JP3731593B2 - 透過型スクリーン用部材の製造方法、透過型スクリーン用部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ - Google Patents
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Description
リア型プロジェクタに用いられる透過型スクリーンには、レンチキュラレンズが一般的に用いられている。しかしながら、このようなリア型プロジェクタでは、左右の視野角が大きいが上下の視野角が小さい(視野角に偏りがある)という問題があった。
本発明の透過型スクリーン用部材の製造方法は、入射した光を集光する複数個のレンズ部を有するレンズ基板と、
前記レンズ部より光の出射側に形成され、前記レンズ部を透過した光の光路上に開口部を有する遮光層と、
前記レンズ部を透過した光を拡散させる機能を有する光拡散部とを備えた透過型スクリーン用部材の製造方法であって、
前記レンズ部は、マイクロレンズであり、
複数個の前記マイクロレンズは、前記レンズ基板の主面側から平面視したときに、ランダムな位置関係となるように形成されたものであり、
前記レンズ部が形成されている側の面とは反対側の面に前記遮光層が形成された前記レンズ基板に対し、前記遮光層が形成された側の面に、ネガ型のフォトポリマーを含む第2の材料を付与し、第2の層を形成する工程と、
前記レンズ基板のレンズ部が形成された面側から光を入射させ、前記レンズ部により集光された光を、前記第2の層に照射することにより、前記第2の層を露光する工程と、
前記第2の層のうち、前記集光された光により露光された部位が残存するように現像処理し、前記光拡散部を形成する工程とを有することを特徴とする。
これにより、視野角特性、光利用効率に優れた透過型スクリーンを、容易かつ確実に提供することができる。また、これにより、投影される画像において、モアレが発生するのをより効果的に防止することができる。
前記レンズ部より光の出射側に形成され、前記レンズ部を透過した光の光路上に開口部を有する遮光層と、
前記レンズ部を透過した光を拡散させる機能を有する光拡散部とを備えた透過型スクリーン用部材の製造方法であって、
前記レンズ部は、マイクロレンズであり、
複数個の前記マイクロレンズは、前記レンズ基板の主面側から平面視したときに、ランダムな位置関係となるように形成されたものであり、
前記レンズ基板の前記レンズ部が形成されている側の面とは反対側の面に、ポジ型のフォトポリマーを含む第1の材料を付与し、第1の層を形成する工程と、
前記レンズ基板のレンズ部が形成された面側から光を入射させ、前記レンズ部により集光された光を、前記第1の層に照射することにより、前記第1の層を露光する工程と、
前記第1の層のうち、前記集光された光により露光された部位を除去するように現像処理し、前記開口部を有する前記遮光層を形成する工程と、
前記レンズ基板の前記遮光層が形成された側の面に、ネガ型のフォトポリマーを含む第2の材料を付与し、第2の層を形成する工程と、
前記レンズ基板のレンズ部が形成された面側から光を入射させ、前記レンズ部により集光された光を、前記第2の層に照射することにより、前記第2の層を露光する工程と、
前記第2の層のうち、前記集光された光により露光された部位が残存するように現像処理し、前記光拡散部を形成する工程とを有することを特徴とする。
これにより、視野角特性、光利用効率に優れた透過型スクリーンを、容易かつ確実に提供することができる。また、これにより、投影される画像において、モアレが発生するのをより効果的に防止することができる。
これにより、透過型スクリーンの光利用効率をさらに優れたものとすることができる。
本発明の透過型スクリーン用部材の製造方法では、前記開口部に対応する部分が光の出射側に突出する突出部となるように、前記光拡散部を形成することが好ましい。
これにより、透過型スクリーンの光利用効率をさらに優れたものとすることができるとともに、投影される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
これにより、透過型スクリーンの光利用効率をさらに優れたものとすることができる。また、投影される画像のコントラストをさらに優れたものとすることができる。
これにより、透過型スクリーンの光利用効率をさらに優れたものとすることができるとともに、投影される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
本発明の透過型スクリーン用部材の製造方法では、透過型スクリーン用部材を平面視したときの、前記レンズ部が形成されている有効領域において前記光拡散部が占める面積の割合が5〜99%であることが好ましい。
これにより、透過型スクリーンの視野角特性、光利用効率を、さらに優れたものとすることができるとともに、投影される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
これにより、透過型スクリーンの光利用効率をさらに優れたものとすることができる。
本発明の透過型スクリーン用部材の製造方法では、前記レンズ部の焦点が、透過型スクリーン用部材の主面に垂直な方向での、前記光拡散部のほぼ中央部であることが好ましい。
これにより、透過型スクリーンの光利用効率をさらに優れたものとすることができる。
これにより、所望の大きさ、形状のレンズ部が、所望のパターンで配置されたレンズ基板を、容易かつ確実に得ることができる。その結果、透過型スクリーンの生産性が向上するとともに、得られる透過型スクリーンは、安定した特性を有し、信頼性の高いものとなる。
これにより、透過型スクリーンの光利用効率を、さらに優れたものとすることができる。
これにより、開口部を有する遮光層および光拡散部を容易に形成することができる。その結果、透過型スクリーン用部材の生産性を特に優れたものとすることができる。
本発明の透過型スクリーン用部材の製造方法では、前記マイクロレンズの直径は10〜500μmであることが好ましい。
これにより、透過型スクリーン用部材の生産性を十分に高いものとしつつ、投影される画像において十分な解像度を得ることができる。
これにより、投影される画像のコントラストのさらなる向上を図りつつ、十分な光透過性(光利用効率)を得ることができる。
本発明の透過型スクリーン用部材は、本発明の方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、視野角特性、光利用効率に優れた透過型スクリーンを提供することができる。
これにより、視野角特性、光利用効率に優れた透過型スクリーンを提供することができる。
本発明の透過型スクリーンは、光の出射側にフレネルレンズが形成されたフレネルレンズ部と、
前記フレネルレンズ部の光の出射側に配置された本発明の透過型スクリーン用部材とを備えたことを特徴とする。
これにより、視野角特性、光利用効率に優れた透過型スクリーンを提供することができる。
これにより、視野角特性、光利用効率に優れたリア型プロジェクタを提供することができる。
本発明のリア型プロジェクタは、本発明の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。
これにより、視野角特性、光利用効率に優れたリア型プロジェクタを提供することができる。
本発明のリア型プロジェクタは、投射光学ユニットと、導光ミラーとを備えたことが好ましい。
これにより、視野角特性、光利用効率に優れたリア型プロジェクタを提供することができる。
まず、本発明の透過型スクリーン用部材および透過型スクリーンの構成について説明する。
マイクロレンズ基板3は、樹脂層31と、樹脂層31の入射側の表面に形成された多数のマイクロレンズ(レンズ部)32を有している。
各マイクロレンズ32は、入射側に突出した凸レンズとして形成されており、焦点fがブラックマトリックス(遮光層)4よりも出射側に位置するように設計されている。すなわち、マイクロレンズ基板3に対して、ほぼ垂直な方向から入射した平行光La(後述するフレネルレンズ部2からの平行光La)は、マイクロレンズ基板3の各マイクロレンズ32によって集光され、ブラックマトリックス(遮光層)4よりも出射側で焦点fを結ぶ。このように、ブラックマトリックス(遮光層)4よりも光の出射側でマイクロレンズ32が焦点を結ぶことにより、光の利用効率を特に優れたものとすることができる。より詳しく説明すると、マイクロレンズ32から出射された光が、後述する光拡散部5で集光することにより、あたかも、ブラックマトリックス4よりも光の出射側の光拡散部5に光源があるかのように作用させ、マイクロレンズ32で集光された光(光子)が、再び光の入射側に戻ってくるのを効果的に防止しつつ、光拡散部5に入射した光を出射側に、効率よく拡散させることができる。その結果、光の利用効率を特に優れたものとすることができるとともに、透過型スクリーン10(透過型スクリーン用部材1)の視野角特性も優れたものとなる。
ブラックマトリックス4は、遮光性を有する材料で構成され、層状に形成されたものである。このようなブラックマトリックス4を有することにより、当該ブラックマトリックス4に、外光(投影画像を形成する上で好ましくない外光)を吸収させることができ、スクリーンに投影される画像を、コントラストに優れたものとすることができる。
開口部41の大きさは、特に限定されないが、その直径が、9〜500μmであるのが好ましく、9〜450μmであるのがより好ましく、20〜90μmであるのがさらに好ましい。開口部41の直径がこのような範囲の大きさであると、各マイクロレンズ32を透過した光を、後述する光拡散部5に効率よく入射させることができるとともに、スクリーンに投影される画像を、よりコントラストに優れたものとすることができる。
また、光拡散部5の高さ(透過型スクリーン用部材1の主面に垂直な方向での長さ)hは、2〜450μmであるのが好ましく、2〜250μmであるのがより好ましく、5〜50μmであるのがさらに好ましい。これにより、光拡散部5で反射した光が入射側に戻ることによる消光が確実に防止され、高い光利用効率を得ることができる。
図3に示すように、透過型スクリーン10は、フレネルレンズ部2と、前述した透過型スクリーン用部材1とを備えている。フレネルレンズ部2は、光(画像光)の入射側に設置されており、フレネルレンズ部2を透過した光が、透過型スクリーン用部材1に入射する構成になっている。
以上のように構成された透過型スクリーン10では、投射レンズからの映像光が、フレネルレンズ部2によって屈折し、平行光Laとなる。そして、この平行光Laは、マイクロレンズ基板3の各マイクロレンズ32によって集光され、ブラックマトリックス4の各開口部41を通過して、光拡散部5に入射する。光拡散部5に入射した光は、当該光拡散部5のほぼ中央部で焦点fを結ぶとともに拡散し、観察者に平面画像として観測される。
図4は、マイクロレンズ基板の製造に用いるマイクロレンズ用凹部付き基板(凹部付き基板)を示す模式的な縦断面図、図5は、図4に示すマイクロレンズ用凹部付き基板の製造方法を示す模式的な縦断面図である。図6〜図8は、図1に示す透過型スクリーン用部材の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図6〜図8中の下側を「(光の)入射側」、上側を「(光の)出射側」と言う。
図4に示すように、マイクロレンズ用凹部付き基板6は、ランダムに配された複数個の凹部(マイクロレンズ用凹部)61を有している。
本明細書中において「光学的にランダム」とは、モアレ等の光学的干渉の発生が十分に防止・抑制される程度に、マイクロレンズの配置が不規則で、乱れていることを意味する。
まず、マイクロレンズ用凹部付き基板6を製造するに際し、基板7を用意する。
この基板7は、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。また、基板7は、洗浄等により、その表面が清浄化されているものが好ましい。
マスク8は、レーザ光の照射等により、後述する初期孔81を形成することができるとともに、後述するエッチング工程におけるエッチングに対する耐性を有するものが好ましい。換言すれば、マスク8は、エッチングレートが、基板7と略等しいか、または、基板7に比べて小さくなるように構成されるのが好ましい。
マスク8の形成方法は特に限定されないが、マスク8をCr、Au等の金属材料(合金を含む)や金属酸化物(例えば酸化Cr)から構成する場合、マスク8は、例えば、蒸着法やスパッタリング法等により、好適に形成することができる。また、マスク8をシリコンから構成する場合、マスク8は、例えば、スパッタリング法やCVD法等により、好適に形成することができる。
裏面保護膜89は、次工程以降で基板7の裏面を保護するためのものである。この裏面保護膜89により、基板7の裏面の侵食、劣化等が好適に防止される。この裏面保護膜89は、例えば、マスク8と同様の材料で構成されている。このため、裏面保護膜89は、マスク8の形成と同時に、マスク8と同様に設けることができる。
初期孔81は、いかなる方法で形成されるものであってもよいが、物理的方法またはレーザ光の照射により形成されるのが好ましい。これにより、マイクロレンズ用凹部付き基板を生産性良く製造することができる。特に、大面積のマイクロレンズ用凹部付き基板にも簡単に凹部を形成することができる。
具体的には、例えば、形成された初期孔81の平面視での形状は、略円形であり、その平均径(直径)は、2〜10μmであるのが好ましい。また、初期孔81は、マスク8上に1,000〜1,000,000個/cm2の割合で形成されているのが好ましく、10,000〜500,000個/cm2の割合で形成されているのがより好ましい。なお、初期孔81の形状は、略円形に限定されないことは言うまでもない。
このように、物理的な方法またはレーザ光の照射でマスク8に初期孔81を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によってマスクに開口部を形成する場合に比べて、簡単かつ安価にマスク8に開口部(初期孔81)をランダムに形成することができる。また、物理的な方法またはレーザ光の照射によれば、大きな基板に対する処理も容易に行うことができる。
エッチングの方法は、特に限定されず、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等が挙げられる。以下の説明では、ウェットエッチングを用いる場合を例に挙げて説明する。
また、ウェットエッチング法を用いると、凹部61を好適に形成できる。そして、エッチング液として、例えば、フッ酸(フッ化水素)を含むエッチング液(フッ酸系エッチング液)を用いると、基板7をより選択的に食刻することができ、凹部61を好適に形成することができる。
また、ウェットエッチングによれば、ドライエッチングに比べて簡単な装置で処理を行うことができ、さらに、一度に多くの基板に対して処理を行うことができる。これにより生産性が向上し、安価にマイクロレンズ用凹部付き基板6を提供することができる。
マスク8が主としてCrで構成されたものである場合、マスク8の除去は、例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含む混合物を用いたエッチングにより行うことができる。
凹部61は、比較的緻密に形成されているのが好ましい。具体的には、マイクロレンズ用凹部付き基板6を平面視したときに、凹部61が形成されている有効領域において、凹部61が占める面積の割合が90%以上であるのが好ましく、96%以上であるのがより好ましい。これにより、前述したようなマイクロレンズ基板3を好適に得ることができる。
すなわち、物理的な方法またはレーザ光の照射によりマスク8に初期孔81を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によってマスクに開口部を形成する場合に比べて簡単かつ安価にマスク8に所定パターンで開口部(初期孔81)を形成することができる。これにより生産性が向上し、安価にマイクロレンズ用凹部付き基板6を提供することができる。
さらに、工程<A4>でマスク8を除去した後、基板7上に新しいマスクを形成し、マスク形成−初期孔形成−ウェットエッチング−マスク除去の一連の工程を繰り返して行ってもよい。これにより、凹部61が緻密に形成されたマイクロレンズ用凹部付き基板6を得ることができる。
<B1>まず、図6(a)に示すように、マイクロレンズ用凹部付き基板6の凹部61が形成された側の面に、未重合(未硬化)の樹脂33を付与する。本実施形態では、本工程において、マイクロレンズ用凹部付き基板6の凹部61が形成されていない領域に、スペーサー9を配しておき、樹脂33を平板11で押圧する構成になっている。これにより、形成されるマイクロレンズ基板3の厚さをより確実に制御することができ、最終的に得られる透過型スクリーン用部材1での、マイクロレンズ32の焦点の位置を、より確実に制御することができる
なお、樹脂33の付与、平板11での押圧に先立ち、マイクロレンズ用凹部付き基板6の凹部61が形成されている側の面や、平板11の樹脂33を押圧する側の面に離型剤を塗布しておいてもよい。これにより、後述する工程において、マイクロレンズ用凹部付き基板6や平板11から、マイクロレンズ基板3を容易かつ確実に分離(剥離)することができる。
樹脂33を硬化(重合)させる方法は、特に限定されず、例えば、紫外線等の光の照射、電子線の照射、加熱等の方法が挙げられる。
まず、図6(c)に示すように、マイクロレンズ基板3の出射側表面に、ポジ型のフォトポリマーを含み、遮光性を有する第1の材料を付与し、第1の層42を形成する。マイクロレンズ基板3表面への第1の材料の付与方法としては、例えば、ディップコート、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法等を用いることができる。第1の材料は、遮光性を有する樹脂(フォトポリマー)で構成されたものであってもよいし、(遮光性の低い)樹脂材料に、遮光性の材料が分散または溶解したものであってもよい。第1の材料の付与後(第1の層42の形成後)、必要に応じて、例えば、プレベーク処理等の熱処理を施してもよい。
また、現像後、必要に応じて、例えば、ポストベーク処理等の熱処理を施してもよい。
まず、図7(f)に示すように、ブラックマトリックス4が形成された側の面に、第2の材料を付与し、第2の層53を形成する。第2の材料は、少なくとも、ネガ型のフォトポリマーを含むものであり、本実施形態では、フォトポリマー52中に拡散材51が分散されたものである。第2の材料の付与方法としては、例えば、ディップコート、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法等を用いることができる。
また、拡散材51としては、例えば、微粒子状(ビーズ状)のシリカ、ガラス、樹脂等を用いることができる。拡散材51の平均粒径は、特に限定されないが、1〜50μmであるのが好ましく、2〜10μmであるのがより好ましい。第2の材料の付与後(第2の層53の形成後)、必要に応じて、例えば、プレベーク処理等の熱処理を施してもよい。
このように、本発明では、レンズ部(マイクロレンズ)により集光された光を、ネガ型のフォトポリマーを含む材料で構成された第2の層に照射し、前記集光された光により露光された部位が残存するように現像処理することにより、光拡散部を形成する点に特徴を有する。これにより、視野角特性、光利用効率に優れた透過型スクリーン(透過型スクリーン用部材)を、容易かつ確実に得ることができる。より詳しく説明すると、レンズ部により集光された光を用いて露光を行うことにより、遮光層(ブラックマトリックス)の開口部に対応する部位に、選択的に光拡散層を形成することができる。その結果、得られる透過型スクリーン(透過型スクリーン用部材)において、光拡散部内での消光等を効果的に防止しつつ、レンズ部で集光された光を出射側に、効率よく拡散させることができ、視野角特性、光利用効率を優れたものとすることができる。また、本発明によれば、図示の構成のように、開口部41に対応する部分が光の出射側に突出する突出部となるように、光拡散部5を容易かつ確実に形成することができる。また、本発明によれば、図示の構成のように、複数個の光拡散部5が互いに独立するように、各開口部41に対応する部位に、容易かつ確実に形成することができる。
また、マイクロレンズ基板3に露光用光を照射する際、例えば、露光用光の光源とマイクロレンズ基板3との位置関係を経時的に変化させてもよい。すなわち、露光用光を照射しつつ、光源とマイクロレンズ基板3とを相対的に移動させてもよい。これにより、例えば、形成すべき光拡散部5が比較的大きい場合であっても、効率よく光拡散部5を形成することができる。
以上、説明したように、本実施形態の製造方法では、ブラックマトリックスと光拡散部とを、フォトポリマーにマイクロレンズによって集光させた露光用光を照射することによって形成するので、開口部41を有するブラックマトリックス(遮光層)4および光拡散部5を効率よく形成することができるとともに、開口部41および光拡散部5を優れた位置精度で選択的に形成する(設ける)ことができる。したがって、得られる透過型スクリーン用部材1(透過型スクリーン10)は、視野角特性、光利用効率に優れたものとなる。また、上記のような方法によれば、隣接する突出部−突出部間に光拡散部5の高さが比較的低い領域または光拡散部5が形成されていない領域(隣接する光拡散部5−光拡散部5間に光拡散部5が形成されていない領域)を設けることができる。これにより、ブラックマトリックス(遮光層)4の機能をより効果的に発揮させることができ、スクリーンに投影される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
図9は、本発明のリア型プロジェクタの構成を模式的に示す図である。
同図に示すように、リア型プロジェクタ300は、投写光学ユニット310と、導光ミラー320と、透過型スクリーン10とが筐体340に配置された構成を有している。
そして、このリア型プロジェクタ300は、その透過型スクリーン10として、上述した視野角特性、光利用効率に優れた透過型スクリーン10を用いているので、表示品質の良い優れたリア型プロジェクタとなる。
また、特に、前述した透過型スクリーン用部材1では、マイクロレンズ32がランダム(光学的にランダム)に配されているので、リア型プロジェクタ300では、モアレ等の問題が極めて発生し難い。
例えば、透過型スクリーン用部材、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ基板(レンズ基板)3として、マイクロレンズ用凹部付き基板6を用いて製造されたものを用いるものとして説明したが、レンズ基板としては、いかなるもの(いかなる方法で製造されたもの)を用いてもよい。
また、前述した実施形態では、マイクロレンズは、平面視したときの形状が略円形であるものとして説明したが、マイクロレンズの形状はこのようなものに限定されない。
また、前述した実施形態では、光拡散部5の形成後に、マイクロレンズ用凹部付き基板6を取り外すものとして説明したが、マイクロレンズ用凹部付き基板6は、ブラックマトリックス4や光拡散部5の形成前に取り除かれるものであってもよいし、マイクロレンズ基板3から取り除かれずに、透過型スクリーン10に内蔵されるものであってもよい。
以下のように、マイクロレンズ用の凹部を備えたマイクロレンズ用凹部付き基板を製造し、このマイクロレンズ用凹部付き基板を用いてマイクロレンズ基板を製造した。
まず、基板として、1.2m×0.7m角、厚さ4.8mmのソーダガラス基板を用意した。
このソーダガラス基板を、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む洗浄液に浸漬して6μmエッチングを行い、その表面を清浄化した。
その後、純水洗浄およびN2ガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
次に、マスクに対してレーザ加工を行い、マスクの中央部113cm×65cmの範囲に多数の初期孔を形成した。
これにより、マスクの上記範囲全面に亘って、ランダムなパターンで初期孔が形成された。初期孔の平均径は5μmであり、初期孔の形成密度は40,000個/cm2であった。
また、この際、ソーダガラス基板の表面に深さ0.1μmの凹部および変質層も形成した。
なお、ウェットエッチングは、エッチング液として、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む水溶液を用い、浸漬時間は5時間とした。
その後、純水洗浄およびN2ガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
これにより、ソーダガラス基板上に、マイクロレンズ用の多数の凹部がランダムに形成されたウエハー状のマイクロレンズ用凹部付き基板を得た。得られた凹部付き基板を平面視したときに、凹部が形成されている有効領域において、凹部が占める面積の割合が97%であった。また、マイクロレンズ用凹部付き基板の任意の近接した2点間(凹部−凹部間)の距離を多数とり、それらから標準偏差を求めた。このようにして求められた標準偏差は、それらの平均の35%であった。
その後、平板上から、10000mJ/cm2の紫外線を照射することにより、紫外線硬化性樹脂を硬化させ、マイクロレンズ基板を得た。得られたマイクロレンズ基板(硬化後の樹脂)の屈折率は、1.5であった。また、得られたマイクロレンズ基板の樹脂層の厚さは40μm、マイクロレンズの曲率半径は35μm、マイクロレンズの直径は70μmであった。また、得られたマイクロレンズ基板を平面視したときに、マイクロレンズが形成されている有効領域において、マイクロレンズが占める面積(投影面積)の割合は97%であった。
次に、マイクロレンズ基板の出射側(マイクロレンズが形成されている面とは反対側の面)表面に、遮光性材料(カーボンブラック)と、ポジ型のフォトポリマー(PC405G:JSR株式会社製)とを含む第1の材料を、ロールコーターにより付与することにより、第1の層を形成した。第1の材料中における遮光性材料の含有量は、20wt%であった。
次に、マイクロレンズ用凹部付き基板の凹部が形成されている側の面とは反対側の面から、80mJ/cm2の平行光としての紫外線を照射した。これにより、照射した紫外線は、各マイクロレンズで集光され、各マイクロレンズの焦点f近傍の第1の層(フォトポリマー)を選択的に露光した。
その後、純水洗浄およびN2ガスを用いた乾燥(純水の除去)を行い、さらに、200℃×30分のポストベーク処理を施した。これにより、各マイクロレンズに対応した開口部を有するブラックマトリックスが形成された。形成されたブラックマトリックスの厚さは2μm、開口部の直径は45μmであった。
次に、マイクロレンズ用凹部付き基板の凹部が形成されている側の面とは反対側の面から、100mJ/cm2の平行光としての紫外線を照射した。これにより、照射した紫外線は、各マイクロレンズで集光され、各マイクロレンズの焦点f近傍の第2の層(フォトポリマー)を選択的に露光した。
その後、純水洗浄およびN2ガスを用いた乾燥(純水の除去)を行い、さらに、200℃×30分のポストベーク処理を施した。これにより、各開口部に対応する領域に凸状の光拡散部が形成された。形成された光拡散部の高さは5μmであった。なお、形成された光拡散部は、その全体が突出部となっており、この突出部の頂部より低い部位に平坦な部位(その表面が、マイクロレンズ基板の出射面と平行になる部位)を有するものではなかった。
その後、マイクロレンズ用凹部付き基板を取り外すことにより、透過型スクリーン用部材を得た。
以上のようにして製造された透過型スクリーン用部材と、押出成形により作製したフレネルレンズ部とを組み立てることにより、図3に示すような透過型スクリーンを得た。
マスクおよび裏面保護膜を、酸化Cr膜として形成した以外は、前記実施例1と同様にして透過型スクリーンを製造した。なお、マスク、裏面保護膜は、スパッタリング法を用いて形成した。酸化Cr膜の厚さは0.03μmであった。
(実施例3)
マスクおよび裏面保護膜を、Cr/酸化Crの積層体(Crの外表面側に酸化Crが積層された積層体)として形成した以外は、前記実施例1と同様にして透過型スクリーンを製造した。なお、マスク、裏面保護膜は、スパッタリング法を用いて形成した。Cr層の厚さは0.02μm、酸化Cr層の厚さは0.02μmであった。
マスクおよび裏面保護膜を、酸化Cr/Crの積層体(酸化Crの外表面側にCrが積層された積層体)として形成した以外は、前記実施例1と同様にして透過型スクリーンを製造した。なお、マスク、裏面保護膜は、スパッタリング法を用いて形成した。酸化Cr層の厚さは0.02μm、Cr層の厚さは0.02μmであった。
前記実施例1において製造したマイクロレンズ用凹部付き基板を用いて、前記と同様の方法でマイクロレンズ基板を作製した。
次に、紫外線硬化性樹脂の押圧に用いた平板を取り除き、露出したマイクロレンズ基板の表面に、遮光性材料としてのカーボンブラックが、PC−403(JSR株式会社)中に分散した組成物をロールコーターにより付与し、その後、90℃×30分の熱処理を施すことにより、前記組成物を硬化させ、遮光性の被膜(遮光性被膜)を形成した。
その後、マイクロレンズ用凹部付き基板を取り外すことにより、透過型スクリーン用部材を得た。
以上のようにして製造された透過型スクリーン用部材と、押出成形により作製したフレネルレンズ部とを組み立てることにより、透過型スクリーンを得た。
まず、基板として、1.2m×0.7m角、厚さ4.8mmのソーダガラス基板を用意した。
このソーダガラス基板を、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む洗浄液に浸漬して6μmエッチングを行い、その表面を清浄化した。
その後、純水洗浄およびN2ガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
次に、マスクに対してレーザ加工を行い、マスクの中央部113cm×65cmの範囲に多数の直線状の溝(孔)を、互いに平行になるように形成した。隣接する溝−溝間のピッチは、70μmであった。
なお、ウェットエッチングは、エッチング液として、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む水溶液を用い、浸漬時間は5時間とした。
その後、純水洗浄およびN2ガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
これにより、ソーダガラス基板上に、レンチキュラレンズ用の多数の凹部(溝部)が形成されたウエハー状のレンチキュラレンズ用凹部付き基板を得た。
次に、無アルカリガラスで構成された平板で、前記紫外線硬化性樹脂を押圧した。この際、平板と紫外線硬化性樹脂との間に、空気が侵入しないようにした。また、平板としては、紫外線硬化性樹脂を押圧する側の面に離型剤(GF−6110)が塗布されたものを用いた。
その後、レンチキュラレンズ用凹部付き基板を取り外すことにより、透過型スクリーン用部材を得た。
以上のようにして製造された透過型スクリーン用部材と、押出成形により作製したフレネルレンズ部とを組み立てることにより、透過型スクリーンを得た。
前記実施例1〜4および比較例1、2で作製された透過型スクリーンについて、光利用効率を測定した。光利用効率の測定は、積分球を使った分光光度計で、スクリーン無しの光量に対し、各実施例、各比較例のスクリーンを透過した光の量での比率を測定するという条件で行った。
その結果、実施例1〜4の透過型スクリーンでは、いずれも、70%という優れた光利用効率が得られた。これに対して、比較例1の透過型スクリーンでは55%、比較例2の透過型スクリーンでは52%の光利用効率しか得られなかった。
前記実施例1〜4および比較例1、2の透過型スクリーンを用いて、図9に示すようなリア型プロジェクタを、それぞれ作製した。
得られたリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた状態で、垂直方向および水平方向での視野角の測定を行った。
その結果、実施例1で得られた透過型スクリーンを備えたリア型プロジェクタでは、垂直方向の視野角(光量が半分になる角度)が22°、水平方向の視野角が22°と、優れた視野角特性を有することが確認された。また、このリア型プロジェクタでは、明るい画像が表示され、モアレの発生は認められなかった。また、実施例2〜4で得られた透過型スクリーンを備えたリア型プロジェクタについても同様の結果が得られた。
すなわち、比較例1で得られた透過型スクリーンを備えたリア型プロジェクタでは、垂直方向の視野角が18°、水平方向の視野角が18°であり、比較例2で得られた透過型スクリーンを備えたリア型プロジェクタでは、垂直方向の視野角が8°、水平方向の視野角が23°と、視野角特性に劣っていた。また、比較例1、2のリア型プロジェクタでは、本発明(実施例1〜4)のリア型プロジェクタに比べ、透過型スクリーンに投影された画像が暗かった。
Claims (20)
- 入射した光を集光する複数個のレンズ部を有するレンズ基板と、
前記レンズ部より光の出射側に形成され、前記レンズ部を透過した光の光路上に開口部を有する遮光層と、
前記レンズ部を透過した光を拡散させる機能を有する光拡散部とを備えた透過型スクリーン用部材の製造方法であって、
前記レンズ部は、マイクロレンズであり、
複数個の前記マイクロレンズは、前記レンズ基板の主面側から平面視したときに、ランダムな位置関係となるように形成されたものであり、
前記レンズ部が形成されている側の面とは反対側の面に前記遮光層が形成された前記レンズ基板に対し、前記遮光層が形成された側の面に、ネガ型のフォトポリマーを含む第2の材料を付与し、第2の層を形成する工程と、
前記レンズ基板のレンズ部が形成された面側から光を入射させ、前記レンズ部により集光された光を、前記第2の層に照射することにより、前記第2の層を露光する工程と、
前記第2の層のうち、前記集光された光により露光された部位が残存するように現像処理し、前記光拡散部を形成する工程とを有することを特徴とする透過型スクリーン用部材の製造方法。 - 入射した光を集光する複数個のレンズ部を有するレンズ基板と、
前記レンズ部より光の出射側に形成され、前記レンズ部を透過した光の光路上に開口部を有する遮光層と、
前記レンズ部を透過した光を拡散させる機能を有する光拡散部とを備えた透過型スクリーン用部材の製造方法であって、
前記レンズ部は、マイクロレンズであり、
複数個の前記マイクロレンズは、前記レンズ基板の主面側から平面視したときに、ランダムな位置関係となるように形成されたものであり、
前記レンズ基板の前記レンズ部が形成されている側の面とは反対側の面に、ポジ型のフォトポリマーを含む第1の材料を付与し、第1の層を形成する工程と、
前記レンズ基板のレンズ部が形成された面側から光を入射させ、前記レンズ部により集光された光を、前記第1の層に照射することにより、前記第1の層を露光する工程と、
前記第1の層のうち、前記集光された光により露光された部位を除去するように現像処理し、前記開口部を有する前記遮光層を形成する工程と、
前記レンズ基板の前記遮光層が形成された側の面に、ネガ型のフォトポリマーを含む第2の材料を付与し、第2の層を形成する工程と、
前記レンズ基板のレンズ部が形成された面側から光を入射させ、前記レンズ部により集光された光を、前記第2の層に照射することにより、前記第2の層を露光する工程と、
前記第2の層のうち、前記集光された光により露光された部位が残存するように現像処理し、前記光拡散部を形成する工程とを有することを特徴とする透過型スクリーン用部材の製造方法。 - 前記レンズ部は、前記遮光層よりも光の出射側で焦点を結ぶように設計されたものである請求項1または2に記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 前記開口部に対応する部分が光の出射側に突出する突出部となるように、前記光拡散部を形成する請求項1ないし3のいずれかに記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 透過型スクリーン用部材を平面視したときの、前記レンズ部が形成されている有効領域において前記突出部が占める面積の割合が5〜99%である請求項4に記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 前記遮光層の各開口部に対応する複数個の前記光拡散部を、これらが互いに独立するように形成する請求項1ないし5のいずれかに記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 透過型スクリーン用部材を平面視したときの、前記レンズ部が形成されている有効領域において前記光拡散部が占める面積の割合が5〜99%である請求項1ないし6のいずれかに記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 透過型スクリーン用部材の主面に垂直な方向での、前記光拡散部の長さが2〜450μmである請求項1ないし7のいずれかに記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 前記レンズ部の焦点が、透過型スクリーン用部材の主面に垂直な方向での、前記光拡散部のほぼ中央部である請求項1ないし8のいずれかに記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 前記レンズ部に対応する形状の凹部を有する凹部付き基板を用いて、前記レンズ基板を製造する請求項1ないし9のいずれかに記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 前記レンズ基板を光の入射面側から平面視したときの、前記レンズ部が形成されている有効領域において、前記レンズ部が占める面積の割合が90%以上である請求項1ないし10のいずれかに記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 複数個の前記マイクロレンズは、互いに曲率半径がほぼ等しいものである請求項1ないし11のいずれかに記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 前記マイクロレンズの直径は10〜500μmである請求項1ないし12のいずれかに記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 前記開口部の直径は、9〜500μmである請求項1ないし13のいずれかに記載の透過型スクリーン用部材の製造方法。
- 請求項1ないし14のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする透過型スクリーン用部材。
- 請求項15に記載の透過型スクリーン用部材を備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
- 光の出射側にフレネルレンズが形成されたフレネルレンズ部と、
前記フレネルレンズ部の光の出射側に配置された請求項15に記載の透過型スクリーン用部材とを備えたことを特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項15に記載の透過型スクリーン用部材を備えたことを特徴とするリア型プロジェクタ。
- 請求項16または17に記載の透過型スクリーンを備えたことを特徴とするリア型プロジェクタ。
- 投射光学ユニットと、導光ミラーとを備えた請求項18または19に記載のリア型プロジェクタ。
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