JP2003080598A - マイクロレンズシートの形成方法及びこの形成方法によるマイクロレンズシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子シート表面にマイクロレンズを簡便に
形成させ、飛躍的にコストを低減させることが可能とな
るだけでなくレンズの脱落等を考慮する必要がないため
実質分解能を向上させることができるマイクロレンズシ
ートの形成方法及びこの方法によるマイクロレンズシー
トを提供する。 【解決手段】 微細な半球状レンズ１２を複数形成して
なるマイクロレンズシート１１の形成工法において、円
筒又は円柱体ローラーの湾曲面に、凹状５コアを複数形
成した金属駒１を押厚して、高分子材料のシート基材１
０にレンズ１２を形成するマイクロレンズシート１１の
形成方法である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロレンズ、
光通信用カップリングレンズアレイ、デジタルカメラに
用いられるマイクロレンズシートの形成方法及びこの形
成方法によるマイクロレンズシートに関する。また、こ
のマイクロレンズシートを用いる画像表示スクリーン、
リアプロジェクション用スクリーン等のスクリーンに関
する。

【０００２】

【従来の技術】近年、液晶テレビ、ブック型のコンピュ
ター等の表示装置としては、大量に生産され、液晶表示
体が広く使用されている。しかし、液晶表示体は視野角
が狭いために、液晶ディスプレイの観察面側にレンズな
どの光線透過方向を制御する光学素子を組み合わせて視
野角を拡大する方法が提案されている。しかし、これら
の手段に使用されるマイクロレンズシート、プリズム等
を製造するには、予め求めるレンズ形状が形成された金
型を用意し、樹脂などを充填してシート表面上に転写す
る方法、同様の金型を用意し樹脂を注入して基材部分と
レンズ群部分を同時に形成する方法、紫外線硬化樹脂な
どの光硬化樹脂を塗布し、硬化させた後に不要部分を除
去する方法、プラスチックまたはガラスなどの基材表面
を機械的に切削して製造する方法がある。また、透明基
板上に光学ビーズを分散不透明な樹脂にて固定し、マイ
クロレンズをもつシートを形成させる方法がある。

【０００３】しかし、上記方法によるマイクロレンズア
レイシートでは視野角拡大効果や液晶ディスプレイの外
光による表示品位の低下防止効果が充分ではなく、さら
に、大量生産するための金型の費用又は精度、製造工程
の複雑さにより、経済的に大量に生産することが困難で
ある。また、光学ビーズを用いる方法は、光学ビーズが
高価なうえ、抜けもれなくレンズを配列させることがむ
ずかしく、スクリーンとして用いた場合、コスト面はも
とより、実質分解能を向上させることが難しいという問
題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記方法の問題に鑑みてなされたものであり、高分子シー
ト表面にマイクロレンズを簡便に形成させ、飛躍的にコ
ストを低減させることが可能となるだけでなくレンズの
脱落等を考慮する必要がないため実質分解能を向上させ
ることができるマイクロレンズシートの形成方法及びこ
の形成方法によるマイクロレンズシートを提供すること
を課題とする。さらに、このマイクロレンズシートを用
いるスクリーンを提供することを課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、請求項１に記載の発明は、 微細な半球状レンズを
複数形成してなるマイクロレンズシートの形成工法にお
いて、 円筒又は円柱体ローラーの湾曲面に、凹部を複
数形成した金属駒を押厚して、高分子材料のシート基材
にレンズを形成する マイクロレンズシートの形成方法
である。請求項２に記載の発明は、 請求項１に記載の
マイクロレンズシートの形成方法において、 前記金属
駒は、 円筒又は円柱体ローラー湾曲面に感光性材料を
塗布した後、レーザ光を照射して微細な開口部を設け、
エッチング液に浸漬又はスプレー浸漬することにより
凹部を複数形成する マイクロレンズシートの形成方法
である。請求項３に記載の発明は、 請求項１に記載の
マイクロレンズシートの形成方法において、 前記金属
駒は、 円筒又は円柱体ローラー湾曲面に感光性材料を
塗布した後、 円筒状のフィルムマスクを装着し、露光
し、現像して、 感光性材料に微細な開口部を設け、エ
ッチング液に浸漬又はスプレー浸漬することにより凹部
を複数形成する マイクロレンズシートの形成方法であ
る。

【０００６】請求項４に記載の発明は、 請求項１ない
し３のいずれかに記載のマイクロレンズシートの形成方
法において、 観察者側のレンズ表面粗さを算術平均粗
さ（Ｒａ）で１００ｎｍ以上とする マイクロレンズシ
ートの形成方法である。請求項５に記載の発明は、 請
求項１ないし４のいずれかに記載のマイクロレンズシー
トの形成方法において、 レンズ直径が１００μｍ以下
である マイクロレンズシートの形成方法である。

【０００７】請求項６に記載の発明は、 請求項５に記
載のマイクロレンズシートの形成方法において、 シー
ト観察者側に遮光性の部材に浸漬乾燥させる マイクロ
レンズシートの形成方法である。請求項７に記載の発明
は、 請求項６のに記載のマイクロレンズシートの形成
方法において、 観察者側レンズ頂点部のみの遮光層を
除去露出させる マイクロレンズシートの形成方法であ
る。請求項８に記載の発明は、 請求項１ないし７のい
ずれかに記載のマイクロレンズシートの形成方法に形成
された マイクロレンズシートである。

【０００８】請求項９に記載の発明は、 請求項１ない
し７のいずれかに記載のマイクロレンズシートの形成方
法に形成されたマイクロレンズシートを用いる スクリ
ーンである。請求項１０に記載の発明は、 請求項９に
記載のスクリーンであって、 マイクロレンズシートの
遮光性部材側に拡散シートを接合させる 画像表示スク
リーンである。請求項１１に記載の発明は、 請求項９
又は１０に記載のスクリーンであって、 マイクロレン
ズシートにフレネルレンズを積層してなる リアプロジ
ェクション用スクリーンである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図１は、円筒体および円柱体表
面にレンズ形状の凹部５を形成しているローラの金属駒
１である。また、図２は、本発明のマイクロレンズシー
ト１０の形成方法に用いる金属駒１の構造を示す概略図
である。図２（ａ）は、図１の一部を拡大したもので、
金属部材上に感光性材料３を塗布して、開口部を形成し
た状態を示している。図２（ｂ）は、図２（ａ）の断面
図である。図２（ｃ）は、感光性樹脂を除去して後の金
属部材の断面図である。図２に示すように、金属部材２
の表面に感光性材料３を展開し、次に、フォトマスクを
かぶせ露光し、微小な開口部４を形成する。また、レー
ザ等の高エネルギービームを直接照射させることで微小
な開口部４を形成してもよい。次に、開口部４を有する
金属部材２をエッチング液に浸漬、スプレー浸漬又はド
ライエッチングで開口部４からの等方的エッチングを実
施し、その後、感光性材料３を除去して、レンズ形状の
凹部５を複数個もつ型であるローラの金属駒１を製造す
る。

【００１０】ここで、金属部材２としては、銅、真鍮、
ニッケル、黄銅等の材質が好ましい。加工性がよいから
である。また、ＳＵＳであってもよい。加工性は良くな
いが、耐久性があり長期間の使用が可能である。金属部
材２の表面に感光性材料３を塗布するのは、浸漬、スプ
レー、スピンコート等の塗布方法を用いることができ
る。また、エッチング液としては、塩酸、硝酸、塩化第
二鉄の水溶液を用いることが好ましい。

【００１１】図３は、 本発明の一実施形態であるマイ
クロレンズシート１０の形成方法である。レンジ形状の
凹部５を有するローラ状の金属駒１を対にして、シート
基材１１を熱及び／又は圧力を加えて通過させること
で、シート基材１１に簡便にレンズ１２を形成させるこ
とができる。シート基材１１としては、透明性、屈折率
等の光学的に優れた樹脂であって、さらに、成形性の優
れたものであればいずれも使用することができる。アク
リル樹脂、スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることがで
きる。

【００１２】図４は、本発明のマイクロレンズシート１
０の形成方法によるマイクロレンズシート１０で、レン
ズ１２の表面粗さによる光の光路を示す概略図である。
図４（ａ）は、観察者側もレンズ形状としたマイクロレ
ンズシート１０の断面図で、レンズの表面粗さが粗いマ
イクロレンズシート１０の光の光路を示す概略図であ
る。図４（ｂ）は、フラット面とした断面図で、レンズ
の表面粗さが粗くないマイクロレンズシート１０の光の
光路を示す概略図である。ここで、表面粗さは、ＪＩＳ
Ｂ ０６０１に示されている算術平均粗さ（Ｒａ）で
表す。

【００１３】図４（ａ）に示すように、レンズ１２表面
の粗さは１００ｎｍ以上にすると、レンズ１２から出た
光が散乱し、観察者にとって視野が広く、かつ、明るく
なる。図４（ｂ）では、観察者側のシート基材１１の表
面の粗さが１００ｎｍ以下では、光の指向性が強調さ
れ、観察者からの視野が狭くなる。従って、１００ｎｍ
以上が好ましい。特に、観察者側にもレンズ１２を形成
したときには、この効果は大きくなる。従って、１００
ｎｍ以下にした表面を有するレンズ１２を形成すると光
の指向性はさらに強調されるために、一層観察者からの
視野が狭くなる。そのため、視野が広く、明るくするた
めには、レンズ１２表面の粗さは１００ｎｍ以上にする
ことが好ましい。また、レンズ１２の直径は、１００μ
ｍ以下が好ましい。これにより、高精度の画像を表すこ
とができる。

【００１４】図５は、本発明のマイクロレンズシート１
０の形成方法によるマイクロレンズシート１０で、下方
に遮光層１３を塗布したマイクロレンズシート１０の光
の光路を示す概略図である。図６は、本発明のマイクロ
レンズシート１０の形成方法によるマイクロレンズシー
ト１０で、下方に遮光層１３を塗布したマイクロレンズ
シート１０を形成する方法を示す概略図である。ここで
は、マイクロレンズシート１０の観察者側に遮光性の材
料を含む溶液に浸漬して塗布する。また、可とう性のあ
るフラットな材料にローラ状の金属駒１で押し付けて形
成してもよい。可とう性の材料としては、ゴム、シリコ
ンゴム等を挙げることができる。また、遮光性を向上さ
せるために、カーボンブラック等の顔料を含有させても
よい。このときに、ローラー状の金属駒１を押し付ける
圧力を制御することで、レンズ１２頂点部に選択的に遮
光層１３を設けなくすることができる。又は、軽く溶剤
でエッチング又は機械的な研摩でレンズ１２頂点部の遮
光性材料を除去してもよい。

【００１５】また、この上に、図５に示すように、拡散
フィルムを積層接合させて拡散層１４を設ける画像表示
スクリーン２０として用いることができる。この他に、
フレネルレンズを積層してなるリアプロジェクション用
スクリーン２０として用いることができる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のマイクロ
レンズシートの形成方法では、ローラ状に形成させたレ
ンズ型によりマイクロレンズを形成させることができる
ので安価で簡便に大型シートを形成することができる。
また、円筒体、円柱体型材にレーザ光で直接開口してい
るのでマスクや露光光ばらつきを考慮する必要がなく簡
便に開口部を形成させることができる。また、フィルム
マスクで開口位置の制御ができるので位置決め制御機構
を考慮することなくエッチング開口部を形成させること
ができる。また、観察者側のレンズ面をあらしているの
で視野角を広く保つことが可能となる。また、個々のレ
ンズごとに遮光層が形成されているので画像のコントラ
ストを大きく保つことができる。また、観察者側レンズ
頂点近傍の遮光層を除去しているのでコントラストの高
い画像を実現させることができる。また、拡散シートを
積層しているので、簡便に視野角を広く保つことができ
る。また、フレネルレンズと積層させた構成としている
ので、光量の均一化を図った上でコントラストが高く視
野角の広いスクリーンを実現させることができる。ま
た、１００μ以下のマイクロレンズ形状をスクリーンに
用いているので画像分解能を上げることが可能で光精彩
対応スクリーンを実現させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のマイクロレンズシートの形成方法に用
いる金属駒で、円筒状又は円柱状の表面にレンズ形状を
形成していることを示す概略図である。

【図２】本発明のマイクロレンズシートの形成方法に用
いる金属駒の構造を示す概略図である。

【図３】本発明の一実施形態であるマイクロレンズシー
トの形成方法である。

【図４】本発明のマイクロレンズシートの形成方法によ
るマイクロレンズシートで、レンズ１２の表面粗さによ
る光の光路を示す概略図である。

【図５】本発明のマイクロレンズシートの形成方法によ
るマイクロレンズシートで、下方に遮光層を塗布したマ
イクロレンズシートの光の光路を示す概略図である。

【図６】本発明のマイクロレンズシートの形成方法によ
るマイクロレンズシートで、下方に遮光層を塗布したマ
イクロレンズシートを形成する方法を示す概略図であ
る。

【符号の説明】

１ レンズ形状を有するローラ（金属駒） ２ 金属部材 ３ 感光性材料 ４ 開口部 ５ レンズ状の凹部 １０ マイクロレンズシート １１ マイクロレンズシートのシート基材 １２ レンズ １３ 遮光層 １４ 拡散層 ２０ スクリーン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） // Ｂ２９Ｋ 101:10 Ｂ２９Ｋ 101:10 Ｂ２９Ｌ 11:00 Ｂ２９Ｌ 11:00

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 微細な半球状レンズを複数形成してなる
   マイクロレンズシートの形成工法において、 円筒又は円柱体ローラーの湾曲面に、凹部を複数形成し
   た金属駒を押厚して、高分子材料のシート基材にレンズ
   を形成することを特徴とするマイクロレンズシートの形
   成方法。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のマイクロレンズシート
   の形成方法において、 前記金属駒は、 円筒又は円柱体ローラー湾曲面に感光性材料を塗布した
   後、レーザ光を照射して微細な開口部を設け、 エッチング液に浸漬又はスプレー浸漬することにより凹
   部を複数形成することを特徴とするマイクロレンズシー
   トの形成方法。
3. 【請求項３】 請求項１に記載のマイクロレンズシート
   の形成方法において、 前記金属駒は、 円筒又は円柱体ローラー湾曲面に感光性材料を塗布した
   後、 円筒状のフィルムマスクを装着し、露光し、現像して、 感光性材料に微細な開口部を設け、エッチング液に浸漬
   又はスプレー浸漬することにより凹部を複数形成するこ
   とを特徴とするマイクロレンズシートの形成方法。
4. 【請求項４】 請求項１ないし３のいずれかに記載のマ
   イクロレンズシートの形成方法において、 観察者側のレンズ表面粗さを算術平均粗さ（Ｒａ）で１
   ００ｎｍ以上とすることを特徴とするマイクロレンズシ
   ートの形成方法。
5. 【請求項５】 請求項１ないし４のいずれかに記載のマ
   イクロレンズシートの形成方法において、 レンズ直径が１００μｍ以下であることを特徴とするマ
   イクロレンズシートの形成方法。
6. 【請求項６】 請求項５に記載のマイクロレンズシート
   の形成方法において、 シート観察者側に遮光性の部材に浸漬乾燥させる ことを特徴とするマイクロレンズシートの形成方法。
7. 【請求項７】 請求項６のに記載のマイクロレンズシー
   トの形成方法において、 観察者側レンズ頂点部のみの遮光層を除去露出させる ことを特徴とするマイクロレンズシートの形成方法。
8. 【請求項８】 請求項１ないし７のいずれかに記載のマ
   イクロレンズシートの形成方法に形成されたことを特徴
   とするマイクロレンズシート。
9. 【請求項９】 請求項１ないし７のいずれかに記載のマ
   イクロレンズシートの形成方法に形成されたマイクロレ
   ンズシートを用いることを特徴とするスクリーン。
10. 【請求項１０】 請求項９に記載のスクリーンであっ
    て、 マイクロレンズシートの遮光性部材側に拡散シートを接
    合させることを特徴とする画像表示スクリーン。
11. 【請求項１１】 請求項９又は１０に記載のスクリーン
    であって、 マイクロレンズシートにフレネルレンズを積層してなる
    ことを特徴とするリアプロジェクション用スクリーン。