JP3712412B2 - 内燃機関の弁制御のためのハイドロリック式遊び補償エレメント - Google Patents
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Description
このような遊び補償エレメントは、既に種々の構造が知られている。例えばGB619535には、外側のシリンダ部分とその中で僅かな遊びを備えて長手方向摺動可能に支承されたプランジャ部分とから成る遊び補償エレメントが示されている。外側のシリンダ部分の開いた端部は環状の溝を備えており、この溝内にはスナップリングが配置されている。プランジャ部分は最大の行程位置においてその肩部がスナップリングに当接するので、プランジャ部分はシリンダ部分から出ることができない。溝とプランジャとの半径方向延びは、取り外し時にばね力が越えられた際にスナップリングがプランジャによって溝内のフリースペースに押し込まれるように、互いに調和されている。即ち、溝の直径はスナップリングの直径よりも大きい。
この場合の欠点は、スナップリングがセンタリングされず、遊び補償エレメントの取り外し時に剪断されるおそれがあることである。
このような安全配置の更なる欠点は、ケーシングがプランジャを案内するために上縁部まで使用されない場合があること、即ちケーシングの支持長さが減じられていることにある。更に、この環状溝によって、横断面ひいてはプランジャの上範囲における剛性が減少する。しかし、可能な限り大きな支持長さ若しくはプランジャ上範囲における弱化されない横断面は、高い横力が作用する短いエレメントの場合に特に重要である。
従って本発明の課題は、遊び補償エレメントのシリンダとプランジャとの間の、スナップリングを用いた安全配置を、従来周知の欠点を回避して改善することである。
本発明によれば、前記課題は、溝が、溝の上方でプランジャの各行程位置においてプランジャ支持長さが残るように、ケーシングの内部に配置されており、前記溝が、止め輪の直径よりも大きい直径を有しており、止め輪が、プランジャに設けられた切欠によって半径方向でセンタリングされており、該切欠の少なくとも下端部が傾斜部を有していることによって解決された。
この解決策の利点は、止め輪が、センタリングに基づき、遊び補償エレメントの取り外し時に破壊されないことにある。別の利点は、溝の配置によってプランジャの上範囲における材料弱化が生ぜしめられず、プランジャとケーシングとの間に、改善された案内長さ若しくは支持長さが与えられることにより得られる。なぜならば、支持が常に上方のケーシング縁部において行われるからである。
まず、止め輪が溝に嵌め込まれる。次に、プランジャがケーシングに挿入される。この際、プランジャに設けられた面取り部が止め輪をセンタリングして拡開するので、止め輪は完全にケーシング溝内に入ることができる。プランジャがケーシング内に挿入されてプランジャの傾斜部が止め輪を通過すると、止め輪は止め輪のプレロードに基づきケーシング内の溝から弾性的に元の大きさに戻る。即ち、止め輪の直径が小さくなる。従って止め輪は、プランジャの戻しばねによってプランジャがケーシングから押し出されないようにするロックとして働く。傾斜部とは、この場合、回転対称的な本体の長手方向軸線に対して傾斜された部分のことと理解できる。この部分は、互いに異なる直径を有する2つの範囲を互いに接続している。遊び補償エレメントを取り外すために、プランジャの戻しばね力よりも著しく大きな力がかけられると、止め輪はプランジャの傾斜部によってケーシングの溝内に押し込まれ、プランジャを問題なくケーシングから取り出すことができる。この際、止め輪は常にケーシングの溝内に残る。
請求項2によれば前記課題は、溝が、該溝の上方でプランジャの各行程位置においてプランジャ支持長さが残り且つ溝が止め輪の直径よりも小さい直径を有するように配置されており、止め輪が、ケーシングに設けられた切欠によって半径方向でセンタリングされており、該切欠の少なくとも上端部が傾斜部を有していることによって解決された。
この場合も、請求項1による解決策と同様の利点が得られる。組付け時には、まず止め輪がプランジャの溝に嵌め込まれる。プランジャをケーシングに挿入する際には、止め輪がケーシング内壁によってまず溝底部の方向に締め付けられる。プランジャが、止め輪がケーシング内壁のアンダカット部の傾斜部の内側に達するまでケーシング内に入り込むと、止め輪は止め輪のプレロードに基づき元の大きさをとり、プランジャの戻しばねによってプランジャがケーシングから押し出されることに対するロックを形成する。遊び補償エレメントの取り外し時には、止め輪は再びケーシング内壁の傾斜部によって固定的に溝に押し込まれ、ひいては止め輪の直径が減少する。従って、プランジャを問題なくケーシングから引き出すことができる。止め輪は、組付け時にも取り外し時にも常にプランジャの溝内に残る。
請求項3によれば、止め輪は多角形リングとして形成することができる。
止め輪が多角形の構成の場合、即ち止め輪が、止め輪の全周面にわたって見て種々異なる直径を有していると、止め輪の各最大直径がケーシング溝に固定的に接触する。即ち止め輪がセンタリングされる。従って、組付け時に止め輪を前もってセンタリングする必要がもはやなくなる。遊び補償エレメントの取り外し時には、プランジャの切欠の傾斜部によって、多角形の止め輪の、それぞれ最小直径を有する部分が拡開される。
これに対して溝がプランジャに配置されている場合には、多角形リングは、プランジャに設けられた溝によってセンタリングされる。即ち、多角形リングの各最小直径が固定的にプランジャ溝に当て付けられて、遊び補償エレメントの取り外しの際には、最大直径を有する部分が、ケーシングの切欠内の傾斜部によってプランジャ溝内に押圧される。
請求項4及び5に記載の、本発明の付加的な別の特徴によれば、プランジャの下端部若しくはケーシングの上端部に面取り部が設けられる。このことにより、遊び補償エレメントの組付けが簡単になる。この場合、プランジャに設けられた面取り部によって止め輪がセンタリングされて拡開され、これに対してケーシングに設けられた面取り部によって止め輪がセンタリングされて締め付けられる。
請求項6に記載の本発明の有利な別の構成では、溝及び/又は切欠が少なくとも各1つのオイル貫流孔を有している。この場合、オイル供給のために付加的な溝をケーシング壁若しくはプランジャに加工成形する必要がなくなる。
請求項7によれば、止め輪が金属又は非金属の材料から製造されている。材料は、必要に応じて選択される。この場合、金属材料から成る止め輪は比較的大きなプレロードを有する。
以下の実施例につき、本発明を詳しく説明する。
第1図 ケーシング内に溝を備えた遊び補償エレメントの縦断面図であり、止め輪は、プランジャに設けられた切欠によってセンタリングされている。
第2図 プランジャに溝を備えた遊び補償エレメントの縦断面図であり、止め輪は、ケーシングに設けられた切欠によってセンタリングされている。
第3図 ケーシング内に配置された止め輪の拡大図である。
第4図 プランジャに配置された止め輪の拡大図である。
第5図 円環状リングとして形成された止め輪の平面図である。
第6図 多角形リングとして形成された止め輪の平面図である。
第1図に示したハイドロリック式遊び補償エレメントは主に、図示されていないバルブステムに結合された、中空円筒形に形成された外側のケーシング1から成っており、このケーシング1内では、符号は付けられていない環状ギャップを保ってプランジャ2がスライド式に案内されており、プランジャ2は、同様に図示されていないロッカーアームと協働する。プランジャ2は中空に形成されていて、内部には前室3を有しており、前室3は孔4を介して、プランジャ2とケーシング1との間に閉じこめられた圧力室5に接続している。前室3と圧力室5との間の接続は逆止弁によって制御され、逆止弁は、球体6とばね7とこれら両部材を収容する弁キャップ8とから成っている。弁キャップ8は、圧力室5内に配置されていてプランジャ2を戻すために働くコイルばね9によってプランジャ2に向けて押圧されている。プランジャ2の中央部分は切欠14を有しており、切欠14の両端部は、各1つの傾斜部10を介して、プランジャの小さくされていない外径に移行している。傾斜部10は、ケーシング1の溝11内に配置された止め輪12に当接し、プランジャ2がコイルばね9によってケーシング1から突き出されることを阻止している。
止め輪12が円形に形成されている場合に、止め輪12と溝11との半径方向の延びは、溝11の直径が止め輪12の外径よりも大きくなっているように互いに調和されている。このことによって、組付け状態で止め輪12と溝11との間にフリースペース13が得られ、このフリースペース13内には、遊び補償エレメントの取り外し時に止め輪12が逃れることができる。既述のように、遊び補償エレメントの組付け時にはまず止め輪12がケーシング1の溝11に嵌め込まれる。次に、プランジャ2がケーシング1の開口に挿入される。この場合、止め輪12はプランジャ2の面取り部10aによってセンタリングされ拡開されて、フリースペース13内に逃れることができる。プランジャ2の傾斜部10が溝11に到達すると、止め輪12は止め輪12のプレロードに基づきフリースペース13から元の位置に弾性的に戻り、プランジャ2に対するストッパを形成する。遊び補償エレメントの取り外し時には、ばね9の戻し力を著しく越えなければならないので、止め輪12はプランジャ2の傾斜部10によって再び溝11若しくはフリースペース13内に押圧される。プランジャ2がケーシング1を出ると、止め輪12は溝11内に残り、プランジャ2を新たに挿入する際には再びフリースペース13内に逃れることができる。
第1図では、プランジャ2は上方の作動位置で図示されている。即ち、溝11の上方に位置するプランジャ支持長さ19が切欠14の上方の傾斜部10からケーシング1の上端部まで達している。このことによって、プランジャ2における材料弱化が回避される。
第2図から判るように、同様に円環状の止め輪12が溝11に配置されており、溝11はプランジャ2の下端部に位置している。この場合止め輪12と溝11との半径方向の延びは、止め輪12の内径が溝11の外径よりも大きくなっているように互いに調和されている。この場合も止め輪12と溝11との間にフリースペース13が形成されており、フリースペース13内には、遊び補償エレメントの組付け若しくは取り外しの際に止め輪12が逃れることができる。しかし、フリースペース13内に収容するためには、この場合止め輪12が拡開される必要はなく、その代わりに締め付けられる。このことは、取り外し時に、ケーシング1に設けられた傾斜部10によって行われる。この傾斜部10は、ケーシング1に設けられた切欠14に移行している。第1図とは異なり、この場合、止め輪12は常にプランジャ2の溝11内に残っている。符号19で示したプランジャ支持長さは、軸方向で溝11の上端部からケーシング1の面取り部10aまで延びている。
第3図から、ケーシング1の溝11内に配置された止め輪12が、プランジャ2の切欠14によってセンタリングされていることが判る。即ち止め輪12は切欠14に接触している。例えば遊び補償エレメントの取り外し時にばね9の戻し力を著しく越えると、プランジャ2の傾斜部10によって止め輪12が拡開され、溝11若しくはフリースペース13の内部に変位することができる。
これに対して、第4図から判るように、止め輪12がプランジャ2の溝11内に配置されている場合には、止め輪12はケーシング1内の切欠14によってセンタリングされる。即ち止め輪12は切欠14に接触する。取り外し時には、ケーシング1内の傾斜部10によって止め輪12が締め付けられ、やはり溝11内に逃れることができる。
第3図及び第4図から更に判るように、溝11と切欠14との軸方向長さが互いに調和されていて、これらをオイル供給のために使用することができる。この場合オイルは、孔15、溝11、切欠14、孔16を通るか、若しくは孔15、切欠14、溝11、孔16を通って、前室3に達する。
第5図及び第6図には、止め輪12の、考え得る2つの実施形態が図示されており、一方は円環状で、他方は多角形リング状である。既に述べたように、第5図による円環状止め輪は、ケーシング1の溝11(第1図及び第3図参照)内に配置された場合にプランジャ2の切欠14によってセンタリングされ、遊び補償エレメントの取り外し時には傾斜部10若しくはプランジャ2の外周面によって溝11のフリースペース13内に押し込まれる。即ち、止め輪12は内側から外側に拡開される。これに対して、円環状の止め輪がプランジャ2の溝11内に配置されている場合には(第2図及び第4図参照)、止め輪12はケーシング1内の切欠14によってセンタリングされる。即ち、止め輪12は切欠14に接触する。遊び補償エレメントの取り外し時には、傾斜部10若しくはケーシング1の内周面によって溝11内に押し込まれる。
これに対して第6図に示したように多角形リング状の止め輪がケーシング1の溝11内に配置されている場合には(第1図、第3図参照)、止め輪12は溝11自体によってセンタリングされる。即ち、止め輪12は部分周面17によって固定的に溝11に当て付けられ、遊び補償エレメントの取り外し時にはプランジャ2によって内側から外側に拡開される。ただしこの場合、部分周面18だけが外側に拡開される。
第2図及び第4図に従って多角形リング状の止め輪12がプランジャ2の溝11内に配置されている場合には、止め輪12は溝11自体によってセンタリングされる。即ち、止め輪12の部分内周面18aが固定的に溝11に接触する。遊び補償エレメントの取り外し時には、傾斜部10若しくはケーシング1の内周面によって多角形リング状の止め輪12が締め付けられる。即ち部分周面17が完全に溝11内に押し込まれる。
当然ながら、本発明は、例示したロッカーアーム差込エレメントに制限されない。同様の形式で、プランジャとケーシングとの間の安全配置を、ハイドロリック式のスイングアーム支持エレメント又はハイドロリック式の円筒形タペットにおいて行うことができる。
Claims (7)
- 内燃機関の弁制御のためのハイドロリック式遊び補償エレメントであって、プランジャ(2)が、長手方向摺動可能にケーシング(1)の内部で案内されており、プランジャ(2)とケーシング(1)との間に圧力室(5)が形成されており、該圧力室(5)が、プランジャ(2)の下端部に配置された逆止弁を介して、プランジャ(2)に設けられた前室(3)に接続されており、環状の溝にばね弾性的な止め輪(12)が配置されている形式のものにおいて、前記溝(11)が、該溝(11)の上方でプランジャ(2)の各行程位置においてプランジャ支持長さ(19)が残るように、前記ケーシング(1)の内部に配置されており、前記溝(11)が、止め輪(12)の直径よりも大きい直径を有していて、この場合、止め輪(12)が、プランジャ(2)に設けられた、少なくとも下端部で傾斜部(10)を有している切欠(14)によって半径方向でセンタリングされていることを特徴とする、内燃機関の弁制御のためのハイドロリック式遊び補償エレメント。
- 内燃機関の弁制御のためのハイドロリック式遊び補償エレメントであって、プランジャ(2)が、長手方向摺動可能にケーシング(1)の内部で案内されており、プランジャ(2)とケーシング(1)との間に圧力室(5)が形成されており、該圧力室(5)が、プランジャ(2)の下端部に配置された逆止弁を介して、プランジャ(2)に設けられた前室(3)に接続されており、環状の溝(11)にばね弾性的な止め輪(12)が配置されている形式のものにおいて、前記溝(11)が、該溝(11)の上方でプランジャ(2)の各行程位置においてプランジャ支持長さ(19)が残り且つ溝(11)が止め輪(12)の直径よりも小さい直径を有するように配置されていて、この場合、止め輪(12)が、ケーシング(1)に設けられた、少なくとも上端部で傾斜部(10)を有している切欠(14)によって半径方向でセンタリングされていることを特徴とする、内燃機関の弁制御のためのハイドロリック式遊び補償エレメント。
- 止め輪(12)が多角形リングとして形成されている、請求項1又は2記載の、ハイドロリック式遊び補償エレメント。
- プランジャ(2)の下端部が面取り部(10a)を有している、請求項1記載のハイドロリック式遊び補償エレメント。
- ケーシング(1)の上端部が面取り部(10a)を有している、請求項2記載のハイドロリック式遊び補償エレメント。
- 前記溝(11)及び/又は切欠(14)が少なくとも各1つのオイル貫流孔(15;16)を有している、請求項1又は2記載のハイドロリック式遊び補償エレメント。
- 止め輪(12)が金属又は非金属の材料から製造されている、請求項1又は2記載のハイドロリック式遊び補償エレメント。
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