JP4799258B2 - エキスパンションジョイント構造 - Google Patents

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本発明は、互いに対設関係とされる入隅部間、つまり互いに対設関係とされる建物躯体における壁躯体と天井躯体の突合せコーナー部である入隅部間の間隙部の覆いとして用いられるエキスパンションジョイント構造に関する。
一般に、2つの建物躯体における壁や天井等の各対設関係とされる躯体間の間隙部の覆いとして、震動、不同沈下等による各躯体間の相対変位に拘わらずこれら躯体間の間隙部を効率的に覆うように工夫されたエキスパンションジョイントは従来から種々提案されており、また壁躯体と天井躯体の突合せコーナー部である対設関係とされる入隅部間の間隙部の覆いに用いられるジョイント構造も提案されている。
例えば、上述の入隅部間の間隙部の覆いに用いられる上記のジョイントの1つとして、互いの壁面直交方向における相対変位で対設壁躯体間に生じる間隙に対処するように構成されたジョイントにおいて、両壁躯体の壁面に当接対峙された天井裏部材が上記壁躯体の相対変位における一方壁躯体の移動に伴って押動されて該一方壁躯体と一緒になって移動することで、一方壁躯体と裏部材の当接間に、つまり一方壁躯体の壁面と裏部材の突合せコーナー部である入隅部に上記相対変位による空間が生じないようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−246564号公報
ところで、上述のエキスパンションジョイント構造は、一般的にその構造が複雑であり、また機能的にも、各躯体間の変位が大きな場合や躯体の相対変位の方向によっては十分に対応できず、カバーと各躯体との間に隙間が生じて上記間隙を十分に覆うことができないとか、入隅部のジョイントカバーが天井や壁のカバーによる押圧力によって変形したり破損したりすることがある。
カバーと各躯体との間の隙間の発生やカバーの破損は、ジョイントによる覆い部の外観性を阻害し、内装の見栄えを悪くするものである。
そして、上述の特許文献1の入隅部間の間隙の覆いに適用される上記ジョイントにおいても、対設される壁躯体の相対変位に伴う一方壁躯体の移動で天井裏部材が一緒に移動するので、一方壁躯体と裏部材間に上記相対変位による空間は生じない。しかし、他方壁躯体の壁面や両壁躯体間の間隙部と裏部材との間には大きな空間が形成され、入隅部間の間隙の覆い部の外観性が阻害され、内装の見栄えを悪化させている。
上述のような状況の中で、本発明は入隅部間の間隙の覆いに適用されるエキスパンションジョイント構造において、各躯体間の種々の相対変位に対して円滑に対応でき、かつ上記入隅部間の良好な外観性を維持できるエキスパンションジョイント構造を提供することをその課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、2つの建物躯体における互いに対設される壁躯体と天井躯体の突合せコーナー部である入隅部間の間隙を覆うように架設されるエキスパンションジョイント構造において、天井躯体間の間隙を覆う天井カバーと、壁躯体間の間隙を覆う壁カバーと、天井躯体と壁躯体の突合せコーナー部である入隅部間の間隙を覆うとともに上記両カバーを互いに接続するジョイントカバーとからなり、上記ジョイントカバーの一端を上記壁カバーに固定し、他端を上記天井カバーに係合させるとともに、上記ジョイントカバーの上記一端には上記天井カバーの両側を覆う側カバー部を開閉自在に設け、この側カバー部を常時上記天井カバーの両側に係合するように付勢したことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、2つの建物躯体における互いに対設される壁躯体と天井躯体の突合せコーナー部である入隅部間の間隙を覆うように架設されるエキスパンションジョイント構造において、天井躯体間の間隙を覆う天井カバーと、壁躯体間の間隙を覆う壁カバーと、天井躯体と壁躯体の突合せコーナー部である入隅部間の間隙を覆うとともに上記両カバーを互いに接続するジョイントカバーとからなり、上記ジョイントカバーを上記天井カバーに固定するとともに、ジョイントカバーの一側を切欠き、同じ側の壁躯体には上記天井カバーの一側を覆う側カバー部を開閉自在に支持する支持部材を設け、上記側カバー部を常時上記天井カバーの一側に係合するように付勢するとともに、上記支持部材には上記ジョイントカバーの切欠き部を下から覆う隠しカバーを設けたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、ジョイントカバーの一端を上記壁カバーに固定し、他端を天井カバーに係合させるとともに、上記ジョイントカバーの上記一端には上記天井カバーの両側を覆う側カバー部を開閉自在に設け、この側カバー部を常時上記天井カバーの両側に係合するように付勢したので、2つの建物躯体が相対的に変位する場合、特に建物躯体間の隙間に互いに逆方向に平行に移動するとき、ジョイントカバーは大きく傾き、このときジョイントカバーの側カバー部が天井カバーによって強く押し出されることになる。しかし、側カバー部は回動自在になっているので、開き方向に回動して天井カバーの変位を吸収することができる。震動等が終了して天井カバーが元の位置に戻れば、ジョイントカバーの側カバー部もバネによって元の位置に復帰する。
さらに、上記構成によれば、入隅部の外観が良好である。また、ジョイントカバーは容易に取り付けることができ、作業性がよいとともに、後付けすることも可能である。また、建物躯体が変位してもジョイントカバーが変形したり損傷したりするのを有効に防止することができる。
請求項2に係る発明は、ジョイントカバーを天井カバーに固定するとともに、ジョイントカバーの一側を切欠き、同じ側の壁躯体には上記天井カバーの一側を覆う側カバー部を開閉自在に支持する支持部材を設け、上記側カバー部を常時上記天井カバーの一側に係合するように付勢するとともに、上記支持部材には上記ジョイントカバーの切欠き部を下から覆う隠しカバーを設けた構成である。
したがって、2つの建物躯体が震動等によって相対的に変位する場合、特に建物躯体間の隙間に対して互いに接近する方向に移動するときは、ジョイントカバーに切欠き部が形成されているため、切欠き部が変位を吸収することができ、したがってジョイントカバーが変形したり損傷したりするのを有効に防止することができる。また、ジョイントカバーの側カバー部が天井カバーによって強く押し出されることになる。しかし、側カバー部は回動自在になっているので、開き方向に回動して天井カバーの変位を吸収することができる。震動等が終了して天井カバーが元の位置に戻れば、ジョイントカバーの側カバー部もバネによって元の位置に復帰する。
また、建物躯体間の隙間が離間する方向に移動するときは隠しカバーは一方の建物躯体に残るので、切欠き部が大きく開放することはない。したがって、入隅部の外観が良好である。
また、ジョイントカバーは容易に取り付けることができ、作業性がよいとともに、後付けすることも可能である。
[実施形態1]
図1ないし図5に基づいて本発明の実施形態1を説明する。
図1、図2に図示されるように、互いに相対変位する2つの建物躯体A、B間に架設されるエキスパンションジョイントは、2つの建物躯体A、Bのそれぞれの壁躯体A1、B1と天井躯体A2、B2が突き合せられる入隅部A3、B3の間の間隙部D3を覆うために架設される構造を備えており、壁躯体A1、B1間の間隙D1と天井躯体A2、B2間の間隙D2を覆う天井カバー2と、壁躯体間の間隙D1を覆う壁カバー1と、天井躯体と壁躯体との突合せコーナー部である入隅部間の間隙D3を覆うとともに上記両カバー1、2を互いに接続するジョイントカバー3とからなる。これら3枚のカバー1、2、3は、いずれもアルミ材等の押出成形により形成されている。
壁カバー1は断面が略コ字形に形成され、図示しない支持手段により、常に壁躯体間の間隙D1の中心に保持された状態で上記間隙D1を覆うように保持されている。
天井カバー2も、同様に断面が略コ字形に形成され、図示しない支持手段により、同じ天井躯体間の間隙D2を覆うように保持されている。
次に、上記ジョイントカバー3の一方には垂下部31が形成されている。また、垂下部31の上部からは、上記天井カバー2の端部に重合する水平カバー部32と天井カバー2の端部の両側部を覆う側カバー部33とをコ字形に形成したカバー部34が水平方向に突出形成されている。
垂下部31は上記壁カバー1の上端に固定されている。垂下部31の両側部からは起立片35が上方に突出形成されている。
水平カバー部32の先端には上方に屈曲する受け片36が形成され、受け片36が天井カバー2の水平部に係合している。また、水平カバー部32の先端の両側にも受け部37(図3参照)が形成されている。側カバー部33は天井カバー2の側部に係合している。また、上記側カバー部33は上記垂下部31の両側の起立片35に対してバネ付き蝶番4を介して開閉自在に枢着されている。側カバー部33は常時内方に回動するようにバネ付勢されている。これにより、側カバー部33は天井カバー2の側部と水平カバー部32の受け部37にバネ力により圧接状態で係合している。図4(a)(b)は上記エキスパンションジョイント構造の平面図及び側面図である。
上記構造の3枚のカバー1、2、3は、上述のように2つの建物躯体A、Bの対設される壁躯体A1、B1、天井躯体A2、B2間の間隙部D1、D2、および壁躯体A1、B1と天井躯体A2、B2の突合せコーナー部である入隅部A3、B3間の間隙部D3をそれぞれ覆うように互いに組合わされてエキスパンションジョイントとされて上記建物躯体A、B間に架設されている。
次に、2つの対設される壁躯体A1、B1と天井躯体A2、B2が相対変位していない平常時におけるエキスパンションジョイントが図1の平常時の状態から、例えば、震動、不同沈下等により、対設される一方の建物躯体Aが他方の建物躯体Bに対して図5の上下図のX−X方向に相対変位した場合には、いずれの方向の変位においても両建物躯体A、Bのそれぞれの壁面が互いに平行な同一面上で変位するので、該面への当接部を介して保持されるジョイントの壁カバー1と天井カバー2はそれぞれ該当接部を介して一緒になって上記面上をスライドするので、壁カバー1と天井カバー2の相対的な位置ズレは起こらない。
これに対し、例えば、対設する一方の建物躯体Aが他方の建物躯体Bに対して図5の右図のY−Y方向に相対変位した場合には、壁カバー1が反時計回りに回動傾斜し、壁カバー1に一体固定されたジョイントカバー3も一緒に回動する。ジョイントカバー3のこの回動は、ジョイントカバー3の一方の側部カバー部33を天井カバー2の角部2aに当接させ、一方の側部カバー部33がバネ付き蝶番4によるバネ付勢力に抗して時計回りに回動して押し開かれ、ジョイントカバー3と天井カバー2の円滑な相対移動が可能とされる。
また、図5の左図のY−Y方向に相対変位した場合には、壁カバー1が時計回りに回動傾斜し、一緒に回動するジョイントカバー3の側カバー部33を天井カバー2の角部2bに当接させ、側カバー部33がバネ付き蝶板4のバネ付勢力に抗して反時計回りに回動して押し開かれ、ジョイントカバー3と天井カバー2の円滑な相対移動が可能とされる。
したがって、2つの建物躯体A、Bが震動等によって相対的に変位する場合、特に建物躯体A、B間の隙間に互いに逆方向に平行に移動するとき、ジョイントカバー3は大きく傾き、このときジョイントカバー3の側カバー部33が天井カバー2によって強く押し出されることになる。しかし、側カバー部33は回動自在になっているので、開き方向に回動して天井カバー2の変位を吸収することができる。震動等が終了して天井カバー2が元の位置に戻れば、ジョイントカバー3の側カバー部33もバネによって元の位置に復帰する。
さらに、上記構成によれば、入隅部の外観が良好である。また、ジョイントカバー3は容易に取り付けることができ、作業性がよいとともに、後付けすることも可能である。また、建物躯体が変位してもジョイントカバー3が変形したり損傷したりするのを有効に防止することができる。
[実施形態2]
図6ないし図9を参照して実施形態2のエキスパンションジョイントを説明する。このエキスパンションジョイントは、天井カバー2と、建物躯体A、Bの相対変位に対処するためのジョイントカバー5の組合せからなり、これらのカバーはアルミ板等の加工により形成されている。
上記ジョイントカバー5は図7に示すように、水平カバー部51の四側に側部52、53、54、55を立ち上げて略箱型に形成されている。上記ジョイントカバー5の一方の壁躯体A1側の角隅部から天井躯体A2間の間隙にかけて切欠き部7が形成されている。
上記角隅部に対応する部分には、上記ジョイントカバー5の上記壁躯体A1側の側部55を覆う側カバー部56を開閉自在に支持する支持部材8が設けられている。
支持部材8の上端と下端にはそれぞれ上板81と下板82とが形成されているとともに、支持部材8の一端部には側カバー部56がバネ付き蝶番4を介して取り付けられている。そして、上記上板81は天井躯体A2にネジ止め固定され、また、下板82には隠しカバー9が固定されている。隠しカバー9は切欠き部7よりも大きく、好ましくは建物躯体A、Bが変位したときでも切欠き部7を覆う程度の大きさに形成するのがよい。
上記ジョイントカバー5は図8(a)(b)に示されるように、上記天井カバー2の端部に重合状態で固定されている。上記側カバー部56は常時上記ジョイントカバー5の切除された側部55に係合するように付勢され、また上記隠しカバー9は上記切欠き部7を覆うように配置されている。
次に、震動、不同沈下等により、対設された2つの建物躯体A、Bが相対的に変位した場合のエキスパンションジョイントの移動状態を図9を参照して説明する。
2つの建物躯体A、Bの相対変位が、例えば一方の建物躯体Aが他方の建物躯体Bに対して図9の上図のように互いに接近するX−X方向に変位する場合においては、天井カバー2の角部2aがジョイントカバー5の側部カバー部56を押し出すので、側部カバー部56はバネ付勢力に抗して開き方向に回動して天井カバー2の変位を吸収することができる。震動等が終了して天井カバー2が元の位置に戻れば、ジョイントカバー5の側カバー部56もバネによって元の位置に復帰する。
次に、一方の建物躯体Aが他方の建物躯体Bに対して図9の下図のように互いに離間するX−X方向に移動したときは、ジョイントカバー5が離間し、大きく変位したときは切欠き部7の一部は隠しカバー9により隠蔽されるので、切欠き部7が大きく開放することはなく、外観はあまり損なわれない。
また、2つの建物躯体A、Bの相対変位が、一方の建物躯体Aが他方の建物躯体Bに対して図9の右図のようにY−Y方向に移動するときは、ジョイントカバー5の切欠き部7が建物躯体Aに衝突するのを避けることができるので、切欠き部7が変位を吸収することができ、したがってジョイントカバー5が変形したり損傷したりするのを有効に防止することができる。また、大きな変位においては切欠き部7の一部を開放するが、通常の変位においては殆ど外観を損することはない。
さらに、一方の建物躯体Aが他方の建物躯体Bに対して図9の左図のように変動するときは、天井カバー2に一体のジョイントカバー5によって切欠き部7は殆ど閉鎖状態とされる。
また、上記構成によればジョイントカバー5は容易に取り付けることができ、作業性がよいとともに、後付けすることも可能である。
は、本発明のエキスパンションジョイントの取付け状態における外観斜視図である。 は、本発明のエキスパンションジョイントの分解斜視図である。 は、本発明のエキスパンションジョイントの一作用態様を示す外観斜視図である。 は、本発明の天井端部カバーの取付け構造部を示す図であり、(a)は下方面図、(b)は前後方向端面図である。 は、本発明のエキスパンションジョイントの作動態様を示す図である。 は、本発明のエキスパンションジョイントの別の実施形態を示す図である。 は、図6のエキスパンションジョイントの分解斜視図である。 は、図6のエキスパンションジョイントの天井端部カバーの取付け構造部を示す図であり、(a)は下方面図、(b)は前後方向端面図である。 は、図6のエキスパンションジョイントの作動態様を示す図である。
符号の説明
A、B 建物躯体
1 壁カバー
2 天井カバー
3、5 ジョイントカバー
7 切欠き部
9 隠しカバー
33 側カバー部

Claims (2)

  1. 2つの建物躯体における互いに対設される壁躯体と天井躯体の突合せコーナー部である入隅部間の間隙を覆うように架設されるエキスパンションジョイント構造において、
    天井躯体間の間隙を覆う天井カバーと、壁躯体間の間隙を覆う壁カバーと、天井躯体と壁躯体の突合せコーナー部である入隅部間の間隙を覆うとともに上記両カバーを互いに接続するジョイントカバーとからなり、
    上記ジョイントカバーの一端を上記壁カバーに固定し、他端を上記天井カバーに係合させるとともに、上記ジョイントカバーの上記一端には上記天井カバーの両側を覆う側カバー部を開閉自在に設け、この側カバー部を常時上記天井カバーの両側に係合するように付勢した
    ことを特徴とするエキスパンションジョイント構造。
  2. 2つの建物躯体における互いに対設される壁躯体と天井躯体の突合せコーナー部である入隅部間の間隙を覆うように架設されるエキスパンションジョイント構造において、
    天井躯体間の間隙を覆う天井カバーと、壁躯体間の間隙を覆う壁カバーと、天井躯体と壁躯体の突合せコーナー部である入隅部間の間隙を覆うとともに上記両カバーを互いに接続するジョイントカバーとからなり、
    上記ジョイントカバーを上記天井カバーに固定するとともに、ジョイントカバーの一側を切欠き、同じ側の壁躯体には上記天井カバーの一側を覆う側カバー部を開閉自在に支持する支持部材を設け、上記側カバー部を常時上記天井カバーの一側に係合するように付勢するとともに、上記支持部材には上記ジョイントカバーの切欠き部を下から覆う隠しカバーを設けた
    ことを特徴とするエキスパンションジョイント構造。
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