JP3710115B2 - 釣竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、継合部に特徴を有する釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
並継や逆並継の継合部は寸法精度を要するため、芯金にプリプレグを巻回して竿杆を形成した後でリーマ加工を施している。然しながら、竿杆は所定の撓み剛性が必要なことから、炭素繊維やガラス繊維等の高強度繊維を強化繊維として使用しており、これらを削るには、ダイヤモンドリーマ等の硬い工具を使用しなければならない。このように、竿杆の加工性が悪く、特開平5−37号公報では、加工性を良くする等のために雌型継合部本体層の内面に綿、ポリエステル等の非高強度繊維の樹脂層を設けることが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、本体層と内層に使用の強化繊維の特性、特に線膨張率が異なると、加熱成形時に素材曲りが生じたり、或いは、成形後に竿杆変形が生じ易い。
依って、本発明は加工性を良くすると共に、素材曲りや成形竿杆変形を防止できる釣竿の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み、請求項1において、前後の中空竿杆同士をテーパ状の雄型継合部とテーパ状の雌型継合部とで並継式に継合わせる構造であって、炭素繊維を主たる強化繊維とする雌型継合部の繊維強化樹脂本体層は、強化繊維が主として軸長方向に指向した軸長方向本体層と、その外側に設け、強化繊維が主として円周方向に指向するか織布を使用した外側補強層と、該雌型継合部の先部内周に設け、強化繊維が主として円周方向に指向するか織布を使用した内側補強層とで形成されており、該雌型継合部の内周の先部を除いた領域に、弾性率が0.5ton/mm2〜16ton/mm2の炭素繊維を主たる強化繊維とし、前記内側補強層に比較して低弾性な炭素繊維使用の低弾性繊維強化樹脂層を設け、該層の厚さが後方に向かって漸次増加することを特徴とする釣竿を提供する。
本体層と内側層とに弾性率の相違があっても、同種の強化繊維で強化しているため、素材曲りや成形竿杆曲り変形等が防止されると共に、低弾性な炭素繊維は加工性がよく、継合部のリーマ加工が容易迅速となる。その他、継合せ面がソフトになるため、継合せ時にソフトな嵌合感が得られる。
【0005】
請求項2では、前記低弾性繊維強化樹脂層の炭素繊維が軸長方向に対して概ね対称に交差するよう傾斜方向に指向している請求項1記載の釣竿を提供する。
傾斜方向繊維であるため、円周方向成分が存在して潰れ難さに寄与し、しかも低弾性であるため軸長方向成分の撓み剛性への寄与は大きくなく、撓み性能への影響は小さい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態例に基づき、更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る釣竿の第1の参考例としての側面図であり、元竿10の継合部10Tに第1中竿12が、第1中竿の継合部12Tに第2中竿14が、第2中竿の継合部14Tに穂先竿16が、夫々並継式に継ぎ合わされている。これらの各竿杆は、炭素繊維を主体とした強化繊維がエポキシ樹脂等の合成樹脂を強化した繊維強化樹脂製である。この形態例では、元竿10のみが中空竿杆であり、他は中実杆であり、各継合部12T,14T近傍のみを中空に形成している。10Gはグリップであり、16Kはリリヤン等の釣糸結着部である。全ての竿杆が中空竿杆でもよく、また、中実竿杆であって、継合部近傍のみを中空に形成していてもよく、その他、任意である。
【0007】
図2は元竿10と第1中竿12の継合部の拡大部分縦断面図である。雌型継合部10Tの繊維強化樹脂本体層10Hは、前部10TFの内径が後部10TRに対して段差状に拡径しており、この前部と後部とを合わせた継合部全体に亘って、本体層10Hの内側に低弾性炭素繊維を主たる強化繊維とする繊維強化樹脂の内側層10Nを設けている。この場合の内側層のマトリックス樹脂は、密着性のため本体層10Hと同じか、或いは同種の樹脂が好ましい。この低弾性炭素繊維の弾性率は0.5〜19ton/mm2 、好ましくは1〜16ton/mm2 、更に好ましくは1〜9ton/mm2 である。樹脂比率に関しては、内側層では本体層よりも多くするとよく、28〜60重量%程度がよい。第1中竿12の継合部12T’は一定傾斜率のテーパであり、元竿継合部10Tの(前部10TFの)先端部と後部10TRの先端部に当接し、その他の領域には当接しておらず、空隙部を有している。即ち、部分的に当接して継ぎ合わされているため、固着が防止される。
【0008】
内側層の強化繊維方向は、竿杆の軸長方向に対して概ね対称になるように、両方向から交差する傾斜方向(45±15度程度)にするとよい。従って、2枚のプリプレグを重ねたり、或いは織布を使用できる。この他、繊維方向は軸長方向でも円周方向でもよい。繊維径は5〜20ミクロン程度であると内側層10Nの竿の中心側表面が適度な凹凸になり、粗面化し易く、継合わせの信頼性が向上する。8〜16ミクロン程度が更に好ましい。
【0009】
継合部10Tの内表面、即ち、この場合は内側層10Nの中心側表面は、上記の如く段差状でもよく、また後方(手元側)に向かって狭まるテーパ状であってもよい。そのテーパ率は1.5/1000〜15/1000程度にする。また、本形態例のように内側層の厚さを一定にするのではなく、図3にも示すように、内側層の厚さを変化させてもよく、この場合、内部(手元側)程厚くする。内側層10Nの厚さは0.01〜0.1mm程度がよく、0.3mm以上は必要性に乏しい。但し、これを超えてもよい。
【0010】
以上のように構成すれば、当接面が柔軟性を有するため、ナキやガタが防止できると共に、継合せがしっくりする。また、リーマ加工によって継合部10Tの内面を加工する場合、加工が容易になる。更には、本体層と内側層とが同種の炭素繊維使用であるため、線膨張率等の相違が少なく、成形時の素材曲りや成形竿杆曲りが生じ難く、また、本体層と内側層との境界の剥離も防止が容易となる。
【0011】
上記参考例としての第1の形態例では、中空竿杆10に中実竿杆12を継合せているが、中空竿杆同士や中実竿杆同士でもよい。図3以降では中空竿杆同士の継合わせとして図示している。各形態例において特記無い事項では、第1形態例の説明が適用できる。図3では、竿杆20の雌型継合部20Tは、炭素繊維が主として軸長方向に指向した軸長方向本体層20Aと、その外側には炭素繊維等の強化繊維が主として円周方向に指向している薄い外側補強層20Bと、先部内周には炭素繊維等の強化繊維が主として円周方向に指向している内側補強層20Cとが設けられており、これらで本願の本体層20Hを構成している。各補強層は織布を使用してもよい。継合部20Tの内周の先部を除いた部位から後部に亘って、肉厚が後方に向かって漸次増加する、既述の弾性率の低弾性炭素繊維を主体の強化繊維とする内側層20Nが設けられている。強化繊維方向は主として円周方向であるが、傾斜方向でも軸長方向でもよい。
【0012】
竿杆22の雄型継合部22Tはテーパ状であり、雌型継合部20Tの内周面も同様にテーパ状であり、この本発明に係る形態例としての第2形態例では、継合部のほぼ全体に亘って当接している。前記外側補強層20Bは継合部20Tの裂け防止の補強用であり、内側補強層20Cは内側層20Nに比較して高弾性な炭素繊維の使用であり、継合せた際の口部を硬く固定でき、抜け難くなる。内側層20Nの存在によって継合せ状態をソフトな感じにできる。加工性が良いこと等は第1形態例と同様である。
【0013】
図4は、竿杆30の雌型継合部30Tに、竿杆32の雄型継合部32Tを挿入継合せしている第2の参考例としての第3形態例である。雌型継合部30Tは、炭素繊維が主として軸長方向に指向した軸長方向本体層30Aと、その外側に、ほぼ継合部全体に亘って設けられ、強化繊維が主として円周方向に指向している外側補強層30Bとで本体層30Hを構成しており、内側には既述の低弾性炭素繊維の内側層30Nがほぼ継合部全長に亘って設けられている。雌型継合部30Tの内面はストレートであり、雄型継合部32Tもストレートである。継合せの全長に亘って低弾性な層30Nと当接するため、継合せ感が非常にソフトである他は既述の形態例と同様の作用効果である。
【0014】
図5は、竿杆40の雌型継合部40Tに、竿杆42の雄型継合部42Tを挿入継合せしている第3の参考例としての第4形態例である。雌型継合部40Tは、炭素繊維が主として軸長方向に指向した本体層40Hを有し、内側には既述の低弾性炭素繊維の内側層40Nが継合部前部に設けられている。雌型継合部40Tの内面は、前部40TFがストレートであり、その後部40TRはテーパ状である。雄型継合部42Tはテーパ状であるため、継合部40Tの前部40TFの前端部と後部40TRの途中部との2個所で当接し、中間部に隙間が生じている。従って、この第4形態例では、継合部は部分的に当接し、前側がソフトで、後側が硬い感じになる他、固着が防止できる。内面の加工性が良い等他の作用効果は他の形態例と同様である。
【0015】
図6は、竿杆50の雌型継合部50Tに、竿杆52の雄型継合部52Tを挿入継合せしている第4の参考例としての第5形態例である。雌型継合部50Tは、炭素繊維が主として軸長方向に指向した軸長方向本体層50Aと、その外側前部に強化繊維が主として円周方向に指向している外側補強層50Bと、中間部であって、ほぼ継合部全体に亘って設けられ、強化繊維が主として傾斜方向に指向している中間補強層50Cとで本体層50Hを構成しており、内側には既述の低弾性炭素繊維の内側層50Nがほぼ継合部全長に亘って設けられている。
【0016】
この場合、内側層の低弾性炭素繊維の指向方向は、主として円周方向であるが傾斜方向でもよく、軸長方向でもよい。外側補強層の強化繊維は主として円周方向指向であり、中間補強層の強化繊維は、竿杆の軸長方向に対して概ね対称になるように、両方向から交差する傾斜方向(45±15度程度)にする。雌型継合部50Tの内面はストレートであり、雄型継合部52Tもストレートである。継合せの全長に亘って低弾性層50Nと当接するため、継合せ感が非常にソフトである他は、既述の形態例と同様の作用効果である。中間補強層50Cの強化繊維方向は主として円周方向でもよい。また、外側補強層50Bの強化繊維を、上記中間補強層の如き傾斜方向にしてもよい。
【0017】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、加工性を良くすると共に、素材曲りや成形竿杆変形を防止できる釣竿が提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る釣竿の第1の参考例としての側面図である。
【図2】 図2は図1の要部拡大部分縦断面図である。
【図3】 図3は本発明に係る例としての第2形態例の図である。
【図4】 図4は第2の参考例としての第3形態例の図である。
【図5】 図5は第3の参考例としての第4形態例の図である。
【図6】 図6は第4の参考例としての第5形態例の図である。
【符号の説明】
10H,20H,30H,40H,50H 本体層
10N,20N,30N,40N,50N 内側層
10T,20T,30T,40T,50T 雌型継合部
Claims (2)
- 前後の中空竿杆同士をテーパ状の雄型継合部とテーパ状の雌型継合部とで並継式に継合わせる構造であって、炭素繊維を主たる強化繊維とする雌型継合部の繊維強化樹脂本体層は、強化繊維が主として軸長方向に指向した軸長方向本体層と、その外側に設け、強化繊維が主として円周方向に指向するか織布を使用した外側補強層と、該雌型継合部の先部内周に設け、強化繊維が主として円周方向に指向するか織布を使用した内側補強層とで形成されており、該雌型継合部の内周の先部を除いた領域に、弾性率が0.5ton/mm2〜16ton/mm2の炭素繊維を主たる強化繊維とし、前記内側補強層に比較して低弾性な炭素繊維使用の低弾性繊維強化樹脂層を設け、該層の厚さが後方に向かって漸次増加することを特徴とする釣竿。
- 前記低弾性繊維強化樹脂層の炭素繊維が軸長方向に対して概ね対称に交差するよう傾斜方向に指向している請求項1記載の釣竿。
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