JP3831962B2 - 吸着器及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば水などを冷媒とし、その冷媒を吸着剤により吸着,脱着するようにした吸着式冷凍機に好適する吸着器及びその製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば冷蔵庫や家庭用エアコン,カーエアコン等に用いられる冷凍装置として、水などを冷媒とし、吸着剤を内蔵する吸着器によりその冷媒の移動を図るようにした吸着式冷凍機が知られている。これは、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、活性アルミナ等の吸着剤が、冷却状態にあっては気体冷媒(水蒸気)を高能力で吸着し、加熱状態にあっては吸着していた気体冷媒を脱着することを利用したものである。
【0003】
この種の吸着器の従来例としては、例えば特開平5−322360号公報に示されたものがある。このものは、図9に示すように、気体冷媒の出入口1を有する真空容器2内に、シリカゲル等の多数の粒状の吸着剤Sを充填すると共に、その真空容器2内に、内部に熱交換流体が流される熱交換パイプ3を蛇行状に配設して構成されている。これにて、熱交換パイプ3に低温の冷却流体が供給された状態で、図示しない蒸発器により気化された気体冷媒(水蒸気)が、出入口1を通して吸着剤Sにより吸着されるようになるのである。
【0004】
ところで、この種の吸着器にあっては、吸着式冷凍機の所要の冷凍(冷却)能力を得るために多量の吸着剤Sを必要とする事情がある一方、吸着器をコンパクトに構成することが求められている。このような問題点を解決する手段として、吸着剤Sの小粒化を図ることにより、単位体積当たりの吸着剤Sの表面積(吸着面積)を増大させて吸着能力の向上を図ると共に、全体の容積を小さく抑えることが考えられる。
【0005】
しかしながら、上記した図9に示すような従来の吸着器では、吸着剤Sを容器2内に密に充填している構成のため、吸着剤Sの小粒化を図ったとしても、吸着剤S同士間に形成される隙間が小さくなってしまう。このため、気体冷媒の流通抵抗が大きくなり、吸着剤Sが大粒であった場合と比較して気体冷媒の拡散浸透の速度が遅くなって吸着効率が低下し、結局、十分な吸着能力の向上を図ることはできなかった。また、上記従来のものでは、充填された吸着剤Sの層内に熱交換パイプ3を配置しているだけなので、熱交換パイプ3から離れて位置する吸着剤Sにおける熱移動が遅く、熱交換の効率もさほど良いものではなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その一の目的は、吸着効率の向上を図ることができる吸着器を提供するにある。また、本発明の他の目的は、吸着効率の向上を図ることができる吸着器を容易に製造することができる吸着器の製造方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の吸着器は、多数の粒状の吸着剤を接着固定してなる吸着剤層を両面に有した熱交換フィンを、複数枚積層してなると共に、積層された前記熱交換フィン同士間に、吸着剤が存在せず、被吸着物が前記吸着剤層に接しながら該熱交換フィンの積層方向に交差する方向に流通する被吸着物通路を設けた構成に特徴を有する。
【0008】
これによれば、熱交換フィンの表面部に形成される吸着剤層は、全体として密に設けられるのではなく、積層される熱交換フィン同士間に被吸着物通路を確保した状態で設けられる。このため、被吸着物は、流通抵抗の小さい被吸着物通路を容易に流れながら、大きな接触面積にて吸着剤の表面に接触して吸着されるようになる。しかも、吸着剤層は、各熱交換フィンに熱的接触状態で設けられるから、熱移動が良好に行われ高い熱交換効率を得ることができる。
【0009】
この結果、請求項1の吸着器によれば、蛇行状の熱交換パイプを有する容器内に吸着剤を密に充填するものと比べて、吸着効率の大幅な向上を図ることができ、ひいては吸着性能の向上や全体のコンパクト化を図ることが可能となるという優れた実用的効果を奏する。
【0010】
また、この場合、前記熱交換フィンに、被吸着物が積層方向に流通可能な穴部を、被吸着物通路に連続するように形成することもできる(請求項2の吸着器)。これによれば、被吸着物が、熱交換フィンの積層方向に交差する方向だけでなく、積層方向にも容易に流れるようになり、より一層吸着効率を向上させることができる。
【0011】
そして、本発明の請求項3の吸着器の製造方法は、上記した吸着器を製造するための方法であって、熱交換フィンの両面に、積層方向に対して交差する方向に延びる接着剤の非塗布部を部分的に設けた状態で、多数の粒状の吸着剤を接着固定することにより、一部に吸着剤が存在しない非接着部を有する吸着剤層を設け、前記非接着部によって被吸着物通路を形成するところに特徴を有する。
【0012】
これによれば、熱交換フィンの表面部に接着剤を塗布して吸着剤を接着させることにより、吸着剤層が形成されるのであるが、このとき、接着剤の非塗布部を部分的に設けることにより、熱交換フィンの表面部に吸着剤が存在しない凹状をなす非接着部が、積層方向に対して交差する方向に延びて設けられる。
【0013】
従って、この状態の熱交換フィンを積層するだけで、前記非接着部を被吸着物通路とすることができ、被吸着物通路を容易に形成することができる。この結果、請求項3の吸着器の製造方法によれば、上記したような吸着効率の向上を図ることができる請求項1又は2の吸着器を、容易に製造することができるという優れた効果を奏する。
【0014】
本発明の請求項4の吸着器の製造方法は、熱交換フィンの両面に多数の粒状の吸着剤を接着固定して吸着剤層を形成し、前記吸着剤層が設けられた熱交換フィンをスペーサを介して複数枚積層することにより、前記各熱交換フィンの吸着剤層同士間に吸着剤が存在しない被吸着物通路を形成するところに特徴を有する。
【0015】
これによれば、熱交換フィンの表面部に接着剤を塗布して吸着剤を接着させることにより吸着剤層が形成され、スペーサによって所定の間隔を設けながら熱交換フィンを積層することにより、重なり合う吸着剤層と吸着剤層との間に隙間すなわち被吸着物通路を設けることができる。この場合も、容易に被吸着物通路を形成することができ、この結果、上記したような吸着効率の向上を図ることができる請求項1又は2の吸着器を、容易に製造することができるという優れた効果を得ることができる。
【0016】
また、この場合、前記スペーサを、前記熱交換フィンに一体に設けるようにしても良い(請求項5の吸着器の製造方法)。これによれば、別部材のスペーサが不要となると共に、スペーサをいちいち挟みながら熱交換フィンを積層するといった作業が必要なくなり、熱交換フィンの積層の作業をより容易とすることができる。
【0017】
本発明の請求項6の吸着器の製造方法は、記熱交換フィンの両面に、積層方向に対して交差する方向に延びる接着剤の非塗布部を部分的に設けた状態で、多数の粒状の吸着剤を接着固定することにより、一部に吸着剤が存在しない非接着部を有する吸着剤層を設け、さらにこの熱交換フィンをスペーサを介して複数枚積層することにより、前記各熱交換フィンの吸着剤層同士間及び前記非接着部部分に吸着剤が存在しない被吸着物通路を形成するところに特徴を有する。
【0018】
これによれば、上記請求項3及び4と同様に、被吸着物通路を容易に形成することができることに加えて、重なり合う吸着剤層同士と、各吸着剤層に形成された非接着部との双方に被吸着物通路を形成することができ、被吸着物通路における被吸着物と吸着剤との接触面積をより大きくすることができるようになる。この結果、上記請求項1又は2の吸着器を、容易に製造することができ、吸着効率のより一層の向上を図ることができるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を例えばカーエアコン用の吸着式冷凍機に適用したいくつかの実施例について、図1ないし図8を参照して説明する。
(1)第1の実施例
まず、図1ないし図4を参照して、本発明の第1の実施例(請求項1及び請求項3に対応)について述べる。
【0020】
図4は、例えば水を冷媒とした吸着式冷凍機11の全体構成を概略的に示している。この吸着式冷凍機11は、詳しくは後述するように、本実施例に係る2個の吸着器12,13を備えて構成されている。これら各吸着器12,13には、夫々被吸着物としての気体冷媒(水蒸気)の入口12a,13aが設けられていると共に、気体冷媒の出口12b,13bが設けられている。この吸着器12,13の各入口12a,13aは、入口側の三方切換弁14の2個の流出部に夫々接続されている。また、前記各出口12b,13bは、出口側の三方切換弁15の流入部に夫々接続されている。
【0021】
そして、前記三方切換弁15の流出部と三方切換弁14の流入部との間には、気体冷媒を凝縮して液化する凝縮器16、冷媒の気液分離及び一時的な貯留を行うレシーバ17、液体冷媒(水)を矢印A方向に送るポンプ18、液体冷媒を気化させて外部との熱交換を行う蒸発器19が、冷媒管路20によってその順に直列に接続されている。また、このように構成された冷媒の回路の内部は、所定の真空状態とされていると共に、所要量の冷媒(水)が封入されている。
【0022】
また、前記各吸着器12,13に夫々設けられる熱交換器21(後述)に、熱交換流体(冷却流体,加熱流体)を供給するための供給機構が次のように設けられる。即ち、各吸着器12,13に設けられる熱交換器21には、夫々流入パイプ22及び流出パイプ23が接続されている。前記各流入パイプ22は、三方切換弁24,25を介して加熱流体流入口26及び冷却流体流入口27に接続されている。一方、前記各流出パイプ23は、三方切換弁28,29を介して加熱流体流出口30及び冷却流体流出口31に接続されている。これにて、各吸着器12,13の熱交換器21に対して、加熱流体あるいは冷却流体が切換可能に供給されるようになっているのである。
【0023】
さて、前記吸着器12,13について、図1ないし図3も参照して述べる。尚、これら2個の吸着器12,13は同等の構成とされているので、一方の吸着器12を代表させて説明する。この吸着器12は、気体冷媒の入口12a及び出口12bを備える図示しない真空容器内に、図2に示すような吸着器コア32を収容して構成されている。
【0024】
この吸着器コア32は、多数個の粒状の吸着剤Sからなる吸着剤層33(図1参照)と、この吸着剤層33に熱的接触状態に設けられた熱交換器21とから、全体として前後に薄形の矩形ブロック状に構成されている。尚、前記吸着剤Sは、例えばシリカゲル、ゼオライト、活性炭、活性アルミナ等からなり、この場合、直径100〜150μmの球状をなす十分に小粒のものとされている。周知のように、この吸着剤Sは、冷却状態において気体冷媒を高能力で吸着し、加熱状態とされることにより、吸着していた気体冷媒を脱着して吸着能力が再生されるという性質を有している。
【0025】
前記熱交換器21は、図2に示すように、吸着器コア32の上下両面部に配置される偏平な角パイプ状をなすヘッダパイプ34,34間に、複数本の円筒状のチューブ35を上下に掛渡すと共に、多数枚の薄板状の熱交換フィン36を上下方向に積層して構成されている。このとき、図3に示すように、各熱交換フィン36には、複数個の円形孔36aが形成されており、前記チューブ35がこの円形孔36aを貫通するようになっている。
【0026】
また、一方(下側)のヘッダパイプ34の端部には、前記流入パイプ22が接続され、他方(上側)のヘッダパイプ34の端部には、前記流出パイプ23が接続されている。詳しく図示はしないが、これら流入パイプ22及び流出パイプ23は、真空容器の壁を気密に貫通して外部に導出され、上記した熱交換流体の供給機構に接続されている。これにて、熱交換流体は、流入パイプ22から下側のヘッダパイプ34に供給され、各チューブ35を通って上昇して上側のヘッダパイプ34に至り、流出パイプ23から排出されるようになっている。
【0027】
前記吸着剤層33は、前記熱交換フィン36の表面部に設けられるようになっている。即ち、前記熱交換フィン36は、熱伝導性が良い金属例えばアルミニウムから厚み20〜50μmの薄板状(シート状)に形成されている。そして、図1に示すように、その表面部(上下両面)に、吸着剤Sが接着剤37により接着固定されて吸着剤層33が形成されるのであるが、本実施例では、吸着剤層33のうちの一部に、図2等で前後方向(短辺方向)に細い幅で延びて、吸着剤Sの存在しない非接着部が設けられている。
【0028】
そして、熱交換フィン36が積層された状態において、前記非接着部により、吸着器コア32の前後方向に貫通する複数の被吸着物通路38が形成されているのである。尚、本実施例では、前記吸着剤層33に対し複数の非接着部が等間隔に形成されていると共に、例えば非接着部の幅寸法Lは吸着剤Sの直径(100〜150μm)の10〜100%程度、非接着部のピッチPは吸着剤Sの直径の2〜8倍とされている。
【0029】
ここで、上記吸着器12(吸着器コア32)を製造するにあたっての手順の一例について述べる。まず、図3に示すように、所定位置に円形孔36aを形成した熱交換フィン36の表面に対して、前記非接着部を形成する部分にマスキングテープ39を貼付けてマスキングを行う。次に、熱交換フィン36の表面全体に接着剤37を塗布する。この接着剤37としては、薄い膜の形成が可能で、熱伝導性の良好(0.2Wm/K以上、より望ましくは1.0Wm/K以上)なものを使用する。
【0030】
塗布された接着剤37がいわゆる半乾き状態となったところで、熱交換フィン36からマスキングテープ39を剥がし、吸着剤Sを接着固定する。このとき、マスキングテープ39が貼付けられていた部分は、接着剤が塗布されない非塗布部となり、ひいては吸着剤Sが接着されない非接着部となるのである。これにて、図1に示すように、熱交換フィン36の表面部に吸着剤層33が形成されると共に、その一部に吸着剤Sが存在しない非接着部が設けられるのである。このようにして、非接着部を有する吸着剤層33が表面部に形成された複数枚の熱交換フィン36を構成する。
【0031】
一方、例えば下側のヘッダパイプ34の上面部に、予め全てのチューブ35の下端部を例えばろう付け等により取付けておく。そして、上記複数枚の熱交換フィン36を、各チューブ35に円形孔36aを嵌挿させながら、下側のヘッダパイプ34の上面側に積層状態に重ねていく。このとき、熱交換フィン36の円形孔36aの径は、チューブ35の外径よりも若干大きく形成されており、各熱交換フィン36をスムーズに差込んでいくことができるようになっている。また、この場合、図1に示すように、吸着剤層33同士を重ねるようにしながら、熱交換フィン36をそのまま重ね合わせていけば良い。
【0032】
チューブ35の上端部まで熱交換フィン36が積層されると、各チューブ35の拡管が行われる。図示はしないが、この拡管の作業は、拡管用の治具を各チューブ35に圧入していくことにより行われ、これにて、各チューブ35と各熱交換フィン36とが機械的に固着され、熱的接続状態とされる。この後、各チューブ35の上端に、上側のヘッダパイプ34を取付けることにより、図2に示すような吸着器コア32が形成されるのである。このとき、吸着器コア32の各熱交換フィン36同士間には、吸着剤Sが存在しない非接着部によって図で前後方向に延びる多数の被吸着物通路38が形成されるのである。
【0033】
この後、上記吸着器コア32を真空容器内に収容することにより吸着器12が構成される。尚、図示はしないが、真空容器に形成される気体冷媒の入口12a及び出口12bは、例えば吸着器コア32の図2で前後両面の中央部に対応して設けられている。従って、気体冷媒は、吸着器コア32に対して、主として図2で前後方向(矢印B方向)に流通するようになっている。また、吸着器12(真空容器)の容積は例えば2〜4リットルと小形とされ、車載性に優れたものとされている。
【0034】
次に、上記構成の作用について述べる。図示しない制御装置により、上記した各三方切換弁14,15,24,25,28,29が切換制御され、吸着器12,13は、一方が気体冷媒を吸着する吸着過程とされるとき、他方が気体冷媒を脱着する脱着過程とされるようになっている。図4は、吸着器12が脱着過程、吸着器13が吸着過程とされたときの各三方切換弁14,15,24,25,28,29の状態を実線で示している。
【0035】
即ち、図で上側の吸着器12においては、冷媒の出口12bが凝縮器16に連通されると共に、その熱交換器21に加熱流体が供給される。一方、図で下側の吸着器13においては、冷媒の入口13aが蒸発器19に連通されると共に、その熱交換器21に冷却流体が供給される。
【0036】
これにて、吸着器12において、熱交換器21に加熱流体が供給されることにより、吸着剤層33が加熱状態とされ、吸着剤Sが吸着していた気体冷媒(水蒸気)が脱着されて出口12bから凝縮器16に向けて放出され、吸着剤層33(吸着剤S)の吸着能力が再生される。放出された気体冷媒は、凝縮器16にて凝縮されて液体冷媒(水)となり、レシーバ17に一時的に貯留された後、矢印Aで示すように、ポンプ18により蒸発器19に送られるようになる。
【0037】
この蒸発器19においては、液体冷媒が気化して外部との熱交換が行われ、冷却能力が取出されるようになっている。そして、蒸発器19にて気化された気体冷媒は、入口13aから吸着器13内に流入され、吸着剤層22に吸着される。このとき、吸着器13にあっては、熱交換器21に冷却流体が供給されることにより、吸着剤Sの吸着熱との熱交換が行われ、高い能力で気体冷媒の吸着が行われるようになる。
【0038】
このような過程が所定時間継続すると、今度は吸着器12が吸着過程、吸着器13が脱着過程となるように、各三方切換弁14,15,24,25,28,29が切換えられる(図4に破線で示す状態)。このような動作が繰返されることにより、連続的な冷却運転が実行されるのである。
【0039】
しかして、上記した各吸着器12,13において吸着過程を実行するにあたり、もし吸着剤Sが密に充填されているような場合には、従来例で述べたように、吸着剤S同士間に形成される隙間が小さくなって気体冷媒の流通抵抗が大きくなり、気体冷媒の拡散浸透の速度が遅くなって吸着効率が低下する不具合が生ずる。ところが、本実施例では、吸着器コア32には、図1に示すように、積層される熱交換フィン36同士間に、被吸着物通路38が設けられており、吸着器12,13(真空容器)内に流入された気体冷媒は、流通抵抗の小さい被吸着物通路38を、吸着剤層33(吸着剤S)に触れながらスムーズに流れ、大きな接触面積にて吸着剤Sの表面に接触して吸着されるようになるのである。
【0040】
しかも、本実施例では、吸着剤層33は、いわば単層に形成されていると共に、各熱交換フィン36に熱的接触状態で設けられているから、熱交換器21と吸着剤層33との間の熱移動が良好に行われ高い熱交換効率を得ることができる。また、吸着剤Sを十分小粒化しているため、単位体積当りの表面積(吸着面積)が十分大きく、ひいては吸着器12,13自体が比較的小形であっても、高い吸着能力で気体冷媒の吸着を行うことができるのである。
【0041】
このように本実施例の吸着器12,13によれば、吸着器コア32の積層される熱交換フィン36同士間に、気体冷媒が吸着剤層33(吸着剤S)に接しながら流通する被吸着物通路38を設けたので、蛇行状の熱交換パイプ3を有する容器2内に吸着剤Sを密に充填している構成の従来の吸着器と異なり、気体冷媒が流通抵抗の低い被吸着物通路38を通ることにより吸着剤Sによる速やかな吸着が行われるようになり、しかも、熱交換器21と吸着剤Sとの間の熱移動が良好に行われ高い熱交換効率を得ることができる。この結果、吸着効率の大幅な向上を図ることができ、ひいては吸着性能の向上や全体のコンパクト化を図ることが可能となるという優れた効果を奏する。
【0042】
そして、本実施例の吸着器12,13の製造方法によれば、熱交換フィン36の表面の一部をマスキングして接着剤37を塗布することによって、吸着剤層33に吸着剤Sが存在しない非接着部を容易に設けることができ、熱交換フィン36の単純な積層作業により、容易に被吸着物通路38を形成することができる。この結果、上述のような吸着効率の高い吸着器12,13を、容易に製造することができるものである。
【0043】
(2)第2,第3の実施例
図5は本発明の第2の実施例を示すものである。この実施例では、吸着剤層の一部に形成される被吸着物通路の形態が、上記第1の実施例の被吸着物通路38と異なっている。即ち、上記第1の実施例では、被吸着物通路38を吸着器コア21の前後方向にのびるように形成したが、本実施例では、熱交換フィン41の板面方向に沿って斜め方向に網目状をなすように延びて被吸着物通路を設けるようにしている。
【0044】
この場合、熱交換フィン41の表面に対し、細幅のマスキングテープ42を、斜め方向に網目状に貼付けてマスキングを行い、次に、熱交換フィン41の表面全体に接着剤を塗布し、接着剤がいわゆる半乾き状態となったところで、熱交換フィン41からマスキングテープ42を剥がし、吸着剤Sを接着固定するようになっている。尚、図5中、符号41aは、熱交換フィン41に形成されるチューブ貫通用の円形孔を示している。このように、被吸着物通路の形態としては、各種の変形例が考えられるものである。
【0045】
図6は、本発明の第3の実施例(請求項2に対応)を示すものである。ここでは、熱交換フィン43には、チューブ貫通用の複数個の円形孔43aが形成されていると共に、被吸着物(気体冷媒)が熱交換フィン43の積層方向に流通するための複数個の楕円形状の穴部44が形成されている。そして、吸着剤層の一部に形成される被吸着物通路は、前記穴部44から放射方向に延びるように複数が形成されている。この場合も、やはり、熱交換フィン43に対して、細幅のマスキングテープ45を穴部44から放射方向に延びるように貼付けることに基づいて、穴部44と連続する被吸着物通路を形成するようになっている。
【0046】
これによれば、上記上記第1の実施例と同様の効果に加えて、被吸着物が、熱交換フィン43の積層方向に交差する方向だけでなく、積層方向にも容易に流れるようになり、より一層吸着効率を向上させることができるという利点を得ることができるものである。
【0047】
尚、上記した第1〜第3の実施例では、マスキングテープを貼付けた熱交換フィンに接着剤を塗布し、マスキングテープを剥がした後に吸着剤を接着固定するようにしたが、マスキングテープを貼付けた熱交換フィンに接着剤を塗布し、全面に吸着剤を接着した後に、マスキングテープを吸着剤と共に剥すようにしても、同様に被吸着物通路を容易に形成することができる。
【0048】
(3)第4の実施例
次に、図7は本発明の第4の実施例(請求項1,4に対応)を示している。本実施例においては、熱交換フィン51の表面全域(チューブ貫通用の孔を除く)に接着剤52の膜を形成し、その接着剤52により吸着剤Sを接着固定して吸着剤層53を形成するようにしている。そして、その熱交換フィン51をスペーサを介して積層することにより、各熱交換フィン51の吸着剤層53同士間に、厚み方向の寸法M(例えば吸着剤層53の厚み寸法の10〜100%)の隙間を形成することにより、被吸着物通路54を形成するようにしている。
【0049】
この場合、吸着剤層53が形成された各熱交換フィン51を積層するにあたり、1枚毎に所定厚み(厚み寸法M)のスペーサ(図示せず)を挟みながら積層し、チューブの拡管作業を行って各熱交換フィン51をチューブに固定し、その後、スペーサを抜取るようにすれば、容易に被吸着物通路54を形成することができる。
【0050】
従って、本実施例によっても、上記第1の実施例等と同様に、吸着器の吸着効率の大幅な向上を図ることができ、ひいては吸着性能の向上や全体のコンパクト化を図ることが可能となり、また、そのような吸着効率の向上を図ることができる吸着器を、容易に製造することができるという効果を得ることができるものである。
【0051】
尚、図示はしないが、上記した別体のスペーサに代えて、熱交換フィン51にスペーサとして機能する凸部を一体的に設けるようにしても良い(請求項5に対応)。これによれば、別部材のスペーサが不要となると共に、スペーサをいちいち挟みながら熱交換フィン51を積層し、その後抜取るといった作業が必要なくなり、熱交換フィン51の積層の作業をより容易とすることができる。
【0052】
(4)第5の実施例
最後に、図8は本発明の第5の実施例(請求項1,6に対応)を示している。この実施例は、いわば上記第1の実施例と第4の実施例との双方を組合わせたものであり、吸着剤層61の一部に吸着剤Sが存在しない非接着部を有する熱交換フィン62を、スペーサを介して積層することにより、各熱交換フィン62の吸着剤層61同士間及び前記非接着部部分に被吸着物通路63を形成するようにしているのである。
【0053】
これによれば、上記第1,第4の実施例と同様に、被吸着物通路63を容易に形成することができることに加えて、重なり合う吸着剤層61同士と、各吸着剤層51に形成された非接着部との双方に被吸着物通路63を形成することができ、被吸着物通路63における被吸着物と吸着剤Sとの接触面積をより大きくすることができるようになる。
【0054】
尚、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で拡張、変更が可能である。
即ち、上記各実施例では、吸着剤Sをいわば一層に接着して吸着剤層を形成したが、吸着剤Sを層状(多層状)に接着して吸着剤層を形成するようにしても良い。この場合、接着剤としては、水蒸気の透過性が高く、吸着剤S同士を点接触状態で接着することが可能な、例えば酢酸ビニル樹脂系のものを用いることができる。吸着剤Sとしては、球状のものに限らず、形状が不揃いの破砕状のものを使用しても良い。
【0055】
また、熱交換器の構成としては、ヘッダパイプ34とチューブ35とを用いるものに限らず、チューブを蛇行状に形成したものでも良く、この場合も、熱交換器に多数枚の熱交換フィンを積層状に設けることにより、上記各実施例と同様に構成することができる。吸着器の外殻(真空容器)に設けられる冷媒の出入口の位置も、種々変更することができ、この場合、入口と出口とを兼用する1個の出入口を設けるようにしたものでも良い。
【0056】
さらには、吸着式冷凍機の全体構成としても、例えば1個の大形の真空容器内を壁で複数室に区切り、それら各室に2個の吸着器コアや蒸発器、凝縮器を夫々配置する構成としても良い。その他、本発明の吸着器は、カーエアコン用の吸着式冷凍機に限らず、各種の冷凍装置、さらには各種の被吸着物を吸着する装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、吸着器コアの要部の拡大正面図
【図2】吸着器コアの斜視図
【図3】熱交換フィンのマスキングを行った状態の平面図
【図4】吸着式冷凍機の構成を概略的に示す図
【図5】本発明の第2の実施例を示す図3相当図
【図6】本発明の第3の実施例を示す図3相当図
【図7】本発明の第4の実施例を示す図1相当図
【図8】本発明の第5の実施例を示す図1相当図
【図9】従来例を示す吸着器の縦断面図
【符号の説明】
図面中、11は吸着式冷凍機、12,13は吸着器、21は熱交換器、32は吸着器コア、33,53,61は吸着剤層、34はヘッダパイプ、35はチューブ、36,41,43,51,62は熱交換フィン、37,52は接着剤、38,54,63は被吸着物通路、44は穴部、Sは吸着剤を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば水などを冷媒とし、その冷媒を吸着剤により吸着,脱着するようにした吸着式冷凍機に好適する吸着器及びその製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば冷蔵庫や家庭用エアコン,カーエアコン等に用いられる冷凍装置として、水などを冷媒とし、吸着剤を内蔵する吸着器によりその冷媒の移動を図るようにした吸着式冷凍機が知られている。これは、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、活性アルミナ等の吸着剤が、冷却状態にあっては気体冷媒(水蒸気)を高能力で吸着し、加熱状態にあっては吸着していた気体冷媒を脱着することを利用したものである。
【0003】
この種の吸着器の従来例としては、例えば特開平5−322360号公報に示されたものがある。このものは、図9に示すように、気体冷媒の出入口1を有する真空容器2内に、シリカゲル等の多数の粒状の吸着剤Sを充填すると共に、その真空容器2内に、内部に熱交換流体が流される熱交換パイプ3を蛇行状に配設して構成されている。これにて、熱交換パイプ3に低温の冷却流体が供給された状態で、図示しない蒸発器により気化された気体冷媒(水蒸気)が、出入口1を通して吸着剤Sにより吸着されるようになるのである。
【0004】
ところで、この種の吸着器にあっては、吸着式冷凍機の所要の冷凍(冷却)能力を得るために多量の吸着剤Sを必要とする事情がある一方、吸着器をコンパクトに構成することが求められている。このような問題点を解決する手段として、吸着剤Sの小粒化を図ることにより、単位体積当たりの吸着剤Sの表面積(吸着面積)を増大させて吸着能力の向上を図ると共に、全体の容積を小さく抑えることが考えられる。
【0005】
しかしながら、上記した図9に示すような従来の吸着器では、吸着剤Sを容器2内に密に充填している構成のため、吸着剤Sの小粒化を図ったとしても、吸着剤S同士間に形成される隙間が小さくなってしまう。このため、気体冷媒の流通抵抗が大きくなり、吸着剤Sが大粒であった場合と比較して気体冷媒の拡散浸透の速度が遅くなって吸着効率が低下し、結局、十分な吸着能力の向上を図ることはできなかった。また、上記従来のものでは、充填された吸着剤Sの層内に熱交換パイプ3を配置しているだけなので、熱交換パイプ3から離れて位置する吸着剤Sにおける熱移動が遅く、熱交換の効率もさほど良いものではなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その一の目的は、吸着効率の向上を図ることができる吸着器を提供するにある。また、本発明の他の目的は、吸着効率の向上を図ることができる吸着器を容易に製造することができる吸着器の製造方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の吸着器は、多数の粒状の吸着剤を接着固定してなる吸着剤層を両面に有した熱交換フィンを、複数枚積層してなると共に、積層された前記熱交換フィン同士間に、吸着剤が存在せず、被吸着物が前記吸着剤層に接しながら該熱交換フィンの積層方向に交差する方向に流通する被吸着物通路を設けた構成に特徴を有する。
【0008】
これによれば、熱交換フィンの表面部に形成される吸着剤層は、全体として密に設けられるのではなく、積層される熱交換フィン同士間に被吸着物通路を確保した状態で設けられる。このため、被吸着物は、流通抵抗の小さい被吸着物通路を容易に流れながら、大きな接触面積にて吸着剤の表面に接触して吸着されるようになる。しかも、吸着剤層は、各熱交換フィンに熱的接触状態で設けられるから、熱移動が良好に行われ高い熱交換効率を得ることができる。
【0009】
この結果、請求項1の吸着器によれば、蛇行状の熱交換パイプを有する容器内に吸着剤を密に充填するものと比べて、吸着効率の大幅な向上を図ることができ、ひいては吸着性能の向上や全体のコンパクト化を図ることが可能となるという優れた実用的効果を奏する。
【0010】
また、この場合、前記熱交換フィンに、被吸着物が積層方向に流通可能な穴部を、被吸着物通路に連続するように形成することもできる(請求項2の吸着器)。これによれば、被吸着物が、熱交換フィンの積層方向に交差する方向だけでなく、積層方向にも容易に流れるようになり、より一層吸着効率を向上させることができる。
【0011】
そして、本発明の請求項3の吸着器の製造方法は、上記した吸着器を製造するための方法であって、熱交換フィンの両面に、積層方向に対して交差する方向に延びる接着剤の非塗布部を部分的に設けた状態で、多数の粒状の吸着剤を接着固定することにより、一部に吸着剤が存在しない非接着部を有する吸着剤層を設け、前記非接着部によって被吸着物通路を形成するところに特徴を有する。
【0012】
これによれば、熱交換フィンの表面部に接着剤を塗布して吸着剤を接着させることにより、吸着剤層が形成されるのであるが、このとき、接着剤の非塗布部を部分的に設けることにより、熱交換フィンの表面部に吸着剤が存在しない凹状をなす非接着部が、積層方向に対して交差する方向に延びて設けられる。
【0013】
従って、この状態の熱交換フィンを積層するだけで、前記非接着部を被吸着物通路とすることができ、被吸着物通路を容易に形成することができる。この結果、請求項3の吸着器の製造方法によれば、上記したような吸着効率の向上を図ることができる請求項1又は2の吸着器を、容易に製造することができるという優れた効果を奏する。
【0014】
本発明の請求項4の吸着器の製造方法は、熱交換フィンの両面に多数の粒状の吸着剤を接着固定して吸着剤層を形成し、前記吸着剤層が設けられた熱交換フィンをスペーサを介して複数枚積層することにより、前記各熱交換フィンの吸着剤層同士間に吸着剤が存在しない被吸着物通路を形成するところに特徴を有する。
【0015】
これによれば、熱交換フィンの表面部に接着剤を塗布して吸着剤を接着させることにより吸着剤層が形成され、スペーサによって所定の間隔を設けながら熱交換フィンを積層することにより、重なり合う吸着剤層と吸着剤層との間に隙間すなわち被吸着物通路を設けることができる。この場合も、容易に被吸着物通路を形成することができ、この結果、上記したような吸着効率の向上を図ることができる請求項1又は2の吸着器を、容易に製造することができるという優れた効果を得ることができる。
【0016】
また、この場合、前記スペーサを、前記熱交換フィンに一体に設けるようにしても良い(請求項5の吸着器の製造方法)。これによれば、別部材のスペーサが不要となると共に、スペーサをいちいち挟みながら熱交換フィンを積層するといった作業が必要なくなり、熱交換フィンの積層の作業をより容易とすることができる。
【0017】
本発明の請求項6の吸着器の製造方法は、記熱交換フィンの両面に、積層方向に対して交差する方向に延びる接着剤の非塗布部を部分的に設けた状態で、多数の粒状の吸着剤を接着固定することにより、一部に吸着剤が存在しない非接着部を有する吸着剤層を設け、さらにこの熱交換フィンをスペーサを介して複数枚積層することにより、前記各熱交換フィンの吸着剤層同士間及び前記非接着部部分に吸着剤が存在しない被吸着物通路を形成するところに特徴を有する。
【0018】
これによれば、上記請求項3及び4と同様に、被吸着物通路を容易に形成することができることに加えて、重なり合う吸着剤層同士と、各吸着剤層に形成された非接着部との双方に被吸着物通路を形成することができ、被吸着物通路における被吸着物と吸着剤との接触面積をより大きくすることができるようになる。この結果、上記請求項1又は2の吸着器を、容易に製造することができ、吸着効率のより一層の向上を図ることができるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を例えばカーエアコン用の吸着式冷凍機に適用したいくつかの実施例について、図1ないし図8を参照して説明する。
(1)第1の実施例
まず、図1ないし図4を参照して、本発明の第1の実施例(請求項1及び請求項3に対応)について述べる。
【0020】
図4は、例えば水を冷媒とした吸着式冷凍機11の全体構成を概略的に示している。この吸着式冷凍機11は、詳しくは後述するように、本実施例に係る2個の吸着器12,13を備えて構成されている。これら各吸着器12,13には、夫々被吸着物としての気体冷媒(水蒸気)の入口12a,13aが設けられていると共に、気体冷媒の出口12b,13bが設けられている。この吸着器12,13の各入口12a,13aは、入口側の三方切換弁14の2個の流出部に夫々接続されている。また、前記各出口12b,13bは、出口側の三方切換弁15の流入部に夫々接続されている。
【0021】
そして、前記三方切換弁15の流出部と三方切換弁14の流入部との間には、気体冷媒を凝縮して液化する凝縮器16、冷媒の気液分離及び一時的な貯留を行うレシーバ17、液体冷媒(水)を矢印A方向に送るポンプ18、液体冷媒を気化させて外部との熱交換を行う蒸発器19が、冷媒管路20によってその順に直列に接続されている。また、このように構成された冷媒の回路の内部は、所定の真空状態とされていると共に、所要量の冷媒(水)が封入されている。
【0022】
また、前記各吸着器12,13に夫々設けられる熱交換器21(後述)に、熱交換流体(冷却流体,加熱流体)を供給するための供給機構が次のように設けられる。即ち、各吸着器12,13に設けられる熱交換器21には、夫々流入パイプ22及び流出パイプ23が接続されている。前記各流入パイプ22は、三方切換弁24,25を介して加熱流体流入口26及び冷却流体流入口27に接続されている。一方、前記各流出パイプ23は、三方切換弁28,29を介して加熱流体流出口30及び冷却流体流出口31に接続されている。これにて、各吸着器12,13の熱交換器21に対して、加熱流体あるいは冷却流体が切換可能に供給されるようになっているのである。
【0023】
さて、前記吸着器12,13について、図1ないし図3も参照して述べる。尚、これら2個の吸着器12,13は同等の構成とされているので、一方の吸着器12を代表させて説明する。この吸着器12は、気体冷媒の入口12a及び出口12bを備える図示しない真空容器内に、図2に示すような吸着器コア32を収容して構成されている。
【0024】
この吸着器コア32は、多数個の粒状の吸着剤Sからなる吸着剤層33(図1参照)と、この吸着剤層33に熱的接触状態に設けられた熱交換器21とから、全体として前後に薄形の矩形ブロック状に構成されている。尚、前記吸着剤Sは、例えばシリカゲル、ゼオライト、活性炭、活性アルミナ等からなり、この場合、直径100〜150μmの球状をなす十分に小粒のものとされている。周知のように、この吸着剤Sは、冷却状態において気体冷媒を高能力で吸着し、加熱状態とされることにより、吸着していた気体冷媒を脱着して吸着能力が再生されるという性質を有している。
【0025】
前記熱交換器21は、図2に示すように、吸着器コア32の上下両面部に配置される偏平な角パイプ状をなすヘッダパイプ34,34間に、複数本の円筒状のチューブ35を上下に掛渡すと共に、多数枚の薄板状の熱交換フィン36を上下方向に積層して構成されている。このとき、図3に示すように、各熱交換フィン36には、複数個の円形孔36aが形成されており、前記チューブ35がこの円形孔36aを貫通するようになっている。
【0026】
また、一方(下側)のヘッダパイプ34の端部には、前記流入パイプ22が接続され、他方(上側)のヘッダパイプ34の端部には、前記流出パイプ23が接続されている。詳しく図示はしないが、これら流入パイプ22及び流出パイプ23は、真空容器の壁を気密に貫通して外部に導出され、上記した熱交換流体の供給機構に接続されている。これにて、熱交換流体は、流入パイプ22から下側のヘッダパイプ34に供給され、各チューブ35を通って上昇して上側のヘッダパイプ34に至り、流出パイプ23から排出されるようになっている。
【0027】
前記吸着剤層33は、前記熱交換フィン36の表面部に設けられるようになっている。即ち、前記熱交換フィン36は、熱伝導性が良い金属例えばアルミニウムから厚み20〜50μmの薄板状(シート状)に形成されている。そして、図1に示すように、その表面部(上下両面)に、吸着剤Sが接着剤37により接着固定されて吸着剤層33が形成されるのであるが、本実施例では、吸着剤層33のうちの一部に、図2等で前後方向(短辺方向)に細い幅で延びて、吸着剤Sの存在しない非接着部が設けられている。
【0028】
そして、熱交換フィン36が積層された状態において、前記非接着部により、吸着器コア32の前後方向に貫通する複数の被吸着物通路38が形成されているのである。尚、本実施例では、前記吸着剤層33に対し複数の非接着部が等間隔に形成されていると共に、例えば非接着部の幅寸法Lは吸着剤Sの直径(100〜150μm)の10〜100%程度、非接着部のピッチPは吸着剤Sの直径の2〜8倍とされている。
【0029】
ここで、上記吸着器12(吸着器コア32)を製造するにあたっての手順の一例について述べる。まず、図3に示すように、所定位置に円形孔36aを形成した熱交換フィン36の表面に対して、前記非接着部を形成する部分にマスキングテープ39を貼付けてマスキングを行う。次に、熱交換フィン36の表面全体に接着剤37を塗布する。この接着剤37としては、薄い膜の形成が可能で、熱伝導性の良好(0.2Wm/K以上、より望ましくは1.0Wm/K以上)なものを使用する。
【0030】
塗布された接着剤37がいわゆる半乾き状態となったところで、熱交換フィン36からマスキングテープ39を剥がし、吸着剤Sを接着固定する。このとき、マスキングテープ39が貼付けられていた部分は、接着剤が塗布されない非塗布部となり、ひいては吸着剤Sが接着されない非接着部となるのである。これにて、図1に示すように、熱交換フィン36の表面部に吸着剤層33が形成されると共に、その一部に吸着剤Sが存在しない非接着部が設けられるのである。このようにして、非接着部を有する吸着剤層33が表面部に形成された複数枚の熱交換フィン36を構成する。
【0031】
一方、例えば下側のヘッダパイプ34の上面部に、予め全てのチューブ35の下端部を例えばろう付け等により取付けておく。そして、上記複数枚の熱交換フィン36を、各チューブ35に円形孔36aを嵌挿させながら、下側のヘッダパイプ34の上面側に積層状態に重ねていく。このとき、熱交換フィン36の円形孔36aの径は、チューブ35の外径よりも若干大きく形成されており、各熱交換フィン36をスムーズに差込んでいくことができるようになっている。また、この場合、図1に示すように、吸着剤層33同士を重ねるようにしながら、熱交換フィン36をそのまま重ね合わせていけば良い。
【0032】
チューブ35の上端部まで熱交換フィン36が積層されると、各チューブ35の拡管が行われる。図示はしないが、この拡管の作業は、拡管用の治具を各チューブ35に圧入していくことにより行われ、これにて、各チューブ35と各熱交換フィン36とが機械的に固着され、熱的接続状態とされる。この後、各チューブ35の上端に、上側のヘッダパイプ34を取付けることにより、図2に示すような吸着器コア32が形成されるのである。このとき、吸着器コア32の各熱交換フィン36同士間には、吸着剤Sが存在しない非接着部によって図で前後方向に延びる多数の被吸着物通路38が形成されるのである。
【0033】
この後、上記吸着器コア32を真空容器内に収容することにより吸着器12が構成される。尚、図示はしないが、真空容器に形成される気体冷媒の入口12a及び出口12bは、例えば吸着器コア32の図2で前後両面の中央部に対応して設けられている。従って、気体冷媒は、吸着器コア32に対して、主として図2で前後方向(矢印B方向)に流通するようになっている。また、吸着器12(真空容器)の容積は例えば2〜4リットルと小形とされ、車載性に優れたものとされている。
【0034】
次に、上記構成の作用について述べる。図示しない制御装置により、上記した各三方切換弁14,15,24,25,28,29が切換制御され、吸着器12,13は、一方が気体冷媒を吸着する吸着過程とされるとき、他方が気体冷媒を脱着する脱着過程とされるようになっている。図4は、吸着器12が脱着過程、吸着器13が吸着過程とされたときの各三方切換弁14,15,24,25,28,29の状態を実線で示している。
【0035】
即ち、図で上側の吸着器12においては、冷媒の出口12bが凝縮器16に連通されると共に、その熱交換器21に加熱流体が供給される。一方、図で下側の吸着器13においては、冷媒の入口13aが蒸発器19に連通されると共に、その熱交換器21に冷却流体が供給される。
【0036】
これにて、吸着器12において、熱交換器21に加熱流体が供給されることにより、吸着剤層33が加熱状態とされ、吸着剤Sが吸着していた気体冷媒(水蒸気)が脱着されて出口12bから凝縮器16に向けて放出され、吸着剤層33(吸着剤S)の吸着能力が再生される。放出された気体冷媒は、凝縮器16にて凝縮されて液体冷媒(水)となり、レシーバ17に一時的に貯留された後、矢印Aで示すように、ポンプ18により蒸発器19に送られるようになる。
【0037】
この蒸発器19においては、液体冷媒が気化して外部との熱交換が行われ、冷却能力が取出されるようになっている。そして、蒸発器19にて気化された気体冷媒は、入口13aから吸着器13内に流入され、吸着剤層22に吸着される。このとき、吸着器13にあっては、熱交換器21に冷却流体が供給されることにより、吸着剤Sの吸着熱との熱交換が行われ、高い能力で気体冷媒の吸着が行われるようになる。
【0038】
このような過程が所定時間継続すると、今度は吸着器12が吸着過程、吸着器13が脱着過程となるように、各三方切換弁14,15,24,25,28,29が切換えられる(図4に破線で示す状態)。このような動作が繰返されることにより、連続的な冷却運転が実行されるのである。
【0039】
しかして、上記した各吸着器12,13において吸着過程を実行するにあたり、もし吸着剤Sが密に充填されているような場合には、従来例で述べたように、吸着剤S同士間に形成される隙間が小さくなって気体冷媒の流通抵抗が大きくなり、気体冷媒の拡散浸透の速度が遅くなって吸着効率が低下する不具合が生ずる。ところが、本実施例では、吸着器コア32には、図1に示すように、積層される熱交換フィン36同士間に、被吸着物通路38が設けられており、吸着器12,13(真空容器)内に流入された気体冷媒は、流通抵抗の小さい被吸着物通路38を、吸着剤層33(吸着剤S)に触れながらスムーズに流れ、大きな接触面積にて吸着剤Sの表面に接触して吸着されるようになるのである。
【0040】
しかも、本実施例では、吸着剤層33は、いわば単層に形成されていると共に、各熱交換フィン36に熱的接触状態で設けられているから、熱交換器21と吸着剤層33との間の熱移動が良好に行われ高い熱交換効率を得ることができる。また、吸着剤Sを十分小粒化しているため、単位体積当りの表面積(吸着面積)が十分大きく、ひいては吸着器12,13自体が比較的小形であっても、高い吸着能力で気体冷媒の吸着を行うことができるのである。
【0041】
このように本実施例の吸着器12,13によれば、吸着器コア32の積層される熱交換フィン36同士間に、気体冷媒が吸着剤層33(吸着剤S)に接しながら流通する被吸着物通路38を設けたので、蛇行状の熱交換パイプ3を有する容器2内に吸着剤Sを密に充填している構成の従来の吸着器と異なり、気体冷媒が流通抵抗の低い被吸着物通路38を通ることにより吸着剤Sによる速やかな吸着が行われるようになり、しかも、熱交換器21と吸着剤Sとの間の熱移動が良好に行われ高い熱交換効率を得ることができる。この結果、吸着効率の大幅な向上を図ることができ、ひいては吸着性能の向上や全体のコンパクト化を図ることが可能となるという優れた効果を奏する。
【0042】
そして、本実施例の吸着器12,13の製造方法によれば、熱交換フィン36の表面の一部をマスキングして接着剤37を塗布することによって、吸着剤層33に吸着剤Sが存在しない非接着部を容易に設けることができ、熱交換フィン36の単純な積層作業により、容易に被吸着物通路38を形成することができる。この結果、上述のような吸着効率の高い吸着器12,13を、容易に製造することができるものである。
【0043】
(2)第2,第3の実施例
図5は本発明の第2の実施例を示すものである。この実施例では、吸着剤層の一部に形成される被吸着物通路の形態が、上記第1の実施例の被吸着物通路38と異なっている。即ち、上記第1の実施例では、被吸着物通路38を吸着器コア21の前後方向にのびるように形成したが、本実施例では、熱交換フィン41の板面方向に沿って斜め方向に網目状をなすように延びて被吸着物通路を設けるようにしている。
【0044】
この場合、熱交換フィン41の表面に対し、細幅のマスキングテープ42を、斜め方向に網目状に貼付けてマスキングを行い、次に、熱交換フィン41の表面全体に接着剤を塗布し、接着剤がいわゆる半乾き状態となったところで、熱交換フィン41からマスキングテープ42を剥がし、吸着剤Sを接着固定するようになっている。尚、図5中、符号41aは、熱交換フィン41に形成されるチューブ貫通用の円形孔を示している。このように、被吸着物通路の形態としては、各種の変形例が考えられるものである。
【0045】
図6は、本発明の第3の実施例(請求項2に対応)を示すものである。ここでは、熱交換フィン43には、チューブ貫通用の複数個の円形孔43aが形成されていると共に、被吸着物(気体冷媒)が熱交換フィン43の積層方向に流通するための複数個の楕円形状の穴部44が形成されている。そして、吸着剤層の一部に形成される被吸着物通路は、前記穴部44から放射方向に延びるように複数が形成されている。この場合も、やはり、熱交換フィン43に対して、細幅のマスキングテープ45を穴部44から放射方向に延びるように貼付けることに基づいて、穴部44と連続する被吸着物通路を形成するようになっている。
【0046】
これによれば、上記上記第1の実施例と同様の効果に加えて、被吸着物が、熱交換フィン43の積層方向に交差する方向だけでなく、積層方向にも容易に流れるようになり、より一層吸着効率を向上させることができるという利点を得ることができるものである。
【0047】
尚、上記した第1〜第3の実施例では、マスキングテープを貼付けた熱交換フィンに接着剤を塗布し、マスキングテープを剥がした後に吸着剤を接着固定するようにしたが、マスキングテープを貼付けた熱交換フィンに接着剤を塗布し、全面に吸着剤を接着した後に、マスキングテープを吸着剤と共に剥すようにしても、同様に被吸着物通路を容易に形成することができる。
【0048】
(3)第4の実施例
次に、図7は本発明の第4の実施例(請求項1,4に対応)を示している。本実施例においては、熱交換フィン51の表面全域(チューブ貫通用の孔を除く)に接着剤52の膜を形成し、その接着剤52により吸着剤Sを接着固定して吸着剤層53を形成するようにしている。そして、その熱交換フィン51をスペーサを介して積層することにより、各熱交換フィン51の吸着剤層53同士間に、厚み方向の寸法M(例えば吸着剤層53の厚み寸法の10〜100%)の隙間を形成することにより、被吸着物通路54を形成するようにしている。
【0049】
この場合、吸着剤層53が形成された各熱交換フィン51を積層するにあたり、1枚毎に所定厚み(厚み寸法M)のスペーサ(図示せず)を挟みながら積層し、チューブの拡管作業を行って各熱交換フィン51をチューブに固定し、その後、スペーサを抜取るようにすれば、容易に被吸着物通路54を形成することができる。
【0050】
従って、本実施例によっても、上記第1の実施例等と同様に、吸着器の吸着効率の大幅な向上を図ることができ、ひいては吸着性能の向上や全体のコンパクト化を図ることが可能となり、また、そのような吸着効率の向上を図ることができる吸着器を、容易に製造することができるという効果を得ることができるものである。
【0051】
尚、図示はしないが、上記した別体のスペーサに代えて、熱交換フィン51にスペーサとして機能する凸部を一体的に設けるようにしても良い(請求項5に対応)。これによれば、別部材のスペーサが不要となると共に、スペーサをいちいち挟みながら熱交換フィン51を積層し、その後抜取るといった作業が必要なくなり、熱交換フィン51の積層の作業をより容易とすることができる。
【0052】
(4)第5の実施例
最後に、図8は本発明の第5の実施例(請求項1,6に対応)を示している。この実施例は、いわば上記第1の実施例と第4の実施例との双方を組合わせたものであり、吸着剤層61の一部に吸着剤Sが存在しない非接着部を有する熱交換フィン62を、スペーサを介して積層することにより、各熱交換フィン62の吸着剤層61同士間及び前記非接着部部分に被吸着物通路63を形成するようにしているのである。
【0053】
これによれば、上記第1,第4の実施例と同様に、被吸着物通路63を容易に形成することができることに加えて、重なり合う吸着剤層61同士と、各吸着剤層51に形成された非接着部との双方に被吸着物通路63を形成することができ、被吸着物通路63における被吸着物と吸着剤Sとの接触面積をより大きくすることができるようになる。
【0054】
尚、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で拡張、変更が可能である。
即ち、上記各実施例では、吸着剤Sをいわば一層に接着して吸着剤層を形成したが、吸着剤Sを層状(多層状)に接着して吸着剤層を形成するようにしても良い。この場合、接着剤としては、水蒸気の透過性が高く、吸着剤S同士を点接触状態で接着することが可能な、例えば酢酸ビニル樹脂系のものを用いることができる。吸着剤Sとしては、球状のものに限らず、形状が不揃いの破砕状のものを使用しても良い。
【0055】
また、熱交換器の構成としては、ヘッダパイプ34とチューブ35とを用いるものに限らず、チューブを蛇行状に形成したものでも良く、この場合も、熱交換器に多数枚の熱交換フィンを積層状に設けることにより、上記各実施例と同様に構成することができる。吸着器の外殻(真空容器)に設けられる冷媒の出入口の位置も、種々変更することができ、この場合、入口と出口とを兼用する1個の出入口を設けるようにしたものでも良い。
【0056】
さらには、吸着式冷凍機の全体構成としても、例えば1個の大形の真空容器内を壁で複数室に区切り、それら各室に2個の吸着器コアや蒸発器、凝縮器を夫々配置する構成としても良い。その他、本発明の吸着器は、カーエアコン用の吸着式冷凍機に限らず、各種の冷凍装置、さらには各種の被吸着物を吸着する装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、吸着器コアの要部の拡大正面図
【図2】吸着器コアの斜視図
【図3】熱交換フィンのマスキングを行った状態の平面図
【図4】吸着式冷凍機の構成を概略的に示す図
【図5】本発明の第2の実施例を示す図3相当図
【図6】本発明の第3の実施例を示す図3相当図
【図7】本発明の第4の実施例を示す図1相当図
【図8】本発明の第5の実施例を示す図1相当図
【図9】従来例を示す吸着器の縦断面図
【符号の説明】
図面中、11は吸着式冷凍機、12,13は吸着器、21は熱交換器、32は吸着器コア、33,53,61は吸着剤層、34はヘッダパイプ、35はチューブ、36,41,43,51,62は熱交換フィン、37,52は接着剤、38,54,63は被吸着物通路、44は穴部、Sは吸着剤を示す。
Claims (6)
- 被吸着物の出入口を有する容器内に、前記被吸着物を吸着するための吸着剤を備えると共に、薄板状の熱交換フィンを介して前記吸着剤との熱交換を行う熱交換器を備えてなるものであって、
多数の粒状の吸着剤を接着固定してなる吸着剤層を両面に有した前記熱交換フィンを、複数枚積層して構成されると共に、
積層された前記熱交換フィン同士間に、前記吸着剤が存在せず、前記被吸着物が前記吸着剤層に接しながら該熱交換フィンの積層方向に交差する方向に流通する被吸着物通路を備えることを特徴とする吸着器。 - 前記熱交換フィンには、前記被吸着物が積層方向に流通可能な穴部が、前記被吸着物通路に連続するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の吸着器。
- 請求項1又は2記載の吸着器を製造する方法であって、
前記熱交換フィンの両面に、積層方向に対して交差する方向に延びる接着剤の非塗布部を部分的に設けた状態で、多数の粒状の吸着剤を接着固定することにより、一部に吸着剤が存在しない非接着部を有する吸着剤層を設け、前記非接着部によって被吸着物通路を形成することを特徴とする吸着器の製造方法。 - 請求項1又は2記載の吸着器を製造する方法であって、
前記熱交換フィンの両面に多数の粒状の吸着剤を接着固定して吸着剤層を形成し、
前記吸着剤層が設けられた熱交換フィンをスペーサを介して複数枚積層することにより、前記各熱交換フィンの吸着剤層同士間に前記吸着剤が存在しない被吸着物通路を形成することを特徴とする吸着器の製造方法。 - 前記スペーサは、前記熱交換フィンに一体に設けられていることを特徴とする請求項4記載の吸着器の製造方法。
- 請求項1又は2記載の吸着器を製造する方法であって、
前記熱交換フィンの両面に、積層方向に対して交差する方向に延びる接着剤の非塗布部を部分的に設けた状態で、多数の粒状の吸着剤を接着固定することにより、一部に吸着剤が存在しない非接着部を有する吸着剤層を設け、
この熱交換フィンをスペーサを介して複数枚積層することにより、前記各熱交換フィンの吸着剤層同士間及び前記非接着部部分に前記吸着剤が存在しない被吸着物通路を形成することを特徴とする吸着器の製造方法。
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