以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の主に上下のガイドレール側に固定する摺動部材1,フック部材2,弾性部材3、緩衝部材4、ケーシングA等からなる戸閉装置構成部(戸閉具)と、引戸18側に装着される上ガイド走行体B1 ,下ガイド走行体B2 と、上ガイドレール17,下ガイドレール20及びこれらが装着されるキャビネットCとから構成される。まず、戸閉装置構成部(戸閉具)において、前記摺動部材1は、図4(B),図7(A),(B)等に示すように、略角軸状の摺動本体部1aの長手方向に沿ってラック部1bが形成されている。該ラック部1bは、多数の歯片から形成され、後述する緩衝部材4の抵抗歯車と噛み合う箇所となる。
その摺動本体部1aの長手方向一端側には、図4(B)に示すように、枢支連結部1cが形成されている。該枢支連結部1cには、連結軸片1c1 が形成され、該連結軸片1c1 を介して、図4(A)に示すように、後述するフック部材2と枢支連結されるものである。さらに前記摺動本体部1aの長手方向端面で前記枢支連結部1cの付近には被案内突起片1dが形成されている。該被案内突起片1dは、図4(B)に示すように、摺動本体部1aの長手方向に対して略直交するようにして水平方向に突出した部位であり、且つその上面は平坦面状に形成されている。
そして、後述するケーシングAの主案内部6に沿って摺動する部位となる。さらに前記被案内突起片1dの下部には、後述する弾性部材3の端部が固着される弾性部材連結部1eが形成されている。また、さらに被案内突起片1d箇所から下方に向けて突出するようにして摺動部材操作片1fが形成されている。また前記摺動本体部1aには、後述するケーシングA側に形成された摺動規制部に係合する摺動規制突起1gが形成される。該摺動規制突起1gは、その摺動部材1の長手方向において戸閉側寄り端部に形成され、且つ摺動部材1の長手方向に直交する方向に突出形成されたものである。
また、摺動部材1の戸開側端部には、上方に突出する突出部1hが形成され、該突出部1hの先端が後述するフック部材2に当接して、フック部材2の揺動範囲を規制する役目をなすものとすることもある。なおここで、戸閉側及び戸開側について説明すると、その戸閉側とは引戸18を閉める場合に移動する方向であり、図1において右側から左側に向かう方向である。また戸閉側とは図1において左側から右側に向かう方向である。さらに、ケーシングA内においては、図4に示す、右側寄りが戸閉側であり、左側寄りが戸開側である。
次に、フック部材2は、回動基部2aと、フック部2bと、前記回動基部2aの揺動動作にて上方に突出する係合部2cとから構成される。そのフック部2bは、被係止片2b1 と被当接片2b2 から構成され、該被係止片2b1 と被当接片2b2 とは略平行状態となっている。その被係止片2b1 は、図8(A),(B)に示すように、被当接片2b2 よりもその高さ方向の寸法が低く形成されている。
また、被係止片2b1 と被当接片2b2 との間の形状は略U字形状の凹み部2b3 となっており、その凹み部2b3 に後述するガイド走行体Bの案内部材15が挿入することができるようになっている。その回動基部2aには、前記摺動部材1に枢支連結部1cに形成された連結軸片1c1 が挿入される枢支孔2a1 が形成され、前記連結軸片1c1 が枢支孔2a1 に挿入されることで、摺動部材1とフック部材2とが連結され、該フック部材2は摺動部材1に対して上下方向に回動自在となる〔図4,図7(A),図8等参照〕。前記係合部2cは、前記回動基部2aの枢支孔2a1 を中心として円弧状に形成された部位である。具体的には、その係合部2cは、回動基部2aの外周側面として形成された部位である。該係合部2cは、後述するケーシングA内に形成された被係合面部7と円弧状に回動可能に近接又は接触する部分である。そして前述したように、フック部材2と摺動部材1との枢支連結部1cの連結軸片1c1 が枢支孔2a1 により、揺動するときの中心を、前記係合部2cの円弧の中心としたものである。
また、フック部材2のフック部2bには、ガイド突起2dが形成されることもある。該ガイド突起2dは、後述するケーシングAに形成された補助案内部12に挿入して、フック部材2をケーシングAの長手方向に沿って良好に移動させるとともに、そのフック部材2の回動動作も良好且つ正確に行わせようとするものである。
さらに、前記回動基部2aには、図4(B),図7等に示すように、下方に向かってフック操作片2eが形成されている。該フック操作片2eは誤動作により、ケーシングA内に納まってしまった場合に、フック操作片2eを介して強制的にケーシングAの外部に移動させる役目をなすものである。そして、そのフック操作片2eは、前記摺動部材操作片1fとともにケーシングAの外部に突出して、ケーシングAの外部より摺動部材1及びフック部材2の強制移動の操作ができるものである(図4参照)。さらに、前記回動基部2aの頂部箇所で且つフック部2bの幅方向より直角となるように係止用突起片2fが形成されている。該係止用突起片2fは、フック部材2が摺動部材1とともに後述する主案内部6に沿って移動するときに、前記係止用突起片2fが主案内部6に当接して移動するものである。
次に、ケーシングAは、2つに分割されたものであり、第1ケーシング部A1 及び第2ケーシング部A2 とから構成される。図9は、第1ケーシング部A1 の内部側より見た図である。その第1ケーシング部A1 の第1本体5の内部側には、主案内部6が形成されている。その主案内部6は、第1ケーシング部A1 の長手方向に沿って直線状に形成された部位であり、且つその下面側が平坦状に形成されたものである。具体的には、その主案内部6は、第1本体5の表面より内方側に膨出した形状となっている。
また、上記主案内部6は、前記第1本体5の長手方向の戸開側の略半分の領域に形成されたものである。主案内部6は前述したように、下面側が平坦状となって形成され、前記摺動部材1の被案内突起片1dの上端面が当接し、また前記フック部材2の係止用突起片2fも主案内部6に当接する。その主案内部6の開き側方向端部箇所には、被係合面部7が形成されている。該被係合面部7は、図9,図11等に示すように、円弧状に形成されている。具体的には、前記フック部材2が凸状の円弧状面、すなわち円弧状凸面部であり、前記被係合面部7が凹状の円弧状面すなわち円弧状凹面部である。前記係合部2cと被係合面部7との曲率の半径は略等しく、前記係合部2cは被係合面部7に沿ってスムーズに回動動作を行うことができるものである。
そして、そのフック部材2は、主案内部6に沿って移動し被係合面部7の箇所に到達すると係合部2cが被係合面部7に沿って摺動するようにして移動しフック部材2の揺動動作を行うことができるものである。そして前記フック部材2の係合部2cが前記被係合面部7に係合することによりフック部材2は被係合面部7箇所に弾性部材3の弾性力に抗して仮停止状態となる。この仮停止状態とは、多少の振動等では動作しないが、ガイド走行体Bの係止部15bが当接したときに移動できる程度の停止維持が可能な状態をいう。
このときフック部材2は、被係止片2b1 の上端が被当接片2b2 の上端よりも低くなるように傾斜状態にある。この状態で走行体Bの案内部材15は被係止片2b1 と被当接片2b2 との間に出入自在なる状態となる。さらに第1ケーシング部A1 内には緩衝部材4が装着される緩衝部材取付け部8が形成されており、該緩衝部材取付け部8を介して緩衝部材4がケーシングA内に装着される。その主案内部6の下方側に前記摺動部材1の被案内突起片1dが当接される。前記弾性部材3の弾性力Fは、緩衝部材4が発生する抵抗力Tよりも大きいことが条件であるが、その弾性力Fと抵抗力Tとの差は適宜に設定される。
次に、第2ケーシング部A2 について説明する。図4(A)は、第2ケーシング部A2 内部を見た図で、摺動部材1,フック部材2,弾性部材3及び緩衝部材4が装着されたものである。図5(B)は、第2ケーシング部A2 を外部より見た図である。なお図5(A)は、第2ケーシング部A2 と第1ケーシング部A1 とを組み合わせた図であり、第1ケーシング部A1 側より見た図である。
その第2本体10に、摺動規制部11及び補助案内部12が形成されている。その摺動規制部11は、直線状であり、前記摺動部材1の摺動規制突起1gが挿入し、摺動部材1のケーシングA内での移動範囲を規制するものである。すなわち、摺動部材1がケーシングA内を適正に移動できるようにするとともに、摺動部材1及びフック部材2がケーシングAの外部へ脱落しないようにするための役目をなす。また、摺動部材1の適正な移動とは、ガイド走行体Bの係止部15bにより戸開方向に引き出されたフック部材2が被係合面部7箇所で仮停止できる範囲の移動のことをいう。前記摺動規制部11は、スリット状に形成されたものであり、前記摺動部材1の摺動規制突起1gがスムーズに移動できる程度の溝幅を有している。
次に、前記補助案内部12は、前記フック部材2のガイド突起2dが挿入し、フック部材2が安定した状態でケーシングAの長手方向の移動及び揺動動作を案内する部位でる。該補助案内部12は、直線スリット状に形成された直線摺動案内部12aと、且つフック部材2が揺動する揺動案内部12bとから構成されている。前記直線摺動案内部12aは、フック部材2が摺動部材1とともにケーシングA内を長手方向に移動するときにフック部材2の移動を支持する役目をなしている。また、揺動案内部12bは、フック部材2が揺動動作を行うときに安定した状態で移動することができるようになっている。
この補助案内部12は、前記第1ケーシング部A1 の主案内部6及び被係合面部7による摺動部材1とフック部材2との動作をより一層確実にする役目をなしている。したがって、この補助案内部12は、形成されないこともある。また、前記主案内部6と被係合面部7とが形成されずに、補助案内部12のみが形成されることも可能であるが、この場合には、摺動部材1を摺動させるための別のガイド部が必要となる。
その第2ケーシング部A2 には、後述する上ガイドレール17及び下ガイドレール20の端部に装着するための装着用突出部13が形成されている。該装着用突出部13は、ガイドレール17の長手方向の端部より長手方向に沿って差し込むことにより、ケーシングAをガイドレール17に安定した状態に維持できるものである。また、前記補助案内部12の揺動案内部12bは装着用突出部13に形成されることで、フック部材2の一部がケーシングAから突出した状態で、安定した揺動動作を行わせることができる。なお、第2ケーシング部A2 の下部には前記第1ケーシング部A1 との接合箇所に、筋状で且つ前記摺動部材操作片1f及びフック操作片2eがケーシングA外部に突出する操作用スリットが形成可能な、切除部10aが形成されている。
次に、前記弾性部材3は、弾性部3aの長手方向の両側に連結部3b,3bが形成され、その一方の連結部3bが第2ケーシング部A2 の弾性部材連結部14に連結され、またその他端の連結部3bが摺動部材1の弾性部材連結部1eに連結される。前記弾性部3aは、コイルスプリングである。第2ケーシング部A2 内には、その弾性部3aが伸縮自在に収納されスプリング収納部9が形成されており、図4に示すように、その弾性部3aが略横U字形状となるように折り畳み形成されて収納される。特にスプリング収納部9において弾性部材3がカーブする部分は、円弧状或いはC字形状に形成されている。
次に、緩衝部材4は、前記弾性部材3の弾性力Fを減少させる役目をなすものである。具体的には、図4(C)に示すように、歯車部4aが緩衝容器4bに装着され、該緩衝容器4bにはフランジ4c,4cが形成されている。そのフランジ4c,4cを介して緩衝容器4bが第1ケーシング部A1 に装着されるものである。緩衝容器4bには、前記歯車部4aの回転に対して抵抗力Tを生じる機構となっており、たとえば、内部にグリース等の高粘度の材質があり、歯車部4aの軸に掻き混ぜ専用の板片が装着され、歯車部4aによって伝達された外力に対する抵抗力Tを生じるというものである。
この緩衝部材4は、図4(A),図16(A)等に示すように、歯車部4aは、前記摺動部材1のラック部1bと噛み合い、摺動部材1を戸閉側に移動させる弾性力Fに対する抵抗力Tを生じて、弾性力Fから抵抗力Tを差し引いた戸閉力Pにより、摺動部材1及びフック部材2を戸閉側に移動させるものである。すなわち、引戸18を支持するガイド走行体Bは、F−T=Pによる力にて移動するものであり、また図16(B)に示すように、引戸18の初速Vnを、ガイド走行体Bの係止部15bがフック部材2と係止した状態から戸閉が完了するまでの戸閉力Pによる低速な速度Vmとすることができるものである。なお、緩衝部材4は、図4(C)のように歯車部4aを介して抵抗力Tを発生するタイプとしたが、シリンダタイプとしても構わない。
次に、案内部材15は、上ガイド走行体B1 ,下ガイド走行体B2 に装着され、移動方向に沿って延出する腕状部15aと,該腕状部15aの先端に形成された係止部15bとから構成されており、該係止部15bは、前記腕状部15aの長手方向に対して水平方向に鉤状として突出形成されている。そして、戸閉動作では前記被係合面部7に仮停止状態となっているフック部材2の被当接片2b2 と当接して、フック部材2を被係合面部7から主案内部6に移動させるとともに、係止部15bが被係止片2b1 と被当接片2b2 との間に収まり、前記フック部材2に係合される。
前記案内部材15は、前記上ガイド走行体B1 と下ガイド走行体B2 とにそれぞれ設けられた連結部位であり、具体的には上ガイド走行体B1 及び下ガイド走行体B2 の主要部位である走行部16に装着される。前記上ガイド走行体B1 及び下ガイド走行体B2 は、図12(A),(B),(C)に示すように、引戸18を上ガイドレール17と下ガイドレール20に沿って移動させる役目をなすものである。その上ガイドレール17は、1本又は複数本のレール部17a,17aが形成されている。これらのガイドレール17のレール部17a,17aは、全て下方側にガイド用開口17a1 が形成され、その各レール部17aのガイド用開口17aの付近にレール17a2 が形成されている。同様に下ガイドレール20においても、1本又は複数本のレール部20a,20aが形成され、これらレール部20aは、上方側にガイド用開口20a1 が形成され、各レール部20aの底面箇所にレール20a2 が形成されている。
まず前記上ガイド走行体B1 は、上ガイドレール17に対応するものとして、ハングローラタイプで、走行部16は、走行本体部16aとローラ部16b,16bとから構成されている。その走行本体部16aには、引戸18に対する上下方向に位置調整する役目をなす支持軸部16cが具備され、該支持軸部16cの下部には引戸18との接続をするための接続具19が装着されている。
そして、上ガイド走行体B1 と引戸18とは接続具19を介して行われる。また、引戸18の下部側には下ガイド走行体B2 が装着されている。その下ガイド走行体B2 は、構造は上ガイド走行体B1 と略同等であるが、前記接続具19はネジ軸状等に形成されたものが使用され、引戸18の下面側に装着される。その下ガイド走行体B2 は、下部ガイドレール20に装着され、該下ガイドレール20内を摺動する構造となっている。この下ガイドレール20の戸閉側端部にも、前記上ガイドレール17と同様に戸閉装置構成部(戸閉具)が装着される。
次に、引戸18,戸閉装置構成部(戸閉具),上ガイドレール17及び下ガイドレール20をキャビネットCに組付ける構成の具体例を以下に示す。まず、キャビネットCは、上部30と両側部31,31と底部32とから構成され、その前面が引戸18を据えつけるための開口部33となっている。そこで第1タイプの組付け例として、前記引戸18の上下端部箇所に対応するようにして、上ガイドレール17がキャビネットCの上部30に装着される。また、下ガイドレール20がキャビネットCの底部32に装着される。
その上ガイドレール17及び下ガイドレール20には、それぞれ2つレーンとなるように、2つのレール部17a,17a及び20a,20aを有するものが使用される。そして、2枚の引戸18,18がキャビネットCの開口部33箇所に装着することができるようになっている。その上ガイドレール17の2つのレール部17a,17aには、上ガイド走行体B1 ,B1 が装着される。同様に下ガイドレール20の2つのレール部20a,20aには、下ガイド走行体B2 ,B2 が配置され、上ガイド走行体B1 ,B1 と下ガイド走行体B2 ,B2 とで引戸18の上下端を支持するようにして前記接続具19等の接続装置を介して引戸18に接続される。
このようにして、図12(A)に示すように、2つのレーン(レール部17a,17a及びレール部20a,20a)にそれぞれ引戸18が配置され、2枚の引戸18,18がそれぞれ開閉を行うものである。また、図2,図3では、開口部33の前面に位置する引戸18は左側端に移動して閉じ状態を構成し、前記引戸18よりも奥側(背面側)に位置する引戸18は右側端に移動して閉じ状態を構成するものである。
その戸閉装置構成部(戸閉具)のケーシングAは、図3(B)に示すように、上ガイドレール17及び下ガイドレール20のそれぞれのレール部17a,レール部20aの長手方向において、その戸閉側端部に略一直線状となるようにして、接続されている。すなわち、上ガイドレール17(下ガイドレール20も含む)のレール部17a(レール部20aも含む)に対して同一線状に連続的に接続された構造である。これは、戸閉装置構成部(戸閉具)を装着することにおいて省スペース化を実現でき、且つ上ガイド走行体B1 及び下ガイド走行体B2 と戸閉装置構成部(戸閉具)との係合動作を円滑ならしめるものである。なお、第1タイプでは、そのケーシングAの装着は、該ケーシングA内の歯車部4aが垂直面上を回動する方向となるように装着されるものである。
次に、第2タイプの組付け例として、図18に示すように、戸閉装置構成部(戸閉具)のケーシングAが上ガイドレール17及び下ガイドレール20に並設されるものである。具体的には、戸閉装置構成部(戸閉具)のケーシングAが上ガイドレール17の長手方向に直交する方向に隣接して配置されている。そのケーシングAは、前記歯車部4aが水平面上に回動する方向となるように装着されるものである。すなわち、前述した第1タイプの組付け例の場合におけるケーシングAの装着状態に対して直角となるように設置されるものである。
また、ケーシングAとキャビネットCの上部30との間には、高さ調整のためのスペーサ34が設けられ、前記ケーシングAにおける前記案内部材15の挿入口と、上ガイド走行体B1 の案内部材15の位置とが一致するように設定される。下ガイドレール20は、レール部20aが1本のレーンからなるもので、2枚の引戸18,18の下ガイド走行体B2 ,B2 は、前記1本のレーンからなるレール部20aを共有するものである。
さらに、2枚の引戸18,18に装着される下ガイド走行体B2 は、相互に当たって干渉することがないようにするために、2枚の引戸18,18のそれぞれに対して戸閉側端部箇所にのみ下ガイド走行体B2 が装着される。その下ガイドレール20においても、底部32上にスペーサ34を介して戸閉装置構成部(戸閉具)のケーシングAが装着される。このようにして、下ガイド走行体B2 の案内部材15と、前記ケーシングAの挿入口の位置を一致させる。それぞれの下ガイド走行体B2 は、引戸18の下端寄り付近にブラケット21を介して装着される。
該ブラケット21は、帯板材が略「L」字形状に屈曲形成されたものである。そして、引戸18の背面側に前記ブラケット21の一端が当接且つビス等の固着具にて固着されている。また、ブラケット21の他端側は、前記下ガイド走行体B2 に備えられた螺子軸状の接続具19によって、ボルト締めされて接続されている。図23(A),(B)は第2タイプの組付け例において、下ガイドレール20と下ガイド走行体B2 との構成を示したものである。図23(A)は案内部材15がフック部材2に当接した状態であり、図23(B)は引戸18が閉じた状態における下ガイド走行体B2 の状態を示している。
また、図24は、キャビネットCの左側端部の戸閉状態における戸閉装置構成部(戸閉具)と下ガイド走行体B2 との状態を示している。第2タイプの組付け例における上ガイド走行体B1 及び下ガイド走行体B2 に装着される案内部材15は、図19(A),(B)に示すように、腕状部15aが主腕片15a1 と突出片15a2 とから構成され、その主腕片15a1 と突出片15a2 とで略L字形状をなしている。そして、図19(A)に示すものが上ガイド走行体B1 であり、図19(B)に示すものが下ガイド走行体B2 である。その突出片15a2 は、走行本体部16aの移動方向に対して直交する方向に該走行本体部16aから突出形成され、前記主腕片15a1 は走行本体部16aの移動方向に沿って突出形成されたものである。その主腕片15a1 の先端に係止部15bが形成されている。
前記主腕片15a1 が突出する方向は、2枚の引戸18の閉じ方向により決定されるもので、実線で示された主腕片15a1 が右側閉じの引戸18に使用され、想像線に示された主腕片15a1 が左側閉じの引戸18に使用されるものである。この案内部材15と走行本体部16aとは一体成形されたり、或いは別部材として形成されることもある。このような構造としているので、案内部材15は、図18,図20等に示すように、上ガイドレール17及び下ガイドレール20からレールの長手方向に直交する方向に突出するものである。
次に、第1タイプにおける戸閉装置による引戸18の戸閉及び戸開きのそれぞれの動作を図13乃至図15に基づいて説明する。なお、図13乃至図15は、上ガイドレール17,上ガイド走行体B1 及び前記上ガイドレール17に装着されたケーシングA等の戸閉装置構成部(戸閉具)による引戸18の戸閉及び戸開きのそれぞれの動作を示すものである。また、下ガイドレール20,下ガイド走行体B2 及びケーシングA等の戸閉装置構成部(戸閉具)による引戸18の戸閉及び戸開きのそれぞれの動作に関しては、上ガイドレール17,上ガイド走行体B1 及びケーシングA等の戸閉装置構成部(戸閉具)による引戸18の戸閉及び戸開きの動作と同等の動作をなすものである。
まず、引戸18の戸閉動作を図13,図14に基づいて説明する。図13(A)に示すように、摺動部材1とフック部材2と枢支連結されており、その初期状態でフック部材2の係合部2cがケーシングA(第1ケーシング部A1 )の被係合面部7に係合された状態で仮停止状態にある。そして、開き状態の引戸18が戸閉方向〔図13(A)において左側から右側方向〕に移動すると、フック部材2に次第に近接し、図13(B)に示すように、案内部材15の係止部15b先端がフック部材2の被当接片2b2 に当接する。
さらに、上ガイド走行体B1 (下ガイド走行体B2 も含む)が戸閉方向に移動すると、係止部15bが被当接片2b2 を押し付けるように作用し、フック部材2の回動基部2aが摺動部材1に対して回動しながら前記係合部2cがケーシングAの被係合面部7から離脱し、フック部材2の仮停止状態が解除される。具体的には、図10(B)及び図11(B)において回動基部2aが時計方向に回転しながら、係合部2cが被係合面部7から離脱する。このとき、上ガイド走行体B1 (下ガイド走行体B2 も含む)の係止部15bは、図13(C)及び図14(A)に示すような過程を経て、フック部材2の被当接片2b2 と当接しながら被係止片2b1 と被当接片2b2 との間の略U字形状の凹み内に収まる。
そして、係止部15bとフック部材2との係止動作とともに、該フック部材2の仮停止状態が解除され、略同時に該フック部材2の平坦状に形成された摺動面部2gが主案内部6に接触する状態に移行され、そのフック部材2の摺動面部2gが前記摺動部材1の被案内突起片1dとともに前記弾性部材3の弾性力Fによって戸閉方向に移動する。その弾性部材3による摺動部材1及びフック部材2の戸閉方向への移動動作時には、摺動部材1に形成されたラック部1bと緩衝部材4の歯車部4aとの噛合による抵抗力Tが弾性部材3の弾性力Fによる弾性付勢方向に対して作動する。
これによって、弾性部材3の弾性力Fから緩衝部材4の抵抗力Tを差し引いた力,すなわちF−Tなる力が実質的な戸閉力Pとなる。そして、この戸閉力Pにより、引戸18は、人の戸閉作業による初期戸閉速度Vnから前記減速されて、その戸閉力Pにより緩やかな速度Vmとなって、戸閉動作が行われ、戸閉側に強制的に移動され、戸閉方向端部に到達して戸閉動作を完了するものである〔図14(B)参照〕。
この一連の戸閉動作は、上ガイドレール17と下ガイドレール20にそれぞれ装着された戸閉装置構成部(戸閉具)により、上ガイド走行体B1 と下ガイド走行体B2 をそれぞれの案内部材15,15を介して同時に引戸18を戸閉方向に減速状態で移動させるものである。これによって、引戸18は、戸閉装置構成部(戸閉具)により戸閉側に強制的に移動するときに、引戸18の上方及び下方がバランス良く減速し、ガタの無い安定した戸閉方向移動ができるものである。
次に、引戸18の戸開き動作を図15に基づいて説明する。まず、フック部材2は、図15(A)に示すように、初期状態で戸閉側寄り〔図15(A)において右側寄り〕に位置しており、前記上ガイド走行体B1 (下ガイド走行体B2 を含む)に装着された案内部材15はフック部材2の被係止片2b1 と係止状態にある。そして、図15(B)に示すように、前記引戸18を戸開き方向〔図15(B)において右側から左側方向〕に移動させることで、ガイド走行体Bに装着された案内部材15が係止状態にあるフック部材2の被係止片2b1 を引っ張るようにして、主案内部6に沿って戸開き側へフック部材2及び摺動部材1を強制的に移動させる。
さらに、引戸18を戸開き方向に移動させ、フック部材2が被係合面部7箇所に到達すると、摺動規制突起1gが摺動規制部の戸開側端部に当接して、摺動部材1の摺動動作におけるストッパの役目をなし、摺動部材1の摺動が停止される。このときには、フック部材2の係合部2cは被係合面部7箇所に到達している。さらに前記引戸18の戸開動作が続行されることにより、ガイド走行体Bの係止部15bによってフック部材2の被係止片2b1 が引き出されるようにしてフック部材2が回動基部2aを介して回転する。具体的には、図10(B),図11(B),図15(C)に示すように、フック部材2は回動基部2aを中心とし反時計方向に回転し、係合部2cが被係合面部7に移動して係合される。フック部材2は、摺動部材1と該摺動部材1に連結されている弾性部材3の弾性力Fにより、係合部2cと被係合面部7とが適宜の圧力により係合当接した状態が維持され、これによって、フック部材2は被係合面部7箇所で仮停止状態となる。
そのフック部材2は、戸開側にて傾斜した状態となっているので、被係止片2b1 の頂部箇所が低くなることにより、ガイド走行体Bの係止部15bは、被係止片2b1 から離脱し、係止部15bとフック部材2との係止状態が解除され、引戸18はさらに開き側に移動し、開き動作を完了する。なお、図13乃至図15において、主案内部6及び被係合面部7は、第1ケーシング部A1 側に形成されたものであるから、その主案内部6及び被係合面部7は、想像線で記載することにする。
上記一連の戸開動作は、上ガイドレール17と下ガイドレール20にそれぞれ装着された戸閉装置構成部(戸閉具)により、上ガイド走行体B1 と下ガイド走行体B2 がそれぞれの案内部材15,15を介して、戸閉装置構成部(戸閉具)内の弾性部材3,3の弾性力Fに抗して引戸18を移動させることができる。これによって、前記引戸18の上方及び下方においてバランス良く、且つガタの無い安定した戸開き方向の強制移動を行うことができる。
次に、第2タイプにおける、2枚の引戸18,18の戸閉及び戸開き動作も、前述した第1タイプと略同様であり、図20乃至図22に示されている。なお図20乃至図22は引戸装置の上方より見た平面図である。また、上ガイドレール17は2レーンのレール部17a,17aであり、下ガイドレール20は1レーンのみのレール部20aから構成されていることを除けば、上ガイドレール17,上ガイド走行体B1 及び前記上ガイドレール17に装着されたケーシングA等の戸閉装置構成部(戸閉具)による引戸18の戸閉及び戸開きのそれぞれの動作と、下ガイドレール20,下ガイド走行体B2 及びケーシングA等の戸閉装置構成部(戸閉具)による引戸18の戸閉及び戸開きの動作は、略同様である。
まず、戸閉動作については、図20(A)に示すように、摺動部材1とフック部材2と枢支連結されており、その初期状態でフック部材2の係合部2cがケーシングAの被係合面部7に係合された状態で仮停止状態にある。そして、開き状態の引戸18が戸閉方向〔図20(A)において左側から右側方向〕に移動すると、フック部材2に次第に近接し、図20(B)に示すように、案内部材15の係止部15b先端がフック部材2の被当接片2b2 に当接する。さらに、上ガイド走行体B1 (下ガイド走行体B2 も含む)が戸閉方向に移動すると、前記フック部材2の仮停止状態が解除され、係止部15bとフック部材2との係止動作とともに、弾性部材3の弾性力Fによって上ガイド走行体B1 (下ガイド走行体B2 も含む)が戸閉方向に移動する。このとき第1タイプと同様に、弾性部材3の弾性力Fから緩衝部材4の抵抗力Tを差し引いた力,すなわちF−Tなる力が実質的な戸閉力Pとなって作用する。
次に、戸開き動作においてフック部材2は、初期状態で戸閉側寄り〔図22(A)において右側寄り〕に位置しており、前記上ガイド走行体B1 (下ガイド走行体B2 を含む)に装着された案内部材15はフック部材2の被係止片2b1 と係止状態にある。そして、前記引戸18を戸開き方向〔図15(B)において右側から左側方向〕に移動させることで、上ガイド走行体B1 (下ガイド走行体B2 を含む)に装着された案内部材15が係止状態にあるフック部材2の被係止片2b1 を引っ張るようにして、主案内部6に沿って戸開き側へフック部材2及び摺動部材1を強制的に移動させる。そのフック部材2が被係合面部7箇所に到達すると、摺動規制突起1gが摺動規制部の戸開側端部に当接して、摺動部材1の摺動動作におけるストッパの役目をなし、摺動部材1の摺動が停止され、さらに前記引戸18の戸開動作が続行されることにより、ガイド走行体Bの係止部15bによってフック部材2の被係止片2b1 が引き出されるようにしてフック部材2が回動基部2aを介して回転する。
そのフック部材2は、戸開側にて傾斜した状態となっているので、被係止片2b1 の頂部箇所が低くなることにより、ガイド走行体Bの係止部15bは、被係止片2b1 から離脱し、図22(C)に示すように、係止部15bとフック部材2との係止状態が解除され、引戸18はさらに開き側に移動し、開き動作を完了する。
本発明は、キャビネットCの開口部33の上部30及び底部32における戸閉側箇所にそれぞれ装着されるものであって、ケーシングA内において適宜の領域を摺動する摺動部材1に回動自在にフック部材2が装着され、前記摺動部材1が弾性部材3を介して戸閉側に付勢され、且つ該弾性部材3の弾性力Fを減少させる緩衝部材4による抵抗力Tにて、上ガイドレール17及び下ガイドレール20に沿って走行する上ガイド走行体B1 及び下ガイド走行体B2 が前記フック部材2に係止された状態から前記摺動部材1の摺動領域を戸閉方向に移動することにより、緩やかな引戸18の戸閉動作を得ることができ、しかも戸閉及び戸開きの初期動作をガタの無い安定したものにできる。
すなわち、摺動部材1とフック部材2とは、枢支連結されてフック部材2が揺動自在としたものである。また、その摺動部材1がケーシングA内を戸閉方向に移動する力は、弾性部材3の弾性力Fによるが、この弾性力Fを減少させる緩衝部材4が具備されているので、ガイド走行体Bは弾性部材3の弾性力Fから緩衝部材4の抵抗力Tを差し引いた力にて戸閉方向に移動させることができ、極めて緩やかで安定した極めて良好なる戸閉動作を行うことができる。その上ガイドレール17及び下ガイドレール20には、共に戸閉装置構成部(戸閉具)が装着され、上ガイド走行体B1 及び下ガイド走行体B2 はそれぞれの案内部材15,15によって、ガタの無い安定した戸閉,戸開き動作をすることができるものである。
次に、摺動部材1と、該摺動部材1に枢支連結する回動基部2aと被係止片2b1 と被当接片2b2 と前記回動基部2aの回動動作にて上方に突出する係合部2cとからなるフック部材2と、前記摺動部材1を戸閉側方向に弾性的に付勢する弾性部材3と、該弾性部材3の弾性力Fを減少させる抵抗力Tを発生する緩衝部材4と、前記摺動部材1,フック部材2,弾性部材3及び緩衝部材4が装着され且つ前記摺動部材1が水平方向に沿って案内される主案内部6と該主案内部6の戸開き寄り箇所に被係合面部7が形成され且つキャビネットCの開口部33に装着された上ガイドレール17及び下ガイドレール20のそれぞれに装着されるケーシングAと、前記ガイドレール17に沿って走行する上ガイド走行体B1 及び下ガイド走行体B2 に設けられ,移動方向に沿って延出する腕状部15aの先端に前記被係止片2b1 に係止し且つ被当接片2b2 に当接する係止部15bが形成された案内部材15とからなり、前記フック部材2は、前記摺動部材1が戸開側端部の位置のみ揺動し、前記係合部2cが前記被係合面部7に係合自在としたことにより、引戸18の戸閉側端部付近に近接させることで、その引戸18を戸閉側端部に強制的に引き寄せるとともに、その戸閉終了間際における引戸18の速度が緩やかに減速され良好な戸閉動作を得ることができる。さらに戸閉装置を小型なものとし、引戸18のガイドレール17に直接組付け引戸装置に組み込むためのスペースを僅かなものとすることができる。また、戸閉及び戸開きの初期動作において引戸18が傾いたりすることなくガタの無い安定したものにできる。
すなわち、被係止片2b1 と被当接片2b2 とが形成されたフック部材2は、摺動部材1に対して揺動自在であり、また、前記回動基部2aの回動動作にて係合部2cが上方に突出するようになっている。前記フック部材2は、前記摺動部材1が戸開側端部の位置のみ揺動し、前記係合部2cが前記被係合面部7に係合自在である。したがって、戸閉動作の場合には、初期状態でフック部材2が戸開側に安定した状態で仮停止状態にできる。すなわち、フック部材2は、揺動動作を行うときに左右方向への振れが少なく、よって故障も極めて少ないものにできる。
さらに、ガイド走行体Bの係止部15bがフック部材2に係止しようとするときには、滑らかに係止され、且つ弾性部材3により摺動部材1とフック部材2とが戸閉方向に移動するが、このとき弾性部材3に弾性力Fを減少させるように緩衝部材4の抵抗力Tが作用し、ガイド走行体Bを移動させる摺動部材1及びフック部材2はケーシングA内で適正に緩やかな速度にて移動させることができるものである。また、本発明では、ケーシングA内の摺動部材1及びフック部材2は、ケーシングAの長手方向に沿って移動し、且つその移動方向は、ガイドレール17内のガイド走行体Bの移動方向と同一である。
よって、本発明におけるケーシングAはガイド走行体Bの長手方向の端部に装着することができ、それゆえに、ガイドレール17と略一体化され、本発明の装置の装着容易且つ装着箇所の省スペース化を実現することができる。また、上ガイドレール17と下ガイドレール20には、それぞれ戸閉装置構成部(戸閉具)が装着されており、引戸18の戸閉及び戸開きでは、上ガイドレール17と下ガイドレール20のそれぞれに装着した戸閉装置構成部(戸閉具)と上ガイド走行体B1 と下ガイド走行体B2 とは案内部材15,15を介してバランス良く、動作することができ、戸閉及び戸開きの初期動作において、引戸18が傾いたりすることなくガタの無い安定したものにできる。
前述した構成において、前記ケーシングAは、上ガイドレール17及び下ガイドレール20の長手方向端部に略一直線状に設置されたことにより、戸閉装置の全体構成をコンパクトにまとめることができる。また、前記ケーシングAはキャビネットの頂板裏面側及び底板上面側で且つ上ガイドレール17及び下ガイドレール20に平行状態に隣接して設置されることにより、戸閉装置構成部(戸閉具)のケーシングAをキャビネットCの上部30及び底部32に装着するので、比較的強固な取付構造にすることができる。
次に、前記係合部2cと被係合面部7は枢支連結部を回動中心とする円弧状凸面部と円弧状凹面部に形成することにより、フック部材2が主案内部6から被係合面部7箇所に移動して、係合部2cと前記被係合面部7に係合するときに、フック部材2の回動動作が極めて滑らかにできるものである。次に、前記摺動部材1にはラック部1bが形成され、緩衝部材4には前記ラック部1bと歯合し且つ前記弾性部材3による摺動部材1の戸閉側方向移動に対してその抵抗力Tを発生する歯車部4aが緩衝部材4に具備されたことにより、引戸18の減速を極めて簡単且つ良好に行うことができる。
次に、前記摺動部材1及びフック部材2にはケーシングAの外部に突出する摺動部材操作片1f及びフック操作片2eがそれぞれ形成されることにより、たとえ誤動作により、ガイド走行体Bの係止部15bがフック部材2に係止しない状態で、フック部材2のみがケーシングA内に入ってしまっても、その片摺動部材操作片1f及びフック操作片2eによりケーシングAの外部にフック部材2を突出させることができる。以上のように、本発明によれば、高級な家具やキャビネットの引戸装置に好適であり、引戸の開閉の初動作でガタついたり振動することなく、スムーズに開閉でき、開閉の操作感覚は極めて良好である。また、戸閉完了時の音も極めて静かなものにできる。