JP3709638B2 - 冷却装置および吸着式冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体冷媒の蒸発作用により冷却した熱交換流体と室内とを熱交換して、室内を冷却するようにした冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記した冷却装置が、特開平5−322359号公報に提案されている。この装置は、図7に示すように、気体冷媒相Gおよび液体冷媒相Lが内部に形成された冷媒容器2を備え、液体冷媒相Lの液体冷媒の蒸発作用により、液体冷媒相Lに配置した熱交換通路223内を流れる熱交換流体を冷却し、この熱交換流体を室内熱交換器25に循環させて、室内を冷却するものである。この冷媒容器2は、通常、室外(例えば家庭住居の室外や車両のエンジンルーム内等)に配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記室外の熱が、冷媒容器2内の液体冷媒相Gを介して、熱交換通路223内の熱交換流体に伝えられて加熱されるため、この室外の熱の分だけ、室内を冷却する能力が低下する、といった問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、冷媒容器外の熱が冷媒容器内の液体冷媒相へ伝わることを抑制することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1ないし4に記載の発明では、冷媒容器(2)内部に気体冷媒相(G)および液体冷媒相(L)を備え、この液体冷媒相(L)の液体冷媒の蒸発作用により、液体冷媒相(L)に配置される熱交換通路(223)内を流れる熱交換流体を冷却し、この熱交換流体と室内とを熱交換して室内を冷却する冷却装置において、冷媒容器(2)のうち、少なくとも液体冷媒相(L)に対向する壁面部(2d、2e、2f)の内面を、被覆部材(220、220A)により所定距離を隔てて覆ってあり、冷媒容器(2)の壁面部(2d、2e、2f)と被覆部材(220、220A)との間の空間(C)に、気体冷媒が存在することを特徴としている。
【0005】
従って、上記壁面部(2d、2e、2f)の内面近傍に、熱伝導性の悪い気体冷媒が存在するため、冷媒容器(2)外の熱が液体冷媒相(L)、ひいては、熱交換通路(223)内の熱交換流体へ伝わることを抑制できる。よって、液体冷媒相(L)、および、熱交換通路(223)内の熱交換流体が加熱されることを抑制できるので、室内を冷却する能力を向上できる。
【0006】
また、本発明では、冷媒容器(2)の壁面部(2d、2e、2f)と、被覆部材(220、220A)との間の空間(C)が、気体冷媒相(G)または液体冷媒相(L)に連通した構造であるので、冷媒容器(2)の上記壁面部(2d、2e、2f)近傍に真空空間を形成して、液体冷媒相(L)への伝熱を抑制する場合に比べて、その断熱構造が単純であり、コスト安である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1ないし図3に示す本実施形態の吸着式冷却装置1は、主に車両のエンジンルームに配置され、車室内の冷却を行なうものである。そして、図3に示すように、吸着式冷却装置1は第1吸着コア12及び第2吸着コア13を備えている。これら吸着コア12、13は、後述する加熱流体または冷却流体が流れる流体通路121、131と、この流体通路近傍に収容保持された多数の吸着剤Sとを備えている。
【0008】
この吸着剤Sは、例えばシリカゲル、ゼオライト、活性炭、活性アルミナ等の粉粒体から構成されている。そして、周知のように、冷却状態において気体冷媒を高能力で吸着し、また、気体冷媒の吸着に伴い吸着能力が次第に低下するが、加熱状態とされることにより、吸着していた気体冷媒を脱着して吸着能力が再生されるという性質を有している。冷媒としては、例えば水やアルコール水溶液が挙げられる。
【0009】
上記第1吸着コア12及び第2吸着コア13は、それぞれ略密閉された吸着容器14及び15内に収容されており、この吸着容器14及び15には、冷媒の出入口16及び17が設けられている。これら出入口16及び17は、入口側三方切換弁18及び出口側三方切換弁19に接続されている。
この場合、入口側三方切換弁18は、1個の入口に対して2個の出口を切替えるように構成され、出口側三方切換弁19は、1個の出口に対して2個の入口を切替えるように構成されている。そして、出入口16は、入口側三方切換弁18の一方の出口及び出口側三方切換弁19の一方の入口の双方に接続され、また、出入口17は、入口側三方切換弁18の他方の出口及び出口側三方切換弁19の他方の入口の双方に接続されている。
【0010】
さらに、出口側三方切換弁19の出口と入口側三方切換弁18の入口との間には、気体冷媒を凝縮して液化する凝縮器20を内蔵する、略密閉された凝縮容器20a、絞り21、及び、液体冷媒を蒸発させる蒸発器22を内蔵する、略密閉された蒸発容器(冷媒容器)2が、冷媒管路23によってその順に直列に接続されており、もって冷媒回路24が構成されている。この冷媒回路24内には、所要量の冷媒、本実施形態の場合、例えば水が封入されている。
【0011】
凝縮器20は、冷媒の凝縮による凝縮熱を奪う流体が流れる流体通路20bと、熱交換を促進するフィン20cとを備えている。そして、この凝縮熱を奪って加熱された流体を、室外に配置される室外熱交換器41に循環させることにより、上記凝縮熱を室外へ放出するようにしている。
また、蒸発器22は、冷媒の蒸発による蒸発熱が奪われる流体(熱交換流体)が流れる流体通路(熱交換通路)223と、フィン224とを備えている。そして、この蒸発熱が奪われて冷却された流体を、室内に配置される室内熱交換器25の流体通路253に循環させることにより、室内を冷却するようにしている。なお、254はフィンであり、26は、室内熱交換器25に室内空気を送風するファン装置である。
【0012】
そして、各吸着コア12、13の流体通路121、131の流体入口部30は、三方切換弁33、34を介して加熱流体流入口35及び冷却流体流入口36に接続されている。一方、各吸着コア12、13の上記流体通路の流体出口部31は、三方切換弁37、38を介して加熱流体流出口39及び冷却流体流出口40に接続されている。これより、各吸着コア12、13の流体通路121、131に対して加熱流体又は冷却流体のいずれかを切替可能に供給する流体供給手段が構成されている。なお、冷却流体としては、室外熱交換器41からの流体を用い、加熱流体としては、エンジン冷却水を用いている。
【0013】
かかる構成において、入口側三方切換弁18及び出口側三方切換弁19、並びに、三方切換弁33、34、37、38は、図示しないマイコン等の制御装置によって制御されることにより、第1及び第2吸着コア12、13は、一方が気体冷媒を脱着させる脱着側となるとき、他方が蒸発器23の気体冷媒を吸着する吸着側となるように、交互に切換え可能となっている。尚、制御装置は、上記ファン装置26等も駆動制御するように構成されている。
【0014】
以下に、蒸発器22および蒸発容器2の構造について図1および図2に基づいて説明する。
まず、蒸発容器2は直方体状の密閉容器であり、耐熱性および耐腐食性に優れる材料(例えばアルミニウム合金材料)からなる。この蒸発容器2は、蒸発器22の冷媒通路223の流体入口部221および流体出口部222が貫通する貫通部2a、2bと、冷媒管路23に連通する連通部2cとを備えている。また、流体入口部221および流体出口部222と、貫通孔2a、2bとの間は、図示しないシール部材(例えばパッキン等)によりシールされている。なお、連通部2cが上方にくるように配置されており、連通部2cに対向する面が底面部2dとなる。
【0015】
また、蒸発器22は、この蒸発容器2内部のうち、底面部2d側に配置されている。さらに、蒸発容器2内部には、重力方向上方に気体冷媒相G、重力方向下方に液体冷媒相Lが形成されている。なお、後述する冷却運転時には、気体冷媒相Gと液体冷媒相Lとの界面が、蒸発器22の上面よりも上方にくるようになっている。また、上記冷却運転の停止時においては、吸着側の吸着剤Sにて吸着される分だけ水量が減少するとともに、脱着側の吸着剤Sから脱着される分だけ水量が増加するため、上記界面はさほど大きくは減少しない。
【0016】
そして、液体冷媒相Lに対向する壁面部、具体的には、底面部2dと、4つの側面部2e、2f(図1には残りの2つの側面部は図示されない)の内面を覆うように、平面形状が略矩形状の皿部材220を設けてある。この皿部材220は、耐腐食性に優れた材料で、さらに、熱伝導性の悪い材料、例えば樹脂材料からなる。そして、皿部材220の外周縁部が上記内壁面に接するように、接着剤等で固定されている。なお、この皿部材220は、樹脂材料に限定されることはなく、耐腐食性に優れた材料、例えばアルミニウム合金から構成してもよい。この場合は、皿部材220をろう付けや溶接等にて接合するとよい。
【0017】
また、図2にも示すように、皿部材220の開口部側端部には、径が例えば1mm程度の微小孔220aが形成されている。なお、蒸発容器2の側面部2b、2cを被覆する皿部材220の微小孔220aは、蒸発容器2の底面部2d側に配置されている。
また、皿部材220には、蒸発器22の冷媒通路223の流体入口部221および流体出口部222が貫通する貫通孔220b、220cが形成されている。そして、流体入口部221および流体出口部222と、貫通孔220b、220cとの間は、図示しないシール部材(例えばパッキン等)によりシールされている。これにより、気体冷媒が皿部材220内部に確実に形成される。
【0018】
このような構成の蒸発器22および蒸発容器2において、蒸発器22が作動していない状態では、皿部材220内部の空間Cには、液体冷媒が存在している。そして、蒸発器22が作動した状態では、蒸発容器22内部の冷媒が蒸発することにより、この蒸発容器22内の圧力が10Torr程度(略真空)に低下するとともに、温度が例えば10℃程度に低下する。
【0019】
これにより、蒸発容器22内部における液体冷媒の沸点が低下するため、蒸発容器22内よりも高温な蒸発容器22外(エンジンルーム内)の温度(例えば50℃程度)の影響を直接受ける部位、具体的には、蒸発容器22の壁面部(2d、2e、2f等)近傍、つまり、皿部材220内部の空間Cにおいて、液体冷媒が積極的に蒸発し(沸騰し)、この空間Cに気体冷媒のみが存在するようになる。ここで、図1中において、気体冷媒の存在する部分(気体冷媒相Gも含めて)を、点々で示してある。
【0020】
次に、上記した構成の吸着式冷却装置1による冷却運転の作動について述べる。上述のように、第1及び第2吸着コア12、13は、一方が脱着側とされるとき、他方が吸着側とされるようになっている。図3には、第1吸着コア12を脱着側とし、第2吸着コア13を吸着側として使用する場合の、各三方切換弁18、19、33、34、37、38の状態を実線で示している。
【0021】
この場合、入口側三方切換弁18により、第2吸着コア13の出入口17と蒸発器22とが流通状態とされ、出口側三方切換弁19により、第1吸着コア12の出入口16と凝縮器20とが流通状態とされる。また、三方切換弁33により、第1吸着コア12の流体入口部30が加熱流体流入口35に接続されると共に、三方切換弁37により、第1吸着コア12の流体出口部31が加熱流体流出口39に接続され、もって第1吸着コア12の流体通路(図示しない)に加熱流体が流通するようになる。
【0022】
一方、三方切換弁34により、第2吸着コア13の流体入口部30が冷却流体流入口36に接続されると共に、三方切換弁38により、第2吸着コア13の流体出口部31が冷却流体流出口40に接続され、もって第2吸着コア13の流体通路131に冷却流体が流通するようになる。
これにて、第1吸着コア12内においては、流体通路121に加熱流体が供給されることにより、吸着剤Sが加熱状態とされ、この吸着剤Sが吸着していた冷媒(水蒸気)が脱着され、出入口16から凝縮器20に向けて放出され、吸着剤Sの吸着能力が再生される。そして、放出された気体冷媒は、凝縮器20にて凝縮されて液体冷媒(例えば水)となり、差圧により、絞り21を経て蒸発器22側に送られる。
【0023】
この蒸発器22においては、液体冷媒相Lの液体冷媒が蒸発することにより、この液体冷媒が周囲から蒸発潜熱を奪う。この結果、液体冷媒相Lは上記蒸発潜熱を奪われて冷却され、さらには、流体通路223内の流体が、上記蒸発潜熱に相当する分の熱を液体冷媒相Lから奪われて冷却される。この冷却された流体が、室内熱交換器25の流体通路253に循環し、上記ファン装置26から室内空気が送風されることにより冷風が生成され、この冷風が車室内の冷却に使用される構成となっている。
【0024】
そして、この蒸発器22にて気化した気体冷媒(例えば水蒸気)は、第2吸着コア13の出入口17から流入される。このとき、第2吸着コア13では、冷却流体により吸着剤Sが冷却状態とされ、気体冷媒の吸着が促進されるようになっている。
このような作動により、第1吸着コア12の吸着剤Sが所定量の冷媒を脱着し、第2吸着コア13の吸着剤Sが所定量の冷媒を吸着すると、各三方切換弁18、19、33、34、37、38は、図3に破線で示す状態に切換えられ、今度は第1吸着コア12が吸着側とされ、第2吸着コア13が脱着側とされて同様の運転が実行されるように構成されている。これによって、蒸発器22による流体通路223内の流体の冷却、つまり、室内の冷却が連続的に行われる。
【0025】
ここで、上記冷却運転時には、蒸発器22が作動するため、蒸発容器2の皿部材220内部の空間Cには、気体冷媒が存在する。そして、気体冷媒は、液体冷媒よりも熱伝導性が悪いため、空間Cに形成された気体冷媒により、空間Cよりも蒸発容器2内方、つまり、液体冷媒相Lに、エンジンルームからの熱が伝わることを抑制できる。
【0026】
よって、液体冷媒相Lの温度上昇、ひいては、蒸発器22の流体通路223内部の流体の温度上昇を抑制できるので、車室内の冷却能力を向上できる。そして、冷却能力の向上分だけ、吸着コア12、13に必要とされる吸着、脱着能力を小さくでき、吸着コア12、13、吸着容器14、15等の体格を小型化できる。
【0027】
なお、皿部材220の高さ(空間Cの厚さ)は、空間C内の気体冷媒により、確実に蒸発容器2内の断熱を行なうことができるように、例えば2mm程度に設定されている。また、微小孔220aの径は、この微小孔220aにおいて、気体冷媒が空間Cの内外間をスムースに出入り可能となるように、例えば1mm程度に設定されている。
【0028】
(第2の実施形態)
図4に示す本実施形態は、上記第1の実施形態の皿部材220の微小孔220aの位置を変えたもので、4つの側面部2e、2fを覆う皿部材220の微小孔220aが、蒸発容器2内の液体冷媒相Lの界面位置よりも高い位置に常に配置されるようになっている。これにより、微小孔220aを介して、上記気体冷媒相Gと、空間Cとが連通するため、空間Cには気体冷媒が存在している。従って、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0029】
なお、何らかに理由で空間Cに液体冷媒が侵入しても、冷却運転時には、上記第1の実施形態で述べたように、空間Cは気体冷媒で満たされる。
(第3の実施形態)
図5に示す本実施形態では、上記第1の実施形態の皿部材220(図1参照)を廃止して、底面部2dおよび4つの側面部2e、2fに対応する壁面を一体に形成した樹脂製の容器部材220Aを設けている。この容器部材220Aは、この容器部材220Aと蒸発容器2との間に、所定幅(例えば2mm程度)の間隙Cを形成するような大きさで、かつ、蒸発器22および液体冷媒相Lを収容可能な大きさである。なお、確実に蒸発容器2内の断熱を行なうことができるように、上記所定幅は設定されている。
【0030】
そして、蒸発容器2の底面部2dと、容器部材220Aの底面部とが、所定幅隔てて配置されるように容器部材220Aを支持する支持部材2gが、蒸発容器2の底面部2dに一体に設けられている。
(第4の実施形態)
図6に示す本実施形態では、第1、第2吸着コア12、13、凝縮器20、および蒸発器22を、1つの密閉容器6の内部に収納してある。そして、密閉容器6は、第1、第2吸着コア2、3をそれぞれ収納する吸着容器14、15と、凝縮器20を収納する凝縮容器20aと、蒸発器22を収納する蒸発容器2とに分かれている。
【0031】
また、この密閉容器6には、吸着容器14、15と凝縮容器20aを連通する連通部81、82、および、吸着容器14、15と蒸発容器2を連通する連通部83、84が形成されている。これら連通部81〜84には、これら連通部81〜84を開閉する開閉弁71〜74が設けられている。この開閉弁71〜74は、樹脂製の板ドアからなり、それぞれの連通部81〜84に回動可能に設けられている。
【0032】
ここで、連通部81〜84のうち、開閉弁71〜74が設けらる部位には、枠状に、係止部材811、821、831、841が設けられている。そして、開閉弁71、72が連通部81、82を閉塞した状態よりも凝縮容器201側でのみ回動し、開閉弁73、74が連通部83、84を閉塞した状態よりも吸着容器14、15側でのみ回動するように、係止部材811〜841は配置されている。
【0033】
また、凝縮容器20aと蒸発容器2とは、キャピラリチューブ85にて連結されている。なお、図6中上下方向は天地方向と一致しており、凝縮器20、蒸発器22、第1、第2吸着コア12、13の流体通路は図示を省略したが、詳細は上記第1の実施形態と同様である。ここで、凝縮容器20a内と蒸発容器2内との差圧により、凝縮容器20a側から蒸発容器2側へ、キャピラリチューブ85を経て冷媒が送られる。
【0034】
このような装置1において、蒸発容器2の底面部2dおよび4つの側面部2e、2fの内面に皿部材220を設けている。なお、蒸発容器2のうちキャピラリチューブ85の連通部分は、皿部材220にて覆われていない部位とする。また、蒸発容器2の底面部2dを覆う皿部材220には、微小孔220aを2つ設けてある。
【0035】
そして、上記開閉弁71〜74は、吸着容器14、15、凝縮容器201、および蒸発容器2のそれぞれの間に生じる圧力差により、自動的に開閉するようになっている。この作動は公知であるため、作動の説明を以下に簡単に説明する。例えば、吸着コア12が吸着完了状態、吸着コア13が脱着完了状態から、吸着コア12を脱着、吸着コア13を吸着に切り換えるときについて説明する。
【0036】
まず、吸着完了状態の吸着コア12に加熱流体が供給されることにより、吸着コア12の温度が上がるとともに、吸着コア12が冷媒を脱着する。これにより、吸着容器14内の圧力が上がり、凝縮容器20a内の圧力(例えば40Torr程度)および蒸発容器2内の圧力(例えば10Torr程度)よりも大きくなり、開閉弁71が開くとともに、開閉弁73が閉じる。
【0037】
また、脱着完了状態の吸着コア13に冷却流体が供給されることにより、吸着コア13の温度が下がるとともに、吸着コア13が冷媒を吸着する。これにより、吸着容器15内の圧力が下がり、凝縮容器20a内の圧力および蒸発容器2内の圧力よりも小さくなり、開閉弁72が閉じるとともに、開閉弁74が開く。
このような装置1では、吸着容器14、15側の熱が、密閉容器6の吸着容器14、15を加熱し、この熱がさらに、蒸発容器2へ伝わるため、上記第1の実施形態に比べて、蒸発容器2内の液体冷媒相Lが加熱されやすいが、このような装置1に本発明を適用することにより、より効果的に、液体冷媒相Lの加熱を抑制できる。なお、吸着容器14、15側の熱とは、吸着行程における冷媒の吸着による吸着熱や、脱着行程における加熱流体による熱等のことである。
【0038】
(他の実施形態)
上記実施形態では、皿部材220または容器部材220Aに、微小孔220aをそれぞれ1つづつ形成していたが、2つ以上形成してもよい。ただし、微小孔220aを2つ以上形成する場合、蒸発容器2内の液体冷媒相Lと気体冷媒相Gとの界面よりも上方のみに形成するか、もしくは、界面よりも下方のみに形成する必要がある。ここで、界面の上方および下方のそれぞれに微小孔220aを形成すると、空間Cや空隙Cにおいて、液体冷媒相Lと気体冷媒相Gとが連通し、この空間Cや空隙Cに、気体冷媒が存在できなくなるためである。
【0039】
また、皿部材220の外周縁部に微小孔220aを形成していたが、他の場所、例えば、皿部材220の底面部や、皿部材220のうち、流体通路221、222の外周部に対応する部位等に形成してもよい。なお、流体通路221、222の外周部に対応する部位に微小孔を形成する場合、貫通孔220b、220cの径を、流体通路221、222の径よりも例えば0.5mm程度大きくし、この貫通孔220b、220cと流体通路221、222との間にパッキンを設けないようにすればよい。
【0040】
また、上記実施形態では、本発明の吸着式冷却装置により、車室内の冷却を行なうようにしていたが、他の種々の室内(例えば、家庭の室内や、冷蔵室内等)を冷却するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、吸着式冷却装置について述べたが、これに限定されることはなく、蒸発容器内の冷媒を蒸発させることにより、熱交換流体を介して室内を冷却する冷却装置であれば、本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる蒸発容器および蒸発器の概略断面図である。
【図2】第1の実施形態に係わる皿部材の上面図である。
【図3】第1の実施形態に係わる吸着式冷却装置の概略全体図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係わる蒸発容器および蒸発器の概略断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係わる蒸発容器および蒸発器の概略断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係わる吸着式冷却装置の概略全体図である。
【図7】従来技術に係わる吸着式冷却装置の概略部分図である。
【符号の説明】
G…気体冷媒相、L…液体冷媒相、2…蒸発容器(冷媒容器)、
220…皿部材(被覆部材)、220a…微小孔、
2d…底面部(壁面部)、2e、2f…側面部(壁面部)、C…空間、
223…流体通路(熱交換通路)。

Claims (4)

  1. 気体冷媒相(G)および液体冷媒相(L)が冷媒容器(2)内部に形成され、前記液体冷媒相(L)の液体冷媒の蒸発作用により、前記液体冷媒相(L)に配置される熱交換通路(223)内を流れる熱交換流体を冷却し、この熱交換流体と室内とを熱交換して室内を冷却する冷却装置であって、
    前記冷媒容器(2)のうち、少なくとも前記液体冷媒相(L)に対向する壁面部(2d、2e、2f)の内面を、所定距離を隔てて覆う被覆部材(220、220A)が、前記冷媒容器(2)に設けられており、
    前記冷媒容器(2)の前記壁面部(2d、2e、2f)と、前記被覆部材(220、220A)との間の空間(C)は、前記気体冷媒相(G)または前記液体冷媒相(L)に連通しており、
    前記空間(C)には、気体冷媒が存在するようになっていることを特徴とする冷却装置。
  2. 前記被覆部材(220)は、前記壁面部(2d、2e、2f)に対応する皿形状であり、
    前記被覆部材(220)の外周縁部が、前記冷媒容器(2)の前記壁面部(2d、2e、2f)に当接するように、前記被覆部材(220)は配置され、
    前記被覆部材(220)には、この被覆部材(220)と前記壁面部(2d、2e、2f)との間の空間(C)と、前記液体冷媒相(L)または前記気体冷媒相(G)とを連通する微小孔(220a)が形成され、
    前記液体冷媒相(L)の液体冷媒または前記気体冷媒相(G)の気体冷媒が、前記微小孔(220a)を経て前記空間(C)へ流入することにより、前記空間(C)が気体冷媒で満たされることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  3. 前記被覆部材(220A)は、前記壁面部(2d、2e、2f)に対応する壁面を一体に形成した容器形状であり、
    前記被覆部材(220A)の内部に、前記熱交換通路(223)および前記液体冷媒相(L)が収容されており、
    前記被覆部材(220A)と前記冷媒容器(2)との間の間隙(C)と、前記気体冷媒相(G)とが連通することにより、前記間隙(C)が気体冷媒で満たされることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の冷却装置と、
    冷却状態とされることにより、前記冷媒容器(2)内の気体冷媒を吸着し、加熱状態とされることにより、吸着していた気体冷媒を脱着する第1、第2吸着コア(12、13)と、
    前記第1、第2吸着コア(12、13)により脱着された気体冷媒を凝縮して液体冷媒を形成する凝縮器(20)とを備え、
    前記凝縮器(20)により形成された液体冷媒を、前記冷媒容器(2)内へ供給するようになっていることを特徴とする吸着式冷却装置。
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