JP3731788B2 - ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、ポリエステル繊維の製造方法に関する。更に詳しくは、穿孔数が多い多孔化紡糸口金を用いての紡糸で、効率よく且つ単糸物性・染色性に斑を生じる事なく、通常の紡糸、延伸工程を経て製造されるポリエステル繊維並の物性、繊維構造を有するポリエステル繊維を容易に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルを1000〜4000ホール(以下Hと略記することがある)以上の穿孔数を有する紡糸口金を用いて多孔化溶融紡糸をする事により、紡糸生産を向上させるプロセスについては、従来から良く知られてきたところである。
しかしながら、この穿孔数を増大しようとすると、均一な冷却が非常に難しいため、冷却斑を惹起して均一な品質の繊維を得るる事が難しくなるという問題があった。
【0003】
これらの問題を解決するため、特開平8−218217公報では、糸条の最内周列側と最外周列側の両側から冷却風を吹き出して、均一に冷却しようとする試みがなされている。しかしながら、上記の冷却装置は複雑で従来の冷却筒を大幅に変更しなければならないという問題が残った。
【0004】
又、ポリエステルにポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン等を添加すると、紡糸速度を高めても分子配向が上がらず、残留伸度の大きいポリエステル未延伸糸が得られ、高倍率での延伸が可能となり、生産性が向上する事が知られている(特公昭63ー32885号公報)。しかしながら、該方法は、高速紡糸下での分子配向を抑制し、残留伸度の大きい未延伸糸を得る事を目的とする物であり、低速領域(1000m/分)での特異性に注目した物ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、本発明は、単一紡糸口金当たり1000H以上の穿孔数を有する紡糸口金を用いたポリエステル溶融紡糸でも、糸条の内・外周間で配向・結晶化度等の物性や染色性等に斑を発生させず、しかも断糸による工程調子の悪化も起こらず、複雑な設備改良を必要としない紡糸技術を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために、種々検討を重ねて行く過程で、1000H以上の穿孔数を有する紡糸口金を用いた溶融紡糸において、分子配向を抑制する効果のあるとされているポリメタクリレート、ポリスチレン等のポリマーを添加してみた所、驚くべき事に、複雑な設備改造なしに、単糸物性斑の無い、染色性良好なポリエステル繊維が得られる事を見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は、下記式(2)で示される繰り返し単位を有するポリマーを0.1〜5重量%含むポリエステルを1000H以上の穿孔数を有する紡糸口金から溶融紡糸してポリエステル繊維を製造する方法である。
【0008】
【化2】
【0009】
紡糸口金の穿孔数を増加させていくには、一般に、複数列の同心円上に穿設されたポリマー吐出孔群を有する紡糸口金を用い、この紡糸口金の外周から均一に冷却する円筒冷却装置が用いられる。しかしながら、穿孔数の増加に伴い、外周から吹き付ける冷却風は最内周まで通り抜けしにくくなり、最内周の糸条付近の温度は、最外周糸条付近の温度より高くなっていく。
【0010】
ポリエステル繊維は、258℃以下で固化が始まり、固化の進行に伴い、配向が進んで行く。更に、135〜155℃で結晶化が始まるが、ポリエステルの比熱が低いため、1000m/分程度の紡糸速度で巻き取られる。
【0011】
紡糸原糸は、十分に配向が進行するまでに結晶化温度以下に冷却されてしまうために、一般に、非晶状態で巻き取られる。しかしながら、穿孔数が1000Hを越えると、穿孔数の増加に伴い最内周の糸条付近の温度が上昇し、冷却筒下部においても、150℃以上の温度となる。このような高温に長時間さらされたポリエステル繊維は、配向が進行しながら結晶化も進行する事から、配向結晶化の高いポリエステル繊維となる。一方、最外周の糸条は、通常の冷却風温度(40℃以下)に冷却筒下部までに冷却されているため、非晶状態で巻き取られる。
【0012】
このような、結晶性の異なる糸条が混在すると、その後の延伸性が著しく低下し、延伸後の物性もバラツキ、染色も斑の大きな製品となってしまう。
【0013】
本発明は、結晶化温度範囲内に長時間さらされても、配向が抑制され、結晶化が進行しない様なポリマー改質を意図した物である。
【0014】
本発明において用いられているポリエステルは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸性分とする繊維形成能を有するポリエステルであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等を挙げる事が出来る。
【0015】
又、これらのポリエステルは第3成分として、他のアルコール又はイソフタール酸等の他のカルボン酸を共重合させた共重合体でもよい。就中、ポリエチレンテレフタレートが最適である。
【0016】
これらのポリエステルには、必要に応じて艶消し剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、末端停止剤、蛍光増白剤等が含まれていても良い。
【0017】
又、これらのポリエステルは、紡糸性及び糸条物性の観点から固有粘度が、0.5〜1.1で有ることが望ましい。
【0018】
上記ポリエステルに添加混合するポリマーは、実質的に前記式(2)で示される繰り返し単位を有している事が必要であり、更に、側鎖を形成するR1、R2がバルキーである事が必要である。R1、R2の分子量の和が40以上で有れば、本発明の目的とする高温下での力学特性維持効果が十分に達成されるが、40に満たない場合には、該効果は殆ど認められなくなる。
【0019】
かかるポリマーの代表的な例としては、ポリメチルメタクリレート及びその誘導体、ポリアクリレート及びその誘導体、ポリスチレン及びその誘導体ポリオクタジセン−1、ポリビニルベンジル及びその誘導体等が挙げられる。特に、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンは好ましい例である。
【0020】
更に、このようなポリマーは、前記式(2)で示される繰り返し単位を有するポリマーの混合体あるいは共重合体で合っても良いが、平均の分子量が1000以上であることが好ましい。分子量が1000未満のプレポリマー又は、オリゴマーの場合には、本発明の目的とする高温下での力学特性維持効果は少ない。
【0021】
本発明における該ポリマーのポリエステルへの添加量は、ポリエステルの重量基準で0.1〜5重量%で有ることが望ましい。0.1%未満では本発明の効果は認められず、一方、5重量%を越える場合には、製糸工程において単糸切れ、引き取りローラ巻き付きが多発し、工程調子を悪くなるほか、得られる糸の強伸度等の力学的特性が低下する。
【0022】
前記式(2)の繰り返し単位を有するポリマーをポリエステルへ添加するに際しては、任意の方法を採用する事ができる。例えば、ポリエステルの重合工程で行っても良く、又、ポリエステルと前記ポリマーとを溶融混合して、押出し冷却後、切断してチップ化してもよい。
【0023】
さらには、両者をチップ状で混合した後、そのまま溶融紡糸してもよい。この場合には、混練度を高めるため、スクリュー型溶融押出機を用いるのが好ましい。いずれの方式を採用するにしても、混合を十分に行い、添加ポリマーがポリエステル中に細かく均一に分散混合する様に配慮する事が重要である。混練が不十分で、ポリエステル中に添加ポリマーが海島状に混在している様な場合には、力学特性維持効果が認められず、フィブリル化といった好ましくない現象が現れてくる。
【0024】
特公平7ー173720号公報にも記載されている様に、ポリエステルにポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等を添加すると、高速紡糸下でも分子配向が上がらず、強度等の力学特性低下が起こらず通常の延伸糸と同等の力学物性を有するポリエステル繊維が得られる事が知られているが、通常の速度(1000m/分)の溶融紡糸時、穿孔数を1000H以上に増加させた時、単糸間に物性バラツキがなく、染色斑もないポリエステル繊維が得られる事は全く予想出来なかった事である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1〜6、比較例1〜3;固有粘度が0.63で、酸化チタンを0.05%を含有するポリエチレンテレフタレートを用い、通常の方法で乾燥させた後、これにポリメチルメタクリレート(PMMA)をチップ状で種々の比率で混合し、300℃で溶融押し出しを行い、PMMAをポリエステル中に均一に拡散させた。
【0027】
次いで、ノズル穿孔最外周284m/mのノズルに4640Hのノズル孔を穿孔した紡糸口金を用い、0.2m/mの孔径から溶融ポリマーを吐出し、紡糸巻き取り速度1000m/分、冷却風速1.2m/秒で紡糸した。紡糸した未延伸糸は、60℃の温度で3.0倍で延伸を行ない、単糸デニールが2drとなる様調節した。
【0028】
PMMA添加量と、得られた繊維の強・伸度特性、染色判定および紡糸製造時の工程性等につき、表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
PMMA添加量が、0.1未満では、未延伸糸の破断伸度がバラツキ、延伸時ローラーに巻き付きが発生し、工程性が著しく阻害された。又、出来あがった製品は染色斑2級以上で格外判定となった。PMMA添加量が0.1%以上5%以下では、力学物性を有る程度維持したまま、染色判定も1級で良好であった。添加量が5%を越えると、紡糸時単糸切れが発生し、更に強度が実用に対応出来るものとはならなかった。
【0031】
実施例7〜9、比較例4〜5;実施例3に於いて、PMMAに代えて、分子量約4000のポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリ(4ーメチルー1ーペンテン)をそれぞれ使用し、ポリエステル繊維を得た。
結果を下記表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
前記式(1)のR1、R2の分子量の和が40以上のポリマーを添加した場合は、力学特性維持の効果を保ちつつ、物性斑、染色斑の少ない製品を得る事が出来た。しかし分子量の和が40未満のポリマーを添加した場合は、十分な効果が得られなかった。
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