JP3708758B2 - 半導体受光素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体受光素子に関し、詳しくは、キャリア発生にともなう光電流のpn接合面内における電流密度分布の不均一性が小さく、かつ、素子の出力特性を制限している入射端近傍における電流密度最高値を下げて高出力化することができる半導体受光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
高速用の半導体受光素子として用いられるpinフォトダイオードでは、光吸収層は低濃度であるため、動作電圧において完全に空乏化されており、キャリアとして発生した電子とホールが空乏層の内部電界によって加速される。しかし、ホールの速度が電子に比べて小さいため、フォトダイオードの応答速度はホールのドリフト速度によって制限される。また、高出力を得る目的で、光アンプ等によって増幅された信号光を入射した場合、キャリアの大量発生にともなって空乏層内で空間電荷効果を生じ、内部電界が変調を受けて高速応答が不安定になる。
【0003】
これに対して、光吸収層をp型層とし、近接した半導体層を光吸収層よりも広いバンドギャップを持ったn型低濃度層とすることによって、光吸収層と空乏層を分離した構造が従来技術1(特願平8−83704)に提案されている。
【0004】
この構造では、光吸収層で発生したキャリアのうち、電子のみが拡散行程でn型低濃度層に到達し、動作電圧において完全に空乏化したn型低濃度層の内部電界で加速される。また、ホールは直接p電極へ流れるため、空乏層を通過するキャリアにはならない。光吸収層と空乏層が分離され、速度が速いキャリアのみが空乏層を通過するため、高速応答が可能になるとともに、高入力時においても空間電荷効果による空乏層への影響は少なく、高入力の光でも高速応答が可能である。
【0005】
また、薄い光吸収層をもった半導体受光素子の効率を高くする方法として、光吸収層の両側に光ガイド層を設けた導波路型構造とし、光を層構造に平行に入射して高出力、高速応答および高効率特性を同時に満たす半導体受光素子が、従来技術2(特願平9−266224)に提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術1の構造では、光吸収層で発生したキャリアのうち、電子のみが拡散行程でn型低濃度層に到達し、動作電圧において完全に空乏化されたn型低濃度層の内部電界によって加速される。また、ホールは直接p電極へ流れるため、空乏層を通過するキャリアにはならない。光吸収層と空乏層が分離され、速度が速いキャリアのみが空乏層を通過するため、高速応答が可能になるとともに、高入力時においても空間電荷効果による空乏層への影響は少なく、高入力の光でも高速応答が可能である。
【0007】
しかし、この構造では電子が拡散行程で空乏層に到達する時間によってフォトダイオードの応答速度が決まるため、高速応答を可能にするためには光吸収層を薄くする必要がある。そのため、光が層構造に垂直に入射する面入射の場合は、内部量子効率の低下を引き起こし、層構造に平行に光が入射する端面入射の場合は、入射光との結合効率の低下を引き起こし、いずれの場合も高速度と効率とのトレードオフが生じ、両者を同時に満足できないという問題があった。
【0008】
また、上記従来技術2の場合、半導体受光素子では、入射された光は吸収層で指数関数的に吸収されるため、導波路型受光素子のようにpn接合に平行に光が入射した場合は、光の吸収とキャリアの発生は光の入射端近傍に集中する。そのため、キャリア発生にともなう光電流の電流密度は、pn接合面内で一様な分布を示さず、入射端近傍において電流密度の最高値を持つような不均一な分布を示す。さらに、半導体受光素子の出力特性は、光電流の電流密度によって決定されるため、入射する光のパワーを上げて高出力を得ようとすると、導波路型受光素子では入射端近傍における電流密度の最高値によって出力が制限されてしまうという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術における問題を解決し、高速かつ高出力を有する導波路型の半導体受光素子を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の半導体受光素子は、膜厚が0.2μm以下の光吸収層である第1の半導体層と、当該第1の半導体層の第1および第2の面の上にそれぞれ形成された光ガイド層である第2および第3の半導体層と、当該第2および第3の半導体層上にそれぞれ形成された光を閉じ込めるためのクラッド層である第4および第5の半導体層を少なくとも具備し、導波路内で励振される導波光の分布が二つのピークを持ち、当該二つのピークのうち、上記第1の半導体層内に存在するピークが、他の一つのピークと同等若しくは当該他の一つのピークより低くなるように、上記第2の半導体層と上記第3の半導体層の厚さが互いに異なっていることを特徴とする。
【0011】
従来の半導体受光素子の場合は、光吸収層の両側に設けられる光ガイド層は、両者の厚さが互いに等しくなるように形成されたので、両者の膜厚の差は膜形成の際における膜厚の制御精度以下であった。しかし、本発明では、光吸収層の両側に設けられる光ガイド層は、膜厚が互いに異なるように形成されるので、両者の膜厚の差は上記膜厚の制御精度より十分大きくなる。
【0012】
すなわち、本発明によれば、導波路型の半導体受光素子において、光ガイド層である第2および第3の半導体層の厚さが互いに異なるため、導波路内で励振される導波光分布の中心と光吸収層である上記第1の半導体層の位置が一致せずにずれる。そのため、光吸収とキャリアの発生が導波路の長さ方向に分散され、pn接合面内における電流密度分布の不均一性が緩和されて、入射端近傍での電流密度の最高値が低下し、高出力化が達成される。
【0013】
膜厚が0.2μm以下の光吸収層として作用する第1導電型を有する第1の半導体層と、当該第1の半導体層の一方の側に形成された上記第1導電型を有する第2の半導体層と、上記第1の半導体層の他方の側に形成された第2導電型を有する第3の半導体層と、上記第2の半導体層上に形成された上記第1導電型を有する第4の半導体層と、上記第3の半導体層上に形成された上記第2導電型を有する第5の半導体層と、上記第1の半導体層と第3の半導体層の間に当該第1および第3の半導体層に接して形成された上記第2導電型を有し、かつ上記第1および第3の半導体層よりドーピング濃度が低い第6の半導体層を有し、上記第3、第6および第2の半導体層は上記第1の半導体層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有し、上記第4および第5の半導体層はバンドギャップエネルギーが上記第3、第6および第2の半導体層よりも大きく、導波路内で励振される導波光の分布が二つのピークを持ち、当該二つのピークのうち、上記第1の半導体層内に存在するピークが他の一つのピークと同等若しくは当該他の一つのピークより低くなるように、上記第3の半導体層と上記第6の半導体層の厚さの和が、上記第2の半導体層の厚さと異なるという構成とすることができる。
【0014】
この場合、上記第3の半導体層と第6の半導体層によって下部の光ガイド層が構成され、上記第2の半導体層が上部の光ガイド層として作用する。上記第3および第6の半導体層の厚さの和が、上記第2の半導体層の厚さと異なるので、導波路内で励振される導波光分布の中心と、光吸収層である上記第1の半導体層の中心の位置が一致せずにずれる。そのため、光吸収とキャリアの発生の入射端近傍における集中は緩和されて導波路の長さ方向に分散され、pn接合面内における電流密度分布の不均一性が緩和されて、入射端近傍での電流密度の最高値が低下し、高出力化が達成される。しかも、導波路内で励振される導波光は二つのピークを有し、一方のピークは他方のピークと同等若しくは当該他方のピークより低くなるように、第3および第6の半導体層の厚さの和と、第2の半導体層の厚さは互いに異なっている。
【0016】
上記第1の半導体層の厚さが0.2μm以下であると極めて好ましい結果が得られる。すなわち、導波路構造を非対称構造にすることによって素子の高出力化が可能になるが、光吸収層である上記第1の半導体層が厚い場合は、実効的なコア層の厚さを厚くするとともに、上部光ガイド層と下部光ガイド層の厚さの差を大きくし、さらに素子の長さを長くすることが必要であり、このようにしてはじめてその効果が認められる。
【0017】
しかし、このようにすると、素子サイズが大きくなってしまうので好ましくない。このような素子サイズの増大なしに高速動作を実現するには、光吸収層の厚さを、非対称効果がより顕著に認められるようになる0.2μm以下にし、さらに導波路内で励振される導波光分布が二つのピークを持ち、光吸収層内に存在するピークがもう一つのピークと同等か、若しくは小さくなるように、上部光ガイド層と下部光ガイド層の厚さが互いに異なるようにすることが有効である。
【0018】
上記第1の半導体層の厚さを0.2μm以下にすれば顕著な効果が得られ、この厚さが薄いほど好ましいので、亀裂やピンホールなどの障害が発生せず、光吸収層として支障なく動作できる範囲内で、できるだけ薄い膜を用いるのがよい。
【0019】
導波路内で励振される導波光の分布が二つのピークを持ち、当該二つのピークのうち、上記第1の半導体層内に存在するピークが他の一つのピークと同等若しくは当該他の一つのピークより低いことが好ましい。従来は、例えば図2(b)に示したように、上記導波路内で励振される導波光の分布のピークは一般に一つであったが、本発明では第2の半導体層と第3の半導体層の厚さが互いに異なるので、導波光の分布は二つのピークを有し、しかも、一方のピークは他のピークと同等若しくは当該他の一つのピークより低い。
【0020】
【発明の実施の形態】
〈実施例1>
本発明の第1の実施例を図面を用いて詳細に説明する。本実施例の半導体受光素子は、図1(a)にその層構造を示したように、アンドープ光吸収層11の両面に、第1導電型(本実施例ではp型)を有する上部の光ガイド層12と第2導電型(本実施例ではn型)を有する下部の光ガイド層13が、それぞれ接して形成されており、上記上部および下部の光ガイド層12、13の厚さは互いに異なる。これら光吸収層11、上部の光ガイド層12および下部の光ガイド層13が、導波路構造における実効的なコア層となるので、以下、これらの層をすべて合わせたものをコア層と記す。さらにこのコア層を、第1導電型を有するクラッド層14と第2導電型を有するクラッド層15によって挟み込んで、導波路構造が形成されている。
【0021】
一方、従来の構造は、図2(a)にその層構造を示したように、光吸収層21の両面にそれぞれ接して形成された、上部の光ガイド層22と下部の光ガイド層23の層厚は均等であり、光吸収層21の中心とコア層の中心とが一致している対称構造である。そのため、図2(b)に示したように、光が入射した時に励振される導波光分布の中心は光吸収層21の中心と一致し、キャリアの発生は入射端面近傍において最も多く、しかも、導波路長さ方向におけるキャリアの発生は不均一であった。そのため、キャリア発生にともなう光電流の電流密度はpn接合面内で一様な分布を示さずに、入射端近傍において電流密度の最高値を持つような不均一な分布を示し、出力特性はこの入射端近傍における電流密度の最高値によって制限されていた。
【0022】
しかし、本実施例では、上記のように、上部の光ガイド層12と下部の光ガイド層13の膜厚が互いに異なるため、光吸収層11の中心とコア層の中心が一致せずにずれている非対称構造となっており、対称構造を有する上記従来構造とは著しく異なる。
【0023】
このように、光ガイド層を含む実効的なコア層が形成されている導波路型の半導体受光素子では、コア層内における光吸収層の位置とは無関係に、コア層の中心に光が入射された時に、結合効率は常に最も高くなる。本実施例においては、コア層の中心と光吸収層11の中心が一致せずにずれているため、結合効率が最も高くなるようにコア層の中心に光を入射すると、図1(b)に示したように、励振される導波光分布の中心は、光吸収層11の中心とずれる。導波路型受光素子では光吸収係数は光電界の光吸収層11への閉じ込め量に比例するため、図1に示した非対称構造によって、光吸収層11への閉じ込めを弱め、入射端近傍におけるキャリア発生の集中を緩和して、導波路長さ方向にキャリア発生を分散させることができる。その結果、キャリア発生にともなう光電流のpn接合面内における電流密度分布の不均一性は緩和され、素子の出力特性を制限している入射端近傍における電流密度最高値を下げて素子の出力を高くすることができた。
【0024】
図1に示した本実施例の導波路型半導体受光素子をさらに具体的に説明する。上記光吸収層11としてはアンドープのInGaAs層、上部の光ガイド層12としてp−InGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)層、下部の光ガイド層13としてはn−InGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)層、クラッド層14としてはp−InP層、第2導電型クラッド層15としてはn−InP基板をそれぞれ用いた。図1において、符号16はp−InGaAsコンタクト層、17はオーミックp電極、18はオーミックn電極をそれぞれ表わす。
【0025】
また、図2において、符号21はアンドープのInGaAs層からなる光吸収層、22はp−InGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)層からなる光ガイド層、23はn−InGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)層からなる光ガイド層、24はクラッド層となるp−InP層、25は下部クラッド層となるn−InP基板、26はp−InGaAsコンタクト層、27はオーミックp電極、28はオーミックn電極をそれぞれ表わす。
【0026】
上記光吸収層11の厚さを0.1μm、上部の光ガイド層12の厚さを0.3μm、下部の光ガイド層13の厚さを1.7μmに、それぞれした時の導波路長さに対する効率をビーム伝搬法によって求め、その結果から、導波路長さ30μmの素子で、20mAの光電流が得られる時の導波路長さ方向に対する電流密度分布を求め、得られた結果を図3に示した。
【0027】
図3において、実線31は図1に示した本実施例の非対称導波路構造における計算結果を示す。点線32は図2にで示した従来の対称型導波路構造において、InGaAs層からなる光吸収層21の厚さを0.1μm、p−InGaAsP(バンドギャップ波長;1.3μm)層からなる上部の光ガイド層22の厚さを1.0μmとし、n−InGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)層からなる下部光ガイド層23の厚さを1.0μmとしたときの結果を示している。
【0028】
両者とも光吸収層と光ガイド層を合わせたコア層の厚さは2.1μmであり、光の入射位置はいずれもコア層の中心とした。図3から明らかなように、本実施例の構造では、光吸収層11の中心がコア層の中心から0.7μmずれているため、光吸収層11での閉じ込めが弱くなり、その結果、従来の対称型導波路構造よりも、入射端近傍における光の吸収とキャリア発生の集中が緩和されて、導波路長さ方向に分散されていることが認められた。この結果から、導波路長さ30μmの素子で同じ出力を得る際に、本実施例における非対称構造の導波路型受光素子の電流密度の最高値は、図2に示した従来の対称構造の素子の最高値の1/2以下になり、はるかに高出力化できることが確認された。
【0029】
〈実施例2>
本発明の第2の実施例を図面を用いて詳細に説明する。本実施例においては、図4(a)に示したように、光吸収層41としてはp型にドーピングした膜を用い、光吸収層41の一方の面(図4では下面)に接した半導体層43として、光吸収層41よりも広いバンドギャップを持つn型の低濃度層を用い、さらに上記半導体層43に接して光吸収層41とは反対側(図4では下側)に上記半導体層43と等しいバンドギャップをもったn型の半導体層42を設けた。これにより、半導体層42と半導体層43を合わせた2層によって下部の光ガイド層を構成した。
【0030】
さらに、上記光吸収層41に接して上記半導体層43とは反対側(図4では上側)に、上記半導体層42および半導体層43と同じバンドギャップをもったp型の半導体層44を設けて、上部の光ガイド層とした。
【0031】
本実施例の素子はこのような構造を有しており、半導体層42および半導体層43の両者から構成される下部の光ガイド層の厚さと、上部の光ガイド層である半導体層44の層の厚さは亙いに異なっている。なお、光は層構造に水平に入射される。本実施例においても、上部および下部の光ガイド層を構成するすべての半導体層42、43、44と光吸収層41を合わせたものが、導波路構造における実効的なコア層となるので、以後これらの層をすべて合わせたものをコア層と記す。
【0032】
一方、従来の構造は、図5(a)にその層構造を示したように、半導体層54で構成される上部光ガイド層と、半導体層52と半導体層53で構成される下部光ガイド層と層厚が均等であり、光吸収層51の中心とコア層の中心とが一致している対称構造である。そのため、図5(b)に示したように、光を入射した時に励振される導波光分布の中心は光吸収層51の中心と一致し、入射端面近傍におけるキャリア発生が最も多く、導波路長さ方向においてキャリアの発生が不均一である。そのため、キャリア発生にともなう光電流の電流密度は、pn接合面内で一様な分布を示さず、入射端近傍において電流密度の最高値を持った不均一な分布となり、出力特性がこの入射端近傍における電流密度の最高値によって制限されていた。
【0033】
しかし、本実施例では、上記のように、半導体層44からなる上部の光ガイド層と、半導体層42と半導体層43から構成される下部の光ガイド層の厚さが、互いに異なる非対称構造を有しており、この点が上記従来構造とは著しく異なっている。
【0034】
光ガイド層を含んで実効的なコア層を形成する導波路型の半導体受光素子においては、コア層内における光吸収層の位置とは無関係に、コア層の中心に光を入射した時に、結合効率が常に最も高くなる。本実施例においては、光吸収層41の中心とコア層の中心が一致せずにずれているため、結合効率が最も高くなるようにコア層の中心に光を入射すると、図4(b)に示したように、励振される導波光分布の中心と光吸収層41の中心がずれる。導波路型受光素子の場合、光吸収係数は光電界の光吸収層41への閉じ込め量に比例する。本実施例は非対称構造を有しているため、光吸収層41への閉じ込めは低下し、入射端近傍におけるキャリア発生の集中は緩和されて、キャリア発生は導波路の長さ方向に分散される。その結果、キャリアの発生にともなう光電流のpn接合面内における電流密度分布の不均一性は緩和され、素子の出力特性を制限している入射端近傍での電流密度の最高値が低下して素子が高出力化された。
【0035】
なお、本実施例においても、光吸収層41が厚い場合は、それにともなって実効的なコア層厚を厚く、さらに半導体層42と半導体層43を合わせた下部光ガイド層の厚さと上部光ガイド層44の厚さの差を大きくし、素子の長さを長くすることが必要である。したがって、素子サイズを大きくすることなしに高速動作を達成するためには、上記のように、非対称効果がより顕著に表われ出す、光吸収層41の厚さを0.2μm以下として、導波路内で励振される導波光分布が二つのピークを持ち、さらに光吸収層41内に存在する一方のピークが他方のピークと同等若しくは小さくなるように、半導体層42と半導体層43を合わせた下部光ガイド層の厚さと上部光ガイド層44の厚さが、互いに異なるようにするのが効果的である。
【0036】
なお、図1および図4には、光吸収層11、41の両側に光ガイド層を設けた例を示したが、上部光ガイド層12、44を除いて、下部光ガイド層のみを設けても、同様の効果が得られた。同様に、下部光ガイド層を除いて上部光ガイド層を残すようにすることもできる。しかし、このようにすると、図4に示した構造の場合は、光吸収層41の下面に接するアンドープの光ガイド層43もなくなるので、下部クラッド層となるInP層46の、光吸収層41の下面に接する面からある深さの領域をアンドープの領域とする必要がある。
【0037】
図4に示した本実施例の導波路型半導体受光素子をさらに具体的に説明する。図4(a)において、符号41はp−InGaAsからなる光吸収層、42はn−InGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)からなる光ガイド層、43はアンドープのInGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)からなる光ガイド層、44はp−InGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)からなる光ガイド層、45はp−InP層、46はn−InP層、47はp−InGaAsコンタクト層、48は半絶縁性InP基板、49Aはオーミックp電極、49Bはオーミックn電極を、それぞれ表わす。
【0038】
また、図5(a)において、符号51はp−InGaAsからなる光吸収層、52はn−InGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)からなる光ガイド層、53はアンドープのInGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)からなる光ガイド層、54はp−InGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)からなる光ガイド層、55はp−InP層、56はn−InP層、57はp−InGaAsコンタクト層、58は半絶縁性InP基板、59Aはオーミックp電極、59Bはオーミックn電極を、それぞれ表わす。
【0039】
上記光吸収層41の厚さを0.1μm、上部光ガイド層44の厚さを0.3μmとし、さらに厚さ1.5μmのn−InGaAsP(バンドギャップ波長1.3μm)層42と厚さ0.2μmのアンドープInGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)層43を合わせて厚さ1.7μmの下部光ガイド層とした時の、導波路長さに対する効率をビーム伝搬法によって求め、その結果から導波路長さ30μmの素子で20mAの光電流が得られるときの、導波路長さ方向に対する電流密度分布を求めた結果を図6に示した。図6において、実線61は図4に示した本実施例の非対称型導波路構造から得られた結果であり、点線62は図5で示した従来の対称型構造において、光吸収層51の厚さを0.1μm、上部光ガイド層54の厚さを1.0μm、厚さ0.8μmのn−InGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)52と厚さ0.2μmのアンドープInGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)53を合わせて厚さ1.0μmの下部光ガイド層としたときの結果を示している。両者ともに光吸収層と光ガイド層を合わせたコア層の厚さは2.1μm、光の入射位置ははコア層の中心とした。
【0040】
図6に示したように、本実施例で示した構造は、光吸収層41の中心がコア層の中心から0.7μmずれているため、光吸収層41での閉じ込めが弱くなり、入射端近傍における光の吸収とキャリア発生の集中が緩和されて、導波路長さ方向に分散していることが認められた。この計算結果から、導波路長さ30μmの素子で比較したところ、同じ出力を得るとき、本実施例で示した非対称構造を有する導波路型受光素子の最高値は、図5に示した対称構造を有する素子の最高値の半分以下になることがわかった。
【0041】
なお、上記実施例1、2ではInP基板を用いた例を示したが、GaAs等、他の基板を用いてもよい。また、半導体層としては、InGaAsP系の材料系を用いた例を示したが、たとえばInGaA1As系やA1GaAs系など、他の材料系の半導体層を用いても同様の効果を得ることができる。
【0042】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、導波路型受光素子の光吸収層の両側に、厚さが亙いに異なる上部および下部光ガイド層がそれぞれ設けられて非対称構造が形成されているので、対称構造を有する従来の導波路型受光素子よりも、キャリア発生にともなう光電流のpn接合面内における電流密度分布の不均一性が緩和され、素子の出力特性を制限している入射端近傍での電流密度の最高値が低下して、素子が著しく高出力化される。
【0043】
また、光吸収層としてp型半導体層を用い、光吸収層よりバンドギャップが大きいn型低濃度の半導体層を光吸収層に近接して設け、層構造に平行に光を入射する導波路型の半導体受光素子においても、両光ガイド層の厚さが互いに異なる非対称構造にすることにより、光吸収層内の閉じ込めは弱くなって、入射端近傍でのキャリア発生が集中は緩和され、従来の対称構造を有する導波路型受光素子よりも、導波路長さ方向に対してキャリアの発生が分散されて、キャリア発生にともなう光電流のpn接合面内における電流密度分布の不均一性が緩和され、入射端近傍での電流密度最高値が低下して、さらなる高出力化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を説明するための図、
【図2】対称構造を有する従来の導波路型半導体受光素子を説明するための図、
【図3】図1および図2に示した素子の特性を比較した図、
【図4】本発明の実施例2を説明するための図、
【図5】対称構造を有する従来の導波路型半導体受光素子を説明するための図、
【図6】図4および図5において示した素子の特性を比較した図。
【符号の説明】
11、21…アンドープ光吸収層、 12、22、44、54…p型光ガイド層、 13、23、42、52…n型光ガイド層、 14、24、45、55…p型InP層、 15、25…n型InP基板、 16、26、47、57…p+型コンタクト層、 17、27、49A、59A…オーミックp電極、 18、28、49B、59B…オーミックn電極、 41、51…p型光吸収層、 43、53…アンドープ光ガイド層、 46、56…n型InP層、48、58…半絶縁性InP基板、 31、61、…非対称受光素子における電流密度分布、32、62、…対称受光素子における電流密度分布。

Claims (2)

  1. 膜厚が0.2μm以下の光吸収層である第1の半導体層と、当該第1の半導体層の第1および第2の面の上にそれぞれ形成された光ガイド層である第2および第3の半導体層と、当該第2および第3の半導体層上にそれぞれ形成された光を閉じ込めるためのクラッド層である第4および第5の半導体層を少なくとも具備し、導波路内で励振される導波光の分布が二つのピークを持ち、当該二つのピークのうち、上記第1の半導体層内に存在するピークが、他の一つのピークと同等若しくは当該他の一つのピークより低くなるように、上記第2の半導体層と上記第3の半導体層厚さが互いに異なることを特徴とする半導体受光素子。
  2. 膜厚が0.2μm以下の光吸収層として作用する第1導電型を有する第1の半導体層と、当該第1の半導体層の一方の側に形成された上記第1導電型を有する第2の半導体層と、上記第1の半導体層の他方の側に形成された第2導電型を有する第3の半導体層と、上記第2の半導体層上に形成された上記第1導電型を有する第4の半導体層と、上記第3の半導体層上に形成された上記第2導電型を有する第5の半導体層と、上記第1の半導体層と第3の半導体層の間に当該第1および第3の半導体層に接して形成された上記第2導電型を有し、かつ上記第1および第3の半導体層よりドーピング濃度が低い第6の半導体層を有し、上記第3、第6および第2の半導体層は上記第1の半導体層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有し、上記第4および第5の半導体層はバンドギャップエネルギーが上記第3、第6および第2の半導体層よりも大きく、導波路内で励振される導波光の分布が二つのピークを持ち、当該二つのピークのうち、上記第1の半導体層内に存在するピークが、他の一つのピークと同等若しくは当該他の一つのピークより低くなるように、上記第3の半導体層と上記第6の半導体層の厚さの和が上記第2の半導体層の厚さと異なることを特徴とする半導体受光素子。
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