JP3729761B2 - 引戸構造の収納体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キッチンや洗面化粧台等のキャビネット、下駄箱等の家具類、あるいは主に現場で組み立てられる玄関収納やシステム収納、クローゼット等の大型の収納体であって引戸構造を有するものに関し、特に、収納体本体の天板の下面に形成した上吊りレールにより引戸を走行可能に設けた上吊り式の引戸構造の収納体に関する。
【0002】
【従来の技術】
引戸構造を有する収納体には、キッチンや洗面化粧台等のキャビネット、下駄箱等の家具類に代表される比較的小型の収納体と、玄関収納やシステム収納、クローゼット等の大型の収納体とがある。小型の収納体はあらかじめ工場で組み立てられ、化粧が施されて、現場に搬入される。大型の収納体は、あらかじめ工場でプレカットされた構成部材を現場で組み立てて設置する。
【0003】
このような収納体としては、収納体本体の底板の前方上面に下レール(敷居)を形成するとともに天板の前方下面に上レール(鴨居)を形成し、これらに引戸の上下端部または戸車等の走行具を嵌合させて走行可能とする形式のものと、収納体本体の天板の前方下面に形成した上吊りレールにより引戸を走行させる形式のもの(上吊り式)が知られている。従来は前者の形式のものが主流であったが、上レールと下レールとの位置合わせが困難であって位置ずれが生ずると組立ができなくなることや、下レールの溝内に入り込んだゴミ等の障害物が引戸の走行を妨害すること、下レールを形成することによる見栄えの悪さ等の問題が指摘され、これらの問題を解決することのできる上吊り式の引戸構造が注目されてきている。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
ところで、いずれの形式であっても、従来の引戸構造の収納体において、引戸は左右側板間において走行可能に設けられている。言い換えれば、左右側板は同一の奥行き寸法に形成され、引戸を閉じたとき、一方の引戸の閉じ側木口面が一方の側板の前方木口面の内側面に当接するとともに、他方の引戸の閉じ側木口面も同様に他方の側板の前方木口面の内側面に当接して、収納本体の前方開口部を閉止する。
【0005】
このような構成のため、引戸を取り付けるには、収納本体の開口の前方から引戸扉を斜めにしてその上端を上レールに嵌合させ、次いで、この嵌合状態を維持したまま引戸を直立状態にしてその下端を下レールに嵌合させ、または底板上に載置するといった一連の作業を必要としていた。このような作業は面倒であり、特に大型の収納体にあっては引戸も大型になって重量も重くなるためにきわめて困難な作業となっていた。また、斜めにした状態で引戸の上端を上レールに嵌合させなければならず、これを円滑に行うための複雑な嵌合構造を採用する必要があり、また、引戸の高さ寸法を収納体の天板と底板との間隔よりもかなり小さくして引戸取付時のクリアランスを確保しなければならず、閉止時に隙間が生じて外観を損なう等の問題があった。
【0006】
また、複数の内箱を上下に積み重ねて収納本体を構成した場合、上述の従来技術の構成によると、左右側板の前方木口面が収納体の前方に露出するため、上下に積み重ねた内箱同士の接合部が水平線として露出され、一見して内箱の積み重ねによる構成であることが露見してしまうものであった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消することを目的とし、より具体的には、引戸の取り付けおよび取り外し作業を簡単に行うことができ、しかも、複数の内箱を上下に積み重ねて収納本体を構成した場合であっても閉じた状態のときにはこれら内箱同士の接合部を露出させないようにした新規な構成を有する上吊り式引戸構造の収納体を提供することを目的とする。
【0008】
この目的を達成するため、請求項1にかかる本発明は、前面が開放された略箱形の収納本体の左右側板の奥行き寸法が異なり、しかも左右いずれの側板よりも天板が前方に突出して設けられ、天板の前方突出部の下面に2本の上吊りレールが異なる長さに設けられ、奥側の上吊りレールは奥行き寸法の短い側板の前方木口面の前方から奥行き寸法の長い側板の前方木口面の内側面にかけて延長しており、手前側の上吊りレールは奥行き寸法の長い側板の前方木口面の前方から収納本体の略全幅にわたって延長しており、これら上吊りレールを介して各々引戸が収納本体の底板を隠蔽しつつ該底板の前方を走行可能に取り付けられ、引戸を閉じた状態にしたときに、奥側の上吊りレールに沿って走行する引戸の閉じ側端部によって奥行き寸法の短い側板の前方木口面が隠蔽されるとともに、手前側の上吊りレールに沿って走行する引戸の閉じ側端部によって奥行き寸法の長い側板の前方木口面が隠蔽されるように構成され、且つ、開扉状態において引戸同士が重なり合う位置にて収納本体の底板前端に固着した横振れ防止具の前方延出部から上方に突出するようにバネ付勢して設けたピンが引戸下端に幅方向に延長する嵌合溝に嵌合して引戸走行時の横振れを防止し、該バネ付勢に抗してピンを押し下げることにより該嵌合溝との嵌合を解除可能とされていることを特徴とする引戸構造の収納体である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による引戸構造の収納体を玄関収納に適用した場合の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1および図2に示す収納体は、天板1、底板2、台輪3および左右側板4a,4bからなる収納本体10の前方開口部に両開きの引戸5a,5bが走行可能に設けられて構成されている。なお、この収納本体10は同一の奥行き寸法および幅寸法を有する上内箱6と下内箱7とを積み重ねて構成されており、左右側板4a,4bにはこれら上内箱6と下内箱7同士の接合部が水平線8a,8bとして現れている。側板4a,4bは厳密には各々上内箱6の側板と下内箱7の側板とから構成されているが、これら側板の奥行き寸法は同一であるので、これら側板が上下に連続した収納本体10の側板4a,4bとして扱う。
【0013】
左右側板4a,4bは奥行き寸法が異なり、特に図2(d)に明らかなように、本実施形態では右側板4aが左側板4bよりも奥行き寸法が長く、前方に突出している。奥行き寸法の長い右側板4aの前方木口面は、手前側の引戸5aを閉めたときに該引戸5aの閉じ側端部によって隠蔽される。奥行き寸法の短い左側板4bの前方木口面は、奥側の引戸5bを閉めたときに該引戸5bの閉じ側端部によって隠蔽される。すなわち、右側板4aの前方木口面は、少なくとも引戸5bの厚さ寸法分だけ、左側板4bの前方木口面よりも前方に突出した位置にあり、この突出差に対応した奥行き寸法差が与えられている。
【0014】
天板1は、左右側板4a、4bのいずれよりも前方に突出して設けられ、その前方突出部の下面に2本の上吊りレール9a,9bが設けられ、これら上吊りレールを介して各々引戸5a,5bが走行可能とされている。上吊りレール9a,9b自体は公知の断面略コ字形の長尺体であり、その開放面を下面側にして天板1に固着され、引戸5a,5bの上端に取り付けた走行具13,13(図6)を走行可能に案内するものである。
【0015】
図3に示すように、2本の上吊りレール9a,9bは異なる長さを有しており、手前側の上吊りレール9aは奥行き寸法の長い右側板4aの前方木口面の前方から収納本体10の略全幅にわたって延長しており、奥側の上吊りレール9bは奥行き寸法の短い左側板4bの前方木口面の前方から奥行き寸法の長い右側板4aの前方木口面の内側面にかけて延長している。各上吊りレール9a,9bの両端部にはそれぞれストッパ12およびエンドキャップ(図示せず)が取り付けられ、引戸5a,5bが上吊りレール9a,9bから外れて走行することを防止している。
【0016】
また、天板1の前方突出部の下面には、上吊りレール9a,9bの設置位置よりも前方において、略幅方向にわたる溝(符号なし)が刻設され、この溝に幕板11を嵌合固定して、上吊りレール9a,9bを隠蔽している。
【0017】
なお、本実施形態においては、上内箱6の天板が収納本体10の天板1となる。
【0018】
底板2は天板1と略同一寸法であり、台輪3上に載置固定されている。本実施形態においては、下内箱7の底板が収納本体10の底板3となる。
【0019】
なお、天板1、底板2、台輪3、左右側板4a,4bおよび幕板10の露出面には任意化粧処理を施すことができる。
【0020】
この実施形態の収納体の組立について説明する。上内箱6と下内箱7を上下に積み重ねた状態にして台輪3上に載置して収納本体10を組み立て(図4)、その天板1の前方突出部下面に2本の上吊りレール9a,9bを固着した(図5)後、引戸5a,5bを上吊りレール9a,9bに吊り込み(図6)、上吊りレール9a,9bの両端にそれぞれストッパ12およびエンドキャップ(図示せず)を取り付けて、最後に天板1の前方突出部の前端下面の溝(符号なし)に幕板11を取り付けて、図1および図2に示す収納体が完成する。
【0021】
特に図3に明らかなように、奥側の上吊りレール9bの左端部は、左側板4bの前方木口面の前方において収納本体10の左側面に露出しており、また、手前側の上吊りレール9aの左右両端部は、左右側板4a,4bの前方木口面の前方において収納本体の左右側面に露出しているので、引戸5a,5bの取付は図6に示すように引戸を垂直に立てた状態にして収納本体10の側方から移動させ、上端に取り付けた走行具13を上吊りレール9a,9bに嵌合させればよいので、引戸取付作業が容易である。
【0022】
なお、図8に示すように、収納本体10の底板2の前方突出部上にストッパ13a,13bを植設し、これを引戸5a,5bの下端に幅方向に延長して形成した嵌合溝14a,14b(引戸5bの嵌合溝14bのみ図8(b)に図示)に嵌合させる付加的構成を採用することができる。このようにすることで、上吊りレール9a,9bの両端に嵌着されるストッパ12とともに引戸5a,5bの走行領域を規制することができるだけでなく、ストッパ13a,13bが嵌合溝14a,14bに嵌合した状態で引戸5a,5bが走行することになるので引戸走行時の横振れを防止することができる。ストッパ13a,13bを設ける場合は、あらかじめ下内箱7の底板2の所定箇所にこれらストッパを固着しておくか、収納本体10に組み立てた後に固着するか、あるいは、上吊りレール9a,9bの取付とほぼ同時期に固着するものとし、いずれにしても引戸吊り込み(図6)よりも前の段階で固着しておく必要がある。
【0023】
この収納体において引戸5a,5bを閉めた状態(図1、図2)から手前側の引戸5aを左側に移動させて収納本体10の右半分を開口させた状態が図9に示されている。このとき、引戸5aは引戸5b上に完全に重なり合った位置で、上吊りレール9aの左端に固着されたストッパ12に当たって停止する。
【0024】
引戸5a,5bを閉めた状態(図1、図2)から奥側の引戸5aを右側に移動させて収納本体10の左半分を開口させた状態が図10に示されている。このとき、引戸5bの右端が上吊りレール9bの右端に固着されたストッパ12に当たって停止するが、同時に、右側面4aの前方木口端の内側面が戸当たりとして機能する。したがって、上吊りレール9bの右端のストッパ12は場合によっては割愛してもよい。図10に明らかなように、この開放状態においては奥側の引戸5bが手前側の引戸5aに対して側板4aの厚み分の引き残しを生じた状態となり、引戸5bを閉めるときの操作が容易である。
【0025】
この収納体は、図1および図2に示す閉止状態のほか、引戸5a,5bを各々逆方向に移動させたもう一つの閉止状態を得ることができ、これが図11に示されている。すなわち、手前側の引戸5aを上吊りレール9aの左端に固着されたストッパ12に当たるまで左方向に移動させるとともに、奥側の引戸5bを上吊りレール9bの右端に固着されたストッパ12に当たるまで、および/または、戸当たりとして働く右側面4aの前方木口端の内側面に当たるまで、右方向に移動させて、図11の閉止状態とする。この状態においては、左側に寄せた手前側引戸5aと左側面4bの前方木口面との間に略引戸5bの厚みに相当する空隙24が形成されるため、引戸5a,5bの上下の若干の隙間とともに良好な換気が行われる。したがって、特に換気が必要な場合(玄関収納に用いる場合等)は、図11の閉止状態としておくことが好ましい。
【0026】
また、図1および図2に示す閉止状態において、手前側の引戸5aと右側面4aの前方木口面との間、奥側の引戸5bと左側面4bの前方木口面との間、および、引戸5a,5bが重なり合う部分の間に、それぞれ手指を挿入可能な程度の隙間15a,15b,15cを形成しておくことができる(図12)。このようにすることで、引戸5a,5bに引手を設けなくても引戸操作を容易に行うことができるとともに、自然換気がなされる。
【0027】
もちろん、引戸5a,5bに引手等の開閉操作部材を設けることも可能であり、その幾つかの実施形態が図13に例示されている。図13(a)は引戸5a,5bの前面に手摺16,16を取り付けたものであり、図13(b)は引戸5a,5bの前面から閉じ側木口端にかけて切り欠きを形成して該切り欠きに引手部材17を嵌着したものであり、図13(c)は引戸5a,5bの閉じ側木口端に手摺18,18を取り付けたものである。
【0028】
以上に述べた実施形態では上内箱6と下内箱7を上下に積み重ねて収納本体10を構成しているが、単一の箱体を用いて収納本体10としてもよく、また、複数の内箱の組合せとして収納本体10を構成する場合もその組合せは任意である。
【0029】
図14に示す例では、2つの縦長の内箱19,20を左右に配し、これらの上下に横長の内箱21,22を配して組み合わせて合体し、これを台輪23上に載置することによって収納本体10’を構成している。この例では収納本体10’としての天板および底板がいずれも単一の内箱21,22の天板21a,底板22aで形成されることとなるため、これら天板21a,底板22aに他の天板および底板よりも大きな、しかも奥行き寸法の長い側板となる内箱19,21,22の各右側板19a,21b,22bよりも大きな奥行き寸法を持たせて収納本体10’の前方に突出させ、天板21aの前方突出部の下面に前述の上吊りレール9a,9bを形成したものである。
【0030】
図15に示す例では、2つの縦長の内箱19,20を左右に配し、これらの上下に横長の内箱21’,22’を配して組み合わせて合体し、これを台23’上に載置することによって収納本体10’’を構成している。この構成は図14と略同様であるが、内箱21’の天板21a’の奥行き寸法を大きくすることに代えて別の天板25を用いるとともに、天板25の前方突出部の下面に前述の上吊りレール9a,9bを形成したものである。また、内箱22’には底板を省略し、台輪23に代えて箱体としての台23’が用いられている。
【0031】
図16は図1および図2の実施形態の変形例を示すものであり、図2(b)との対比から明らかなように、台輪の奥行き寸法を短くしてその前方に空間を形成し、この空間を利用して引戸走行補助装置26を設けている。この引戸走行補助装置26は、上吊り式の引戸5a,5bの走行時の横振れを防止するとともに、奥側の引戸5bを側板4aに近接する方向に走行させるときに引戸5bが引戸5aを追い越すことを防止する。
【0032】
引戸走行補助装置26の詳細は図17に示す通りであり、各引戸5a,5bの下端後面側にビス等の固着具27a,27bで固着した略L字形の取付片28a,28bの先端にローラ29a,29bを設け、これらローラを、収納本体の底板2の前端下面側に設けられたレール30a,30bに沿って走行させることによって引戸5a,5bの横振れを防止している。
【0033】
また、取付片28aの右端近くには追い越し防止ボルト31が上方に突出して設けられており、これが取付片28bに対するストッパとして働くことによって引戸5bが引戸5aを追い越すことを防止している。この追い越し防止機能を付与する必要がないときは、ボルト31を取り外すか、あるいはその上方突出長を小さくして取付片28bの移動面に干渉しないようにすればよく、これによって図11に示すような換気用の閉止状態を形成することが可能となる。
【0034】
なお、取付片28bの左端近くに同様の追い越し防止ボルトを下方に突出して設け、これを取付片28aに対するストッパとすることによって引戸5aが引戸5bを追い越すことを防止することができる。この追い越し防止機能を付与する必要がないときは、該ボルトを取り外すか、あるいはその下方突出長を小さくして取付片28aの移動面に干渉しないようにすればよい。
【0035】
図18は本発明の収納体において採用可能なストッパ兼横振れ防止具の図8とは別の構成を示しており、閉扉状態において引戸5a,5bが重なり合う位置において底板2の前端中央に取付片32をビス等の固着具33,33で固着し、この取付片32の前方延出部32a,32b間のバネ34a,34bによって上方に突出するよう付勢された突出ピン35a,35bを引戸5a,5bの下端に両木口端近くを残して幅方向に延長して形成した嵌合溝36a,36b(図8(b)に示す嵌合溝14bと略同様のもの)にそれぞれ嵌合させている。このようにすることで、上吊りレール9a,9bの両端に嵌着されるストッパ12(図3)とともに引戸5a,5bの走行領域を規制するとともに、突出ピン35a,35bが嵌合溝36a,36bに嵌合した状態で引戸5a,5bが走行することになるので引戸走行時の横振れを防止することができる。また、バネ34a,34bの付勢力に抗して突出ピン35a,35bを押し下げて嵌合溝36a,36bとの嵌合を解除することにより、引戸5a,5bの取り外し作業も容易に行うことができる。
【0036】
以上に本発明の幾つかの実施形態を挙げて説明したが、本発明の収納体では上吊り式の引戸構造を採用するため、収納本体の下部に設けられる底板を必ずしも引戸の下方位置まで前方に突出させる必要がなく、また、台輪も必ずしも必要とせず、これらを省略したシンプルな構成のものとすることができる。図19は、図1および図2に示す実施形態の変形例として、下内箱7の底板2を前方に突出させずに、たとえば、該底板の前方木口面が奥行きの短い側板である左側板4bの前方木口面と略面一となるように底板を設け、且つ、台輪3を省略した実施形態を示している。
【0037】
【発明の効果】
本発明の収納体は上吊り式の引戸構造を採用するため、下レールが不要となり、上レールと下レールとの位置合わせのための面倒な作業が不要となり、位置ずれによって組立ができなくなることがなく、また、下レールの溝にゴミ等の障害物が溜まることによる引戸の走行障害が生じない。
【0038】
また、本発明によれば引戸の取付を収納体の側面から吊り込み作業によって行うことができるので、引戸の取り付けおよび取り外し作業が容易である。
【0039】
引戸を閉めたときに収納体の側板の前方木口面が表面に露出せず、特に複数の内箱を上下に積み重ねた収納体構成の場合に内箱同士の接合部が露出しないので、見栄えのよい収納体となる。
【0040】
奥側の引戸を手前側の引戸の奥に重ね合わせた状態に開放したときに、奥側の引戸に引き残しが生じ、この引き残し部を利用して閉止方向への移動操作が容易となる。
【0041】
引戸の閉止状態として、通常の閉止状態のほか、各引戸を逆方向に移動させた閉止状態とすることが可能であり、このときに手前側の引戸と一方の側板前方木口面との間に空隙が形成されるため、良好な換気が得られる。
【0042】
通常の閉止状態において、引戸と側板前方木口面との間および引戸間にそれぞれ手指を挿入可能な程度の隙間が形成されるように収納体を構成することにより、引手や手摺等の引戸開閉操作部材を設ける必要がなくなり、突起物のないすっきりした意匠の収納体を提供することができるとともに、換気も良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による引戸構造の収納体を示す斜視図である。
【図2】この収納体の正面図(a)、右側面図(b)、左側面図(c)および横断面図(d)である。
【図3】この収納体の天板の前方突出部に取り付けた上吊りレールとその付属品を示す横断面図である。
【図4】この収納体の組立の第一工程を示す斜視図である。
【図5】第一工程により組み立てられた収納本体に上吊りレールを取り付ける工程を示す斜視図である。
【図6】図5の工程後に引戸を吊り込んで取り付ける工程を示す斜視図である。
【図7】図6の工程後に幕板を取り付ける工程を示す斜視図である。
【図8】この収納体の底板の前方突出部に、引戸下端の嵌合溝に嵌合可能なストッパ兼横振れ防止具を取り付けた実施形態を示す説明図である。
【図9】この収納体の一つの引戸開放状態を示す正面図(a)および横断面図(b)である。
【図10】この収納体のもう一つの引戸開放状態を示す正面図(a)および横断面図(b)である。
【図11】この収納体のもう一つの引戸閉止状態を示す横断面図である。
【図12】この収納体において引戸と側板前方木口面との間および引戸間にそれぞれ手指を挿入可能な程度の隙間を形成した実施形態を示す説明図である。
【図13】この収納体において引戸開閉操作部材を取り付けた幾つかの実施形態を例示する説明図である。
【図14】複数の内箱の組合せによる収納本体の別の実施形態を示す組立部品図である。
【図15】図14の変形実施形態を示す組立部品図である。
【図16】図1および図2の変形実施形態を示す右側面図である。
【図17】図16の実施形態における引戸走行補助装置の詳細を示す拡大図である。
【図18】本発明の収納体に採用可能なストッパ兼横振れ防止具の図8とは別の構成を示す説明図である。
【図19】図1および図2の変形実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 天板
2 底板
3 台輪
4a 右側板(奥行き寸法の長い側板)
4b 左側板(奥行き寸法の短い側板)
5a 手前側の引戸
5b 奥側の引戸
6 上内箱
7 下内箱
8a,8b 上内箱と下内箱との接合線
9a,9b 上吊りレール
10 収納本体
11 幕板
12 ストッパ
13a,13b ストッパ
14a,14b 嵌合溝
15a〜15c 隙間
24 空隙
26 引戸走行補助装置
Claims (1)
- 前面が開放された略箱形の収納本体の左右側板の奥行き寸法が異なり、しかも左右いずれの側板よりも天板が前方に突出して設けられ、天板の前方突出部の下面に2本の上吊りレールが異なる長さに設けられ、奥側の上吊りレールは奥行き寸法の短い側板の前方木口面の前方から奥行き寸法の長い側板の前方木口面の内側面にかけて延長しており、手前側の上吊りレールは奥行き寸法の長い側板の前方木口面の前方から収納本体の略全幅にわたって延長しており、これら上吊りレールを介して各々引戸が収納本体の底板を隠蔽しつつ該底板の前方を走行可能に取り付けられ、引戸を閉じた状態にしたときに、奥側の上吊りレールに沿って走行する引戸の閉じ側端部によって奥行き寸法の短い側板の前方木口面が隠蔽されるとともに、手前側の上吊りレールに沿って走行する引戸の閉じ側端部によって奥行き寸法の長い側板の前方木口面が隠蔽されるように構成され、且つ、開扉状態において引戸同士が重なり合う位置にて収納本体の底板前端に固着した横振れ防止具の前方延出部から上方に突出するようにバネ付勢して設けたピンが引戸下端に幅方向に延長する嵌合溝に嵌合して引戸走行時の横振れを防止し、該バネ付勢に抗してピンを押し下げることにより該嵌合溝との嵌合を解除可能とされていることを特徴とする引戸構造の収納体。
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JP2003064955A (ja) | 2003-03-05 |
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