JP3719377B2 - 硬貨整列装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワンマンバス等に設置される料金収納機の内部に設けられ、一度に多数枚投入された硬貨を整列し1枚ずつコインセンサに送り出す硬貨整列装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の硬貨整列装置においては、供給された多数枚の硬貨が硬貨通路内で硬貨詰まりを起こした場合に、これを解除するために、硬貨通路を開放して、硬貨通路内のすべての硬貨を硬貨返却口に導くようにしている。このときに、硬貨通路の下方に設けられたコインセンサの硬貨通過孔内を通過する硬貨が詰まることがある。したがって、硬貨通路の開放動作に連動して硬貨通過孔内に進入し、詰まった硬貨を排除するための硬貨排除レバーが備えられている。すなわち、硬貨排除レバーは揺動自在に支持され、硬貨通路を開放するときに連動して揺動して、コインセンサの硬貨通過孔内に進入するように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の硬貨整列装置においては、硬貨通路を開放したときに、コインセンサは固定されたままの状態で、専ら硬貨排除レバーのみが揺動する構造となっている。このため、コインセンサの性能を向上させるためにコインセンサの厚みを大きくすると、硬貨通過孔内に硬貨排除レバーが円滑に進入できなくなるという問題が生じる。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、硬貨通過孔内に硬貨排除レバーを円滑に進入させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、同時に供給された複数枚の硬貨を整列し1枚ずつ排出する固定側の側板および可動側の側板によって形成された開閉自在な硬貨通路と、この硬貨通路から排出された硬貨が導入される硬貨通過孔を有するコインセンサと、このコインセンサの硬貨通過孔内に進退自在なくの字状に形成された硬貨排除レバーとを備えた硬貨整列装置において、前記可動側の側板と前記コインセンサおよび前記硬貨排除レバーとの間を連結する駆動伝達レバーと、前記硬貨通路を開放することにより前記駆動伝達レバーを介して前記コインセンサと前記硬貨排除レバーとが互いに近接するように、前記コインセンサーと前記硬貨排除レバーとを揺動自在に支持する共通の枢軸とを備えたものである。
したがって、硬貨排除レバーの揺動方向にコインセンサの硬貨通過孔が傾く。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記硬貨排除レバーを可撓性を有する厚みの小さい部材で形成するとともに、先端部に剛性の高い材料によって形成した体積の小さい押圧体を設けたものである。
したがって、コインセンサの硬貨通過孔内に先端の押圧体が進入すると、この後硬貨排除レバーが撓みながら硬貨通過孔内に進入し、押圧体によって硬貨が排除される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。図1は本発明に係る硬貨整列装置の正面図、図2は図1におけるII-II 線断面図である。図3は図1におけるIII 矢視図であって、同図(a)は硬貨通路が閉じた状態を示し、同図(b)は硬貨通路が開いた状態を示す。図4は同じく硬貨通路を開き始めた状態を拡大して示した側面図である。図5は同じく硬貨通路を開いた状態を拡大して示した側面図である。
【0009】
図1において、符号2で示すものは、硬貨1が投入される硬貨投入口であって、複数枚の硬貨1を同時に投入可能な開口を有している。この硬貨投入口2の下方には、図2に示すように、左右一対の側板3A,3Bが設けられ、これら側板3A,3Bによって硬貨投入口2から投入された硬貨1が落下する硬貨通路4が形成されている。図3に示すように、左右一対の側板3A,3Bのうち、側板3Aは装置のフレーム5に固定され、一方の側板3Bはモータとねじ棒による従来から広く知られた移動手段によって、矢印A−B方向に移動自在に支持されている。可動側の側板3Bに植設したピン6と固定側の側板3Aとの間には引張りコイルばね7が介装されている。
【0010】
図1において、これら左右の側板3A,3Bの下端には、券銭分離手段としての左右一対のローラ8A,8B(ローラ8Bは不図示)が取り付けられており、これら両ローラ8A,8Bは、互いの周面間にわずかな隙間を設けるようにして並設され、図中左下がりに傾斜している。したがって、硬貨投入口2から硬貨1と不図示の整理券を同時に投入すると、整理券は両ローラ8A,8B間の隙間から下方に落下し、硬貨1は両ローラ8A,8B上を図中左方に転動して、硬貨通路4内を下方に落下する。
【0011】
全体を符号10で示すものは、本発明の特徴である硬貨整列装置であって、硬貨通路4の下方側に設けられ、後述する左右一対の上部ローラ13A,13Bと、左右一対の下部ローラ15A,15Bと、これら下部ローラ15A,15Bから1枚ずつ排出される硬貨1の金種を判別するコインセンサ11とから概略構成されている。コインセンサ11には、上下方向に貫通する硬貨通過孔11a(図2参照)が設けられ、このコインセンサ11は、金種を判別する性能を向上させるために、高さTが従来の略2倍の大きさに形成されている。
【0012】
図2に示すように、左右一対の上部ローラ13A,13Bは、左右の側板3A,3Bの窓14,14から互いの周面が対向するようにして周面の一部が硬貨通路4内に進出し、側板3A,3Bの折曲部3a,3a(図3参照)にそれぞれ枢支されている。これら左右一対の上部ローラ13A,13Bは、窓14からの進出量が回転にともなって変化するように偏心軸受によって支持され、共に硬貨通路4内を落下してきた硬貨1を戻す方向に回転駆動されている。
【0013】
左右一対の下部ローラ15A,15Bは、左右の側板3A,3Bの下端に位置付けられ、互いの周面が硬貨1の1枚分の厚みよりも大きく2枚分の厚みよりも小さい間隔αだけ隔てるようにして、側板3A,3Bの折曲部3a,3aにそれぞれ枢支されている。これら左右一対の下部ローラ15A,15Bのうち、左方のローラ15Aは、硬貨1を戻す方向に駆動され、右方のローラ15Bは、硬貨1を送る方向に駆動されている。
【0014】
次に、図4および図5を用いて、コインセンサ11と硬貨排除レバーの支持構造を説明する。
図4に示すように、フレーム5の下端部に固定された支持板16には枢軸17が植設され、この枢軸17に枢支されたブラケット18の下端には、取付板19を介してコインセンサ11が固定されている。20は図中左右方向に延在する駆動伝達レバーであって、左端部がピン21を介してブラケット18の上端部に枢着され、右端部に形成した長穴20a内に上述したピン6が係入されている。この駆動伝達レバー20の左側の下部には略逆くの字状の足部20bが突設され、この足部20bの下端部には突起22が植設されている。
【0015】
24はブラケットであって、図中右方側に折曲形成された折曲部24aが枢軸17に枢支され、図中左方側に折曲形成された折曲部24bには係入孔24cが穿設され、この係入孔24cに係入された駆動伝達レバー20の突起22がブラケット24に対接している。25は硬貨排除レバーであって、全体が可撓性を有する厚みの小さい部材によってくの字状に形成され、基端部25aがブラケット24に固定されている。この硬貨排除レバー25の遊端部25bの先端部には、ステンレス等の剛性の高い材料によって形成した体積の小さい押圧体26が取り付けられている。
【0016】
このような構成において、図3(a)に示す硬貨通路4が閉じられた状態においては、硬貨通過孔11aが上下方向に延在するようにして、コインセンサ11が硬貨通路4の直下に位置付けられ、硬貨排除レバー25は硬貨通過孔11aから退避するように、図中左下方に位置付けられている。この状態から、同図(b)に示すように、可動側の側板3Bを矢印B方向に移動させ硬貨通路4を開くと、後述するように駆動伝達レバー20を介して、コインセンサ11が枢軸17を回動中心として図中時計方向に回動するとともに、硬貨排除レバー25が枢軸17を回動中心として図中反時計方向に回動する。すなわち、コインセンサ11と硬貨排除レバー25とが互いに近接するように揺動し、硬貨排除レバー25がコインセンサ11の硬貨通過孔11a内に進入するように構成されている。
【0017】
次に、このような構成の硬貨整列装置における硬貨の整列動作について説明する。
図1に示すように、複数枚の硬貨1と不図示の整理券とが同時に硬貨投入口2に投入されると、整理券は両ローラ8A,8Bの隙間から落下し分離され、硬貨1は両ローラ8A,8B上を転動し、図2において硬貨通路4内を落下する。図2に示すように、複数枚の硬貨のうち、左側の上部ローラ13に当接する硬貨1Aは、この上部ローラ13Aによって図中上方に戻される。同様に、右側の上部ローラ13Bに当接する硬貨1Bも、この上部ローラ13Bによって図中上方に戻される。すなわち、硬貨通路4内を落下してきた複数枚の硬貨1は、これら左右の上部ローラ13A,13Bによって撹拌され、大部分の硬貨が一旦上方に戻されるので、複数枚の硬貨1が一度に硬貨通路4の下方側に落下することなく、一部の硬貨が順に整列して下方側に落下する。
【0018】
硬貨通路4の下方側に落下した2枚の硬貨のうち、左側の下部ローラ15Aに当接する硬貨1Cは、上方に戻され、右側の下部ローラ15Bに当接する硬貨1Dは、下方に送り出されるので、結局コインセンサ11には硬貨1が1枚ずつ送られる。コインセンサ11に送られた硬貨1は硬貨通過孔11a内を落下し、このときに図示を省略した硬貨判別部によって硬貨1の金種が判別される。
【0019】
ここで、硬貨通路4内で硬貨詰まり等が発生すると、図3(a)に示す硬貨通路4が閉じた状態から図示を省略した移動手段によって可動側の側板3Bが矢印B方向に移動し、図4に示すように硬貨通路4が開く。この硬貨通路4が開き始めた初期の段階では、可動側の側板3Bのピン6が駆動伝達レバー20の長穴20a内を移動するだけであって、駆動伝達レバー20はそのままの状態を保持するので、コインセンサ11も硬貨通路4の直下に位置付けられたままの状態を保持する。
【0020】
したがって、硬貨通過孔11aが上下方向に延在した状態になっているので、硬貨通路4が開くことにより、硬貨通路4内の多数の硬貨1は下方に落下し、落下した硬貨のうちの一部の硬貨は硬貨通過孔11aを通過する。また、この硬貨通路4が開き始めた初期の段階で、硬貨通路4内の硬貨がすべて硬貨通路4内から下方に落下する。
【0021】
さらに、可動側の側板3Bが矢印B方向に移動すると、図5に示すように、ピン6が長穴20aの右端に係合するので、側板3Bの移動にともなって、駆動伝達レバー20も矢印B方向に移動する。ブラケット18が枢軸17を回動中心として図中時計方向に回動するので、コインセンサ11も時計方向に回動し、硬貨通過孔11aが傾いた状態になる。このときには、既に硬貨通路4内の硬貨1は残っていないので、硬貨通過孔11aが傾くことにより、この硬貨通過孔11aに落下してきた硬貨によって図中二点鎖線で示すような、硬貨がくさび状に詰まる、いわゆるうろこ詰まりの発生を防止できる。
【0022】
この駆動伝達レバー20の移動によって駆動伝達レバー20の突起22もブラケット24を図中右方に押圧するので、ブラケット24が枢軸17を回動中心として図中反時計方向に回動し、硬貨排除レバー25も反時計方向に回動する。したがって、コインセンサ11と硬貨排除レバー25とが互いに近接するように揺動し、硬貨排除レバー25がコインセンサ11の硬貨通過孔11a内に進入するので、硬貨通過孔11a内の硬貨が排除される。
【0023】
このとき、硬貨排除レバー25が可撓性を有する厚みの小さい部材によって形成されていることにより、この硬貨排除レバー25がコインセンサ11の硬貨通過孔11a内に撓みながら進入するので、確実かつ円滑に進入する。また、硬貨排除レバー25の先端に剛性の高い材料によって形成した体積の小さい押圧体26が取り付けられているので、硬貨通過孔11a内の硬貨が確実に排除される。
【0024】
このように、硬貨排除レバー25のみならず、コインセンサ11も揺動させ、共に近接するように揺動させることにより、硬貨排除レバー25の揺動部25bの揺動方向にコインセンサ11の硬貨通過孔11aが傾く。したがって、コインセンサ11の厚みTが大きく形成されているにもかかわらず、硬貨排除レバー25の揺動部25bが硬貨通過孔11a内に円滑に進入する。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、硬貨排除レバーが硬貨通過孔内に円滑に進入する。
【0026】
また、請求項2に係る発明によれば、硬貨排除レバーがコインセンサの硬貨通過孔内に円滑に進入できるので、機器の動作不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る硬貨整列装置の正面図である。
【図2】 図1におけるII-II 線断面図である。
【図3】 図1におけるIII 矢視図であって、同図(a)は硬貨通路が閉じた状態を示し、同図(b)は硬貨通路が開いた状態を示す。
【図4】 本発明に係る硬貨整列装置において硬貨通路を開き始めた状態を拡大して示した側面図である。
【図5】 本発明に係る硬貨整列装置において硬貨通路を開いた状態を拡大して示した側面図である。
【符号の説明】
1…硬貨、3A,3B…側板、4…硬貨通路、10…硬貨整列装置、11…コインセンサ、13A,13B…上部ローラ、15A,15B…下部ローラ、17…枢軸、20…駆動伝達レバー、20a…長穴、25…硬貨排除レバー、26…押圧体。

Claims (2)

  1. 同時に供給された複数枚の硬貨を整列し1枚ずつ排出する固定側の側板および可動側の側板によって形成された開閉自在な硬貨通路と、この硬貨通路から排出された硬貨が導入される硬貨通過孔を有するコインセンサと、このコインセンサの硬貨通過孔内に進退自在なくの字状に形成された硬貨排除レバーとを備えた硬貨整列装置において、前記可動側の側板と前記コインセンサおよび前記硬貨排除レバーとの間を連結する駆動伝達レバーと、前記硬貨通路を開放することにより前記駆動伝達レバーを介して前記コインセンサと前記硬貨排除レバーとが互いに近接するように、前記コインセンサーと前記硬貨排除レバーとを揺動自在に支持する共通の枢軸とを備えたことを特徴とする硬貨整列装置。
  2. 請求項1記載の硬貨整列装置において、前記硬貨排除レバーを可撓性を有する厚みの小さい部材で形成するとともに、先端部に剛性の高い材料によって形成した体積の小さい押圧体を設けたことを特徴とする硬貨整列装置。
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