JP3706808B2 - ブランケット固定装置及びブランケット固定方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブランケットを印刷胴に巻き付けて固定する印刷機におけるブランケット固定装置及びブランケットの固定方法に関し、特に、非伸縮性のブランケットを精度良くかつ容易に固定することができるブランケット固定装置及びブランケットの固定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
新聞の印刷を行う輪転機等の印刷機においては、印刷胴(ブランケット胴)に装着されたゴム製のブランケットが、回転しながら版胴から転写されたインキを走行紙に転写することによって、印刷を行っている。
【0003】
従来のブランケットは、基材(ベース)となる布,クッション層及びゴム層等によって構成されており、印刷胴の回転に伴う遠心力により、位置ずれや弛みなどを起こさないように、円周方向にあらかじめ張力を与えた状態で、印刷胴に装着される。
【0004】
このため、印刷機は、印刷胴の表面に加工された溝幅が約15mm〜20mmの溝の中に、ブランケット固定装置を設けた構成としてあり、このブランケット固定装置によって、ブランケットは、あらかじめ一定の張力で張られた状態で印刷胴に装着される。
ところが、印刷胴に形成された前記溝は、印刷時の主な振動発生源であり、印刷スピードの向上や紙面品質の向上の障害になっている。すなわち、印刷胴は、溝の部分が版胴に向き合った位置にあるときには印圧を受けず、これ以外の位置にあるときは印圧を受け、回転数に応じた周期で外力が作用する。このため、印刷胴を高速で回転させると、バウンド(振動)や騒音が大きくなる場合があった。
【0005】
また、走行紙は、印刷胴通過の前と後で張力が異なっており、印刷胴の印圧により、前と後における走行紙の張力のバランスが保たれている。
しかし、走行紙は、印刷胴の溝の部分に位置するとき、印圧を受けないので、印刷胴の回転数に応じた周期で、一時的に印圧が抜けることとなり、バランスが保たれているべき張力関係に変動が発生し、走行紙のテンションが不安定化する。
【0006】
また、一般的に、新聞印刷機における全巾新聞印刷機(4頁巾輪転機)は、印刷胴のバウンドを抑えるために、溝の長さを半分にし、位相を変えて設けてある。
このため、走行紙は、印刷胴のニップ部分に溝が位置すると、全巾の走行紙に対して、半分の巾が非接触となり、残りの半巾が印刷胴の印圧でグリップされた状態となる。このように、一枚の紙の各半巾における張力条件が異なると、巾方向の位置変動を引き起こす場合がある。
なお、共通圧胴を使用せずに、ブランケット胴とブランケット胴による多色印刷を行う場合、上記のように一枚の紙の各半巾における張力条件が異なると、色見当精度に悪影響を与える場合がある。
【0007】
そこで、このような問題を解決するために、印刷胴に溝を持たないギャップレス方式の技術や、溝幅を極端に狭くしたミニギャップ(ナローギャップ)方式の技術が開発され実用化されている。
ギャップレス方式は、予め筒状に形成したブランケットを、印刷胴に差し込むものであり、使用されるブランケットは、スリーブブランケットとも呼ばれ、金属製の筒状の形状としてあり、表面にブランケット機能を備えている。
しかし、このギャップレス方式は、筒状のブランケットを差し込むとき、胴を片側のみで支持する必要があり、機構上、巾が4頁かつ周長が2頁(4頁巾2頁周長)のサイズの胴を使用する、全巾新聞印刷機においては、適用が困難である。
【0008】
また、ミニギャップ方式には、クランプバー式と刺し込み式がある。
クランプバー式は、印刷胴に、刺し込み溝とブランケット端クランプバー用の溝とクランプバーとを設け、印刷胴両端面側に、クランプバーの操作機構が配設してあり、クランプバー又はクランプバーに配設されたスプリングなどを介して、非伸縮性ブランケットの先行端と後行端を溝壁面に押しつけることにより固定する技術である。
しかし、クランプバー式は、印刷胴のクランプ機構を収めるための溝加工が複雑となり、また、クランプバーの交換が容易にできないといった短所がある。
【0009】
また、刺し込み式は、図7に示すように、印刷胴105に設けられた溝102に、ブランケット104の先行端143と後行端144を刺し込み、先行端143および後行端144を、溝102に係止させて固定する技術である。
なお、このブランケット104は、ブランケット本体142をゴム製とし、ベース材141をステンレスなどの金属製としてあるので、ベース材141により非伸縮性の特性を有している。また、先行端143と後行端144は、溝102への挿入部は、ベース材141のみからなる構成としてある。
【0010】
ブランケット104が非伸縮性のため、作業者は、ブランケット104を印刷胴105に装着する際、ブランケット104に張力を与えなくてもよく、かつ、先行端143と後行端144が、挿入性に優れたベース材141のみからなる構成としてあるので、ブランケット104を容易に装着することができる。
なお、このブランケットは、張力が作用していないので、変形しにくく、非伸縮性ブランケット(適宜、ブランケットと略称する。)と呼ばれている。
【0011】
この技術は、印刷胴105に形成される溝102が単純な形状となり、また、工具を使用しなくても、ブランケット104を装着することができるといった利点を有する技術である。なお、溝巾を狭く形成することができるので、印刷時における印刷胴のショックが小さくなり、全巾新聞印刷機の印刷胴に対しても、一本の溝を形成することができる。
ところが、上記刺し込み式においては、非伸縮性のブランケットの先行端と後行端を溝に挿入するために、あらかじめ、先行端と後行端を、角度および寸法の精度を厳守して折り曲げる必要がる。
【0012】
つまり、先行端の折り曲げ位置と後行端の折り曲げ位置との距離(適宜、折り曲げ距離と略称する。)が、印刷胴の外周距離より長いと、ブランケットが印刷胴にゆるく巻きつく状態となり、ブランケットを胴表面に確実に固定できない。また、印刷胴の外周距離より短いと、折り曲げ部が印刷胴の表面に出てしまい、印圧により折り曲げ部が押し伸ばされ、折り曲げ部のベース材が破損する。
なお、「外周距離」とは、印刷胴の円周距離から溝が形成された円弧距離を引いた距離をいうものとする。
【0013】
ところで、上記折り曲げ距離の許容誤差は、印刷胴の外径や回転数によって異なるが、通常、極めて微小であり、許容誤差から外れて折り曲げられると、このブランケットは不良品となってしまい、再度、新品のブランケットの折り曲げ加工をやりなおさなげればならないといった問題があった。また、折り曲げ加工に失敗したブランケットに対して、再利用するために再度の折り曲げ加工を行うと、折り曲げ部の機械的強度が低下し、後述する使用可能時間がさらに短くなるといった問題があった。
【0014】
また、ベース材は、弾性を保持できる時間に限界があり、ブランケットの使用可能時間が短いといった問題があった。
つまり、ブランケットは、先行端および後行端が、溝に挿入されて係止されているだけなので、回転中に印圧(インキを紙に写すための圧力)が表面を移動すると、先行端と後行端の折り曲げ部が印圧によって変形し、長時間使用すると、この変形によってブランケットを固定できなくなるといった、使用可能時間に関する問題があった。
【0015】
また、ブランケットの先行端と後行端は、溝への挿入性を改善するために、ブランケット本体が取り除かれてベース材が露出しており、ブランケット本体と露出したベース材との境界において、ブランケット本体がベース材から剥がれやすくなるといった問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、印刷胴に形成した溝による悪影響を可能な限り低減することができ、かつ、全巾新聞印刷機にも適用することが可能なブランケット固定装置とその方法及びブランケットであって、上記したクランプバー方式や刺し込み方式のような欠点のないブランケット固定装置及びブランケット固定方法の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のブランケット固定装置は、ブランケットを印刷胴に巻き付けるブランケットと、前記印刷胴に形成され、前記ブランケットの先行端と後行端が挿入される挿入溝と、前記ブランケットの先行端と後行端が挿入された挿入溝に圧入され、前記ブランケットの先行端と後行端を、前記挿入溝の壁面に押しつけて固定するための圧入体を有するブランケット固定装置であって、前記圧入体が、ワイヤと、このワイヤを被覆する弾性部材で形成された構成としてある。
【0018】
このようにすると、圧入体によって、ブランケットの先行端と後行端が挿入溝の壁面に押し付けられて固定されるので、挿入溝の幅を可能な限り狭くすることができる。また、圧入体を挿入溝に圧入する際に、ブランケットの先行端と後行端とを挿入溝内に引き込むので、ブランケットの折り曲げ加工に多少の誤差があっても、ブランケットを印刷胴にしっかりと巻き付けることができ、折り曲げ加工の許容誤差を大きくすることができる。また、回転中の振動や遠心力などによって、後行端の折り曲げ部が、印刷胴表面より浮き上がる、または、溝から抜けるということもなく、使用可能時間も延ばすことができる。
【0019】
特に、圧入体を、ワイヤと、このワイヤを被覆する弾性部材で形成すると、被覆部材の部分が弾性を有し、ワイヤの部分が機械的強度を有する構成とすることができる。
【0020】
また、本発明のブランケット固定装置は、前記圧入体における弾性部材が、前記挿入溝に挿入される第一の部分と、この第一の部分と一体に形成され、前記第一の部分が前記挿入溝に挿入されたときに前記ブランケット表面と同一の周面上に位置して擬似ブランケット面となる第二の部分を有する構成としてある。
【0021】
このようにすると、弾性体と一体に形成された擬似ブランケット面が見かけ上印刷胴から溝を無くして、紙粉やインキ等の溝への侵入を防止することができる。
【0022】
また、疑似ブランケット面の内側が中実構造となるので、疑似ブランケット面が、容易に移動しなくなり、より高い印圧に耐えることができる。
【0023】
また、本発明のブラケット固定装置は、前記圧入体のワイヤの端部に、前記挿入溝から前記圧入体を取り外すための取手を設けた構成としてある。
【0024】
このようにすると、ブランケットを取り外す際に、取手を使用して容易に圧入体を取り外すことができる。
【0025】
また、取手は、ワイヤの端部に形成してあるので、圧入体を確実に取り外すことができる。
【0026】
上記目的を達成するため、本発明のブランケット固定方法は、ブランケットを印刷胴に巻き付けて固定する印刷機におけるブランケット固定方法であって、前記ブランケットの先行端と後行端を前記印刷胴に形成された挿入溝に挿入し、前記挿入溝に、ワイヤ及びこのワイヤを被覆する弾性部材で形成された圧入体を、複数圧入して、これら複数の圧入体で前記ブランケットの先行端と後行端を前記挿入溝の壁面に押しつけて固定し、前記複数の圧入体のうち前記挿入溝の開口側に位置する圧入体における弾性部材を、前記挿入溝に挿入される第一の部分と第二の部分で形成し、前記第一の部分を前記挿入溝に挿入したときに前記第二の部分を前記ブランケット表面と同一の周面上に位置させて擬似ブランケット面とする方法としてある。
【0027】
このようにすると、ブランケットの先行端と後行端を、ワイヤと弾性部材からなる複数の圧入体によって、より強固に固定することができる。
【0028】
また、擬似ブランケット面が見かけ上印刷胴から溝を無くして、紙粉やインキ等の溝への侵入を防止することができる。
【0029】
さらに、疑似ブランケット面の内側が中実構造となるので、疑似ブランケット面が、容易に移動しなくなり、より高い印圧に耐えることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のブランケット固定装置の第一実施形態,第二実施形態及び各応用例について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
図1は、本発明のブランケット固定装置の第一実施形態にかかり、ブランケット固定装置の構造を説明するための概略拡大断面図を示している。
同図において、ブランケット固定装置1は、印刷胴(ブランケット胴)5の表面に形成された挿入溝2と、この挿入溝2に圧入される圧入体3とからなっている。そして、挿入溝2に圧入体3を圧入することで、ブランケット4を印刷胴5に固定する。
【0031】
ブランケット4は、金属板から形成されたブランケットベース41と、このブランケットベース41上に形成されたゴム製のブランケット本体42とからなっている。
ブランケット4は、印刷胴5が図中の矢印方向に回転したときに、初めに印刷を開始する側の先行端43および最後に印刷を行う後行端44が、ブランケット本体42の形成されていない、すなわち、ブランケットベース41のみからなる構成としてある。
【0032】
印刷胴5の表面に形成された挿入溝2は、印刷胴5の回転軸線と同方向(図1の紙面に直交する方向)に延びている。また、挿入溝2は、印刷胴5の表面に直交する軸線に対して、回転方向の反対側に延びるように形成された溝としてある。
なお、本発明では、印刷胴5に形成した溝による悪影響をきわめて小さく抑制することができるので、印刷機が全巾新聞印刷機の場合でも、印刷胴5の一端から他端まで延びる連続した一本の挿入溝2としてもよい。
【0033】
また、挿入溝2は、印刷胴5の円周方向の幅が、ブランケット4の先行端43と後行端44の厚さの合計より広く、かつ、先行端43および後行端44の厚さと後述する圧入体3の直径の合計より狭くなるように形成してある。
このようにすると、挿入溝2に、先行端43と後行端44を挿入し、さらに、圧入体3を先行端43と後行端44の間に圧入することで、圧入体3が弾性変形し、この弾性力によって、先行端43と後行端44を挿入溝2の壁面に押し付けて固定することができる。
【0034】
圧入体3は、挿入溝2に挿入された先行端43と後行端44の間に圧入され、ブランケット4の先行端43と後行端44を挿入溝3の壁面に押しつけて固定する部材である。
圧入体3は、ブランケット4の先行端43と後行端44が挿入された挿入溝2に圧入される際に、先行端43と後行端44を挿入溝2に引き込む作用をする。そのため、ブランケット4の折り曲げ加工、すなわち、先行端43と後行端44を、角度および寸法の精度を厳守して折り曲げる加工を、精度良く行う必要性が低減され、折り曲げ加工の許容誤差を大きくすることができる。
【0035】
すなわち、ブランケット4の先行端43側の折り曲げ位置から後行端44側の折り曲げ位置までの距離が印刷胴5の外周距離よりも多少長くても、圧入体3が後行端44を挿入溝2に引き込むか、あるいは、圧入体3が先行端43と後行端44を強制的に挿入溝2内に引き込むので、印刷胴5の外周面にブランケット4をぴったりと合わせることができる。
【0036】
また、先行端43および後行端44は、圧入体3により、挿入溝2の壁面に押し付けられた状態で固定されているので、回転中の振動や遠心力などによって、後行端44の折り曲げ部が、印刷胴表面より浮き上がったり、溝から抜けるといった不具合を防止するとともに、先行端43および後行端44の固定状態を長時間維持することができる。
【0037】
弾性を有する圧入体3としては、金属,ゴム又は樹脂などを使用することができる。弾性係数が大きいほど、圧入体3を挿入溝2に圧入する際に大きな力が必要となるが、その分、先行端43と後行端44を強固に挿入溝2の壁面に押し付けてブランケット4を固定することができる。圧入体3の弾性力の大きさは、印刷胴5の直径、回転数及び挿入溝2内における先行端43と後行端44の間の幅寸法等に応じて、圧入体3を形成する材料,形状及び大きさにより自由に設定することができる。
【0038】
また、圧入体3の形状は、その弾性によって先行端43と後行端44を挿入溝2の壁面に押し付けることができるものであれば、特に限定されない。例えば、図2に示すように、円柱形状(a),角柱形状(b),円筒形状(c),角形筒状(d),断面V字形の棒状(e)など、様々な形状とすることができる。
【0039】
さらに、この実施形態のように、ブランケット4の先行端43と後行端44にブランケット本体42が形成されていない場合は、圧入体3を、図2(f)に示すように、金属からなるワイヤ31と、このワイヤ31を被覆する被覆樹脂32とから構成してもよい。このようにすると、圧入体3は、被覆樹脂32の部分が弾性を有し、ワイヤ31の部分が機械的強度を有するようにすることができる。
【0040】
[第二実施形態]
図3は、本発明のブランケット固定装置の第二実施形態にかかり、ブランケット固定装置の構造を説明するための概略拡大断面図を示している。
なお、この第二実施形態のブランケット固定装置において、上記第一実施形態のブランケット固定装置と同一部位,同一部材には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0041】
このブランケット4は、挿入溝2に挿入される先行端43及び後行端44を含めて、ブランケットベース41の全体にブランケット本体42が形成されている。
このようにすると、ブランケット面が、挿入溝2の内部にまで形成されることとなるので、図1に示す先行端43および後行端44、特に、ブランケットベース41からなる先行端43とブランケット本体42の境界において、ブランケット本体42がブランケットベース41から剥離しやすいといった不具合を効果的に防止することができる。
【0042】
また、この実施形態では、ブランケット4の先行端及び後行端が弾性を有しているので、圧入体として、弾性の小さい金属製のワイヤ31を用いるとよく、このようにすると、圧入体の挿入隙間を小さくすることができるので、ブランケット本体42が挿入溝2に挿入されることによる溝巾の増加を低減することができる。
さらに好ましくは、図4に示すように、後行端をブランケットベース41のみからなる構成とするとよく、このようにすると、挿入溝2の溝巾をより狭くすることができるとともに、図1に示す先行端43のブランケット本体42がブランケットベース41から剥離しやすいといった不具合を効果的に防止することができる。
【0043】
<応用例>
次に、本発明のブランケット固定装置の第一実施形態における応用例にかかるブランケット固定装置を、図5を参照しながら説明する。
この応用例においても、上記第一実施形態のブランケット固定装置と同一部位,同一部材には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
この実施形態では、ブランケット4の先行端43と後行端44の間に形成される空間部6に挿入される擬似ブランケット面33を有する構成としてある。具体的には、図5に示すように、圧入体3aを、疑似ブランケット面33が形成された第一の部分3bと、ワイヤ31を核とする樹脂等で形成された第二の部分3cで構成する。
【0044】
第二の部分3cが挿入溝2内に圧入されて、その弾性力で先行端43と後行端44を挿入溝2の壁面に押し付けて固定する。そして、第二の部分3cが挿入溝2内に圧入されたときに、第一の部分3bの疑似ブランケット面33が、ブランケット本体42の表面(ブランケット表面)と同一の周面上に位置し、印刷胴5から挿入溝2を見かけ上無くす。これによって、紙粉やインキ等の挿入溝2内への侵入を無くすことができる。
【0045】
なお、ブランケット本体42側に第一の部分3bと係合する係合部を設けたり、第一の部分3b又は第二の部分3cの被覆樹脂32が空間部6を埋めつくすとよく、このようにすると、疑似ブランケット面33の内側が中実構造となるので、疑似ブランケット面33が、容易に移動しなくなり、より高い印圧に耐えることができる。
【0046】
この第三の実施形態では、圧入体3aの他に、別構成の圧入体3を挿入溝2に圧入してある。このように、複数の圧入体3,3aを挿入溝2の深さ方向に圧入することで、ブランケット4をより強固に固定することができるとともに、固定に必要な弾性力を各圧入体3,3aで分担させることができる。例えば、この第三の実施形態では、圧入体3によるブランケット4の固定力(弾性力)を大きくし、圧入体3aを挿入溝2に挿入しやすくするとよい。
また、印刷胴5の回転数が高く、大きな弾性力で先行端43と後行端44を固定する必要があるときは、ほぼ同じ大きさの弾性力を有する複数の圧入体を挿入溝2に圧入するとよい。
【0047】
<圧入体の応用例>
次に、本発明の圧入体の応用例にかかるブランケット固定装置を、図6を参照しながら説明する。この実施形態では、圧入体の両端に取手を形成している。具体的には、図6に示すように、円筒状の圧入体3dの貫通孔にワイヤ31を通し、その両端に取手34を形成している。取手34は印刷胴5の両端面に開口する挿入溝2から突出するようにするとよく、このようにすることで、取手34を使用して、圧入体3bを容易に取り外すことができる。
【0048】
本発明の好適なブランケット固定装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態により限定されるものではない。
例えば、圧入体の紐状のものとしてもよく、このようにすることで、圧入体の挿入溝2への圧入及び挿入溝2からの取り外しを容易に行うことができるようになる。ここで「紐状」のものとしては、上記の実施形態で説明したワイヤの他,繊維で形成されたものや電線などが含まれる。
【0049】
[ブランケット固定方法の実施形態]
また、本発明は、ブランケット固定方法としても有効であり、この方法は、図1に示すように、ブランケット4を印刷胴5に巻き付けて固定する印刷機におけるブランケット固定方法であって、ブランケット4の先行端43と後行端44を印刷胴5に形成された挿入溝2に挿入し、挿入溝2に弾性部材で形成された圧入体3を圧入して、この圧入体3でブランケット4の先行端43と後行端44を挿入溝2の壁面に押しつけて固定した方法である。
【0050】
この方法によれば、圧入体3を挿入溝2に圧入する際に、ブランケット4の先行端43と後行端44を挿入溝2内に引き込み、壁面に押し付けて固定するので、挿入溝2の幅を可能な限り狭くすることができる。
また、圧入体3を挿入溝2に圧入する際に、ブランケット4の先行端43と後行端44とを挿入溝2内に引き込むので、ブランケット4の折り曲げ加工の許容誤差を大きくすることができ、印刷胴5に形成する挿入溝2の幅も小さくすることができる。また、上述したように、ブランケット4の使用可能時間も延ばすことができる。
【0051】
また、好ましくは、図5に示すように、圧入体3aに擬似ブランケット面33を設け、この疑似ブランケット面33がブランケット表面と同一の面内に位置するように、ブランケット4の先行端43と後行端44の間の空間部に疑似ブランケット面33を挿入した方法とするとよく、このようにすると、擬似ブランケット面33が見かけ上印刷胴から溝を無くして、紙粉やインキ等の挿入溝2内への侵入を無くすことができる。
【0052】
また、挿入溝2に、同図に示すように、圧入体3,3aを複数圧入した方法とするとよく、このようにすると、ブランケットの先行端43と後行端44を、より強固に固定することができる。
【0053】
[ブランケットの実施形態]
また、本発明は、ブランケットとしても有効であり、このブランケットは、図3又は図4に示すように、印刷機における印刷胴5に形成された挿入溝2と、この挿入溝に挿入される圧入体3とを有するブランケット固定装置によって、印刷胴5に巻き付けて固定されるブランケット4であって、挿入溝2に挿入され、圧入体3により挿入溝2の壁面に押しつけられる、ブランケット4の先行端及び/又は後行端が、ブランケット本体42とブランケットベース41とで構成してある。
【0054】
このようにすると、先行端及び/又は後行端において、ブランケット本体42の弾性力を使用することで、圧入体3の弾性を少なく、または、不要にできる。また、ブランケット本体42とベース材41との境界が、印刷胴5表面に露出しないので、ブランケット本体42がベース材41から剥がれやすくなるといった従来例における問題を解決することができる。
【0055】
なお、本発明に係るブランケット固定装置において、弾性を有する部材で形成された圧入体を有するブランケット固定装置,ブランケットの先行端及び/又は後行端を、ブランケット本体とブランケットベースとで構成したブランケット固定装置,擬似ブランケット面を有するブランケット固定装置,疑似ブランケット面を有する圧入体が、先行端と後行端の間の空間部を埋めるように挿入溝に圧入されたブランケット固定装置,挿入溝に複数個の圧入体を圧入したブランケット固定装置,圧入体に挿入溝から圧入体を取り外すための取手を設けたブランケット固定装置,及び,圧入体を紐状の部材で形成したブランケット固定装置は、それぞれ単独で実施することができるとともに、これらの組み合わせとしても実施することができ、それぞれの効果を発揮することができることは勿論である。また、ブランケット固定装置として説明したが、ブランケット固定方法としても、同様の効果を発揮できる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のブランケット固定装置及びブランケット固定方法によれば、印刷胴に形成されたブランケットを固定するための溝に起因する悪影響を、ワイヤと、このワイヤを被覆する弾性部材で形成された簡単な構成のブランケット固定装置で大幅に低減することができる。また、挿入溝に圧入体を圧入してブランケットを固定するようにしているので、ブランケットの折り曲げ加工の許容誤差を大きくすることができ、かつ、使用可能時間を延ばすことができる。また、擬似ブランケット面を有するようにすることで、印刷面の溝を見かけ状無くすことができ、前記の悪影響をさらに大幅に低減又は無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブランケット固定装置の第一実施形態にかかり、ブランケット固定装置の構造を説明するための概略拡大断面図を示している。
【図2】本発明のブランケット固定装置における圧入体の形態を説明するための概略拡大斜視図を示している。
【図3】本発明のブランケット固定装置の第二実施形態にかかり、ブランケット固定装置の構造を説明するための概略拡大断面図を示している。
【図4】本発明のブランケット固定装置の第二実施形態における応用例にかかり、ブランケット固定装置の構造を説明するための概略拡大断面図を示している。
【図5】本発明のブランケット固定装置の第一実施形態における応用例にかかり、ブランケット固定装置の構造を説明するための概略拡大断面図を示している。
【図6】本発明の圧入体の応用例にかかり、取手を設けた圧入体の概略拡大斜視図を示している。
【図7】図7は、従来例のブランケット固定装置の構造を説明するための概略拡大断面図を示している。
【符号の説明】
1 ブランケット固定装置
2 挿入溝
3,3a,3d 圧入体
3b 第一の部分
3c 第二の部分
4 ブランケット
5 印刷胴
6 空間部
31 ワイヤ
32 被覆樹脂
33 擬似ブランケット面
34 取手
41 ブランケットベース
42 ブランケット本体
43 先行端
44 後行端
102 溝
104 ブランケット
105 印刷胴
141 ベース材
142 ブランケット本体
143 先行端
144 後行端

Claims (4)

  1. ブランケットを印刷胴に巻き付けるブランケットと、前記印刷胴に形成され、前記ブランケットの先行端と後行端が挿入される挿入溝と、前記ブランケットの先行端と後行端が挿入された挿入溝に圧入され、前記ブランケットの先行端と後行端を、前記挿入溝の壁面に押しつけて固定するための圧入体を有するブランケット固定装置であって、
    前記圧入体が、ワイヤと、このワイヤを被覆する弾性部材で形成されていることを特徴とするブランケット固定装置。
  2. 前記圧入体における弾性部材が、前記挿入溝に挿入される第一の部分と、この第一の部分と一体に形成され、前記第一の部分が前記挿入溝に挿入されたときに前記ブランケット表面と同一の周面上に位置して擬似ブランケット面となる第二の部分を有することを特徴とする請求項1に記載のブランケット固定装置。
  3. 前記圧入体のワイヤの端部に、前記挿入溝から前記圧入体を取り外すための取手を設けたことを特徴とする請求項1に記載のブランケット固定装置。
  4. ブランケットを印刷胴に巻き付けて固定する印刷機におけるブランケット固定方法であって、
    前記ブランケットの先行端と後行端を前記印刷胴に形成された挿入溝に挿入し、
    前記挿入溝に、ワイヤ及びこのワイヤを被覆する弾性部材で形成された圧入体を、複数圧入して、これら複数の圧入体で前記ブランケットの先行端と後行端を前記挿入溝の壁面に押しつけて固定し、
    前記複数の圧入体のうち前記挿入溝の開口側に位置する圧入体における弾性部材を、前記挿入溝に挿入される第一の部分と第二の部分で形成し、前記第一の部分を前記挿入溝に挿入したときに前記第二の部分を前記ブランケット表面と同一の周面上に位置させて擬似ブランケット面とすることを特徴とするブランケット固定方法。
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