JP3713125B2 - 4サイクルエンジンの潤滑装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4サイクルエンジンの潤滑装置に関し、特にクランク室内に生じる圧力変動を用いてオイル室から潤滑用オイルを吸引し、エンジン内部の摺動部分に供給すると共に回収を行う4サイクルエンジンの潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
可搬式のいわゆる汎用エンジンは、大別すると2サイクルと4サイクルの2種類に分類することができる。2サイクルエンジンは、潤滑オイルを燃料に混合してミスト状態にした後にエンジン内部に供給しエンジン内部の潤滑を行うことから、エンジン本体の傾斜角度に拘束されることなく安定したエンジン運転を継続することが可能である。また、その構造上、軽量小型化が容易であり、馬力も高い。したがって、従来より可搬式作業用の、例えば草木向けの噴霧器や刈払機等の原動機としては2サイクルエンジンが主流として用いられていた。
【0003】
しかし、2サイクルエンジンは、騒音が大きく燃費が悪い等の不具合があり、排気ガス中に潤滑オイルが含まれ、窒素酸化物(NOx)や炭化水素(HC)の量が多いなどの不具合を有していた。
【0004】
そこで、2サイクルエンジンよりも燃焼室内にて混合気を確実に燃焼させ排気ガスの清浄化をより向上させることができ、騒音や燃費等の点でも2サイクルよりも良好である4サイクルエンジンを、汎用エンジンに用いたいという要請が従来よりあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、4サイクルエンジンは、エンジン内部を潤滑するオイルタンクを別途必要とし、オイルタンク内の潤滑オイルをオイルポンプによってエンジン各部に供給し潤滑を行うことから、エンジン本体を傾けた場合に、潤滑オイルのオイルタンク内での偏り等によって潤滑オイルをエンジン各部に適切に送油することが困難となり、潤滑を正常に行うことができないというおそれがあった。
【0006】
また、エンジン本体の傾斜時において、エンジン各部に供給された潤滑オイルが供給先、例えばバルブ駆動室等に停滞したまま回収されない傾斜状態が維持されると、各部の正常な動作を阻害するおそれがある。
【0007】
したがって、4サイクルエンジンは、エンジン本体の姿勢変化が大きい可搬作業用の原動機として用いることは困難であった。
【0008】
本発明は、上述の問題点を解決すべくなされたものであり、その目的は、簡単な構造でかつエンジン本体の傾斜状態に影響されずにエンジン動作状態時にエンジン内部を適切に潤滑することができる4サイクルエンジンの潤滑装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記不具合を解決するために、本発明の請求項1にかかる4サイクルエンジンの潤滑装置は、クランク室内の内面壁とクランク軸のウエブとの間に挟持されるように配設され、クランク軸に同軸上に嵌着されクランク軸と共に回転する略ディスク形状をなし、
クランク室内面壁と対峙する内面壁対峙面に凹設されクランク室内面壁との間に所定形状の空間部を形成しかつクランク室内と連通する第1連通穴を備える内面壁側凹陥部と、
ウエブと対峙するウエブ対峙面に凹設されウエブとの間に所定形状の空間部を形成しクランク室内と連通する第2連通穴を備えるウエブ側凹陥部と、
内面壁側凹陥部とウエブ側凹陥部との間を連通する貫通孔とを具備するオイル供給ポンプ部と、
所定量の潤滑オイルを常に貯留可能なオイルタンクと、
クランク室内面壁に、クランク室内に負圧を生じている期間だけ内面壁側凹陥部と連通する位置に一端が開口し、他端がオイルタンク内の潤滑オイル中に連通するオイル供給通路と、
クランク室内面壁に、クランク室内に正圧を生じている期間だけ内面壁側凹陥部と連通する位置に一端が開口し、他端がシリンダヘッド部に連通する送油通路と、を備えている。
【0010】
したがって、ピストンの上死点への移動によってクランク室内に負圧が生ぜしめられた場合に第1連通穴を介して内面壁側凹陥部内にも負圧が生じ、この負圧によってオイル供給通路を介してオイルタンクより潤滑オイルが吸引され、内面壁側凹陥部及び貫通孔を介してウエブ側凹陥部内に流入させることができる。これにより、オイルタンクより潤滑オイルを汲み上げることができる。
【0011】
そして、ピストンの下死点への移動によってクランク室内に加圧が生ぜしめられた場合に第1連通孔を介して内面壁側凹陥部内にも加圧が生じ、この加圧によって内面壁側凹陥部内に存在する潤滑オイルを、送油通路を介してバルブ駆動室内に圧送させることができる。したがって、ピストンの往復動によるクランク軸の回転に伴ってオイル供給ポンプ部が回転することによって、潤滑オイルをオイルタンクより汲み上げ、バルブ駆動室に供給することができる。
【0012】
また、オイル供給ポンプ部を上述のような形状を有する略ディスク形状としたことによって容易に製造することができ、オイル供給ポンプ部自体のメンテナンスを不要とすることができる。更に、クランク室内に収納したことによって、エンジンの外部に別体に装着する場合よりもエンジン全体の小型化を図ることができる。
【0013】
請求項2にかかる4サイクルエンジンの潤滑装置は、オイル供給ポンプ部に設けられた第1連通孔が、内壁面側凹陥部からオイル供給ポンプ部の外周面に連通するように径方向に穿設された1又は2以上の連通孔により形成され、第2連通孔が、ウエブ側凹陥部からオイル供給ポンプ部の外周面に連通するように径方向に穿設された1又は2以上の連通孔により形成されている。
【0014】
したがって、内壁面側凹陥部及び貫通孔を介してウエブ側凹陥部に存在している潤滑オイルを、オイル供給ポンプ部の回転により発生する遠心力によって第1連通孔及び第2連通孔からクランク室内に飛散させることができる。これにより、潤滑オイルはクランク室内にてミスト状に飛散し、クランク室内の潤滑を行うことができる。
【0015】
請求項3にかかる4サイクルエンジンの潤滑装置は、オイル供給ポンプ部に設けられた第1連通孔が、ピストンが上死点近傍位置にある際にピストン側に位置するように穿設された1又は2以上の連通孔により形成され、第2連通孔が、ピストンが下死点近傍位置にある際にピストン側に位置するように穿設された1又は2以上の連通孔により形成されている。
【0016】
したがって、請求項2の作用と同様にクランク室内に潤滑オイルをミスト状に飛散させることができ、特にピストンとシリンダ室との摺動面及びピストンの裏側に向けて重点的に潤滑オイルを飛散させ、他よりも重点的に潤滑を図ることができる。
【0017】
請求項4にかかる4サイクルエンジンの潤滑装置は、オイル供給ポンプ部に設けられた第1連通孔が、内面壁対峙面から所定深さ切り欠かれた切欠溝により形成され、第2連通孔が、ウエブ対峙面から所定深さ切り欠かれた切欠溝により形成されている。したがって、第1連通孔及び第2連通孔をオイル供給ポンプ部に容易に形成することができる。
【0018】
請求項5にかかる4サイクルエンジンの潤滑装置は、クランク室内の内面壁とクランク軸のウエブとの間に挟持されるように配設され、クランク軸に同軸上に嵌着されクランク軸と共に回転する略ディスク形状をなし、
クランク室内面壁と対峙する内面壁対峙面に凹設されクランク室内面壁との間に所定形状の空間部を形成しかつクランク室内と連通する第1連通孔を備える内面壁側凹陥部と、
ウエブと対峙するウエブ対峙面に凹設されウエブとの間に所定形状の空間部を形成しクランク室内と連通する第2連通孔を備えるウエブ側凹陥部と、
内面壁側凹陥部とウエブ側凹陥部との間を連通する貫通孔とを具備するオイル回収ポンプ部と、
所定量の潤滑オイルを常に貯留可能なオイルタンクと、
クランク室内面壁に、クランク室内に負圧を生じている期間だけ内面壁側凹陥部と連通する位置に一端が開口し、他端がバルブ駆動室と連通するオイル回収通路を備えている。
【0019】
これにより、ピストンの上死点への移動によってクランク室内に負圧が生ぜしめられた場合に第1連通穴を介して内面壁側凹陥部内にも負圧が生じ、この負圧によってオイル回収通路を介してバルブ駆動室内に存在する潤滑オイルが吸引され、内面壁側凹陥部及び貫通孔を介してウエブ側凹陥部内に流入させることができる。
【0020】
したがって、ピストンの往復動によるクランク軸の回転に伴ってオイル回収ポンプ部が回転することによって、潤滑オイルをバルブ駆動室より回収することができる。
【0021】
また、オイル回収ポンプ部を上述のような形状を有する略ディスク形状としたことによって容易に製造することができ、オイル回収ポンプ部自体のメンテナンスを不要とすることができる。更に、クランク室内に収納したことによって、エンジンの外部に別体に装着する場合よりもエンジン全体の小型化を図ることができる。
【0022】
請求項6にかかる4サイクルエンジンの潤滑装置は、オイル回収ポンプ部に設けられた第1連通孔が、内壁面側凹陥部からオイル回収ポンプ部の外周面に連通するように径方向に穿設された1又は2以上の連通孔により形成され、第2連通孔が、ウエブ側凹陥部からオイル回収ポンプ部の外周面に連通するように径方向に穿設された1又は2以上の連通孔により形成されている。
【0023】
したがって、内壁面側凹陥部及び貫通孔を介してウエブ側凹陥部に存在している潤滑オイルを、オイル回収ポンプ部の回転により発生する遠心力によって第1連通孔及び第2連通孔からクランク室内に飛散させることができる。これにより、潤滑オイルはクランク室内にてミスト状に飛散し、クランク室内の潤滑を行うことができる。
【0024】
請求項7にかかる4サイクルエンジンの潤滑装置は、オイル回収ポンプ部に設けられた第1連通孔が、内面壁対峙面から所定深さ切り欠かれた切欠溝により形成され、第2連通孔が、ウエブ対峙面から所定深さ切り欠かれた切欠溝により形成されている。したがって、第1連通孔及び第2連通孔をオイル回収ポンプ部に容易に形成することができる。
【0025】
請求項8にかかる4サイクルエンジンの潤滑装置は、クランク室内面壁に、クランク室内に正圧を生じている期間だけ内面壁側凹陥部と連通する位置に一端が開口し、他端がオイルタンクに連通するオイル戻し通路を備えている。
【0026】
したがって、ピストンの下死点への移動によってクランク室内に加圧が生ぜしめられた場合に第1連通孔を介して内面壁側凹陥部内にも加圧が生じ、この加圧によって内面壁側凹陥部内に存在する潤滑オイルの一部を、オイル戻し通路を介してオイルタンク内に戻すことができる。
【0027】
請求項9にかかる4サイクルエンジンの潤滑装置は、クランク室とオイル室との間を連通するオイル出口孔を設け、オイル出口孔にクランク室内が負圧状態の際は閉鎖し、加圧状態の際は開放する一方弁を備えている。したがって、クランク室内が加圧状態の際にクランク室内にて液状に貯留した潤滑オイルをオイルタンク内に容易に戻すことができる。さらに、加圧状態の際に一方弁が開放されるので、オイルタンク内は平均的にクランクケース内よりも高圧となり、潤滑オイルの汲み上げが短時間でできるばかりか、エンジン冷態時でも十分なオイルの供給が可能である。
【0028】
請求項10にかかる4サイクルエンジンの潤滑装置は、クランク室の空間部に開口するクランク室開口部と、オイルタンクの底壁面近傍位置に開口するオイルタンク第1開口部と、オイルタンクの最上方面近傍位置に開口するオイルタンク第2開口部と、クランク室開口部とオイルタンク第1開口部とオイルタンク第2開口部の間を連通するエア抜き通路とを備え、
エア抜き通路の経路途中において、エンジンが正立状態の際にクランク室開口部とオイルタンク第2開口部との間を連通し、エンジンが倒立状態の際にクランク室開口部とオイルタンク第1開口部との間を連通する切替を行う切替バルブ手段を備えたエア抜き機構を備えている。
【0029】
したがって、エンジンの傾斜状態が正立状態であるか倒立状態であるかを問わず、常にオイルタンク内の空間部とクランク室内の空間部との間を連通状態に保つことができ、オイルタンク内のエアをクランク室内へ導入することができる。これにより、オイルタンク内の圧力状態が所定値以上の加圧状態となることを防止することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明にかかる潤滑装置が適用されるエンジンの要部を断面により概略的に示した説明図、図2は、図1をA方向より矢視した要部説明図である。
【0031】
エンジン本体1は、図示したように、1つのピストン2を往復動可能に備え、ピストン2との間に形成される燃焼室11の吸・排気を行う吸・排気バルブ12、13をシリンダヘッド10に設けられた1本のカム軸15により開閉駆動させる4サイクル単気筒型のオーバーヘッドカム(OHC)エンジンである。
【0032】
シリンダヘッド10は、燃焼室11、燃焼室11内の吸排気を行う吸・排気バルブ12、13、吸・排気バルブ12、13を開閉駆動するカム14を備えたカム軸15、カム14と吸・排気バルブ12、13の一部を収容するバルブ駆動室16を備えている。カム軸15は、クランク軸40と平行に設けられ、クランク軸40との間に介在された動力伝達手段Vによりクランク軸40の回動に対応して回動可能に枢軸支されている。
【0033】
シリンダブロック20は、図2に示したように、ピストン2が往復動可能に嵌挿されるシリンダ室21を備え、クランクケース部30との係合によりピストン2とコンロッド3を介して連結されたクランク軸40を回動可能に枢軸支して収容するクランク室50の上半部を形成するクランク室上半部22を備えている。
【0034】
クランクケース部30は、クランク室上半部22と共にクランク室50を形成するクランク室下半部31と、バルブ駆動室16及びクランク室50の各摺動部分を潤滑する潤滑オイルを貯留可能なオイルタンク32とを備えている。オイルタンク32は、クランク室50を下方にあってクランク室下半部31を包囲するように設けられている
また、クランク室50の最下方にはオイルタンク32との間を連通するオイル出口孔51が設けられており、オイル出口孔51は、通常時は閉鎖されクランク室50内の圧力状態がオイルタンク32内よりも高い加圧状態となった場合に開放される一方弁55により閉鎖されている。
【0035】
クランク室50は、クランク軸40の軸芯を中心として形成された略円柱形状の空間を形成しており、クランク軸40を枢軸支するメインベアリング54をエンジン前方側(図1中、右側に示した)の内側面(以下、単に前面壁という)52と後方側(図1中、左側に示した)の内側面(以下、単に後面壁という)53に凹陥するように有しており、メインベアリング54はその端面が前面壁52あるいは後面壁53と面一となるように配置されている。
【0036】
クランク軸40は、コンロッド3の大端部3aを回動可能に連結するクランクピン部43の両端をクランク軸40の軸芯より所定距離偏位させた位置にて支持し、かつ自己の回転バランスを調整するカウンタウエイトの機能も有する前・後ウエブ44、45をクランク室50内に有している。
【0037】
これら前・後ウエブ44、45のベアリング側端面44a、45aは、それぞれ前面壁52及び後面壁53と対峙するように平面状に形成されており、前・後ウエブ44、45に支承されたクランクピン部43は、その軸芯を貫通しかつコンロッド3の大端部3aにも連続するオイル通路46が設けられている。
【0038】
そして、前・後ウエブ44、45と前面壁52及び後面壁53との間には、エンジン本体1の潤滑を行う本実施の形態の特徴的な構成要素の一つであるオイル供給ポンプ部70とオイル回収ポンプ部80とが設けられている。オイル供給ポンプ部70は、潤滑オイルをオイルタンク32より汲み上げてバルブ駆動室16内に供給するものであり、オイル回収ポンプ部80は、バルブ駆動室16内から潤滑オイルを回収するものである。また、オイル供給ポンプ部70とオイル回収ポンプ部80は、クランク室50内にも潤滑オイルを供給する。
【0039】
オイル供給ポンプ部70とオイル回収ポンプ部80の外形は、メインベアリング54の径よりも大きい外径を有した外周面71、81と、中心にクランク軸40を同軸上に嵌入可能な内径を有した中心穴72、82と、を備えた略ディスク形状をなすように形成されている。
【0040】
そして、オイル供給ポンプ部70及びオイル回収ポンプ部80は、図3及び図4にそれぞれ示したように、その両側面に所定形状の凹陥部が形成されている。尚、両図とも、ピストン2が上死点にある際のクランク軸40位置に対応した位置状態を示している。
【0041】
また、図3において図中(a)はオイル供給ポンプ部の前面壁52と対峙する面を示す説明図、(b)は(a)のB−B線断面説明図、(c)は前ウエブ44と対峙する面を示す説明図であり、図4において図中(a)はオイル回収ポンプ部の後ウエブ45と対峙する面を示す説明図、(b)は(a)のC−C線断面説明図、(c)は後面壁53と対峙する面を示す説明図である。
【0042】
まず最初に、オイル供給ポンプ部70の構成について説明すると、図3に示したように、前面壁52と対峙する面(以下、単に前面壁対峙面という)73には、図中(a)に示したように、前面壁側凹陥部74が凹設されており、上部位置から回転方向後側位置(図中左側)に半円弧状に亘ってほぼ所定幅の所定深さを有するように形成されている。この前面壁側凹陥部74は、オイル供給ポンプ部70をクランク軸40に装着固定した際に、前面壁52との間に所定の空間を形成する。
【0043】
また、前面壁対峙面73には前面壁側凹陥部74から外周面71へと連通するように切り欠かれた第1切欠孔75が設けられている。この第1切欠孔75は、ピストン2が上死点TDC近傍に位置した際にピストン2側に向かうように設けられており、オイル供給ポンプ部70が所定速度以上で回転し前面壁側凹陥部74内に潤滑オイルが存在する場合に、その一部を遠心力によりクランク室50内に飛散させることができる大きさに形成されている。第1切欠孔75は、高回転出力型等のエンジン特性に合わせて適度に潤滑オイルを飛散させるようにその大きさや数量、切欠位置が設定される。
【0044】
前ウエブ44と対峙する面(以下、単に前ウエブ対峙面)76には、図3(c)に示したように、クランクピン部43内のオイル通路46とクランク室50内空間に潤滑オイルを供給する前ウエブ側凹陥部77が設けられている。
【0045】
前ウエブ側凹陥部77は、ピン潤滑用凹部77aと、オイル溜まり部77cと、連絡溝77bとにより構成されている。ピン潤滑用凹部77aは、クランクピン部43のオイル通路46と対峙しクランクピン部43のオイル通路46とほぼ同一径に凹設されクランクピン部43に潤滑オイルを供給可能に形成されている。
【0046】
オイル溜まり部77cは、ピン潤滑用凹部77aからほぼ軸芯を挟んで反対側の回転方向前側寄り位置(図中左側)に離間して凹設され潤滑オイルを貯留可能に形成されている。
【0047】
連絡溝77bは、ピン潤滑用凹部77aとオイル溜まり部77cとの間を連通するようにピン潤滑用凹部77aとほぼ同一の深さで凹設されている。
【0048】
これらピン潤滑用凹部77a、オイル溜まり部77c、連絡溝77bからなる前ウエブ側凹陥部77は、オイル供給ポンプ部70をクランク軸40に装着固定した際に、前ウエブ44との間に所定空間を形成する。
【0049】
そして、前ウエブ対峙面76には前ウエブ側凹陥部77から外周面71へと連通するように切り欠かれた第2切欠孔78が設けられている。この第2切欠孔78は、ピストン2が下死点BDCに位置した際にピストン2側に向かうように設けられており、オイル供給ポンプ部70が所定速度以上で回転しオイル溜まり部77c内に潤滑オイルが存在する場合に、その一部を遠心力によりクランク室50内に飛散させることができる大きさに形成されている。
【0050】
また、この第2切欠孔78は、第1切欠孔75と同様にエンジン特性に応じた潤滑オイルを飛散させるようにその大きさ、数量、切欠位置等が設定される。また、前面壁側凹陥部74と前ウエブ側凹陥部77は貫通孔79によって連通されており、貫通孔79はクランクピン部43と対峙する位置に穿設されている。
【0051】
次に、オイル回収ポンプ部80の構成について説明すると、図4に示したように、後面壁53と対峙する面(以下、単に後面壁対峙面という)83には、図中(c)に示したように、後面壁側凹陥部84が凹設されており、上部位置から回転方向後側位置(図中左側)に半円弧状に亘ってほぼ所定幅で所定深さを有するように形成されている。この後面壁側凹陥部84は、オイル供給ポンプ部80をクランク軸40に装着固定した際に、後面壁53との間に所定空間を形成する。
【0052】
また、後面壁対峙面83には後面壁凹陥部84から外周面81へと連通するように切り欠かれた第1切欠孔85が設けられている。この第1切欠孔85は、ピストン2が上死点TDC及び下死点BDC近傍に位置した際にピストン2側に向かうように設けられており、オイル回収ポンプ部80が所定速度以上で回転し後面壁側凹陥部84内に潤滑オイルが存在していた場合に、遠心力によりクランク室50内に潤滑オイルを飛散させることができる大きさに形成されている。この第1切欠孔85は、高回転出力型等のエンジン特性に合わせて適度に潤滑オイルを飛散させるようにその大きさや数量、切欠位置が設定される。
【0053】
また、後ウエブ45と対峙する面(以下、単に後ウエブ対峙面)86には、図4(a)に示したように、クランクピン部43内のオイル通路46とクランク室50内空間に潤滑オイルを供給する後ウエブ側凹陥部87が設けられている。
【0054】
後ウエブ側凹陥部87は、ピン潤滑用凹部87aと連絡溝87bとオイル溜まり部87cとにより構成されている。ピン潤滑用凹部87aは、クランクピン部43のオイル通路46と対峙しクランクピン部43のオイル通路46とほぼ同一径に凹設されており、クランクピン部46に潤滑オイルを供給可能に形成されている。
【0055】
オイル溜まり部87cは、ピン潤滑用凹部87aからほぼ軸芯を挟んで反対側(図中下方)に位置し2段階の深さを有して凹設され潤滑オイルを貯留可能でかつ回転方向後ろ側の方が深さが浅くなるように形成されている。連絡溝87bは、ピン潤滑用凹部87aとオイル溜まり部87cとの間を連通するようにピン潤滑用凹部87aと同一の深さで凹設されている。
【0056】
そして、これらピン潤滑用凹部87a、オイル溜まり部87c、連絡溝87bからなる後ウエブ側凹陥部87は、オイル回収ポンプ部80をクランク軸40に装着固定した際に、後ウエブ45との間に所定空間を形成する位置に設けられている。
【0057】
また、後ウエブ対峙面86には後ウエブ側凹陥部87から外周面81へと連通するように切り欠かれた第2切欠孔88が設けられている。第2切欠孔88は、ピストン2が下死点BDC近傍に位置した際にピストン2側に向かうように設けられており、オイル回収ポンプ部80が所定速度以上で回転しオイル溜まり部87c内に潤滑オイルが存在していた場合に、遠心力によりクランク室50内に飛散させることができる大きさに形成されている。
【0058】
また、この第2切欠孔88は、第1切欠孔85と同様にエンジン特性に応じた潤滑オイルを飛散させるようにその大きさ、数量、切欠位置等が設定される。そして、後面壁側凹陥部84と後ウエブ側凹陥部87は、貫通孔89によって連通されており、貫通孔89はクランクピン部43と対峙する位置に穿設されている。
【0059】
次に、エンジン各部に潤滑オイルを供給し、回収するオイル循環路について以下に説明する。オイル循環路は、シリンダブロック20及びクランクケース30に設けられており、図1に示したように、オイルタンク32からオイル供給ポンプ部70まで潤滑オイルを汲み上げるオイル供給通路91と、オイル供給ポンプ部70からバルブ駆動室16まで潤滑オイルを送油する送油通路92と、バルブ駆動室16に貯留した潤滑オイルをオイル回収ポンプ部80に導くオイル回収通路93と、クランク室50最下部に穿設されたオイル出口孔51とにより構成されている。
【0060】
オイル供給通路91は、オイルタンク32内に存在する部分が可撓性パイプにより構成されており、その先端部分91aはエンジン本体1の傾斜角に応じてオイルタンク32内にて最下方に位置するように自由に移動し、貯留された潤滑オイルの液中に常に位置する構造となっている。
【0061】
そして、オイル供給通路91の他端は、クランクケース30内を貫通して前面壁52下側の前面壁対峙面73と対峙する位置に開口したオイル供給口91bに連通しており、その一部は前面壁側のメインベアリング54が嵌入されている凹部内にも開口している。
【0062】
送油通路92は、シリンダブロック20をクランク室50からシリンダヘッド10まで貫通し、その先端はカム軸15を支承するカム軸受部17に開口している。また、送油通路92の基端は、前面壁52の上方に前面壁対峙面76と対峙する位置に開口したオイル圧送口92aに連通しており、その一部はメインベアリング54が嵌入されている凹部内にも開口している。
【0063】
オイル回収通路93は、シリンダブロック20をシリンダヘッド10からクランク室50まで貫通し、一端はバルブ駆動室16に開口し、他端は、後面壁対峙面76と対峙する位置に開口したオイル回収口93bに連通しており、その一部は後面壁53のメインベアリング54が嵌入されている凹部内にも開口している。
【0064】
次に、オイルタンク32に設けられ、クランク室50と常に連通しオイルタンク32内の過度の圧力上昇を防止するエア抜き機構33について図2を用いて以下に説明する。
【0065】
エア抜き機構33は、一端がクランク室50内の側方位置でエンジン本体1を正立させた際(図の状態)にクランク軸40の高さとほぼ同じ高さ位置に開口するクランク室開口部34と、オイルタンク32内の異なる場所に各々開口するオイルタンク第1開口部35と、オイルタンク第2開口部36とを備えている。
【0066】
オイルタンク第1開口部35は、オイルタンク32の底壁面32a近傍位置に開口しており、オイルタンク第2開口部36は、オイルタンク32の最上方位置近傍に開口している。
【0067】
また、これらクランク室開口部34、オイルタンク第1開口部35、オイルタンク第2開口部36を連通するエア抜き通路の系路途中にはクランク室開口部34とオイルタンク第1開口部35若しくはオイルタンク第2開口部36との連通を切り替える切替バルブ機構37を備えている。
【0068】
切替バルブ機構37は、エンジン本体1が正立した際に上下方向に伸長する略円柱形状の空間を形成している切替バルブ室37aと、その空間内にエンジン本体1の傾斜状態に応じて上下方向に往復移動可能に嵌挿された略円柱状の切替バルブ37bとにより構成されている。
【0069】
そして、一端がオイルタンク第1開口部35と連通する第1エア抜き通路38の他端は、切替バルブ室37aの下方位置に開口しており、一端がオイルタンク第2開口部36と連通する第2エア抜き通路39の他端は、切替バルブ室37aの上方位置に開口している。
【0070】
これにより、エンジン本体1が正立している場合は、切替バルブ37bは自重により切替バルブ室37aの下方に移動して第1エア抜き通路38を閉鎖し、第2エア抜き通路39を開放し、クランク室開口部34と連通する構造となっている。
【0071】
また、エンジン本体1が倒立している場合は、切替バルブ37bは自重により切替バルブ室37aの上方に移動して第2エア抜き通路39を閉鎖し、第1エア抜き通路38を開放し、クランク室開口部34と連通する構造となっている。
【0072】
したがって、エンジン本体1を正立状態にしてエンジン運転を行った場合は、オイルタンク32内の圧縮されたエアの一部は、オイルタンク第2開口部36からクランク室50内に戻すことができる。
【0073】
また、エンジン本体1が倒立状態の場合は、オイルタンク32内の潤滑オイルはオイルタンク32の上方位置に移動するが、切替バルブ37bが切替バルブ室37aの上方に移動して第2エア抜き通路39を閉鎖し、第1エア抜き通路38を開放することから、オイルタンク32内の圧縮されたエアの一部は、オイルタンク開口部35から第1エア抜き通路38を介してクランク室50内に戻すことができる。
【0074】
これにより、オイルタンク32の潤滑オイルがエア抜き機構33を通過してクランク室50内に流入することを防止し、エンジン本体1の傾斜状態に影響されることなく、常にオイルタンク32とクランク室50とを連通状態に維持してオイルタンク32内の過度の圧力上昇を防止することができる。
【0075】
尚、本実施の形態においてエア抜き機構33は、エンジン本体を正立及び倒立させた際に動作する例を用いて説明したが、他にエンジン本体1を横倒しに倒した場合に動作するエア抜き機構を追加しても良い。
【0076】
次に、上記構成を有するエンジン装置の潤滑方法について以下に説明する。まず最初に、オイル供給ポンプ部70による潤滑オイルの供給方法について説明する。図5は、前面壁52に設けられたオイル供給口91b及びオイル圧送口92aと、前面壁側凹陥部74との位置関係を示した説明図である。
【0077】
ピストン2が下死点BDCにある場合、図示したように、オイル供給口91bは前面壁対峙面73によって閉鎖され、オイル圧送口92aは前面壁側凹陥部74と対峙して連通する(図中(a))。
【0078】
そして、ピストン2が上死点へ移動を開始し、クランク軸40が所定角度だけ回動するとオイル供給ポンプ部70も共に回動し、オイル供給口91bは前面壁側凹陥部74と対峙して連通し、オイル圧送口92aは前面壁対峙面73によって閉鎖され(図中(b))、ピストン2が上死点に到達するまで、その連通状態及び閉鎖状態は維持される(図中(c))。
【0079】
この際、クランク室50内は、ピストン2の上死点TDCへの移動によって負圧状態となる。したがって、前面壁側凹陥部74内も負圧状態となり、潤滑オイルをオイルタンク32から汲み上げる吸引力となる。これにより、潤滑オイルは、オイルタンク32からオイル供給通路91を介して汲み上げられ、オイル供給口91bから前面壁側凹陥部74内に流入する。
【0080】
そして、前面壁側凹陥部74内に流入した潤滑オイルの一部は、貫通孔79を通過してクランクピン部43のオイル通路46及び前ウエブ側凹陥部77内にも流入し、オイル通路46に流入した潤滑オイルは、クランクピン部43とコンロッド3の大端部3aとの摺動部分を潤滑する。
【0081】
尚、このときオイル圧送口92aは前面壁対峙面73によって閉鎖されていることから、潤滑オイルは送油通路92へは流入しない。
【0082】
そして、前面壁側凹陥部74と前ウエブ側凹陥部77内に流入した潤滑オイルの一部は、ピストン2の上死点TDCへの移動によってクランク室50内に生じた負圧力により、第1切欠孔75及び第2切欠孔78からクランク室50内に飛散する。この飛散により、潤滑オイルはクランク室50内にてミスト化され、ピストン2とシリンダ室21との摺動面やコンロッド3等のクランク室50内の各摺動部分の潤滑を行う。特に、ピストン2が上死点TDC近傍にある場合に、第1切欠孔75がピストン2側に向くように設けられているので、ピストン2の裏面側に向かって飛散させることができ、ピストン2とシリンダ室21を重点的に潤滑することができる。
【0083】
次に、ピストン2が上死点TDCから下死点BDC側へ移動しクランク軸40が所定角度だけ回動すると、オイル供給口91bは前面壁対峙面73によって閉鎖され、オイル圧送口92aは前面壁側凹陥部74と対峙して連通し(図中(d))、ピストン2が下死点に到達するまで(図中(a))、その連通状態及び閉鎖状態が維持される。
【0084】
この際、前ウエブ側凹陥部77と前面壁側凹陥部74内に残留している潤滑オイルの一部は、オイル供給ポンプ部70の回転により生じた遠心力により、第1切欠孔75及び第2切欠孔78からクランク室50内に飛散し、ピストン2の下死点への移動の際と同様にクランク室50内の潤滑を行う。特に、第2切欠孔78は、ピストン2が下死点近傍にある場合に、第2切欠穴78がピストン2側に向くように設けられているので、ピストン2側を重点的に潤滑することができる。
【0085】
また、この際に、ピストン2の下死点への移動によって、クランク室50内の圧力状態は、徐々に加圧状態となり、前面壁側凹陥部74内も次第に加圧状態となる。したがって、前面壁側凹陥部74内に存在している潤滑オイルは、このクランク室50内の加圧力が圧送力となってオイル圧送口92aより送油通路92側に圧送される。これにより、潤滑オイルは、送油通路92を経由してバルブ駆動室16内に供給され、バルブ駆動室16内の潤滑を行うことができる。
【0086】
次に、オイル回収ポンプ部80の動作と作用について以下に説明する。本実施の形態において、オイル回収ポンプ部80は、バルブ駆動室16内に貯留している潤滑オイルの回収を行い、回収したオイルをクランク室50内に飛散させてクランク室50内を潤滑する動作を行う。
【0087】
図6は、後面壁53に設けられたオイル回収口93bと後面壁側凹陥部84との位置関係を示した説明図である。図示したように、ピストン2が下死点BDCにある場合、オイル回収口93bは後面壁対峙面83によって閉鎖されている(図中(a))。
【0088】
そして、ピストン2が上死点TDCへの移動を開始し、クランク軸40が所定角度だけ回動するとオイル回収口93bは後面壁側凹陥部84と対峙して連通し(図中(b))、ピストン2が上死点TDCに到達するまで、その連通状態が維持される(図中(c))。
【0089】
この際、クランク室50内はピストン2の移動によって負圧せしめられる。したがって、後壁面側凹陥部87内も負圧状態となり、オイル回収通路93を経由してバルブ駆動室16内から潤滑オイルを吸引する吸引力となる。これにより、バルブ駆動室16内に貯留している潤滑オイルはオイル回収口93bから後面壁側凹陥部84内に流入する。
【0090】
そして、後面壁側凹陥部84内に流入した潤滑オイルの一部は、貫通孔89を通過してクランクピン部43のオイル通路46及び後ウエブ側凹陥部87内にも流入し、オイル通路46に流入した潤滑オイルは、クランクピン部43とコンロッド3の大端部3aとの摺動部分を潤滑する。
【0091】
また、後面壁側凹陥部84と後ウエブ側凹陥部87内に流入した潤滑オイルは、クランク室50内に生じている負圧力により、オイル回収ポンプ部80の第1切欠穴85及び第2切欠穴88からクランク室50内に飛散する。
【0092】
そして、クランク軸40が所定角度だけ回動すると、オイル回収通路93は後面壁対峙面83によって閉鎖され(図中(d))、ピストン2が下死点BDCに到達するまで(図中(a))、その閉鎖状態が維持される。したがって、オイル回収口93bから回収した潤滑オイルのバルブ駆動室16側への逆流を防止でき、後面壁側凹陥部84と後ウエブ側凹陥部87内に残留している潤滑オイルを、オイル回収ポンプ部80の回転により生じた遠心力により、第1切欠穴85と第2切欠穴88からクランク室50内に飛散させることができる。
【0093】
したがって、オイル回収ポンプ部80は、バルブ駆動室16内に貯留している潤滑オイルの回収を行い、回収したオイルをクランク室50内に飛散させてクランク室50内を潤滑することができる。
【0094】
また、オイル供給ポンプ部70とオイル回収ポンプ部80により飛散され、クランク室50内の潤滑を行ったミスト状の潤滑オイルは、クランク室50の内面壁等に付着して液化し、クランク室50内に貯留する。そして、ピストン2が上死点TDCから下死点BDCへ移動し、クランク室50内に発生した加圧力が所定値を超えた際には一方弁55が開放され、クランク室50内に貯留した潤滑オイルはオイル出口孔51よりオイルタンク32に戻される。
【0095】
したがって、エンジン本体1の傾斜角度に拘束されることなく、360度自由に傾斜させた状態で、常にクランク室内及びバルブ駆動室内の潤滑を行うことができ、エンジン動作を支障なく行うことができる。
【0096】
また、オイル回収ポンプ部80の応用例としては、後ウエブ側凹陥部を図7に示したように形成しても良い。すなわち、後ウエブ対峙面86に凹設した肉抜き用凹陥部87dと後ウエブ側凹陥部87のオイル溜まり部87c間を連通する連絡溝87eを形成し、肉抜き用凹陥部87d内にも潤滑オイルを貯留可能にしている。尚、この応用例では後ウエブ45のベアリング側端面45aは、オイル回収ポンプ部80の後ウエブ対峙面86よりも大なる径を有する略真円形状に形成されている。
【0097】
これにより、肉抜き用凹陥部87d内にも潤滑オイルを貯留することができ、連絡溝87eの位置をオイル回収ポンプ部の軸芯からの距離を調整することによって、第1切欠穴及び第2切欠穴から飛散させる潤滑オイルの量を調整することができる。したがって、例えばエンジンが高回転型や、低回転型である場合等に応じて潤滑オイルの飛散量をより精密に設定することができる。
【0098】
次に、本発明の第2の実施の形態について図8に基づいて以下に説明する。本実施の形態において特徴的なことは、一端が後面壁53に開口し他端がオイルタンク32に連通するオイル戻し通路94を設けて、オイル回収ポンプ部80によりバルブ駆動室16から吸引した潤滑オイルの一部を強制的にオイルタンク32内に戻す機能を設けたことである。尚、第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0099】
後面壁53には、ピストン2が上死点TDCから下死点BDCへ移動し、クランク軸40が所定角度だけ移動した際に、後面壁側凹陥部84と対峙して連通し、下死点BDCまでその連通状態が維持される位置にオイル戻し口94aが設けられており、他端は、図8に示したように、オイルタンク内に連通している。
【0100】
したがって、ピストン2の移動によりクランク室50内が加圧状態である際にオイル戻し口94aと後面壁側凹陥部84とは連通し、その加圧力によって後面側凹陥部84内に存在する潤滑オイルの一部は、オイル戻し口94aよりオイル戻し通路94を介してオイルタンク32内に戻される。
【0101】
これにより、エンジン本体1の傾斜角度に影響されることなく、バルブ駆動室16内の潤滑オイルを強制的に回収し、オイルタンク32に戻すことが可能となる。
【0102】
尚、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や、適宜組み合わせが可能である。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る4サイクルエンジンの潤滑装置によれば、エンジンの傾斜状態に影響を受けることなくエンジン内部に潤滑オイルを確実に循環させることができ、エンジン各部の潤滑を図ることができる。また、潤滑を行う装置を簡単な構成とすることができ、エンジン全体の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる潤滑装置が適用されるエンジンの要部を断面により概略的に示した説明図である。
【図2】図1をA方向より矢視した要部説明図である。
【図3】オイル供給ポンプ部の説明図である。
【図4】オイル回収ポンプ部の説明図である。
【図5】前面壁に設けられたオイル供給口及びオイル圧送口と、前面壁側凹陥部との位置関係を示した説明図である。
【図6】後面壁に設けられたオイル回収口と後面壁側凹陥部との位置関係を示した説明図である。
【図7】オイル回収ポンプ部の一応用例を示す説明図である。
【図8】第2の実施の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2 ピストン
32 オイルタンク
33 エア抜き機構
40 クランク軸
44 前ウエブ
45 後ウエブ
50 クランク室
51 オイル出口孔
52 前面壁
53 後面壁
54 メインベアリング
55 一方弁
70 オイル供給ポンプ部
74 前面壁側凹陥部
77 前ウエブ側凹陥部
80 オイル回収ポンプ部
84 後面壁側凹陥部
87 後ウエブ側凹陥部
91 オイル供給通路
92 送油通路
93 オイル回収通路

Claims (10)

  1. ピストンを往復動可能に嵌挿したシリンダ室と、クランク軸を回動可能に枢軸支したクランク室を有するシリンダブロック部と、
    吸・排気バルブを開閉駆動するカム軸を回動可能に枢軸支したバルブ駆動室を有するシリンダヘッド部と、を備え、
    前記クランク室内に生じる圧力変化を用いて前記シリンダブロック部とシリンダヘッド部に潤滑オイルを供給する4サイクルエンジンの潤滑装置において、
    前記クランク室内面壁と前記クランク軸のウエブとの間に挟持されるように配設され、前記クランク軸に同軸上に嵌着され前記クランク軸と共に回転する略ディスク形状をなし、前記クランク室内面壁と対峙する内面壁対峙面に凹設され前記クランク室内面壁との間に所定形状の空間部を形成しかつクランク室内と連通する第1連通孔を備える内面壁側凹陥部と、前記ウエブと対峙するウエブ対峙面に凹設され前記ウエブとの間に所定形状の空間部を形成しクランク室内と連通する第2連通孔を備えるウエブ側凹陥部と、内面壁側凹陥部とウエブ側凹陥部との間を連通する貫通孔とを具備するオイル供給ポンプ部と、
    所定量の潤滑オイルを常に貯留可能なオイルタンクと、
    前記クランク室内面壁に、前記クランク室内に負圧を生じている期間だけ前記内面壁側凹陥部と連通する位置に一端が開口し、他端が前記オイルタンクと連通するオイル供給通路と、
    前記クランク室内面壁に、前記クランク室内に正圧を生じている期間だけ前記内面壁側凹陥部と連通する位置に一端が開口し、他端がシリンダヘッド部に連通する送油通路と、を備えていることを特徴とする4サイクルエンジンの潤滑装置。
  2. 前記オイル供給ポンプ部は、
    前記第1連通孔が、前記内壁面側凹陥部から前記オイル供給ポンプ部の外周面に連通するように径方向に穿設された1又は2以上の連通孔により形成され、
    前記第2連通孔が、前記ウエブ側凹陥部から前記オイル供給ポンプ部の外周面に連通するように径方向に穿設された1又は2以上の連通孔により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の4サイクルエンジンの潤滑装置。
  3. 前記オイル供給ポンプ部は、
    前記第1連通孔が、前記ピストンが上死点近傍位置にある際に前記ピストン側に位置するように穿設された1又は2以上の連通孔により形成され、
    前記第2連通孔が、前記ピストンが下死点近傍位置にある際に前記ピストン側に位置するように穿設された1又は2以上の連通孔により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の4サイクルエンジンの潤滑装置。
  4. 前記オイル供給ポンプ部は、
    前記第1連通孔が、前記内面壁対峙面から所定深さ切り欠かれた切欠溝により形成され、
    前記第2連通孔が、前記ウエブ対峙面から所定深さ切り欠かれた切欠溝により形成されていることを特徴とする請求項1〜3に記載の4サイクルエンジンの潤滑装置。
  5. ピストンを往復動可能に嵌挿したシリンダ室と、クランク軸を回動可能に枢軸支したクランク室を有するシリンダブロック部と、
    吸・排気バルブを開閉駆動するカム軸を回動可能に枢軸支したバルブ駆動室を有するシリンダヘッド部と、を備え、
    前記クランク室内に生じる圧力変化を用いて前記シリンダブロック部とシリンダヘッド部に潤滑オイルを供給する4サイクルエンジンの潤滑装置において、
    前記クランク室内の内面壁と前記クランク軸のウエブとの間に挟持されるように配設され、前記クランク軸に同軸上に嵌着され前記クランク軸と共に回転する略ディスク形状をなし、前記クランク室内面壁と対峙する内面壁対峙面に凹設され前記クランク室内面壁との間に所定形状の空間部を形成しかつ前記クランク室内と連通する第1連通孔を備える内面壁側凹陥部と、前記ウエブと対峙するウエブ対峙面に凹設され前記ウエブとの間に所定形状の空間部を形成し前記クランク室内と連通する第2連通孔を備えるウエブ側凹陥部と、前記内面壁側凹陥部と前記ウエブ側凹陥部との間を連通する貫通孔とを具備するオイル回収ポンプ部と、
    所定量の潤滑オイルを常に貯留可能なオイルタンクと、
    前記クランク室内面壁に、前記クランク室内に負圧を生じている期間だけ前記内面壁側凹陥部と連通する位置に一端が開口し、他端が前記バルブ駆動室と連通するオイル回収通路を備えていることを特徴とする4サイクルエンジンの潤滑装置。
  6. 前記オイル回収ポンプ部は、
    前記第1連通孔が、前記内壁面側凹陥部から前記オイル回収ポンプ部の外周面に連通するように径方向に穿設された1又は2以上の連通孔により形成され、
    前記第2連通孔が、前記ウエブ側凹陥部から前記オイル回収ポンプ部の外周面に連通するように径方向に穿設された1又は2以上の連通孔により形成されていることを特徴とする請求項5に記載の4サイクルエンジンの潤滑装置。
  7. 前記オイル回収ポンプ部は、
    前記第1連通孔が、前記内面壁対峙面から所定深さ切り欠かれた切欠溝により形成され、
    前記第2連通孔が、前記ウエブ対峙面から所定深さ切り欠かれた切欠溝により形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の4サイクルエンジンの潤滑装置。
  8. 前記クランク室内面壁に、前記クランク室内に正圧を生じている期間だけ前記内面壁側凹陥部と連通する位置に一端が開口し、他端がオイルタンクに連通するオイル戻し通路を備えていることを特徴とする請求項5〜7に記載の4サイクルエンジンの潤滑装置。
  9. 前記クランク室と前記オイル室との間を連通するオイル出口孔を設け、
    該オイル出口孔を前記クランク室内が負圧状態の際には閉鎖し、加圧状態の際には開放する一方弁を備えたことを特徴とする請求項1〜8に記載の4サイクルエンジンの循環装置。
  10. 前記クランク室の空間部に開口するクランク室開口部と、
    前記オイルタンクの底壁面近傍位置に開口するオイルタンク第1開口部と、
    前記オイルタンクの最上方面近傍位置に開口するオイルタンク第2開口部と、
    前記クランク室開口部とオイルタンク第1開口部とオイルタンク第2開口部の間を連通するエア抜き通路と、
    該エア抜き通路の経路途中において、前記エンジンが正立状態の際に前記クランク室開口部と前記オイルタンク第2開口部との間を連通し、
    前記エンジンが倒立状態の際に前記クランク室開口部と前記オイルタンク第1開口部との間を連通する切替を行う切替バルブ手段を備えたエア抜き機構を有することを特徴とする請求項9に記載の4サイクルエンジンの潤滑装置。
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