JP3713844B2 - 吸着式冷凍装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸着剤により冷媒を吸着、脱着させることを利用した吸着式冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に特願平8−57727号において、図4に示すような吸着式冷凍装置を提案している。この装置は、凝縮器3と、2段の蒸発器41、42と、2段の第1吸着コア11、12、2段の第2吸着コア21、22とを備えている。そして、第1吸着コア11、12、第2吸着コア21、22には、エンジンからの加熱流体と、室外熱交換器70からの冷却流体とが交互に供給されるようになっている。また、凝縮器3と2段目の蒸発器42、および、2段目の蒸発器42と1段目の蒸発器41とは、第1、第2キャピラリ管101、102にて接続されている。
【0003】
そして、第1吸着コア11、12が脱着工程を行い、第2吸着コア21、22が吸着工程を行なうとき、開閉弁5a〜5hにより、第1吸着コア11、12と凝縮器3、および、第2吸着コア21、22と第1、第2蒸発器41、42とを連通し、第1吸着コア11、12と第1、第2蒸発器41、42、および、第2吸着コア21、22と凝縮器3とを非連通状態とする。
【0004】
また、1段目の第1吸着コア11から2段目の第1吸着コア12にかけて加熱流体を流すことにより、両第1吸着コア11、12にて気体冷媒を脱着し、この脱着された気体冷媒を凝縮器3にて凝縮する。また、1段目の第2吸着コア21から2段目の第2吸着コア22にかけて冷却流体を流すことにより、両第2吸着コア21、22にて気体冷媒を吸着し、両蒸発器41、42にて液体冷媒を蒸発させる。このように、蒸発器41、42および吸着コア11、12、21、22を複数段に設けることにより、吸着式冷凍装置1の冷房能力の向上を試みている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような、2個の蒸発器41、42を備えた吸着式冷凍装置100では、冷房能力を効果的には向上できない恐れがあることが、本発明者の実験、検討により確認された。
この原因として、まず、冷却流体は冷媒の吸着による吸着熱を奪って加熱されるので、1段目の第2吸着コア21から2段目の第2吸着コア22にかけて、冷却流体の温度が徐々に上がり、吸着能力も徐々に低下している。このため、1段目の第2吸着コア21および1段目の蒸発器41の方が、2段目の第2吸着コア22および2段目の蒸発器42よりも圧力が低い。
【0006】
ここで、凝縮器3からの冷媒が、第1、第2キャピラリ管101、102を経て2段の第2吸着コア21、22に供給されるが、より圧力の低い1段目の蒸発器41内に、より多くの液体冷媒が供給されることになる。よって、より圧力の高い2段目の蒸発器42内に、少量の液体冷媒しか供給されなくなる恐れがあり、冷媒の蒸発が良好に行なわれず、冷房能力が低下する恐れがあるのである。
【0007】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、複数段の蒸発器に対応して複数段の吸着コアを設けた吸着式冷凍装置において、各蒸発器への液体冷媒の供給量を均一化することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1、3、および4に記載の発明では、複数段の第1、第2凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)のそれぞれに連通するように、複数段の第1吸着コア(11〜1n)、第2吸着コア(21〜2n)を設けた吸着式冷凍装置であって、第1凝縮蒸発器(31〜3n)と第2凝縮蒸発器(41〜4n)とを連通する連通手段(10)に、第1冷媒出入口(81〜8n)、第2冷媒出入口(91〜9n)を設け、この冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)における冷媒の流出圧損を、冷媒の蒸発を行なう第1凝縮蒸発器(31〜3n)、第2凝縮蒸発器(41〜4n)内の圧力に反比例するように設定したことを特徴としている。
【0009】
ここで、複数段の吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)には、これら吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)を冷却する冷却流体と、加熱する加熱流体とを、交互に供給するようになっている。そして、例えば、これら吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)に直列に冷却流体を流す場合のように、各吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)に流れる冷却流体の温度が異なる場合、各吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)の吸着能力が異なるため、各吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)、ひいては、これに連通する凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)内の圧力が異なる。
【0010】
これに対して、連通手段(10)の冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)における冷媒の流出圧損を、冷媒の蒸発を行なう凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)内の圧力に反比例するように設定してある。つまり、圧力の高い側の凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)に対応する冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の流出圧損は低く、圧力の低い側の凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)に対応する冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の流出圧損は高く設定してある。
【0011】
この結果、圧力の高い側では、冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の外部から内部に向かって高い圧力がかかり、冷媒が吐出しにくいのに対して、冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の流出圧損が低いために、冷媒が吐出しやすくなる。また、圧力の低い側では、冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の外部から内部に向かって低い圧力しかかからず、冷媒が吐出しやすいのに対して、冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の流出圧損が高いために、冷媒が吐出しにくくなる。このようにして、各冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)から吐出する液体冷媒の流量を均一化することができる。
【0012】
よって、冷媒の蒸発を行なう凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)の全てにわたって、冷媒の供給量を均一化でき、全ての凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)において、冷媒の蒸発を良好に行なうことができるので、冷房能力を向上できる。
また、請求項2、3、および4に記載の発明は、凝縮器(3)、複数段の蒸発器(41、42)、および、第1吸着コア(11、12)、第2吸着コア(21、22)を備えた吸着式冷凍装置であって、凝縮器(3)と蒸発器(41、42)とを連通する連通手段(10)に、蒸発器(41、42)に対応するように複数個の冷媒出口(81、82)を設け、この冷媒出口(81、82)における冷媒の流出圧損を、蒸発器(41、42)内の圧力に反比例するように設定してある。
【0013】
よって、上記請求項1、3、4に記載の発明と同様に、複数段の蒸発器(41、42)の全てにわたって冷媒の供給量を均一化でき、全ての蒸発器(41、42)において、冷媒の蒸発を良好に行なうことができるので、冷房能力を向上できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の吸着式冷凍装置は、車両のエンジンルームに主に配置され、車室内を冷房するものである。図1に示すように、吸着式冷凍装置100は、略直方体状の第1、第2密閉容器5、6を備えており、この密閉容器5、6の内部を、複数個(n個、例えばn=10)の密閉空間に気液密に仕切ることにより、箱状の第1密閉容器51、52、…、5n(以下、51〜5nで示す)、および、第2密閉容器61、62、…、6n(以下、61〜6nで示す)が構成されている。
【0015】
そして、第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6nの上方部には、後述する熱交換流体が内部を流れる流体通路Lと、この通路L周囲に設けられる多数の吸着剤Sおよび伝熱フィン(図示せず)とが配置されている。そして、流体通路L、吸着剤Sおよび伝熱フィンを収容する第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6nの上方部により、複数段(n段、例えば10段)の第1吸着コア11、12、…、1n(以下、11〜1nで示す)、第2吸着コア21、22、…、2n(以下、21〜2nで示す)を構成している。
【0016】
ここで、吸着剤Sは、冷却状態において冷媒(例えば水、アルコール等)を高能力で吸着し、また、冷媒の吸着に伴い吸着能力が次第に低下するが、加熱状態とされることにより、吸着していた冷媒を脱着して吸着能力が再生されるという性質を有している。
また、第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6nの下方部には、後述する熱交換流体が内部を流れる流体通路Mと、この通路M周囲に設けられる伝熱フィン(図示せず)が配置されている。そして、流体通路Mおよび伝熱フィンを収容する第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6nの下方部により、複数段の第1凝縮蒸発器31、32、…、3n(以下、31〜3nで示す)、第2凝縮蒸発器41、42、…、4n(以下、41〜4nで示す)が構成されている。
【0017】
このように、第1吸着コア11〜1nと第1凝縮蒸発器31〜3n、および、第2吸着コア21〜2nと第2凝縮蒸発器41〜4nとは、それぞれ常時連通した状態で配置されているので、気体冷媒の流路を切替弁等の切替手段にて切り替える必要がない。このため、気体冷媒の圧力損失を低減できるとともに、この装置100の制御や構造が単純となる。なお、第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6nは、その下面が水平方向に並ぶように配置される。
【0018】
第1、第2吸着コア11〜1n、21〜2nは、一方が冷媒を吸着する吸着工程を実行するとき、他方が冷媒を脱着する脱着工程を実行するようになっている。第1、第2凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nは、一方が冷媒を蒸発させる蒸発器としてはたらくとき、他方が冷媒を凝縮する凝縮器としてはたらくようになっている。
【0019】
室内熱交換器70は室内に配置され、熱交換流体が流れる流体通路(図示せず)および伝熱フィン(図示せず)を備えている。室外熱交換器71は、室外に配置され、流体通路(図示せず)および伝熱フィン(図示せず)を備えている。そして、室外熱交換器70、電動ポンプ72、第1、第2凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nのn段目から1段目、四方切替弁73、室内熱交換器71、四方切替弁74、第1、第2吸着コア11〜1n、21〜2nの1段目からn段目、四方切替弁75、室外熱交換器70が、この順で直列に接続されている。
【0020】
また、室外熱交換器70、電動ポンプ72、第1、第2凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nのn段目から1段目、四方切替弁73、室外熱交換器70が、この順で直列に接続されている。また、図示しないエンジン、電動ポンプ76、四方切替弁74、第1、第2吸着コア11〜1n、21〜2nの1段目からn段目、四方切替弁75、上記エンジンが、この順で直列に接続されている。
【0021】
そして、冷媒通路であるとともに、所定の圧力損失を発生させる絞りのはたらきをするキャピラリ管(連通手段)10が、第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6n内部の下面近傍(第1凝縮蒸発器31〜3n、および、第2凝縮蒸発器41〜4nの下方)に連通するように配置されている。このキャピラリ管10は、一端10aおよび他端10bが閉塞した1本のパイプを略コ字状に折り曲げ加工したものであり、その長手方向が略水平方向に向くように配置されている。
【0022】
そして、キャピラリ管10は、第1密閉容器51〜5n、および、第2密閉容器61〜6nの下面近傍にくし刺し状に貫通している。この両貫通部分には、第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6n内部の下面近傍にそれぞれ対応して、複数個の第1、第2開口部(冷媒出入口部)81、82、…、8n、91、92、…、9n(以下、81〜8n、91〜9nと示す)が形成されている。
【0023】
そして、1段目の第1、第2密閉容器51、61に対応する第1、第2開口部81、91から、n段目の第1、第2密閉容器5n、6nに対応する第1、第2開口部8n、9nにかけて、その開口面積が徐々に大きくなるように構成されている。
また、キャピラリ管10のうち上記両貫通部分の間には、上方内部に気体冷媒、下方内部に液体冷媒を収容可能な冷媒タンク20が配置されている。この冷媒タンク20には、内部に液体冷媒および気体冷媒を流入させる入口チューブ(入口部)20aと、内部の液体冷媒を流出させる出口チューブ(出口部)20bとを備えている。
【0024】
そして、キャピラリ管10と、冷媒タンク20の入口チューブ20aおよび出口チューブ20bとの連通状態を後述のように切り替える切替部10Aが設けられている。以下に、切替部10Aおよび冷媒タンク20の具体的構造を図2(a)ないし(d)に基づいて説明する。
まず、切替部10Aでは、パイプ10が二股にわかれており、この二股のそれぞれの部位に、三方切替弁10B、10Cが設けられている。この三方切替弁10B、10Cは、図2(b)、(c)、(d)に示す位置に切り替え可能となっている。具体的に、図2(b)に示す位置のときは、入口、出口チューブ20a、20bが、パイプ10の一端10a側と連通し、図2(c)に示す位置のときは、入口、出口チューブ20a、20bが、パイプ10の他端10b側と連通し、図2(d)に示す位置のときは、入口、出口チューブ20a、20bとパイプ10とは非連通状態となる。
【0025】
そして、冷媒タンク20は、略円筒状の密閉容器に、入口チューブ20aおよび出口チューブ20bを気液密に貫通させてなる。そして、入口チューブ20aの先端は、内部の液体冷媒の上面よりも常に上方に配置されるようになっており、出口チューブ20bの先端は、内部の液体冷媒の上面よりも常に下方に配置されるようになっている。これにより、入口チューブ20aから液体冷媒とともに気体冷媒が入ってきたとき、気体冷媒がタンク20内の液体冷媒内に混入することはなく、出口チューブ20bからは確実に液体冷媒のみを流出できる。よって、この冷媒タンク20において、確実に気液分離を行なうことができる。
【0026】
以下に、上記構成の吸着式冷凍装置100の作動を説明する。
まず、第1吸着コア11〜1nが吸着工程、第2吸着コア21〜2nが脱着工程を実行する第1過程について説明する。なお、この冷凍装置100には、1段の吸着コア11〜1n、または、21〜2nで吸着可能な冷媒量の2倍程度の冷媒が封入されているものとする。
【0027】
まず、第1過程では、上記弁73、74、75は図1中実線位置に、上記弁10Bは図3(c)に示す位置に、上記弁10Cは図3(b)に示す位置に設定される。
この結果、エンジンからの90℃程度の流体が、1段目の第2吸着コア21からn段目の第2吸着コア2nの順に流れるとともに、室外熱交換器70からの30℃程度の流体が、n段目の第2凝縮蒸発器4nから1段目の第2凝縮蒸発器41の順に流れる。これにより、第2吸着コア21〜2nが加熱されて冷媒を脱着するとともに、第2凝縮蒸発器41〜4nが冷媒を凝縮する。この凝縮した冷媒は、パイプ10の冷媒出入口91〜9nから、弁10B、入口チューブ20aを経て、冷媒タンク20へ送られる。
【0028】
このとき、冷媒タンク20が常温(約25℃)であるのに対して、第2凝縮蒸発器41〜4n(第2密閉容器61〜6n内)は温度が40℃程度に高くなって圧力が上がるため、この圧力差により、第2凝縮蒸発器41〜4nの液体冷媒は自動的に冷媒タンク20側へ移動する。
また、第2吸着コア21〜2nを流れる流体は、冷媒の脱着による脱着熱が奪われて80℃程度に冷却され、この冷却された流体をエンジンにて再び90℃程度に加熱するようになっている。なお、エンジンからの流体は、第2吸着コア21〜2nを加熱する加熱流体としてはたらく。また、第2凝縮蒸発器41〜4nを流れる流体は、冷媒の凝縮による凝縮熱を奪って40℃程度に加熱され、この加熱された流体を室外熱交換器70にて再び30℃程度に冷却するするようになっている。
【0029】
また、室外熱交換器70からの流体が、n段目の第1凝縮蒸発器3nから1段目の第1凝縮蒸発器31の順に流れ、さらに、室内熱交換器71を経て、1段目の第1吸着コア11からn段目の第1吸着コア1nの順に流れる。これにより、第1吸着コア11〜1nが冷却されて冷媒を吸着するとともに、第1凝縮蒸発器31〜3nが冷媒を蒸発させる。
【0030】
また、第1凝縮蒸発器31〜3nを流れる流体は、冷媒の蒸発による蒸発熱を奪われて10℃程度に冷却され、この冷却された流体を室内熱交換器71に流すことにより、室内を冷却するようにしている。室内熱交換器71で熱交換された流体は25℃程度に加熱されるが、第1吸着コア11〜1nを冷却する冷却流体としてはたらく。
【0031】
このとき、冷媒タンク20は常温(約25℃)であるのに対して、第1密閉容器51〜5nは温度が常温よりも低く、圧力が低くなっているため、この圧力差により、冷媒タンク20内の液体冷媒は自動的に第1密閉容器51〜5n側へ移動する。
ところで、第1吸着コア11〜1nを流れる流体は、冷媒の吸着による吸着熱を奪って加熱されるため、その上流側(1段目の第1吸着コア11)から下流側(n段目の第1吸着コア1n)にかけて、徐々に吸着能力が低下するため、1段目の第1密閉容器51からn段目の密閉容器5nにかけて、徐々に圧力が大きくなる。例えば、1段目の密閉容器51が10Torr、2段目の密閉容器52が12Torr、…、10段目の密閉容器510が30Torrとなる。
【0032】
これに対して、キャピラリ管10の開口部81〜8nの開口面積が、1個目の開口部81からn個目の開口部8nにかけて大きくなるように構成されている。つまり、1個目の開口部81からn個目の開口部8nにかけて、液体冷媒の流出圧損が小さくなる。
この結果、より圧力の高い1段目の第1密閉容器51では、開口部81の外部から内部に向かって高い圧力がかかり、液体冷媒が吐出しにくいのに対して、この開口部81における液体冷媒の流出圧損が低いために、液体冷媒が吐出しやすくなる。そして、2段目以降の第1密閉容器52〜5nでは、開口部82〜8nの外部から内部に向かう圧力が徐々に低くなるのに対して、開口部82〜8nにおける液体冷媒の流出圧損が高くなる。この結果、各開口部81〜8nから吐出する液体冷媒の流量を均一化することができる。
【0033】
よって、蒸発工程を実行する凝縮蒸発器31〜3nの全てにわたって、ほぼ一定量の冷媒を供給可能となり、この凝縮蒸発器31〜3nにおける冷媒の蒸発を良好に行なうことができ、冷房能力を向上できる。
なお、吸着側の吸着コア11〜1n、21〜2nを流れる冷却流体の速度よりも、脱着側の吸着コア11〜1n、21〜2nを流れる加熱流体の速度の方が速く設定されている。これにより、第1過程から第2過程に切り替えるときに、第2吸着コア11〜1n、21〜2nは、依然吸着可能な状態とし、第1過程と第2過程とを切り替える前に、脱着側の吸着コア11〜1n、21〜2nは、それ以上脱着できない状態(脱着完了状態)となるようにしてある。
【0034】
また、吸着コア11〜1n、21〜2nが脱着完了状態となってから、第1過程と第2過程とを切り替えるまでの間に、第1密閉容器51〜5n内の冷媒を全て凝縮し、さらに、この凝縮された冷媒を全て開口部81〜8nを経て冷媒タンク20へ収容可能となるようにしてある。
そして、冷媒が全て凝縮した状態では、密閉容器51〜5n、61〜6n内の圧力は全て等しくなる(例えば55torr程度)。このとき、キャピラリ管10の開口部81〜8nの開口面積が上述のように設定してあるため、開口部81〜8nから吸い込まれる冷媒量は、1個目の開口部81からn個目の開口部8nにかけて多くなるが、最終的に、全ての冷媒がタンク20へ収容されるようになっているので、問題はない。
【0035】
そして、上記第1過程から第2過程(第1吸着コア11〜1nが脱着工程、第2吸着コア21〜2nが吸着工程を実行する過程)に切り替えるときは、上記弁73、74、75を図1中点線位置に、上記弁10Bを図3(b)に示す位置に、上記弁10Cは図3(c)に示す位置に設定する。
これにより、第1凝縮蒸発器31〜3nが凝縮工程を実行し、第2凝縮蒸発器41〜4nが蒸発工程を実行するようになる。なお、詳しい作動説明は省略する。
【0036】
(第2の実施形態)
図3に示す本実施形態の吸着式冷凍装置100は、1つの凝縮器3、2段の蒸発器41、42および2段の第1吸着コア11、12、第2吸着コア21、22を備えている。そして、1段目の蒸発器41と、1段目の第1吸着コア11および1段目の第2吸着コア21とは、連通部5A、5Bにて連通しており、2段目の蒸発器42と、2段目の第1吸着コア12および1段目の第2吸着コア22とは、連通部5C、5Dにて連通している。この連通部5A、5B、5C、5Dには、これら連通部5A、5B、5C、5Dを開閉する(つまり、蒸発器41、42と、第1吸着コア11、12および第2吸着コア21、22との連通状態を切り替える)開閉弁5a、5b、5c、5dが設けられている。
【0037】
また、第1、第2吸着コア11、12、21、22と、凝縮器3とは、連通部5E、5F、5G、5Hにて連通しており、この連通部5E、5F、5G、5Hには、これら連通部5E、5F、5G、5Hを開閉する(つまり、第1、第2吸着コア11、12、21、22と、凝縮器3との連通状態を切り替える)開閉弁5e、5f、5g、5hが設けられている。
【0038】
また、凝縮器32と、蒸発器41、42とは、冷媒液通路たる絞り兼用のキャピラリ管10にて連通されている。このキャピラリ管10のうち、蒸発器41、42のそれぞれに対応する部位には、略筒状に突出する突出管81、82が設けられており、この突出管81、82が、蒸発器41、42内部に連通している。なお、突出管81と突出管82とは、断面積は同じであるが、突出管81の方が、突出管82よりも高さが大きく構成されている。
【0039】
そして、室外熱交換器70、2段目の蒸発器42、電動ポンプ77、四方切替弁76、1段目の第1、第2吸着コア11、21、2段目の第1、第2吸着コア12、22、四方切替弁75、室外熱交換器70が、この順に直列に接続されている。また、1段目の蒸発器41、室内熱交換器71、電動ポンプ78、1段目の蒸発器41が、この順に直列に接続されている。また、エンジン、四方切替弁76、1段目の第1、第2吸着コア11、21、2段目の第1、第2吸着コア12、22、四方切替弁75、エンジンが、この順に直列に接続されている。
【0040】
以下に、上記構成による作動を説明する。
まず、第1吸着コア11、12が脱着工程、第2吸着コア21、22が吸着工程を実行する場合について説明する。
まず、四方切替弁76、77を、図3中実線位置とし、開閉弁5a、5c、5f、5hにて、連通部5A、5C、5F、5Hを閉じ(この状態を図3中黒塗りで示す)、開閉弁5b、5d、5e、5gにて、連通部5B、5D、5E、5Gを開く(この状態を図3中白抜きで示す)。
【0041】
これにより、エンジンから流出した加熱流体が1段目の第1吸着コア11から2段目の第1吸着コア12へと流れてエンジンに戻されるとともに、室外熱交換器70、1段目の蒸発器42を経て冷却された熱交換流体が、1段目の第2吸着コア41から2段目の第2吸着コア42へと流れて、室外熱交換器70に戻る。この結果、1段目の第2吸着コア21と2段目の第2吸着コア22の吸着剤Sが冷却されて吸着作用を呈するため、1段目の蒸発器41および2段目の蒸発器42に貯められている液体冷媒が気化し、気化した冷媒蒸気は、それぞれ第2吸着コア21、22に吸着される。このときの1段目の蒸発器41の冷媒の気化潜熱により、この蒸発器41そ流れる熱交換流体が冷却され、これにより室内熱交換器71が冷却作用を呈して車室内空気を冷却する。
【0042】
一方、1段目の第1吸着コア11および2段目の第1吸着コア12では冷媒を脱着し、この脱着により生じた冷媒蒸気が、凝縮器32において冷やされて凝縮する。この凝縮した液体冷媒は、キャピラリ管10を経て、突出管81、82から、蒸発器41、42に供給され、ここで気化して第2吸着コア21、22の吸着剤Sにそれぞれ吸着される。
【0043】
そして、第2吸着コア21、22において、冷媒の吸着による吸着熱を奪った熱交換流体は、まず、室外熱交換器70で大気中への放熱により冷やされた後、2段目の蒸発器において、冷媒の蒸発による蒸発潜熱を奪われてさらに冷やされ、その後、第1吸着コア11、12を順次流れるというように循環する。
このような状態が所定時間続くと、第1吸着コア11、12における吸着剤Sの脱着が終了し、第2吸着コア21、22における吸着剤Sの吸着能力が低下する。このとき、第1吸着コア11、12が吸着工程、第2吸着コア21、22が脱着工程を実行するように運転を切り替える。具体的には、両四方弁75、76を図3中点線位置とし、開閉弁5a、5c、5f、5hにて、連通部5A、5C、5F、5Hを開き、開閉弁5b、5d、5e、5gにて、連通部5B、5D、5E、5Gを閉じる。このときの具体的作動は説明を省略する。
【0044】
ここで、本実施形態では、第2吸着コア11、12を流れる流体は、冷媒の吸着による吸着熱を奪って加熱されるため、その上流側(1段目の第1吸着コア11)から下流側(2段目の第1吸着コア12)にかけて、徐々に吸着能力が低下するため、1段目の吸着コア11の方が、2段目の吸着コア12よりも、圧力が低い。
【0045】
これに対して、キャピラリ管10の突出管81と突出管82とは、断面積は同じであるが、突出管81の方が、突出管82よりも高さが小さく構成されている。つまり、突出管81の方が、突出管82よりも、冷媒の流出圧損が大きくなる。この結果、圧力の低い1段目の吸着コア11では、突出管81の外部から内部に向かって小さな力がかかり、液体冷媒が吐出しやすいのに対して、この突出管81における液体冷媒の流出圧損が大きいために、冷媒が吐出しにくくなる。そして、2段目の吸着コア12では、突出管82の外部から内部に向かって大きな力がかかり、液体冷媒が吐出しにくいのに対して、この突出管82における液体冷媒の流出圧損が小さいために、冷媒が吐出しやすくなる。このようにして、各突出管81、82から吐出する冷媒の量を均一化することができる。
【0046】
よって、蒸発工程を実行する凝縮蒸発器31〜3nの全てにわたって、ほぼ一定量の冷媒を供給可能となり、この凝縮蒸発器31〜3nにおける冷媒の蒸発を良好に行なうことができ、冷房能力を向上できる。
また、室外熱交換器70で冷やされた冷却流体を、さらに2段目の蒸発器42で冷却して、第1吸着コア11、12、または、第2吸着コア21、22に供給するようにしたので、吸着コア11、12、21、22を大型化することなく、吸着式冷凍装置100全体としての冷却能力を高めることができる。
【0047】
(他の実施形態)
上記第1の実施形態において、第1工程と第2工程とを切り替えてから次の切り替えを行なうまで、液体冷媒を凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nへ供給したとき、この凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nの流体通路Mが液体冷媒に完全に浸漬してしまい、流体通路Mにおける熱交換を良好に行なえない恐れがある。
【0048】
これに対して、上記次の切り替えを行なう前において、開閉弁10Cを図2(d)に示す位置として、冷媒タンク20から、蒸発工程を実行する凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nへの液体冷媒の供給を停止するようにしてもよい。これにより、凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nに所定量の液体冷媒を供給でき、流体通路Mにおける熱交換を良好に行うことができる。
【0049】
また、第1の実施形態において、キャピラリ管10は、第1、第2凝縮蒸発器31〜3n、41〜4n内の冷媒を冷媒タンク20へ吐出させるだけとし、このキャピラリチューブ10とは別に、凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nのそれぞれに対応する部位に、上向きに突出する突出部(第2の実施形態のような)を有するキャピラリ管を設け、このキャピラリ管により、冷媒タンク20内の冷媒を凝縮蒸発器31〜3n、41〜4n内へ吐出させるようにしてもよい。
【0050】
また、第2の実施形態では、突出管81、82の高さを変えて、冷媒の流出圧損を変えていたが、第1の実施形態と同様に、キャピラリ管10に開口部を設け、この開口部の面積を変えることで、冷媒の流出圧損を変えるようにしてもよい。
また、上記第1、第2の実施形態のキャピラリ管10において、開口部81〜8n、91〜9nの開口面積を変えたり、突出管81、82の突出高さを変えたりする、といった手段以外の手段により、キャピラリ管10の冷媒出入口または冷媒出口における冷媒の流出圧損を、請求項のように設定してもよい。
【0051】
例えば、上記第1の実施形態のキャピラリ管10において、開口部81〜8n、91〜9nの開口面積を変えず、蒸発工程を行なう凝縮蒸発器31〜3n、41〜4n内の圧力に比例して、キャピラリ管10の内径を大きくしてもよい。また、開口部81〜8n、91〜9nの開口面積を変えず、凝縮蒸発器31〜3n、41〜4n内の圧力に比例して、キャピラリ管10の内表面の粗さを大きくしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる吸着式冷凍装置の全体構成図である。
【図2】(a)は、第1の実施形態に係わる吸着式冷凍装置の要部拡大図、(b)〜(d)は三方切替弁の拡大図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係わる吸着式冷凍装置の全体構成図である。
【図4】従来技術に係わる吸着式冷凍装置の全体構成図である。
【符号の説明】
11〜1n…第1吸着コア、21〜2n…第2吸着コア、
31〜3n…第1凝縮蒸発器、41〜4n…第2凝縮蒸発器、
10…キャピラリ管(連通手段)、
81〜8n…第1開口部(第1冷媒出入口)、
91〜9n…第2開口部(第2冷媒出入口)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸着剤により冷媒を吸着、脱着させることを利用した吸着式冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に特願平8−57727号において、図4に示すような吸着式冷凍装置を提案している。この装置は、凝縮器3と、2段の蒸発器41、42と、2段の第1吸着コア11、12、2段の第2吸着コア21、22とを備えている。そして、第1吸着コア11、12、第2吸着コア21、22には、エンジンからの加熱流体と、室外熱交換器70からの冷却流体とが交互に供給されるようになっている。また、凝縮器3と2段目の蒸発器42、および、2段目の蒸発器42と1段目の蒸発器41とは、第1、第2キャピラリ管101、102にて接続されている。
【0003】
そして、第1吸着コア11、12が脱着工程を行い、第2吸着コア21、22が吸着工程を行なうとき、開閉弁5a〜5hにより、第1吸着コア11、12と凝縮器3、および、第2吸着コア21、22と第1、第2蒸発器41、42とを連通し、第1吸着コア11、12と第1、第2蒸発器41、42、および、第2吸着コア21、22と凝縮器3とを非連通状態とする。
【0004】
また、1段目の第1吸着コア11から2段目の第1吸着コア12にかけて加熱流体を流すことにより、両第1吸着コア11、12にて気体冷媒を脱着し、この脱着された気体冷媒を凝縮器3にて凝縮する。また、1段目の第2吸着コア21から2段目の第2吸着コア22にかけて冷却流体を流すことにより、両第2吸着コア21、22にて気体冷媒を吸着し、両蒸発器41、42にて液体冷媒を蒸発させる。このように、蒸発器41、42および吸着コア11、12、21、22を複数段に設けることにより、吸着式冷凍装置1の冷房能力の向上を試みている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような、2個の蒸発器41、42を備えた吸着式冷凍装置100では、冷房能力を効果的には向上できない恐れがあることが、本発明者の実験、検討により確認された。
この原因として、まず、冷却流体は冷媒の吸着による吸着熱を奪って加熱されるので、1段目の第2吸着コア21から2段目の第2吸着コア22にかけて、冷却流体の温度が徐々に上がり、吸着能力も徐々に低下している。このため、1段目の第2吸着コア21および1段目の蒸発器41の方が、2段目の第2吸着コア22および2段目の蒸発器42よりも圧力が低い。
【0006】
ここで、凝縮器3からの冷媒が、第1、第2キャピラリ管101、102を経て2段の第2吸着コア21、22に供給されるが、より圧力の低い1段目の蒸発器41内に、より多くの液体冷媒が供給されることになる。よって、より圧力の高い2段目の蒸発器42内に、少量の液体冷媒しか供給されなくなる恐れがあり、冷媒の蒸発が良好に行なわれず、冷房能力が低下する恐れがあるのである。
【0007】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、複数段の蒸発器に対応して複数段の吸着コアを設けた吸着式冷凍装置において、各蒸発器への液体冷媒の供給量を均一化することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1、3、および4に記載の発明では、複数段の第1、第2凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)のそれぞれに連通するように、複数段の第1吸着コア(11〜1n)、第2吸着コア(21〜2n)を設けた吸着式冷凍装置であって、第1凝縮蒸発器(31〜3n)と第2凝縮蒸発器(41〜4n)とを連通する連通手段(10)に、第1冷媒出入口(81〜8n)、第2冷媒出入口(91〜9n)を設け、この冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)における冷媒の流出圧損を、冷媒の蒸発を行なう第1凝縮蒸発器(31〜3n)、第2凝縮蒸発器(41〜4n)内の圧力に反比例するように設定したことを特徴としている。
【0009】
ここで、複数段の吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)には、これら吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)を冷却する冷却流体と、加熱する加熱流体とを、交互に供給するようになっている。そして、例えば、これら吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)に直列に冷却流体を流す場合のように、各吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)に流れる冷却流体の温度が異なる場合、各吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)の吸着能力が異なるため、各吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)、ひいては、これに連通する凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)内の圧力が異なる。
【0010】
これに対して、連通手段(10)の冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)における冷媒の流出圧損を、冷媒の蒸発を行なう凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)内の圧力に反比例するように設定してある。つまり、圧力の高い側の凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)に対応する冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の流出圧損は低く、圧力の低い側の凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)に対応する冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の流出圧損は高く設定してある。
【0011】
この結果、圧力の高い側では、冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の外部から内部に向かって高い圧力がかかり、冷媒が吐出しにくいのに対して、冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の流出圧損が低いために、冷媒が吐出しやすくなる。また、圧力の低い側では、冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の外部から内部に向かって低い圧力しかかからず、冷媒が吐出しやすいのに対して、冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)の流出圧損が高いために、冷媒が吐出しにくくなる。このようにして、各冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)から吐出する液体冷媒の流量を均一化することができる。
【0012】
よって、冷媒の蒸発を行なう凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)の全てにわたって、冷媒の供給量を均一化でき、全ての凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)において、冷媒の蒸発を良好に行なうことができるので、冷房能力を向上できる。
また、請求項2、3、および4に記載の発明は、凝縮器(3)、複数段の蒸発器(41、42)、および、第1吸着コア(11、12)、第2吸着コア(21、22)を備えた吸着式冷凍装置であって、凝縮器(3)と蒸発器(41、42)とを連通する連通手段(10)に、蒸発器(41、42)に対応するように複数個の冷媒出口(81、82)を設け、この冷媒出口(81、82)における冷媒の流出圧損を、蒸発器(41、42)内の圧力に反比例するように設定してある。
【0013】
よって、上記請求項1、3、4に記載の発明と同様に、複数段の蒸発器(41、42)の全てにわたって冷媒の供給量を均一化でき、全ての蒸発器(41、42)において、冷媒の蒸発を良好に行なうことができるので、冷房能力を向上できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の吸着式冷凍装置は、車両のエンジンルームに主に配置され、車室内を冷房するものである。図1に示すように、吸着式冷凍装置100は、略直方体状の第1、第2密閉容器5、6を備えており、この密閉容器5、6の内部を、複数個(n個、例えばn=10)の密閉空間に気液密に仕切ることにより、箱状の第1密閉容器51、52、…、5n(以下、51〜5nで示す)、および、第2密閉容器61、62、…、6n(以下、61〜6nで示す)が構成されている。
【0015】
そして、第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6nの上方部には、後述する熱交換流体が内部を流れる流体通路Lと、この通路L周囲に設けられる多数の吸着剤Sおよび伝熱フィン(図示せず)とが配置されている。そして、流体通路L、吸着剤Sおよび伝熱フィンを収容する第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6nの上方部により、複数段(n段、例えば10段)の第1吸着コア11、12、…、1n(以下、11〜1nで示す)、第2吸着コア21、22、…、2n(以下、21〜2nで示す)を構成している。
【0016】
ここで、吸着剤Sは、冷却状態において冷媒(例えば水、アルコール等)を高能力で吸着し、また、冷媒の吸着に伴い吸着能力が次第に低下するが、加熱状態とされることにより、吸着していた冷媒を脱着して吸着能力が再生されるという性質を有している。
また、第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6nの下方部には、後述する熱交換流体が内部を流れる流体通路Mと、この通路M周囲に設けられる伝熱フィン(図示せず)が配置されている。そして、流体通路Mおよび伝熱フィンを収容する第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6nの下方部により、複数段の第1凝縮蒸発器31、32、…、3n(以下、31〜3nで示す)、第2凝縮蒸発器41、42、…、4n(以下、41〜4nで示す)が構成されている。
【0017】
このように、第1吸着コア11〜1nと第1凝縮蒸発器31〜3n、および、第2吸着コア21〜2nと第2凝縮蒸発器41〜4nとは、それぞれ常時連通した状態で配置されているので、気体冷媒の流路を切替弁等の切替手段にて切り替える必要がない。このため、気体冷媒の圧力損失を低減できるとともに、この装置100の制御や構造が単純となる。なお、第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6nは、その下面が水平方向に並ぶように配置される。
【0018】
第1、第2吸着コア11〜1n、21〜2nは、一方が冷媒を吸着する吸着工程を実行するとき、他方が冷媒を脱着する脱着工程を実行するようになっている。第1、第2凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nは、一方が冷媒を蒸発させる蒸発器としてはたらくとき、他方が冷媒を凝縮する凝縮器としてはたらくようになっている。
【0019】
室内熱交換器70は室内に配置され、熱交換流体が流れる流体通路(図示せず)および伝熱フィン(図示せず)を備えている。室外熱交換器71は、室外に配置され、流体通路(図示せず)および伝熱フィン(図示せず)を備えている。そして、室外熱交換器70、電動ポンプ72、第1、第2凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nのn段目から1段目、四方切替弁73、室内熱交換器71、四方切替弁74、第1、第2吸着コア11〜1n、21〜2nの1段目からn段目、四方切替弁75、室外熱交換器70が、この順で直列に接続されている。
【0020】
また、室外熱交換器70、電動ポンプ72、第1、第2凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nのn段目から1段目、四方切替弁73、室外熱交換器70が、この順で直列に接続されている。また、図示しないエンジン、電動ポンプ76、四方切替弁74、第1、第2吸着コア11〜1n、21〜2nの1段目からn段目、四方切替弁75、上記エンジンが、この順で直列に接続されている。
【0021】
そして、冷媒通路であるとともに、所定の圧力損失を発生させる絞りのはたらきをするキャピラリ管(連通手段)10が、第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6n内部の下面近傍(第1凝縮蒸発器31〜3n、および、第2凝縮蒸発器41〜4nの下方)に連通するように配置されている。このキャピラリ管10は、一端10aおよび他端10bが閉塞した1本のパイプを略コ字状に折り曲げ加工したものであり、その長手方向が略水平方向に向くように配置されている。
【0022】
そして、キャピラリ管10は、第1密閉容器51〜5n、および、第2密閉容器61〜6nの下面近傍にくし刺し状に貫通している。この両貫通部分には、第1、第2密閉容器51〜5n、61〜6n内部の下面近傍にそれぞれ対応して、複数個の第1、第2開口部(冷媒出入口部)81、82、…、8n、91、92、…、9n(以下、81〜8n、91〜9nと示す)が形成されている。
【0023】
そして、1段目の第1、第2密閉容器51、61に対応する第1、第2開口部81、91から、n段目の第1、第2密閉容器5n、6nに対応する第1、第2開口部8n、9nにかけて、その開口面積が徐々に大きくなるように構成されている。
また、キャピラリ管10のうち上記両貫通部分の間には、上方内部に気体冷媒、下方内部に液体冷媒を収容可能な冷媒タンク20が配置されている。この冷媒タンク20には、内部に液体冷媒および気体冷媒を流入させる入口チューブ(入口部)20aと、内部の液体冷媒を流出させる出口チューブ(出口部)20bとを備えている。
【0024】
そして、キャピラリ管10と、冷媒タンク20の入口チューブ20aおよび出口チューブ20bとの連通状態を後述のように切り替える切替部10Aが設けられている。以下に、切替部10Aおよび冷媒タンク20の具体的構造を図2(a)ないし(d)に基づいて説明する。
まず、切替部10Aでは、パイプ10が二股にわかれており、この二股のそれぞれの部位に、三方切替弁10B、10Cが設けられている。この三方切替弁10B、10Cは、図2(b)、(c)、(d)に示す位置に切り替え可能となっている。具体的に、図2(b)に示す位置のときは、入口、出口チューブ20a、20bが、パイプ10の一端10a側と連通し、図2(c)に示す位置のときは、入口、出口チューブ20a、20bが、パイプ10の他端10b側と連通し、図2(d)に示す位置のときは、入口、出口チューブ20a、20bとパイプ10とは非連通状態となる。
【0025】
そして、冷媒タンク20は、略円筒状の密閉容器に、入口チューブ20aおよび出口チューブ20bを気液密に貫通させてなる。そして、入口チューブ20aの先端は、内部の液体冷媒の上面よりも常に上方に配置されるようになっており、出口チューブ20bの先端は、内部の液体冷媒の上面よりも常に下方に配置されるようになっている。これにより、入口チューブ20aから液体冷媒とともに気体冷媒が入ってきたとき、気体冷媒がタンク20内の液体冷媒内に混入することはなく、出口チューブ20bからは確実に液体冷媒のみを流出できる。よって、この冷媒タンク20において、確実に気液分離を行なうことができる。
【0026】
以下に、上記構成の吸着式冷凍装置100の作動を説明する。
まず、第1吸着コア11〜1nが吸着工程、第2吸着コア21〜2nが脱着工程を実行する第1過程について説明する。なお、この冷凍装置100には、1段の吸着コア11〜1n、または、21〜2nで吸着可能な冷媒量の2倍程度の冷媒が封入されているものとする。
【0027】
まず、第1過程では、上記弁73、74、75は図1中実線位置に、上記弁10Bは図3(c)に示す位置に、上記弁10Cは図3(b)に示す位置に設定される。
この結果、エンジンからの90℃程度の流体が、1段目の第2吸着コア21からn段目の第2吸着コア2nの順に流れるとともに、室外熱交換器70からの30℃程度の流体が、n段目の第2凝縮蒸発器4nから1段目の第2凝縮蒸発器41の順に流れる。これにより、第2吸着コア21〜2nが加熱されて冷媒を脱着するとともに、第2凝縮蒸発器41〜4nが冷媒を凝縮する。この凝縮した冷媒は、パイプ10の冷媒出入口91〜9nから、弁10B、入口チューブ20aを経て、冷媒タンク20へ送られる。
【0028】
このとき、冷媒タンク20が常温(約25℃)であるのに対して、第2凝縮蒸発器41〜4n(第2密閉容器61〜6n内)は温度が40℃程度に高くなって圧力が上がるため、この圧力差により、第2凝縮蒸発器41〜4nの液体冷媒は自動的に冷媒タンク20側へ移動する。
また、第2吸着コア21〜2nを流れる流体は、冷媒の脱着による脱着熱が奪われて80℃程度に冷却され、この冷却された流体をエンジンにて再び90℃程度に加熱するようになっている。なお、エンジンからの流体は、第2吸着コア21〜2nを加熱する加熱流体としてはたらく。また、第2凝縮蒸発器41〜4nを流れる流体は、冷媒の凝縮による凝縮熱を奪って40℃程度に加熱され、この加熱された流体を室外熱交換器70にて再び30℃程度に冷却するするようになっている。
【0029】
また、室外熱交換器70からの流体が、n段目の第1凝縮蒸発器3nから1段目の第1凝縮蒸発器31の順に流れ、さらに、室内熱交換器71を経て、1段目の第1吸着コア11からn段目の第1吸着コア1nの順に流れる。これにより、第1吸着コア11〜1nが冷却されて冷媒を吸着するとともに、第1凝縮蒸発器31〜3nが冷媒を蒸発させる。
【0030】
また、第1凝縮蒸発器31〜3nを流れる流体は、冷媒の蒸発による蒸発熱を奪われて10℃程度に冷却され、この冷却された流体を室内熱交換器71に流すことにより、室内を冷却するようにしている。室内熱交換器71で熱交換された流体は25℃程度に加熱されるが、第1吸着コア11〜1nを冷却する冷却流体としてはたらく。
【0031】
このとき、冷媒タンク20は常温(約25℃)であるのに対して、第1密閉容器51〜5nは温度が常温よりも低く、圧力が低くなっているため、この圧力差により、冷媒タンク20内の液体冷媒は自動的に第1密閉容器51〜5n側へ移動する。
ところで、第1吸着コア11〜1nを流れる流体は、冷媒の吸着による吸着熱を奪って加熱されるため、その上流側(1段目の第1吸着コア11)から下流側(n段目の第1吸着コア1n)にかけて、徐々に吸着能力が低下するため、1段目の第1密閉容器51からn段目の密閉容器5nにかけて、徐々に圧力が大きくなる。例えば、1段目の密閉容器51が10Torr、2段目の密閉容器52が12Torr、…、10段目の密閉容器510が30Torrとなる。
【0032】
これに対して、キャピラリ管10の開口部81〜8nの開口面積が、1個目の開口部81からn個目の開口部8nにかけて大きくなるように構成されている。つまり、1個目の開口部81からn個目の開口部8nにかけて、液体冷媒の流出圧損が小さくなる。
この結果、より圧力の高い1段目の第1密閉容器51では、開口部81の外部から内部に向かって高い圧力がかかり、液体冷媒が吐出しにくいのに対して、この開口部81における液体冷媒の流出圧損が低いために、液体冷媒が吐出しやすくなる。そして、2段目以降の第1密閉容器52〜5nでは、開口部82〜8nの外部から内部に向かう圧力が徐々に低くなるのに対して、開口部82〜8nにおける液体冷媒の流出圧損が高くなる。この結果、各開口部81〜8nから吐出する液体冷媒の流量を均一化することができる。
【0033】
よって、蒸発工程を実行する凝縮蒸発器31〜3nの全てにわたって、ほぼ一定量の冷媒を供給可能となり、この凝縮蒸発器31〜3nにおける冷媒の蒸発を良好に行なうことができ、冷房能力を向上できる。
なお、吸着側の吸着コア11〜1n、21〜2nを流れる冷却流体の速度よりも、脱着側の吸着コア11〜1n、21〜2nを流れる加熱流体の速度の方が速く設定されている。これにより、第1過程から第2過程に切り替えるときに、第2吸着コア11〜1n、21〜2nは、依然吸着可能な状態とし、第1過程と第2過程とを切り替える前に、脱着側の吸着コア11〜1n、21〜2nは、それ以上脱着できない状態(脱着完了状態)となるようにしてある。
【0034】
また、吸着コア11〜1n、21〜2nが脱着完了状態となってから、第1過程と第2過程とを切り替えるまでの間に、第1密閉容器51〜5n内の冷媒を全て凝縮し、さらに、この凝縮された冷媒を全て開口部81〜8nを経て冷媒タンク20へ収容可能となるようにしてある。
そして、冷媒が全て凝縮した状態では、密閉容器51〜5n、61〜6n内の圧力は全て等しくなる(例えば55torr程度)。このとき、キャピラリ管10の開口部81〜8nの開口面積が上述のように設定してあるため、開口部81〜8nから吸い込まれる冷媒量は、1個目の開口部81からn個目の開口部8nにかけて多くなるが、最終的に、全ての冷媒がタンク20へ収容されるようになっているので、問題はない。
【0035】
そして、上記第1過程から第2過程(第1吸着コア11〜1nが脱着工程、第2吸着コア21〜2nが吸着工程を実行する過程)に切り替えるときは、上記弁73、74、75を図1中点線位置に、上記弁10Bを図3(b)に示す位置に、上記弁10Cは図3(c)に示す位置に設定する。
これにより、第1凝縮蒸発器31〜3nが凝縮工程を実行し、第2凝縮蒸発器41〜4nが蒸発工程を実行するようになる。なお、詳しい作動説明は省略する。
【0036】
(第2の実施形態)
図3に示す本実施形態の吸着式冷凍装置100は、1つの凝縮器3、2段の蒸発器41、42および2段の第1吸着コア11、12、第2吸着コア21、22を備えている。そして、1段目の蒸発器41と、1段目の第1吸着コア11および1段目の第2吸着コア21とは、連通部5A、5Bにて連通しており、2段目の蒸発器42と、2段目の第1吸着コア12および1段目の第2吸着コア22とは、連通部5C、5Dにて連通している。この連通部5A、5B、5C、5Dには、これら連通部5A、5B、5C、5Dを開閉する(つまり、蒸発器41、42と、第1吸着コア11、12および第2吸着コア21、22との連通状態を切り替える)開閉弁5a、5b、5c、5dが設けられている。
【0037】
また、第1、第2吸着コア11、12、21、22と、凝縮器3とは、連通部5E、5F、5G、5Hにて連通しており、この連通部5E、5F、5G、5Hには、これら連通部5E、5F、5G、5Hを開閉する(つまり、第1、第2吸着コア11、12、21、22と、凝縮器3との連通状態を切り替える)開閉弁5e、5f、5g、5hが設けられている。
【0038】
また、凝縮器32と、蒸発器41、42とは、冷媒液通路たる絞り兼用のキャピラリ管10にて連通されている。このキャピラリ管10のうち、蒸発器41、42のそれぞれに対応する部位には、略筒状に突出する突出管81、82が設けられており、この突出管81、82が、蒸発器41、42内部に連通している。なお、突出管81と突出管82とは、断面積は同じであるが、突出管81の方が、突出管82よりも高さが大きく構成されている。
【0039】
そして、室外熱交換器70、2段目の蒸発器42、電動ポンプ77、四方切替弁76、1段目の第1、第2吸着コア11、21、2段目の第1、第2吸着コア12、22、四方切替弁75、室外熱交換器70が、この順に直列に接続されている。また、1段目の蒸発器41、室内熱交換器71、電動ポンプ78、1段目の蒸発器41が、この順に直列に接続されている。また、エンジン、四方切替弁76、1段目の第1、第2吸着コア11、21、2段目の第1、第2吸着コア12、22、四方切替弁75、エンジンが、この順に直列に接続されている。
【0040】
以下に、上記構成による作動を説明する。
まず、第1吸着コア11、12が脱着工程、第2吸着コア21、22が吸着工程を実行する場合について説明する。
まず、四方切替弁76、77を、図3中実線位置とし、開閉弁5a、5c、5f、5hにて、連通部5A、5C、5F、5Hを閉じ(この状態を図3中黒塗りで示す)、開閉弁5b、5d、5e、5gにて、連通部5B、5D、5E、5Gを開く(この状態を図3中白抜きで示す)。
【0041】
これにより、エンジンから流出した加熱流体が1段目の第1吸着コア11から2段目の第1吸着コア12へと流れてエンジンに戻されるとともに、室外熱交換器70、1段目の蒸発器42を経て冷却された熱交換流体が、1段目の第2吸着コア41から2段目の第2吸着コア42へと流れて、室外熱交換器70に戻る。この結果、1段目の第2吸着コア21と2段目の第2吸着コア22の吸着剤Sが冷却されて吸着作用を呈するため、1段目の蒸発器41および2段目の蒸発器42に貯められている液体冷媒が気化し、気化した冷媒蒸気は、それぞれ第2吸着コア21、22に吸着される。このときの1段目の蒸発器41の冷媒の気化潜熱により、この蒸発器41そ流れる熱交換流体が冷却され、これにより室内熱交換器71が冷却作用を呈して車室内空気を冷却する。
【0042】
一方、1段目の第1吸着コア11および2段目の第1吸着コア12では冷媒を脱着し、この脱着により生じた冷媒蒸気が、凝縮器32において冷やされて凝縮する。この凝縮した液体冷媒は、キャピラリ管10を経て、突出管81、82から、蒸発器41、42に供給され、ここで気化して第2吸着コア21、22の吸着剤Sにそれぞれ吸着される。
【0043】
そして、第2吸着コア21、22において、冷媒の吸着による吸着熱を奪った熱交換流体は、まず、室外熱交換器70で大気中への放熱により冷やされた後、2段目の蒸発器において、冷媒の蒸発による蒸発潜熱を奪われてさらに冷やされ、その後、第1吸着コア11、12を順次流れるというように循環する。
このような状態が所定時間続くと、第1吸着コア11、12における吸着剤Sの脱着が終了し、第2吸着コア21、22における吸着剤Sの吸着能力が低下する。このとき、第1吸着コア11、12が吸着工程、第2吸着コア21、22が脱着工程を実行するように運転を切り替える。具体的には、両四方弁75、76を図3中点線位置とし、開閉弁5a、5c、5f、5hにて、連通部5A、5C、5F、5Hを開き、開閉弁5b、5d、5e、5gにて、連通部5B、5D、5E、5Gを閉じる。このときの具体的作動は説明を省略する。
【0044】
ここで、本実施形態では、第2吸着コア11、12を流れる流体は、冷媒の吸着による吸着熱を奪って加熱されるため、その上流側(1段目の第1吸着コア11)から下流側(2段目の第1吸着コア12)にかけて、徐々に吸着能力が低下するため、1段目の吸着コア11の方が、2段目の吸着コア12よりも、圧力が低い。
【0045】
これに対して、キャピラリ管10の突出管81と突出管82とは、断面積は同じであるが、突出管81の方が、突出管82よりも高さが小さく構成されている。つまり、突出管81の方が、突出管82よりも、冷媒の流出圧損が大きくなる。この結果、圧力の低い1段目の吸着コア11では、突出管81の外部から内部に向かって小さな力がかかり、液体冷媒が吐出しやすいのに対して、この突出管81における液体冷媒の流出圧損が大きいために、冷媒が吐出しにくくなる。そして、2段目の吸着コア12では、突出管82の外部から内部に向かって大きな力がかかり、液体冷媒が吐出しにくいのに対して、この突出管82における液体冷媒の流出圧損が小さいために、冷媒が吐出しやすくなる。このようにして、各突出管81、82から吐出する冷媒の量を均一化することができる。
【0046】
よって、蒸発工程を実行する凝縮蒸発器31〜3nの全てにわたって、ほぼ一定量の冷媒を供給可能となり、この凝縮蒸発器31〜3nにおける冷媒の蒸発を良好に行なうことができ、冷房能力を向上できる。
また、室外熱交換器70で冷やされた冷却流体を、さらに2段目の蒸発器42で冷却して、第1吸着コア11、12、または、第2吸着コア21、22に供給するようにしたので、吸着コア11、12、21、22を大型化することなく、吸着式冷凍装置100全体としての冷却能力を高めることができる。
【0047】
(他の実施形態)
上記第1の実施形態において、第1工程と第2工程とを切り替えてから次の切り替えを行なうまで、液体冷媒を凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nへ供給したとき、この凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nの流体通路Mが液体冷媒に完全に浸漬してしまい、流体通路Mにおける熱交換を良好に行なえない恐れがある。
【0048】
これに対して、上記次の切り替えを行なう前において、開閉弁10Cを図2(d)に示す位置として、冷媒タンク20から、蒸発工程を実行する凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nへの液体冷媒の供給を停止するようにしてもよい。これにより、凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nに所定量の液体冷媒を供給でき、流体通路Mにおける熱交換を良好に行うことができる。
【0049】
また、第1の実施形態において、キャピラリ管10は、第1、第2凝縮蒸発器31〜3n、41〜4n内の冷媒を冷媒タンク20へ吐出させるだけとし、このキャピラリチューブ10とは別に、凝縮蒸発器31〜3n、41〜4nのそれぞれに対応する部位に、上向きに突出する突出部(第2の実施形態のような)を有するキャピラリ管を設け、このキャピラリ管により、冷媒タンク20内の冷媒を凝縮蒸発器31〜3n、41〜4n内へ吐出させるようにしてもよい。
【0050】
また、第2の実施形態では、突出管81、82の高さを変えて、冷媒の流出圧損を変えていたが、第1の実施形態と同様に、キャピラリ管10に開口部を設け、この開口部の面積を変えることで、冷媒の流出圧損を変えるようにしてもよい。
また、上記第1、第2の実施形態のキャピラリ管10において、開口部81〜8n、91〜9nの開口面積を変えたり、突出管81、82の突出高さを変えたりする、といった手段以外の手段により、キャピラリ管10の冷媒出入口または冷媒出口における冷媒の流出圧損を、請求項のように設定してもよい。
【0051】
例えば、上記第1の実施形態のキャピラリ管10において、開口部81〜8n、91〜9nの開口面積を変えず、蒸発工程を行なう凝縮蒸発器31〜3n、41〜4n内の圧力に比例して、キャピラリ管10の内径を大きくしてもよい。また、開口部81〜8n、91〜9nの開口面積を変えず、凝縮蒸発器31〜3n、41〜4n内の圧力に比例して、キャピラリ管10の内表面の粗さを大きくしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる吸着式冷凍装置の全体構成図である。
【図2】(a)は、第1の実施形態に係わる吸着式冷凍装置の要部拡大図、(b)〜(d)は三方切替弁の拡大図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係わる吸着式冷凍装置の全体構成図である。
【図4】従来技術に係わる吸着式冷凍装置の全体構成図である。
【符号の説明】
11〜1n…第1吸着コア、21〜2n…第2吸着コア、
31〜3n…第1凝縮蒸発器、41〜4n…第2凝縮蒸発器、
10…キャピラリ管(連通手段)、
81〜8n…第1開口部(第1冷媒出入口)、
91〜9n…第2開口部(第2冷媒出入口)。
Claims (4)
- 冷媒の凝縮、蒸発を交互に行なう複数段の第1凝縮蒸発器(31〜3n)と、
前記第1凝縮蒸発器(31〜3n)が冷媒の凝縮を行なうときに冷媒の蒸発を行い、前記第1凝縮蒸発器(31〜3n)が冷媒の蒸発を行なうときに冷媒の凝縮を行う第2凝縮蒸発器(41〜4n)と、
前記第1凝縮蒸発器(31〜3n)のそれぞれに対応して連通するように設けられ、冷却、加熱されることにより、冷媒の吸着、脱着を交互に行なう複数段の第1吸着コア(11〜1n)と、
前記第2凝縮蒸発器(41〜4n)のそれぞれに対応して連通するように設けられ、前記第1吸着コア(11〜1n)が冷媒の吸着を行なうときに加熱されて冷媒の脱着を行い、前記第1吸着コア(11〜1n)が冷媒の脱着を行なうときに冷却されて冷媒の吸着を行う第2吸着コア(21〜2n)とを備え、
前記第1吸着コア(11〜1n)および前記第2吸着コア(21〜2n)には、これら吸着コア(11〜1n)、(21〜2n)を冷却する冷却流体と、加熱する加熱流体とが、交互に供給されるようになっており、
所定の圧力損失を発生させるとともに、前記第1凝縮蒸発器(31〜3n)と前記第2凝縮蒸発器(41〜4n)とを連通する連通手段(10)が設けられており、
前記連通手段(10)には、前記第1凝縮蒸発器(31〜3n)および前記第2凝縮蒸発器(41〜4n)のそれぞれ対応するように、冷媒が出入り可能な複数個の第1冷媒出入口(81〜8n)、第2冷媒出入口(91〜9n)が設けられており、
前記連通手段(10)の前記冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)における冷媒の流出圧損は、冷媒の蒸発を行なう前記凝縮蒸発器(31〜3n)、凝縮蒸発器(41〜4n)内の圧力に反比例するように設定されていることを特徴とする吸着式冷凍装置。 - 冷媒を凝縮する凝縮器(3)と、
冷媒を蒸発させる複数段の蒸発器(41、42)と、
前記凝縮器(3)および前記蒸発器(41、42)に連通し、冷却、加熱されることにより、冷媒の吸着、脱着を交互に行なう複数段の第1吸着コア(11、12)と、
前記凝縮器(3)および前記蒸発器(41、42)に連通し、前記第1吸着コア(11、12)が冷媒の吸着を行なうときに加熱されて冷媒の脱着を行い、前記第2吸着コア(21、22)が冷媒の脱着を行なうときに冷却されて冷媒の吸着を行う第2吸着コア(21、22)とを備え、
前記第1吸着コア(11、12)および前記第2吸着コア(21、22)には、これら吸着コア(11、12)、(21、22)を冷却する冷却流体と、加熱する加熱流体とが、交互に供給されるようになっており、
所定の圧力損失を発生させるとともに、前記凝縮器(3)と前記蒸発器(41、42)とを連通する連通手段(10)が設けられており、
前記連通手段(10)には、前記複数段の蒸発器(41、42)のそれぞれに対応するように、複数個の冷媒出口(81、82)が設けられており、
前記連通手段(10)の前記複数個の冷媒出口(81、82)における液体冷媒の流出圧損は、前記複数段の蒸発器(41、42)内の圧力に反比例するように設定されていることを特徴とする吸着式冷凍装置。 - 前記複数個の冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)、または、前記冷媒出口(81、82)の開口面積が、前記凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)内、または、前記蒸発器(41、42)内の圧力に比例するように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吸着式冷凍装置。
- 前記前記複数個の冷媒出入口(81〜8n)、(91〜9n)、または、前記冷媒出口(81、82)は、前記連通手段(10)よりも上方に突出する突出管(81、82)からなり、
この突出管(81、82)の高さが、前記凝縮蒸発器(31〜3n)、(41〜4n)内、または、前記蒸発器(41、42)内の圧力に反比例するように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吸着式冷凍装置。
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