JP3556548B2 - ポリプロピレン未延伸糸およびその製造方法 - Google Patents
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン未延伸糸および、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン繊維は、溶融紡出後、冷却固化した未延伸糸を延伸したり延伸同時仮撚、いわゆる延撚して用いることが一般的である。未延伸糸を延伸することにより、強度、弾性が向上した延伸糸が得られる。ポリプロピレン延伸糸を得るには、未延伸糸を製造した後に延伸する方法と、紡糸後引き続き連続的に延伸する方法とがあり、前者は各種要求性能に応じやすく他品種対応に優れている。ポリプロピレン延伸糸は、その優れた特性から、カーペットのパイルヤーン、養生ネット等建築土木資材、自動車内装材など、各種織編物、不織布として広く用いられている。
【0003】
一方、ポリプロピレン延伸糸において、工業生産における生産コストの面から、生産性の向上も合わせて要求され、生産性を上げるために高速でかつ安定に継続して溶融紡糸することができ、しかも、その物性が高速生産によって損なわれないことが極めて重要なポイントとなっている。さらに、生産におけるエネルギーコストやポリプロピレン繊維に多く使用される添加剤の種類の制限等を勘案した場合、紡糸温度をできるだけ下げることも要求されている。
【0004】
ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂は溶融紡糸時における耐熱性、耐酸化性、粘弾性、結晶化速度等の特性が曳糸性に適しているため、3500m/分以上での高速紡糸が比較的容易である。しかしながら、ポリプロピレンの場合、ポリアミドやポリエステルなどの樹脂に比べ、結晶性が高く、曳糸性が劣るので高速紡糸、高速巻き取りが難しいという問題がある。
【0005】
ポリプロピレンの高速紡糸は、例えば特公昭63−61408号公報に開示されている。この方法によれば800m/分以上で引き取ることは可能である。しかし、高速で引き取ることによって、繊維物性が大きく変わることは広く知られており、最大延伸倍率が紡糸速度、即ち紡糸引き取り速度の増大とともに小さくなることも知られている。紡糸速度を高めることで、延伸工程で採用できる延伸倍率が小さくなり、そのため、目標とする繊度の延伸糸を得るためには、低い延伸倍率に見合った繊度の小さい未延伸糸を製造せざるを得ない。このように紡糸速度の高速化は、結果的に繊度の小さい未延伸糸の生産を必要とするため、生産量すなわち吐出量の増大には大きく寄与しない等の問題点があった。
【0006】
従来から、上記の問題を克服すべく紡糸口金から紡出された糸条の結晶化を抑制すべく、高い紡糸温度を採用したり、口金から吐出された糸条を急速に冷却する方法等が考えられている。いずれも、糸条を紡糸した後、延伸する際の倍率(延伸倍率)を、高速での紡糸、および高速での延伸でも十分に採り得ることを目的としたものである。しかしながら、紡糸温度を上げて十分な延伸倍率を得るには、少なくとも250℃以上で紡糸する必要があり、その結果、曳糸性の面で紡糸が不安定になる上、エネルギーコストの増大につながる。さらに、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色顔料、分散剤、中和剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、導電防止剤、抗菌剤等の添加剤の耐熱性も要求されることになる。また、吐出直後の急冷却は、冷却風を低温に保つ必要があるため、その温度制御が困難であり、また、冷却に要するエネルギーコストが大きくなるため実用的ではない。溶融するポリプロピレン樹脂のメルトフローレート値を上げることで分子鎖同士のからみを少なくすることの効果もあるが、分子量が小さくなることに伴い繊維の強度が低下することも同時に生じる。
【0007】
また、添加剤によって延伸倍率を高める方法も考案されている。特開平4−89853号公報ではポリプロピレンにポリアミドと不飽和カルボン酸を同時に含有させることで延伸性向上効果が得られているが、分子量分布Q値が3以上でなくてはならず、Q値が3.0未満では糸物性面で劣る傾向にある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、曳糸性が良好な状態での高速紡糸を可能とし、かつ延伸工程での高い延伸倍率が採用でき、高速生産が可能なポリプロピレン未延伸糸及びその製造方法に関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を克服するため鋭意検討を重ねた結果、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーをポリプロピレンに含有せしめることで、高速紡糸を可能とし、かつ高い延伸倍率が採用できる生産性の高いポリプロピレン未延伸糸が得られることを究明した。
【0010】
すなわち本発明の第1の要旨は、ポリプロピレン100重量部に対し、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーが0.1〜10重量部の比で含有されたポリプロピレン樹脂からなることを特徴とするポリプロピレン未延伸糸にあり、弟2の要旨は、メルトフローレート値が10〜90g/10分、Q値が3.0未満のポリプロピレン100重量部に対し、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーが0.1〜10重量部の割合で混合したポリプロピレンを溶融紡糸し巻き取ることを特徴とするポリプロピレン未延伸糸の製造方法にある。
【0011】
【課題の実施の形態】
本発明のポリプロピレン未延伸糸は、ポリプロピレン100重量部に対し、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーが0.1〜10重量部含有することを特徴とするものである。ここで、(メタ)アクリロニトリル単位とは、アクリロニトリル単位またはメタアクリロニトリル単位いずれであっても良いことを意味する。
【0012】
本発明においては、ポリプロピレンに共重合ポリマーが、ポリプロピレン100重量部に対し0.1〜10重量部の比で、含有れていることが必要であり、好ましくは1〜5重量部の比で含有される。含有量が0.1重量部未満では、得られる未延伸糸の延伸倍率が、共重合ポリマーを含有していないものと同等となり、その製糸時の生産性向上の効果がなく、10重量部を超えると、共重合ポリマーが異物として作用し、糸切れの原因となる。
【0013】
本発明におけるポリプロピレンに含有される共重合ポリマーは、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーである。延伸性向上効果の点ではスチレン系化合物は大きいが、ポリプロピレンに対する相溶性の点で劣るため、ポリプロピレン100重量部に対し7.5重量部以上で糸切れが発生する。N−置換マレイミドは、スチレン系化合物に比べて、ポリプロピレンに対する相溶性では勝っており、10重量部以上で糸切れが発生するが、延伸性向上効果の点で及ばない。(メタ)アクリロニトリルはポリプロピレンに対する相溶性は良く、10重量部含有せしめても糸切れは発生しないが、延伸性向上効果の点でスチレン系化合物やN−置換マレイミドより劣る。このため、延伸性向上効果を得るためには、該成分のうち少なくとも2種類を共重合する必要がある。
【0014】
例えば、スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体が挙げられ、(メタ)アクリロニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられ、N−置換マレイミドとしては、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−脂肪族置換マレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−芳香族置換マレイミドが挙げられる。
【0015】
共重合ポリマーの組成比は、スチレン系化合物がポリプロピレン100重量部に対し7.5重量部未満、N−置換マレイミドが10重量部未満である前提のもとに、スチレン系化合物単位、N−置換マレイミド単位及び(メタ)アクリロニトリル単位のうち2種の成分からなる場合は、どのような組合せにおいても、どちらかの成分が20〜80重量%含まれることが好ましい。共重合ポリマーが3種の成分からなる場合は、前記前提のもとに各成分が少なくとも5重量%含まれることが好ましく、より好ましい組成比は、スチレン系化合物単位が40〜80重量%、(メタ)アクリロニトリル単位が5〜45重量%及びN−置換マレイミド単位が15〜55重量%である。
【0016】
共重合ポリマーの例としては、スチレンとアクリロニトリルの共重合体、スチレンとN−フェニルマレイミドの共重合体、或いはスチレン、アクリロニトリル及びN−フェニルマレイミドの共重合体等が挙げられる。これらの共重合ポリマーの中で2種の成分のうちの一つ或いは3種の成分のうちの一つに(メタ)アクリロニトリルが含まれることがポリプロピレン中での分散性の点からより好ましく、スチレン/アクリロニトリル共重合体、更にはスチレン、アクリロニトリル及びN−フェニルマレイミドの共重合体が最も好ましいものとして挙げられる。
【0017】
また、分子量分布Q値(重量平均分子量/数平均分子量)も特に限定されないが、3.0未満が望ましい。Q値が3.0以上の場合、最大延伸倍率が徐々に下がってゆき、共重合ポリマーの効果が小さくなる。
【0018】
共重合ポリマーは、その分子量が任意のものであってよいが、数平均分子量で10000〜500000のポリマーであることが好ましく、数平均分子量で40000〜200000のポリマーであることがより好ましい。数平均分子量が10000未満では、生産性向上の効果が低くなる傾向にあり、500000を超えると、ポリプロピレン中での分散性が悪くなる傾向にある。
【0019】
本発明で使用されるポリプロピレンのメルトフローレート値は特に限定されないが、10g/10分〜90g/10分の間が望ましい。メルトフローレート値が10g/10分未満ではポリプロピレンの溶融張力が大きくなるため、共重合ポリマーの効果が小さくなるため繊維化が困難となり、90g/10分を超えると流動性が高くなりすぎ、曳糸性の面で不安定となる。
【0020】
本発明のポリプロピレン未延伸糸は、紡糸速度を高くしても、得られた繊維の分子配向が大きくならず製糸生産性を向上させる働きがある。この理由は、明らかではないが、繊維を形成させるポリプロピレンの紡糸の際に、溶融状態から繊維として固化するまでの温度域で通常のポリプロピレンに比して高い剛性率を有するため、繊維全体にかかる応力が添加した共重合ポリマー側に比較的多くかかり、結果的にポリプロピレンの配向が進み難くするものと推定される。
【0021】
本発明のポリプロピレン未延伸糸は、次のようにして製造される。即ち、ポリプロピレン樹脂を溶融紡糸し、ポリプロピレン未延伸糸を製造するに際し、用いるポリプロピレンの生成中又は生成後にスチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーを、生成ポリプロピレン100重量部に対し0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部の比で添加することにより本発明のポリプロピレン繊維を得ることができる。
【0022】
本発明のポリプロピレン未延伸糸は共重合ポリマーが含有されたポリプロピレンから構成されており、紡糸直前の溶融状態において、ポリプロピレンポリマーが海、共重合ポリマーが島の海島構造を形成し、共重合ポリマーがポリプロピレン中に分散状態にある。走査型電子顕微鏡観察による共重合ポリマー相の平均分散粒径で3.0μm未満であることが好ましい。平均分散粒径が3.0μm以上である場合は、紡糸および/または延伸の際に糸切れを起こしやすくなる。
【0023】
共重合ポリマーのポリプロピレンへの添加方法は、特に限定されるものではなく、紡糸直前に生成したポリプロピレンに混合することも可能であるが、共重合ポリマーがポリプロピレン中に島、ポリプロピレンが海の海島構造に均一に分散させるためには、ポリプロピレンの生成工程で添加することが好ましい。
【0024】
本発明においては、低紡糸速度でも分子配向を抑制する効果が得られるが、高速紡糸の方がその効果が大きい。また、通常実施される延伸や延伸仮撚時の加工安定性も向上することから、紡糸速度は500m/分以上、好ましくは800m/分以上である。500m/分未満だと延伸工程での高い延伸倍率は採用できるが、紡糸工程での吐出量が少なくなり、生産性の面で大きな効果は得られない。紡速800m/分以上では、共重合ポリマーを添加する効果が顕著に見られ、延伸工程において、従来採り得た延伸倍率を大きく上回る倍率を採ることが可能となり優れた生産性が得られる。また、紡糸速度は4500m/分以下が好ましく、4500m/分を超えると曳糸性が不安定となる。
【0025】
本発明の方法で紡糸し巻き取る方法は、公知のいかなる方法も用いることができる。例えば、引き取りローラーで引き取った後、巻き取っても良いし、引き取りローラーを用いず、直接巻き取り機で巻き取っても良い。また、本発明の方法によって紡糸する際には、必要に応じて通常用いられる公知の光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色顔料、造核剤、分散剤、中和剤、艶消し剤などの添加剤を用いることができる。
【0026】
本発明で得られた未延伸糸を用いて延伸する際、公知のいかなる方法を用いてもよい。例えば、熱延伸ローラーを用いても良いし、熱板に接触させて延伸しても良い。その際延伸温度等に特に留意する必要もなく、従来の未延伸糸と同様の取り扱いができる。
【0027】
【実施例】
以下実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例における各項目の測定方法は以下の通りである。
【0028】
(1)メルトフローレート値(MFR)
JIS K7210に準じ、230℃で2.16kgf荷重下における10分間の溶融樹脂の吐出量を重量で求めた。
【0029】
(2)最大延伸倍率(MDR)
給糸速度を800m/分に固定し、紡糸速度を漸次増大させていくことで、延伸倍率を上げていき、破断した時点での延伸倍率を最大延伸倍率とした。
【0030】
(3)強度、伸度
JIS L1013に準じ、引張り強度をcN/dtex、伸度を%で表した。
【0031】
(4)分子量分布Q値
重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって求めた。
【0032】
(実施例1)
メルトフローレート値31g/10分のポリプロピレン樹脂100重量部に対し、スチレン(St)とアクリロニトリル(AN)を72:28の比で配合した共重合体0.5重量部を押し出し機の直前で添加したポリマーを溶融温度250℃で孔径0.8mm、60ホールの口金より紡出し、冷却した後、引き取りローラーで引き取った後、巻取速度800m/分で巻取り、965dtexの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸の物性値を表1に示す。延伸工程での最大延伸倍率は5.10倍となり、曳糸性は極めて良好であった。
【0033】
(実施例2〜6)
実施例1において、メルトフローレート値50g/10分のポリプロピレン樹脂に対し、St、AN共重合体を0.1〜10重量部に変更し、溶融温度を240℃とした以外は実施例1と同様に紡糸した。結果を表1に示す。何れも、延伸工程での最大延伸倍率は4.5倍以上であり、生産性向上に寄与するところは大である。特に実施例5では最大延伸倍率が6.86倍と7倍に迫る数値が得られ、実施例6に至っては、最大延伸倍率が12.83倍にも達し、生産性向上に対して極めて大きな効果が得られる。
【0034】
(実施例7)
実施例5において、溶融温度を200℃とし、巻き取り速度1000m/分で巻取り、333dtexとした以外は実施例4と同様に紡糸した。
【0035】
(実施例8)
実施例1において、St、AN共重合体の添加量を5.0重量部、溶融温度を240℃とし、巻き取り速度2000m/分で巻取り、255dtexとした以外は実施例1と同様に紡糸した。
【0036】
(実施例9)
実施例1において、St、AN共重合体の添加量を8.0重量部、溶融温度を240℃とし、巻き取り速度3000m/分で巻取り、189dtexとした以外は実施例1と同様に紡糸した。
【0037】
(実施例10)
実施例1において、St、AN共重合体の添加量を8.0重量部、溶融温度を240℃とし、巻き取り速度4000m/分で巻取り、142dtexとした以外は実施例1と同様に紡糸した。
【0038】
(実施例11)
実施例1において、St、AN共重合体の添加量を10.0重量部、溶融温度を240℃とし、巻き取り速度4500m/分で巻取り、126dtexとした以外は実施例1と同様に紡糸した。
【0039】
(実施例12)
実施例5において、ANとN−フェニルマレイミド(PMID)を31:69の比で配合した共重合体に変更した以外は実施例5と同様に紡糸した。結果を表1に示す。St、AN共重合体と同様、最大延伸倍率が6倍を超えており、生産性向上に寄与するところは大である。
【0040】
(実施例13)
実施例5において、StとAN及びN−フェニルマレイミド(PMID)を56:21:23の比で配合した共重合体に変更した以外は実施例5と同様に紡糸した。結果を表1に示す。St、AN共重合体やAN、PMID共重合体と同様、最大延伸倍率が6倍を超えており、生産性向上に寄与するところは大である。
【0041】
(比較例1)
St、AN共重合体を併用しない以外は実施例1と同様に紡糸した。得られた未延伸糸の物性値を表1に示す。最大延伸倍率は3.59倍にとどまっており、十分な延伸倍率が得られず、生産性が劣っていることが分かる。
【0042】
(比較例2)
St、AN共重合体を併用しない以外は実施例3と同様に紡糸した。得られた未延伸糸の物性値を表1に示す。最大延伸倍率は4.43倍にとどまっており、十分な延伸倍率が得られず、生産性が劣っていることが分かる。
【0043】
(比較例3)
St、AN共重合体を併用しない以外は実施例1と同様に紡糸した。得られた未延伸糸の物性値を表1に示す。最大延伸倍率は3.89倍にとどまっており、十分な延伸倍率が得られず、生産性が劣っていることが分かる。
【0044】
(比較例4)
St、AN共重合体を併用せずに、溶融温度を190℃、巻き取り速度3000m/分で167dtexとした以外は実施例1と同様に紡糸した。
【0045】
(比較例5、6)
実施例2において、Stのみを用い、その含有量を0.05〜0.1重量部とした以外は実施例2と同様に紡糸した。結果を表1に示す。Stの含有量がわずか0.05重量部でも最大延伸倍率が4.5倍を上回っており、延伸性向上効果が見られるが、0.1重量部含有させた時、糸切れしてしまう。
【0046】
(比較例7、8)
実施例2において、PMIDのみを用い、その含有量を0.3〜0.5重量部とした以外は実施例2と同様に紡糸した。結果を表1に示す。PMIDの含有量が0.3重量部で最大延伸倍率が4.85倍であり、延伸性向上効果が見られるが、0.5重量部含有させた時、糸切れしてしまう
(比較例9、10)
実施例2において、ANのみを用い、その含有量を5〜10重量部とした以外は実施例2と同様に紡糸した。結果を表1に示す。ANの含有量を5重量部で最大延伸倍率が4.68倍、10重量部でも最大延伸倍率が5倍に達せず延伸性向上効果の点でSt、AN共重合体を用いた場合に比べて劣る。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーをポリプロピレンに含有せしめることで、ポリプロピレン繊維の生産性は、従来の方法で得られたポリプロピレン繊維の製造方法に比べ飛躍的に増大し、しかも、曳糸性の面で極めて良好な状態で紡糸できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン未延伸糸および、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン繊維は、溶融紡出後、冷却固化した未延伸糸を延伸したり延伸同時仮撚、いわゆる延撚して用いることが一般的である。未延伸糸を延伸することにより、強度、弾性が向上した延伸糸が得られる。ポリプロピレン延伸糸を得るには、未延伸糸を製造した後に延伸する方法と、紡糸後引き続き連続的に延伸する方法とがあり、前者は各種要求性能に応じやすく他品種対応に優れている。ポリプロピレン延伸糸は、その優れた特性から、カーペットのパイルヤーン、養生ネット等建築土木資材、自動車内装材など、各種織編物、不織布として広く用いられている。
【0003】
一方、ポリプロピレン延伸糸において、工業生産における生産コストの面から、生産性の向上も合わせて要求され、生産性を上げるために高速でかつ安定に継続して溶融紡糸することができ、しかも、その物性が高速生産によって損なわれないことが極めて重要なポイントとなっている。さらに、生産におけるエネルギーコストやポリプロピレン繊維に多く使用される添加剤の種類の制限等を勘案した場合、紡糸温度をできるだけ下げることも要求されている。
【0004】
ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂は溶融紡糸時における耐熱性、耐酸化性、粘弾性、結晶化速度等の特性が曳糸性に適しているため、3500m/分以上での高速紡糸が比較的容易である。しかしながら、ポリプロピレンの場合、ポリアミドやポリエステルなどの樹脂に比べ、結晶性が高く、曳糸性が劣るので高速紡糸、高速巻き取りが難しいという問題がある。
【0005】
ポリプロピレンの高速紡糸は、例えば特公昭63−61408号公報に開示されている。この方法によれば800m/分以上で引き取ることは可能である。しかし、高速で引き取ることによって、繊維物性が大きく変わることは広く知られており、最大延伸倍率が紡糸速度、即ち紡糸引き取り速度の増大とともに小さくなることも知られている。紡糸速度を高めることで、延伸工程で採用できる延伸倍率が小さくなり、そのため、目標とする繊度の延伸糸を得るためには、低い延伸倍率に見合った繊度の小さい未延伸糸を製造せざるを得ない。このように紡糸速度の高速化は、結果的に繊度の小さい未延伸糸の生産を必要とするため、生産量すなわち吐出量の増大には大きく寄与しない等の問題点があった。
【0006】
従来から、上記の問題を克服すべく紡糸口金から紡出された糸条の結晶化を抑制すべく、高い紡糸温度を採用したり、口金から吐出された糸条を急速に冷却する方法等が考えられている。いずれも、糸条を紡糸した後、延伸する際の倍率(延伸倍率)を、高速での紡糸、および高速での延伸でも十分に採り得ることを目的としたものである。しかしながら、紡糸温度を上げて十分な延伸倍率を得るには、少なくとも250℃以上で紡糸する必要があり、その結果、曳糸性の面で紡糸が不安定になる上、エネルギーコストの増大につながる。さらに、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色顔料、分散剤、中和剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、導電防止剤、抗菌剤等の添加剤の耐熱性も要求されることになる。また、吐出直後の急冷却は、冷却風を低温に保つ必要があるため、その温度制御が困難であり、また、冷却に要するエネルギーコストが大きくなるため実用的ではない。溶融するポリプロピレン樹脂のメルトフローレート値を上げることで分子鎖同士のからみを少なくすることの効果もあるが、分子量が小さくなることに伴い繊維の強度が低下することも同時に生じる。
【0007】
また、添加剤によって延伸倍率を高める方法も考案されている。特開平4−89853号公報ではポリプロピレンにポリアミドと不飽和カルボン酸を同時に含有させることで延伸性向上効果が得られているが、分子量分布Q値が3以上でなくてはならず、Q値が3.0未満では糸物性面で劣る傾向にある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、曳糸性が良好な状態での高速紡糸を可能とし、かつ延伸工程での高い延伸倍率が採用でき、高速生産が可能なポリプロピレン未延伸糸及びその製造方法に関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を克服するため鋭意検討を重ねた結果、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーをポリプロピレンに含有せしめることで、高速紡糸を可能とし、かつ高い延伸倍率が採用できる生産性の高いポリプロピレン未延伸糸が得られることを究明した。
【0010】
すなわち本発明の第1の要旨は、ポリプロピレン100重量部に対し、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーが0.1〜10重量部の比で含有されたポリプロピレン樹脂からなることを特徴とするポリプロピレン未延伸糸にあり、弟2の要旨は、メルトフローレート値が10〜90g/10分、Q値が3.0未満のポリプロピレン100重量部に対し、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーが0.1〜10重量部の割合で混合したポリプロピレンを溶融紡糸し巻き取ることを特徴とするポリプロピレン未延伸糸の製造方法にある。
【0011】
【課題の実施の形態】
本発明のポリプロピレン未延伸糸は、ポリプロピレン100重量部に対し、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーが0.1〜10重量部含有することを特徴とするものである。ここで、(メタ)アクリロニトリル単位とは、アクリロニトリル単位またはメタアクリロニトリル単位いずれであっても良いことを意味する。
【0012】
本発明においては、ポリプロピレンに共重合ポリマーが、ポリプロピレン100重量部に対し0.1〜10重量部の比で、含有れていることが必要であり、好ましくは1〜5重量部の比で含有される。含有量が0.1重量部未満では、得られる未延伸糸の延伸倍率が、共重合ポリマーを含有していないものと同等となり、その製糸時の生産性向上の効果がなく、10重量部を超えると、共重合ポリマーが異物として作用し、糸切れの原因となる。
【0013】
本発明におけるポリプロピレンに含有される共重合ポリマーは、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーである。延伸性向上効果の点ではスチレン系化合物は大きいが、ポリプロピレンに対する相溶性の点で劣るため、ポリプロピレン100重量部に対し7.5重量部以上で糸切れが発生する。N−置換マレイミドは、スチレン系化合物に比べて、ポリプロピレンに対する相溶性では勝っており、10重量部以上で糸切れが発生するが、延伸性向上効果の点で及ばない。(メタ)アクリロニトリルはポリプロピレンに対する相溶性は良く、10重量部含有せしめても糸切れは発生しないが、延伸性向上効果の点でスチレン系化合物やN−置換マレイミドより劣る。このため、延伸性向上効果を得るためには、該成分のうち少なくとも2種類を共重合する必要がある。
【0014】
例えば、スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体が挙げられ、(メタ)アクリロニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられ、N−置換マレイミドとしては、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−脂肪族置換マレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−芳香族置換マレイミドが挙げられる。
【0015】
共重合ポリマーの組成比は、スチレン系化合物がポリプロピレン100重量部に対し7.5重量部未満、N−置換マレイミドが10重量部未満である前提のもとに、スチレン系化合物単位、N−置換マレイミド単位及び(メタ)アクリロニトリル単位のうち2種の成分からなる場合は、どのような組合せにおいても、どちらかの成分が20〜80重量%含まれることが好ましい。共重合ポリマーが3種の成分からなる場合は、前記前提のもとに各成分が少なくとも5重量%含まれることが好ましく、より好ましい組成比は、スチレン系化合物単位が40〜80重量%、(メタ)アクリロニトリル単位が5〜45重量%及びN−置換マレイミド単位が15〜55重量%である。
【0016】
共重合ポリマーの例としては、スチレンとアクリロニトリルの共重合体、スチレンとN−フェニルマレイミドの共重合体、或いはスチレン、アクリロニトリル及びN−フェニルマレイミドの共重合体等が挙げられる。これらの共重合ポリマーの中で2種の成分のうちの一つ或いは3種の成分のうちの一つに(メタ)アクリロニトリルが含まれることがポリプロピレン中での分散性の点からより好ましく、スチレン/アクリロニトリル共重合体、更にはスチレン、アクリロニトリル及びN−フェニルマレイミドの共重合体が最も好ましいものとして挙げられる。
【0017】
また、分子量分布Q値(重量平均分子量/数平均分子量)も特に限定されないが、3.0未満が望ましい。Q値が3.0以上の場合、最大延伸倍率が徐々に下がってゆき、共重合ポリマーの効果が小さくなる。
【0018】
共重合ポリマーは、その分子量が任意のものであってよいが、数平均分子量で10000〜500000のポリマーであることが好ましく、数平均分子量で40000〜200000のポリマーであることがより好ましい。数平均分子量が10000未満では、生産性向上の効果が低くなる傾向にあり、500000を超えると、ポリプロピレン中での分散性が悪くなる傾向にある。
【0019】
本発明で使用されるポリプロピレンのメルトフローレート値は特に限定されないが、10g/10分〜90g/10分の間が望ましい。メルトフローレート値が10g/10分未満ではポリプロピレンの溶融張力が大きくなるため、共重合ポリマーの効果が小さくなるため繊維化が困難となり、90g/10分を超えると流動性が高くなりすぎ、曳糸性の面で不安定となる。
【0020】
本発明のポリプロピレン未延伸糸は、紡糸速度を高くしても、得られた繊維の分子配向が大きくならず製糸生産性を向上させる働きがある。この理由は、明らかではないが、繊維を形成させるポリプロピレンの紡糸の際に、溶融状態から繊維として固化するまでの温度域で通常のポリプロピレンに比して高い剛性率を有するため、繊維全体にかかる応力が添加した共重合ポリマー側に比較的多くかかり、結果的にポリプロピレンの配向が進み難くするものと推定される。
【0021】
本発明のポリプロピレン未延伸糸は、次のようにして製造される。即ち、ポリプロピレン樹脂を溶融紡糸し、ポリプロピレン未延伸糸を製造するに際し、用いるポリプロピレンの生成中又は生成後にスチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーを、生成ポリプロピレン100重量部に対し0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部の比で添加することにより本発明のポリプロピレン繊維を得ることができる。
【0022】
本発明のポリプロピレン未延伸糸は共重合ポリマーが含有されたポリプロピレンから構成されており、紡糸直前の溶融状態において、ポリプロピレンポリマーが海、共重合ポリマーが島の海島構造を形成し、共重合ポリマーがポリプロピレン中に分散状態にある。走査型電子顕微鏡観察による共重合ポリマー相の平均分散粒径で3.0μm未満であることが好ましい。平均分散粒径が3.0μm以上である場合は、紡糸および/または延伸の際に糸切れを起こしやすくなる。
【0023】
共重合ポリマーのポリプロピレンへの添加方法は、特に限定されるものではなく、紡糸直前に生成したポリプロピレンに混合することも可能であるが、共重合ポリマーがポリプロピレン中に島、ポリプロピレンが海の海島構造に均一に分散させるためには、ポリプロピレンの生成工程で添加することが好ましい。
【0024】
本発明においては、低紡糸速度でも分子配向を抑制する効果が得られるが、高速紡糸の方がその効果が大きい。また、通常実施される延伸や延伸仮撚時の加工安定性も向上することから、紡糸速度は500m/分以上、好ましくは800m/分以上である。500m/分未満だと延伸工程での高い延伸倍率は採用できるが、紡糸工程での吐出量が少なくなり、生産性の面で大きな効果は得られない。紡速800m/分以上では、共重合ポリマーを添加する効果が顕著に見られ、延伸工程において、従来採り得た延伸倍率を大きく上回る倍率を採ることが可能となり優れた生産性が得られる。また、紡糸速度は4500m/分以下が好ましく、4500m/分を超えると曳糸性が不安定となる。
【0025】
本発明の方法で紡糸し巻き取る方法は、公知のいかなる方法も用いることができる。例えば、引き取りローラーで引き取った後、巻き取っても良いし、引き取りローラーを用いず、直接巻き取り機で巻き取っても良い。また、本発明の方法によって紡糸する際には、必要に応じて通常用いられる公知の光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色顔料、造核剤、分散剤、中和剤、艶消し剤などの添加剤を用いることができる。
【0026】
本発明で得られた未延伸糸を用いて延伸する際、公知のいかなる方法を用いてもよい。例えば、熱延伸ローラーを用いても良いし、熱板に接触させて延伸しても良い。その際延伸温度等に特に留意する必要もなく、従来の未延伸糸と同様の取り扱いができる。
【0027】
【実施例】
以下実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例における各項目の測定方法は以下の通りである。
【0028】
(1)メルトフローレート値(MFR)
JIS K7210に準じ、230℃で2.16kgf荷重下における10分間の溶融樹脂の吐出量を重量で求めた。
【0029】
(2)最大延伸倍率(MDR)
給糸速度を800m/分に固定し、紡糸速度を漸次増大させていくことで、延伸倍率を上げていき、破断した時点での延伸倍率を最大延伸倍率とした。
【0030】
(3)強度、伸度
JIS L1013に準じ、引張り強度をcN/dtex、伸度を%で表した。
【0031】
(4)分子量分布Q値
重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって求めた。
【0032】
(実施例1)
メルトフローレート値31g/10分のポリプロピレン樹脂100重量部に対し、スチレン(St)とアクリロニトリル(AN)を72:28の比で配合した共重合体0.5重量部を押し出し機の直前で添加したポリマーを溶融温度250℃で孔径0.8mm、60ホールの口金より紡出し、冷却した後、引き取りローラーで引き取った後、巻取速度800m/分で巻取り、965dtexの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸の物性値を表1に示す。延伸工程での最大延伸倍率は5.10倍となり、曳糸性は極めて良好であった。
【0033】
(実施例2〜6)
実施例1において、メルトフローレート値50g/10分のポリプロピレン樹脂に対し、St、AN共重合体を0.1〜10重量部に変更し、溶融温度を240℃とした以外は実施例1と同様に紡糸した。結果を表1に示す。何れも、延伸工程での最大延伸倍率は4.5倍以上であり、生産性向上に寄与するところは大である。特に実施例5では最大延伸倍率が6.86倍と7倍に迫る数値が得られ、実施例6に至っては、最大延伸倍率が12.83倍にも達し、生産性向上に対して極めて大きな効果が得られる。
【0034】
(実施例7)
実施例5において、溶融温度を200℃とし、巻き取り速度1000m/分で巻取り、333dtexとした以外は実施例4と同様に紡糸した。
【0035】
(実施例8)
実施例1において、St、AN共重合体の添加量を5.0重量部、溶融温度を240℃とし、巻き取り速度2000m/分で巻取り、255dtexとした以外は実施例1と同様に紡糸した。
【0036】
(実施例9)
実施例1において、St、AN共重合体の添加量を8.0重量部、溶融温度を240℃とし、巻き取り速度3000m/分で巻取り、189dtexとした以外は実施例1と同様に紡糸した。
【0037】
(実施例10)
実施例1において、St、AN共重合体の添加量を8.0重量部、溶融温度を240℃とし、巻き取り速度4000m/分で巻取り、142dtexとした以外は実施例1と同様に紡糸した。
【0038】
(実施例11)
実施例1において、St、AN共重合体の添加量を10.0重量部、溶融温度を240℃とし、巻き取り速度4500m/分で巻取り、126dtexとした以外は実施例1と同様に紡糸した。
【0039】
(実施例12)
実施例5において、ANとN−フェニルマレイミド(PMID)を31:69の比で配合した共重合体に変更した以外は実施例5と同様に紡糸した。結果を表1に示す。St、AN共重合体と同様、最大延伸倍率が6倍を超えており、生産性向上に寄与するところは大である。
【0040】
(実施例13)
実施例5において、StとAN及びN−フェニルマレイミド(PMID)を56:21:23の比で配合した共重合体に変更した以外は実施例5と同様に紡糸した。結果を表1に示す。St、AN共重合体やAN、PMID共重合体と同様、最大延伸倍率が6倍を超えており、生産性向上に寄与するところは大である。
【0041】
(比較例1)
St、AN共重合体を併用しない以外は実施例1と同様に紡糸した。得られた未延伸糸の物性値を表1に示す。最大延伸倍率は3.59倍にとどまっており、十分な延伸倍率が得られず、生産性が劣っていることが分かる。
【0042】
(比較例2)
St、AN共重合体を併用しない以外は実施例3と同様に紡糸した。得られた未延伸糸の物性値を表1に示す。最大延伸倍率は4.43倍にとどまっており、十分な延伸倍率が得られず、生産性が劣っていることが分かる。
【0043】
(比較例3)
St、AN共重合体を併用しない以外は実施例1と同様に紡糸した。得られた未延伸糸の物性値を表1に示す。最大延伸倍率は3.89倍にとどまっており、十分な延伸倍率が得られず、生産性が劣っていることが分かる。
【0044】
(比較例4)
St、AN共重合体を併用せずに、溶融温度を190℃、巻き取り速度3000m/分で167dtexとした以外は実施例1と同様に紡糸した。
【0045】
(比較例5、6)
実施例2において、Stのみを用い、その含有量を0.05〜0.1重量部とした以外は実施例2と同様に紡糸した。結果を表1に示す。Stの含有量がわずか0.05重量部でも最大延伸倍率が4.5倍を上回っており、延伸性向上効果が見られるが、0.1重量部含有させた時、糸切れしてしまう。
【0046】
(比較例7、8)
実施例2において、PMIDのみを用い、その含有量を0.3〜0.5重量部とした以外は実施例2と同様に紡糸した。結果を表1に示す。PMIDの含有量が0.3重量部で最大延伸倍率が4.85倍であり、延伸性向上効果が見られるが、0.5重量部含有させた時、糸切れしてしまう
(比較例9、10)
実施例2において、ANのみを用い、その含有量を5〜10重量部とした以外は実施例2と同様に紡糸した。結果を表1に示す。ANの含有量を5重量部で最大延伸倍率が4.68倍、10重量部でも最大延伸倍率が5倍に達せず延伸性向上効果の点でSt、AN共重合体を用いた場合に比べて劣る。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーをポリプロピレンに含有せしめることで、ポリプロピレン繊維の生産性は、従来の方法で得られたポリプロピレン繊維の製造方法に比べ飛躍的に増大し、しかも、曳糸性の面で極めて良好な状態で紡糸できる。
Claims (8)
- ポリプロピレン100重量部に対し、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーが0.1〜10重量部含有することを特徴とするポリプロピレン未延伸糸。
- ポリプロピレンの分子量分布Q値(重量平均分子量/数平均分子量)が3.0未満である請求項1記載のポリプロピレン未延伸糸。
- 共重合ポリマーは、(メタ)アクリロニトリル単位を成分として含むポリマーである請求項1又は請求項2記載のポリプロピレン未延伸糸。
- 共重合ポリマーの数平均分子量が10000〜500000である請求項1又は請求項3記載のポリプロピレン未延伸糸。
- ポリプロピレンのQ値が3.0未満でありかつ共重合ポリマーの数平均分子量が10000〜500000である請求項1記載のポリプロピレン未延伸糸。
- メルトフローレート値が10〜90g/10分、Q値が3.0未満のポリプロピレン100重量部に対し、スチレン系化合物単位、(メタ)アクリロニトリル単位及びN−置換マレイミド単位のうちの少なくとも2種を成分とする共重合ポリマーが0.1〜10重量部の割合で混合したポリプロピレンを溶融紡糸し巻き取ることを特徴とするポリプロピレン未延伸糸の製造方法。
- 溶融紡糸後引き続き500m/分以上で巻き取る請求項6記載のポリプロピレン未延伸糸の製造方法。
- 共重合ポリマーをポリプロピレンに混合し、溶融紡糸して500m/分以上4500m/分以下で巻き取る請求項6記載のポリプロピレン未延伸糸の製造方法。
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