JP3714374B2 - ブレーキアシストシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者のブレーキ操作を補助して停止距離の短縮、ブレーキの効きの向上を図るブレーキアシストシステムの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
緊急時に運転者のブレーキ操作をアシストして、車両が停止する距離を短縮およびブレーキの効きを向上するブレーキアシストシステムが提案されている。
【0003】
従来、この種のブレーキアシストシステムとして、例えば特開平7−76267号では、運転者のブレーキの操作速度が所定値以上のときに、緊急時であると判断して、ブレーキアシスト制御を開始する。具体的には、ブレーキのストローク量と車速とからブレーキのストローク速度のしきい値Seffを定め、ストローク速度がしきい値Seffを超過したときのストローク量を起点とし、その時点より所定ストロークdsBの間にストローク速度がしきい値Seffを下回らないときに、dsB踏み増した時点でブレーキアシスト制御を開始するようになっている。
【0004】
また、特開平7−156786号では、上記の特開平7−76267号に対して、走行中の制動時のブレーキ操作パターンを刻々学習し、ストローク速度のしきい値Seffを補正(変更)する。この場合、通常のブレーキングでおとなしい操作を行う運転者は、緊急時にブレーキを踏み込めないケースが多いと推定して、アシスト制御に入るしきい値を小さくして感度を上げ、緊急状態の判断を的確に行うようにしている。反対に、通常のブレーキングでラフな操作を行う運転者は、緊急時にブレーキを踏み込めることから、アシスト制御に入るしきい値を大きくして感度を下げ、緊急状態でないのにアシスト制御に入ってしまう違和感を解消することを狙いとしている。なお、エンジン始動時に、それまでに得た学習データをリセットしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−76267号のブレーキアシストシステムにあっては、ストローク速度のしきい値Seffが一義的に定まっているため、しきい値Seffを高く設定しておくと、踏力の弱い運転者の場合は緊急時にアシスト制御に入りにくく、反対にしきい値Seffを低く設定しておくと、ラフな操作を行う運転者の場合は、緊急時でもないのに頻繁にアシスト制御に入ってしまい、違和感を招くという問題があった。
【0006】
また、特開平7−156786号のブレーキアシストシステムにあっては、上記特開平7−76267号の問題点は改善されているが、エンジンを始動して車両を発進した後、制動を行わないとブレーキ操作パターンを学習できないことから、学習しきれていないときに緊急状態に出会った場合、アシスト制御に違和感を伴う。また、途中でエンジンを切らないで運転者が代わった場合、エンジン始動後と同様に、制動を行わないと情報更新をできないことから、緊急状態に出会った場合、アシスト制御に違和感を伴うという問題があった。また、通常の制動シーンは多くの外部状況要因があり、そのため種々様々な状況から運転者の典型的な操作特性を推定することが困難であるという問題点もある。
【0007】
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、オートマチックトランスミッション車両において、コントロールレバーをパーキング位置からシフトチェンジする際にシフトロック解除に必要なブレーキ操作を測定して、車両の発進直後からいかなる運転者に対しても適切なブレーキアシスト制御を可能とすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、コントロールレバーをパーキング位置からシフトチェンジする際にシフトロック解除にブレーキ操作を必要とするシフトロック機構付きの自動変速機を持つ車両のブレーキアシストシステムにおいて、シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量を測定する最大ストローク量測定手段と、シフトロック解除時のブレーキのストローク速度の最大値を測定する最大ストローク速度測定手段と、その最大ストローク量と最大ストローク速度とから運転者のブレーキ操作特性を推定する操作特性推定手段と、制動中のブレーキのストローク速度を測定する手段と、このストローク速度が所定値xを越えたときにブレーキアシスト力を発生するブレーキアシスト手段と、シフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいて前記所定値xの値を補正する補正手段とを備える。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量が大きいほど、所定値xを大きくする。
【0010】
第3の発明は、第1の発明において、シフトロック解除時のブレーキのストローク速度の最大値が大きいほど、所定値xを大きくする。
【0011】
第4の発明は、第の発明において、シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量とストローク速度の最大値との積が大きいほど、所定値xを大きくする。
【0012】
第5の発明は、コントロールレバーをパーキング位置からシフトチェンジする際にシフトロック解除にブレーキ操作を必要とするシフトロック機構付きの自動変速機を持つ車両のブレーキアシストシステムにおいて、シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量を測定する最大ストローク量測定手段と、シフトロック解除時のブレーキのストローク速度の最大値を測定する最大ストローク速度測定手段と、その最大ストローク量と最大ストローク速度とから運転者のブレーキ操作特性を推定する操作特性推定手段と、測定したブレーキのストロークに対して予め定めたゲインで比例積分微分動作を行ってブレーキ目標値を算出する目標値算出手段と、該ブレーキ目標値に基づいてブレーキアシスト力を発生するブレーキアシスト手段と、シフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいて前記ゲインの値を補正する補正手段とを備えることを特徴とするブレーキアシストシステム。
【0013】
第6の発明は、第5の発明において、シフトロック解除時のブレーキの最大ストロークが小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する。
【0014】
第7の発明は、第5の発明において、シフトロック解除時のブレーキのストローク速度の最大値が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する。
【0015】
第8の発明は、第5の発明において、シフトロック解除時のブレーキの最大ストロークとストローク速度の最大値との積が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する。
第9の発明は、第1〜第8の発明において、操作特性推定手段は、シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量とストローク速度の最大値との積から運転者のブレーキ操作特性を推定する。
【0016】
10の発明は、コントロールレバーをパーキング位置からシフトチェンジする際にシフトロック解除にブレーキ操作を必要とするシフトロック機構付きの自動変速機を持つ車両のブレーキアシストシステムにおいて、シフトロック解除時のブレーキの最大踏力を測定する最大踏力測定手段と、シフトロック解除時のブレーキの踏力速度の最大値を測定する最大踏力速度測定手段と、その最大踏力と最大踏力速度とから運転者のブレーキ操作特性を推定する操作特性推定手段と、制動中のブレーキの踏力速度を測定する手段と、この踏力速度が所定値xを越えたときにブレーキアシスト力を発生するブレーキアシスト手段と、シフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいて前記所定値xの値を補正する補正手段とを備える。
【0017】
11の発明は、第10の発明において、シフトロック解除時のブレーキの最大踏力が大きいほど、所定値xを大きくする。
【0018】
12の発明は、第10の発明において、シフトロック解除時のブレーキの踏力速度の最大値が大きいほど、所定値xを大きくする。
【0019】
13の発明は、第10の発明において、シフトロック解除時のブレーキの最大踏力と踏力速度の最大値との積が大きいほど、所定値xを大きくする。
【0020】
14の発明は、コントロールレバーをパーキング位置からシフトチェンジする際にシフトロック解除にブレーキ操作を必要とするシフトロック機構付きの自動変速機を持つ車両のブレーキアシストシステムにおいて、シフトロック解除時のブレーキの最大踏力を測定する最大踏力測定手段と、シフトロック解除時のブレーキの踏力速度の最大値を測定する最大踏力速度測定手段と、その最大踏力と最大踏力速度とから運転者のブレーキ操作特性を推定する操作特性推定手段と、測定したブレーキの踏力に対して予め定めたゲインで比例積分微分動作を行ってブレーキ目標値を算出する目標値算出手段と、該ブレーキ目標値に基づいてブレーキアシスト力を発生するブレーキアシスト手段とシフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいて前記ゲインの値を補正する補正手段とを備える。
【0021】
15の発明は、第14の発明において、シフトロック解除時のブレーキの最大踏力が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する。
【0022】
16の発明は、第14の発明において、シフトロック解除時のブレーキの踏力速度の最大値が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する。
【0023】
17の発明は、第14の発明において、シフトロック解除時のブレーキの最大踏力と踏力速度の最大値との積が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する。
【0024】
18の発明は、第10〜第17の発明において、前記操作特性推定手段は、シフトロック解除時のブレーキの最大踏力と踏力速度の最大値との積から運転者のブレーキ操作特性を推定する。
【0028】
【発明の効果】
シフトロック機構付きオートマチックトランスミッション車両において、パーキング位置(P位置)にあるコントロールレバーをシフトチェンジして発進する際に、運転者が必ずシフトロック解除動作を行う。このシフトロック解除動作は、ブレーキ踏み込み→コントロールレバーをP位置からドライブ位置(D位置)またはリバース位置(R位置)にシフト→ブレーキ戻し→発進に入るが、このシフトロック解除時のブレーキ操作と緊急時のブレーキ操作との相関が高い。すなわち、図12、図13に示すようにシフトロック解除時のブレーキの踏み込みが弱い運転者は、緊急時でもブレーキの踏み込みが弱く、一方シフトロック解除時のブレーキの踏み込みが強い運転者は、緊急時でもブレーキの踏み込みが強いことが分かる。
【0029】
第1の発明では、これに基づき、シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量とストローク速度の最大値とから、運転者のブレーキ操作特性を推定する。シフトロック解除は車両停車中に行うので、ブレーキの最大ストローク量とストローク速度の最大値とを的確に測定できる。
【0030】
したがって、その最大ストローク量とストローク速度の最大値とから、緊急時にブレーキの踏み込みが弱いかどうか、強いかどうかの、ブレーキアシストを行うための運転者のブレーキ操作特性を的確に推定できる。また、車両の発進前に運転者のブレーキ操作特性を推定できる。
【0034】
また、走行中にブレーキが操作され、そのストローク速度が所定値xを越えると、緊急時と判断してブレーキアシストが行われるが、その所定値xの値はシフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいて補正する。
【0035】
すなわち、ブレーキの踏み込みが弱い運転者の場合は、所定値xを低くすることで、緊急時にブレーキアシストを確実に行え、一方ブレーキの踏み込みが強い運転者の場合は、所定値xを高くすることで、緊急時にないのにブレーキアシストに入ってしまう違和感を防止でき、適切なブレーキアシスト制御を行える。
【0036】
また、車両の発進前に運転者のブレーキ操作特性を推定できるので、発進直後から運転者に合ったブレーキアシストを行え、制御に違和感を生じることがない。また、停車中にエンジンを切らないで運転者が代わった場合も、発進前に新しい運転者のブレーキ操作特性を推定して、その新しい運転者に合ったブレーキアシストを行える。
【0037】
〜第の発明では、シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量が大きいほど、またストローク速度の最大値が大きいほど、また最大ストローク量とストローク速度の最大値との積が大きいほど、所定値xを大きくする、すなわちブレーキの踏み込みが激しい運転者ほど、アシスト制御に入る感度を下げる。これにより、誤判断によるブレーキアシストを確実に防止する。
第5の発明では、ブレーキの踏力の代わりに、ブレーキのストロークに対して比例積分微分動作を行ってブレーキ目標値が算出され、該ブレーキ目標値になるようにブレーキアシスト力が発生されると共に、シフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいてその比例積分微分動作のゲインの値が補正される。
このため、ブレーキのストローク量、ストローク微分値(ストローク速度)、ストローク積分値に基づき、通常時ならびに緊急時に運転者のブレーキ操作およびその操作特性に適合した目標のブレーキ力を確保することができ、この場合ブレーキの踏み込みが弱い運転者の場合は、比例積分微分動作のゲインを高くすることで、緊急時、通常時にブレーキアシストを確実に行え、一方ブレーキの踏み込みが強い運転者の場合は、比例積分微分動作のゲインを低くすることで、ブレーキアシストの違和感を防止する。
第6〜第8の発明では、シフトロック解除時のブレーキの最大ストロークが小さいほど、またストローク速度の最大値が小さいほど、また最大ストロークとストローク速度の最大値との積が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する。すなわち、通常時、緊急時に適切なブレーキアシストを得ると共に、ブレーキの踏み込みが弱い運転者ほど、アシストを行い、ブレーキ操作を軽減できる。
第9の発明では、最大ストローク量とストローク速度の最大値との積を求めることで、運転者のブレーキ操作特性を的確に推定できる。
【0038】
10の発明では、シフトロック解除時にブレーキの最大ストローク量、ストローク速度の最大値の代わりに、ブレーキの最大踏力、踏力速度の最大値を測定することで、運転者のブレーキ操作特性を的確に推定できる。
また、ブレーキのストローク速度の代わりに、踏力速度が所定値xを越えると、緊急時と判断してブレーキアシストが行われると共に、その所定値xの値はシフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいて補正する。
【0039】
このため、ブレーキの踏み込みが弱い運転者の場合、所定値xを低くすることで、緊急時にブレーキアシストを確実に行え、一方ブレーキの踏み込みが強い運転者の場合は、所定値xを高くすることで、緊急時にないのにブレーキアシストに入ってしまう違和感を防止でき、適切なブレーキアシスト制御を行える。
【0040】
また、車両の発進直後から運転者に合ったブレーキアシストを行え、また停車中にエンジンを切らないで運転者が代わった場合も、その新しい運転者に合ったブレーキアシストを行える。
【0041】
11〜第13の発明では、シフトロック解除時のブレーキの最大踏力が大きいほど、また踏力速度の最大値が大きいほど、また最大踏力と踏力速度の最大値との積が大きいほど、所定値xを大きくする、すなわちブレーキの踏み込みが激しい運転者ほど、アシスト制御に入る感度を下げる。これにより、誤判断によるブレーキアシストを確実に防止する。
【0042】
14の発明では、走行中にブレーキが操作されると、測定されたブレーキの踏力に対して比例積分微分動作を行ってブレーキ目標値が算出され、該ブレーキ目標値になるようにブレーキアシスト力が発生されると共に、シフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいてその比例積分微分動作のゲインの値が補正される。
【0043】
すなわち、ブレーキの踏力、踏力微分値、踏力積分値に基づき、通常時ならびに緊急時に運転者のブレーキ操作およびその操作特性に適合した目標のブレーキ力を確保することができ、この場合ブレーキの踏み込みが弱い運転者の場合は、比例積分微分動作のゲインを高くすることで、緊急時、通常時にブレーキアシストを確実に行え、一方ブレーキの踏み込みが強い運転者の場合は、比例積分微分動作のゲインを低くすることで、ブレーキアシストの違和感を防止する。
【0044】
15〜第17の発明では、シフトロック解除時のブレーキの最大踏力が小さいほど、また踏力速度の最大値が小さいほど、また最大踏力と踏力速度の最大値との積が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する。すなわち、通常時、緊急時に適切なブレーキアシストを得ると共に、ブレーキの踏み込みが弱い運転者ほど、アシストを行い、ブレーキ操作を軽減できる。
【0045】
18の発明では、ブレーキの最大踏力と踏力速度の最大値との積を求めることで、運転者のブレーキ操作特性を的確に推定できる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0049】
図1はオートマチックトランスミッション車両のブレーキアシストシステムの構成図である。図において、21はブレーキペダルであり、ドライバ(運転者)によって踏み込まれる操作が行われる。22はブレーキペダル21の踏力を検出するブレーキ踏力センサ、23はブレーキペダル21の移動量(ストローク量)を検出するブレーキストロークセンサである。
【0050】
26はマスタシリンダであり、ブレーキペダル21が踏み込まれるのに連動して収縮作動し、各車輪27の制動用シリンダに供給する液圧(油圧)を高める。28は各車輪27の回転速度を検出する車輪回転速度センサ、33は車両の前後方向の加速度を検出する前後Gセンサ、34はマスタシリンダ26の出力液圧を測定する液圧センサである。
【0051】
30はオートマチックトランスミッションのシフトロック機構(図示しない)のシフトロック制御装置であり、キースイッチ35がON位置、かつディテントスイッチ36がOFF(コントロールレバーがパーキング位置でそのリリースボタンを押していない状態)、かつストップランプストップ37がON(ブレーキペダル21を踏み込んでいる状態)の各信号が入力されると、シフトロックソレノイド31に対してON信号が出力され、シフトロック機構がアンロック状態(シフトロック解除状態)になる。
【0052】
すなわち、コントロールレバーをパーキング位置(P位置)からシフトチェンジする際、運転者がシフトロックを解除するためにブレーキ操作を行うようになっている。
【0053】
25はブレーキペダル21の操作力を軽減する負圧ブースタである。図2に示すように、負圧ブースタ25は、マスタシリンダ26を収縮作動させるパワーピストン10を備え、パワーピストン10とダイヤフラム14によって負圧室2と変圧室1が仕切られる。パワーピストン10は負圧室2と変圧室1の間に生じる差圧によりダイアフラムリターンスプリング15に抗して移動し、リアクションディスク9を介してプッシュロッド8およびマスタシリンダ26に倍力分の荷重を伝達する。
【0054】
負圧室2はエンジン(図示しない)の吸気管(スロットル弁下流)や真空ポンプに連通して作動負圧が導入されている。
【0055】
変圧室1はパワーピストン10の負圧通路11を介して負圧室2と連通可能であり、負圧通路11の開口部が真空弁としての弁体3から離れて開放されると、負圧室2からの負圧が導かれる。
【0056】
一方、変圧室1は弁体3の大気圧通路部4を介して外部と連通可能であり、この大気圧通路部4が筒状のプランジャ7に設けられた弁座12から離れて開放されると、大気圧が導かれる。すなわちこの場合、弁体3の大気圧通路部4と弁座12とで大気弁が構成されている。
【0057】
ブレーキ非作動時には、リターンスプリング13aおよび13bの付勢力により図示したようにプランジャ7の弁座12が大気圧通路部4に着座してこれを閉ざすと共に、弁体3が負圧通路11から離れてこれを開いており、したがって負圧室2と変圧室1の圧力は等しくなっている。
【0058】
ブレーキ作動時には、ブレーキペダル21が踏み込まれてこれに連動するオペレーティングロッド6がパワーピストン10の中に押し込まれるのに伴い、リターンスプリング13aを支持するプランジャ7がパワーピストン10に対して図中左方向に所定のストロークだけ前進すると、リターンスプリング13aの弾性復元力により弁体3が摺動して負圧通路11を閉じる。この負圧通路11の閉じ始めの位置では大気圧通路部4はまだ閉ざされており、この位置からさらにプランジャ7が前進すると、弁体3は負圧通路11の開口部に着座した状態でそれ以上は移動できないので、プランジャ7の弁座12が弁体3から離れて大気圧通路部4が開く。これにより変圧室1に大気圧が導かれ、負圧室2と変圧室1の圧力差によりパワーピストン10がスプリング15に抗して図中左方向に押されて、マスタシリンダ26を収縮方向に付勢して、各車輪27にブレーキ力を発生する。
【0059】
一方、緊急時に負圧ブースタ25を自動的に作動させるブレーキアシスト制御を行うため、プランジャ7を電磁的に駆動するソレノイド5がパワーピストン10に設けられる。
【0060】
すなわち、制御装置29によってソレノイド5に所定の駆動電流を供給すると、プランジャ7がスプリング16に抗して図中左方向に前進し、負圧通路11と大気圧通路部4とが共に閉ざされる位置まで前進させる。この位置からさらにプランジャ7を前進させると、大気圧通路部4が開かれて、パワーピストン10がマスタシリンダ26を収縮方向に付勢して、各車輪27にブレーキ力を発生する。
【0061】
制御装置29は、ブレーキ踏力センサ22、ブレーキストロークセンサ23、前後Gセンサ33、車輪回転速度センサ28、液圧センサ34の情報、およびシフトロックソレノイド31のON、OFF情報が入力され、これらの情報に基づきシフトロック機構のシフトロック解除時に運転者のブレーキ操作特性を推定すると共に、ブレーキアシスト時に負圧ブースタ25のソレノイド5を駆動する制御信号を出力する。
【0062】
ここで、運転者のシフトロック解除時のブレーキ操作と緊急時のブレーキ操作との相関が高いことを実験により確認している。図12は7名のドライバにシフトロック解除の動作をさせたときのブレーキペダルの最大ストローク量およびストローク速度を示したもので、ストローク量35mm、ストローク速度35mm/secを境に、熟練者と非熟練者とがグループ化されている。図13は熟練者と非熟練者にテストコースで緊急シーンを体験させたときのブレーキペダルの操作の様子を示したもので、非熟練者はブレーキを踏み込むにつれて踏み方が徐々に甘くなり、フルストロークまで踏み切れていないため、停止距離が熟練者に比べて長くなる。以上のことから、緊急時にブレーキを踏み込める運転者は、踏み込めない運転者よりも、シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量およびストローク速度が大きく、シフトロック解除時のブレーキ操作特性から緊急時のブレーキ操作特性を推定できる。
【0063】
次に、制御装置29の演算処理動作を図3の流れ図に沿って説明する。この制御ルーチンは所定周期で実行される割り込み処理ルーチンである。
【0064】
これについて説明すると、まずステップ101で、ブレーキストロークセンサ23よりブレーキストローク量Sが読み込まれ、一定時間(約10秒)保存される。ステップ102では、ステップ101で読み込まれた現在のストローク量Sと記憶された前回のストローク量Soldとの差からストローク速度Vsを算出する。ストローク速度Vsも一定時間(約10秒)保存される。
【0065】
ステップ103では、コントロールレバーがP位置か否かが判断される。この判断は、キースイッチ35のON位置の信号と、ディテントスイッチ36のOFF(コントロールレバーがP位置でそのリリースボタンを押していない状態)の信号が、シフトロック制御装置30に入力されたかどうかによって行われる。
【0066】
ステップ103の結果、コントロールレバーがP位置でない場合は、後述のしきい値の補正を行わず、ステップ106へ進む。
【0067】
ステップ104では、記憶されたストローク量Sとストローク速度Vsとから、コントロールレバーがP位置にある間のストローク量Sの最大値Smaxとストローク速度Vsの最大値Vsmaxとが決定(更新)される。SmaxとVsmaxの値は、コントロールレバーがP位置にある間、このルーチンを通り、最大値に更新される。
【0068】
すなわち、コントロールレバーがP位置にあるときに、運転者がシフトロック機構のシフトロックを解除するためにブレーキ操作を行うが、その解除時のブレーキ操作のストローク量Sの最大値Smaxとストローク速度Vsの最大値Vsmaxとを測定する。
【0069】
ステップ105では、そのストローク量Sの最大値Smaxとストローク速度Vsの最大値Vsmaxとに基づいて、ブレーキアシスト制御を行うかどうか、すなわち緊急判断のためのブレーキストローク速度のしきい値xの補正を行う。
【0070】
この場合、シフトロック解除のブレーキ操作が激しいつまりSmax大、Vsmax大の運転者は踏力が強いと推定され、一方シフトロック解除のブレーキ操作がおとなしいつまりSmax小、Vsmax小の運転者は踏力が弱いと推定される。このため、例えば図4に示すような特性で、Smax、Vsmaxが大きいときは緊急判断のしきい値xを高くして、アシスト制御に入る感度を下げ、これによって誤判断による違和感の防止を図り、またSmax、Vsmaxが小さいときは緊急判断のしきい値xを低くして、アシスト制御に入る感度を上げ、これによって緊急状況を的確に把握する。
【0071】
ステップ106では、車輪回転速度信号から車両が停止しているか否かが判断され、停止している場合はステップ113でアシスト制御フラグBAFLGをクリアして、ステップ112へ進み、ブレーキアシスト制御を行わない(それまでブレーキアシスト制御を行っていたときは解除)。
【0072】
一方、車両が走行中の場合、ステップ108にてストローク速度Vsがしきい値xよりも大きいか否かが判断される。
【0073】
ストローク速度Vsがしきい値xよりも大きい場合は、緊急時であると判断し、ステップ109でアシスト制御フラグBAFLGを1にして、ステップ110にてブレーキアシスト制御を開始する。すなわち、負圧ブースタ25の真空弁3が閉じ、大気弁が開くようにソレノイド5を介してプランジャ7を駆動し、変圧室1に大気を導入することにより負圧室2との差圧を発生させて、マスタシリンダ26に各ホイルシリンダに導かれる液圧を発生させる。
【0074】
ストローク速度Vsがしきい値xよりも小さい場合は、ステップ111にてアシスト制御フラグBAFLGが立っているか否かを判断し、1であればステップ110へ進んでブレーキアシスト制御を継続し、0であればステップ112へ進み、ブレーキアシスト制御を行わない。
【0075】
ブレーキアシスト制御を行っていたときにステップ112に進んだ場合は、負圧ブースタ25の真空弁3が開き、大気弁が閉じるようにソレノイド5を介してプランジャ7を駆動して、ブレーキアシスト制御を解除する。この場合、ソレノイド5の通電を遮断するだけでもリターンスプリング16,13bの付勢力で真空弁3が開き、大気弁が閉じる。
【0076】
なお、ステップ103,104で行われる処理が、ブレーキ操作特性推定手段に、ステップ105で行われる処理が、しきい値xの補正手段に相当する。また、しきい値xは、例えば図4のようにシフトロック解除時のブレーキのストローク量Sの最大値Smaxが大きいほど、またストローク速度Vsの最大値Vsmaxが大きいほど、またこれらの最大値Smax、Vsmaxの積が大きいほど、大きくするように(例えば、初期値×1.5〜2.0)補正する。
【0077】
以上のように、シフトロック機構のシフトロックを解除する際のブレーキ操作を基に、運転者のブレーキ操作特性を推定して、ブレーキアシスト制御に入るしきい値を補正するので、いかなる運転者に対してもブレーキアシストを的確に行える。
【0078】
すなわち、ブレーキ操作がおとなしく、緊急時にブレーキを踏み込めない運転者の場合は、ブレーキアシスト制御に入るしきい値を低くするので、ブレーキの踏み込みが弱くてもブレーキアシストを確実に行うことができる。また、ブレーキ操作が激しく、緊急時にブレーキを踏み込める運転者の場合は、ブレーキアシスト制御に入るしきい値を高くするので、緊急状態にないときにブレーキアシストに入ってしまう違和感を解消することができる。
【0079】
一方、車両停車中にシフトロックを解除する際のブレーキのストローク量、ストローク速度を測定して、運転者のブレーキ操作特性を推定するので、外部状況による種々の影響を受ける走行中に行うものと比べて、運転者のブレーキ操作特性を的確かつ容易に把握することができる。
【0080】
また、車両の発進前に運転者のブレーキ操作特性を推定できるので、発進直後から運転者に合ったブレーキアシスト制御を行える。このため、車両の発進後、制動を行わないとブレーキ操作パターンを学習できないもののように、学習しきれていないときに緊急状態に会った場合に、ブレーキアシスト制御に違和感を生じるようなことはない。
【0081】
また、シフトロック解除は車両停車毎に行うので、例えば停車中にエンジンを切らないで運転者が代わっても、その発進前に新しい運転者のブレーキ操作特性を推定して、その新しい運転者に合ったブレーキアシスト制御が可能であり、的確なブレーキアシストを行える。
【0082】
なお、この実施形態では、ブレーキのストローク量、ストローク速度を基に運転者のブレーキ操作特性を推定しているが、ストローク量、ストローク速度はブレーキの踏力、踏力速度(踏力が増加する速度)にほぼ比例するため、ストローク量を踏力に、ストローク速度を踏力速度に置き換えて構成して良い。この場合、ブレーキ踏力センサ22よりブレーキ踏力を読み込み、ブレーキ踏力速度を算出する。また、制動中のブレーキのストローク速度をしきい値と比較して、しきい値よりも大きいときにブレーキアシスト制御に入るようにしているが、ブレーキの踏力速度をこれに対応するしきい値(もちろん運転者のブレーキ操作特性を基に補正する)と比較して、そのしきい値よりも大きいときにブレーキアシスト制御に入るように構成して良い。
【0083】
図5は、別の実施形態の制御装置29の演算処理動作を示す流れ図である。この制御ルーチンは所定周期で実行される割り込み処理ルーチンである。
【0084】
これについて説明すると、まずステップ201で、ブレーキ踏力センサ22よりブレーキ踏力Mが読み込まれ、一定時間(約10秒)保存される。ステップ202では、ステップ201で読み込まれた現在の踏力Mと記憶された前回の踏力Moldとの差から踏力速度Vmを算出する。踏力速度Vmも一定時間(約10秒)保存される。
【0085】
ステップ203では、コントロールレバーがP位置か否かが判断される。この判断は、キースイッチ35のON位置の信号と、ディテントスイッチ36のOFF(コントロールレバーがP位置でそのリリースボタンを押していない状態)の信号が、シフトロック制御装置30に入力されたかどうかによって行われる。
【0086】
ステップ203の結果、コントロールレバーがP位置でない場合は、後述の緊急時特性の補正を行わず、ステップ206へ進む。
【0087】
ステップ204では、記憶された踏力Mから、コントロールレバーがP位置にある間の踏力Mの最大値Mmaxが決定(更新)される。Mmaxの値は、コントロールレバーがP位置にある間、このルーチンを通り、最大値に更新される。すなわち、シフトロック解除時のブレーキ操作の踏力Mの最大値Mmaxを測定する。
【0088】
ステップ205では、その踏力Mの最大値Mmaxに基づいて、緊急時特性つまりブレーキアシスト制御に入ったときの踏力M/制動G特性(踏力Mに対する車両の前後方向の加速度Gの目標値)を決定する。
【0089】
この場合、例えば図6に示すように、最大値Mmaxが大、最大値Mmaxが小のそれぞれの踏力M/制動G特性(緊急時マップ)を設定しておく。すなわち、シフトロック解除のブレーキ操作が激しい(Mmax大)の運転者は踏力が強いと推定されることから、ゲインの低い特性つまりMmax大の緊急時マップを選択してアシスト制御の感度を下げ、これによって誤判断による違和感の防止を図る。一方、シフトロック解除のブレーキ操作がおとなしい(Mmax小)の運転者は踏力が弱いと推定されることから、ゲインの高い特性つまりMmax小の緊急時マップを選択してアシスト制御の感度を上げ、これによって緊急時のブレーキの効きを高める。
【0090】
ステップ206では、車輪回転速度信号から車両が停止しているか否かが判断され、停止している場合はステップ214でアシスト制御フラグBAFLGをクリアして、ステップ213へ進み、通常時マップを選択する(ブレーキアシスト制御は行わない)。
【0091】
一方、車両が走行中の場合、ステップ208にて踏力速度Vmがしきい値xmよりも大きいか否かが判断される。
【0092】
踏力速度Vmがしきい値xmよりも大きい場合は、緊急時であると判断し、ステップ209でアシスト制御フラグBAFLGを1にして、ステップ210でブレーキアシスト制御を行うための緊急時マップを選択して、ステップ211へ進む。このとき、Mmax大、Mmax小のいずれの緊急時マップを選択するかは、ステップ205にて既に決定している。
【0093】
踏力速度Vmがしきい値xmよりも小さい場合は、ステップ212にてアシスト制御フラグBAFLGが立っているか否かを判断し、1であればステップ210へ進み、0であればステップ213へ進む。
【0094】
ステップ211では、踏力Mに応じて緊急時マップで定まる車両の前後Gの目標値と、前後Gセンサ33より読み込んだ実際の前後Gとを比較して、その偏差に応じてアシスト制御をオン、オフさせる。
【0095】
すなわち、負圧ブースタ25の真空弁3が閉じ、大気弁が開くようにソレノイド5を介してプランジャ7を駆動し、変圧室1に大気を導入することにより負圧室2との差圧を発生させて、マスタシリンダ26に各ホイルシリンダに導かれる液圧を発生させる。また、アシスト制御を解除する場合は、負圧ブースタ25の真空弁3が開き、大気弁が閉じるようにソレノイド5を介してプランジャ7を駆動する、またはソレノイド5の通電を遮断する。これによって、緊急時に目標Gのブレーキアシストを確保する。
【0096】
ここで、緊急時マップ、通常時マップとも、0.3Gまでは同一としている。これは、万が一誤判断で緊急時でないのにかかわらず緊急時と判断された場合でも、常用域である0.3Gまでは通常ゲインを取ることによって、ブレーキの効き過ぎの違和感を解消する。
【0097】
緊急時マップは、シフトロック解除時のブレーキの踏力Mの最大値Mmaxが小さいほど、踏力Mに対する制動Gが大きくなるような目標値特性にして良い。また、シフトロック解除時にブレーキの踏力速度Vmの最大値を測定して、この最大値が小さいほど、またこれらの踏力Mの最大値Mmax、踏力速度Vmの最大値の積が小さいほど、踏力Mに対する制動Gが大きくなるような目標値特性にして良い。
【0098】
この実施形態によると、ブレーキの踏力の強い運転者と、ブレーキの踏力の弱い運転者とで、緊急時にほぼ一定のブレーキ力を得ることができる。
【0099】
なお、この実施形態では踏力速度のしきい値を固定値としたが、前述の実施形態のようにシフトロック解除時のブレーキ操作特性によって可変にして良い。また、踏力に基づいて前後Gの目標値を定め、実際の前後Gとの偏差から、ブレーキアシスト制御を行う構成としているが、前後Gの代わりにマスタシリンダ26やホイルシリンダの液圧を用い、踏力に基づいて液圧の目標値を定め、実際の液圧との偏差から、ブレーキアシスト制御を行う構成としても良い。
【0100】
また、ブレーキの踏力をストローク量に、踏力速度をストローク速度に置き換えて構成しても良い。
【0101】
図7は、さらに別の実施形態の制御装置29の演算処理動作を示す流れ図である。この制御ルーチンは所定周期で実行される割り込み処理ルーチンである。
【0102】
これについて説明すると、まずステップ301で、ブレーキ踏力センサ22よりブレーキ踏力Mが読み込まれ、一定時間(約10秒)保存される。ステップ302では、ステップ301で読み込まれた現在の踏力Mと記憶された前回の踏力Moldとの差から踏力速度Vmを算出する。踏力速度Vmも一定時間(約10秒)保存される。
【0103】
ステップ303では、コントロールレバーがP位置か否かが判断される。この判断は、キースイッチ35のON位置の信号と、ディテントスイッチ36のOFF(コントロールレバーがP位置でそのリリースボタンを押していない状態)の信号が、シフトロック制御装置30に入力されたかどうかによって行われる。
【0104】
ステップ303の結果、コントロールレバーがP位置でない場合は、後述のPID(比例積分微分)ゲインの補正を行わず、ステップ307へ進む。
【0105】
ステップ304では、記憶された踏力Mと踏力速度Vmとから、コントロールレバーがP位置にある間の踏力Mの最大値Mmaxと踏力速度Vmの最大値Vmmaxとが決定(更新)される。MmaxとVmmaxの値は、コントロールレバーがP位置にある間、このルーチンを通り、最大値に更新される。すなわち、シフトロック解除時のブレーキ操作の踏力Mの最大値Mmaxと踏力速度Vmの最大値Vmmaxとを測定する。
【0106】
ステップ305では、その踏力Mの最大値Mmaxと踏力速度Vmの最大値Vmmaxとの積Mmax×Vmmaxを算出し、ステップ306では、その積Mmax×Vmmaxに基づいて、制動時の踏力Mを補正するためのPID動作のゲインを決定する。
【0107】
この場合、P項ゲイン、I項ゲイン、D項ゲインは、例えば図8〜図10に示すように、積Mmax×Vmmaxが小さいほど大きな値になるように設定する。すなわち、シフトロック解除のブレーキ操作が激しい(積Mmax×Vmmax大)の運転者は踏力が強いと推定されることから、ゲインを低くして、制動時の違和感を防止する。一方、シフトロック解除のブレーキ操作がおとなしい(積Mmax×Vmmax小)の運転者は踏力が弱いと推定されることから、ゲインを高くして、緊急時および通常時のブレーキの効きを高める。
【0108】
次に、ステップ307では、過去の踏力データから踏力積分値を算出し、ステップ308では、ステップ301,302,307で得られた踏力値、踏力速度(踏力微分値)、踏力積分値にPID動作を行い、運転者の特性に見合った踏力補正値を算出する。このPID動作は、踏力値にP項ゲインを、踏力微分値にI項ゲインを、踏力積分値にD項ゲインを乗算、合計する。
【0109】
ステップ309では、算出した踏力補正値に応じて、図11に示すような特性に設定したマップから、液圧目標値(マスタシリンダ28等の出力液圧の目標値)を算出する。図11の例は踏力補正値と液圧目標値との関係を線型にしているが、車両のスペックに応じて非線型の特性にしても良い。
【0110】
ステップ310では、踏力補正値によって定まる液圧目標値と液圧センサ34より読み込んだ実際の液圧とを比較して、その偏差に応じてアシスト制御をオン、オフさせる。
【0111】
すなわち、負圧ブースタ25の真空弁3が閉じ、大気弁が開くようにソレノイド5を介してプランジャ7を駆動し、変圧室1に大気を導入することにより負圧室2との差圧を発生させて、マスタシリンダ26に各ホイルシリンダに導かれる液圧を発生させる。また、アシスト制御を解除する場合は、負圧ブースタ25の真空弁3が開き、大気弁が閉じるようにソレノイド5を介してプランジャ7を駆動する、またはソレノイド5の通電を遮断する。
【0112】
この実施形態によると、PID動作による踏力補正値、すなわち緊急時および通常時に、ブレーキの踏力、踏力微分値、踏力積分値に基づき、運転者のブレーキ操作特性に適合した目標のブレーキ力を得ることができる。
【0113】
なお、この実施形態では踏力補正値に基づいて液圧の目標値を定め、実際の液圧との偏差から、ブレーキアシスト制御を行う構成としているが、液圧の代わりに車両の前後Gを用い、踏力に基づいて前後Gの目標値を定め、実際の前後Gとの偏差から、ブレーキアシスト制御を行う構成としても良い。また、ブレーキの踏力をストローク量に、踏力速度をストローク速度に置き換えて構成しても良い。
【0114】
また、各実施形態では、負圧ブースタの変圧室に大気を導入することによってブレーキアシスト力を発生する構成を示したが、その負圧室の負圧を高める構成、ABS(アンチロックブレーキ装置)等の液圧制御回路を利用してブレーキアシスト力を発生する構成、電気的にホイルシリンダ圧を制御するブレーキバイワイヤを用いる構成にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】負圧ブースタの断面図である。
【図3】制御内容を示す流れ図である。
【図4】シフトロック解除時のブレーキ操作としきい値との関係を示す特性図である。
【図5】他の実施形態の制御内容を示す流れ図である。
【図6】ブレーキ踏力と制動Gの目標値との関係を示す特性図である。
【図7】他の実施形態の制御内容を示す流れ図である。
【図8】P項ゲインの特性図である。
【図9】I項ゲインの特性図である。
【図10】D項ゲインの特性図である。
【図11】踏力補正値と液圧目標値との関係を示す特性図である。
【図12】各運転者のシフトロック解除時のブレーキ操作特性図である。
【図13】緊急時のブレーキの踏み込み特性図である。
【符号の説明】
1 変圧室
2 負圧室
3 弁体(真空弁)
4 大気圧通路部
5 ソレノイド(電磁弁)
6 オペレーティングロッド
7 プランジャ
8 プッシュロッド
9 リアクションディスク
10 パワーピストン
11 負圧通路
12 弁座(大気弁)
14 ダイアフラム
21 ブレーキペダル
22 ブレーキ踏力センサ
23 プレーキストロークセンサ
25 負圧ブースタ
26 マスタシリンダ
27 車両の車輪
28 車輪回転速度センサ
29 制御装置
30 シフトロック制御装置
31 シフトロックソレノイド
33 前後Gセンサ
34 液圧センサ
35 キースイッチ
36 ディテントスイッチ
37 ストップランプスイッチ

Claims (18)

  1. コントロールレバーをパーキング位置からシフトチェンジする際にシフトロック解除にブレーキ操作を必要とするシフトロック機構付きの自動変速機を持つ車両のブレーキアシストシステムにおいて、
    シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量を測定する最大ストローク量測定手段と、
    シフトロック解除時のブレーキのストローク速度の最大値を測定する最大ストローク速度測定手段と、
    その最大ストローク量と最大ストローク速度とから運転者のブレーキ操作特性を推定する操作特性推定手段と、
    制動中のブレーキのストローク速度を測定する手段と、
    このストローク速度が所定値xを越えたときにブレーキアシスト力を発生するブレーキアシスト手段と、
    シフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいて前記所定値xの値を補正する補正手段と、
    を備えたことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  2. シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量が大きいほど、所定値xを大きくする
    ことを特徴とする請求項に記載のブレーキアシストシステム。
  3. シフトロック解除時のブレーキのストローク速度の最大値が大きいほど、所定値xを大きくする
    ことを特徴とする請求項に記載のブレーキアシストシステム。
  4. シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量とストローク速度の最大値との積が大きいほど、所定値xを大きくする
    ことを特徴とする請求項に記載のブレーキアシストシステム。
  5. コントロールレバーをパーキング位置からシフトチェンジする際にシフトロック解除にブレーキ操作を必要とするシフトロック機構付きの自動変速機を持つ車両のブレーキアシストシステムにおいて、
    シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量を測定する最大ストローク量測定手段と、
    シフトロック解除時のブレーキのストローク速度の最大値を測定する最大ストローク速度測定手段と、
    その最大ストローク量と最大ストローク速度とから運転者のブレーキ操作特性を推定する操作特性推定手段と、
    測定したブレーキのストロークに対して予め定めたゲインで比例積分微分動作を行ってブレーキ目標値を算出する目標値算出手段と、
    該ブレーキ目標値に基づいてブレーキアシスト力を発生するブレーキアシスト手段と
    シフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいて前記ゲインの値を補正する補正手段と
    を備えることを特徴とするブレーキアシストシステム。
  6. シフトロック解除時のブレーキの最大ストロークが小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する
    ことを特徴とする請求項に記載のブレーキアシストシステム。
  7. シフトロック解除時のブレーキのストローク速度の最大値が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する
    ことを特徴とする請求項に記載のブレーキアシストシステム。
  8. シフトロック解除時のブレーキの最大ストロークとストローク速度の最大値との積が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する
    ことを特徴とする請求項に記載のブレーキアシストシステム。
  9. 前記操作特性推定手段は、シフトロック解除時のブレーキの最大ストローク量とストローク速度の最大値との積から運転者のブレーキ操作特性を推定する
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のブレーキアシストシステム。
  10. コントロールレバーをパーキング位置からシフトチェンジする際にシフトロック解除にブレーキ操作を必要とするシフトロック機構付きの自動変速機を持つ車両のブレーキアシストシステムにおいて、
    シフトロック解除時のブレーキの最大踏力を測定する最大踏力測定手段と、
    シフトロック解除時のブレーキの踏力速度の最大値を測定する最大踏力速度測定手段と、
    その最大踏力と最大踏力速度とから運転者のブレーキ操作特性を推定する操作特性推定手段と、
    制動中のブレーキの踏力速度を測定する手段と、
    この踏力速度が所定値xを越えたときにブレーキアシスト力を発生するブレーキアシスト手段と、
    シフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいて前記所定値xの値を補正する補正手段と、
    を備えたことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  11. シフトロック解除時のブレーキの最大踏力が大きいほど、所定値xを大きくする
    ことを特徴とする請求項10に記載のブレーキアシストシステム。
  12. シフトロック解除時のブレーキの踏力速度の最大値が大きいほど、所定値xを大きくする
    ことを特徴とする請求項10に記載のブレーキアシストシステム。
  13. シフトロック解除時のブレーキの最大踏力と踏力速度の最大値との積が大きいほど、所定値xを大きくする
    ことを特徴とする請求項10に記載のブレーキアシストシステム。
  14. コントロールレバーをパーキング位置からシフトチェンジする際にシフトロック解除にブレーキ操作を必要とするシフトロック機構付きの自動変速機を持つ車両のブレーキアシストシステムにおいて、
    シフトロック解除時のブレーキの最大踏力を測定する最大踏力測定手段と、
    シフトロック解除時のブレーキの踏力速度の最大値を測定する最大踏力速度測定手段と、
    その最大踏力と最大踏力速度とから運転者のブレーキ操作特性を推定する操作特性推定手段と、
    測定したブレーキの踏力に対して予め定めたゲインで比例積分微分動作を行ってブレーキ目標値を算出する目標値算出手段と、
    該ブレーキ目標値に基づいてブレーキアシスト力を発生するブレーキアシスト手段と
    シフトロック解除時に推定した運転者のブレーキ操作特性に基づいて前記ゲインの値を補正する補正手段と、
    を備えることを特徴とするブレーキアシストシステム。
  15. シフトロック解除時のブレーキの最大踏力が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する
    ことを特徴とする請求項14に記載のブレーキアシストシステム。
  16. シフトロック解除時のブレーキの踏力速度の最大値が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する
    ことを特徴とする請求項14に記載のブレーキアシストシステム。
  17. シフトロック解除時のブレーキの最大踏力と踏力速度の最大値との積が小さいほど、ブレーキ目標値が大きくなるようにゲインを補正する
    ことを特徴とする請求項14に記載のブレーキアシストシステム。
  18. 前記操作特性推定手段は、シフトロック解除時のブレーキの最大踏力と踏力速度の最大値との積から運転者のブレーキ操作特性を推定する
    ことを特徴とする請求項10〜17のいずれか一つに記載のブレーキアシストシステム。
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