以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態につき説明する。図2は本実施形態のドア1の正面図である。ドア1は、図示しないドア枠により構成された建物開口部に回動自在に設けられる開き戸であって、建物の内部を仕切る建具として用いられる。なお、以下では、ドア1の厚み方向を前後方向、幅方向を左右方向として説明する。
ドア1は、ドア本体2と採光パネル3を備えている。採光パネル3は、ドア本体2に形成された通気開口部20に設けられており、通気開口部20を開閉する。本実施形態では、ドア本体2の戸先側に縦長の通気開口部20がドア本体2の上下方向の略全長に亘るように上下に2つ並べて形成されており、各通気開口部20に縦長の採光パネル3が設けられている。このため、採光パネル3を選択的に開くことで、プライベート性を確保しながら通気ができるようになっている。なお、ドア本体2に設けられる採光パネル3の数は二枚に限られるものではなく、例えば、ドア本体2の上下方向の略全長に亘るように、一枚あるいは三枚以上設けてもよい。
採光パネル3は、図1(a)に示される閉位置から、図1(b)に示される開位置までの範囲で回動できるように、ドア本体2に縦軸回りに回動自在に取り付けられている。ここで、縦軸回りとは、採光パネル3の回動軸方向が縦方向(上下方向)であることを意味する。なお、以下の説明では、特に記載する場合を除き、図1(a)に示されるように、採光パネル3が通気開口部20を閉じる閉位置に配置されたときの方向を基準にして説明する。すなわち、採光パネル3の厚み方向を前後方向とし、採光パネル3の幅方向を左右方向として説明する。
採光パネル3は、通気開口部20と略同じ長さである。採光パネル3の厚みは、ドア本体2の厚みよりも小さく、採光パネル3の幅は、通気開口部20の幅よりもやや小さい。
図5に示されるように、採光パネル3は、透光性を有する縦長平板状の透光板4と、透光板4の四周を囲んで保持するパネル枠5とで構成されている。
透光板4はガラス板であり、詳しくは、合成樹脂膜を介して二枚の板ガラスを接着した合わせガラスである。このように透光板4を帯電性の低いガラス板とすることで、採光パネル3に埃やごみ等を付き難くすることができる。なお、透光板4は合わせガラスに限られず、一枚の板ガラスであってもよい。また、透光板4は、アクリル樹脂等のその他の透明な材料で形成されてもよい。透光板4は、縦長矩形状に形成されており、また、その水平断面形状は図1に示されるように矩形状である。
図5に示されるように、パネル枠5は、矩形状に枠組みされる、左右の縦枠材50及び上下の横枠材51で構成されている。採光パネル3の側縁部を構成する各縦枠材50は、金属製であって、例えばアルミニウム製である。縦長の各縦枠材50の長さは、透光板4の長さと略同じである。
各縦枠材50の水平断面形状は、上下方向に亘って一様であって、図1(a)に示されるように透光板4側に開口した溝状(略C字状)である。各縦枠材50は、溝奥部を構成する主部500と、主部500の前後両端部から透光板4側に突出した縁部501で構成されている。
各縦枠材50の他方の縦枠材50側の面である内側面には、他方の縦枠材50側に開口する縦溝部502が上下方向に亘って形成されている。縦溝部502は、溝奥部が主部500の他方の縦枠材50側の面で構成され、溝側面が両縁部501の対向面で構成されている。縦溝部502に透光板4の側端部を嵌め込むことで、縦枠材50は透光板4に嵌め付けられる。
各縦枠材50の主部500の厚み(前後寸法)は、透光板4側から離れる程小さくなっている。主部500の表面部となる前面部及び後面部は、透光板4側から離れる程互いに近づくように傾斜した傾斜面部503となっている。各縦枠材50の前後の縁部501の表面部分504は、縦溝部502の溝幅方向に対して直交している。
各縦枠材50を透光板4に嵌め付けたとき、各縦枠材50の前後の縁部501の表面部分504は、透光板4の両面と平行になる。採光パネル3が図1(b)に示される開位置に配置されたとき、採光パネル3は、ドア本体2の幅方向に対して傾斜する。このとき、戸先側の縦枠材50の前側の傾斜面部503は、ドア本体2の前面と平行且つ面一になる。また、吊元側の縦枠材50の後側の傾斜面部503がドア本体2の後面と平行且つ面一になる。
各縦枠材50の上端部及び下端部には、ビスねじ込み部が形成されている。本実施形態では、縦溝部502の溝奥面に水平断面C字状のビスポケット505が上下方向に亘って形成されており、ビスポケット505の上下両端部でビスねじ込み部が構成されている。
図5に示されるように、横長の横枠材51は、両縦枠材50の上端部間及び下端部間に架け渡される。各横枠材51の長さ方向の両端部には、上下に貫通するビス用孔(不図示)が形成されている。各横枠材51には、透光板4側に開口する横溝部(不図示)が左右方向に亘って形成されている。
各横枠材51は、横溝部に透光板4の長手方向の端部を嵌め込むことで、透光板4に嵌め付けられる。各横枠材51は、このように透光板4に嵌め付けられた状態で、各ビス用孔にビス52を通し、これらビス52を縦枠材50のビスねじ込み部にねじ込むことで、両縦枠材50に取り付けられる。つまり、透光板4は、左右両端部がパネル枠5の縦溝部502に嵌め込まれ、上下両端部がパネル枠5の横溝部に嵌め込まれ、左右の縦枠材50で挟まれ且つ上下の横枠材51で挟まれることで、パネル枠5に保持される。
上下の横枠材51の透光板4と反対側の外面における横枠材51の長手方向の中間部には、透光板4と反対側に突出した軸部510が形成されている。採光パネル3の回動軸となる軸部510の軸心は、透光板4の水平断面における中心を通る中心線と一致している。採光パネル3は、上下の軸部510が通気開口部20の上下に設けられた軸受部で回動自在に支持されることで、ドア本体2に対して縦軸回りに回動自在に取り付けられる。
ドア本体2は、図4に示される、左右のドア材6と、両ドア材6を連結する連結材7とで構成されている。
両ドア材6は縦長の矩形板状である。戸先側のドア材6は、ドア本体2の戸先側の端部を構成している。吊元側のドア材6は、戸先側のドア材6よりも幅が広く、ドア本体2の戸先側部分を除く過半部を構成している。
両ドア材6は、互いの上端部、下端部、及び中間部が横長棒状の連結材7によって連結される。これにより、ドア本体2に、縦長矩形状の通気開口部20(図2参照)が2つ形成される。以下、特に区別する場合には、上側の連結材7、下側の連結材7、及びその間の連結材7を夫々、上連結材70、下連結材71、及び中間連結材72と記載する。
上側の通気開口部20は、上連結材70、中間連結材72、及び左右のドア材6の上部で囲まれている。下側の通気開口部20は、中間連結材72、下連結材71、及び左右のドア材6の下部で囲まれている。
両ドア材6は、いわゆるフラッシュ構造を有するパネル材であって、図1に示されるように芯材64の表面を表面材65で被覆したものである。芯材64は木製であり、矩形状の枠体で構成されている。表面材65は、板材650の表面に合成樹脂製で木目模様が施された化粧シート651を積層し、板材650の裏面に折曲溝を形成することで折曲可能にしたものが用いられる。なお、ドア材6は、水平断面矩形状の板を芯材としたものや、無垢材等であってもよい。
図5に示されるように、各ドア材6の上下両端面には、他方のドア材6側に開口する嵌込溝部62が形成されている。嵌込溝部62は、図3に示されるように、上連結材70や下連結材71を嵌め込む部分となる。
各ドア材6の他方のドア材6側の側面には、縦長の凹溝部63(図1参照)が形成されている。各凹溝部63は、ドア材6の嵌込溝部62が形成された上下両端部を除く部分に亘って形成されており、ドア材6の厚み方向における中間部に形成されている。
図5に示される中間連結材72は、無垢材、あるいは、ドア材6と同様のパネル材等で構成される。中間連結材72の両側端面の上下には、ダボ720が設けられている。中間連結材72の両側端部は凹溝部63の長さ方向の中間部に形成された幅広の凹所630に嵌め込まれ、中間連結材72の各ダボ720は、対応する凹所630の奥部に形成された穴(不図示)に嵌め込まれる。これにより、両ドア材6の上下方向の中間部が中間連結材72によって連結される。
図1(a)に示されるように、各通気開口部20の両側面には、縁隠し材8が取り付けられる。各縁隠し材8は通気開口部20の上下方向の全長に亘る。各縁隠し材8は合成樹脂製であり、その表面には木目模様が施されている。なお、各縁隠し材8は、合成樹脂製に限られず、例えば木製であってもよい。
各縁隠し材8の水平断面形状は、上下方向に亘って一様である。各縁隠し材8は、幅方向の一端部を凹溝部63に嵌め込んで接着することにより、ドア材6に取り付けられる。各縁隠し材8は、その厚みが採光パネル3(パネル枠5)の厚みと略同じで且つドア本体2(ドア材6)の厚みよりも小さく、ドア本体2の厚みの範囲内に収めて設けられる。このようにすることで、通気開口部20を開いたときに縁隠し材8を小さくして通気の邪魔になり難くすることができる。なお、各縁隠し材8の厚みは、十分な通気量を確保するため、ドア本体2の厚みの1/2以下とすることが好ましい。各通気開口部20の両側の縁隠し材8は、ドア本体2の厚み方向における中間部に位置し、互いに対向する。
各縁隠し材8の凹溝部63と反対側の部分は、通気開口部20の側面から通気開口部20の幅方向内側に向かって突出する。各縁隠し材8には、採光パネル3側に突出した突出部80が形成されている。各通気開口部20の両側の縁隠し材8のうち、戸先側の縁隠し材8の突出部80は、縁隠し材8の後部から採光パネル3側に突出している。他方、吊元側の縁隠し材8の突出部80は、縁隠し材8の前部から採光パネル3側に突出している。
図1(a)に示されるように、閉位置に配置された採光パネル3は、ドア本体2の幅方向(ドア材6の幅方向)と平行になる。このとき、両縦枠材50は、対応する縁隠し材8の突出部80の突端部と前後方向から見て重なる。これにより、通気開口部20の戸先側の側面と採光パネル3の間の隙間は、戸先側の縁隠し材8によって塞がれ、通気開口部20の吊元側の側面と採光パネル3の間の隙間は、吊元側の縁隠し材8によって塞がれる。
各通気開口部20の両側の縁隠し材8のうち、戸先側の縁隠し材8の突出部80の前面は、吊元側に行く程後方に位置するように傾斜した斜面部81になっている。また、吊元側の縁隠し材8の突出部80の後面は、戸先側に行く程前方に位置するように傾斜した斜面部81になっている。
図1(a)に示されるように、閉位置に採光パネル3が配置されたとき、戸先側の縦枠材50の後側の傾斜面部503は、戸先側の縁隠し材8の斜面部81と略平行になり、同斜面部81に対向して面接触する。また、吊元側の縦枠材50の前側の傾斜面部503は、吊元側の縁隠し材8の斜面部81と略平行になり、同斜面部81に対向して面接触する。このため、採光パネル3を閉位置に配置したときに採光パネル3と縁隠し材8の密着性を高め、通気を確実に遮断することが可能になる。
図5に示されるように、中間連結材72の上面及び下面の夫々の中央部には、挿入穴721が形成されている。上下の採光パネル3のうちの上側の採光パネル3は、下側の軸部510が中間連結材72の上面に形成された挿入穴721に挿入されて回動自在に支持される。また、図示は省略するが、下側の採光パネル3は、中間連結材72の下面に形成された挿入穴に挿入されて回動自在に支持される。すなわち、本実施形態では、中間連結材72の上下の挿入穴721が、採光パネル3の中間連結材72側の軸部510を受ける軸受部になる。
上連結材70及び下連結材71は、左右に長いフレーム材73の外面部を、化粧シート材74で被覆したものである。フレーム材73は、垂直断面形状が略矩形枠状であって、金属製であり、例えばアルミニウム製である。化粧シート材74は合成樹脂製であり、その表面には、木目模様が施されている。
上連結材70及び下連結材71の夫々のフレーム材73には、図4に示される軸受ユニット9が内装される。上側の採光パネル3の上側の軸部510は、上連結材70に設けられた軸受ユニット9に回動自在に支持される。下側の採光パネル3の下側の軸部510は、下連結材71に設けられた軸受ユニット9に回動自在に支持される。
両軸受ユニット9は、上下対称である。図6及び図7には、上連結材70に設けられる軸受ユニット9が図示されている。
各軸受ユニット9は、ケーシング90、アーム93、ダンパー94、付勢部材95、押圧体96、及び可動体97を有している。アーム93、ダンパー94、付勢部材95、押圧体96、及び可動体97は、ケーシング90に内装されている。
ケーシング90は、左右に長い矩形箱状に形成されている。ケーシング90は、採光パネル3側の面部を構成する板状のベース91と、採光パネル3側に開口した箱状でベース91に被せ付けられるカバー92とで構成されている。
図7に示されるように、ベース91の内面には、略扇状の凹部911が形成されている。凹部911の内周面の一部は、水平断面形状が戸先側に開いた略V字状となる回動規制面912になっている。凹部911の底部における吊元側の端部(略V字状の回動規制面912の角部側の端部)には、ベース91を上下に貫通する挿通孔910が形成されている。図示は省略するが、上側の採光パネル3の上側の軸部510は、上連結材70の下面部を通して上連結材70内の軸受ユニット9の挿通孔910に挿通され、当該軸受ユニット9の凹部911内に突出する。これにより、当該軸部510は、上側の軸受ユニット9により回動自在に支持される。また、下側の採光パネル3の下側の軸部510は、下連結材71の上面部を通して軸受ユニット9の挿通孔910に挿通され、当該軸受ユニット9の凹部911内に突出する。これにより、当該軸部510は、下側の軸受ユニット9により回動自在に支持される。すなわち、本実施形態では、各軸受ユニット9の挿通孔910が、採光パネル3の中間連結材72と反対側の軸部510を受ける軸受部になる。
凹部911には、アーム93が配置される。アーム93の一端部には、連結孔930が形成されている。連結孔930には、採光パネル3の中間連結材72と反対側の軸部510が挿入され、当該軸部510はアーム93に対して固定される。これにより、アーム93は、採光パネル3の軸部510と共に回動する。
アーム93の回動範囲は、凹部911の回動規制面912によって、採光パネル3がドア本体2の厚みの範囲内に収まるように規制される。つまり、本実施形態では、軸受ユニット9の回動規制面912が、採光パネル3の回動範囲を規制する回動規制手段を構成している。
採光パネル3が閉位置に配置されたとき、アーム93は、図8(a)に示されるように回動規制面912の後側の面に当接し、後側に回動不能になる。このように閉位置に配置された採光パネル3は、図1(a)に示されるようにドア本体2の厚み方向の中心部に配置される。また、採光パネル3が開位置に配置されたとき、アーム93は、図8(c)に示されるように回動規制面912の前側の面に当接し、前側に回動不能になる。このように開位置に配置された採光パネル3は、図1(b)に示されるように、ドア本体2の厚み方向の両端に位置する傾斜面部503が、ドア本体2の前面又は後面と前後方向において同位置に配置され、この場合もドア本体2の厚みの範囲内に収まる。
図7に示されるように、アーム93の連結孔930と反対側の端部には、採光パネル3と反対側に突出する連動部931が設けられている。連動部931は、採光パネル3の回動中心よりも戸先側にずれた位置に配置される。連動部931は円筒状に形成されており、水平断面円形の外周面を有している。連動部931は、採光パネル3が縦軸回りに回動したとき、軸部510を中心にしてアーム93と共に縦軸回りに回動する。具体的には、採光パネル3が開方向に回動するときに前側に移動し、採光パネル3が閉方向に回動するときに後側に移動する。
図8に示されるように、付勢部材95は、連動部931の戸先側に配置されている。付勢部材95は、左右に長く伸縮方向が左右方向と平行になるコイルばねで構成されている。
付勢部材95の吊元側端部には、押圧体96が取り付けられている。押圧体96は、連動部931と左右方向において並べて配置される。押圧体96は、左右方向に移動自在である。付勢部材95は戸先側がカバー92によって支持され、押圧体96を常時吊元側(連動部931側)にばね付勢する。
押圧体96の吊元側の面は、連動部931を押圧する押圧面960となっている。押圧面960は、第一面部961と第一面部961よりも前側の第二面部962とを有している。第一面部961は、後方程戸先側に位置するように傾斜している。第二面部962は、前方程戸先側に位置するように傾斜している。
押圧面960は、さらに、中間面部963を有している。中間面部963は、水平断面形状が吊元側に凸となる弧状であり、第一面部961と第二面部962を連続させる。第一面部961は、第二面部962よりも前後方向の長さが長く、中間面部963は、第一面部961、第二面部962、及び中間面部963で構成された押圧面960において前寄りの位置に形成されている。
採光パネル3が閉位置に配置された状態では、図8(a)に示されるように、アーム93の連動部931が第一面部961の後端部に当接する位置に配置される。この連動部931は、付勢部材95により付勢された押圧体96の第一面部961によって後側に押圧される。このため、アーム93は、回動規制面912の後側の面に押し付けられ、採光パネル3は閉位置で保持される。
利用者が、閉位置に配置された採光パネル3を開き方向(平面視左回り)に回動させると、アーム93は軸部510を中心にして前側に回動する。これに伴い、連動部931は押圧体96を付勢部材95の付勢力に抗して戸先側に押し込みながら前側に移動し、押圧体96の中間面部963を乗り越える。そして採光パネル3が開位置に配置された時点で、連動部931は図8(c)に示されるように第二面部962に当接する位置に配置される。このように採光パネル3が開位置に配置された状態では、連動部931が付勢部材95により吊元側に付勢された押圧体96の第二面部962によって前側に押圧される。このため、アーム93は回動規制面912の前側の面に押し付けられ、採光パネル3は開位置で保持された状態となる。
利用者が開位置に配置された採光パネル3を閉じ方向(平面視右回り)に回動させると、アーム93は軸部510を中心にして後側に回動する。これに伴い、連動部931は押圧体96を付勢部材95の付勢力に抗して戸先側に押し込みながら後側に移動し、押圧体96の中間面部963を乗り越える。そして、採光パネル3が所定開き角度まで閉じられた時点で、連動部931は第一面部961の前端部に当接する位置に至る。このように連動部931が第一面部961の前端部に当接する位置に配置されると、付勢部材95によって吊元側に付勢された押圧体96の第一面部961によって連動部931が後側に押し動かされ、アーム93は軸部510を中心に後側に回動する。この付勢部材95によるアーム93の回動は、連動部931が第一面部961の後端部に至ってアーム93が回動規制面912の後側の面に当接するまで、すなわち、採光パネル3が閉位置に配置されるまで行われる。つまり、所定開き角度まで閉じられた採光パネル3は、付勢部材95の付勢力によって閉位置まで自動的に回動する。
ここで、押圧体96、及び連動部931が設けられたアーム93は、付勢部材95のドア本体2の幅方向と平行な付勢力の向きを採光パネル3の回動方向の成分を含む向きに変換した上で、付勢部材95の付勢力を採光パネル3に伝える付勢力伝達手段を構成する。このため、本実施形態のように付勢部材95としてドア本体2の幅方向に長いコイルばね等を利用した場合に、付勢部材95をドア本体2(連結材7)の厚みの範囲内に収めやすくなるといった利点がある。
ダンパー94は、連動部931の吊元側に配置されている。ダンパー94は、伸縮式のシリンダーダンパーであり、詳しくはピストン940がシリンダー941側に押し込まれる方向に移動するときに減衰力を作用させ、且つ自動で原点に復帰する自動復帰機能を備えたワンウェイ式のオイルダンパーある。
ダンパー94は、ピストン940を戸先側に向けて配置される。ピストン940の先端部には、可動体97が取り付けられている。可動体97は、連動部931と左右方向において並べて配置される。可動体97の戸先側の面は、連動部931が当接する当接面970となっている。当接面970は、前方程吊元側に位置するように傾斜している。
採光パネル3が開位置に配置された状態では、図8(c)に示されるように、ダンパー94が伸長し、連動部931が可動体97の当接面970の前側に配置される。利用者が、開位置に配置された採光パネル3を閉位置まで回動させると、アーム93の回動に伴って連動部931が可動体97を吊元側に押し込みながら当接面970の後側に移動する。このとき、可動体97と共に吊元側に移動するピストン940に対して減衰力が作用し、これにより採光パネル3の閉方向の回動動作が緩衝される。また、利用者が採光パネル3を開位置まで回動させると、アーム93の回動に伴って連動部931が前側に移動し、この際、可動体97はダンパー94の復帰力によって連動部931に追従して戸先側に移動し、図8(c)に示す状態となる。
ここで、連動部931が設けられたアーム93及び可動体97は、採光パネル3の回動動作をピストン940のドア本体2の幅方向と平行な動作に変換する動作変換手段を構成している。このため、本実施形態のようにダンパー94としてドア本体2の幅方向に長いシリンダーダンパーを利用して、ダンパー94をドア本体2(連結材7)の厚みの範囲内に収めやすくなるといった利点がある。
ドア本体2の上連結材70及び下連結材71は、図3に示されるように、左右両端部が対応するドア材6の嵌込溝部62に嵌め込まれてねじ止めされる。これら上連結材70及び下連結材71の採光パネル3と反対側の面は、両側のドア材6の上面や下面と略面一になる。
図2に示されるように、戸先側のドア材6には、取手としてレバーハンドル10(レバー型ドアノブ)が取り付けられる。レバーハンドル10は、ドア本体2の上下方向において両通気開口部20の境界部となる中間連結材72と同じ位置に設けられている。レバーハンドル10は、非使用時において吊元側に突出してドア1の幅方向と平行になるレバー部100を有している。非使用時におけるレバー部100は、その先部が前後方向において中間連結材72と重なる位置に配置される。
以上説明した本実施形態のドア1は、ドア本体2の厚み方向に貫通する縦長の通気開口部20が設けられ、縦長で透光性を有する採光パネル3が通気開口部20を閉じる閉位置と通気開口部20を開く開位置との間で縦軸回りに回動自在に設けられる。また、通気開口部20及び採光パネル3がドア本体2の戸先側に設けられる。このドア1は、採光パネル3を透して、部屋に光をとり入れることができる。また、利用者は、採光パネル3を開位置に配置することで通気開口部20を通して部屋の換気を行い、採光パネル3を閉位置に配置することで通気開口部20を塞ぐことができる。すなわち、本実施形態のドア1は、透光性を有する採光パネル3を通気開口部20を開閉する部材として用いることにより、通気機能と採光機能の両者を有することができる。このため、通気機能と採光機能の両機能を確保しながら、ドア1の外観をシンプルにすることができ、また、ドア1の構造を簡単にすることができる。
また、採光パネル3を縦軸回りに回動自在にすることで、横軸回りに回動自在にする場合と比較して、採光パネル3に埃やごみ等が付き難くなる。また、これにより採光パネル3を透して部屋に光を取り入れるときに、採光パネル3に積もった埃やごみ等が影となって映り難くなる。また、縦軸回りに回動自在な採光パネル3を縦長にすることにより、開位置に配置された採光パネル3と通気開口部20の両側面の間に形成される通気用の空間を大きくして十分な通気量を確保することもできる。
また、利用者がドア1を開閉するにあたってドア本体1の戸先側を操作する際、及び利用者が採光パネル3を開閉する際に、当該利用者から採光パネル3を通してドア1の裏側に居る人を視認しやすくなる。従って、利用者がドア1を開閉する際や、採光パネル3を開閉する際に、不意にドア1が開かれて利用者に接触するといった事態を生じ難くすることができ、安全性を高めることができる。また、採光パネル3を、ドア1の戸先側を操作する利用者にとって操作しやすい位置に配置できるといった利点もある。
また、ドア1は、本実施形態のように、通気開口部20がドア本体2の上下方向に複数設けられ、これら通気開口部20の夫々に採光パネル3が設けられることが好ましい。このようにすると、上下長さが短く撓みにくい採光パネル3を利用して、ドア本体2に上下に長い採光部分を設けることができる。また、この場合、ドア本体2に取手としてレバーハンドル10が設けられ、ドア本体2において上下に隣り合う通気開口部20の間の部分(中間連結材72)が、正面視でレバーハンドル10と重なる位置に設けられることが好ましい。このようにすると、ドア1を正面から見た場合に、隣り合う通気開口部20の間の部分がレバー部100の先部の後側に位置する。従って、レバーハンドル10のレバー部100で採光パネル3が隠れ難くなり、採光パネル3から光を十分量とり入れることが可能になる。
本実施形態では、採光パネル3を、透光板4とパネル枠5で構成したが、図9や図10に示されるように、パネル枠5を省略し、採光パネル3を透光板4で構成してもよい。すなわち、この場合は、透光板4の上下両端部に軸部510が設けられることとなる。図9、図10の例では、透光板4の水平断面形状が平行四辺形であり、採光パネル3が開位置に配置されたとき、透光板4の戸先側の端面がドア本体2の前面と平行且つ面一になり、吊元側の端面がドア本体2の後面と平行且つ面一になるようにしてある。なお、図10の例では、図9の例と比較して、縁隠し材8の厚みが大きくなっており、ドア本体2の厚みの1/2を超えている。
また、採光パネル3は、その一部がドア本体2の厚み方向における外側に位置するものであってもよい。また、付勢部材95はコイルばね以外の弾性体であってもよい。また、ダンパー94もオイルダンパーやシリンダーダンパーに限られるものではなく、ロータリーダンパー等、従来から知られている他のダンパーを用いてもよい。
この他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更可能である。