JP2001024211A - 半導体受光素子 - Google Patents

半導体受光素子

Info

Publication number
JP2001024211A
JP2001024211A JP11197272A JP19727299A JP2001024211A JP 2001024211 A JP2001024211 A JP 2001024211A JP 11197272 A JP11197272 A JP 11197272A JP 19727299 A JP19727299 A JP 19727299A JP 2001024211 A JP2001024211 A JP 2001024211A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
light
semiconductor layer
semiconductor
light receiving
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11197272A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3708758B2 (ja
Inventor
Yoshifumi Muramoto
好史 村本
Hideki Fukano
秀樹 深野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP19727299A priority Critical patent/JP3708758B2/ja
Publication of JP2001024211A publication Critical patent/JP2001024211A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3708758B2 publication Critical patent/JP3708758B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Light Receiving Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】導波路型受光素子を高出力化する。 【解決手段】導波路型受光素子の積層構造を、光吸収層
(11)に両面にそれぞれ接して形成される上部の光ガ
イド層(12)および下部の光ガイド層(13)の厚さ
が互いに異なる非対称構造とする。 【効果】入射端近傍における光の吸収とキャリア発生の
集中が緩和されて、受光素子の出力が高くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体受光素子に関
し、詳しくは、キャリア発生にともなう光電流のpn接
合面内における電流密度分布の不均一性が小さく、か
つ、素子の出力特性を制限している入射端近傍における
電流密度最高値を下げて高出力化することができる半導
体受光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】高速用の半導体受光素子として用いられ
るpinフォトダイオードでは、光吸収層は低濃度であ
るため、動作電圧において完全に空乏化されており、キ
ャリアとして発生した電子とホールが空乏層の内部電界
によって加速される。しかし、ホールの速度が電子に比
べて小さいため、フォトダイオードの応答速度はホール
のドリフト速度によって制限される。また、高出力を得
る目的で、光アンプ等によって増幅された信号光を入射
した場合、キャリアの大量発生にともなって空乏層内で
空間電荷効果を生じ、内部電界が変調を受けて高速応答
が不安定になる。
【0003】これに対して、光吸収層をp型層とし、近
接した半導体層を光吸収層よりも広いバンドギャップを
持ったn型低濃度層とすることによって、光吸収層と空
乏層を分離した構造が従来技術1(特願平8−8370
4)に提案されている。
【0004】この構造では、光吸収層で発生したキャリ
アのうち、電子のみが拡散行程でn型低濃度層に到達
し、動作電圧において完全に空乏化したn型低濃度層の
内部電界で加速される。また、ホールは直接p電極へ流
れるため、空乏層を通過するキャリアにはならない。光
吸収層と空乏層が分離され、速度が速いキャリアのみが
空乏層を通過するため、高速応答が可能になるととも
に、高入力時においても空間電荷効果による空乏層への
影響は少なく、高入力の光でも高速応答が可能である。
【0005】また、薄い光吸収層をもった半導体受光素
子の効率を高くする方法として、光吸収層の両側に光ガ
イド層を設けた導波路型構造とし、光を層構造に平行に
入射して高出力、高速応答および高効率特性を同時に満
たす半導体受光素子が、従来技術2(特願平9−266
224)に提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
1の構造では、光吸収層で発生したキャリアのうち、電
子のみが拡散行程でn型低濃度層に到達し、動作電圧に
おいて完全に空乏化されたn型低濃度層の内部電界によ
って加速される。また、ホールは直接p電極へ流れるた
め、空乏層を通過するキャリアにはならない。光吸収層
と空乏層が分離され、速度が速いキャリアのみが空乏層
を通過するため、高速応答が可能になるとともに、高入
力時においても空間電荷効果による空乏層への影響は少
なく、高入力の光でも高速応答が可能である。
【0007】しかし、この構造では電子が拡散行程で空
乏層に到達する時間によってフォトダイオードの応答速
度が決まるため、高速応答を可能にするためには光吸収
層を薄くする必要がある。そのため、光が層構造に垂直
に入射する面入射の場合は、内部量子効率の低下を引き
起こし、層構造に平行に光が入射する端面入射の場合
は、入射光との結合効率の低下を引き起こし、いずれの
場合も高速度と効率とのトレードオフが生じ、両者を同
時に満足できないという問題があった。
【0008】また、上記従来技術2の場合、半導体受光
素子では、入射された光は吸収層で指数関数的に吸収さ
れるため、導波路型受光素子のようにpn接合に平行に
光が入射した場合は、光の吸収とキャリアの発生は光の
入射端近傍に集中する。そのため、キャリア発生にとも
なう光電流の電流密度は、pn接合面内で一様な分布を
示さず、入射端近傍において電流密度の最高値を持つよ
うな不均一な分布を示す。さらに、半導体受光素子の出
力特性は、光電流の電流密度によって決定されるため、
入射する光のパワーを上げて高出力を得ようとすると、
導波路型受光素子では入射端近傍における電流密度の最
高値によって出力が制限されてしまうという問題があっ
た。
【0009】本発明の目的は、上記従来技術における問
題を解決し、高速かつ高出力を有する導波路型の半導体
受光素子を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の半導体受光素子は、光吸収層である第1の
半導体層と、当該第1の半導体層の第1および第2の面
の上にそれぞれ形成された光ガイド層である第2および
第3の半導体層と、当該第2および第3の半導体層上に
それぞれ形成された光を閉じ込めるためのクラッド層で
ある第4および第5の半導体層を少なくとも具備し、上
記第2の半導体層と上記第3の半導体層は、厚さが互い
に異ることを特徴とする。
【0011】従来の半導体受光素子の場合は、光吸収層
の両側に設けられる光ガイド層は、両者の厚さが互いに
等しくなるように形成されたので、両者の膜厚の差は膜
形成の際における膜厚の制御精度以下であった。しか
し、本発明では、光吸収層の両側に設けられる光ガイド
層は、膜厚が互いに異なるように形成されるので、両者
の膜厚の差は上記膜厚の制御精度より十分大きくなる。
【0012】すなわち、本発明によれば、導波路型の半
導体受光素子において、光ガイド層である第2および第
3の半導体層の厚さが互いに異なるため、導波路内で励
振される導波光分布の中心と光吸収層である上記第1の
半導体層の位置が一致せずにずれる。そのため、光吸収
とキャリアの発生が導波路の長さ方向に分散され、pn
接合面内における電流密度分布の不均一性が緩和され
て、入射端近傍での電流密度の最高値が低下し、高出力
化が達成される。
【0013】また、光吸収層として作用する第1導電型
を有する第1の半導体層と、当該第1の半導体層の一方
の側に形成された上記第1導電型を有する第2の半導体
層と、上記第1の半導体層の他方の側に形成された第2
導電型を有する第3の半導体層と、上記第2の半導体層
上に形成された上記第1導電型を有する第4の半導体層
と、上記第3の半導体層上に形成された上記第2導電型
を有する第5の半導体層と、上記第1の半導体層と第3
の半導体層の間に当該第1および第3の半導体層に接し
て形成された上記第2導電型を有し、かつ上記第1およ
び第3の半導体層よりドーピング濃度が低い第6の半導
体層を有し、上記第3、第6および第2の半導体層は上
記第1の半導体層よりも大きなバンドギャップエネルギ
ーを有し、上記第4および第5の半導体層はバンドギャ
ップエネルギーが上記第3、第6および第2の半導体層
よりも大きく、上記第3の半導体層と上記第6の半導体
層の厚さの和が上記第2の半導体層の厚さと異なるとい
う構成とすることができる。
【0014】この場合、上記第3の半導体層と第6の半
導体層によって下部の光ガイド層が構成され、上記第2
の半導体層が上部の光ガイド層として作用する。上記第
3および第6の半導体層の厚さの和が、上記第2の半導
体層の厚さと異なるので、導波路内で励振される導波光
分布の中心と、光吸収層である上記第1の半導体層の中
心の位置が一致せずにずれる。そのため、光吸収とキャ
リアの発生の入射端近傍における集中は緩和されて導波
路の長さ方向に分散され、pn接合面内における電流密
度分布の不均一性が緩和されて、入射端近傍での電流密
度の最高値が低下し、高出力化が達成される。
【0015】また、少なくとも上記第4の半導体層から
上記第1の半導体層まで、若しくは上記第5の半導体層
から上記第1の半導体層までを、メサ形状に加工するこ
とができる。このようにメサ形状とすることによって、
実用上極めて好ましい素子が得られる。
【0016】上記第1の半導体層の厚さが0.2μm以
下であると極めて好ましい結果が得られる。すなわち、
導波路構造を非対称構造にすることによって素子の高出
力化が可能になるが、光吸収層である上記第1の半導体
層が厚い場合は、実効的なコア層の厚さを厚くするとと
もに、上部光ガイド層と下部光ガイド層の厚さの差を大
きくし、さらに素子の長さを長くすることが必要であ
り、このようにしてはじめてその効果が認められる。
【0017】しかし、このようにすると、素子サイズが
大きくなってしまうので好ましくない。このような素子
サイズの増大なしに高速動作を実現するには、光吸収層
の厚さを、非対称効果がより顕著に認められるようにな
る0.2μm以下にし、さらに導波路内で励振される導
波光分布が二つのピークを持ち、光吸収層内に存在する
ピークがもう一つのピークと同等か、若しくは小さくな
るように、上部光ガイド層と下部光ガイド層の厚さが互
いに異なるようにすることが有効である。
【0018】上記第1の半導体層の厚さを0.2μm以
下にすれば顕著な効果が得られ、この厚さが薄いほど好
ましいので、亀裂やピンホールなどの障害が発生せず、
光吸収層として支障なく動作できる範囲内で、できるだ
け薄い膜を用いるのがよい。
【0019】導波路内で励振される導波光の分布が二つ
のピークを持ち、当該二つのピークのうち、上記第1の
半導体層内に存在するピークが他の一つのピークと同等
若しくは当該他の一つのピークより低いことが好まし
い。従来は、例えば図2(b)に示したように、上記導
波路内で励振される導波光の分布のピークは一般に一つ
であったが、本発明では第2の半導体層と第3の半導体
層の厚さが互いに異なるので、導波光の分布は二つのピ
ークを有し、しかも、一方のピークは他のピークと同等
若しくは当該他の一つのピークより低い。
【0020】
【発明の実施の形態】〈実施例1>本発明の第1の実施
例を図面を用いて詳細に説明する。本実施例の半導体受
光素子は、図1(a)にその層構造を示したように、ア
ンドープ光吸収層11の両面に、第1導電型(本実施例
ではp型)を有する上部の光ガイド層12と第2導電型
(本実施例ではn型)を有する下部の光ガイド層13
が、それぞれ接して形成されており、上記上部および下
部の光ガイド層12、13の厚さは互いに異なる。これ
ら光吸収層11、上部の光ガイド層12および下部の光
ガイド層13が、導波路構造における実効的なコア層と
なるので、以下、これらの層をすべて合わせたものをコ
ア層と記す。さらにこのコア層を、第1導電型を有する
クラッド層14と第2導電型を有するクラッド層15に
よって挟み込んで、導波路構造が形成されている。
【0021】一方、従来の構造は、図2(a)にその層
構造を示したように、光吸収層21の両面にそれぞれ接
して形成された、上部の光ガイド層22と下部の光ガイ
ド層23の層厚は均等であり、光吸収層21の中心とコ
ア層の中心とが一致している対称構造である。そのた
め、図2(b)に示したように、光が入射した時に励振
される導波光分布の中心は光吸収層21の中心と一致
し、キャリアの発生は入射端面近傍において最も多く、
しかも、導波路長さ方向におけるキャリアの発生は不均
一であった。そのため、キャリア発生にともなう光電流
の電流密度はpn接合面内で一様な分布を示さずに、入
射端近傍において電流密度の最高値を持つような不均一
な分布を示し、出力特性はこの入射端近傍における電流
密度の最高値によって制限されていた。
【0022】しかし、本実施例では、上記のように、上
部の光ガイド層12と下部の光ガイド層13の膜厚が互
いに異なるため、光吸収層11の中心とコア層の中心が
一致せずにずれている非対称構造となっており、対称構
造を有する上記従来構造とは著しく異なる。
【0023】このように、光ガイド層を含む実効的なコ
ア層が形成されている導波路型の半導体受光素子では、
コア層内における光吸収層の位置とは無関係に、コア層
の中心に光が入射された時に、結合効率は常に最も高く
なる。本実施例においては、コア層の中心と光吸収層1
1の中心が一致せずにずれているため、結合効率が最も
高くなるようにコア層の中心に光を入射すると、図1
(b)に示したように、励振される導波光分布の中心
は、光吸収層11の中心とずれる。導波路型受光素子で
は光吸収係数は光電界の光吸収層11への閉じ込め量に
比例するため、図1に示した非対称構造によって、光吸
収層11への閉じ込めを弱め、入射端近傍におけるキャ
リア発生の集中を緩和して、導波路長さ方向にキャリア
発生を分散させることができる。その結果、キャリア発
生にともなう光電流のpn接合面内における電流密度分
布の不均一性は緩和され、素子の出力特性を制限してい
る入射端近傍における電流密度最高値を下げて素子の出
力を高くすることができた。
【0024】図1に示した本実施例の導波路型半導体受
光素子をさらに具体的に説明する。上記光吸収層11と
してはアンドーブのInGaAs層、上部の光ガイド層
12としてp−InGaAsP(バンドギャップ波長:
1.3μm)層、下部の光ガイド層13としてはn−I
nGaAsP(バンドギャソブ波長:11.3μm)
層、クラッド層14としてはp−InP層、第2導電型
クラッド層15としてはn−InP基板をそれぞれ用い
た。図1において、符号16はp+−InGaAsコン
タクト層、17はオーミックp電極、18はオーミック
n電極をそれぞれ表わす。
【0025】また、図2において、符号21はアンドー
ブのInGaAs層からなる光吸収層、22はp−In
GaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)層から
なる光ガイド層、23はn−InGaAsP(バンドギ
ャソブ波長:11.3μm)層からなる光ガイド層、2
4はクラッド層となるp−InP層、25は下部クラッ
ド層となるn−InP基板、26はp+−InGaAs
コンタクト層、27はオーミックp電極、28はオーミ
ックn電極をそれぞれ表わす。
【0026】上記光吸収層11の厚さを0.1μm、上
部の光ガイド層12の厚さを0.3μm、下部の光ガイ
ド層13の厚さを1.7μmに、それぞれした時の導波
路長さに対する効率をビーム伝搬法によって求め、その
結果から、導波路長さ30μmの素子で、20mAの光
電流が得られる時の導波路長さ方向に対する電流密度分
布を求め、得られた結果を図3に示した。
【0027】図3において、実線31は図1に示した本
実施例の非対称導波路構造における計算結果を示す。点
線32は図2にで示した従来の対称型導波路構造におい
て、InGaAs層からなる光吸収層21の厚さを0.
1μm、p−InGaAsP(バンドギャップ波長;
1.3μm)層からなる上部の光ガイド層22の厚さを
1.0μmとし、n−InGaAsP(バンドギャップ
波長:1.3μm)層からなる下部光ガイド層23の厚
さを1.0μmとしたときの結果を示している。
【0028】両者とも光吸収層と光ガイド層を合わせた
コア層の厚さは2.1μmであり、光の入射位置はいず
れもコア層の中心とした。図3から明らかなように、本
実施例の構造では、光吸収層11の中心がコア層の中心
から0.7μmずれているため、光吸収層11での閉じ
込めが弱くなり、その結果、従来の対称型導波路構造よ
りも、入射端近傍における光の吸収とキャリア発生の集
中が緩和されて、導波路長さ方向に分散されていること
が認められた。この結果から、導波路長さ30μmの素
子で同じ出力を得る際に、本実施例における非対称構造
の導波路型受光素子の電流密度の最高値は、図2に示し
た従来の対称構造の素子の最高値の1/2以下になり、
はるかに高出力化できることが確認された。
【0029】〈実施例2>本発明の第2の実施例を図面
を用いて詳細に説明する。本実施例においては、図4
(a)に示したように、光吸収層41としてはp型にド
ーピングした膜を用い、光吸収層41の一方の面(図4
では下面)に接した半導体層43として、光吸収層41
よりも広いバンドギャップを持つn型の低濃度層を用
い、さらに上記半導体層43に接して光吸収層41とは
反対側(図4では下側)に上記半導体層43と等しいバ
ンドギャップをもったn型の半導体層42を設けた。こ
れにより、半導体層42と半導体層43を合わせた2層
によって下部の光ガイド層を構成した。
【0030】さらに、上記光吸収層41に接して上記半
導体層43とは反対側(図4では上側)に、上記半導体
層42および半導体層43と同じバンドギャップをもっ
たp型の半導体層44を設けて、上部の光ガイド層とし
た。
【0031】本実施例の素子はこのような構造を有して
おり、半導体層42および半導体層43の両者から構成
される下部の光ガイド層の厚さと、上部の光ガイド層で
ある半導体層44の層の厚さは亙いに異なっている。な
お、光は層構造に水平に入射される。本実施例において
も、上部および下部の光ガイド層を構成するすべての半
導体層42、43、44と光吸収層41を合わせたもの
が、導波路構造における実効的なコア層となるので、以
後これらの層をすべて合わせたものをコア層と記す。
【0032】一方、従来の構造は、図5(a)にその層
構造を示したように、半導体層54で構成される上部光
ガイド層と、半導体層52と半導体層53で構成される
下部光ガイド層と層厚が均等であり、光吸収層51の中
心とコア層の中心とが一致している対称構造である。そ
のため、図5(b)に示したように、光を入射した時に
励振される導波光分布の中心は光吸収層51の中心と一
致し、入射端面近傍におけるキャリア発生が最も多く、
導波路長さ方向においてキャリアの発生が不均一であ
る。そのため、キャリア発生にともなう光電流の電流密
度は、pn接合面内で一様な分布を示さず、入射端近傍
において電流密度の最高値を持った不均一な分布とな
り、出力特性がこの入射端近傍における電流密度の最高
値によって制限されていた。
【0033】しかし、本実施例では、上記のように、半
導体層44からなる上部の光ガイド層と、半導体層42
と半導体層43から構成される下部の光ガイド層の厚さ
が、互いに異なる非対称構造を有しており、この点が上
記従来構造とは著しく異なっている。
【0034】光ガイド層を含んで実効的なコア層を形成
する導波路型の半導体受光素子においては、コア層内に
おける光吸収層の位置とは無関係に、コア層の中心に光
を入射した時に、結合効率が常に最も高くなる。本実施
例においては、光吸収層41の中心とコア層の中心が一
致せずにずれているため、結合効率が最も高くなるよう
にコア層の中心に光を入射すると、図4(b)に示した
ように、励振される導波光分布の中心と光吸収層41の
中心がずれる。導波路型受光素子の場合、光吸収係数は
光電界の光吸収層41への閉じ込め量に比例する。本実
施例は非対称構造を有しているため、光吸収層41への
閉じ込めは低下し、入射端近傍におけるキャリア発生の
集中は緩和されて、キャリア発生は導波路の長さ方向に
分散される。その結果、キャリアの発生にともなう光電
流のpn接合面内における電流密度分布の不均一性は緩
和され、素子の出力特性を制限している入射端近傍での
電流密度の最高値が低下して素子が高出力化された。
【0035】なお、本実施例においても、光吸収層41
が厚い場合は、それにともなって実効的なコア層厚を厚
く、さらに半導体層42と半導体層43を合わせた下部
光ガイド層の厚さと上部光ガイド層44の厚さの差を大
きくし、素子の長さを長くすることが必要である。した
がって、素子サイズを大きくすることなしに高速動作を
達成するためには、上記のように、非対称効果がより顕
著に表われ出す、光吸収層41の厚さを0.2μm以下
として、導波路内で励振される導波光分布が二つのピー
クを持ち、さらに光吸収層41内に存在する一方のピー
クが他方のピークと同等若しくは小さくなるように、半
導体層42と半導体層43を合わせた下部光ガイド層の
厚さと上部光ガイド層44の厚さが、互いに異なるよう
にするのが効果的である。
【0036】なお、図1および図4には、光吸収層1
1、41の両側に光ガイド層を設けた例を示したが、上
部光ガイド層12、44を除いて、下部光ガイド層のみ
を設けても、同様の効果が得られた。同様に、下部光ガ
イド層を除いて上部光ガイド層を残すようにすることも
できる。しかし、このようにすると、図4に示した構造
の場合は、光吸収層41の下面に接するアンドープの光
ガイド層43もなくなるので、下部クラッド層となるI
nP層46の、光吸収層41の下面に接する面からある
深さの領域をアンドープの領域とする必要がある。
【0037】図4に示した本実施例の導波路型半導体受
光素子をさらに具体的に説明する。図4(a)におい
て、符号41はp−InGaAsからなる光吸収層、4
2はn−InGaAsP(バンドギャップ波長:11.
3μm)からなる光ガイド層、43はアンドープのIn
GaAsP(バンドギャップ波長:1.3μm)からな
る光ガイド層、44はp−InGaAsP(バンドギャ
ップ波長:1.3μm)からなる光ガイド層、45はp
−InP層、46はn−InP層、47はp+−InG
aAsコンタクト層、48は半絶縁性InP基板、49
Aはオーミックp電極、49Bはオーミックn電極を、
それぞれ表わす。
【0038】また、図5(a)において、符号51はp
−InGaAsからなる光吸収層、52はn−InGa
AsP(バンドギャップ波長11.3μm)からなる光
ガイド層、53はアンドープのInGaAsP(バンド
ギャップ波長:1.3μm)からなる光ガイド層、54
はp−InGaAsP(バンドギャップ波長:1.3μ
m)からなる光ガイド層、55はp−InP層、56は
n−InP層、57はp+−InGaAsコンタクト
層、58は半絶縁性InP基板、59Aはオーミックp
電極、59Bはオーミックn電極を、それぞれ表わす。
【0039】上記光吸収層41の厚さを0.1μm、上
部光ガイド層44の厚さを0.3μmとし、さらに厚さ
1.5μmのn−InGaAsP(バンドギャップ波長
11.3μm)層42と厚さ0.2μmのアンドープI
nGaAsP(バンドギャップ波長;1.3μm)層4
3を合わせて厚さ1.7μmの下部光ガイド層とした時
の、導波路長さに対する効率をビーム伝搬法によって求
め、その結果から導波路長さ30μmの素子で20mA
の光電流が得られるときの、導波路長さ方向に対する電
流密度分布を求めた結果を図6に示した。図6におい
て、実線61は図4に示した本実施例の非対称型導波路
構造から得られた結果であり、点線62は図5で示した
従来の対称型構造において、光吸収層51の厚さを0.
1μm、上部光ガイド層54の厚さを1.0μm、厚さ
0.8μmのn−InGaAsP(バンドギャップ波
長:1.3μm)52と厚さ0.2μmのアンドープI
nGaAsP(バンドギャップ波長11.3μm)53
を合わせて厚さ1.0μmの下部光ガイド層としたとき
の結果を示している。両者ともに光吸収層と光ガイド層
を合わせたコア層の厚さは2.1μm、光の入射位置は
コア層の中心とした。
【0040】図6に示したように、本実施例で示した構
造は、光吸収層41の中心がコア層の中心から0.7μ
mずれているため、光吸収層41での閉じ込めが弱くな
り、入射端近傍における光の吸収とキャリア発生の集中
が緩和されて、導波路長さ方向に分散していることが認
められた。この計算結果から、導波路長さ30μmの素
子で比較したところ、同じ出力を得るとき、本実施例で
示した非対称構造を有する導波路型受光素子の最高値
は、図5に示した対称構造を有する素子の最高値の半分
以下になることがわかった。
【0041】なお、上記実施例1、2ではInP基板を
用いた例を示したが、GaAs等、他の基板を用いても
よい。また、半導体層としては、InGaAsP系の材
料系を用いた例を示したが、たとえばInGaA1As
系やA1GaAs系など、他の材料系の半導体層を用い
ても同様の効果を得ることができる。
【0042】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、導波路型受光素子の光吸収層の両側に、厚さが亙
いに異なる上部および下部光ガイド層がそれぞれ設けら
れて非対称構造が形成されているので、対称構造を有す
る従来の導波路型受光素子よりも、キャリア発生にとも
なう光電流のpn接合面内における電流密度分布の不均
一性が緩和され、素子の出力特性を制限している入射端
近傍での電流密度の最高値が低下して、素子が著しく高
出力化される。
【0043】また、光吸収層としてp型半導体層を用
い、光吸収層よりバンドギャップが大きいn型低濃度の
半導体層を光吸収層に近接して設け、層構造に平行に光
を入射する導波路型の半導体受光素子においても、両光
ガイド層の厚さが互いに異なる非対称構造にすることに
より、光吸収層内の閉じ込めは弱くなって、入射端近傍
でのキャリア発生が集中は緩和され、従来の対称構造を
有する導波路型受光素子よりも、導波路長さ方向に対し
てキャリアの発生が分散されて、キャリア発生にともな
う光電流のpn接合面内における電流密度分布の不均一
性が緩和され、入射端近傍での電流密度最高値が低下し
て、さらなる高出力化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を説明するための図、
【図2】対称構造を有する従来の導波路型半導体受光素
子を説明するための図、
【図3】図1および図2に示した素子の特性を比較した
図、
【図4】本発明の実施例2を説明するための図、
【図5】対称構造を有する従来の導波路型半導体受光素
子を説明するための図、
【図6】図4および図5において示した素子の特性を比
較した図。
【符号の説明】
11、21…アンドープ光吸収層、 12、22、4
4、54…p型光ガイド層、 13、23、42、52
…n型光ガイド層、 14、24、45、55…p型I
nP層、 15、25…n型InP基板、 16、2
6、47、57…p+型コンタクト層、 17、27、
49A、59A…オーミックp電極、 18、28、4
9B、59B…オーミックn電極、 41、51…p型
光吸収層、43、53…アンドープ光ガイド層、 4
6、56…n型InP層、48、58…半絶縁性InP
基板、 31、61、…非対称受光素子における電流密
度分布、32、62、…対称受光素子における電流密度
分布。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光吸収層である第1の半導体層と、当該第
    1の半導体層の第1および第2の面の上にそれぞれ形成
    された光ガイド層である第2および第3の半導体層と、
    当該第2および第3の半導体層上にそれぞれ形成された
    光を閉じ込めるためのクラッド層である第4および第5
    の半導体層を少なくとも具備し、上記第2の半導体層と
    上記第3の半導体層は、厚さが互いに異なることを特徴
    とする半導体受光素子。
  2. 【請求項2】光吸収層として作用する第1導電型を有す
    る第1の半導体層と、当該第1の半導体層の一方の側に
    形成された上記第1導電型を有する第2の半導体層と、
    上記第1の半導体層の他方の側に形成された第2導電型
    を有する第3の半導体層と、上記第2の半導体層上に形
    成された上記第1導電型を有する第4の半導体層と、上
    記第3の半導体層上に形成された上記第2導電型を有す
    る第5の半導体層と、上記第1の半導体層と第3の半導
    体層の間に当該第1および第3の半導体層に接して形成
    された上記第2導電型を有し、かつ上記第1および第3
    の半導体層よりドーピング濃度が低い第6の半導体層を
    有し、上記第3、第6および第2の半導体層は上記第1
    の半導体層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有
    し、上記第4および第5の半導体層はバンドギャップエ
    ネルギーが上記第3、第6および第2の半導体層よりも
    大きく、上記第3の半導体層と上記第6の半導体層の厚
    さの和が上記第2の半導体層の厚さと異なることを特徴
    とする半導体受光素子。
  3. 【請求項3】少なくとも上記第4の半導体層から上記第
    1の半導体層まで、若しくは上記第5の半導体層から上
    記第1の半導体層までがメサ形状に加工されていること
    を特徴とする請求項2に記載の半導体受光素子。
  4. 【請求項4】上記第1の半導体層の厚さが0.2μm以
    下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一
    に記載の半導体受光素子。
  5. 【請求項5】導波路内で励振される導波光の分布が二つ
    のピークを持ち、当該二つのピークのうち、上記第1の
    半導体層内に存在するピークが他の一つのピークと同等
    若しくは当該他の一つのピークより低いことを特徴とす
    る請求項1乃至4のいずれか一に記載の半導体受光素
    子。
JP19727299A 1999-07-12 1999-07-12 半導体受光素子 Expired - Fee Related JP3708758B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19727299A JP3708758B2 (ja) 1999-07-12 1999-07-12 半導体受光素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19727299A JP3708758B2 (ja) 1999-07-12 1999-07-12 半導体受光素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001024211A true JP2001024211A (ja) 2001-01-26
JP3708758B2 JP3708758B2 (ja) 2005-10-19

Family

ID=16371717

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19727299A Expired - Fee Related JP3708758B2 (ja) 1999-07-12 1999-07-12 半導体受光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3708758B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005072273A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 Mitsubishi Electric Corp 導波路型受光素子
JPWO2005060010A1 (ja) * 2003-12-18 2007-07-12 日本電気株式会社 受光素子およびそれを用いた光受信機
CN111668329A (zh) * 2020-06-22 2020-09-15 三明学院 一种新型光电探测器
CN114171614A (zh) * 2021-12-06 2022-03-11 苏州旭创科技有限公司 光电探测器

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005072273A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 Mitsubishi Electric Corp 導波路型受光素子
US7031587B2 (en) 2003-08-25 2006-04-18 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Waveguide type photoreceptor device with particular thickness ratio
JPWO2005060010A1 (ja) * 2003-12-18 2007-07-12 日本電気株式会社 受光素子およびそれを用いた光受信機
CN111668329A (zh) * 2020-06-22 2020-09-15 三明学院 一种新型光电探测器
CN111668329B (zh) * 2020-06-22 2022-04-05 三明学院 一种光电探测器
CN114171614A (zh) * 2021-12-06 2022-03-11 苏州旭创科技有限公司 光电探测器

Also Published As

Publication number Publication date
JP3708758B2 (ja) 2005-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH11163458A (ja) 半導体レーザ装置
JP2008135786A (ja) 高出力半導体レーザダイオード
KR960005580B1 (ko) 반도체장치
GB2111743A (en) Semiconductor laser
EP0780030B1 (en) High power laser diode
US6999638B2 (en) Semiconductor waveguide device
US5912475A (en) Optical semiconductor device with InP
US6646317B2 (en) High power photodiode
US4665527A (en) Distributed feedback semiconductor laser
US6947461B2 (en) Semiconductor laser device
JP3708758B2 (ja) 半導体受光素子
JPS61164287A (ja) 半導体レ−ザ
JP2012227330A (ja) フォトダイオード
JP2965139B2 (ja) 導波路型半導体受光素子
JP3688909B2 (ja) 半導体受光素子
US4434491A (en) Semiconductor laser
JP3831707B2 (ja) 入射光を光吸収層内で繰り返し伝搬させる半導体受光素子及びその製造方法
JPH11112013A (ja) 半導体受光素子
JP3739273B2 (ja) 半導体光検出器
JP7501819B1 (ja) 半導体光集積素子
JP4278985B2 (ja) 光電子放射源装置の効率を改善させる方法および装置
JP2605911B2 (ja) 光変調器及び光検出器
JPS6237833B2 (ja)
JPH10125948A (ja) 半導体受光素子及びその作製用のマスク
JP2000150950A (ja) 導波路型受光素子

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041018

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050302

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050804

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080812

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090812

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090812

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100812

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100812

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110812

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120812

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130812

Year of fee payment: 8

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees