JP3712927B2 - ペースト塗布機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペースト塗布機に係り、特に、テ−ブル上に載置した基板の主面上にノズルからペーストを吐出させて所望形状のペーストパタ−ンを塗布するためのパターンデータの設定に関する。
【0002】
【従来の技術】
ペースト塗布機では、ペースト収納筒に充填されたペーストをノズルの吐出口から基板上に吐出させながら基板の主面と平行な方向における基板とノズルの相対位置関係を変化させることにより、基板上に所望形状のペーストパタ−ンを形成する。
【0003】
従来、基板の主面と平行な方向における基板とノズルの相対位置関係を指示するパターンデータの設定では、基板とノズルの相対移動経路の座標をペーストパタ−ン個々について入力している。
【0004】
また、塗布条件として、ノズルと基板との間の相対移動速度(以下、塗布速度という)や相対距離(以下、塗布高さという),ペースト収納筒に印加される圧力(以下、塗布圧力という)などもペーストパタ−ン個々に入力し設定している
。
【発明が解決しようとする課題】
従来のペースト塗布機においては、ペーストパタ−ン個々に形状や塗布速度,塗布高さ,塗布圧力などを指示しているので、1枚の基板上に同一形状,同一あるいは類似な塗布条件のパターンを複数個形成する場合には、そのパターン数だけデータの入力が必要になり,データ入力に手間を要する。
【0005】
また、1つのペーストパターンには1つの塗布条件(塗布速度,塗布高さ,塗布圧力など,それぞれ1つづつ)を持たせるため、1つのペーストパターンの途中で塗布条件(塗布速度,塗布高さ,塗布圧力など)を変更するためのデータを設定することが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、所望形状のペーストパターンの形成のためのパターンデータの設定を容易にすることができるようにしたペースト塗布機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ノズルの吐出口に対向するようにして基板をテーブル上に載置し、設定されたパターンデータに従って基板の主面と平行な方向での基板とノズルとの間の相対位置関係を変化させながら、ペースト収納筒に充填されたペーストをノズルの吐出口から基板上に吐出させることにより、基板上にパターンデータに応じた所望形状のペーストパタ−ンを塗布描画するペースト塗布機であって、同じ基板上に同一形状の複数のペーストパターンを塗布描画するときの、複数のペーストパターンと同一形状の基本パターンを形成する複数のベースパターン夫々を規定するデータを設定する第1の設定手段と、第1の規定手段でデータが規定されたベースパターンの位置関係を規定し、複数のペーストパターンに共通する基本パターンを規定するデータを設定する第2の設定手段と、第2の設定手段で設定されたデータを、同じ基板上に塗布描画する複数のペーストパターンのパターンデータとして設定する第3の設定手段と、基板上に塗布描画するペーストパターン毎に塗布条件を設定し、かつ塗布条件を修正可能とする第4の設定手段と、第3の設定手段でパターンデータが設定された複数のペーストパターンの基板での位置関係を規定するデータを設定する第5の設定手段とを備え、第4の設定手段で設定された塗布条件に従い基板上のパターンデータに応じた軌跡に沿ってペーストを塗布することにより、同じ基板上に第5の手段で設定された位置関係で同一形状の複数のペーストパターンを塗布描画する構成としたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。
図1は本発明によるペースト塗布機の一実施形態を示す構成図であって、1は架台、2a,2bは基板搬送コンベア、3は支持台、4は基板吸着盤、5はθ軸移動テ−ブル、6a,6bはX軸移動テ−ブル、7はY軸移動テ−ブル、8a,8bはサ−ボモ−タ、9はZ軸移動テ−ブル、10はサ−ボモ−タ、11はボ−ルねじ、12はサーボモータ、13は先端にノズルを有するペースト収納筒(シリンジ)、14は距離計、15は支持板、16a,16bは画像認識カメラ、17は制御部であり、これらが装置本体Mを構成しており、また、18はモニタ、19はキ−ボ−ド、20は外部記憶装置を備えたパソコン本体、21a,21bはケ−ブル、22はガラス基板、23はプリンタである。
【0009】
同図において、架台1上には、X軸方向に並行でかつ昇降可能な2つの基板搬送コンベア2a,2bが設けられており、基板22を図面の奥の方から手前の方に、即ち、X軸方向に水平に搬送する。また、架台1上に支持台3が設けられ、この支持台3上にθ軸移動テ−ブル5を介して基板吸着盤4が載置されており、基板搬送コンベア2a,2bによって搬送されてきた基板22がこの基板吸着盤4上に搭載されて吸着固定される。このθ軸移動テ−ブル5は、基板吸着盤4をZ軸廻りのθ方向に回転させるものである。
【0010】
架台1上には、さらに、基板搬送コンベア2a,2bよりも外側でX軸に平行にX軸移動テ−ブル6a,6bが設けられ、これらX軸移動テ−ブル6a,6b間をまたがるようにしてY軸移動テ−ブル7が設けられている。このY軸移動テ−ブル7は、X軸移動テ−ブル6a,6bに設けられたサ−ボモ−タ8a,8bの正転や逆転の回転(正逆転)によりX軸方向に水平に搬送される。
【0011】
Y軸移動テ−ブル7上には、サ−ボモ−タ10の駆動によるボ−ルねじ11の正逆転によってY軸方向に移動するZ軸移動テ−ブル9が設けられている。このZ軸移動テ−ブル9には、ペースト収納筒13や距離計14を支持固定した支持板15が設けられ、サーボモータ12がこれらペースト収納筒13や距離計14を支持板15に設けられた図示しないリニヤガイドの可動部を介してZ軸方向に移動させる。
【0012】
ペースト収納筒13は、かかるリニヤガイドの可動部に着脱自在に取り付けられている。また、架台1の天板には、基板22の位置合わせなどのための画像認識カメラ16a,16bが上方向(Z軸方向)を向けて設けられている。
【0013】
架台1の内部には、上記サーボモータ8a,8b,10,12やθ軸移動テーブル5を駆動するための図示しないサーボモータなどを制御する制御部17が設けられており、この制御部17はケーブル21aを介してモニタ18やキーボード19,パソコン本体20と接続されており、かかる制御部17での各種処理のためのデータがキーボード19から入力され、画像認識カメラ16a,16bで捉えた画像や制御部17での処理状況がモニタ18で表示される。
【0014】
また、キ−ボ−ド19から入力される塗布形状データ,塗布条件データなどの運転条件データや図示しない外部装置から転送されてきた生産枚数などの生産管理データなどといった情報がパソコン本体20に供給され、このパソコン本体20では、かかる情報がそのRAMから内蔵のハードディスクなどの内部記憶媒体と装着されるフロッピディスクなどの外部記憶媒体とに記憶保管される。そして、操作者の指示により、これら記憶媒体から任意の情報を読み出してプリンタ23で印刷することができる。
【0015】
図2は図1に示した制御部17の構成やペースト収納筒13の空気圧の制御,基板22の制御を示すブロック図であって、13aはペースト収納筒13のノズル、17aはマイクロコンピュ−タ、17bはモ−タコントロ−ラ、17c1,17c2はX1,X2軸ドライバ、17dはY軸ドライバ、17eはθ軸ドライバ、17fはZ軸ドライバ、17gはデータ通信バス、17hは外部インタ−フェ−ス、24はθ軸移動テ−ブル5(図1)を駆動するサーボモータ、25〜29はエンコ−ダ、30は正圧源、30aは正圧レギュレータ、31は負圧源、31aは負圧レギュレータ、32はバルブユニットであり、図1に対応する部分には同一符号をつけている。
【0016】
同図において、制御部17は、マイクロコンピュ−タ17aやモ−タコントロ−ラ17b、X,Y,Z,θの各軸ドライバ17c1〜17f、画像認識カメラ16a,16bで得られる映像信号を処理する画像処理装置17i、キ−ボ−ド19などとの間で信号伝送を行なうための外部インタ−フェ−ス17hを内蔵している。なお、制御部17は基板搬送コンベア2a,2bの駆動制御系も有するが、ここでは、図示を省略している。
【0017】
また、マイクロコンピュ−タ17aは、図示しないが、主演算部や後述するペーストの塗布描画を行なうための処理フロープログラムを格納したROM,主演算部での処理結果や外部インタ−フェ−ス17h及びモ−タコントロ−ラ17bからの入力デ−タを格納するRAM,外部インタ−フェ−ス17hやモ−タコントロ−ラ17bとデ−タをやりとりを行なう入出力部などを備えている。
【0018】
各サ−ボモ−タ8a,8b,10,12,24には、回転量を検出するエンコ−ダ25〜29が設けられており、その検出結果をX,Y,Z,θの各軸ドライバ17c1〜17fに戻して位置制御を行なっている。
【0019】
マイクロコンピュータ17aのROMに格納されている後述するペーストの塗布描画を行なうための処理フロープログラムは、必要に応じてパソコン本体20からケーブル21aを介して変更することが可能である。また、パソコン本体20が接続される図示しないネットワークからも変更することが可能である。但し、ここでは、不用意にプログラムが書き換えられないように、プログラム本体は隠蔽しておくとよい。
【0020】
基板22は、負圧源31から分配した負圧により、基板吸着盤4(図1)に真空吸着されている。サ−ボモ−タ8a,8b,10がキ−ボ−ド19から入力されてマイクロコンピュ−タ17aのRAMに格納されている後述するデ−タに基いて正逆回転することにより、Z軸移動テ−ブル9がX,Y軸方向に移動する。これにより、Z軸移動テ−ブル9に搭載されているペースト収納筒13のノズル13aが、基板22とZ軸方向に所定の距離を保ってX,Y軸方向に移動する。このノズル13aの基板22の主面に平行な面(XY平面)での移動軌跡は、上記のデータによって決まる。この移動中、マイクロコンピュータ17aがバルブユニット32を制御することにより、正圧源30から正圧レギュレータ30aとバルブユニット32とを介してペースト収納筒13に僅かな空気圧が印加され、これにより、ノズル13aの先端部の吐出口からペーストが吐出されて基板22上にペーストの所望のパタ−ンが塗布される。
【0021】
Z軸移動テ−ブル9(図1)のX,Y軸方向への移動中、距離計14がノズル13aのペースト吐出口と基板22との間の距離(塗布高さ)を計測し、この距離が常に一定に維持されるように、サ−ボモ−タ12がZ軸ドライバ17fによって制御される。
【0022】
また、ペースト塗布を行なわない待機状態では、マイクロコンピュータ17aがバルブユニット32を制御することにより、負圧レギュレータ31a及びバルブユニット32を介して負圧源31がペースト収納筒13に連通し、ノズル13aのペースト吐出口から垂れ出たペーストをペースト収納筒13内に引き戻す。これにより、このペースト吐出口からのペーストの液垂れを防止することができる。なお、図示しない画像認識カメラでこのノズル13aの吐出口を監視し、液垂れが生じたときのみ、負圧源31をペースト収納筒13に連通するようにしてもよい。
【0023】
図3は図1に示した実施形態のペースト塗布(描画)処理の全体を示すフローチャートである。
【0024】
同図において、まず、ペースト塗布機に接続されるパソコン本体20の電源を投入すると(ステップ100)、ペーストパターンデータ設定工程を実行する(ステップ200)。
【0025】
ペーストパターン描画の対象とする基板(以下、実基板という)22には、1以上のペーストパターンが塗布されるのであるが、このペーストパターンデータ設定工程(ステップ200)では、まず、かかるペーストパターン毎のデータ(以下、ペーストパタ−ンデ−タという)や実基板22の位置デ−タ,実基板22に実際にペーストを塗布するときのこの実基板22とノズル13aとの間の相対速度(これを塗布速度というが、この場合の塗布速度を、特に、初期設定塗布速度という)と基板22の表面からのノズル13aのペースト吐出口の高さ(これを塗布高さというが、この場合の塗布高さを、特に、初期設定塗布高さという)とノズル13aからのペースト吐出量を決めるペースト収納筒13に印加される圧力(これを塗布圧力というが、この場合の塗布圧力を、特に、初期設定塗布圧力という)といった様々なデータの設定を行なう。かかるデ−タの入力はキ−ボ−ド19(図1)から行なわれ、入力されたデ−タはパソコン本体20内のRAMに格納される。
【0026】
図4はこのペーストパターンデータ設定工程(ステップ200)の一具体例を示すフローチャートである。ここでは、このデータ設定を図5に示す形状の8個のペーストパターン23a〜23hのペースト塗布を実基板22に行なう場合を例に取って説明する。但し、4個のペーストパターン23a,23c,23e,23gは形状,大きさ,寸法が等しいパターンであって、このようなパターンを同一形状のパターンという。また、他の4個のペーストパターン23b,23d,23f,23hも同一形状とする。また、ここでは、ペーストパターン23aと23bが対をなしてペーストパターンP1をなし、ペーストパターン23cと23dが対をなしてペーストパターンP2をなし、ペーストパターン23eと23fが対をなしてペーストパターンP3をなし、ペーストパターン23gと23hが対をなしてペーストパターンP4をなしている。
【0027】
従って、これらペーストパターンP1〜P4は同一形状をなし、その基本パターンBPは図6に示すようになる。ここで、この基本パターンBPは、夫々一筆書きで描ける2個のベースパターンBP1,BP2で構成されるものとしており、ベースパターンBP1は図5におけるペーストパターン23a,23c,23e,23gの基本パターン、ベースパターンBP2は図5におけるペーストパターン23b,23d,23f,23hの基本パターンである。
【0028】
まず、図4のベースデータ設定工程(ステップ201)は、実際に形成するペーストパターンP1〜P4の図6に示す基本パターンBPを作成し、この基本パターンBPのデータ設定(入力)を行なうものであるが、かかる基本パターンBPのデータ設定を行なう前に、実際には、設定者は、実基板22に塗布したいペーストパターンP1〜P4やその基本パターンBPがわかっているので、図7に示すようなこれらパターンに関する登録事項テーブルMDTを作成する。登録事項テーブルMDTに登録するデータは、図5に示すペーストパターンP1〜P4,図6に示すこれらの基本パターンBPを例にとると、「パターン数」は実基板22の塗布するペーストパターンの個数であって、この場合、ペーストパターンP1〜P4の4個であるから、4であり、「ベースデータ数」は各ペーストパターンP1〜P4を構成するベースパターン数、即ち、基本パターンBPを構成するベースパターンの個数であって、この場合、ベースパターンBP1,BP2であるから、2である。「ベクトル数」は、後述するように、基本パターンBPを形成する直線部をベクトル化するのであるが、そのベクトル数(即ち、直線部の個数)であって、このベクトル数は基本パターンBPのベースパターンBP1,BP2毎に設定される。そして、基本パターンBPのベースパターン毎にベースデータ番号が割り当てられ、図6の場合、基本パターンBPのベースパターンBP1,BP2に夫々ベースデータ番号1,2が割り当てられ、夫々の直線部の個数から、「ベースデータ番号1」のベクトル数は7、「ベースデータ番号2」のベクトル数は3となる。
【0029】
また、かかる登録事項テーブルMDTの設定に伴って、マイクロコンピュータ17a(図2)により、図8に示すようなベクトルデータテーブルMVDTが準備(用意)される。かかるベクトルデータテーブルMVDTは、登録事項テーブルMDTのデータに基づいて、実基板22に塗布するパターン毎に準備されるものであり、この場合、登録事項テーブルMDTでの「パターン数」と「ベースデータ数」とから実基板22に塗布するパターンが決まり、これによって準備するベクトルデータテーブルMVDTが決まる。図5,図6の場合、登録事項テーブルMDTでの「パターン数」が4、「ベースデータ数」が2であるから、実基板22に塗布するパターン数は8(=4×2)となり、8個のベクトルデータテーブルMVDTが準備され、夫々2個ずつペーストパターンP1,P2,P3,P4に割り当てられ、さらに、夫々のペーストパターンに割り当てられた2個のベクトルデータテーブルMVDTのうち、一方が基本パターンBPの一方のベースパターンBP1のベースデータBD1に、他方が基本パターンBPの他方のベースパターンBP2のベースデータBD2に夫々割り当てられる。ここで、ベースデータBD1のベクトルデータテーブルMVDTは登録事項テーブルMDTでのベースデータ番号1に対応するものであり、ベースデータBD2のベクトルデータテーブルMVDTは登録事項テーブルMDTでのベースデータ番号2に対応するものである。
【0030】
さらに、各ベクトルデータテーブルMVDTでは、これが割り当てられたパターンに関する項目が設定されている。即ち、後述するベクトル番号毎に、ベクトルの「x成分」や「y成分」のデータを格納する格納部と、同じくベースパターンのコーナの寸法(曲率半径)rを格納する格納部や、塗布条件(設定塗布速度,設定塗布圧力,設定塗布高さ)のデータを格納する格納部が設けられている。かかるベクトル番号の個数は、ベクトルデータテーブルMVDT毎に、登録事項テーブルMDTでの「ベースデータ番号」の「ベクトル数」で決まる。また、上記のコーナの寸法rや塗布条件は、予め決めることができるので、ベクトルデータテーブルMVDTの準備(用意)後に入力するようにする。
【0031】
以上のように、登録事項テーブルMDTを設定すると、自動的に各ベクトルデータテーブルMVDTが用意されるが、次いで、図5に示すような実基板22で塗布描画するためのペーストパターンP1〜P4に関するベースデータの設定(ステップ201)が行われるのであるが、ここでは、これらペーストパターンP1〜P4毎にベースデータの設定を行なうのではなく、これらペーストパターンP1〜P4の図6に示すような基本パターンBPに関するベースデータの設定を行なう。
【0032】
ここで、図6に示す基本パターンBPにおいて、G0をその原点とし、原点G0に対する各ベースパターンBP1,BP2の端部及び折曲部(図5のペーストパターンP1〜P4のコーナに相当)の各位置を、それらの端から順次に、点A1,A2,A3,……,A8、点B1,B2,B3,B4とする。また、ペースト塗布する場合、ベースパターンBP1については、位置A1をその塗布開始点、位置A8をその塗布終了点とし、また、ベースパターンBP2については、位置B1をその塗布開始点、位置B4をその塗布終了点とする。
【0033】
かかる基本パータンBPのデータ(ベースデータ)は、G0を原点として点A1〜A8をAn(xan,yan)の位置座標で、また、位置B1〜B4をBm(xbm,ybm)の位置座標で夫々直接指定するようにする。但し、図6の場合、n=1,2,……,8、m=1,2,3,4である。ここでは、図6に示す基本パターンBPの場合、各点A1〜A8,B1〜B4の位置座標データは、A1(xa1,ya1),A2(xa2,ya2),A3(xa3,ya3),……,A8(xa8,ya8)、点B1(xb1,yb1),B2(xb2,yb2),B3(xb3,yb3),B4(xb4,yb4)とする。
【0034】
なお、パターンが複雑であれば、位置変数n,mを増やしていくか、ベースパターンの個数を増やしていくことになる。
【0035】
かかる位置座標データは夫々点A1〜A8,点B1〜B4と対応付けて、パソコン本体20(図1)に内蔵の上記RAMに設けている位置座標データテーブルBDTに登録される(第1の設定手段)。図9はかかるテーブルの一具体例を摸式的に示したものであって、同図(a)はベースパターンBP1の位置座標データテーブルBDT1を、同図(b)はベースパターンBP2の位置座標データテーブルBDT2を夫々示している。
【0036】
以上が図4でのベースデータ設定工程(ステップ201)の処理であり、この処理が終了すると、次に、ベースパターンBP1,BP2の各直線部(線分)をその方向と大きさ(長さ)とを持つベクトルで表わすようにする相対ベクトル変換工程(ステップ202)に進む。
【0037】
基本パターンBPは、図6に示すように、直線を基としたベースパターンBP1,BP2で表わしており、それらの各位置座標間の線分(直線部)を方向付けしてベクトルとすることにより、この線分のペースト塗布を塗布する方向と塗布する距離とで指示することができる。このようにして、図9に示すような位置座標データテーブルBDTのデータに基づいて、基本パターンBPの線分をベクトルに変換する工程がこの相対ベクトル変換工程(ステップ202)である。以下、この工程について説明する。
【0038】
図6に示すベースパターンBP1の位置A1−A2間,A2−A3間,……の線分に対して設定するベクトルに対し、その順にベクトル番号a1,a2,……an−1(但し、図6の場合、n=8)を設定し、図9(a)に示した位置座標データテーブルBDT1の位置座標データをもとに、かかるベクトル番号毎に、そのベクトル成分、即ち、このベクトルの大きさ(位置座標間の距離)のX軸方向の成分(x成分)ΔxiとY軸方向の成分(y成分)Δyi(但し、i=1,2,……,n−1)とを求める。一例として、A1−A2間の線分に対するベクトル成分は、
Δx1=xa2−xa1 Δy1=ya2−ya1
となる。このようにして、ベースパターンBP1に対して得られるベクトル番号ai毎のベクトル成分(Δxi,Δyi)は、図10(a)に示すようなベクトルデータテーブルVDT1に登録される。
【0039】
同様にして、図6に示すベースパターンBP2についても、位置B1−B2間,B2−B3間,……の線分に対して設定するベクトルに対し、その順にベクトル番号b1,b2,……bm−1(但し、図6の場合、m=4)を設定し、図9(b)に示した位置座標データテーブルBDT2の位置座標データをもとに、かかるベクトル番号毎に、そのベクトル成分Δxj,Δyj(但し、j=1,2,……,m−1)を求める。このようにして、ベースパターンBP2に対して得られるベクトル番号bj毎のベクトル成分(Δxj,Δyj)は、図10(b)に示すようなベクトルデータテーブルVDT2に登録される。
【0040】
以上が図4での相対ベクトル変換工程(ステップ202)の処理であるが、以上のようなベースデータの設定登録が終了したか否かの確認が行われる(ステップ203)。この確認は、図7に示した登録事項テーブルMDTのデータに基づいて自動的に行なわれる。即ち、この登録事項テーブルMDTでは、「ベースデータ数」が2となっているので、図10に示すように、2つのベクトルデータテーブルVDTを作成することになるが、それらの一方の「ベースデータ番号1」に対するベクトルデータテーブルVDT1(図10(a))でベクトル数が登録事項テーブルMDTに設定されている「ベクトル数」=7になったか否か、また、他方の「ベースデータ番号2」に対するベクトルデータテーブルVDT1(図10(b))でベクトル数が登録事項テーブルMDTに設定されている「ベクトル数」=3になったか否かを判定する。これらを同時に満足した場合には、ベースデータの登録が終了したと判定するが、ベースデータの設定(ステップ201)で入力するベースデータ数に誤りがあるなどして、少なくともベクトルデータテーブルVDT1,2のいずれかでこれを満足しない場合には、ベースデータの登録ができないとしてステップ201に戻る。この場合には、図6で示すような基本パターンBPでの位置座標データをベースデータとして入力し直し、再び図9に示すような位置座標データテーブルBDTを設定することになる。
【0041】
なお、図4では、ベースパターンBP1,BP2毎に順に以上のステップ201〜203の処理を行ない、従って、ベースパターンの個数(即ち、2個)に等しい回数だけかかるステップ201〜203が繰り返されることになり、各ベースパターンBP1,BP2毎にステップ203でのベースデータの登録終了の確認が行われるものとするが、全てのベースパターンについてベースデータ設定工程(ステップ201)の処理を行なって、まず、全てのベースパターンの位置座標データテーブルBDTを作成し、次いで、各位置座標データテーブルBDT毎にステップ202の処理を行なってベクトルデータテーブルVDTをベースパターンの順に作成するようにしてもよい。この場合には、全てのベースパターンのベクトルデータテーブルVDTが作成されてから、ステップ203の確認処理が行われる。
【0042】
また、図10に示すベクトルデータテーブルVDTは図9に示した位置座標データテーブルBDTのデータをもとに作成するものであるが、基準パターンBPのベースパターンから各線分についてベクトル成分を求め、これをベクトルデータテーブルVDT1,VDT2上で直接入力して登録できるならば、そうしてもよい。
【0043】
このようにして、ベースデータ登録終了確認工程(ステップ203)が終了すると、パソコン20のRAMには、ベースパターンの個数に等しい個数のベクトルデータテーブルVDTが登録されていることになるが、この登録終了が確認されるとともに、ベクトルデータテーブルVDT1の各ベクトル番号のベクトル成分(Δxi,Δyi)が、先に説明したように、予め用意されている図8に示すようなパターンデータP1のベースデータBD1に対するベクトルデータテーブルMVDTに書き込まれ、さらに、この書き込まれたベクトル成分(Δxi,Δyi)が他のペーストパターンP2,P3,P4のベースデータBD1に対するベクトルデータテーブルMVDTに自動移植される。同様にして、ベクトルデータテーブルVDT2の各ベクトル番号のベクトル成分(Δxj,Δyj)が、予め用意されている図8に示すようなパターンデータP1のベースデータBD2に対するベクトルデータテーブルMVDTに書き込まれ、さらに、この書き込まれたベクトル成分(Δxj,Δyj)が他のペーストパターンP2,P3,P4のベースデータBD2に対するベクトルデータテーブルMVDTに自動移植される。従って、ペーストパターンP1,P2,P3,P4のベースデータBD1に対するベクトルデータテーブルMVDTに同じベクトルデータテーブルVDT1の各ベクトル番号のベクトル成分(Δxi,Δyi)が格納され、ペーストパターンP1,P2,P3,P4のベースデータBD2に対するベクトルデータテーブルMVDTに同じベクトルデータテーブルVDT2の各ベクトル番号のベクトル成分(Δxj,Δyj)が格納されることになる。
【0044】
また、これとともに、先に入力設定したコーナの寸法rや塗布条件といったデータも、ペーストパターンP1のBD1に対するベクトルデータテーブルMVDTに格納されるが、これとともに、これら格納されたデータは、他のベクトルデータテーブルMVDTの全てにも、自動移植される。従って、全てのベクトルデータテーブルMVDTに、同じコーナの寸法rや塗布条件のデータが格納されることになる。
【0045】
なお、図5に示す各ペーストパターン23a〜23hでは、その直線部の継目、即ち、コーナ(基本パターンBPでの位置A2〜A7,B2,B3に対応する部分)で丸みが付けられる。これにより、これらコーナが滑らかになるだけでなく、この部分でのノズル13aと基板22との相対位置変化が滑らかになる。即ち、ペーストパターン23a〜23hでのかかるコーナにおける急峻な速度変動が引き起こす機械振動が低減し、その結果、塗布速度を速くすることができて生産性を向上させるほか、振動によるペーストパターンの形状不良による不良基板発生の低減にも繋がるものである。
【0046】
一方、図6に示す基本パターンBPは直線部のみからなるものとしており、実基板22で実際に塗布描画するペーストパターン23a〜23hのコーナに所定の半径rのまるみを付けるために、上記のように、コーナの寸法rのデータを入力し、図8に示すように、ベクトルデータテーブルMVDTに登録するものである。これにより、このベクトルデータテーブルMVDTを用いて実基板22にペストパターン23a〜23hを塗布描画するときには、このコーナの寸法rのデータにより、パソコン本体20が各ベクトルのx成分やy成分による直線部を半径rの円周上の重なり位置で自動接続することになる。
【0047】
以上の処理がなされた後、次の工程、即ち、グループデータ設定工程(ステップ204)に進む。
【0048】
ここで、図5でのペーストパターンP1を構成するペーストパターン23a,23bが1つのグループ(対)をなすものとし、同様に、ペーストパターンP2を構成するペーストパターン23c,23dが、ペーストパターンP3を構成するペーストパターン23e,23fが、ペーストパターンP4を構成するペーストパターン23g,23hが夫々1つのグループをなすものとする。グループデータ設定工程(ステップ204)は、これらグループをなすペーストパターン間の位置関係を示すデータ(即ち、グループデータ)を設定するものである。
【0049】
かかるペーストパターンP1〜P4に対するグループデータとしては、図6に示すような基本パターンBPでのベースパターンBP1,BP2に関して設定すればよい。そして、かかるベースパターンBP1,BP2の位置関係を示すグループデータとしては、図6を参照すると、基本パターンBPの原点GOに対するベースパターンBP1,BP2の始端(図5に示す各ペーストパターンの塗布開始点に相当)の相対位置関係で表わされる。
【0050】
グループデータ設定工程(ステップ204)は、かかる相対位置関係を示すデータを入力設定するものであり、これが入力されると、次のグループデータ登録工程(ステップ205)において、パソコン本体20のRAMに設定されている図11に示すような相対位置関係テーブルBPRPTに登録される。
【0051】
ここで、この相対位置関係テーブルBPRPTでは、「ベースデータ番号BD1」は図6の基本データBPでのベースパターンBP1を表わすものであって、その「相対位置」Bx,Byは夫々図6での原点GOからベースパターンBP1の始端A1までの距離のx成分,y成分(従って、相対位置関係)を表わすものである。同様にして、「ベースデータ番号BD2」は図6の基本データBPでのベースパターンBP2を表わすものであって、その「相対位置」Bx,Byは夫々図6での原点GOからベースパターンBP2の始端B1までの距離のx成分,y成分(従って、相対位置関係)を表わすものである。
【0052】
また、「ベースデータ番号BD1」の「相対位置」Bx,Byは、図5に示す実基板22において、ペーストパターンP1,P2,P3,P4毎に、それらを構成する2つのペーストパターンの相対的な位置関係を表わしている。即ち、かかる「相対位置」Bx,Byは、ペーストパターンP1については、その中心位置(x1,y1)とペーストパターン23aの塗布開始点との間の距離のx成分,y成分を表わすとともに、ペーストパターンP2については、その中心位置(x2,y2)とペーストパターン23cの塗布開始点との間の距離のx成分,y成分を、ペーストパターンP3については、その中心位置(x3,y3)とペーストパターン23eの塗布開始点との間の距離のx成分,y成分を、ペーストパターンP4については、その中心位置(x4,y4)とペーストパターン23gの塗布開始点との間の距離のx成分,y成分を夫々表わしている。
【0053】
同様にして、「ベースデータ番号BD2」の「相対位置」Bx,Byは、ペーストパターンP1については、その中心位置(x1,y1)とペーストパターン23bの塗布開始点との間の距離のx成分,y成分を表わすとともに、ペーストパターンP2については、その中心位置(x2,y2)とペーストパターン23dの塗布開始点との間の距離のx成分,y成分を、ペーストパターンP3については、その中心位置(x3,y3)とペーストパターン23fの塗布開始点との間の距離のx成分,y成分を、ペーストパターンP4については、その中心位置(x4,y4)とペーストパターン23hの塗布開始点との間の距離のx成分,y成分を夫々表わしている。
【0054】
かかるグループデータの登録が完了したか否かは、相対位置関係テーブルBPRPT(図11)のベースデータ番号BD1,2毎に登録が行なわれたか否か、既に設定されている図7に示す登録事項テーブルMDTの「ベースデータ数」のデータを用いて判定される。図6に示す基本パターンBPの場合、登録事項テーブルMDTの「ベースデータ数」は2であるから、相対位置関係テーブルBPRPTで2つのグループデータが登録されると、グループデータの登録が完了したと判定する。グループデータ設定が終了していない残りのベースパターンがある場合には、かかる残りのベースパターンに対するグループデータの設定,登録を行なうため、そのベースパターン毎にステップ204,205の処理が繰り返えされる。
【0055】
以上のグループデータ登録工程が終了すると、パターンデータ設定工程(ステップ207)に進む。これは実基板22上での各ペーストパターンP1,P2,P3,P4の位置関係を規定するものであって、この位置関係は実基板22の原点と各ペーストパターンP1,P2,P3,P4の中心位置との相対位置関係で表わされる。
【0056】
パターンデータ設定工程(ステップ207)は、かかる相対位置関係を示すデータ(パターンデータという)を入力設定するものであり、これが入力されると、次のパターンデータ登録工程(ステップ208)において、パソコン本体20のRAMに設定されている図12に示すような相対位置関係テーブルMPRPTに登録される。
【0057】
ここで、この相対位置関係テーブルMPRPTでは、「パターン番号P1,P2,P3,P4」は図5でのペーストパターンP1,P2,P3,P4に割り当てられた番号であって、それらの「相対位置」Px,Pyは夫々図5での実基板の原点SBO(その座標位置を(0,0)とする)からペーストパターンP1,P2,P3,P4の中心位置(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3),(x4,y4)までの距離のx成分,y成分(従って、相対位置関係)を表わすものである。
【0058】
次のパターンデータ登録終了工程(ステップ209)は、かかるパターンデータの登録が完了したか否かは、相対位置関係テーブルMPRPT(図12)のパターン番号P1,P2,P3,P4毎にパターンデータの登録が行なわれたか否か、既に設定されている図7に示す登録事項テーブルMDTの「パターン数」のデータを用いて判定される。実基板22に塗布描画するペーストパターンが図5に示す4個のペーストパターンP1,P2,P3,P4のの場合、登録事項テーブルMDTの「パターン数」は4であるから、相対位置関係テーブルMPRPTで4つのパターンデータが登録されると、パターンデータの登録が完了したと判定する。パターンデータ設定が終了していない残りのペーストパターンがある場合には、かかる残りの塗布パターンに対するパターンデータの設定,登録を行なうため、そのペーストパターン毎にステップ207,208の処理が繰り返えされる。
【0059】
以上のようにして、全てのペーストパターンについてのパターンデータの設定,登録が終了すると(ステップ209)。次の全データテキスト登録工程(ステップ210)に進み、パソコン本体20のRAMに登録した上記の各テーブルのデータを、次回の運転にこれらの運転条件が再利用できるようにするために、任意のテキストエディタで編集可能なテキストデータとして、パソコン本体20の外部記憶装置でフロッピーディスクなどの記憶媒体に保管しておく。
【0060】
また、全データテキスト登録工程(ステップ210)では、このようにテキストデータとして保管する前に、得られたベクトルデータテーブルMVDT(図8)や相対位置関係テーブルBPRPT(図11),MPRPT(図12)をモニタ18(図1)で表示させ、それらの登録内容を確認するようにすることができる。この場合、例えば、所定のペーストパターンについて、その登録内容(例えば、コーナの寸法rや塗布条件など)を必要に応じて修正変更したい場合には、キーボード19(図1)で所望とするデータを入力することにより、適宜修正変更をすることができる。
【0061】
また、ステップ203,206,209毎に、夫々のデータの登録終了とともに、登録したデータをモニタ18で表示させ、それらの登録内容を確認できるようにするとともに、キーボード19を操作してその登録内容を必要に応じて適宜修正変更できるようにすることもできる。
【0062】
以上のようにして、得られたペーストパターンのデータをデータベースとして容易に再利用できるほか、ベースデータを修正することにより、そのベースデータを使用する全てのペーストパターンの形状や塗布条件を一括して変更することができるし、特定のペーストパターンに対してのみ変更を行なう場合には、ベースデータの登録名称を指定して変更することにより、特定のペーストパターンのデータ変更も容易である。
【0063】
そして、このように、運転データをパソコン本体20のRAMと別の記憶媒体とに同時に記憶しておくことにより、装置本体Mの状態(停止中や運転中)にかかわらず、記憶媒体に登録されたペーストパターンデータの確認や変更が可能になり、次回の運転データの作成なども行なえるため、データ作成における生産性が向上するし、図示しないネットワークを介して、ペーストパターンデータの遠隔編集や装置本体Mの運転状況の管理も行なうことができる。
【0064】
また、フロッピーディスクなどの記憶媒体に登録してあるテキストデータを編集し、ペーストパターンデータの作成を行なうことができることから、データの編集には、汎用的なワードプロセッサの他、CADアプリケーションや表計算アプリケーション,データベースアプリケーションなどの運転者の使い慣れたアプリケーションプログラムを利用してデータの作成が容易にできる。
【0065】
図3において、以上のペーストパターンデータ設定工程(ステップ200)が終了すると、ペースト塗布機に電源が投入され(ステップ300)、その初期設定が実行される(ステップ400)。
【0066】
この初期設定工程(ステップ400)では、図1において、サーボモータ8a,8b,10を駆動することにより、Z軸移動テ−ブル9をX,Y方向に移動させて所定の基準位置に位置決めし、ノズル13a(図2)をそのペースト吐出口がペーストを吐出開始させる位置(即ち、ペースト塗布開始点)に位置付けられるように、所定の原点位置に設定する。
【0067】
また、パソコン本体20と装置本体Mとの間の塗布データ転送処理が自動で行なわれ、先に設定したパターンデータなどは運転データとして装置本体Mの制御部17内のRAMに設定されるとともに、この制御部17内の図示しない記憶媒体に記録保管される。
【0068】
以上の初期設定工程(ステップ400)が終了すると、実基板22が基板吸着盤4(図1)に搭載されて吸着保持される(ステップ500)。この基板搭載工程(ステップ500)では、基板搬送コンベア2a,2b(図1)によって実基板22がX軸方向に基板吸着盤4の上方まで搬送され、図示しない昇降手段によってこれら基板搬送コンベア2a,2bを下降させることにより、実基板22が基板吸着盤4に搭載される。
【0069】
次に、基板予備位置決め工程(ステップ600)が行なわれる。この工程では、図1において、図示しない位置決めチャックにより、この実基板22のX,Y方向の位置合わせが行なわれる。また、基板吸着盤4に搭載された実基板22の位置決め用マ−クを画像認識カメラ16a,16bが撮影し、これら位置決め用マ−クの重心位置が画像処理で求められて実基板22のθ方向の傾きが検出され、これに応じてサ−ボモ−タ24(図3)が駆動されて、そのθ方向の傾きも補正される。
【0070】
次に、パターン塗布工程(ステップ700)に移り、パターン番号順にペーストパターンの、例えば、ペーストパターンP1,P2,P3,P4の順に、パソコン本体20のRAMに格納されているベクトルデータテーブルMVDT(図8),相対位置関係テーブルBPRPT(図11),相対位置関係テーブルMPRPT(図12)夫々のデータを用いて、ペーストパターン塗布描画動作が行なわれる。この工程では、これら相対位置関係テーブルBPRPTと相対位置関係テーブルMPRPTとのデータを用いて、ペーストパターンP1,P2,P3,P4のペーストパターン23a〜23hの塗布開始位置にノズル13aの吐出口が位置付けられ、また、上記ベクトルデータテーブルMVDTの塗布条件のデータからノズル13aの塗布高さの設定が行なわれる。この塗布高さの設定は、ノズル13aの吐出口から実基板22の表面までの距離が塗布されるペーストの厚みになるようにするものである。
【0071】
なお、ペーストパターン23a〜23hの塗布開始位置は、相対位置関係テーブルBPRPTの位置データを相対位置関係テーブルMPRPTのデータで修正して設定されるものである。例えば、実基板22上でのペーストパターン23aは、ベースパターンBP1の始点A1の位置座標を、図9(a)に示すように、(xa1,ya1)とし(これが、図11に示す相対位置関係テーブルBPRPTにベースデータ番号BD1に対する相対位置(Bx,By)として登録されている)、図12に示す相対位置関係テーブルMPRPTでのパターン番号P1に対する相対位置データ(Px,Py)、即ち、実基板22の原点GBOに対する原点位置を(x1,y1)とすると、実基板22上でのペーストパターン23aの塗布開始位置は、
(x1+xa1,y1+ya1)
とする。しかし、これら相対位置関係テーブルBPRPT,相対位置関係テーブルMPRPTの代わりに、かかる修正したデータを塗布開始位置テーブルとしてパソコン本体20のRAMに格納し、各ペーストパターン23a〜23hの塗布開始位置をこの塗布開始位置テーブルのデータに基づいて設定するようにしてもよい。
【0072】
以上の処理が終了すると、次に、マイクロコンピュータ17a(図2)のRAMに格納されているペーストパターンデータに基づいてサーボモータ8a,8b,10(図1)が駆動され、これにより、ノズル13aのペースト吐出口が、実基板22に対向した状態で、このペーストパターンデータに応じてX,Y方向に移動するとともに、正圧源30(図2)からペースト収納筒13に僅かな空気圧が印加されてノズル13aのペースト吐出口からペーストが吐出し始める。
【0073】
また、かかるペーストパターンの描画とともに、マイクロコンピュータ17aは距離計14からノズル13aのペースト吐出口と実基板22の表面との間の距離(塗布高さ)の実測デ−タを入力して実基板22の表面のうねりを測定し、この測定値に応じてサーボモータ12を駆動することにより、実基板22の表面からのノズル13aの設定高さが一定になるように維持されてペーストパターンの塗布描画が行なわれる。
【0074】
このようにして、ペーストパターンの塗布描画が進むが、ペーストパターンの塗布描画動作を継続するか、終了するかの判定は、塗布点がペーストパターンデータによって決まる塗布すべきペーストパターンの終端であるかどうかの判断によって決定され、終端でなければ、再び実基板22の表面のうねり測定処理に戻り、以下、上記の各工程を繰り返してペーストパターンの塗布終端に達するまでペースト塗布動作が継続する。
【0075】
かかるペーストパターンの塗布動作は設定されたn個のペーストパターンデータの全てについて行なわれ、最後の番号nのペーストパターンデータによるペーストパターンの終端に達すると、サーボモータ12を駆動してノズル13aを上昇させ、このペーストパターン塗布工程(ステップ700)を終了させる。
【0076】
次に、基板排出工程(ステップ800)に進む。この工程では、図1において、実基板22の基板吸着盤4への吸着が解除され、基板搬送コンベア2a,2bを上昇させてこれに実基板22を移載させ、その状態でこの基板搬送コンベア2a,2bにより装置本体M外に排出する。
【0077】
そして、以上の全工程が終了したか否か判定する(ステップ900)。複数枚の実基板に同じペーストパタ−ンデータを用いてペ−ストパターンを塗布する場合には、別の実基板22に対して基板搭載工程(ステップ500)から動作が繰り返される。そして、全ての実基板22についてかかる一連の処理が終了すると、作業が全て終了(ステップ1000)となる。
【0078】
なお、この実施形態では、ノズル13aが可動として基板22を固定としたが、本発明はこれに限るものではなく、ノズルを固定して基板22を移動させるようにしてもよい。
【0079】
また、この実施形態では、ペーストパターンデータの設定をベースデータから作成している例を示したが、パソコン本体20内のハードディスクなどの図示しない内部記憶媒体やフロッピディスクなどの外部記憶媒体に記憶保管されているデータを呼び出し、その登録済みデータによって生産運転を行なうこと、登録済みデータを修正し、新規運転データとして再登録し、これを用いて生産運転を行なうこと、装置本体M側で新たに作成することや、,生産データとして転送したデータを修正することが可能なため、装置本体M側からデータを読み出してそのデータを再登録,再利用するなどといった方法により、データ作成工程をより効率良くその処理を完了することができる。
【0080】
また、複数のノズルで塗布を行なう場合には、塗布ノズル毎に同様の設定を行えるようにしてもよい。
【0081】
また、この実施形態では、図5に示すように、同一基板22上に4個の同一形状のペーストパターンP1〜P4を塗布描画する場合を例にしたが、1個または4個以外の複数個の同一形状のペーストパターンを塗布描画する場合も同様であることはいうまでもない。
【0082】
また、この実施形態では、描画する全てのペーストパターンP1〜P4が全て全く同一形状のパターンとしたが、これに限るものではなく、一部が異なる形状をなすものであってもよい。例えば、図5において、ペーストパターンP1〜P3が同一形状のパターンであって、ペーストパターンP4がこれらとは異なる形状のパターンである場合には、これらペーストパターンP1〜P3について、基本パターンBPを用いて、上記のように、パターンデータを作成し、ペーストパターンP4については、別途ペーストパターンを形成するようにしてもよい。この場合も、これらパターンデータは図8に示すベクトルデータテーブルMVDTに登録するようにする。また、例えば、図5において、ペーストパターンP1,P2が同一形状のパターンであり、これとは形状が異なるが、ペーストパターンP3,P4も同一形状のパターンである場合でも、夫々毎に基本パターンBPを用い、上記のようにしてパターンデータを作成し、同じベクトルデータテーブルMVDTに登録するようにする。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、所望形状のペーストパターンのデータ設定が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるペースト塗布機の一実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示した実施形態の電気系系統と空気系系統とを示す接続図である。
【図3】図1に示した実施形態のペースト塗布処理の全工程を示すフローチャートである。
【図4】図3におけるペーストパターンデータ設定工程の一具体例を示すフローチャートである。
【図5】図1に示した実施形態で基板に塗布するペーストパターンの一具体例を示す図である。
【図6】図5に示したペーストパターンのデータ設定に用いる基本パターンの一具体例を示す図である。
【図7】図5に示したペーストパターンのデータ設定における登録事項テーブルの一具体例を示す図である。
【図8】図7に示す登録事項テーブルから自動設定されるペーストパターンのベクトルデータテーブルの一具体例を示す図である。
【図9】図6に示した基本パターンのベースデータ設定のために用いる位置座標データのテーブルの一具体例を示す図である。
【図10】図9に示した位置座標テーブルのデータを基に自動作成される図6に示す基本パターンを構成する個別ベースパターンのベクトルデータテーブルの一具体例を示す図である。
【図11】図6に示した基本パターンを構成する個別ベースパターンの位置関係を設定するための相対位置関係テーブルの一具体例を示す図である。
【図12】図6に示した基本パターンで構成される図5に示したペーストパターンの基板上での位置関係を設定するための相対位置関係テーブルの一具体例を示す図である。
【符号の説明】
4 基板吸着盤
5 θ軸移動テ−ブル
6a,6b X軸移動テ−ブル
7 Y軸移動テ−ブル
9 Z軸移動テ−ブル
13 ペースト収納筒(シリンジ)
13a ノズル
14 距離計
17 制御部
18 モニタ
19 キ−ボ−ド
20 パソコン本体
22 ガラス基板
MDT 登録事項テーブル
BDT1,BDT2 位置座標データテーブル
VDT1,VDT2 ベクトルデータテーブル
MVDT ベクトルデータテーブル
BPRPT 相対位置関係テーブル
MPRPT 相対位置関係テーブル
Claims (2)
- ノズルの吐出口に対向するようにして基板をテーブル上に載置し、設定されたパターンデータに従って該基板の主面と平行な方向での該基板と該ノズルとの間の相対位置関係を変化させながら、ペースト収納筒に充填されたペーストを該ノズルの吐出口から該基板上に吐出させることにより、該基板上に該パターンデータに応じた所望形状のペーストパタ−ンを塗布描画するペースト塗布機であって、
同じ該基板上に同一形状の複数のペーストパターンを塗布描画するときの、該複数のペーストパターンと同一形状の基本パターンを形成する複数のベースパターン夫々を規定するデータを設定する第1の設定手段と、
該第1の規定手段でデータが規定された該ベースパターンの位置関係を規定し、該複数のペーストパターンに共通する該基本パターンを規定するデータを設定する第2の設定手段と、
該第2の設定手段で設定された該データを、同じ該基板上に塗布描画する同一形状の該複数のペーストパターン夫々のパターンデータとして設定する第3の設定手段と、
該第3の設定手段で該パターンデータが設定された該複数のペーストパターン毎に塗布条件を設定し、かつ該塗布条件を修正可能とする第4の設定手段と、
該第3の設定手段でパターンデータが設定された該複数のペーストパターンの該基板での位置関係を規定するデータを設定する第5の設定手段と
を備え、該第4の設定手段で設定された該塗布条件に従い該基板上の該パターンデータに応じた軌跡に沿ってペーストを塗布することにより、同じ該基板上に該第5の手段で設定された位置関係で同一形状の該複数のペーストパターンを塗布描画することを特徴とするペースト塗布機。 - 請求項1において、
前記第1の設定手段が設定する前記データは、前記ベースパターン上の点の座標位置もしくは前記ベースパターンを構成する線分の座標上のベクトルで表わされるものであることを特徴とするペースト塗布機。
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