JP3725583B2 - 綾巻きボビンを製造するための繊維機械のための結糸装置 - Google Patents

綾巻きボビンを製造するための繊維機械のための結糸装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は綾巻きボビンを製造するための繊維機械のための結糸装置であって、普通の糸道の外側に配置され、糸端を空気力で結合するスプライシング装置と、該スプライシング装置の範囲に配置されたクランプ兼切断装置、スプライシングしようとする糸端部を給糸する、吸込み空気で負荷された給糸装置、並びに糸端をスプライシング装置へ送入する手段を有している形式のものに関する。
【0002】
【従来技術】
自動綾巻き機の作業個所に通常は定置的に配置され、空気力で働く前記の結糸装置は数多くの公開文献、例えばDE3637033A1又はDE4005752A1号明細書によって公知である。さらにSchlafhorst社のハンドブック「AUTOCONER238」においても、前記形式の結糸装置の構造と機能とについては詳細に記述されている。
【0003】
このような装置においては糸切れ又は繰出しボビン交換に際して、当該巻取り個所の巻取り個所計算機を介して、結糸及び/又はコップ交換自動装置が作動される。つまり、まず吸込みノズルが巻取り方向に抗してゆっくりと回転する巻取りボビンの表面に接触させられる。上糸端部を掴んだあとで吸込みノズルは出発位置へ戻り旋回させられる。この出発位置においては吸込みノズル開口はスプラインシング装置の下側に位置せしめられる。この場合には巻取りボビンと吸込みノズルとの間を延びる糸は結糸装置の上側に配置された電子的なクリーナ、この範囲に位置決めされたクランプ兼切断装置内を糸案内薄板と糸案内U字形部材との適当な案内輪郭によって案内され、スプライシング装置の下側にある切断装置のシャー半分内へ引込まれる。この給糸の間、上糸はさらに、スプライシング装置の上側に位置決めされた糸掴みフックの背部を滑動し、その際に、開放された上方の糸クランプの範囲に達する。
【0004】
ほぼ吸込みノズルと同時に、下方の出発位置に位置決めされたグリッパ管は上方の作業位置へもたらされ、この際にそれまで糸テンショナに保持されていた、繰出しボビンから引出された下糸を連行する。グリッパ管が上方の作業位置へ旋回する場合に、同様に適当な糸案内輪郭に沿って案内された下糸は開放された下方の糸クランプ、開放された上方の切断装置並びに糸掴みフックのフォーク状の切欠き内に滑動する。
【0005】
内方へ旋回する糸掴みフックは上糸及び下糸を空気力式のスプライシング装置のプリズムの底に給糸する。さらにこの場合には上糸は上方の糸クランプ内へ引込まれる。上方もしくは下方の糸クランプに固定された糸端は所属の切断装置において正しい長さに切断され、いわゆる解撚小管において、後続のスプライシングのために準備される。準備された糸端は特殊な糸引込み器によってプリズムのスプライシング通路内に搬送されかつ平行に位置する糸端は空気力で互いにからませられる。
【0006】
巻取り個所が再び運転させられる間に糸掴みフックは規定されて出発位置へ戻り、その際ゆっくりと、スプライシングされた糸を解放する。
【0007】
前述の装置は実地においては評価されている。すなわち、このような装置によってはきわめて良好なスプライシング結合が達成される。しかしこのような装置は構成的に比較的に多大の費用がかかるという欠点を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記形式の結糸装置から出発して、本発明の課題は、このような装置をさらに改良することである。
【0009】
【課題を解決する手段】
この課題は本発明によれば請求項1に記載した装置によって解決された。
【0010】
本発明の有利な実施態様は請求項2以下に記述されている。
【0011】
本発明によるグリッパ管の構成並びに糸道におけるグリッパ管の特殊な配置は、グリッパ管が上方の作業位置へ旋回する場合に、すなわち下糸を給糸する場合に、連行手段、有利には給糸フックの形をした連行部材を介して上糸も連行され、スプライシング装置もしくは所属の糸処理装置内に位置決めされるという利点を有している。この場合には特殊な糸掴みフックの使用と所属の制御及び駆動装置は回避される。
【0012】
別の構成ではグリッパ管は端部側に配置された、旋回可能に支承された、ばね負荷されたグリッパ管フラップを有し、このグリッパ管フラップが給糸フックを備えている。グリッパ管の開口範囲を閉鎖する、旋回可能に支承された、ばね負荷されたグリッパ管フラップに基づき、これまでグリッパ管を開く場合に使用されていた、グリッパ管の吸込み接続部における空気スライダ絞り並びに絞りを制御するために必要な作動メカニズムは不要になる。
【0013】
有利な実施態様においてはグリッパ管フラップはそのフロント側に、グリッパ管から軸方向に突出する給糸フックを有している。この給糸フックはグリッパ管が零位置と呼ばれる出発位置からスプライシング装置の上側にある作業位置に旋回した場合に上糸の糸道と交差し、その際に上糸を確実にかつ損傷しないように連行する。
【0014】
本発明の別の構成では、グリッパ管フラップは旋回軸と給糸フックとの間に配置された糸案内装置を有している。この糸案内装置は主として、フラップの旋回方向でグリッパ管フラップを越えて突出する突起状の付加部とこの付加部に続く背部側の糸案内輪郭とから構成されている。この場合、糸案内装置の有利な構成は、補助グリッパにより糸テンショナの範囲に給糸され、円形マガジンの吸込みノズルと繰出し位置にある紡績コップとの間を延びる下糸の確実な連行も、グリッパ管が上方の作業位置へ走入した場合のコントロールされた糸の分離も保証する。さらにこの場合には背部の高められた糸案内輪郭は、切断された糸端が誤って同時に円形マガジンの吸込みノズルに発生する吸込み流とグリッパ管における吸込み力によって捉えられることを阻止する。
【0015】
有利な実施態様においてはグリッパ管フラップの旋回軸の範囲にばね部材が配置され、このばね部材がフラップを「グリッパ管開口閉鎖」方向に負荷している。このばね部材は比較的にやわらかいばね特性を有しているので、グリッパ管フラップが確実に閉じられた状態に保たれるが、上方の作業位置の範囲に配置されたストッパに当接した場合には軽く開放される。このような形式で、上糸と下糸はグリッパ管の上方の作業位置で確実に分離される。
【0016】
グリッパ管フラップの旋回、すなわち部分的な開放は有利にはグリッパ管の上方の作業位置の範囲に配置されたばね負荷されたストッパを介して行なわれると有利である。このストッパはフランジ状に構成された支持部材を有し、この支持部材に、グリッパ管がストッパに達する前にグリッパ管フラップが当接縁で当接する。有利な実施例においてはストッパのばね部材はグリッパ管フラップとグリッパ管との間に接続されたばね部材よりも硬いばね特性を有している。このような構成はグリッパ管フラップがストッパの支持部材に当接すると即座にグリッパ管フラップの旋回、ひいては糸を分離させること及び下糸をぴんと張ることが行なわれるという利点を有する。さらにストッパばね部材の比較的に硬いばね特性線はグリッパ管がストッパに当接した場合に、グリッパ管の駆動と関連して発生するすべての遊びが減少され、グリッパ管が常に正確に所定の終端位置へもたらされるという利点を有する。
【0017】
本発明の別の構成によれば、普通の糸切れの場合にグリッパ管が旋回するグリッパ管の糸引渡し位置には定置の制御溝が配置されている。この定置の制御溝はグリッパ管フラップにおける制御突起と協働する。したがって糸引渡し位置の範囲ではグリッパ管フラップはグリッパ管の開口から離反旋回させられ、吸込み開高が開放される。次いでグリッパ管開口において発生する吸込み流は、この時点まで糸テンショナに保持されていた下糸を捉える。グリッパ管が上方の作業位置へ戻り旋回する場合に制御突起は制御溝から滑り、ばね負荷されたグリッパ管フラップは再び確実に閉じる。グリッパ管フラップの迅速な閉鎖は強情な糸を加工する場合に特に有利である。何故ならばこのような糸は空気力ではしばしば困難を伴ってしか固定できないからである。しかしながら閉鎖するグリッパ管フラップによっては糸はクランプされ、これによって確実に機械的に保持される。
【0018】
択一的な実施態様においては給糸フックはグリッパ管に直接的に配置され、グリッパ管フラップにおけるスリット状の開口を貫通する。このような構成はグリッパ管の下方の作業位置、すなわち糸受取り位置において、開放旋回するグリッパ管フラップが給糸フックを完全に擦過し、その際に給糸フックを自動的に、場合によっては生じる糸ループ又は他の付着する糸残留物から解放するという利点を有する。このような糸ループはスプライシングが成功しないとき又はスプライシング過程あとで糸切れが生じたときに形成されかつ給糸フックに付着する。
【0019】
【実施例】
図1には綾巻きボビンを製造する繊維機械の断面が示されている。この実施例では綾巻き機1が図示されている。
【0020】
このような巻取り機は、周知のように、並べて配置された多数の巻取り個所2を有している。この巻取り個所2においてはそれぞれ、比較的に小さい糸量を有する複数の紡績コップが順次、後続する作業過程において必要とされる、著しく糸量の大きな綾巻きボビンに巻き換えられる。
【0021】
図示の如く、有利にはリング紡績機で形成されたコップ5は巻き換え過程の間、巻取り個所2の差嵌めマンドレル3の上に位置決めされる。差嵌めマンドレル3はヒンジ4を中心として旋回可能に支承されている。繰出しボビン5から引出された糸はまず、引出し加速器7と前クリーナ8と糸テンショナ9とを通過する。そのあとで糸6は通常の糸道に対していくらか後退させられた結糸装置10に達する。この結糸装置10は上方のクランプ兼切断装置11と下方のクランプ兼切断装置17とを有している。糸6はさらに、結糸装置10の上側に配置された電子的なクリーナ12と該クリーナ12に配属されたクランプ兼切断装置13を通過する。このクランプ兼切断装置13はクリーナ12と作用的に結合されている。クリーナ12を通過したあとで糸6は巻取り装置に達する。この巻取り装置において糸は綾巻きボビン15に巻かれる。この場合、綾巻きボビン15は巻取りフレーム6に保持され、溝付きドラム14により摩擦接続で駆動される。
【0022】
図1に示されているように、巻取り機1はほぼ機械長さの吸込み通路20を有している。この吸込み通路20は機械端部側で(図示されていない)分離室に開口している。通常のごとく、同様に図示されていない負圧源に接続された分離室においては塵と糸残留物とが分離される。
【0023】
各巻取り個所2においては吸込み空気接続部21を介して吸込みノズル29が、かつ吸込み空気接続部24を介してグリッパ管25が吸込み通路20に接続されている。この場合、吸込みノズル29は旋回点31を中心として、かつグリッパ管25は旋回点26を中心として制限されて旋回可能に支承されている。グリッパ管25は自由端部にグリッパ管フラップ18を有している。このグリッパ管フラップ18については図2と図5とに基づきあとで詳細に説明する。
【0024】
図1に示された綾巻き機1はいわゆる円形マガジン機である。すなわち、各巻取り個所2においては全体として符号36で示された繰出しボビン交換装置が配置されている。この繰出しボビン交換装置はリザーブコップ38を設置するために複数の設置場所、有利には6つの設置場所を有する円形マガジン37を有している。この実施例では円形マガジン37において設置させられた2つのリザーブコップ38が示されており、これらのリザーブコップ38の糸端39は円形マガジン37の中央の吸込みノズル40に保持されている。この吸込みノズル40は吸込み管41を介して同様に中央の吸込み通路20に接続されている。図1に示されているように吸込み管41は同時に、回転可能に配置された円形マガジン37のための回転軸及び支承部42として用いられる。円形マガジン37の下側にはいわゆるコップシュート43が示されている。このコップシュート43は当該コップの設置場所が引渡し位置44に回され、その際にマガジン底における、図示されていない開口が解放されると、コップを受容する。次いでセンタリングフラップ45の助けでコップは受容位置に旋回させられた差嵌めマンドレル3の上へ導かれる。
【0025】
さらにコップシュート43の範囲には補助グリッパ46が固定されている。この補助グリッパは円弧47によって示したように糸テンショナ9の方向に旋回可能である。補助グリッパ46は、コップ交換後、円形マガジンの吸込みノズル40と差嵌めマンドレル3の上に位置せしめられた巻取りコップ5との間を延びる下糸を糸テンショナ9の作用範囲に給糸する。
【0026】
特に第2図と第5図とに示すようにグリッパ管25は端部側にグリッパ管フラップ18を有している。このグリッパ管フラップ18は旋回軸19を中心として、制限されて回転可能である。旋回軸19の範囲ではグリッパ管25とグリッパ管フラップ18との間にばね部材53が接続されている。このばね部材はグリッパ管フラップ18を「グリッパ管開口閉鎖」方向に負荷する。グリッパ管フラップ18はそのフロントプレート65に、前方へ突出する1つの給糸フック23と旋回軸19との間に糸案内装置54を有している。糸案内装置54はフラップ旋回方向Sに突出する、突起状の付加部61とこれに接続する、背部側の高められた糸案内輪郭57とから成っている。
【0027】
さらにグリッパ管フラップ18は制御突起62を有し、この制御突起62はグリッパ管25の糸引渡しステーションIIIの範囲に定位置に配置された制御溝63と関連して、グリッパ管フラップ18の規定された開放を保証する。背面側の当接縁55を介してグリッパ管フラップ18はグリッパ管25の上方の作業位置IIの範囲においても規定されて開放される。この場合、当接縁55はこの範囲に配置された、ばね負荷されたストッパ33の、フランジ状に構成された支持部材56に当接する。
【0028】
選択的な、特に有利である実施例は図6と図7とに示されている。グリッパ管25はこの場合には直接的に給糸フック23を備えている。すなわち、給糸フック23は固定的に又は軸方向に移動可能にグリッパ管25に配置されている。
【0029】
この実施例の場合にもグリッパ管25は旋回軸19を中心として制限されて旋回可能に支承されたグリッパ管フラップ18を有している。このグリッパ管フラップ18はばね部材53を介して負荷され、通常はフロントプレート65でグリッパ管開口27を閉鎖する。しかしながらグリッパ管フラップ18は付加的にスリット状の開口30を有しており、この開口30を給糸フック23が貫通している。グリッパ管フラップ18には先の実施例の場合のように制御突起62が配置され、この制御突起62によってグリッパ管フラップ18は糸受取り位置IIIに配置された制御溝63に当接した場合に矢印58の方向に旋回させられる。この場合、前方へ旋回するグリッパ管フラップ18は自動的に給糸フック23を場合によって生じる糸ループ又はそれに類似したものから解放する。
【0030】
装置の作用形式
ブローボンベ48内で差嵌めマンドレル3の上に位置決めされた紡績コップ5からの糸繰出しが終るか糸切れのあとで下糸が存在していないと、すなわち電子的なクリーナ12において動的及び静的な糸信号が発生しないと、当該巻取り個所2の巻取り個所計算機64を介してコップ交換が開始させられる。これは、まず吸込みノズル29が巻取り方向とは反対にゆっくりと回転する綾巻きボビン15の近くにもたらされかつ上糸51が受容される。次いで吸込みノズル29が下方の作業位置へ旋回し、その際に上糸51をクリーナ12とクランプ兼切断装置13とスプライシング装置22の下側に配置された、開放されたクランプ兼切断装置17に給糸する。
【0031】
これに続いて本来のコップ交換が行なわれる。すなわち差嵌めマンドレル3に配置された空の巻管49又は特殊な準備なしでは引続き繰出し可能ではない繰出しボビン5がブローボンベ48から押出され搬送ベルト50を介して搬出される。次いで交換装置36の円形マガジン37が送られる。したがってリザーブコップ38の1つが円形マガジンの引渡し位置44へもたらされ、マガジン底にある開口、コップシュート43、センタリングフラップ45を介して受取り位置に旋回させられた差嵌めマンドレル3に達する。次いで差嵌めマンドレル3は新しい繰出しボビン5と共に戻り旋回する。この場合には円形マガジン37の中央の吸込みノズル40に保持された繰出しボビン5の糸端39は、補助グリッパ46によって糸テンショナ9に向かって給糸されそこで保持される下糸52を形成する。
【0032】
コップ交換時点においてグリッパ管25は、図1と図3とに示したように、通常の糸道の前の零位置Iにある。新しい繰出しボビン5を交換したあとでグリッパ管25は上方の作業位置IIへ旋回する。グリッパ管開口27はその際に円弧28を描く。グリッパ管開口27の範囲に配置され、ばね部材53によって閉鎖されるグリッパ管フラップ18はその糸案内装置54で下糸52を掴み、下糸52をスプライシング装置22の方向に給糸する。この場合、下糸52は円形マガジン37において吸込みノズル40を介してぴんと張った状態に保たれる。円弧28は上糸51の軌道とも交差するので、グリッパ管25に配置された給糸フック23′(図6と7の実施例)又はグリッパ管フラップ18に配置された給糸フック23(図2から5までの実施例)で上糸51は捉えられ、同様にスプライシング装置22に向かって給糸される。この場合、上糸51はスプライシング装置22の下側に停止した吸込みノズル29によって保持される。
【0033】
作業位置IIに旋回させられたグリッパ管25はグリッパ管フラップ18に配置された糸案内装置54で下糸52を、スプライシング装置22の下側に配置されたクランプ兼切断装置17のクランプにおいても、スプライシング装置22の上側に配置されたくランプ兼切断装置11のシャーにおいても位置決めする。同時に給糸フック23により連行された上糸51は上方のクランプ兼切断装置11へ通される。グリッパ管25の上方の作業位置IIの範囲においてはばね部材34を備えたストッパ33が取付けられている。グリッパ管25が周面でこのストッパ33に当接する直前に、グリッパ管フラップ18に配置された当接縁55がストッパ33における、フランジ状に構成された支持部材56に接触する。これによってグリッパ管フラップ18はその旋回軸19を中心としていくらか旋回させられる。すなわち、グリッパ管フラップ18はいくらか開放される。開放するグリッパ管フラップ18は両方の糸を互いに離反させる。すなわち、グリッパ管フラップ18が開く場合に下糸52はグリッパ管開口27から離れるように後方に移動させられ、上糸51はグリッパ管開口27から離れるように前方へ移動させられる。この結果として上方のクランプ兼切断装置11内に当初平行に位置していた糸51,52が分離させられることになる。
【0034】
フランジ状の支持部材56はストッパのヘッドの後ろに所定の間隔をおいて、グリッパ管25の接近に際して当初グリッパ管フラップ18だけが負荷され、その際にいくらか旋回させられるように配置されている。グリッパ管フラップを「閉鎖方向」に負荷するばね部材53はストッパ33のばね部材34よりもやわらかいばね特性線を有しているので、ストッパヘッド/支持部材の間隔によってあらかじめ規定されたグリッパ管フラップ18の開口度が確実に達成され、グリッパ管フラップ18がグリッパ管25に当接することによって変化させられないことが達成される。
【0035】
ばね負荷されたストッパ33によっては図示されていないカム円板、歯付きレバー及びピニオンを介して駆動されたグリッパ管25のすべての機械的な、駆動に伴う遊びが減少させられる。すなわち、グリッパ管25は常に、正確に規定された上方の作業位置IIに移動するので上糸51と下糸52は常に同じ深さでかつ同じ巻掛け角度でスプライシング装置22内へ入れられるようになる。
【0036】
ストッパ33の代りに、グリッパ管25の上方の作業位置IIの範囲においては図示されていない制御溝が配置されていてもよい。この場合には作業位置IIにおいてグリッパ管フラップ18は制御突起62を介して所定の位置まで規定されて開放旋回させられる。しかしながら、この場合には上糸51は引続き給糸フック23に巻掛けられたままに保たれる。
【0037】
上方及び下方のクランプ兼切断装置17に固定された糸51,52は次いで切断される。下糸残留物は円形マガジン37における中央の吸込みノズル40を介して吸出される。グリッパ管フラップ18に配置された糸案内装置54の背部側の構成は、下糸残留物がグリッパ管25の開口27に生じる吸込み流によって誤っても捉えられないことを保証する。切断された上糸残留物は相応して、スプライシング装置22の下側に停止した吸込みノズル29によって吸出される。
【0038】
公知であるために詳細には説明しないスプライシング過程のあとで、いまや下糸と結合された上糸はグリッパ管フラップ18を越えて軸方向に突出する給糸フック23の後ろに位置する。巻取り個所2の運転が再び開始される間、グリッパ管25はゆっくりと零位置Iへ旋回する。この場合糸は輪奈を伴うことなしに通常の糸道に戻される。
【0039】
これまでの記述はコップ交換をする場合の作用的な経過に関するものである。普通の糸切れの場合にはいくらか異なった作用的な経過が見られる。
【0040】
普通の糸切れの場合には下糸52は糸テンショナ9に保持される。何故ならば糸クリーナ12は動的な糸信号が発生しないために糸テンショナ9の糸クランプ作用をレリーズしているからである。
【0041】
先に記述したように上糸52が吸込みノズル29によって綾巻きボビン15において受取られ、スプライシング装置22に給糸される間、糸テンショナ9に保持された下糸52はグリッパ管25によって空気力で呼び戻される。すなわち、グリッパ管25はその零位置からまず後方へ、糸テンショナ9の範囲にある糸受取り位置IIIに旋回する。糸受取り位置IIIの範囲においては制御溝63が設けられている。この制御溝63は制御突起62を介してグリッパ管フラップ18を開放制御する。同時に糸テンショナ9も開かれるので、下糸端部52はグリッパ管25の開口範囲27に吸込まれる。グリッパ管25は下糸52の存在がセンサ32で検出されたあとで、吸込まれた下糸52と共に上方の作業位置IIへ旋回する。グリッパ管25が離反旋回する場合にグリッパ管フラップ18に配置された制御突起62は制御溝63から滑落する。従ってグリッパ管フラップ18はグリッパ管25とグリッパ管フラップ18との間に接続されたばね部材53の作用下で閉鎖され、その際に下糸52をクランプする。グリッパ管フラップ18とグリッパ管25との間に下糸52をクランプすることは、特に強情な糸を加工する場合に有利である。何故ならばこのような糸の場合には純空気力式の手段にはしばしば問題があるからである。これに対してグリッパ管フラップによる機械的なクランプは比較的に曲げ剛さの大きい糸をも確実に連行することを保証する。
【0042】
糸切れ管理の他の機能的な糸経過は冒頭に述べたコップ交換管理の作用経過にほぼ相当する。ただ下糸52をぴんと張る形式並びに切断された下糸残留物の除去が異なっている。グリッパ管25が上方の作業位置IIへ走入する場合、すなわちグリッパ管25がストッパ33又は適当な(図示されていない)制御溝に接近すると、いつものようにグリッパ管フラップ18は「開放」方向へいくらか旋回させられる。この場合にはまず機械的にクランプされた糸が開放され、グリッパ管25において発生する吸込み力によりぴんと張られる。切断された下糸残留物の除去は円形マガジン37の吸込みノズル40を介して行なわれるのではなく、グリッパ管25を介して直接的に行なわれる。
【0043】
スプライシング過程の終りにおける糸切れの場合、特に糸切れがスプライシング装置22の上側で生じると、繰出しコップ5と結合された、グリッパ管25内に吸込まれた糸端がループ状に給糸フック23に巻掛けられることが発生し得る。これは当該巻取り個所の故障をもたらす。
【0044】
図6と図7とに示された実施例においては、このような故障の発生は矢印58の方向に前方へ旋回する、スリット状の開口30で給糸フック23をわずかな遊びをおいて取囲むグリッパ管フラップ18が糸引渡し位置IIIへ旋回する場合に、該グリッパ管フラップ18が給糸フック23を自動的に掃除することで阻止される。すなわち、グリッパ管フラップ18はこの作業位置では制御突起62で、この範囲に配置された制御溝63に当接し、後続する外方旋回に際して給糸フック23全体を場合によって形成される糸ループから解放する。
【0045】
本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、本発明の別の構成によればグリッパ管フラップを全く使用せず、上糸をグリッパ管フラップに配置された給糸フラップで給糸する代りに、グリッパ管縁を越えて側方に突出するピンで給糸することもできる。この場合にはグリッパ管の吸込み空気流はもちろん空気スライダ絞りで調整されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】綾巻きボビンを製造する繊維機械を断面して巻取り個所の側面図として示した図。
【図2】本発明によって装備されたグリッパ管を上方の作業位置で示した給糸装置の斜視図。
【図3】種々の終端位置に位置せしめられたグリッパ管と共に空気力式のスプライシング装置を示した図。
【図4】グリッパが上方の作業位置にある場合の上糸と下糸との糸道を示した図。
【図5】図4の矢印Xで示したグリッパ管の端部範囲の平面図。
【図6】グリッパ管もしくはグリッパ管フラップの選択的な実施例の平面図。
【図7】図6のグリッパ管の端部範囲の正面図。
【符号の説明】
1 綾巻き機、 2 巻取り個所、 3 差嵌めマンドレル、 4 ヒンジ、5 繰出しボビン、 6 糸、 7 引出し加速器、 8 前クリーナ、 9糸テンショナ、 10 結糸装置、 11 クランプ兼切断装置、 12 クリーナ、 13 クランプ兼切断装置、 14 溝付きドラム、 15 綾巻きボビン、 16 巻取り枠、 17 クランプ兼切断装置、 18 グリッパ管フラップ、 20 吸込み通路、 21 吸込み空気接続部、 24 吸込み空気接続部、 25 グリッパ管、 26 旋回点、 29 吸込みノズル、 31 旋回点、 36 繰出しボビン交換装置、 37 円形マガジン、 38 リザーブコップ、 39 糸端、 40 吸込みノズル、 41 吸込み管、 42 支承部、 43 コップシュート、 44 引渡し位置、 45 センタリングフラップ、 46 補助グリッパ、 47 円弧、 53 ばね部材、 54 糸案内装置、 55 当接縁、 57 糸案内輪郭、 61 付加部、 62 制御突起、 63 制御溝、 65 フロントプレート

Claims (10)

  1. 綾巻きボビンを製造するための繊維機械のための結糸装置であって、普通の糸道の外側に配置され、糸端を空気力で結合するスプライシング装置と、該スプライシング装置の範囲に配置されたクランプ兼切断装置、スプライシングしようとする糸端部を給糸する、吸込み空気で負荷された給糸装置、並びに糸端をスプライシング装置へ送入する手段を有している形式のものにおいて、
    −グリッパ管(25)として構成された給糸機構がその旋回範囲において、グリッパ管(25)に配属された糸が1つの終端位置(II)で機能的に正しくスプライシング装置(22)内に位置決めされるように配置されており、
    −グリッパ管(25)の旋回に際して別の糸の張り路を横切り、この糸を連行しかつ前記終端位置(II)において、この糸をも機能的に正しくスプライシング装置(22)内に位置決めする連行手段をグリッパ管(25)が有していることを特徴とする、綾巻きボビンを製造するための繊維機械のための結糸装置。
  2. −グリッパ管(25)が端部側に、旋回可能に支承された、ばね負荷されたグリッパ管フラップ(18)を有し、
    −連行部材がグリッパ管フラップ(18)に配置されており、かつ給糸フック(23)によって形成されている、請求項1記載の結糸装置。
  3. グリッパ管(25)から軸方向に突出する給糸フック(23)がグリッパ管フラップ(18)のフロントプレート(65)の範囲に配置されている、請求項2記載の結糸装置。
  4. グリッパ管フラップ(18)が旋回軸(19)と給糸フック(23)との間に配置された糸案内装置(54)を有している、請求項3記載の結糸装置。
  5. 糸案内装置(54)がグリッパ管フラップ(18)を旋回方向で突出する、突起状の付加部(61)と該付加部(61)に続く糸案内輪郭(57)とを有している、請求項4記載の結糸装置。
  6. 旋回軸(19)の範囲において、グリッパ管フラップ(18)とグリッパ管(25)との間に、「グリッパ管開口閉鎖」方向でフラップを負荷するばね部材(53)が接続されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の結糸装置。
  7. グリッパ管(25)の糸引渡し位置(III)の範囲に制御溝(63)が配置され、この制御溝(63)がグリッパ管フラップ(18)に配置された制御突起(62)を負荷する、請求項1からまでのいずれか1項記載の結糸装置。
  8. グリッパ管(25)がグリッパ管開口(27)の上へ突出する給糸フック(23)を有し、給糸フック(23)を擦過する掃除装置(59)が設けられている、請求項1記載の結糸装置。
  9. 掃除装置(59)が旋回軸(19)を中心として矢印(58)の方向に旋回開放可能なグリッパ管フラップ(18)の構成部分である、請求項記載の結糸装置。
  10. 旋回可能に配置されたグリッパ管フラップ(18)がスリット状の開口(30)を有し、この開口(30)がグリッパ管(25)に定置された給糸フック(23′)を遊びをもって取囲んでいる、請求項記載の結糸装置。
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