JPH09309278A - ゴムブランケットおよびブランケット胴 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動および騒音の発生の少ないブランケット
胴を提供する。 【解決手段】 シリンダ１２の外周に軸方向に延びるス
リット１７を形成する。シリンダ１２の外周に巻付けら
れるゴムブランケット３０のゴム層３１長さをシリンダ
１２の円周方向長さに等しくする。ゴム層３１の裏面に
変形可能なベースプレート３２を長さ方向に位置をずら
して固定する。ベースプレート３２の両端に一対の係合
片３３ａ、３３ｂを形成し、一方の係合片３３ａをスリ
ット１７に係合してシリンダ１２の外周にベースプレー
ト３２を巻付け、残りの係合片３３ｂをスリット１７に
差し込む。ゴム層３１の巻終り側端部をその裏面に予め
設けた粘着剤層を介してベースプレート３２の巻始め端
部上に接着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、オフセット印刷
に用いられるゴムブランケットおよびブランケット胴に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、オフセット印刷機においては、
版胴の周囲に取付けられた刷版のインキ像をブランケッ
ト胴に転写し、そのブランケット胴のインキ像を走行紙
に転写させるようにしている。

【０００３】上記オフセット印刷機に用いられるブラン
ケット胴は、シリンダの外周にゴムブランケットを巻付
けている。ゴムブランケットの取付けにシリンダ内部に
組込まれた巻締め装置により巻締める方法が知られてい
る。

【０００４】図６はゴムブランケットの巻締め装置の従
来例を示す。この巻締め装置は、シリンダ１の外周に巻
付けたゴムブランケット２の両端部をシリンダ１の外周
に形成された軸方向の溝３内に挿入し、その溝３内に挿
入されたＴバー４をゴムブランケット２の両端部に取付
けられたバー状の止め金具５に係合し、上記Ｔバー４を
貫通する締付ボルト６を溝３の底部に設けられたねじ孔
７にねじ係合し、その締付ボルト６の締付けによりＴバ
ー４をシリンダ１の半径方向内方に移動させてゴムブラ
ンケット２を締付けるようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、図６に示す
従来のブランケット胴においては、シリンダ１の外周に
形成された溝２は、Ｔバー４を余裕をもって挿入するこ
とができるだけの溝幅を必要とするため、シリンダ１の
外周に巻付けられたゴムブランケット２の両端部間に間
隙Ｌが生じる。

【０００６】このため、上記ブランケット胴を用いた印
刷機においては、上記間隙Ｌが版胴あるいは圧胴に対向
する際に印圧が抜け、版胴あるいは圧胴から離れると印
圧が入り、その印圧が入るときの衝撃によって振動、騒
音が発生し、あるいは走行紙にテンションが作用して裂
け、印刷の品質にも悪影響を与えていた。

【０００７】このような不都合を解消するため、チュー
ブ状のゴムブランケットをシリンダに対して着脱自在に
取付けたブランケット胴が提案されているが、印刷機の
フレームにゴムブランケットを抜き差しするための窓を
形成する必要であるため、フレームの強度が低下し、ま
た、ゴムブランケットの取り替え時、シリンダの支持が
片持ちになるため、シリンダを支持する軸受部に偏荷重
が作用し、印刷幅の大きい大型の印刷機には採用するこ
とができない。

【０００８】この発明の課題は、振動および騒音の発生
が少なく、大型の印刷機にも採用することができるゴム
ブランケットおよびブランケット胴を提供することであ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、第１の発明においては、シリンダの外周に着脱自
在に取付けられるゴムブランケットにおいて、前記シリ
ンダの円周方向長さに等しい長さを有する平板状ゴム層
の裏面に、そのゴム層と略同じ長さの円筒形に変形可能
な薄肉厚のベースプレートを上記ゴム層の長さ方向に位
置をずらして固着し、上記ベースプレートの前記シリン
ダ外周に対する巻始めと巻終りの両端にシリンダの外周
に形成されたスリットに対して係合可能な係合片を設
け、上記ゴム層のベースプレートより突出する巻終り側
端部の裏面に粘着剤層を設け、その粘着剤層の表面に離
型紙を接着した構成を採用している。

【００１０】第２の発明においては、上記第１の発明に
係るゴムブランケットをシリンダの外周に巻付けてベー
スプレートの両端の係合片をシリンダの外周に形成され
たスリットに係合し、前記離型紙の剥離によって表面に
露出する粘着剤層を介してゴム層の巻終り端部をベース
プレートの巻始め端部の表面上に接着した構成を採用し
ている。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
１乃至図５に基づいて説明する。

【００１２】図１および図３に示すように、ブランケッ
ト胴１１は、シリンダ１２と、そのシリンダ１２の外周
に取付けられるゴムブランケット３０とから成る。

【００１３】シリンダ１２の外周には軸方向に延びる凹
部１４が形成されている。凹部１４内に嵌合された一対
のブロック体１５、１６はボルトの締付けによりシリン
ダ１２に固定されている。

【００１４】一対のブロック体１５、１６の対向面にお
ける外径側には内方向に突出する突出部１５ａ、１６ｂ
が設けられ、その突出部１５ａ、１６ａの対向部間にシ
リンダ１２の軸方向に延びるスリット１７が形成されて
いる。また、一対のブロック体１５、１６間には上記ス
リット１７に連通してカム収納空間１８が設けられてい
る。

【００１５】ここで、スリット１７の幅寸法は小さく、
１ｍｍ程度とされている。また、スリット１７は、その
開口とシリンダ１２の中心を結ぶ直線に対してシリンダ
１２の印刷時における回転方向（図１の矢印方向）の後
行側に傾斜している。

【００１６】カム収納空間１８は、上記スリット１７に
沿って長く延び、その両端は一対のブロック体１５、１
６間に取付けた中間ブロック１９によって閉塞されてい
る。カム収納空間１８内に組込まれたカム軸２０の両端
部は上記中間ブロック１９によって回転自在に支持され
ている。カム軸２０は、円筒状押圧面２０ａと、平坦な
非押圧面２０ｂとを有し、上記押圧面２０ａをスリット
１７と対向させると、その押圧面２０ａとスリット１７
の側面間に後記するベースプレートの２倍の厚みより小
さい間隙が形成される。一方、非押圧面２０ｂをスリッ
ト１７と対向させると、その非押圧面２０ｂとスリット
１７の側面間にスリット１７の幅寸法より大きい間隙が
形成される。

【００１７】上記カム軸２０のシリンダ１２の端面から
外方に突出する端部にはレバー２１が取付けられてい
る。レバー２１の先端部には挿入孔２２が挿入され、そ
の挿入孔２２に抜き差し自在に挿入されたロックボルト
２３はシリンダ１２の端面に固定したナット部材２４に
ねじ係合可能とされ、上記ロックボルト２３を締付けて
レバー２１を固定すると、カム軸２０は押圧面２０ａが
スリット１７内に突出する状態で固定される。

【００１８】図４および図５に示すように、ゴムブラン
ケット３０は平板状のゴム層３１を有する。このゴム層
３１の長さはシリンダ１２の円周方向長さと等しくされ
ている。ゴム層３１の裏面には円筒形に変形可能な薄肉
厚のベースプレート３２が接着による手段等を介して固
定され、そのベースプレート３２の前後両端に前記スリ
ット１７に対して係合可能な係合片３３ａ、３３ｂが設
けられている。

【００１９】ベースプレート３２とゴム層３１とは長さ
方向に位置がずれ、ベースプレート３２をシリンダ１２
の外周に巻付ける際の巻始め側端部がゴム層３１の先端
より露出している。一方、ゴム層３１の巻終り側端部
は、ベースプレート３２の巻終り側端部より露出してい
る。ゴム層３１の巻終り側端部の裏面には粘着剤層３４
が形成され、その粘着剤層３４に離型紙３５が接着され
ている。

【００２０】実施の形態で示すブランケット胴は上記の
構成から成り、ゴムブランケット３０の取付けに際して
は、ベースプレート３２の巻始め側端部の係合片３３ａ
をシリンダ１２に設けられたスリット１７に係合し、シ
リンダ１２の外周にベースプレート３２を巻付けて巻終
り側端部の係合片３３ｂをスリット１７に挿入する。そ
して、ゴム層３１の巻終り側端部の離型紙３５を剥し、
その巻終り側端部をベースプレート３２の巻始め側端部
上に接着する。

【００２１】また、カム軸２０を回転し、円筒状押圧面
２０ａとスリット１７の側面とで一対の係合片３３ａ、
３３ｂを挟持して抜け止めし、かつロックボルト２３の
締付けによりカム軸２０をロックする。

【００２２】上記のようなゴムブランケット３０の取付
けにおいて、そのゴム層３１はシリンダ１２の円周方向
長さに等しい長さを有するため、ゴム層３１は両端が互
に衝合する取付けとされる。

【００２３】このため、上記ブランケット胴を用いる印
刷機においては、ブランケット胴と版胴および圧胴とは
常に一定のニップ圧をもって回転することになり、振
動、騒音の発生がきわめて少なく、高速印刷が可能であ
ると共に、品質の優れた印刷物を得ることができる。

【００２４】なお、ゴムブランケット３０の交換に際し
ては、ゴム層３１の巻終り側端部をベースプレート３２
の接着面から剥し、あるいはスリット１７に沿ってカッ
ターを走らせてゴム層３１を切断し、カム軸２０の非押
圧面２０ｂをスリット１７に対向させた状態でスリット
１７から係合片３３ａ、３３ｂを引き抜き、新しいゴム
ブランケット３０を前記同様の要領でもってシリンダ１
２の外周に取付ける。

【００２５】

【発明の効果】以上のように、この発明においては、シ
リンダの外周に巻付けたゴムブランケットを両端が密着
する取付けとすることができるため、印刷時における振
動・騒音の発生を軽減させることができる。

【００２６】また、振動の発生が少ないため、高速印刷
が可能であると共に、品質の優れた印刷が可能であり、
しかも、シリンダの外周にゴムブランケットを巻付ける
取付けであるため、大型の印刷機にも採用することがで
きる。

【００２７】さらに、スリットに対する係合片の差し込
みと、ゴム層の巻付けおよび巻終り端部の接着によって
ゴムブランケットを取付けることができるため、ゴムブ
ランケットの取付けがきわめて簡単であり、大型の印刷
機にも採用することができる。

【００２８】また、カム軸によってベースプレートの両
端の係合片をスリットの側面とで挟持するようにしたの
で、ゴムブランケットをきわめて安定よく取付けること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るブランケット胴の要部を示す断
面図

【図２】同上の一部切欠正面図

【図３】同上の断面図

【図４】同上のゴムブランケットの斜視図

【図５】同上のゴムブランケットの一部分を示す斜視図

【図６】従来のブランケット胴を示す断面図

【符号の説明】

１１ ブランケット胴 １２ シリンダ １７ スリット １８ カム収納空間 ２０ カム軸 ２５ ベースプレート ２６ａ、２６ｂ 係合片 ２７ 粘着剤 ３０ ゴムブランケット ３１ ゴム層 ３２ ベースプレート ３３ａ、３３ｂ 係合片 ３４ 粘着剤層 ３５ 離型紙

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダの外周に着脱自在に取付けられ
   るゴムブランケットにおいて、前記シリンダの円周方向
   長さに等しい長さを有する平板状ゴム層の裏面に、その
   ゴム層と略同じ長さの円筒形に変形可能な薄肉厚のベー
   スプレートを上記ゴム層の長さ方向に位置をずらして固
   着し、上記ベースプレートの前記シリンダ外周に対する
   巻始めと巻終りの両端にシリンダの外周に形成されたス
   リットに対して係合可能な係合片を設け、上記ゴム層の
   ベースプレートより突出する巻終り側端部の裏面に粘着
   剤層を設け、その粘着剤層の表面に離型紙を接着したこ
   とを特徴とするゴムブランケット。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のゴムブランケットをシ
   リンダの外周に巻付けてベースプレートの両端の係合片
   をシリンダの外周に形成されたスリットに係合し、前記
   離型紙の剥離によって表面に露出する粘着剤層を介して
   ゴム層の巻終り端部をベースプレートの巻始め端部の表
   面上に接着したブランケット胴。
3. 【請求項３】 前記シリンダにスリットと連通するカム
   収納空間を形成し、そのカム収納空間に前記スリットに
   挿入された一対の係合片をスリットの側面に押し付ける
   締付け用カム軸を回転自在に組込んだ請求項２に記載の
   ブランケット胴。