JP4049723B2 - 窒化物半導体素子の製造方法及び窒化物半導体素子の製造装置 - Google Patents

窒化物半導体素子の製造方法及び窒化物半導体素子の製造装置 Download PDF

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Description

この発明は、窒化物半導体素子を構成するシリコンカーバイド(SiC)基板に用いて好適な基板検査方法及び基板検査装置を利用した、窒化物半導体素子の製造方法及び窒化物半導体素子の製造装置に関する。
現在、窒化物半導体は、その物理的性質の優位性から、光デバイス分野や電子デバイスの分野で研究が盛んに行われている。
特に、電子デバイス分野では、現在、窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT 以下、HEMTと称する。)の開発が進められている。
窒化物半導体結晶は、蒸気圧が高いことからバルク単結晶の育成が困難であるため、有機金属気相成長法(Metal−Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD 以下、MOCVDと称する。)が広く利用されている。
MOCVD法とは、高温下で基板上に所定の原料ガスを順次供給し、所望の結晶層を基板上にエピタキシャル成長させる成膜技術をいう。
近年、電子デバイス分野において、シリコンカーバイド基板(以下、SiC基板と記載する場合がある。)が注目されている。SiCの熱伝導率が、基板材料として一般的に用いられているサファイア(Al23)の熱伝導率よりも7〜9倍程度と大きいためである。
そこで、現在、このSiC基板上にMOCVD法によって窒化物半導体結晶を成長させて得られる、優れた高周波特性及び高出力特性を有するHEMTの技術開発が進められている。
また、こうして得られたHEMTに対する外観検査を、光学顕微鏡像に基づいて用いて行うことができる(例えば、非特許文献1参照)。
株式会社ニコン「ビデオ・エンハンスシステムSMR−100」カタログ(1994年8月現在)
しかしながら、SiC基板上に、上述したMOCVD法によって窒化物半導体薄膜の成膜を行うに当たり、以下の問題点がある。
先ず、結晶基板としてのSiC基板には、マイクロパイプと呼ばれる、基板の表裏を貫通する穴が構造欠陥として存在している。このマイクロパイプの径は、単結晶の育成条件によって相違するが、数μm〜数十μm程度の場合がある。
そのため、SiC基板上に成長する窒化物半導体薄膜の膜厚を通常2μm〜3μm程度とした場合に、薄膜を成長させた後もマイクロパイプの一部が欠陥として残存する。
すなわち、SiC基板の構造欠陥に起因して、当該基板上の窒化物半導体薄膜にも欠陥が発生してしまう(これを、欠陥導入とも称する)。
また、SiC基板には、上述したマイクロパイプの他に、マクロ欠陥(例えば、ボイドや結晶粒界等がある。)、転位(例えば、螺旋や刃状やモザイク等がある。)及び表面欠陥(例えば、表面研磨傷や表面粗さ等がある。)等の種々の構造欠陥が存在している場合がある。その場合にも、上述と同様に、当該欠陥が成膜された窒化物半導体薄膜に欠陥導入されてしまう。
このような構造欠陥が存在しているSiC基板を具えるHEMT等は、動作不良を起こすために、デバイスとしての信頼性の低下を引き起こす。
しかし、上述した非特許文献1に示されたシステムによる検査は、構造欠陥の検出ではなく、あくまでデバイスの表面観察や寸法誤差等の外観検査に過ぎないために、上述した構造欠陥を検出してデバイスの品質を検査することは不可能であった。
そこで、この発明の主たる目的は、基板内部に発生している構造欠陥を検出可能な基板検査方法及び基板検査装置を利用した窒化物半導体素子の製造方法及び窒化物半導体素子の製造装置を提供することにある。
請求項に記載の窒化物半導体素子の製造方法の発明によれば、下記のような構成上の特徴を有する。
すなわち、シリコンカーバイド基板上に窒化物半導体薄膜が成膜された積層体を具える、窒化物半導体素子を製造するに当たり、照射工程と、不良部特定工程と、加工工程と、切断工程と、排除工程と含んでいる。照射工程では、窒化物半導体薄膜に対して励起光を照射する。不良部特定工程では、励起光の照射によって窒化物半導体薄膜中において発生する、シリコンカーバイド基板の欠陥に基づく光を利用して、シリコンカーバイド基板の不良部の位置を特定する。加工工程では、積層体のうち、不良部以外の領域に加工を施して加工済積層体を形成する。切断工程では、加工済積層体を含む積層体を所定の素子寸法毎に切断して複数の切片とする。排除工程では、切片のうち、前記加工済積層体を含む切片以外の切片を排除する。
また、請求項に記載の発明のように、好ましくは、不良部特定工程では、窒化物半導体薄膜中において発光する光を検出し、当該光の強さに関する情報を含む第1情報を取得するとともに、第1情報のうち光の強さが基準値以上である領域を不良部として特定するのが良い。
また、請求項に記載の発明のように、より好ましくは、積層体に、外部から識別可能な標識をあらかじめ形成しておく。そして、第1情報から標識を認識し、第1情報と当該識別された標識とを関連付けて格納部に格納しておく。こうして、不良部特定工程では、加工済積層体が有する標識に関する第2情報を取得した後、当該第2情報によって識別された加工済積層体の標識と同一の標識と関連付けて格納されている、第1情報を格納部から読み出して照合し、読み出された第1情報に基づいて、加工済積層体の不良部を特定するのが良い。
また、請求項に記載の発明のように、加工済積層体の標識を認識するに当たり、積層体上の窒化物半導体素子形成用の膜を、当該加工済積層体が具える標識を外部から識別可能な状態で維持されるように加工しておく、加工工程を含むのが良い。
また、請求項に記載の発明のように、より好ましくは、励起光として、波長が400から600nmの範囲内の可視光を照射するのが良い。
また、請求項に記載の発明のように、より好ましくは、励起光として、紫外光を照射するのが良い。
また、請求項に記載の発明のように、より好ましくは、窒化物半導体薄膜として、GaN層、AlGaN層及びInGaN層のうちから選ばれた一種または二種以上の膜を成膜するのが良い。
また、請求項に記載の窒化物半導体素子の製造装置の発明によれば、下記のような構成上の特徴を有する。
すなわち、シリコンカーバイド基板上に窒化物半導体薄膜が成膜された積層体のうち、当該窒化物半導体薄膜に対して励起光を照射する励起光照射部と、励起光によって窒化物半導体薄膜中において発生する、シリコンカーバイド基板の欠陥に基づく光を利用して、シリコンカーバイド基板の不良部の位置を特定する不良部特定部と、積層体のうち、前記不良部以外の領域に加工を施して加工済積層体を形成する積層体加工部と、当該加工済積層体を含む積層体を所定の素子寸法毎に切断して複数の切片とする切断部と、切片のうち、加工済積層体を含む切片以外の切片を排除する排除部とを具えている。
また、請求項に記載の発明のように、好ましくは、不良部特定部は、窒化物半導体薄膜中において発光する光を検出して、該光の強さに関する情報を含む第1情報を取得する第1情報取得部と、第1情報のうち、当該光の強さが基準値以上である領域を不良部として特定する情報処理部とを具えているのが良い。
また、請求項10に記載の発明のように、より好ましくは、積層体に、外部から識別可能な標識があらかじめ形成されており、加工済積層体に形成されている標識に関する第2情報を取得する第2情報取得部を具えており、不良部特定部は、さらに、第1情報から前記標識を認識する第1認識部と、第1情報と第1認識部で認識された前記標識とを関連付けて格納しておく格納部と、第2情報取得部で取得された第2情報に基づいて、加工済積層体が有する標識を認識する第2認識部と、認識された加工済積層体の標識と同一の標識と関連付けて格納されている、第1情報を格納部から読み出して照合し、該読み出された第1情報に基づいて、加工済積層体の不良部を特定する不良部照合部とを具えているのが良い。
また、請求項11に記載の発明のように、より好ましくは、加工済積層体が有する標識を認識するに当たり、積層体上の窒化物半導体素子形成用の膜に対して、加工済積層体が具える標識を、外部から識別可能な状態で維持されているように、加工する加工部を具えているのが良い。
また、請求項12に記載の発明のように、より好ましくは、励起光は、波長が400から600nmの範囲内の可視光であるのが良い。
また、請求項13に記載の発明のように、より好ましくは、励起光は、紫外光であるのが良い。
また、請求項14に記載の発明のように、より好ましくは、窒化物半導体薄膜は、GaN層、AlGaN層及びInGaN層のうちから選ばれた一種または二種以上の層を含むのが良い。
請求項に記載の窒化物半導体素子の製造方法の発明によれば、窒化物半導体薄膜の欠陥に基づいて発生する発光現象(或いは、ルミネッセンスとも称する。)を光学顕微鏡を利用した簡易な構成を利用して検出することにより、窒化物半導体薄膜の不良部の位置を検出することができる。
これにより、窒化物半導体薄膜に対して欠陥導入を引き起こす欠陥を有する、シリコンカーバイド基板(以下、単に、SiC基板と称する場合がある。)の不良部の位置を特定することができる。
よって、積層体に対する加工を不良部を含まないSiC基板部分に対してのみ行うことにより、積層体を切断した後に、加工済積層体を含まない不要な切片を排除することができる。
また、請求項に記載の製造方法の発明によれば、上述した効果に加え、窒化物半導体薄膜の欠陥位置及び無欠陥位置に関するデータであるマッピングデータを迅速かつ再現性良く取得することができる。これにより、SiC基板の不良部の位置を自動的にかつ効率良く特定することができる。
また、請求項に記載の製造方法の発明によれば、上述した効果に加え、ウェハ状の加工済積層体のSiC基板の不良部の位置を、あらかじめ、積層体を加工する前に取得しておいたマッピングデータを利用することにより特定することができるので、加工後にあらためて特定する必要がない。
そのため、当該加工済積層体を切断して得られる切片のうち、SiC基板に不良部を有する不要なチップの選別を効率良く行うことができる。
また、請求項に記載の製造方法の発明によれば、上述した効果に加え、加工済積層体が具える標識の認識を精度良く行うことができる。
また、請求項に記載の製造方法の発明によれば、上述した効果に加え、窒化物半導体薄膜の表層の欠陥に対してはもとより、内部に存在する欠陥に対しても可視光を照射可能となる。
また、請求項に記載の製造方法の発明によれば、上述した効果に加え、窒化物半導体薄膜の欠陥に起因する発光のみを検出できる。そのため、窒化物半導体薄膜表面に埃や屑等が付着している場合には、窒化物半導体薄膜表面からの発光がこれらによって遮蔽されて発光強度が弱くなるため、当該埃や屑等の検出も同時に観察可能となる。
また、請求項に記載の製造方法の発明によれば、種々の窒化物半導体薄膜を単数或いは複数組み合わせて用いることができるので、HEMTをはじめとする、高周波・高出力トランジスタ、青色レーザ及び青色発光ダイオード等の窒化物半導体素子を構成する、SiC基板の品質を評価することができる。
請求項に記載の窒化物半導体素子の製造装置の発明によれば、窒化物半導体薄膜の欠陥に基づいて発生する発光現象を光学顕微鏡を利用した簡易な構成を利用して検出することにより、窒化物半導体薄膜の不良部の位置を検出することができる。
これにより、窒化物半導体薄膜に対して欠陥導入を引き起こす欠陥を有する、SiC基板の不良部の位置を特定することができる。
よって、加工済積層体のSiC基板の不良部の位置を、加工前の積層体で特定された不良部の位置を利用して特定することにより、不要な切片を排除することができる。
また、請求項に記載の製造装置の発明によれば、上述した効果に加え、ウェハ状の加工済積層体のSiC基板の不良部の位置を、あらかじめ、積層体を加工する前に取得しておいたマッピングデータを利用することにより特定することができるので、加工後にあらためて特定する必要がない。
そのため、当該加工済積層体を切断して得られる切片のうち、SiC基板に不良部を有する不要なチップの選別を効率良く行うことができる。
また、請求項10に記載の製造装置の発明によれば、上述した効果に加え、述した効果に加え、ウェハ状の加工済積層体のSiC基板の不良部の位置を、あらかじめ、積層体を加工する前に取得しておいたマッピングデータを利用することにより特定することができるので、加工後にあらためて特定する必要がない。
そのため、当該加工済積層体を切断して得られる切片のうち、SiC基板に不良部を有する不要なチップの選別を効率良く行うことができる。
また、請求項11に記載の製造装置の発明によれば、上述した効果に加え、加工済積層体が具える標識の認識を精度良く行うことができる。
また、請求項12に記載の製造装置の発明によれば、上述した効果に加え、窒化物半導体薄膜の表層の欠陥に対してはもとより、内部に存在する欠陥に対しても可視光を照射可能となる。
また、請求項13に記載の製造装置の発明によれば、上述した効果に加え、窒化物半導体薄膜の欠陥に起因する発光のみを検出できる。そのため、窒化物半導体薄膜表面に埃や屑等が付着している場合には、窒化物半導体薄膜表面からの発光がこれらによって遮蔽されて発光強度が弱くなるため、当該埃や屑等の検出も同時に観察可能となる。
また、請求項14に記載の製造装置の発明によれば、種々の窒化物半導体薄膜を単数或いは複数組み合わせて用いることができるので、HEMTをはじめとする、高周波・高出力トランジスタ、青色レーザ及び青色発光ダイオード等の窒化物半導体素子を構成する、SiC基板の品質を評価することができる。
以下、図1〜図10を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。尚、各図(フローチャートを除く。)は、この発明が理解できる程度に各構成成分の形状、大きさ及び配置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、この発明は図示例に限定されるものではない。また、図を分かり易くするために、断面を示すハッチングは、一部分を除き省略してある。尚、以下の説明は、単なる好適例に過ぎず、また、例示した数値的条件は何らこれに限定されない。また、各図において同様の構成成分については同一の番号を付して示し、その重複する説明を省略することもある。
<第1の実施の形態>
図1は、この実施の形態の基板検査装置100の概略構成図である。この実施の形態では、試料として、ウェハ状のシリコンカーバイド基板(以下、SiC基板と称する場合がある。)151上に窒化物半導体薄膜としてGaN層152が成膜された、積層体15aを用いた場合を例に挙げて説明する。
図1に示すように、この実施の形態の基板検査装置100は、励起光照射部10と不良部特定部20とを具えている。不良部とは、SiC基板のうち構造欠陥を有する領域であり、ここでは、後述するある基準値以上の光強度で発光する領域を不良部として扱う。
励起光照射部10は、積層体15aが具える、窒化物半導体薄膜としてのGaN層152に対して励起光を照射する。
ここでの励起光照射部10は、主として、積層体15aを載置するステージ12、光源13、狭帯域フィルタ14、ハーフミラー16及び第1レンズ18を具えている。
ステージ12の搭載面cと実質的に垂直な方向に、ステージ12側から、第1レンズ18及びハーフミラー16が所定間隔で順次設けられている。ハーフミラー16は、狭帯域フィルタ14を透過した光源13からの励起光の入射角が45°となる位置に配置されており、当該励起光を、第1レンズ18を介してステージ12上の積層体15aに入射角90°で入射させる。
この構成例では、光源13として、例えば、青〜緑色可視光(波長400〜600nm程度)を照射可能な水銀ランプを用い、励起光をe線(波長546nm)やg線(波長436nm)とする。
不良部特定部20は、第2レンズ22を具えており、積層体15aのGaN層152から発せられた光(説明後述)を結像する。
続いて、図1及び図2を参照して、基板検査装置100を用いた基板検査方法につき説明する。
先ず、ウェハ状の積層体15aが載置されたステージ12を、観察位置にセットする(S401)。
続いて、光源13からの励起光を、積層体15aのGaN層152に照射する(S403)。励起光が照射されたGaN層152の欠陥部分では、発光(ルミネッセンスとも称する。)が発生する。これは、励起光の照射によって、SiC基板151の構造欠陥に対応する欠陥部分の窒化物半導体薄膜のイエローバンドが励起され、波長500〜600nm付近に発光が生じるためである。尚、窒化物半導体材料は、ワイドバンドギャップと称されることからもわかるように、可視光に対して透明である。よって、窒化物半導体薄膜の表層の欠陥に対してはもとより、内部に存在する欠陥に対しても可視光を照射可能である。
続いて、第2レンズ22によって結像されたGaN層152からの発光の濃淡を、肉眼で観察することにより、不良部の位置を特定することができる(S405)。その後、ステージを手動あるいは自動で移動させるなどして、励起光をGaN層152の全面に照射することにより、ウェハ状のSiC基板151全面の不良部の位置(すなわち、欠陥位置)を特定することができる。
ところで、基板をサファイアとした場合には、サファイア自体が均質なバルク単結晶であるため、当該基板上に成膜されるGaN層も実質的に均一に良好な膜質となる。そのため、GaN層152に励起光を照射しても発光の濃淡は観察されない。
しかしながら、SiC基板をデバイスに使用するに当たり、このように、光学顕微鏡を利用した簡易な構成によってSiC基板の品質を簡便に評価できる。
そのため、サファイア基板よりも優れた熱伝導率を有していながらも、SiCの構造欠陥をデバイス作製前に特定できずにいた問題を解消することができ、SiC基板を用いたデバイスの製造歩留まりの向上が期待できる。
上述した説明から明らかなように、この発明の実施の形態によれば、窒化物半導体薄膜の欠陥に基づいて発生する発光現象を利用することにより、肉眼でレンズを通して、SiC基板の不良部の位置を検出することができる。
これにより、窒化物半導体薄膜に対して欠陥導入を引き起こす欠陥を有する、SiC基板の欠陥の位置を特定することができる。
<第2の実施の形態>
この実施の形態では、基板検査装置が具える光源として、紫外光を照射可能な水銀ランプを用いている点が、第1の実施の形態との主な相違点である。
この構成例では、第1の実施の形態の光源に替え、例えば、紫外光を照射可能な水銀ランプを用い、励起光をi線(波長365nm)やj線(波長313nm)とする。
第1の実施の形態では、励起光として可視光を照射するため、試料表面が明るく照らされることになる。そのため、発光の濃淡によってSiC基板の不良部を肉眼等で観察するに当たり、試料表面に付着した埃や屑等によって遮蔽された発光の濃淡にわたってまで、精度良く判別することは困難である。
一方、励起光として紫外光を照射した場合、肉眼等による観察では、試料表面は明るく照らされていない。すなわち、GaN層152からの発光のみが肉眼等によって観察可能となる。その結果、試料表面に付着している埃や屑等によってGaN層152からの発光が遮蔽されている場合には、その遮蔽された部分のみ発光強度が弱くなることを顕著に観察することできる。尚、ここでの埃や屑とは、例えば、搬送中に試料表面に付着したもののほかに、GaN層等の窒化物半導体の結晶成長時に発生した結晶であって、その後試料表面に不所望に付着したものも含まれる。
上述した説明から明らかなように、この実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果に加え、試料表面に付着している埃や屑等の検出を同時に行うことができる。
その結果、SiC基板の構造欠陥とともにデバイスの信頼性の低下の要因となる、試料表面の埃や屑等を排除する等して、デバイスの信頼性のより一層の向上を期待できる。
<第3の実施の形態>
この実施の形態の基板検査装置300は、不良部特定部200として、情報取得部25と情報処理部30とを具えている点が、第1の実施の形態との主な相違点である。尚、図中、第1の実施の形態で既に説明した構成要素と同一の構成要素には同一の番号を付して示しており、その具体的な説明を省略する(以下の各実施の形態についても同様)。
図3に示すように、この実施の形態の基板検査装置300は、第1の実施の形態と同様に、励起光照射部10と不良部特定部200とを具えているが、ここでの不良部特定部200は、情報取得部25及び情報処理部30を含んでいる点で相違している。
情報取得部25においてGaN層から発生する光の強さ(以下、単に、発光強度とも称する。)に関する情報を取得し、情報処理部30において、情報取得部25によって取得された情報から、光の強さが基準値以上である領域を不良部として特定する。尚、ここでの発光強度の情報とは、画素毎の情報である。
以下に、基板検査装置300の詳細につき説明する。ここでの励起光照射部10は、第1の実施の形態と同様のため具体的な説明は省略し、不良部特定部200が具える情報取得部25及び情報処理部30について詳細に説明する。
情報取得部25は、主として、第2レンズ22とCCDカメラ等の撮像素子24とを具えている。第2レンズ22によって結像された、積層体15aから発する光を、撮像素子24において光の強さに関する情報である画像データとして取得する。
情報処理部30は、主として、情報受信部31、CPU(或いは、中央処理装置とも称する。)32、入力部34、格納部35、出力部36及びステージ駆動部38を具えている。
情報受信部31は、情報取得部25がデジタル信号として取得した、上述した光の強さに関する情報を画像データとして受信する。ここで受信された当該情報は、一旦、格納部35に格納される。
CPU32は、プログラムでソフトウェア処理を行うとき、種々の処理機能を達成する手段として機能する。この構成例におけるCPU32は、それぞれ後述する、制御部321及び抽出部323(あるいは、マッピング処理部とも称する。)として機能する機能手段を含んでいる。
制御部321は、入力部34から入力された指令に基づいて、或いは、CPU32の内部的に発生した指令に基づいて、他の所要の機能手段の処理の実行の制御、出力部36に表示させる制御、及び各構成要素のタイミングをとる制御等を行うが、これらの点については従来公知であるため、その詳細な説明を省略する。
抽出部(マッピング処理部とも称する。)323は、試料全面における光の強さに関する情報から得られる各画素の光強度と、あらかじめ格納部35に基準値として設定されている1つ又は複数の光強度の閾値とを比較し、光の強さが基準値以上の領域を不良部として抽出する、マッピング処理を行う。このマッピング処理によって、GaN層152の欠陥位置及び無欠陥位置に関するデータである、マッピングデータを迅速にかつ再現性良く取得することができる。
入力部34は、キーボードやタッチパネルのような入力手段を具えており、処理の最中に外部から必要な指令を入力する装置である。
格納部35は、RAMやROMのようなメモリを具えており、この発明の処理に必要な情報やデータ等が予め読み出し自在に格納され、さらには、各処理の最中に生じる情報やデータ等を読み出し自在に書き込まれる記憶装置である。
出力部36は、情報受信部31や入力部34からの所要の情報やデータ等の他、CPU32で処理中に生成された所要の情報やデータ等を表示するための画像表示装置(モニタ)及び/又は印字装置を具えている。
ステージ駆動部38は、入力部34からの指令信号に基づいて、ステージ12を、試料搭載面cに対して平行な方向及びステージ12の搭載面cに対して垂直な方向に移動させることができる。この構成例では、ステージ12を所定位置に移動させて、積層体15aからの発光を観察する構成であるが、これとは反対に、ステージ12を固定しておいて撮像素子24を所定位置に移動させて、積層体15aからの発光を観察する構成であっても良い。
続いて、図3及び図4を参照して、基板検査装置300を用いた基板検査方法につき説明する。
先ず、ウェハ状の積層体15aが載置されたステージ12を、撮像素子24による観察開始位置である測定位置にセットする(S501)。
その後、第1の実施の形態と同様の方法で、積層体15aのGaN層152に励起光を照射する(S503)。このとき、励起光が照射されたGaN層152の欠陥部分では、第1の実施の形態の説明と同様に発光が生じる。尚、光源としては、上述した青〜緑色可視光(波長400〜600nm程度)や紫外光を照射可能な水銀ランプを用いて行う。
続いて、この実施の形態では、GaN層152から発生した光を第2レンズ22によって結像し、撮像素子24によって光の強さに関する情報に変換して取得する(S505)。観察開始位置での光の強さに関する情報を取得した後は、制御部321からステージ駆動部38に、ステージ12を移動させる制御信号が自動的に出力される。この制御信号によってステージ12が次の測定位置に移動され、同様に撮像素子24による新たな情報が取得される。こうした走査処理を繰り返し、撮像素子24によってGaN層152全面を走査させることにより、ウェハ全面の情報を取得することができる。
情報受信部31は、光の強さに関する情報の取得に応答して、情報取得部25から当該情報を受信して格納部35に順次格納する(S507)。
続いて、入力部34からの指示によって、GaN層152から発光する光の強さに関する情報に基づいて、所定の光の強さ以上の領域を不良部、すなわち欠陥位置として抽出するマッピング処理を行う(S509)。こうして得られたマッピングデータに基づいて、SiC基板の欠陥の有無を自動的に特定することができる。
そこで、図5を参照して、抽出部323でのマッピング処理の一例につき説明する。
先ず、マッピング抽出の前処理として、予め各画素の位置座標と各画素の光強度の抽出判定基準となる閾値とを、以下説明するように格納部35に格納しておく。
SiC基板151に欠陥が生じていると、この欠陥に起因してその上側のGaN層152にも欠陥が生じる。そこで、GaN層152に励起光を照射して、その反射光の光強度が欠陥の無い画素領域と欠陥のある画素領域とでどう変わるかを統計的なデータとして、予め調べておき、ある一定以上の光強度の場合には欠陥領域であると判断できる光強度の値を、基準値すなわち閾値として取得する。こうして得られた基準値を、各画素に共通の判断の基準値として格納部35に格納しておく。また、格納部35には、各画素毎に、ウェハ表面に設定されたXY座標系の位置座標が対応付けられて格納されている。
抽出部323では、ウェハ全面に対する、GaN層152が発光する光の強さに関する情報の取得の終了の通知を受けて、格納部35から当該情報を読み出していく(S601)。この情報から画素毎に、画素の位置座標と当該画素の光強度のデータとを読み出す(S603)。次に、当該情報の読み出しに応答して、格納部35から基準値を読み出す(S605)。この基準値の読み出しの終了後、基準値と光強度との比較を行う(S607)。この比較により、光強度が基準値と等しいか、あるいは、基準値よりも大きい場合には(Yesの場合)、この光強度を与えた画素は欠陥を有している画素であると判定する。一方、光強度の値が、基準値よりも小さい場合には(Noの場合)、この光強度を与えた画素は欠陥を有していない画素であると判定する。こうして、全てのウェハ上の画素について上述の各ステップS601〜S607を行い(S609)、この処理を終了する。また、必要に応じて、得られたマッピングデータを出力部36からプリントアウトしたり、又は、マッピングデータをモニタにマッピング表示するなどして可視化も可能である。
上述したマッピング処理を行うことにより、窒化物半導体薄膜の欠陥位置及び無欠陥位置に関するマッピングデータを、迅速かつ再現性良く取得することができる。
上述した説明から明らかなように、この実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、この実施の形態によれば、SiC基板の不良部の位置を自動的にかつ効率良く特定することができる。
<第4の実施の形態>
図6は、この実施の形態の窒化物半導体素子の製造装置900の概略構成図である。この実施の形態では、第3の実施の形態で説明したマッピングデータを、当該マッピングデータを取得したウェハ状の試料と関連づけて格納しておくことにより、このマッピングデータを窒化物半導体素子の製造に利用する構成である。
図6に示すように、この実施の形態の窒化物半導体素子の製造装置900は、第1の実施の形態と同様に、励起光照射部10及び不良部特定部800に加えて、さらに、第2情報取得部40、積層体加工部45、切断部50及び排除部60を具えた構成である。
続いて、窒化物半導体素子の製造装置900の詳細につき説明するに先立ち、この実施の形態の窒化物半導体素子の製造装置の製造ラインは、一例として、以下に簡単に説明する(1)〜(3)の製造工程を含んでいる(図7参照)。また、この実施の形態では、窒化物半導体素子をGaN系HEMTとした場合を例に挙げて説明する。
(1):ウェハ状のSiC基板151上に、チャネル層となる窒化物半導体薄膜としてGaN層152を形成して、積層体15aを形成する。具体的には、SiC基板151上に、MOCVD法によって形成したGaNバッファ層(不図示)をGaN層152に改質して形成する。尚、この積層体15aを、以下ウェハまたは加工前ウェハと称する場合もある。また、ここで説明するGaN系HEMTは一般的な構造であり、各層を結晶成長させる際の具体的な形成方法については従来公知であるため、その詳細な説明は省略する。
GaN層152を形成した後、積層体15aの表面に、各ウェハを個別に識別するための、外部から識別可能なマークや番号等の標識70を形成する。標識70は、ウェハ表面の素子形成領域a以外の領域であるマージン領域bに、例えば、アルミニウム(Al)を金属蒸着して形成する。尚、標識70は、金属蒸着法の他に、例えば、GaN層152の表面自体をエッチングして、凸状或いは凹状に形成したものであっても良い。また、この標識70を、HEMTの製造過程で用いられるフォトマスクの位置合わせ用マークと兼用させても良い。すなわち、マークの形成位置、個数及び形状は、目的や設計に応じて任意好適に設計することができる(図7(A))。
(2):この積層体15aに対し、標識70を識別可能な状態が維持されるように加工を行って、加工された積層体15bを得る。この構成例では、一例として、積層体15aに窒化物半導体素子として、例えば、GaN系HEMT15bを作り込む。
尚、積層体15aに対する加工とは上述のみに限定されない。よって、GaN層152上に、窒化物半導体素子形成用の何らかの膜を所要の処理によって成膜した後、標識70を覆っている当該成膜した膜の一部を除去して、標識70を露出させる加工が施されていれば良い。この構成例では、GaN層152上に、窒化物半導体素子として所要の構成要素である、電子供給層153及び各電極(ゲート電極104、ソース電極106及びドレイン電極108)を形成する。具体的には、電子供給層153を、Al0.2Ga0.8N層をMOCVD法によって形成する。ゲート電極104を、電子供給層153上に、ニッケル(Ni)及び金(Au)を順次積層して形成する。また、ソース電極106及びドレイン電極108として、電子供給層153上であってかつゲート電極104を非接触で挟む位置に、チタン(Ti)、アルミニウム及び金を順次積層して形成する(図7(B))。然る後、周知の通り、形成された各構成要素を覆うようにパッシベーション膜(図示せず)を形成する。尚、ここでは、積層体15bを、加工済積層体または加工済ウェハとも称し、単にウェハと称する場合は積層体15aを指す場合がある。
(3):積層体15bを、スクライビング方式やダイシング方式等によって、ダイシングラインに沿って、個々の切片、すなわちチップ80に切断する(図7(C))。
このような製造ラインにおいて、この発明は、特に、上記(1)の段階で、あらかじめ、加工前ウェハの状態でウェハ状のSiC基板の不良部位置(欠陥位置)を特定しておくことにより、加工済ウェハをチップ化した際に、不良部を有するチップをこの欠陥位置に基づいて排除することができる。
以下、図6を参照して、窒化物半導体素子の製造装置900の詳細につき説明する。
励起光照射部10は、第1の実施の形態と同様のため、ここでの具体的な説明は省略し、不良部特定部800、第2情報取得部40、積層体加工部45、切断部50及び排除部60について詳細に説明する。
この構成例の不良部特定部800は、第1情報取得部65及び情報処理部85を具えている。
第1情報取得部65は、主として、第2レンズ22とCCDカメラ等の撮像素子24とを具えており、第2レンズ22によって結像された積層体15aから発する光を、撮像素子24によって光の強さに関する第1情報として取得する。
情報処理部85は、主として、第1情報受信部33、CPU75、入力部34、格納部35、出力部36、ステージ駆動部38及び第2情報受信部37を具えている。
第1情報受信部33は、第1情報取得部65がデジタル信号として取得した、上述した光の強さに関する第1情報を画像データとして受信する。ここで受信された第1情報は、一旦格納部35に格納される。
第2情報受信部37は、後述する第2情報取得部40が取得した、加工された積層体15bの標識70に関する第2情報を画像データとして受信する。
CPU75は、第3の実施の形態と同様の機能を有し、ここでは、それぞれ後述する、制御部751、第1認識部753、抽出部755(あるいは、マッピング処理部とも称する。)、第2認識部757及び不良部照合部759として機能する機能手段を含んでいる。
制御部751は、入力部34から入力された指令に基づいて、或いは、CPU75の内部的に発生した指令に基づく、他の所要の機能手段の処理の実行の制御、格納部35に対する情報やデータ等の書込み及び/又は読み出しの制御、出力部36への信号の出力を制御して適当に表示させる制御、及び各構成要素のタイミングをとる制御等を行う。
第1認識部753は、第1情報受信部33が受信した第1情報に基づいて、積層体15aに形成されている標識70を認識する。
そこで、図8を参照して、第1認識部での認識処理の一例につき説明する。
先ず、認識処理の前処理として、あらかじめ、ウェハ毎の真の基準標識(すなわち、上記(1)の段階で形成される標識)に関する情報を格納しておく。
第1認識部753では、第1情報受信部33での第1情報の受信に応答して、格納部35から第1情報を画素毎に読み出していく(S1010)。そして、当該読み出された第1情報中に、各ウェハ毎に形成されているウェハ識別用の標識70に関する情報が有る(Y:Yesの場合)か無い(N:Noの場合)かを判断する(S1030)。第1情報中に標識70に関する情報が有る場合(Y)には、標識70がウェハの基準標識のうちのいずれであるかを判定する(S1050)。この判定は、格納部35にあるウェハの基準標識と第1情報から読み取られた標識とに関する情報を照合して行う。照合が一致した場合(Y)には、読み取られた標識が真の識別標識であると認識されて、積層体15aの標識に関する第1情報と加工前マッピングデータとが関連付けられて格納部35に格納される。尚、各ステップS1030及びS1050で「無い」や「不一致」の場合(N)には、S1010に戻る。次に、全てのウェハ状の画素について上述の各ステップS1010〜S1050が終了したら(S1070)、この処理を終了する。
抽出部755は、第3の実施の形態と同様の機能を有し、試料全面における光の強さに関する第1情報から得られる各画素の光強度と、あらかじめ格納部35に基準値として設定されている1つ又は複数の光強度の閾値とを比較し、光の強さが基準値以上の領域を不良部として抽出する、マッピング処理を行う。マッピング処理は、第3の実施の形態で説明した方法と同様にして行うことができ、ここでは、各ウェハ15a毎に、そのウェハのどの領域が不良部であるかが、格納部35に位置座標情報で保存される。
第2認識部757は、後述する第2情報受信部37が受信した第2情報に基づいて、加工された積層体15bに形成されている標識70を認識する。この処理は、図8を参照して説明した第1認識部753での認識処理と実質的に同様である。この場合には、積層体は加工された積層体(すなわち、加工済ウェハ)15bであり、また、第1画像データの代わりに第2画像データについて処理が行われる。従って、図8に、第2画像データの処理であることをステップS1010に示してある。
不良部照合部759は、第1情報に基づいて加工された積層体15bの不良部の位置を特定する。
そこで、図9を参照して、不良部照合部759における、加工された積層体15bの不良部位置の特定処理の一例につき説明する。
具体的には、第2認識部757で認識された標識70と、格納部35に第1情報に基づくマッピングデータとともに格納されている標識70との照合を行う(S1110)。照合が一致した場合(Y)には、一致した標識を有する、加工前の積層体15aのSiC基板の不良部に関するマッピングデータを読み出す(S1130)。そして、加工前のマッピングデータに含まれている不良部の個所を指定する位置座標を指定する(S1150)。この不良部の位置座標の指定により、加工された積層体15bのうち、不良部が発生している領域部分の位置座標が特定される。
これらのステップS1110〜S1150を全ての積層体であるウェハにつき行う(S1170)。尚、ステップS1110及びS1170において、Noである場合には、S1110に戻る。
これにより、加工された積層体15bの状態においてでも、GaN層152に対して欠陥導入を引き起こす、SiC基板151の欠陥位置を特定することができる。
第2情報取得部40は、例えば、CCDカメラ等の通常の撮像素子を具えており、積層体15bに形成されている標識70に関する第2情報を取得する。この第2情報取得部40としては、例えば、既に説明した基板検査装置100(第1の実施の形態参照)の励起光照射部10の構成要素である光源13を除去しないか、又は除去した構成としてこれを兼用することも可能である。
積層体加工部45は、積層体15aに窒化物半導体素子を作り込むために成膜やエッチングを施し、最終のデバイスとして作り上げる従来普通の装置であって、単一構成であっても複数の装置の組み合わせであっても良い。また、この積層体加工部45では、標識70を覆っている膜部分の除去を行って、当該標識70を露出させる処理も含まれる。積層体加工部45での所要の加工は、上述したマッピングデータの取得後、入力部34からの指令により、加工前の積層体15aが積層体加工部45へ自動的に搬送された後開始される。ここでの加工処理によって、積層体15aは、標識70が外部から識別可能な状態が維持されている、加工済積層体15bとなる。ここでは、積層体15aを加工して、ウェハ状のGaN系HEMT15bを形成する。この加工処理が終了すると、加工済積層体15bは、入力部34からの指令により、第2情報取得部40へ自動的に搬送されて所要の位置にセットされる。
切断部50では、加工済積層体15bの標識70と当該加工済積層体15bの不良部の位置座標情報とが格納部35に格納された後、加工済積層体15bが切断部50へ自動的に搬送されて所要の位置にセットされる。このセッティングの終了に応答して、切断部50では、加工済積層体15bをダイシングラインに沿って切断し、複数のチップに個片化する。尚、この状態では、未だ、各チップはダイシングテープ上に固定されていてバラバラになっていない。
排除部60は、切断部50で個片化され、ダイシングテープに貼り付いている複数個のチップのうち、不良部照合部759で不良部と判定された領域にあるチップを、ピンセット付きロボットアーム等で排除する。具体的には、排除部60では、加工済積層体15bのうちSiC基板の欠陥位置に関する位置座標情報を読み出してきて、不良チップの特定及び排除を行う。
続いて、図6から図10を参照して、窒化物半導体素子の製造装置900を用いた窒化物半導体素子の製造方法につき説明する。
先ず、ウェハ状の積層体15aが載置されたステージ12を、撮像素子24による観察開始位置にセットする(S1510)。
その後、第1の実施の形態と同様の方法で、積層体15aのGaN層152に励起光を照射する(S1530)。このとき、励起光が照射されたGaN層152の欠陥部分では、第1の実施の形態の説明と同様に発光が生じる。尚、光源としては、上述した青〜緑色可視光(波長400〜600nm程度)や紫外光を照射可能な水銀ランプを用いて行う。
続いて、第2レンズ22によって結像された、GaN層152からの発光を、撮像素子24によって第1情報に変換して取得する(S1550)。尚、観察開始位置での第1情報の取得終了後は、制御部751からステージ駆動部38に、ステージ12を移動させる制御信号が自動的に出力される。この制御信号によってステージ12が次の測定位置に移動され、同様に撮像素子24による新たな第1情報が取得される。こうした走査処理を繰り返し、撮像素子24をGaN層152全面に走査させ、ウェハ全面の第1情報を取得する。このとき、この第1情報には、GaN層152から発した光の強さに関する情報の他に、上述した標識70に関する情報も取り込まれている。
第1情報の取得に応答して、第1情報受信部33は、第1情報取得部65から第1情報を受信して格納部35に格納する(S1570)。
続いて、入力部34からの指示によって、格納部35から第1情報を読み出し、当該第1情報に基づいて、加工前の積層体15aに形成されている標識70を認識する(S1590)。
続いて、入力部34からの指示によって、認識された標識70に対応する積層体15aの第1情報に基づいて、所定の光の強さ以上の領域を不良部、すなわち欠陥位置として抽出するマッピング処理を行う(S1610)。
続いて、入力部34からの指示によって、第1認識部753で認識された標識70と、当該標識70に関するマッピングデータとを関連付けて、格納部35に格納する(S1630)。
このように、ウェハ毎の欠陥位置及び無欠陥位置に関するデータをマッピングデータとして蓄積及び管理することにより、以降、必要に応じて随時読み出すことができる。尚、ここでは、認識された標識と当該標識に関するマッピングデータとを関連づけて格納部35に格納させている。しかし、そのようにする代わりに、例えば、認識された標識と当該標識に関する第1情報とを関連づけて格納し、後工程において、当該第1画像データに対してマッピング処理を行っても良い。或いは、必要に応じて、格納部35からマッピングデータを読み出して、出力部36で画像表示させても良い。
その後、入力部34からの指示によって、積層体加工部45に積層体15aを搬送し、窒化物半導体素子の作り込みを行う。この素子形成後に標識70が何らかの膜で覆われている場合は、当該標識70を覆っている膜の部分を除去する。このようにして、標識70が外部から識別可能な状態で残存する、GaN系HEMT15bを形成する(S1650)。
続いて、加工済積層体15bを、当該加工済積層体15bが具える標識70に関する第2情報を取得するための、観察開始位置にセットする(S1670)。
続いて、撮像素子(不図示)を加工済積層体15bの全面を走査させて、加工済積層体15bが具える標識70に関する第2情報を取得する(S1690)。
続いて、第2情報取得に応答して、第2情報受信部37は、第2情報取得部40から第2情報を受信して格納部35に格納する(S1710)。
続いて、入力部34からの指示によって、格納部35から第2情報を読み出して、加工済積層体15bが具える標識70を認識する(S1730)。
続いて、加工済積層体15bのうちのGaN層152の不良部の位置、すなわち欠陥位置を特定する(S1750)。具体的には、入力部34からの指示によって、第2認識部757で認識された標識70と同一の標識70と関連付けて格納されているマッピングデータを格納部35から読み出す。そして、読み出されたマッピングデータに基づいて、加工済積層体15bのGaN層152の欠陥位置を判別する。こうして、加工済積層体15bの状態におけるSiC基板の欠陥位置を、積層体の加工前に取得しておいたマッピングデータを利用して特定することができる。
続いて、ダイシングテープに貼り付けられている加工済積層体15bを、個々の切片(例えば、チップ)80に切断する(S1770)。
続いて、不良部照合部759で不良部と判定された領域を含むチップを、ロボットアーム等の先端に設けられているピンセットで摘んで排除する(S1790)。
すなわち、あらかじめ取得されているマッピングデータによって不要なチップが選別可能であるため、切断された個々の切片に対してあらためて信頼性評価検査を行う必要がない。
上述した説明から明らかなように、この発明の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、この実施の形態によれば、ウェハ状の加工済積層体のSiC基板の不良部の位置を、あらかじめ、積層体を加工する前に取得しておいたマッピングデータを利用することにより特定することができるので、加工後にあらためて特定する必要がない。
そのため、当該加工済積層体を切断して得られる切片のうち、SiC基板に不良部を有する不要な切片の選別を効率良く行うことができる。
以上、この発明は、上述した実施の形態のみに限定されない。よって、任意好適な段階において好適な条件を組み合わせ、この発明を適用することができる。
例えば、光源としては水銀ランプの他に、キセノンランプやハロゲンランプ等を任意好適に使用することができる。
また、窒化物半導体薄膜としてGaN層を用いた場合につき説明したが、GaN層、AlGaN層及びInGaN層の少なくとも一つを含む膜であれば良い。
また、窒化物半導体薄膜を用いた窒化物半導体素子としては、HEMTの他に、高周波・高出力トランジスタ、青色レーザ及び青色発光ダイオード等を任意好適に適用することができる。
また、上述した説明では、加工前積層体或いは加工済積層体に対する各処理を入力部からの指示によって行っているが、自動的に開始するようにしても良い。
また、上述した第4の実施の形態の説明では、不良部特定部と、積層体加工部、切断部及び排除部とが制御装置を介して接続された構成であるが、何らこれらに限定されない。よって、例えば、積層体加工部、切断部及び排除部を、制御装置と切り離して、個別の装置として設けても良い。その場合には、制御装置で得られた所要の情報は所定の格納部等に一旦格納しておき、この格納部を介してこれらの情報を積層体加工部、切断部及び排除部で利用することができる。
また、上述した第4の実施の形態では、積層体全面に対して加工を行い、得られた加工済積層体のSiC基板の不良部の位置を、積層体を加工する前に取得しておいたマッピングデータを利用して特定することにより、不良部を有する不要な切片の排除を行っていた。
しかし、例えば、積層体に対する加工を、当該マッピングデータを利用して不良部を含まないSiC基板部分に対してのみ行い、積層体を切断した後に、加工済積層体を含む切片以外の切片を排除する構成であっても良い。
この発明の第1の実施の形態の基板検査装置の概略構成図である。 この発明の第1の実施の形態の説明の基板検査装置による検査方法の説明に供する、フローチャートである。 この発明の第3の実施の形態の基板検査装置の概略構成図である。 この発明の第3の実施の形態の説明の基板検査装置による検査方法の説明に供する、フローチャートである。 この発明の第3の実施の形態の基板検査装置が具える抽出部の動作を示すフローチャートである。 この発明の第4の実施の形態の窒化物半導体素子の製造装置の概略構成図である。 この発明の第4の実施の形態の説明の窒化物半導体素子の製造方法に含まれる製造工程の説明に供する図である。 この発明の第4の実施の形態の窒化物半導体素子の製造装置が具える第1及び第2識別部の動作を示すフローチャートである。 この発明の第4の実施の形態の窒化物半導体素子の製造装置が具える不良部照合部の動作を示すフローチャートである。 この発明の第4の実施の形態の窒化物半導体素子の製造装置による製造方法の説明に供する、フローチャートである。
符号の説明
10:励起光照射部
12:ステージ
13:光源
14:狭帯域フィルタ
15a:積層体(加工前)
15b:加工済積層体
16:ハーフミラー
18:第1レンズ
20、200、800:不良部特定部
22:第2レンズ
24:撮像素子
25:情報取得部
30:情報処理部
31:情報受信部
32、75:CPU
33:第1情報受信部
34:入力部
35:格納部
36:出力部
37:第2情報受信部
38:ステージ駆動部
40:第2情報取得部
45:積層体加工部
50:切断部
60:排除部
65:第1情報取得部
70:標識
80:チップ(切片)
85:情報処理部
100、300:基板検査装置
104:ゲート電極
106:ソース電極
108:ドレイン電極
151:シリコンカーバイド基板
152:GaN層(窒化物半導体薄膜)
153:電子供給層
321、751:制御部
323、755:抽出部(マッピング処理部)
753:第1認識部
757:第2認識部
759:不良部照合部
900:窒化物半導体素子の製造装置

Claims (14)

  1. シリコンカーバイド基板上に窒化物半導体薄膜が成膜された積層体のうち、該窒化物半導体薄膜に対して励起光を照射する照射工程と、
    前記励起光によって窒化物半導体薄膜中において発生する、前記シリコンカーバイド基板の欠陥に基づく光を利用して、前記シリコンカーバイド基板の不良部の位置を特定する不良部特定工程と、
    前記積層体のうち、前記不良部以外の領域に加工を施して加工済積層体を形成する加工工程と、
    前記加工済積層体を含む前記積層体を所定の素子寸法毎に切断して、複数の切片とする切断工程と、
    前記切片のうち、前記加工済積層体を含む切片以外の切片を排除する排除工程と
    を含むことを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
  2. 請求項に記載の窒化物半導体素子の製造方法において、
    前記不良部特定工程では、前記光を検出して該光の強さに関する情報を含む第1情報を取得し、該第1情報のうち前記光の強さが基準値以上である領域を前記不良部として特定することを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
  3. 請求項に記載の窒化物半導体素子の製造方法において、
    前記積層体に、外部から識別可能な標識をあらかじめ形成しておき、
    前記第1情報から前記標識を認識し、前記第1情報と該識別された標識とを関連付けて、格納部に格納しておき、
    前記不良部特定工程では、前記加工済積層体が有する標識に関する第2情報を取得した後、該第2情報によって識別された前記加工済積層体の標識と同一の標識と関連付けて格納されている、前記第1情報を前記格納部から読み出して照合し、該読み出された前記第1情報に基づいて、前記加工済積層体の不良部を特定することを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
  4. 請求項に記載の窒化物半導体素子の製造方法において、
    前記加工済積層体の標識を認識するに当たり、前記積層体上の窒化物半導体素子形成用の膜を、前記加工済積層体が具える前記標識を外部から識別可能な状態で維持されるように加工しておく、加工工程を含むことを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
  5. 請求項ないしのいずれか一項に記載の窒化物半導体素子の製造方法において、前記励起光として、波長が400から600nmの範囲内の可視光を照射することを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
  6. 請求項ないしのいずれか一項に記載の窒化物半導体素子の製造方法において、前記励起光として、紫外光を照射することを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
  7. 請求項ないしのいずれか一項に記載の窒化物半導体素子の製造方法において、前記窒化物半導体薄膜として、GaN層、AlGaN層及びInGaN層のうちから選ばれた一種または二種以上の膜を成膜することを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
  8. シリコンカーバイド基板上に窒化物半導体薄膜が成膜された積層体のうち、該窒化物半導体薄膜に対して励起光を照射する励起光照射部と、
    前記励起光によって前記窒化物半導体薄膜中において発生する、前記シリコンカーバイド基板の欠陥に基づく光を利用して、前記シリコンカーバイド基板の不良部の位置を特定する不良部特定部と、
    前記積層体のうち、前記不良部以外の領域に加工を施して加工済積層体を形成する積層体加工部と、
    前記加工済積層体を含む前記積層体を所定の素子寸法毎に切断して複数の切片とする切断部と、
    前記切片のうち、前記加工済積層体を含む切片以外の切片を排除する排除部と
    を具えていることを特徴とする窒化物半導体素子の製造装置。
  9. 請求項に記載の窒化物半導体素子の製造装置において、
    前記不良部特定部は、
    前記光を検出して該光の強さに関する情報を含む第1情報を取得する第1情報取得部と、
    該第1情報のうち、前記光の強さが基準値以上である領域を前記不良部として特定する情報処理部と
    を具えていることを特徴とする窒化物半導体素子の製造装置。
  10. 請求項に記載の窒化物半導体素子の製造装置において、
    前記積層体に、外部から識別可能な標識があらかじめ形成されており、
    前記加工済積層体に形成されている前記標識に関する第2情報を取得する第2情報取得部を具えており、
    前記不良部特定部は、さらに、
    前記第1情報から前記標識を認識する第1認識部と、
    前記第1情報と前記第1認識部で認識された前記標識とを関連付けて格納しておく格納部と、
    前記第2情報取得部で取得された前記第2情報に基づいて、前記加工済積層体が有する標識を認識する第2認識部と、
    前記認識された加工済積層体の標識と同一の標識と関連付けて格納されている、前記第1情報を前記格納部から読み出して照合し、該読み出された前記第1情報に基づいて、前記加工済積層体の不良部を特定する不良部照合部と
    を具えていることを特徴とする窒化物半導体素子の製造装置。
  11. 請求項10に記載の窒化物半導体素子の製造装置において、
    前記加工済積層体が有する標識を認識するに当たり、前記積層体上の窒化物半導体素子形成用の膜に対して、前記加工済積層体が具える前記標識を、外部から識別可能な状態で維持されているように、加工する加工部を具えていることを特徴とする窒化物半導体素子の製造装置。
  12. 請求項ないし11のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子の製造装置において、前記励起光は、波長が400から600nmの範囲内の可視光であることを特徴とする窒化物半導体素子の製造装置。
  13. 請求項ないし11のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子の製造装置において、前記励起光は、紫外光であることを特徴とする窒化物半導体素子の製造装置。
  14. 請求項ないし13のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子の製造装置において、前記窒化物半導体薄膜は、GaN層、AlGaN層及びInGaN層のうちから選ばれた一種または二種以上の層を含むことを特徴とする窒化物半導体素子の製造装置。
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