JP3730289B2 - 半導体ウェーハの欠陥測定方法及び同装置 - Google Patents
半導体ウェーハの欠陥測定方法及び同装置 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体ウェーハの欠陥評価、特に半導体ウェーハの素子を作り込む表層部分の欠陥評価に使用すると好適な半導体ウェーハの欠陥測定方法及び同装置に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
Si(シリコン)ウェーハは1018cm-3オーダの酸素を含み、酸素は引上げ中あるいはデバイスプロセス中の熱処理により析出を起こして微小酸素析出物を形成する。この微小酸素析出物はプロセス中に導入される金属のゲッタリング(IG(intrinsic gettering) を行うため、素子活性層を除くSiバルク中に107 〜109 cm-3程度の密度で存在することが必要である。従来、バルク中の微小酸素析出物密度の評価はSiウェーハをへき開後、Seccoエッチング等の選択エッチングにより顕在化させることにより行ってきた。
【0003】
また、近年、析出物によるその散乱光をへき開面から取り出すことにより、微小酸素析出物の評価を行う赤外トモグラフも使用されるようになってきている。
【0004】
微小酸素析出物がバルク中にのみある場合は有用であるが、
欠陥が素子活性層であるウェーハ表層に存在すると、素子中に転位を引き起こしたり、あるいはメカニズムはまだ明らかではないが、接合特性に悪影響を及ぼす等、非常に有害であるため、ウェーハ表層部の測定を行う手法も要望されている。
【0005】
しかし、選択エッチングを使用した方法や赤外トモグラフのように簡便な方法でウェーハ表層部の測定を行える手法は今だ開発されていない現状にある。
【0006】
なお、最近開発された半導体ウェーハ表層の評価装置である可視光トモグラフはウェーハのへき開を要せず、ウェーハの表層部のみに限定して測定を行うことができる。この可視光トモグラフはSiのバンドギャップよりも大きいエネルギのレーザ光(波長:680nm)をウェーハ表面に斜めから入射し、表面に存在する微小酸素析出物からの散乱光を検出する装置である。この可視光トモグラフでは、用いるレーザ光のエネルギがSiのバンドギャップよりも大きいので、入射したレーザ光はSiによる吸収を受け、表層のみしか入らないという性質を利用しているものである。
【0007】
しかしながら、この可視光トモグラフでは、入射光が半導体中で吸収を受けるため、光強度は半導体中を進んだ距離とともに指数関数的に減衰し、仮に同じ大きさの欠陥でも、半導体ウェーハの表面からの距離によって検出器で測定される散乱光強度が異なるようになり、上記半導体ウェーハ表層の欠陥評価装置で求められる散乱光強度分布は実際の欠陥の大きさを反映した分布と相違してしまうという問題を生じている。
【0008】
本発明の目的は半導体ウェーハの表層部における欠陥の大きさを反映した散乱光強度分布を正確に測定することができるようにした半導体ウェーハの欠陥測定方法及び同装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、半導体中で吸収を受ける波長の光を用いた半導体ウェーハ表層の欠陥測定装置(可視光トモグラフ)で求められた散乱光強度分布から、光吸収の影響を除いた実分布を、光の侵入長程度の範囲での欠陥の分布の一様性を仮定して、統計的に求めるものである。
【0010】
本発明の第1の態様による半導体ウェーハの欠陥測定方法は、半導体ウェーハの欠陥からの散乱光に基づいて該半導体ウェーハ内の欠陥分布を測定する半導体ウェーハの欠陥測定方法において、ウェーハ材料により吸収される光を前記半導体ウェーハに照射し、前記半導体ウェーハ内の欠陥から発生した散乱光を捕らえる走査システムにより前記半導体ウェーハの必要域を走査する段階と、
前記走査の結果から、前記照射光の半導体ウェーハへの侵入長をλ、散乱光強度をI、この散乱光強度Iの自然対数をJとしたとき、前記半導体ウェーハ内の欠陥表示情報を散乱光強度分布F(I)またはG(J)として求める段階と、
前記散乱光強度分布F(I)またはG(J)から
f(I)=(−2/λ)d{I・F(I)}/dI
または
g(J)=(−2/λ)d{G(J)}/dJ
で表わされる式に従った補正処理を行い、光吸収の影響を取り除いた散乱光強度分布f(I)またはg(I)を求める段階と、
を備えている。
【0011】
また、本発明の第2の態様による半導体ウェーハの欠陥測定装置は、半導体ウェーハの欠陥からの散乱光に基づいて前記半導体ウェーハ内の欠陥分布を測定する半導体ウェーハの欠陥測定装置において、
ウェーハ材料により吸収される光を前記半導体ウェーハに照射し、前記半導体ウェーハの欠陥から発生した散乱光を捕らえる走査システムと、
前記走査システムが前記半導体ウェーハの必要域を走査するように制御する走査制御手段と、
前記走査システムによる走査結果から、前記照射光の半導体ウェーハへの侵入長をλ、散乱光強度をI、この散乱光強度Iの自然対数をJとしたとき、前記半導体ウェーハ内の欠陥表示情報を散乱光強度分布F(I)またはG(J)として求める手段と、
前記散乱光強度分布F(I)またはG(J)から
f(I)=(−2/λ)d{I・F(I)}/dI
または
g(J)=(−2/λ)d{G(J)}/dJ
で表わされる式に従った補正処理を行い、光吸収の影響を取り除いた散乱光強度分布f(I)またはg(I)を求める補正手段と、
を備えている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。図1〜図4は本発明において使用する半導体ウェーハの評価装置の構造を示すものである。図1において、試料台1はXYテーブル及び真空チャックを備え、ウェーハWはこのXYテーブル上に載置されるとともに、真空チャックにより位置固定されている。光源2は赤色レーザ光を発生するものであり、その光路の途中には光学系3が配置され、上記赤色レーザ光は、この光学系によってウェーハWに所定の入射角となるように斜め方向から照射される。すると、レーザ光はウェーハW内部へほぼ垂直に侵入する。検出器4の先端には光学系5が設けられ、ウェーハW中の欠陥からの散乱光は光学系5によって受光され、その受光レベルに比例した電気信号が検出器4により出力される。光源2及び検出器4は位置固定されており、試料台1のXYテーブルの送りによりそれら光源2及び検出器4がウェーハW全面を走査するようになっている。計算機6は、このような操作のため、光源2の発光制御、検出器4からの出力取込み、XYテーブルの移送制御などを行う。7は計算機6をユーザI/Fとして機能させるためのディスプレイであり、測定結果を例えば以下に説明されるような形で出力させることができるものである。
【0019】
このような装置において、ウェーハWの欠陥からの散乱光L2 に基づきその欠陥分布を測定する場合には、光源2及び光学系3によりSiにより吸収される波長の光L1 をウェーハWに照射し、その照射光L1 が基の散乱光L2 を発生させる。そして、この散乱光L2 を検出器4及び光学系5により受光する。このような操作をウェーハWの必要な領域に渡って行い、その走査結果を計算機6により欠陥表示情報として加工する。
【0020】
図2は、直径150mmのCzSiウェーハの表面を、上記従来型の680nmの(Siによる吸収を受ける)赤色レーザ光を使用した評価装置により走査し、表面近傍の欠陥を測定した結果、つまりウェーハWに存在する欠陥からの散乱光強度分布である。波長680nmの赤色レーザ光のSi中における侵入長は約5μmであるので、同図に示す結果はウェーハW表面から約5μmの表層に存在する欠陥のものとなり、散乱光強度の弱い微小な欠陥ほど多く存在するという様子を示している。なお、この図に示す結果はSi中での光の吸収の影響により、吸収がないときの本来の散乱光強度分布とは異なっている。
【0021】
そこで、かかる欠陥表示情報からSiによる光の吸収の影響を取除く補正を行うこととなる。この場合、光の吸収の影響を考慮して散乱光強度分布の変換を行うことを考える。すなわち、半導体中で吸収を受ける波長の光を用いて求められた半導体ウェーハ表層に存在する欠陥による散乱光の強度分布をF(I)とし、同サンプルを仮に吸収を受けない波長の光を用いたとして求められる散乱光強度分布をf(I)とし、もし半導体中で吸収を受ける光の半導体中での侵入長程度の範囲で欠陥の分布に偏りがないと仮定した場合、両者の間には、
f(I)=(−2/λ)・d(I・F(I))/dI (1)
の関係がある。ここで、Iは散乱光強度、λは評価に用いた光の半導体に対する侵入長である。
【0022】
以下、式(1)の証明を与える。
【0023】
物理的な前提として、半導体ウェーハの表面からλ程度の範囲で、仮に光の吸収が無いとしたときの欠陥による散乱光強度分布が、どこでもf(I)で与えられているとする。
【0024】
入射光は半導体中で屈折してウェーハ表面に対して、ほぼ垂直に進行するとしてウェーハ表面からの距離をxとする。ウェーハ表面からxの距離による散乱光強度分布を、侵入長λの光を用いて測定したものをh(I,x)とする。
【0025】
光強度は半導体中を進むに従い指数関数的に減衰し、xの距離を進むと、exp(−x/λ)倍に強度が減少する。従って、ウェーハ表面からのxの距離にある欠陥からの散乱光を侵入長λの光を用いて観測すると、入射光がウェーハ表面から欠陥に達するまでの距離xと、欠陥から発せられた散乱光がウェーハ表面に達するまでの距離xの合わせて2xに相当する吸収を受ける。したがって、侵入長λの光を用いて見かけ上、散乱光強度がIに見えていた欠陥は、吸収の影響を除くと、本来Iexp(2x/λ)の散乱光強度であるはずである。ウェーハ表面からxの深さで見かけ上、散乱光強度がI〜I+ΔIである欠陥の密度ρ1 は、
ρ1 =h(I,x)・ΔI …(2)
である。これらの欠陥は、吸収の影響を除くと、I・exp(2x/λ)〜(I+ΔI)・exp(2x/λ)の散乱光強度であるので、これらの欠陥の密度ρ1 をfを用いて表わすと、
ρ1 =f(I・exp(2x/λ))・
{(I+ΔI)・exp(2x/λ)−I・exp(2x/λ)}…(3)
(2)式と(3)式は等しいので、これにより、
h(I,x)=f(I・exp(2x/λ))・exp(2x/λ)…(4)
h(I,x)をウェーハ表面からウェーハ内部まですべて足し合わせたものがF(I)であるから、
【0026】
【数1】
この(5)式を両辺Iで微分してfについて解くと(1)式が得られる(証明終わり)。
【0027】
ただし、図2から分かるように、散乱光強度が強い欠陥ほどその密度は減少し、散乱光強度分布が疎になってくる。そのため、(1)式に従って分布の変換を行うことが困難になっている。そこで実用上、散乱光強度分布は横軸を対数表示で表わしておく。すなわち、
J=lnI (6)
として、Jに関して、光吸収がないときの散乱光強度分布と、吸収があるときの散乱光強度分布をそれぞれ
g(J),G(J)とすると、
g(J)=−(2/λ)・d(G(J))/dJ …(7)
より散乱光強度分布の変換を行うことにする。
【0028】
以下(7)の証明を与える。
【0029】
散乱光強度がI〜I+ΔIである欠陥の密度ρ2 は
ρ2 =f(J)ΔI …(8)
であるが、J=lnIより、(8)をJとg(J)を用いて表わすと、散乱光強度がlnI〜ln(I+ΔI)の範囲であることにより、
ρ2 =g(J){ln(I+ΔI)−lnI} …(9)
(8)、(9)より、
f(I)=g(J)・(ln(I+ΔI)−lnI)/ΔI …(10)
ΔI→0として、
f(I)=(1/I)・g(J) …(11)
が得られる。同様にして、
F(I)=(1/I)・G(J) …(12)
となる。また、
d/dI=(d/dJ)・(dJ/dI)=(1/I)・(d/dJ)…(13)
であることにより、(11)、(12)、(13)式を(1)へ代入すると、
(1/I)・g(J)=
(−2/λ)・(1/I)・d{I・(1/I)・G(J)}/dJ…(14)
これより、(7)式が示される(証明終わり)。
【0030】
図2の散乱光強度分布について、横軸を対数表示にしたものが図3である。次に(7)式に従って散乱光強度分布の変換を行う本発明による変換方法を計算機6に組み込み、図3の分布を(7)式に従って変換したものが図4である。
【0031】
図5は上記実施例に用いた半導体ウェーハをへき開して、吸収のない赤外光を用いてウェーハ中の欠陥による散乱光の強度分布であり、両者を比較すると類似していることが明らかである。図5に示される評価に用いた半導体はCzウェーハであるので、欠陥の分布はウェーハ表面から内部までほぼ均等と考えられるが、図4と図5にはよい一致が見られる。したがって本発明によりウェーハ表層に存在する欠陥の実際の大きさを反映した散乱光強度分布を非破壊で求めることができることとなるのである。
【0032】
以上のように従来は半導体による吸収が起こる波長の光を用いた半導体ウェーハ表層の欠陥評価の際に、欠陥のウェーハ表面からの距離によって、見かけ上、散乱光強度が変化するため、実際の欠陥の大きさを反映した散乱光強度分布を求めることができなかった。これに対し、本発明の方法によれば、入射光の吸収の影響が取り除かれ、ウェーハ表層に存在する欠陥の実際の大きさを反映した散乱光の強度分布を求めることが可能になった。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ウェーハ材料により吸収される光を用いたへき開を要しない方法によりウェーハを走査し、その結果からウェーハの材料による光の吸収の影響を取除いた欠陥の分布を求めるようにしたので、半導体ウェーハの表層部における欠陥の分布を正確に測定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用するウェーハの欠陥測定装置の構造を示す概略システム説明図。
【図2】図1に示す装置を使用しSiが吸収する波長の光により測定した結果を横軸リニアスケールで示すグラフ。
【図3】図2に示す結果を横軸対数スケールで示すグラフ。
【図4】図3に示す結果からSiによる光の吸収の影響を取除いたものを示すグラフ。
【図5】同ウェーハをへき開して、吸収のない赤外光を用いて測定した結果を横軸対数スケールで示すグラフ。
【符号の説明】
W Siウェーハ
1 試料台
2 光源
3 照射光学系
4 検出器
5 受光光学系
6 計算機
7 ディスプレイ
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体ウェーハの欠陥評価、特に半導体ウェーハの素子を作り込む表層部分の欠陥評価に使用すると好適な半導体ウェーハの欠陥測定方法及び同装置に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
Si(シリコン)ウェーハは1018cm-3オーダの酸素を含み、酸素は引上げ中あるいはデバイスプロセス中の熱処理により析出を起こして微小酸素析出物を形成する。この微小酸素析出物はプロセス中に導入される金属のゲッタリング(IG(intrinsic gettering) を行うため、素子活性層を除くSiバルク中に107 〜109 cm-3程度の密度で存在することが必要である。従来、バルク中の微小酸素析出物密度の評価はSiウェーハをへき開後、Seccoエッチング等の選択エッチングにより顕在化させることにより行ってきた。
【0003】
また、近年、析出物によるその散乱光をへき開面から取り出すことにより、微小酸素析出物の評価を行う赤外トモグラフも使用されるようになってきている。
【0004】
微小酸素析出物がバルク中にのみある場合は有用であるが、
欠陥が素子活性層であるウェーハ表層に存在すると、素子中に転位を引き起こしたり、あるいはメカニズムはまだ明らかではないが、接合特性に悪影響を及ぼす等、非常に有害であるため、ウェーハ表層部の測定を行う手法も要望されている。
【0005】
しかし、選択エッチングを使用した方法や赤外トモグラフのように簡便な方法でウェーハ表層部の測定を行える手法は今だ開発されていない現状にある。
【0006】
なお、最近開発された半導体ウェーハ表層の評価装置である可視光トモグラフはウェーハのへき開を要せず、ウェーハの表層部のみに限定して測定を行うことができる。この可視光トモグラフはSiのバンドギャップよりも大きいエネルギのレーザ光(波長:680nm)をウェーハ表面に斜めから入射し、表面に存在する微小酸素析出物からの散乱光を検出する装置である。この可視光トモグラフでは、用いるレーザ光のエネルギがSiのバンドギャップよりも大きいので、入射したレーザ光はSiによる吸収を受け、表層のみしか入らないという性質を利用しているものである。
【0007】
しかしながら、この可視光トモグラフでは、入射光が半導体中で吸収を受けるため、光強度は半導体中を進んだ距離とともに指数関数的に減衰し、仮に同じ大きさの欠陥でも、半導体ウェーハの表面からの距離によって検出器で測定される散乱光強度が異なるようになり、上記半導体ウェーハ表層の欠陥評価装置で求められる散乱光強度分布は実際の欠陥の大きさを反映した分布と相違してしまうという問題を生じている。
【0008】
本発明の目的は半導体ウェーハの表層部における欠陥の大きさを反映した散乱光強度分布を正確に測定することができるようにした半導体ウェーハの欠陥測定方法及び同装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、半導体中で吸収を受ける波長の光を用いた半導体ウェーハ表層の欠陥測定装置(可視光トモグラフ)で求められた散乱光強度分布から、光吸収の影響を除いた実分布を、光の侵入長程度の範囲での欠陥の分布の一様性を仮定して、統計的に求めるものである。
【0010】
本発明の第1の態様による半導体ウェーハの欠陥測定方法は、半導体ウェーハの欠陥からの散乱光に基づいて該半導体ウェーハ内の欠陥分布を測定する半導体ウェーハの欠陥測定方法において、ウェーハ材料により吸収される光を前記半導体ウェーハに照射し、前記半導体ウェーハ内の欠陥から発生した散乱光を捕らえる走査システムにより前記半導体ウェーハの必要域を走査する段階と、
前記走査の結果から、前記照射光の半導体ウェーハへの侵入長をλ、散乱光強度をI、この散乱光強度Iの自然対数をJとしたとき、前記半導体ウェーハ内の欠陥表示情報を散乱光強度分布F(I)またはG(J)として求める段階と、
前記散乱光強度分布F(I)またはG(J)から
f(I)=(−2/λ)d{I・F(I)}/dI
または
g(J)=(−2/λ)d{G(J)}/dJ
で表わされる式に従った補正処理を行い、光吸収の影響を取り除いた散乱光強度分布f(I)またはg(I)を求める段階と、
を備えている。
【0011】
また、本発明の第2の態様による半導体ウェーハの欠陥測定装置は、半導体ウェーハの欠陥からの散乱光に基づいて前記半導体ウェーハ内の欠陥分布を測定する半導体ウェーハの欠陥測定装置において、
ウェーハ材料により吸収される光を前記半導体ウェーハに照射し、前記半導体ウェーハの欠陥から発生した散乱光を捕らえる走査システムと、
前記走査システムが前記半導体ウェーハの必要域を走査するように制御する走査制御手段と、
前記走査システムによる走査結果から、前記照射光の半導体ウェーハへの侵入長をλ、散乱光強度をI、この散乱光強度Iの自然対数をJとしたとき、前記半導体ウェーハ内の欠陥表示情報を散乱光強度分布F(I)またはG(J)として求める手段と、
前記散乱光強度分布F(I)またはG(J)から
f(I)=(−2/λ)d{I・F(I)}/dI
または
g(J)=(−2/λ)d{G(J)}/dJ
で表わされる式に従った補正処理を行い、光吸収の影響を取り除いた散乱光強度分布f(I)またはg(I)を求める補正手段と、
を備えている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。図1〜図4は本発明において使用する半導体ウェーハの評価装置の構造を示すものである。図1において、試料台1はXYテーブル及び真空チャックを備え、ウェーハWはこのXYテーブル上に載置されるとともに、真空チャックにより位置固定されている。光源2は赤色レーザ光を発生するものであり、その光路の途中には光学系3が配置され、上記赤色レーザ光は、この光学系によってウェーハWに所定の入射角となるように斜め方向から照射される。すると、レーザ光はウェーハW内部へほぼ垂直に侵入する。検出器4の先端には光学系5が設けられ、ウェーハW中の欠陥からの散乱光は光学系5によって受光され、その受光レベルに比例した電気信号が検出器4により出力される。光源2及び検出器4は位置固定されており、試料台1のXYテーブルの送りによりそれら光源2及び検出器4がウェーハW全面を走査するようになっている。計算機6は、このような操作のため、光源2の発光制御、検出器4からの出力取込み、XYテーブルの移送制御などを行う。7は計算機6をユーザI/Fとして機能させるためのディスプレイであり、測定結果を例えば以下に説明されるような形で出力させることができるものである。
【0019】
このような装置において、ウェーハWの欠陥からの散乱光L2 に基づきその欠陥分布を測定する場合には、光源2及び光学系3によりSiにより吸収される波長の光L1 をウェーハWに照射し、その照射光L1 が基の散乱光L2 を発生させる。そして、この散乱光L2 を検出器4及び光学系5により受光する。このような操作をウェーハWの必要な領域に渡って行い、その走査結果を計算機6により欠陥表示情報として加工する。
【0020】
図2は、直径150mmのCzSiウェーハの表面を、上記従来型の680nmの(Siによる吸収を受ける)赤色レーザ光を使用した評価装置により走査し、表面近傍の欠陥を測定した結果、つまりウェーハWに存在する欠陥からの散乱光強度分布である。波長680nmの赤色レーザ光のSi中における侵入長は約5μmであるので、同図に示す結果はウェーハW表面から約5μmの表層に存在する欠陥のものとなり、散乱光強度の弱い微小な欠陥ほど多く存在するという様子を示している。なお、この図に示す結果はSi中での光の吸収の影響により、吸収がないときの本来の散乱光強度分布とは異なっている。
【0021】
そこで、かかる欠陥表示情報からSiによる光の吸収の影響を取除く補正を行うこととなる。この場合、光の吸収の影響を考慮して散乱光強度分布の変換を行うことを考える。すなわち、半導体中で吸収を受ける波長の光を用いて求められた半導体ウェーハ表層に存在する欠陥による散乱光の強度分布をF(I)とし、同サンプルを仮に吸収を受けない波長の光を用いたとして求められる散乱光強度分布をf(I)とし、もし半導体中で吸収を受ける光の半導体中での侵入長程度の範囲で欠陥の分布に偏りがないと仮定した場合、両者の間には、
f(I)=(−2/λ)・d(I・F(I))/dI (1)
の関係がある。ここで、Iは散乱光強度、λは評価に用いた光の半導体に対する侵入長である。
【0022】
以下、式(1)の証明を与える。
【0023】
物理的な前提として、半導体ウェーハの表面からλ程度の範囲で、仮に光の吸収が無いとしたときの欠陥による散乱光強度分布が、どこでもf(I)で与えられているとする。
【0024】
入射光は半導体中で屈折してウェーハ表面に対して、ほぼ垂直に進行するとしてウェーハ表面からの距離をxとする。ウェーハ表面からxの距離による散乱光強度分布を、侵入長λの光を用いて測定したものをh(I,x)とする。
【0025】
光強度は半導体中を進むに従い指数関数的に減衰し、xの距離を進むと、exp(−x/λ)倍に強度が減少する。従って、ウェーハ表面からのxの距離にある欠陥からの散乱光を侵入長λの光を用いて観測すると、入射光がウェーハ表面から欠陥に達するまでの距離xと、欠陥から発せられた散乱光がウェーハ表面に達するまでの距離xの合わせて2xに相当する吸収を受ける。したがって、侵入長λの光を用いて見かけ上、散乱光強度がIに見えていた欠陥は、吸収の影響を除くと、本来Iexp(2x/λ)の散乱光強度であるはずである。ウェーハ表面からxの深さで見かけ上、散乱光強度がI〜I+ΔIである欠陥の密度ρ1 は、
ρ1 =h(I,x)・ΔI …(2)
である。これらの欠陥は、吸収の影響を除くと、I・exp(2x/λ)〜(I+ΔI)・exp(2x/λ)の散乱光強度であるので、これらの欠陥の密度ρ1 をfを用いて表わすと、
ρ1 =f(I・exp(2x/λ))・
{(I+ΔI)・exp(2x/λ)−I・exp(2x/λ)}…(3)
(2)式と(3)式は等しいので、これにより、
h(I,x)=f(I・exp(2x/λ))・exp(2x/λ)…(4)
h(I,x)をウェーハ表面からウェーハ内部まですべて足し合わせたものがF(I)であるから、
【0026】
【数1】
この(5)式を両辺Iで微分してfについて解くと(1)式が得られる(証明終わり)。
【0027】
ただし、図2から分かるように、散乱光強度が強い欠陥ほどその密度は減少し、散乱光強度分布が疎になってくる。そのため、(1)式に従って分布の変換を行うことが困難になっている。そこで実用上、散乱光強度分布は横軸を対数表示で表わしておく。すなわち、
J=lnI (6)
として、Jに関して、光吸収がないときの散乱光強度分布と、吸収があるときの散乱光強度分布をそれぞれ
g(J),G(J)とすると、
g(J)=−(2/λ)・d(G(J))/dJ …(7)
より散乱光強度分布の変換を行うことにする。
【0028】
以下(7)の証明を与える。
【0029】
散乱光強度がI〜I+ΔIである欠陥の密度ρ2 は
ρ2 =f(J)ΔI …(8)
であるが、J=lnIより、(8)をJとg(J)を用いて表わすと、散乱光強度がlnI〜ln(I+ΔI)の範囲であることにより、
ρ2 =g(J){ln(I+ΔI)−lnI} …(9)
(8)、(9)より、
f(I)=g(J)・(ln(I+ΔI)−lnI)/ΔI …(10)
ΔI→0として、
f(I)=(1/I)・g(J) …(11)
が得られる。同様にして、
F(I)=(1/I)・G(J) …(12)
となる。また、
d/dI=(d/dJ)・(dJ/dI)=(1/I)・(d/dJ)…(13)
であることにより、(11)、(12)、(13)式を(1)へ代入すると、
(1/I)・g(J)=
(−2/λ)・(1/I)・d{I・(1/I)・G(J)}/dJ…(14)
これより、(7)式が示される(証明終わり)。
【0030】
図2の散乱光強度分布について、横軸を対数表示にしたものが図3である。次に(7)式に従って散乱光強度分布の変換を行う本発明による変換方法を計算機6に組み込み、図3の分布を(7)式に従って変換したものが図4である。
【0031】
図5は上記実施例に用いた半導体ウェーハをへき開して、吸収のない赤外光を用いてウェーハ中の欠陥による散乱光の強度分布であり、両者を比較すると類似していることが明らかである。図5に示される評価に用いた半導体はCzウェーハであるので、欠陥の分布はウェーハ表面から内部までほぼ均等と考えられるが、図4と図5にはよい一致が見られる。したがって本発明によりウェーハ表層に存在する欠陥の実際の大きさを反映した散乱光強度分布を非破壊で求めることができることとなるのである。
【0032】
以上のように従来は半導体による吸収が起こる波長の光を用いた半導体ウェーハ表層の欠陥評価の際に、欠陥のウェーハ表面からの距離によって、見かけ上、散乱光強度が変化するため、実際の欠陥の大きさを反映した散乱光強度分布を求めることができなかった。これに対し、本発明の方法によれば、入射光の吸収の影響が取り除かれ、ウェーハ表層に存在する欠陥の実際の大きさを反映した散乱光の強度分布を求めることが可能になった。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ウェーハ材料により吸収される光を用いたへき開を要しない方法によりウェーハを走査し、その結果からウェーハの材料による光の吸収の影響を取除いた欠陥の分布を求めるようにしたので、半導体ウェーハの表層部における欠陥の分布を正確に測定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用するウェーハの欠陥測定装置の構造を示す概略システム説明図。
【図2】図1に示す装置を使用しSiが吸収する波長の光により測定した結果を横軸リニアスケールで示すグラフ。
【図3】図2に示す結果を横軸対数スケールで示すグラフ。
【図4】図3に示す結果からSiによる光の吸収の影響を取除いたものを示すグラフ。
【図5】同ウェーハをへき開して、吸収のない赤外光を用いて測定した結果を横軸対数スケールで示すグラフ。
【符号の説明】
W Siウェーハ
1 試料台
2 光源
3 照射光学系
4 検出器
5 受光光学系
6 計算機
7 ディスプレイ
Claims (2)
- 半導体ウェーハの欠陥からの散乱光に基づいて該半導体ウェーハ内の欠陥分布を測定する半導体ウェーハの欠陥測定方法において、
ウェーハ材料により吸収される光を前記半導体ウェーハに照射し、前記半導体ウェーハ内の欠陥から発生した散乱光を捕らえる走査システムにより前記半導体ウェーハの必要域を走査する段階と、
前記走査の結果から、前記照射光の半導体ウェーハへの侵入長をλ、散乱光強度をI、この散乱光強度Iの自然対数をJとしたとき、前記半導体ウェーハ内の欠陥表示情報を散乱光強度分布F(I)またはG(J)として求める段階と、
前記散乱光強度分布F(I)またはG(J)から
f(I)=(−2/λ)d{I・F(I)}/dI
または
g(J)=(−2/λ)d{G(J)}/dJ
で表わされる式に従った補正処理を行い、光吸収の影響を取り除いた散乱光強度分布f(I)またはg(I)を求める段階と、
を備えている半導体ウェーハの欠陥測定方法。 - 半導体ウェーハの欠陥からの散乱光に基づいて前記半導体ウェーハ内の欠陥分布を測定する半導体ウェーハの欠陥測定装置において、
ウェーハ材料により吸収される光を前記半導体ウェーハに照射し、前記半導体ウェーハの欠陥から発生した散乱光を捕らえる走査システムと、
前記走査システムが前記半導体ウェーハの必要域を走査するように制御する走査制御手段と、
前記走査システムによる走査結果から、前記照射光の半導体ウェーハへの侵入長をλ、散乱光強度をI、この散乱光強度Iの自然対数をJとしたとき、前記半導体ウェーハ内の欠陥表示情報を散乱光強度分布F(I)またはG(J)として求める手段と、
前記散乱光強度分布F(I)またはG(J)から
f(I)=(−2/λ)d{I・F(I)}/dI
または
g(J)=(−2/λ)d{G(J)}/dJ
で表わされる式に従った補正処理を行い、光吸収の影響を取り除いた散乱光強度分布f(I)またはg(I)を求める補正手段と、
を備えている半導体ウェーハの欠陥測定装置。
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