JP3732652B2 - 空冷スラグ排出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却残滓や飛灰、下水汚泥、破砕不燃物等の被溶融物を溶融処理する溶融炉から出湯された溶融スラグを、モールド内で空冷固化して空冷スラグとして取り出せるようにした空冷スラグ排出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市ごみ等の焼却炉から排出される焼却残滓や飛灰(以下被溶融物と云う)の減容化及び無害化を図る為、前記被溶融物の溶融固化処理法が注目され、現実に実用に供されている。即ち、被溶融物を溶融処理して固化すると、容積を1/2〜1/3に減らすことができると共に、重金属等の有害物質の溶出防止や溶融スラグの再利用(骨材や路盤材等への利用)、最終埋立て処分場の延命等が可能になるからである。
【0003】
而して、前記被溶融物の溶融固化処理方法には、アーク溶融炉やプラズマアーク炉、電気抵抗炉等を使用し、電気エネルギーによって被溶融物を溶融してから冷却固化する方法と、表面溶融炉や旋回溶融炉、コークスベッド炉等を使用し、燃料の燃焼エネルギーによって被溶融物を溶融してから冷却固化する方法とが多く利用されている。中でも、ごみ焼却設備に発電設備が併置されている場合には、前者の電気エネルギーを用いる方法が、又、発電設備が併置されていない場合には、後者の燃焼エネルギーを用いる方法が夫々多く採用されている。
【0004】
更に、溶融炉から出湯された溶融スラグを冷却固化する方法としては、溶融スラグを溶融炉の下方位置に配設した水槽内へ落下させ、水により急冷固化して水砕スラグとする水冷方法と、溶融スラグを溶融炉の下方位置に配設したモールドコンベヤのモールド内へ落下させ、モールドの移動中にモールド内の溶融スラグを大気中或いはハウジング内で空冷固化して空冷スラグとする空冷方法とがある。
【0005】
図3は溶融炉から出湯された溶融スラグSを空冷スラグS′として取り出す従来の空冷スラグ排出装置20の概略断面図であり、当該空冷スラグ排出装置20は、溶融炉21の出湯口21aの下方位置に略水平姿勢で配置され、溶融スラグ落口22aを形成するシュート22を介して出湯口21aに連通状に接続されたハウジング23と、ハウジング23内に略水平姿勢で配設され、ハウジング23内を略水平方向へ周回するチェーン24にハウジング23内へ落下排出された溶融スラグSを受け入れる複数のトレー形状のモールド25を隣接状態で取り付けたモールドコンベヤ26とから構成されている。
【0006】
而して、前記空冷スラグ排出装置20は、溶融炉21の出湯口21aからシュート22を経てハウジング23内へ落下排出された溶融スラグSをモールド25により受け取り、モールド25がハウジング23内を移動する間にモールド25内の溶融スラグSを空冷固化して空冷スラグS′とし、この空冷スラグS′をモールド25の反転時にハウジング23の一端部側に形成した空冷スラグ排出口23aからハウジング23外へ落下排出するようにしたものである。
【0007】
このようにして、溶融スラグSを固形状の空冷スラグS′とすると、焼却残滓や飛灰等の被溶融物に比して大幅に減容化することができ、埋立て処理に有利になると共に、物理的・化学的に安定して重金属等の有害物質の溶出もなくなり、無公害化を達成することができる。又、空冷スラグS′は、路盤材や骨材等への有効利用が可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、前記空冷スラグ排出装置20に於いては、モールドコンベヤ26のモールド25がハウジング23の空冷スラグ排出口23aの上方位置で反転したときに、モールド25内の空冷スラグS′がモールド25から落下せず、反転したモールド25の移動途中に於いて空冷スラグS′がハウジング23内へ落下することがしばしばあった。その結果、落下した空冷スラグS′がモールドコンベヤ26の下方位置(ハウジング23の底部)に堆積することになり、この堆積した空冷スラグS′がモールドコンベヤ26へ衝突したり、噛み込んだすることによってモールドコンベヤ26が運転不能となったり、或いはモールドコンベヤ26のチェーン24やチェーン24とモールド25の固定部分が変形する等のトラブルが発生した。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、反転したモールド内に残っている空冷スラグを強制的に落下させてハウジング外へ排出し、ハウジング内への空冷スラグの堆積を防止してモールドコンベヤの正常な運転を維持できるようにした空冷スラグ排出装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願請求項1の発明は、後方部の上壁にシュートを介して溶融炉の出湯口が連通状態で接続されると共に、前方部の下壁に空冷スラグ排出口を備えたハウジングと、前記ハウジング内に水平若しくは前方部を僅かに高めた傾斜状態で配設され、出湯口からハウジング内へ落下排出された溶融スラグを受け入れる複数のモールドを備えたモールドコンベヤとから成り、モールド内へ受け入れられた溶融スラグをモールドの移動中にモールド内で空冷固化し、この空冷により固化したスラグをモールドの反転時に前記空冷スラグ排出口内へ落下排出するようにした空冷スラグ排出装置に於いて、前記各モールドの後方の側壁の上端に後方へ突出した鍔部を設けると共に、当該鍔部の下方に後方に位置するモールドの前方の側壁の上端面が位置するように各モールドを連結してモールドコンベアを形成し、当該モールドコンベヤの反転位置の下方に、反転直後のモールド内の空冷スラグの有無を検出する空冷スラグ検出器と、当該空冷スラグ検出器からの検出信号により作動して前記反転直後のモールド内に残っている空冷スラグを落下させる叩き落とし装置とを配設し、当該叩き落とし装置によりモールド内から叩き落された空冷スラグを前記モールドコンベヤの反転位置近傍のハウジングの下壁に設けた落下スラグ排出口を通してハウジング外へ排出するようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る空冷スラグ排出装置1を示し、当該空冷スラグ排出装置1は、都市ごみや産業廃棄物等の焼却によって生じた焼却残滓や飛灰等の被溶融物を溶融処理する溶融炉2の出湯口2aの下方位置に設置されて居り、溶融炉2の出湯口2aから出湯された溶融スラグSをモールド内で空冷固化して空冷スラグS′として取り出せるようにしたものである。
【0012】
尚、前記溶融炉2は、都市ごみ等の焼却炉から排出された焼却残滓や飛灰等の被溶融物を、溶融点以上(通常1300℃〜1500℃)に加熱して溶融スラグSとし、この溶融スラグSを出湯口2aから出湯するようにしたものである。この溶融炉2には、電気エネルギーを用いる電気溶融炉(アーク溶融炉、プラズマアーク炉、電気抵抗炉等)や油、ガス等の燃料の燃焼エネルギーを用いる燃焼式溶融炉(表面溶融炉、旋回溶融炉、コークスベッド炉等)が夫々使用されている。
【0013】
本発明の実施の形態に係る空冷スラグ排出装置1は、図1に示す如く、溶融炉2の出湯口2aの下方位置に配置され、出湯口2aに連通状態で接続されたハウジング3と、ハウジング3内に配設され、出湯口2aから出湯された溶融スラグSを周回移動するモールド4により受け取ってこれをモールド4内で空冷固化して空冷スラグS′とすると共に、モールド4の反転時にモールド4内の空冷スラグS′を落下排出するモールドコンベヤ5と、モールドコンベヤ4の近傍位置に設けられ、反転直後のモールド4内の空冷スラグS′の有無を検出する空冷スラグ検出器6と、同じくモールドコンベヤ4の近傍位置に設けられ、空冷スラグ検出器6からの検出信号により作動して反転直後のモールド4内に残っている空冷スラグS′を落下させる叩き落とし装置7とから構成されている。
【0014】
具体的には、前記ハウジング3は、図1に示す如く、耐熱性や耐火性等を有する鋼板材により断面形状が略矩形の長い箱状に形成されて居り、その一端部側(図1の右側端部)には、モールド4の反転によってモールド4から落下排出された空冷スラグS′をハウジング3外へ排出する為の下方へ開放された空冷スラグ排出口3aが形成されている。
又、ハウジング3の空冷スラグ排出口3aの近傍位置(図1に示す空冷スラグ排出口3aの左側位置)には、叩き落とし装置7によってモールド4から強制的に落下排出された空冷スラグS′をハウジング3外へ排出する為の下方へ開放された落下スラグ排出口3bが形成されている。
【0015】
そして、前記ハウジング3は、溶融炉2の出湯口2aの下方位置に若干傾斜する姿勢(空冷スラグ排出口3aを形成した一端部が他端部側よりも若干高くなる傾斜姿勢)でもって配設されて居り、溶融炉2の出湯口2aとハウジング3の上壁部3cとの間に配設されて溶融スラグ落口8aを形成するシュート8により、溶融炉2の出湯口2aに気密状で且つ連通状に接続されている。
【0016】
尚、図1に於いて、9はハウジング3の空冷スラグ排出口3aに配設されたスライド式の排出ゲート、10は落下スラグ排出口3bの下方位置に配設され、落下スラグ排出口3bからハウジング3外へ落下排出された空冷スラグS′を所定の位置まで搬送する排出コンベヤである。
【0017】
前記モールドコンベヤ5は、ハウジング3内に終端部側(図1の右側)が始端部側(図1の左側)よりも若干高くなる傾斜姿勢でもって配設されて居り、溶融スラグ落口8aからハウジング3内へ落下排出された溶融スラグSをハウジング3内を隣接状態で周回移動するモールド4により受け取り、モールド4が溶融スラグ落口8aの下方位置から空冷スラグ排出口3a側へ移動する間に、モールド4内の溶融スラグSを空気によって自然冷却して空冷スラグS′とし、この空冷スラグS′をモールド4の反転時にモールド4から落下排出するようにしたものである。
【0018】
即ち、モールドコンベヤ5は、図1に示す如く、ハウジング3内の一端部(空冷スラグ排出口3aの上方位置)に駆動軸11を介して回転自在に配設された一対の駆動スプロケット12と、同じくハウジング3内の他端部に従動軸13を介して回転自在に配設された一対の従動スプロケット14と、両スプロケット12,14に巻き回された一対の平行な無端状のチェーン15と、チェーン15間に隣接する状態で取り付けられ、溶融スラグ落口8aから排出された溶融スラグSを受け取る複数のモールド4と、ハウジング3外に配設され、上側に位置するモールド4が空冷スラグ排出口3a側へ移動するように駆動軸11及び駆動スプロケット12を回転駆動する駆動装置16(モータ及び伝動機構等から成る)等から構成されている。
【0019】
前記各モールド4は、図2に示す如く、高温の溶融スラグSに耐えられるように耐熱性や耐熱衝撃性、耐浸食性等に優れた鋳鋼や鋳鉄等により平面形状が矩形のトレー形状に形成されて居り、外周縁部の一辺には外方(後方)へ突出する鍔部4aが一体的に形成されている。この鍔部4aを形成した部分は、モールド4の他の外周縁部よりも若干低くなっている(但し、図面では鍔部4aを形成した部分とモールド4の他の外周縁部とを同じ高さで描いている)。
又、各モールド4は、略水平方向へ周回移動するチェーン15間に隣接する状態で取り付けられて居り、鍔部4aが隣接するモールド4の外周縁部の一辺に重なり合うようになっている。このように、モールド4の鍔部4aを隣接するモールド4の外周縁部に重ね合わすのは、溶融スラグ落口8aから排出された溶融スラグSがモールド4間の隙間からハウジング3の底壁部3dへ落下するのを防止すると共に、溶融炉2から排出される溶融スラグS量の変動に伴って溶融スラグSがモールド4からオーバーフローしたときに後続のモールド4内へ流れ込むようにする為である。
【0020】
尚、各モールド4の大きさは、溶融スラグSがモールド4内へ落下したときに溶融スラグS中に混在している未溶融物や不完全溶融物を溶融スラグS内へ確実に巻き込め、且つ溶融スラグSの保有熱によって未燃溶融物や不完全溶融物を完全に溶融させることができるだけの量の溶融スラグSを入れられるように選定されている。
又、モールド4の移動速度及びモールドコンベヤ5の長さ等は、上側に位置するモールド4が溶融スラグ落口8aの下方位置からハウジング3の空冷スラグ排出口3aの上方位置へ移動する間に、モールド4内に入っている溶融スラグS中の未溶融物や不完全溶融物が溶融スラグSの保有熱によって完全に溶融し、且つこの均質化した溶融スラグSが空気により徐冷固化されるように夫々選定されている。
【0021】
前記空冷スラグ検出器6は、反転直後のモールド4の近傍位置に配設されて居り、反転直後のモールド4内の空冷スラグS′の有無を検出するものである。この空冷スラグ検出器6には、例えばピストンロッド6aのストロークと移動方向を電気信号で出力するストロークセンサーを内蔵したエアシリンダが使用されている。
【0022】
具体的には、空冷スラグ検出器6は、ハウジング3の空冷スラグ排出口3aと落下スラグ排出口3bとの間で且つハウジング3の底壁部3dにこれを貫通する状態で取り付けられて居り、反転直後のモールド4が空冷スラグ検出器6の上方位置に来たときにピストンロッド6aを伸長させ、そのときのピストンロッド6aのストロークによってモールド4内の空冷スラグS′の有無を検出するものである。
即ち、空冷スラグ検出器6は、モールド4が空冷スラグ検出器6の上方位置に来たときにピストンロッド6aを伸長させ、このときのピストンロッド6aのストロークと、ピストンロッド6aがモールド4の底壁部6bに接触するときのストロークL(以下正常ストロークと云う)とを比較することによって、モールド4内の空冷スラグS′の有無を検出するものであり、ピストンロッド6aのストロークが正常ストロークLと同じに場合にはモールド4内の空冷スラグS′が落下していることを、又、ピストンロッド6aのストロークが正常ストロークLよりも短い場合にはモールド4内に空冷スラグS′が残っていることを夫々検出するようになっている。
【0023】
尚、空冷スラグ検出器6は、反転直後のモールド4が空冷スラグ検出器6の上方位置に来たときにピストンロッド6aが伸長するように、又、伸長したピストンロッド6aが反転したモールド4の底壁部6b若しくはモールド4内の空冷スラグS′に接触したときに短縮するように、コンプレッサー及び各種制御弁等から成る空気圧回路(図示省略)により駆動制御されている。
【0024】
前記叩き落とし装置7は、反転直後のモールド4の近傍位置に配設されて居り、空冷スラグ検出器6からの検出信号により作動して反転直後のモールド4内に残っている空冷スラグS′を落下させるものである。この叩き落とし装置7には、従来公知のエアハンマーが使用されている。
【0025】
具体的には、叩き落とし装置7は、ハウジング3の落下スラグ排出口3b内に配置され、支持部材17により落下スラグ排出口3b内に固定支持されて居り、反転姿勢のモールド4が叩き落とし装置7の上方位置に来たときに、ハンマーヘッド7aを上昇させてモールド4内の空冷スラグS′へ衝突させ、モールド4内の空冷スラグS′を叩き落とすようにしたものである。
この叩き落とし装置7は、空冷スラグ検出器6が反転直後のモールド4内に空冷スラグS′が残っていることを検出したときに、空冷スラグ検出器6からの検出信号により作動するようになって居り、コンプレッサー及び各種制御弁等から成る空気圧回路(図示省略)により駆動制御されている。
【0026】
尚、叩き落とし装置7、支持部材17及びハウジング3の落下スラグ排出口3bの大きさは、落下スラグ排出口3b内に叩き落とし装置7と支持部材17を配置しても、反転姿勢のモールド4から落とされた空冷スラグS′が叩き落とし装置7と支持部材17に引っ掛かることなく、落下スラグ排出口3b内を通過できるように夫々選定されている。
【0027】
次に、上述した空冷スラグ排出装置1を用いて溶融炉2から出湯される溶融スラグSを空冷スラグS′として取り出す場合について説明する。
【0028】
溶融炉2の出湯口2aから出湯された溶融スラグSは、溶融スラグ落口8aを経てハウジング3内へ落下排出され、ハウジング3内を走行するモールドコンベヤ5のモールド4(溶融スラグ落口8aの真下に位置するモールド4)に受け取られる。
このとき、溶融スラグSは、モールド4の鍔部4aが隣接する後続のモールド4の外周縁部に重なり合っている為、モールド4間の隙間からハウジング3内へ落下することがなく、モールド4へ確実に受け入れられる。又、溶融炉2から出湯される溶融スラグSの量が多くなって溶融スラグSがモールド4からオーバーフローした場合、このオーバーフローした溶融スラグSはモールド4間の隙間からハウジング3内へ落下することなく、後続のモールド4内へ流れ込むことになる。
【0029】
尚、溶融スラグS中に未溶融物や不完全溶融物が塊状に混入している場合、これらはモールド4内へ落下したときに溶融スラグSが流動性を有している為に溶融スラグS内へ自然に巻き込まれる。又、未溶融物や不完全溶融物は、溶融炉2内で加熱されているうえ、通常溶融スラグSの量に比して可なり少ない。その結果、未溶融物や不完全溶融物は、溶融スラグS内に巻き込まれることによって、溶融スラグSの保有熱で確実に溶融することになる。
【0030】
そして、モールド4内に受け入れられた溶融スラグSは、ハウジング3内を走行するモールド4により溶融スラグ落口8aの下方位置から空冷スラグ排出口3a側へ移送される。この間に、未溶融物や不完全溶融物が溶融して全体が均質化したモールド4内の溶融スラグSは、空気により徐冷固化されて空冷スラグS′となる。
【0031】
モールド4内の空冷スラグS′は、モールド4が空冷スラグ排出口3aの上方位置(駆動スプロケット12の部分)で反転する際にモールド4から外れて落下し、空冷スラグ排出口3aから排出される。
尚、空冷スラグ排出口3aから排出される空冷スラグS′は、溶融スラグSをモールド4内で空冷固化して空冷スラグS′とするようにしている為、略同じ大きさ及び形状の固形スラグとなる。
又、空冷スラグS′は、未溶融物や不完全溶融物を含んでいない為、空冷スラグS′の品質が大幅に向上すると共に、これを埋立て処理したり、有価物として有効利用する場合にも、重金属類が溶出して2次公害問題を引き起こすと云うこともない。
【0032】
一方、空冷スラグS′が落下して空になったモールド4は、引き続き反転姿勢でハウジング3内を走行し、従動スプロケット14の部分で元の姿勢に戻って溶融スラグSを受け取る姿勢となる。
【0033】
このようにして、溶融炉2の出湯口2aから出湯された溶融スラグSは、逐次モールド4内に落下して空冷固化されて空冷スラグS′となり、モールド4の反転時にモールド4から落下して空冷スラグ排出口3aから排出される。
【0034】
ところで、各モールド4内で空冷固化した空冷スラグS′の一部は、モールド4の反転時にモールド4から落下せず、反転姿勢のモールド4と一緒にハウジング3内を移送され、反転姿勢のモールド4が元の姿勢に戻るまでの間にハウジング3の底部に落下することがある。特に、モールド4内での空冷固化が不充分な空冷スラグS′は、モールド4の反転時に落下し難くなる。
【0035】
上述のように、ハウジング3の底部へ空冷スラグS′が落下して順次堆積して行くと、これがモールドコンベヤ5のチェーン15やモールド4に引っ掛かってトラブルを引き起こす原因になる。
【0036】
このトラブルを避ける為、本発明の空冷スラグ排出装置1は、反転直後のモールド4の近傍位置に空冷スラグ検出器6及び叩き落とし装置7を夫々配設し、空冷スラグ検出器6により反転したモールド4内に残っている空冷スラグS′を検出すると共に、モールド4内に空冷スラグS′が残っている場合にはこの空冷スラグS′を叩き落とし装置7によりモールド4から叩き落としてハウジング3外へ排出するようにしている。
【0037】
即ち、反転直後のモールド4が空冷スラグ検出器6の上方位置に来たときに、空冷スラグ検出器6が作動し、当該空冷スラグ検出器6によって反転直後のモールド4内の空冷スラグS′の有無が検出される。
【0038】
空冷スラグ検出器6により反転直後のモールド4内に空冷スラグS′が残っていることが検出された場合には、空冷スラグS′の残っているモールド4が叩き落とし装置7の上方位置に来たときに、空冷スラグ検出器6からの検出信号により叩き落とし装置7が作動し、ハンマーヘッド7aを上昇させてモールド4内に残っている空冷スラグS′を強制的に叩き落とす。
【0039】
そして、モールド4から叩き落とされた空冷スラグS′は、叩き落とし装置7がハウジング3の落下スラグ排出口3b内に配置されていることとも相俟って、落下スラグ排出口3bから落下排出され、その下方位置に配設した排出コンベヤ10により所定の位置まで搬送される。
【0040】
このように、この空冷スラグ排出装置1に於いては、空冷スラグS′がハウジング3の底壁部3dに堆積してモールドコンベヤ5のチェーン15やモールド4と衝突したり、或いは空冷スラグS′がチェーン15やモールド4に噛み込むと云うことがなく、空冷スラグS′とモールドコンベヤ5との接触や衝突、噛み込みによるトラブル(例えばモールドコンベヤ5の破損等)を確実に回避することができる。
又、ハウジング3の空冷スラグ排出口3aと落下スラグ排出口3bとは隣接する状態で形成されている為、反転したモールド4が叩き落とし装置7の真上まで移動する間にモールド4内の空冷スラグS′が落下しても、この落下した空冷スラグS′は空冷スラグ排出口3a若しくは落下スラグ排出口3bの何れかに落下排出されることになり、ハウジング3内に残ると云うこともない。
【0041】
尚、上記実施の形態に於いては、焼却残渣や飛灰から成る被溶融物を溶融スラグSとし、これをモールドコンベヤ5を用いて空冷スラグS′とするようにしたが、他の実施の形態に於いては、下水汚泥や破砕不燃物等を溶融して溶融スラグSとし、これをモールドコンベヤ5を用いて空冷スラグS′とするようにしても良い。
【0042】
上記実施の形態に於いては、ハウジング3及びモールドコンベヤ5を若干傾斜する姿勢で配置するようにしたが、他の実施の形態に於いては、ハウジング3及びモールドコンベヤ5を水平姿勢で配置するようにしても良い。この場合、溶融スラグSがモールド4からオーバーフローしたときに後続のモールド4内へ流れ込むようにしておくことは勿論である。
【0043】
上記実施の形態に於いては、モールドコンベヤ5のモールド4をトレー形状としたが、モールド4の形状等は、上記例のものに限定されるものではなく、溶融スラグSを受け取って未溶融物や不完全溶融物を溶融スラグSの保有熱で溶融することができ、且つ溶融スラグSの移送中にモールド内で空冷固化することができれば、如何なる形状及び構造のものであっても良い。
【0044】
上記実施の形態に於いては、空冷スラグ検出器6にストロークセンサーを内蔵したエアシリンダを使用するようにしたが、空冷スラグ検出器6は反転直後のモールド4内の空冷スラグS′の有無を検出することができれば、如何なる構造のものであっても良い。
【0045】
上記実施の形態に於いては、叩き落とし装置7にエアハンマーを使用するようにしたが、他の実施の形態に於いては、叩き落とし装置7にスチームハンマー、クランクハンマー等を使用するようにしても良い。
【0046】
上記実施の形態に於いては、落下スラグ排出口3bの下方位置に排出コンベヤ10を設け、叩き落とし装置7により叩き落とした空冷スラグS′を排出コンベヤ10により搬送するようにしたが、他の実施の形態に於いては、図示していないが落下スラグ排出口3bと空冷スラグ排出口3aとをシュートにより連通接続し、叩き落とし装置7により叩き落とした空冷スラグS′をシュートにより空冷スラグ排出口3a側へ排出するようにしても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明の空冷スラグ排出装置は、反転直後のモールド内の空冷スラグの有無を空冷スラグ検出器により検出し、モールド内に残っている空冷スラグを叩き落とし装置により叩き落としてこれをハウジング外へ排出できる構成としている為、モールドの反転時に落下しなかった空冷スラグがハウジング内で落下してハウジングの底部へ堆積するのを防止することができる。
その結果、ハウジング内に落下した空冷スラグがモールドコンベヤのチェーンやモールドに噛み込んだり、衝突したりするのを回避することができ、モールドコンベヤの破損等を確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る空冷スラグ排出装置の一例を示す概略縦断面図である。
【図2】空冷スラグ排出装置の要部の拡大縦断面図である。
【図3】従来の空冷スラグ排出装置の概略縦断面図である。
【符号の説明】
1は空冷スラグ排出装置、2は溶融炉、2aは出湯口、3はハウジング、3aは空冷スラグ排出口、3bは落下スラグ排出口、4はモールド、5はモールドコンベヤ、6は空冷スラグ検出器、7は叩き落とし装置、Sは溶融スラグ、S′は空冷スラグ。
Claims (1)
- 後方部の上壁にシュートを介して溶融炉の出湯口が連通状態で接続されると共に、前方部の下壁に空冷スラグ排出口を備えたハウジングと、前記ハウジング内に水平若しくは前方部を僅かに高めた傾斜状態で配設され、出湯口からハウジング内へ落下排出された溶融スラグを受け入れる複数のモールドを備えたモールドコンベヤとから成り、モールド内へ受け入れられた溶融スラグをモールドの移動中にモールド内で空冷固化し、この空冷により固化したスラグをモールドの反転時に前記空冷スラグ排出口内へ落下排出するようにした空冷スラグ排出装置に於いて、前記各モールドの後方の側壁の上端に後方へ突出した鍔部を設けると共に、当該鍔部の下方に後方に位置するモールドの前方の側壁の上端面が位置するように各モールドを連結してモールドコンベアを形成し、当該モールドコンベヤの反転位置の下方に、反転直後のモールド内の空冷スラグの有無を検出する空冷スラグ検出器と、当該空冷スラグ検出器からの検出信号により作動して前記反転直後のモールド内に残っている空冷スラグを落下させる叩き落とし装置とを配設し、当該叩き落とし装置によりモールド内から叩き落された空冷スラグを前記モールドコンベヤの反転位置近傍のハウジングの下壁に設けた落下スラグ排出口を通してハウジング外へ排出する構成としたことを特徴とする空冷スラグ排出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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