以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態につき説明する。図2は本実施形態のドア1の正面図である。ドア1は、建物内に設けられる室内ドアであって、部屋の出入口を開閉するために建物の内部を仕切る建具として用いられる。具体的に、ドア1は、図示しないドア枠により構成された建物開口部に回動自在に設けられる開き戸である。なお、以下では、ドア1の厚み方向を前後方向、幅方向を左右方向として説明する。
ドア1には開通方向を前後方向とした通気開口部20が形成されている。通気開口部20には換気装置4が設けられている。
具体的にドア1はドア本体2を備えている。ドア本体2の戸先側には、縦長の通気開口部20がドア本体2の上下方向の略全長に亘るように上下に2つ並べて形成されている。各通気開口部20には、換気装置4が設けられている。
各換気装置4は、開閉体3と、軸受ユニット9(図4参照)を備えている。各換気装置4の開閉体3は縦長であり、通気開口部20に設けられている。各開閉体3は、対応する通気開口部20を開閉することができるように、ドア本体2に対して回動自在に設けられている。上下の開閉体3のうちの一方の開閉体3を選択的に開くことで、プライベート性を確保しながら通気が行えるようになっている。なお、ドア本体2に設けられる開閉体3の数は二枚に限られるものではない。例えば、開閉体3は、ドア本体2の上下方向の略全長に亘るように、一枚あるいは三枚以上設けられてもよい。
各開閉体3は、図1(a)に示される閉位置から、図1(b)に示される開位置までの範囲で回動できるように、ドア本体2に縦軸回りに回動自在に取り付けられている。ここで、縦軸回りとは、開閉体3の回動軸方向が縦方向(上下方向)と平行であることを意味する。なお、以下の説明では、特に記載する場合を除き、図1(a)に示されるように、開閉体3が通気開口部20を閉じる閉位置に配置されたときの方向を基準にして説明する。すなわち、開閉体3の厚み方向を前後方向とし、開閉体3の幅方向を左右方向として説明する。
各開閉体3の上下長さは、対応する通気開口部20の上下長さと略同じ長さである。各開閉体3の厚みは、ドア本体2の厚みよりも小さい。各開閉体3の幅は、対応する通気開口部20の幅よりもやや小さい。
本実施形態の各開閉体3は、透光性を有する採光パネルで構成されている。各開閉体3は、図5に示されるように、透光性を有する縦長平板状の透光板30と、透光板30の四周を囲んで保持したパネル枠5とで構成されている。
各開閉体3の透光板30はガラス板である。詳しくは、各開閉体3の透光板30は、二枚の板ガラスが合成樹脂膜を介して接着された合わせガラスである。合わせガラスは、帯電性が低い。このため、開閉体3には、埃やごみ等が付き難くなっている。なお、透光板30は合わせガラスに限られず、一枚の板ガラスであってもよい。また、透光板30は、アクリル樹脂等のその他の透明な材料で形成されてもよい。
各開閉体3の透光板30は、縦長矩形状に形成されている。また、各開閉体3の透光板30は、図1に示されるように、その水平断面形状が横長の矩形状に形成されている。
各開閉体3のパネル枠5は、図5に示されるように、左右の縦枠材50及び上下の横枠材51で構成されている。左右の縦枠材50及び上下の横枠材51は、縦長矩形状に枠組みされている。
各縦枠材50は、開閉体3の側縁部を構成している。各縦枠材50は、金属製であって、例えばアルミニウム製である。縦長の各縦枠材50の長さは、透光板30の長さと略同じである。
各縦枠材50の水平断面形状は、上下方向に亘って一様である。各縦枠材50は、図1(a)に示されるように透光板30側に開口した溝状(略C字状)に形成されている。各縦枠材50は、溝奥部を構成する主部500と、主部500の前後両端部から透光板30側に突出した縁部501で構成されている。
各縦枠材50の他方の縦枠材50側の面である内側面には、他方の縦枠材50側に開口した縦溝部502が上下方向に亘って形成されている。各縦枠材50の縦溝部502は、溝奥部が主部500の他方の縦枠材50側の面で構成され、溝側面が両縁部501の対向面で構成されている。各縦枠材50は、縦溝部502に透光板30の側端部を嵌め込むことで、透光板30に嵌め付けられている。
各縦枠材50の主部500の厚み(前後寸法)は、透光板30側から離れる程小さくなっている。主部500の表面部となる前面部及び後面部は、透光板30側から離れる程互いに近づくように傾斜した傾斜面部503となっている。各縦枠材50の前後の縁部501の表面部分504は、縦溝部502の溝幅方向(前後方向)に対して直交している。
各縦枠材50が透光板30に嵌め付けられた状態では、各縦枠材50の前後の縁部501の表面部分504は、透光板30の両面と平行になる。各開閉体3は、図1(b)に示される開位置に配置されたとき、ドア本体2の幅方向に対して傾斜する。このとき、戸先側の縦枠材50の前側の傾斜面部503は、ドア本体2の前面と平行且つ面一になる。また、吊元側の縦枠材50の後側の傾斜面部503がドア本体2の後面と平行且つ面一になる。
各縦枠材50の上端部及び下端部には、ビスねじ込み部が形成されている。本実施形態では、縦溝部502の溝奥面に水平断面C字状のビスポケット505が上下方向に亘って形成されている。そして、ビスポケット505の上下両端部によってビスねじ込み部が構成されている。
図5に示されるように、横長の横枠材51は、両縦枠材50の上端部間及び下端部間に架け渡されている。各横枠材51の長さ方向の両端部には、上下に貫通するビス用孔(不図示)が形成されている。各横枠材51には、透光板30側に開口した横溝部(不図示)が左右方向に亘って形成されている。
各横枠材51は、前記横溝部に透光板30の長手方向の端部を嵌め込むことで、透光板30に嵌め付けられている。各横枠材51の前記各ビス用孔には、上下方向における透光板30側とは反対側からビス52が通されている。これらビス52は、対応する縦枠材50の前記ビスねじ込み部にねじ込まれている。これにより、各横枠材51は、両縦枠材50に取り付けられている。つまり、透光板30は、左右両端部がパネル枠5の縦溝部502に嵌め込まれ、上下両端部がパネル枠5の前記横溝部に嵌め込まれている。また、透光板30は、左右の縦枠材50で挟まれ且つ上下の横枠材51で挟まれることで、パネル枠5に保持されている。
上下の横枠材51の透光板30と反対側の外面における横枠材51の長手方向の中間部には、透光板30と反対側に突出した軸部510が形成されている。これら軸部510は、その軸心が透光板30の水平断面における中心を通る中心線と一致して開閉体3の回動軸を構成している。すなわち、これら軸部510は、ドア本体2に対して縦軸回りに回動自在に支持される被支持部として機能する。
各開閉体3は、上下の軸部510が通気開口部20の上下に設けられた軸受部で回動自在に支持されることで、ドア本体2に対して縦軸回りに回動自在に取り付けられている。
ドア本体2は、図4に示される、左右のドア材6と、両ドア材6を連結する連結材7とで構成されている。
両ドア材6は縦長の矩形板状に形成されている。戸先側のドア材6は、ドア本体2の戸先側の端部を構成している。吊元側のドア材6は、戸先側のドア材6よりも幅が広く、ドア本体2の戸先側部分を除く過半部を構成している。
両ドア材6は、図2に示されるように、互いの上端部、下端部、及び中間部が横長棒状の連結材7によって連結されている。これにより、ドア本体2には、縦長矩形状の通気開口部20が2つ形成されている。以下、特に区別する場合には、上側の連結材7、下側の連結材7、及びその間の連結材7を夫々、上連結材70、下連結材71、及び中間連結材72と記載する。
上側の通気開口部20は、上連結材70、中間連結材72、及び左右のドア材6の上部で囲まれている。上側の通気開口部20の上縁部は上連結材70で構成され、上側の通気開口部20の下縁部は中間連結材72で構成されている。上側の通気開口部20の左右の縁部は、左右のドア材6で構成されている。
下側の通気開口部20は、中間連結材72、下連結材71、及び左右のドア材6の下部で囲まれている。下側の通気開口部20の上縁部は中間連結材72で構成され、下側の通気開口部20の下縁部は下連結材71で構成されている。下側の通気開口部20の左右の縁部は、左右のドア材6で構成されている。
両ドア材6は、いわゆるフラッシュ構造を有する板状のパネル材である。すなわち、両ドア材6は、図1に示されるように芯材64の表面を表面材65で被覆したものである。各ドア材6の芯材64は木製であり、正面視矩形状の枠体で構成されている。
各ドア材6の表面材65は、板材650と、板材650の表面に積層された化粧シート651を備えている。化粧シート651は、合成樹脂製でその表面には木目模様が施されている。各ドア材6の表面材65の板材650の裏面には、折曲溝が形成されている。各ドア材6の表面材65は、前記折曲溝を境にして折り曲げることで、芯材64の外周面に沿って設けられている。なお、ドア材6は、水平断面矩形状の板を芯材としたものや、無垢材等であってもよい。
各ドア材6の上下両端面には、図5に示されるように、他方のドア材6側に開口する嵌込溝部62が形成されている。嵌込溝部62は、図3に示されるように、上連結材70や下連結材71を嵌め込む部分となる。
各ドア材6の他方のドア材6側の側面には、縦長の凹溝部63(図1参照)が形成されている。各凹溝部63は、ドア材6の嵌込溝部62が形成された上下両端部を除く部分に亘って形成されている。各凹溝部63は、ドア材6の厚み方向における中間部に形成されている。
図5に示された中間連結材72は、無垢材、あるいは、ドア材6と同様のパネル材等で形成されている。中間連結材72の両側端面には、ダボ720が複数設けられている。図示例では、中間連結材72の両側端面の上下に、ダボ720が設けられている。
中間連結材72の両側端部は凹溝部63の長さ方向の中間部に形成された幅広の凹所630に嵌め込まれている。中間連結材72の各ダボ720は、対応する凹所630の奥部に形成されたダボ穴(不図示)に嵌め込まれている。これにより、両ドア材6の上下方向の中間部同士が中間連結材72によって連結されている。
図1(a)に示されるように、各通気開口部20の両側面には、縁隠し材8が取り付けられている。各縁隠し材8は、対応する通気開口部20の上下方向の全長に亘っている。各縁隠し材8は合成樹脂製である。各縁隠し材8の表面には木目模様が施されている。なお、各縁隠し材8は、合成樹脂製に限られず、例えば木製であってもよい。
各縁隠し材8の水平断面形状は、上下方向に亘って一様である。各縁隠し材8は、幅方向の一端部を凹溝部63に嵌め込んで接着することにより、ドア材6に取り付けられている。
各縁隠し材8の厚みは、開閉体3(パネル枠5)の厚みと略同じで且つドア本体2(ドア材6)の厚みよりも小さくなっている。各縁隠し材8は、ドア本体2の厚みの範囲内に納められている。このようにすることで、通気開口部20を開いたときに縁隠し材8を小さくて通気の邪魔になり難くすることができる。なお、各縁隠し材8の厚みは、十分な通気量を確保するため、ドア本体2の厚みの1/2以下とすることが好ましい。
各通気開口部20の両側の縁隠し材8は、ドア本体2の厚み方向における中間部に位置し、互いに対向している。
各縁隠し材8の凹溝部63と反対側の部分は、通気開口部20の側面から通気開口部20の幅方向における内側に向かって突出している。各縁隠し材8には、開閉体3側に突出した突出部80が形成されている。
各通気開口部20の両側の縁隠し材8のうち、戸先側の縁隠し材8の突出部80は、縁隠し材8の後部から開閉体3側に向かって突出している。他方、吊元側の縁隠し材8の突出部80は、縁隠し材8の前部から開閉体3側に向かって突出している。
図1(a)に示されるように、閉位置に配置された開閉体3は、ドア本体2の幅方向(ドア材6の幅方向)と平行になる。このとき、両縦枠材50は、対応する縁隠し材8の突出部80の突端部と前後方向から見て重なる。これにより、通気開口部20の戸先側の側面と開閉体3の間の隙間は、戸先側の縁隠し材8によって塞がれる。また、通気開口部20の吊元側の側面と開閉体3の間の隙間は、吊元側の縁隠し材8によって塞がれる。従って、この場合は、通気開口部20の略全体が開閉体3で閉塞されることとなり、通気開口部20による部屋の換気は行われない。また、このように開閉体3が閉じられた状態にあるときには、ドア1を前後方向から見たときに、通気開口部20を通してドア1の反対側が見え難くなる。
各通気開口部20の両側の縁隠し材8のうち、戸先側の縁隠し材8の突出部80の前面は、吊元側に行く程後方に位置するように傾斜した斜面部81になっている。また、吊元側の縁隠し材8の突出部80の後面は、戸先側に行く程前方に位置するように傾斜した斜面部81になっている。
図1(a)に示されるように、各開閉体3が閉位置に配置されたとき、戸先側の縦枠材50の後側の傾斜面部503は、戸先側の縁隠し材8の斜面部81と略平行になり、この斜面部81に対向して面接触する。また、吊元側の縦枠材50の前側の傾斜面部503は、吊元側の縁隠し材8の斜面部81と略平行になり、同斜面部81に対向して面接触する。従って、各開閉体3が閉位置に配置されたときには、開閉体3と縁隠し材8の密着性を高めて、通気を確実に遮断することが可能になる。
中間連結材72の上面及び下面の夫々の中央部には、図5に示されるように、挿入穴721が形成されている。上下の開閉体3のうちの上側の開閉体3は、下側の軸部510が中間連結材72の上面に形成された挿入穴721に挿入されて回動自在に支持されている。また、図示は省略するが、下側の開閉体3は、中間連結材72の下面に形成された挿入穴に挿入されて回動自在に支持されている。すなわち、本実施形態では、中間連結材72の上下の挿入穴721の周縁部によって、開閉体3の中間連結材72側の軸部510を受ける軸受部が構成されている。
上連結材70及び下連結材71は、左右に長いフレーム材73の外面部を、化粧シート材74(幕板)で被覆したものである。
上連結材70及び下連結材71の夫々のフレーム材73は、金属製である。具体的に、上連結材70及び下連結材71の夫々のフレーム材73は、アルミニウム製の押出形材である。このように上連結材70及び下連結材71が金属製の形材を備えることで、上連結材70及び下連結材71を強度の高いものにすることができる。
上連結材70及び下連結材71の夫々のフレーム材73は、垂直断面形状が略矩形枠状に形成されている。
上連結材70及び下連結材71の夫々の化粧シート材74は合成樹脂製である。化粧シート材74は、上連結材70及び下連結材71の夫々の前後面に取り付けられている。上連結材70及び下連結材71の夫々の表面には、木目模様が施されている。このため、上連結材70及び下連結材71は、ドア材6に模した木目調の外観を有している。
上連結材70及び下連結材71の夫々のフレーム材73には、ドア1の付加ユニットとして、図4に示される軸受ユニット9が内装されている。すなわち、軸受ユニット9は各通気開口部20の開口縁部に設けられている。
上側の開閉体3の上側の軸部510は、上連結材70に設けられた軸受ユニット9に回動自在に支持されている。下側の開閉体3の下側の軸部510は、下連結材71に設けられた軸受ユニット9に回動自在に支持されている。
両軸受ユニット9は、上下対称である。図6及び図7には、上連結材70に設けられる軸受ユニット9が図示されている。
各軸受ユニット9は、ケーシング90、アーム93、ダンパー94、付勢部材95(弾性体)、押圧体96、及び可動体97を備えている。アーム93、ダンパー94、付勢部材95、押圧体96、及び可動体97は、ケーシング90に内装されている。
ケーシング90は、左右に長い矩形箱状に形成されている。上側の軸受ユニット9のケーシング90は、その長さ方向を上連結材70の長さ方向と平行にして上連結材70に内装されている。下側の軸受ユニット9のケーシング90は、その長さ方向を下連結材70の長さ方向と平行にして下連結材70に内装されている。すなわち、各軸受ユニット9は、通気開口部20の開口縁部に沿って設けられている。
ケーシング90は、開閉体3側の面部を構成する板状のベース91と、開閉体3側に開口した箱状でベース91に被せ付けられるカバー92とで構成されている。
図7に示されるように、ベース91の内面には、略扇状(略三角形状)の凹部911が形成されている。凹部911の内周面の一部は、水平断面形状が戸先側に開いた略V字状となる回動規制面912を構成している。凹部911の底部における吊元側の端部(略V字状の回動規制面912の角部側の端部)には、ベース91を上下に貫通する挿通孔910が形成されている。
図示は省略するが、上側の開閉体3の上側の軸部510は、上連結材70の下面部を通して上連結材70内の軸受ユニット9の挿通孔910に挿通され、当該軸受ユニット9の凹部911内に突出している。これにより、当該軸部510は、上側の軸受ユニット9により回動自在に支持されている。
下側の開閉体3の下側の軸部510は、下連結材71の上面部を通して軸受ユニット9の挿通孔910に挿通され、当該軸受ユニット9の凹部911内に突出している。これにより、当該軸部510は、下側の軸受ユニット9により回動自在に支持されている。すなわち、本実施形態では、各軸受ユニット9の挿通孔910の周縁部によって、開閉体3の中間連結材72と反対側の軸部510を受ける軸受部が構成されている。
凹部911には、アーム93が配置されている。アーム93の長さ方向の一端部には、連結孔930が形成されている。連結孔930には、開閉体3の中間連結材72と反対側の軸部510が挿入され、当該軸部510はアーム93に対して固定されている。これにより、アーム93は、開閉体3の軸部510と共に回動するようになっている。
アーム93の回動範囲は、凹部911の回動規制面912によって規制される。つまり、本実施形態では、軸受ユニット9の回動規制面912が、開閉体3の回動範囲を規制する回動規制手段を構成している。アーム93の回動範囲は、回動規制面912によって開閉体3がドア本体2の厚みの範囲内に納まるように規制される。
各開閉体3が閉位置に配置されたとき、対応する軸受ユニット9のアーム93は、図8(a)に示されるように回動規制面912の後側の面に当接し、後側に回動不能になる。このように閉位置に配置された開閉体3は、図1(a)に示されるようにドア本体2の厚み方向の中心部に配置される。
各開閉体3が開位置に配置されたとき、対応する軸受ユニット9のアーム93は、図8(c)に示されるように回動規制面912の前側の面に当接し、前側に回動不能になる。このように開位置に配置された開閉体3は、図1(b)に示されるように、ドア本体2の厚み方向の両端に位置する傾斜面部503のうち、前側に位置する一方の傾斜面部503が、ドア本体2の前面と前後方向において同位置に配置される。また、後側に位置する他方の傾斜面部503が、ドア本体2の後面と前後方向において同位置に配置される。また、開位置に配置された開閉体3は、ドア本体2の厚みの範囲内に納められる。
図7に示されるように、各軸受ユニット9のアーム93の連結孔930と反対側の端部には、上下方向において開閉体3と反対側に突出した連動部931が設けられている。各軸受ユニット9の連動部931は、開閉体3の回動中心よりも戸先側にずれた位置に配置されている。各軸受ユニット9の連動部931は円筒状に形成されており、水平断面円形の外周面を有している。
各軸受ユニット9の連動部931は、対応する開閉体3が縦軸回りに回動したとき、軸部510を中心にしてアーム93と共に縦軸回りに回動する。具体的には、各軸受ユニット9の連動部931は、開閉体3の開方向への回動時には前側に移動し、開閉体3の閉方向への回動時には後側に移動する。
各軸受ユニット9の付勢部材95は、図8に示されるように、連動部931の戸先側に配置されている。各軸受ユニット9の付勢部材95は、左右方向(すなわち、通気開口部20の開口縁部に沿う方向)に長く伸縮方向が左右方向と平行なコイルばねで構成されている。
各軸受ユニット9の付勢部材95の吊元側端部には、押圧体96が取り付けられている。各軸受ユニット9の押圧体96は、連動部931と左右方向において並べて配置されている。各軸受ユニット9の押圧体96は、左右方向に移動自在に設けられている。各軸受ユニット9の付勢部材95は、戸先側がカバー92によって支持されている。各軸受ユニット9の付勢部材95は、押圧体96を常時吊元側(連動部931側)にばね付勢している(弾性力を付与している)。
各軸受ユニット9の押圧体96の吊元側に臨む面は、連動部931を押圧する押圧面960を構成している。押圧面960は、第一面部961と第一面部961よりも前側に位置した第二面部962とを備えている。第一面部961は、後方程戸先側に位置するように傾斜している。第二面部962は、前方程戸先側に位置するように傾斜している。
各軸受ユニット9の押圧面960は、さらに、中間面部963を備えている。中間面部963は、水平断面形状が吊元側に凸となる弧状に形成されている。中間面部963は、第一面部961と第二面部962を連続させている。第一面部961は、第二面部962よりも前後方向の長さが長くなっている。中間面部963は、第一面部961、第二面部962、及び中間面部963で構成された押圧面960において前寄りの位置に形成されている。
各開閉体3が閉位置に配置された状態では、図8(a)に示されるように、対応する軸受ユニット9のアーム93の連動部931が第一面部961の後端部に当接する。この連動部931は、付勢部材95により付勢された押圧体96の第一面部961によって後側に押圧される。このため、アーム93は、回動規制面912の後側の面に押し付けられ、開閉体3は閉位置で保持される。
利用者が、閉位置に配置された開閉体3を開き方向(平面視左回り)に回動させると、アーム93は軸部510を中心にして前側に回動する。これに伴い、連動部931は押圧体96を付勢部材95の付勢力に抗して戸先側に押し込みながら前側に移動し、押圧体96の中間面部963を乗り越える。そして、開閉体3が開位置に配置された時点で、連動部931は図8(c)に示されるように第二面部962に当接する。このように開閉体3が開位置に配置された状態では、連動部931が付勢部材95により吊元側に付勢された押圧体96の第二面部962によって前側に押圧される。このため、アーム93は回動規制面912の前側の面に押し付けられ、開閉体3は開位置で保持された状態となる。
利用者が開位置に配置された開閉体3を閉じ方向(平面視右回り)に回動させると、アーム93は軸部510を中心にして後側に回動する。これに伴い、連動部931は押圧体96を付勢部材95の付勢力に抗して戸先側に押し込みながら後側に移動し、押圧体96の中間面部963を乗り越える。そして、開閉体3が所定開き角度まで閉じられた時点で、連動部931は第一面部961の前端部に当接する位置に至る。このように連動部931が第一面部961の前端部に当接すると、付勢部材95によって吊元側に付勢された押圧体96の第一面部961によって連動部931が後側に押し動かされ、アーム93は軸部510を中心に後側に回動する。この付勢部材95によるアーム93の回動は、連動部931が第一面部961の後端部に至ってアーム93が回動規制面912の後側の面に当接するまで、すなわち、開閉体3が閉位置に配置されるまで行われる。つまり、所定開き角度まで閉じられた開閉体3は、付勢部材95の付勢力によって閉位置まで自動的に回動する。
ここで、押圧体96、及び連動部931が設けられたアーム93は、付勢部材95のドア本体2の幅方向と平行な付勢力の向きを開閉体3の回動方向の成分を含む向きに変換した上で、付勢部材95の付勢力を開閉体3に伝える付勢力伝達手段を構成する。このため、本実施形態のように付勢部材95としてドア本体2の幅方向に長いコイルばね等を利用した場合に、付勢部材95をドア本体2(連結材7)の厚みの範囲内に納めやすくなるといった利点がある。
各軸受ユニット9のダンパー94は、連動部931の吊元側に配置されている。各軸受ユニット9のダンパー94は、伸縮式のシリンダーダンパーである。詳しくは、各軸受ユニット9のダンパー94は、ピストン940がシリンダー941側に押し込まれる方向に移動するときに減衰力を作用させ、且つピストン940が伸長状態となる原点に自動で復帰する自動復帰機能を備えたワンウェイ式のオイルダンパーある。
各軸受ユニット9のダンパー94は、ピストン940を戸先側に向けて配置される。各軸受ユニット9のピストン940の先端部には、可動体97が取り付けられている。各軸受ユニット9の可動体97は、連動部931と左右方向において並べて配置されている。各軸受ユニット9の可動体97の戸先側の面は、連動部931が当接する当接面970となっている。当接面970は、前方程吊元側に位置するように傾斜している。
開閉体3が開位置に配置された状態では、図8(c)に示されるように、ダンパー94が伸長し、連動部931が可動体97の当接面970の前側に配置される。利用者が、開位置に配置された開閉体3を閉位置まで回動させると、アーム93の回動に伴って、連動部931が可動体97を吊元側に押し込みながら当接面970の後側に移動する。このとき、可動体97と共に吊元側に移動するピストン940に対して減衰力が作用する。これにより開閉体3の閉方向の回動動作がダンパー94によって緩衝される。従って、開閉体3が勢いよく閉じられて大きな音が発生したり、開閉体3やこれを受ける部材が変形したり破損したりすることを防止できる。また、開閉体3が閉じられるときに、開閉体3と通気開口部20の側面の間に指等が強く挟まれることも防止することができる。
また、利用者が開閉体3を開位置まで回動させると、アーム93の回動に伴って、連動部931が前側に移動し、この際、可動体97はダンパー94の復帰力によって連動部931に追従して戸先側に移動し、図8(c)に示す状態となる。
ここで、連動部931が設けられたアーム93、及び可動体97は、開閉体3の回動動作をピストン940のドア本体2の幅方向と平行な動作に変換する動作変換手段を構成している。このため、本実施形態のようにダンパー94としてドア本体2の幅方向に長いシリンダーダンパーを利用して、ダンパー94をドア本体2(連結材7)の厚みの範囲内に納めやすくなるといった利点がある。
ドア本体2の上連結材70及び下連結材71は、図3に示されるように、左右両端部が対応するドア材6の嵌込溝部62に嵌め込まれてねじ止めされている。上連結材70の開閉体3と反対側の面は、両側のドア材6の上面と略面一になっている。下連結材71の開閉体3と反対側の面は、両側のドア材6の下面と略面一になっている。
戸先側のドア材6の前後両面には、図2に示されるように、取手としてレバーハンドル10(レバー型ドアノブ)が取り付けられている。各レバーハンドル10は、ドア本体2の上下方向において両通気開口部20の境界部となる中間連結材72と同じ位置に配置されている。
各レバーハンドル10はレバー部100を備えている。各レバーハンドル10のレバー部100は、非回動位置(非使用位置)から回動位置までの範囲で回動自在となっている。各レバーハンドル10は、レバー部100を回動位置まで回動することで、ドア1を開く際にドア本体2に設けられたラッチ(不図示)が操作されるように構成されている。また、各レバーハンドル10のレバー部100は、例えばばね等で構成された付勢部材によって、回動位置から非回動位置に自動的に復帰されるようになっている。
各レバーハンドル10のレバー部100は、前記非回動位置に配置されたとき、吊元側に突出してドア1の幅方向と平行(水平)になる。また、このときレバー部100の回動軸と反対側の先部は、前後方向において中間連結材72と重なる位置に配置される。このため、ドア1を正面から見た場合には、レバー部100の先部の後側に中間連結材72が位置する。従って、レバーハンドル10のレバー部100で開閉体3が隠れ難くなり、開閉体3から光を十分量とり入れることが可能になる。
以上説明した本実施形態のドア1は、ドア本体2と、開閉体3を備えている。ドア本体2にはその厚み方向に貫通する通気開口部20が設けられている。通気開口部20には開閉体3が通気開口部20を閉じる閉位置と通気開口部20を開く開位置との間で回動自在に設けられている。ドア本体2には、所定開き角度まで閉じられた開閉体3に付勢力を付与して閉位置まで回動させる付勢部材95が設けられている。このドア1は、開閉体3を開位置に配置することで通気開口部20を通して部屋の換気を行い、開閉体3を閉位置に配置することで通気開口部20を塞ぐことができる。また、利用者によって、開閉体3が所定の開き角度まで閉じられると、開閉体3は付勢部材95の付勢力によって閉位置まで自動的に回動する。このため、利用者は簡単に開閉体3を閉じることができる。
また、開閉体3は、本実施形態のようにドア本体2に対して縦軸回りに回動自在に設けられることが好ましい。横軸回りに回動自在にする場合と比較して、開閉体3に埃やごみ等が付き難くなるからである。
また、ドア本体2には、本実施形態のように、開閉体3の閉方向の回動動作を緩衝するダンパー94が設けられることが好ましい。このようにすることで、開閉体3が閉じられるときには、開閉体3にダンパー94の減衰力が作用し、開閉体3はゆっくりと閉位置まで回動するようになる。このため、開閉体3が勢いよく閉じられて大きな音が発生したり、開閉体3やこれを受ける部材が変形したり破損したりすることを防止できる。
また、開閉体3は、本実施形態のように、縦長で透光性を有する採光パネルであることが好ましい。このようにすると、通気開口部20を開閉する開閉体3を利用して部屋に光をとり入れることができ、通気機能と採光機能の両者を有するドア1にすることができる。また、本実施形態のように開閉体3を縦軸回りに回動自在にしたときには、開閉体3を透して部屋に光を取り入れるときに、開閉体3に積もった埃やごみ等が影となって映り難くすることができる。また、縦軸回りに回動自在な開閉体3を縦長にすることにより、開位置に配置された開閉体3と通気開口部20の両側面の間に形成される通気用の空間を大きくして十分な通気量を確保することもできる。
また、ドア1は、以下の構成を具備することが好ましい。開閉体3がドア本体2に対して縦軸回りに回動自在に設けられる。開閉体3に、開閉体3の回動中心から外れた位置に配置されて開閉体3が開方向に回動するときに前側に移動し開閉体3が閉方向に回動するときに後側に移動する連動部931が設けられる。ドア本体2にドア本体2の幅方向に移動可能でドア本体2の幅方向において連動部931と並べて配置される押圧体96が設けられる。付勢部材95がその付勢力をドア本体2の幅方向に生じさせて押圧体96を連動部931側に付勢するものである。押圧体96は連動部931側に臨む押圧面960を有する。押圧面960が、後方程連動部931と反対側に位置するように傾斜した第一面部961と、第一面部961の前側に位置して前方程連動部931と反対側に位置するように傾斜した第二面部962と、第一面部961と第二面部962を連続させる中間面部963とで構成される。開閉体3が開位置に配置されたときに連動部931が第二面部962によって前側に押圧されるようにする。開閉体3が所定開き角度まで閉じられたときに連動部931が中間面部963を乗り越えて第一面部961に至り、第一面部961によって後側に押し動かされて、開閉体3が閉位置まで回動されるようにする。このようにすることで、簡単な機構により、所定開き角度まで閉じられた開閉体3を閉位置まで回動させることができる。また、前述したように、付勢部材95としてドア本体2の幅方向に長いコイルばね等を利用した場合に、付勢部材95をドア本体2の厚みの範囲内に納めやすくなる。なお、本実施形態では、連動部931を開閉体3の回動中心よりも戸先側に配置したが、吊元側に配置してもよい。すなわち、この場合は、各軸受ユニット9が本実施形態のものと左右対称なものとなる。
また、中間面部963が押圧面960における前寄りの位置に形成されることが好ましい。このようにすることで、開位置に配置された開閉体3を閉方向に僅かに回動させるだけで、開閉体3を閉位置まで回動させることができる。
また、本実施形態の換気装置4は、通気開口部20に開閉体3が通気開口部20を閉じる閉位置と通気開口部20を開く開位置との間で回動自在に設けられている。開閉体3には、開閉体3の回動中心から外れた位置に配置されて開閉体3が開方向に回動するときに前側に移動し開閉体3が閉方向に回動するときに後側に移動する連動部931が設けられている。通気開口部20の開口縁部には、当該開口縁部に沿った方向に移動可能で開口縁部に沿った方向において連動部931と並べて配置される押圧体96が設けられている。また、押圧体960を連動部931側に付勢する付勢部材95が設けられている。押圧体960は連動部931側に臨む押圧面960を有している。押圧面960は、後方程連動部931と反対側に位置するように傾斜した第一面部961と、第一面部961の前側に位置して前方程連動部931と反対側に位置するように傾斜した第二面部962と、第一面部961と第二面部962を連続させる中間面部963とで構成されている。そして、開閉体3が開位置に配置されたときに連動部931が第二面部962によって前側に押圧される。また、開閉体3が閉じられるときに連動部931が付勢部材95の付勢力に抗し中間面部963を乗り越えて第一面部961に至り、第一面部961によって後側に押圧されて開閉体3が閉位置に配置される。この換気装置4は、簡単な機構により、開閉体3を閉位置まで回動させることができる。
また、換気装置4の開閉体3は、本実施形態のように縦軸回りに回動自在に設けられるものであることが好ましい。横軸回りに回動自在にする場合と比較して、開閉体3に埃やごみ等が付き難くなるからである。
また、換気装置4は、本実施形態のように、通気開口部20の開口縁部に設けられて、開閉体3の回動動作を緩衝するダンパー94を備えることが好ましい。
また、換気装置4は、本実施形態のように、付勢部材95が所定開き角度まで閉じられた開閉体3をこれに付勢力を付与して閉位置まで回動させるものであり、中間面部963が押圧面960における前寄りの位置に形成されることが好ましい。このようにすることで、開位置に配置された開閉体3を閉方向に僅かに回動させるだけで、開閉体3を閉位置まで回動させることができる。
なお、本実施形態では、開閉体3を、透光板30とパネル枠5で構成したが、図9や図10に示されるように、パネル枠5を省略し、開閉体3を透光板30で構成してもよい。すなわち、この場合は、透光板30の上下両端部に軸部510が設けられることとなる。図9、図10の例では、透光板30の水平断面形状が平行四辺形であり、開閉体3が開位置に配置されたとき、透光板30の戸先側の端面がドア本体2の前面と平行且つ面一になり、吊元側の端面がドア本体2の後面と平行且つ面一になるようにしてある。なお、図10の例では、図9の例と比較して、縁隠し材8の厚みが大きくなっており、ドア本体2の厚みの1/2を超えている。
また、本実施形態では、開閉体3を透光性を有する採光パネルで構成したが、例えば開閉体3は透光性を有さない部材であってもよい。また、本実施形態では、開閉体3をドア本体2の戸先側に設けたが、吊元側やドア本体2の幅方向中心部に設けてもよい。また、開閉体3は、その一部がドア本体2の厚み方向における外側に位置するものであってもよい。また、付勢部材95はコイルばね以外の弾性体であってもよい。また、ダンパー94もオイルダンパーやシリンダーダンパーに限られるものではなく、ロータリーダンパー等、従来から知られている他のダンパーを用いてもよい。
また、本実施形態では、本発明を開き戸に適用した例について説明したが、開き戸以外の他のドアにも適用可能である。前記他のドアとしては、引き戸(間仕切りとして用いられるものも含む)、クローゼットや押し入れ等の収納の前面に設けられる収納用建具等が挙げられる。また、本発明はドアに限られず、壁等の他の建材にも適用可能である。
また、換気装置4は通気開口部を備えた他の建材に設けてもよい。ここで、他の建材としては、引き戸(間仕切りとして利用されるものも含む)等の他のドアの他、クローゼットや押し入れ等の収納の前面に設けられる扉、壁等が挙げられる。
また、この他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更可能である。