン−エチレン結晶性共重合体(結晶融点146℃、エチレン成分含有量2.5重量%、MFR(230℃;2.16kgf)8g/10min)50重量%、及び(B3) 50重量%からなり、エチレン成分含有量1.2重量%の樹脂組成物;
(B3) :プロピレン結晶性単独重合体(結晶融点164℃、MFR(230℃;2.16kgf)8g/10min);
(B4) :プロピレン−エチレン結晶性共重合体(結晶融点159℃、エチレン成分含有量0.2重量%、MFR(度230℃;2.16kgf)10g/10min);
(B5) :プロピレン−エチレン結晶性共重合体(結晶融点138℃、エチレン成分含有量4.6重量%、MFR(230℃;2.16kgf)2g/10min);
(B6) :プロピレン−エチレン結晶性共重合体(結晶融点165℃、エチレン成分含有量7.5重量%、MFR(230℃;2.16kgf)0.6g/10min);
(ポリエチレン樹脂)
(C1) :低密度ポリエチレン樹脂(結晶融点107℃、密度0.90〜0.93g/cm3;MI(190℃;2.16kgf)2g/10min);
(C2) :高密度ポリエチレン樹脂(結晶融点135℃、密度0.95〜0.97g/cm3;MI(190℃;2.16kgf)5g/10min);
(C3) :直鎖状低密度ポリエチレン樹脂[結晶融点123℃、密度0.92〜0.94g/cm3,MI(190℃;2.16kgf)8g/10min];
(鉱物油)
(e1) :パラフィン系鉱物油(動粘度380cSt(40℃);商標:ダイアナプロセスオイルPW380(出光興産社製));
(e2) :ナフテン系鉱物油;
(ポリ燐酸アンモニウム)
(h1) :メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム;
(h2) :市販ポリ燐酸アンモニウム(商標:Exolite 422(ヘキスト社製));
(1,3,5-トリアジン誘導体)
(j1) :2-ピペラジニレン-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジンのポリマー(重合度(n)=約11);
(滑剤)
(f1) :キシリレンジアミン脂肪族カルボン酸ジアミド[商品名:ライトアマイドWH-195(共栄社化学社製)];
(加工安定剤)
(z1) :テトラキス[メチレン 3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン[商品名:Irganox 1010(日本チバガイキー社製)];
(z2) :ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:MERK PEP-24G(旭電化社製));
(z3) :ステアリン酸カルシウム(滑剤としても作用する)
【0103】
【実施例1】
<組成物(G1)の調製>
組成物(D1)((A1)60重量%、(B1)28重量%及び(C1)12重量%からなる重合体組成物)100重量部に伸展油として(e1)20重量部及び加工安定剤として複合安定剤((z1)0.1重量部、(z2)0.1重量部及び(z3)0.1重量部からなる組合せ)をヘンシェルミキサー(商品名)内で混合した。得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して230℃で溶融混練し、押出してペレット状の組成物(G1)を得た。
【0104】
上記の組成物(G1)100重量部に対して難燃剤((h1)33重量部及び(j1)11重量部)並びに滑剤(f1)1重量部を添加してヘンシェルミキサー(商品名)内で混合した。得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に供給して200℃で溶融混練し、押出してペレット状の最終組成物(F1)を得た。最終組成物(F1)へ到る処方を表1に示す。
【0105】
得られた最終組成物(F1)を用いて、上述の特性評価、即ちカレンダー成形時の(1)ロールへの粘着性および(2)ロール上のバンクからのベロ出し性、並びにシート状試験片に対する(3)真空成形時の耐型破れ性、(4)シボ残存度合い及び(5)難燃性(燃焼速度)の測定および評価を行なった。それらの結果を表4に示す。
【0106】
【実施例2】
組成物(D2)((A1)50重量%、(B1)35重量%及び(C1)15重量%からなる組成物)を用いた以外には実施例1と同じ処方で同様に操作して組成物(G2)を得、これを用いて実施例1におけると同じ処方で同様に操作して最終組成物(F2)を得た。この最終組成物(F2)へ到る処方を表1に示す。
【0107】
最終組成物(F2)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0108】
【実施例3】
組成物(D3)((A1)70重量%、(B1)21重量%及び(C1)9重量%からなる組成物)を用いて組成物(G3)を得た以外には実施例1におけると同じ処方で同様に操作して最終組成物(F3)を得た。この最終組成物(F3)へ到る処方を表1に示す。
【0109】
最終組成物(F3)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0110】
【比較例1】
組成物(D4)((A1)40重量%、(B1)42重量%及び(C1)18重量%からなる組成物)を用いた以外には実施例1と同じ処方で同様に操作して組成物(G4)を得、これを用いて実施例1と同様に操作して最終組成物(F4)を得た。この最終組成物(F4)へ到る処方を表1に示す。
【0111】
最終組成物(F4)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0112】
【比較例2】
組成物(D5)((A1)80重量%、(B1)14重量%及び(C1)6重量%からなる組成物)を用いた以外には実施例1におけると同じ処方で同様に操作して組成物(G5)を得、これを用いて実施例1におけると同一処方で同様に操作して最終組成物(F5)を得た。
【0113】
この最終組成物(F5)へ到る処方を表1に示す。最終組成物(F5)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0114】
表4にも示されるように、実施例1〜3の各最終組成物[それぞれ(F1)、(F2)、(F3)]及びそれらから得られた各シート試験片は評価項目の何れにも問題無く合格した。
【0115】
比較例1の最終組成物(F4)はロール粘着性の点で不合格であった。
また、比較例2の最終組成物(F5)はベロ出し性の点で、その組成物(F5)から得られたシート試験片は真空成形時の耐型破れ性及びシボ残存率の点で不合格であった。
【0116】
【実施例4】
実施例1の組成物(G1)と同一の処方の組成物(G6)100重量部に対して、難燃剤((h1)25重量部及び(j1)8重量部)並びに滑剤として(f1)1重量部を添加してヘンシェルミキサー(商品名)を用いて一括混合した。この混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して200℃において溶融混練し、押出してペレット状の最終組成物(F6)を得た。この最終組成物(F6)へ到る処方を表1に示す。
【0117】
最終組成物(F6)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0118】
【実施例5】
実施例1の組成物(G1)と同一の処方の組成物(G7)100重量部に対して、難燃剤((h1)50重量部及び(j1)17重量部)並びに滑剤として(f1)1重量部を添加してヘンシェルミキサー(商品名)を用いて一括混合した。この混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入し、200℃において溶融混練し、押出してペレット状の最終組成物(F7)を得た。この最終組成物(F7)へ到る処方を表1に示す。
【0119】
最終組成物(F7)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0120】
【比較例3】
実施例1の組成物(G1)と同一の処方の組成物(G8)100重量部に対して難燃剤((h1)20重量部及び(j1)4重量部)並びに滑剤として(f1)1重量部)を添加してヘンシェルミキサー(商品名)を用いて一括混合した。この混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して200℃において溶融混練し、押出してペレット状の最終組成物(F8)を得た。この最終組成物(F8)へ到る処方を表1に示す。
【0121】
最終組成物(F8)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0122】
【比較例4】
実施例1の組成物(G1)と同一の処方の組成物(G9)100重量部に対して、難燃剤((h1)75重量部及び(j1)25重量部)及び滑剤として(f1)1重量部を添加してヘンシェルミキサー(商品名)を用いて混合した。この混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して200℃において溶融混練し、押出してペレット状の最終組成物(F9)を得た。この最終組成物(F9)へ到る処方を表1に示す。
【0123】
最終組成物(F9)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
表4にも示されるように、実施例4及び5の各最終組成物(それぞれ(F6)、(F7))からなるそれぞれの試験片は評価項目の何れにも問題無く合格した。
【0124】
比較例3の最終組成物(F8)から形成されたシート試験片は燃焼速度の点で不合格であった。
比較例4の最終組成物(F9)は(1)ロール粘着性及び(2)ベロ出し性の点で並びに最終組成物(F9)から形成されたシート試験片は(3)真空成形時の耐型破れ性の点で不合格であった。
【0125】
【実施例6】
組成物(D10)((A1)60重量%、(B2)28重量%及び(C1)12重量%からなる組成物)に伸展油として鉱物油(e1)20重量部を用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して組成物(G10)を得た。この組成物(G10)を用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して最終組成物(F10)を得た。この最終組成物(F10)へ到る処方を表2に示す。
【0126】
最終組成物(F10)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0127】
【比較例5】
実施例1の組成物(D1)と同一の処方の組成物(D11)100重量部に対して、鉱物油(e1)を5重量部用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して組成物(G11)を得た。この組成物(G11)を用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して最終組成物(F11)を得た。最終組成物(F11)へ到る処方を表2に示した。
【0128】
最終組成物(F11)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0129】
【比較例6】
実施例1の組成物(D1)と同一の処方の組成物(D12)100重量部に対して、鉱物油(e1)を40重量部用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して組成物(G12)を得た。その組成物(G12)を用いた以外は実施例1と同じ処方で同様に操作して最終組成物(F12)を得た。この最終組成物(F12)へ到る処方は表2に示す。
【0130】
最終組成物(F12)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0131】
【比較例7】
実施例1の組成物(D1)と同一の処方の組成物(D13)100重量部に対して、鉱物油(e1)を20重量部用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して組成物(G13)を得た。この組成物(G13)を用い、かつ滑剤を配合しない外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して最終組成物(F13)を得た。最終組成物(F13)へ到る処方を表2に示す。
【0132】
最終組成物(F13)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0133】
【比較例8】
組成物(D14)((A2)60重量%、(B1)28重量%及び(C1)12重量%からなる組成物)を用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して組成物(G14)を得た。この組成物(G14)を用いる外には実施例1と同じ処方で同様に操作して最終組成物(F14)を得た。最終組成物(F14)へ到る処方を表2に示す。
【0134】
最終組成物(F14)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0135】
【比較例9】
組成物(D15)((A1)60重量%、(B3)28重量%及び(C1)12重量%からなる組成物)を用いた以外には実施例1と同じ処方で同様に操作して組成物(G15)を得た。その組成物(G15)を用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して最終組成物(F15)を得た。最終組成物(F15)へ到る処方を表2に示した。
【0136】
最終組成物(F15)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0137】
【比較例10】
組成物(D16)((A1)60重量%、(B4)28重量%及び(C1)12重量%からなる組成物)を用いた以外には実施例1と同一の処方で同様に操作して組成物(G16)を得た。この組成物(G16)を用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して最終組成物(F16)を得た。最終組成物(F16)へ到る処方を表2に示す。
【0138】
最終組成物(F16)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0139】
【比較例11】
組成物(D17)((A1)60重量%、(B5)28重量%及び(C1)12重量%からなる組成物)を用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して組成物(G17)を得た。この組成物(G17)を用いる以外には実施例1と同じ処方で同用に操作して最終組成物(F17)を得た。最終組成物( F17)へ到る処方を表2に示す。
【0140】
最終組成物(F17)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0141】
【比較例12】
組成物(D18)((A1)60重量%、(B1)28重量%及び(C2)12重量%からなる組成物)を用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して組成物(G18)を得た。この組成物(G18)を用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して最終組成物(F18)を得た。最終組成物( F18)へ到る処方を表2に示す。
【0142】
最終組成物(F18)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0143】
【比較例13】
組成物(D19)((A1)60重量%、(B1)28重量%及び(C3)12重量%からなる組成物)を用いた以外は、実施例1と同じ処方で同様に操作して組成物(G19)を得た。この組成物(G19)を用いた以外は、実施例1と同一処方で同様に操作して最終組成物(F19)を得た。最終組成物(F19)へ到る処方を表2に示す。
【0144】
最終組成物(F19)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
表4にも示されるように、実施例6の最終組成物(F10)及びそれから形成されたシート試験片は評価項目の何れにも問題無く合格した。
【0145】
比較例5の最終組成物(F11)はロール粘着性及びベロ出し性の双方の点で不合格であった。
比較例6の最終組成物(F12)から形成されたシート試験片は燃焼速度及びシボ残存度合いの双方の点で不合格であった。
【0146】
比較例7の最終組成物(F13)はロール粘着性の点で不合格であった。
比較例8の最終組成物(F14)はロール粘着性の点で不合格であった。
比較例9の最終組成物(F15)はロール粘着性の点で及びそれから形成されたシート試験片は真空成形時の耐型破れ性の双方の点で不合格であった。
【0147】
比較例10の最終組成物(F16)はロール粘着性の点で及びそれから形成されたシート試験片は真空成形時の耐型破れ性の双方の点で不合格であった。
比較例11の最終組成物(F17)から形成されたシート試験片はシボ残存度合いの点で不合格であった。
【0148】
比較例12の最終組成物(F18)から形成されたシート試験片は真空成形時の耐型破れ性の点で不合格であった。
比較例13の最終組成物(F19)はロール粘着性の点で不合格であった。
【0149】
【比較例14】
組成物(D20)((A1)70重量%、(B3)15重量%及びエチレン系樹脂(C)には属しないがそれに対応する成分としてポリイソブチレン樹脂 (商品名:ビスタネックスMML-100(エッソ石油会社製)) 15重量%からなる組成物)100重量部に、伸展油として鉱物油(e2)30重量部、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(架橋剤)0.25重量部及びジビニルベンゼン(架橋助剤)0.25重量部)を添加し、これに実施例1におけると同一の加工安定剤を同量で配合し、これをヘンシェルミキサー(商品名)に装入して一括混合した。得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して230℃で溶融混練及び架橋を行なった後に押出してペレット状の組成物(G20)を得た。
【0150】
得られたペレット(G20)77重量部に、(C1)23重量部、難燃剤((h1)33重量部及び(j1)11重量部)および滑剤(f1)1重量部を配合してヘンシェルミキサー内で混合した。得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して200℃で溶融混練し、押出してペレット状の最終組成物(F20)を得た。この最終組成物(F20)へ到る処方は表3に示す。
【0151】
最終組成物(F20))およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0152】
【比較例15】
組成物(D21)((A1)80重量部及び(B3)20重量部)に鉱物油(e2)30重量部、加工助剤として実施例1と同一の複合安定剤(実施例1と同量)、架橋剤として1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(架橋剤)0. 25重量部及びジビニルベンゼン(架橋助剤)0.25重量部をヘンシェルミキサー(商品名)内で混合した。得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して230℃で溶融混練し、架橋を行ないながら押出してペレット状の架橋された組成物(G21)を得た。
【0153】
次に組成物(D22)((A1)50重量部及び(B3)50重量部からなる組成物)をヘンシェルミキサー(商品名)内で混合し、得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して230℃で溶融混練し、押出してペレット(D22)を得た。
【0154】
得られたペレット状の架橋された組成物(G21)60重量部、ペレット(D22)40重量部、難燃剤((h1)33重量部及び(j1)11重量部)、及び滑剤として(f1)1重量部を配合してヘンシェルミキサー(商品名)内で混合した。えられた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して200℃で溶融混練し、押出してペレット状の最終組成物(F21)を得た。この最終組成物( F21)へ到る処方は表3に示す。
【0155】
得られたペレット状の最終組成物(F21)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0156】
【比較例16】
組成物(D23)((A1)50重量部及び(B6)50重量部)に、実施例1と同一の加工安定剤(実施例1と同量)、架橋剤として1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(架橋剤)0.5重量部及びジビニルベンゼン(架橋助剤)0.5重量部をヘンシェルミキサー(商品名)内で混合した。得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して230℃で溶融混練しながら架橋を行ない、押出して架橋ペレット状組成物(G23)を得た。
【0157】
得られた架橋ペレット状組成物(G23)100重量部に、難燃剤((h1)29重量部及び(j1)14重量部)、及び滑剤(f1)1重量部を配合してヘンシェルミキサー(商品名)内で混合した。得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、 商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して200℃で溶融混練し、押出してペレット状の最終組成物(F23)を得た。この最終組成物(F23)へ到る処方を表3に示す。
【0158】
得られたペレット状の最終組成物(F23)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0159】
【比較例17】
組成物(D24)((A1)50重量部及び(B6)50重量部)及び実施例1と同一の加工安定剤(実施例1と同量)をヘンシェルミキサー(商品名)内で混合した。得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して230℃において溶融混練及び押出してペレット状の組成物(G24)を得た。
【0160】
得られたペレット状の組成物(G24)100重量部に対して、難燃剤として((h1)29重量部及び(j1)14重量部)及び滑剤として(f1)1重量部を配合し、ヘンシェルミキサー(商品名)内で一括混合した。得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して200℃にて溶融混練及び押出してペレット状の最終組成物(F24)を得た。この最終組成物(F24)へ到る処方を表3に示す。
【0161】
得られたペレット状の最終組成物(F24)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。
【0162】
【比較例18】
組成物(D25)((A2)38重量部、(B6)42重量部及び(C2)20重量部)、実施例1と同一の加工安定剤(実施例1と同量)をヘンシェルミキサー(商品名)内で混合した。得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して230℃において溶融混練し、押出してペレット状の組成物(G25)を得た。
【0163】
得られたペレット状の組成物(G25)100重量部に対して、難燃剤として((h1)38重量部及び(j1)15重量部)、及び滑剤として(f1)1重量部を配合してヘンシェルミキサー(商品名)内で混合した。得られた混合物を二軸押出機(L/D=45、商品名KTX-44(神戸製鋼所製))に装入して200℃において溶融混練し、押出してペレット状の最終組成物(F25)を得た。この最終組成物(F25)へ到る処方を表3に示す。
【0164】
得られたペレット状の最終組成物(F25)およびシート状試験片の特性評価試験(1)〜(5)を実施例1と同様に行なった。得られた測定結果を表4に示す。表4にも示されるように、比較例14〜16の最終組成物(それぞれ(F20)、(F21)および(F23))は(1)ロール粘着性、(2)ベロ出し性並びに前記の組成物から形成されたシート試験片に対する(3)真空成形時の耐型破れ性、(4)シボ残存率及び(5)難燃性の全てにおいて同時には合格できなかった。
【0165】
また、比較例17及び18の最終組成物((F24)、(F25))は(1)ロール粘着性及び(2)ロールバンク部ベロ出し性において、得られたシート試験片は(3)真空成形時の耐型破れ性、(4)シボ残存率及び(5)難燃性の全てにおいて同時に合格することはできなかった。
【0166】
【表1】
【0167】
【表2】
【0168】
【表3】
【0169】
【表4】
【0170】
【発明の効果】
本発明に係る自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、カレンダー成形法における一次成形性及びシボ付け、圧空成形法および真空成形法等における二次成形性のいずれにも優れ、かつ得られる成型品が自動車内装材用途に適する柔軟性及び難燃性を備えるとともに、火災等の際の熱分解に伴う腐食性のガス又は有毒ガス等の発生が、ハロゲン系難燃剤が配合された組成物と比較して、極めて低い。
【0171】
また、本発明に係る積層体は、自動車内装材用途に適する柔軟性及び難燃性を備えるとともに、柔らかい触感(ソフト感)に優れ、かつ二次加工性にも優れているため、自動車内装材、具体的にはドアトリム、インストルメントパネル及び天井等の表皮材に極めて有用である。
Claims (7)
- エチレン・α-オレフィン系共重合体エラストマー(A)(ムーニー粘度:ML1+4(100℃)40〜100)50〜70重量%、ポリプロピレン樹脂(B)(結晶融点140〜165℃、エチレン成分含有量1〜2重量%)35〜21重量%および低密度ポリエチレン樹脂(C)(密度0.90〜0.93g/cm3、結晶融点102〜118℃)15〜9重量%からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)100重量部と、鉱物油(e)10〜30重量部と、からなる油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)、および
前記油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)100重量部に対して、25〜50重量部のメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)、8〜17重量部の下記の一般式(I)で表される化学構造を有する1,3,5-トリアジン誘導体(j)、および0.1〜3重量部の滑剤(f)を含むことを特徴とする自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物:
- 前記ポリプロピレン樹脂(B)が、結晶性プロピレン−エチレン共重合体又は結晶性プロピレン単独重合体と、エチレン成分含有量0.5〜4重量%のプロピレン−エチレン共重合体とからなるプロピレン重合体組成物であり、その重合体組成物全体が、エチレン成分含有量1〜2重量%である請求項1に記載の自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記鉱物油(e)が、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(D)100重量部に対して、15〜25重量部含まれる請求項1又は2に記載の自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記滑剤(f)が、前記油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)100重量部に対して、0.5〜2重量部含まれる請求項1〜3の何れかに記載の自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム(h)が、前記油展オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(G)100重量部に対して、28〜40重量部含まれる請求項1〜4の何れかに記載の自動車内装材表皮用の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
- ポリオレフィン系樹脂から形成される発泡体シートと請求項1〜5の何れかに記載の難燃性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から形成される難燃性シートとからなる自動車内装材表皮用の積層体。
- 前記発泡体シートが、発泡倍率20〜30倍かつ平均肉厚1〜3mmであり、前記難燃性シートが、平均肉厚0.25〜0.45mmである請求項6に記載の自動車内装材表皮用の積層体。
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