JP3706727B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録のような画像形成方法における静電荷潜像を顕像化するための静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
トナーは、現像される静電潜像の極性に応じて、正または負の電荷を有する必要がある。
【0003】
トナーに電荷を保有せしめるためには、トナーの成分である樹脂の摩擦帯電性を利用することも出来るが、この方法ではトナーの帯電が安定しないので、濃度の立ち上がりが遅く、カブリが生じ易い。そこで、所望の摩擦帯電性をトナーに付与するために電荷制御剤を添加することが行われている。
【0004】
今日、当該技術分野で知られている電荷制御剤としては、負摩擦帯電性として、モノアゾ染料の金属錯塩、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、芳香族ジオール等の金属錯塩、酸成分を含む樹脂等が知られている。正摩擦帯電性として、ニグロシン染料、アジン染料、トリフェニルメタン系染顔料、4級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩を側鎖に有するポリマー等が知られている。
【0005】
しかしながら、これらの電荷制御剤のほとんどは、有色でありカラートナーには使えない。そして、カラートナーに適用可能な、無色、白色あるいは淡色のものは、性能的に使えないものがほとんどである。それらはハイライトの均一性が得られなかったり、耐久試験での画像濃度の変動が大きい等の欠点を有する。
【0006】
この他、電荷制御剤によっては、以下のような欠点を有する。画像濃度とカブリのバランスが取りにくい、高湿環境で、十分な画像濃度を得にくい、樹脂への分散性が悪い、保存安定性、定着性に悪影響を与える等である。
【0007】
従来、フェノールとアルデヒドの縮合物は、特開平2−201378号公報、特開昭63−38958号公報を始めとして、いくつかの提案がなされている。
【0008】
また、従来トナーに添加してきたフェノールの環状縮合物は融点が高く、有機溶媒に対する溶解性が低い。そのため、高い帯電量が得られるものの、トナー中へ分散させることが容易ではなくその性能を発揮し得ない。特に、カラートナー用の低粘度樹脂を用いた場合、分散が不十分になり、トナー飛散が生じ易くなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、均一な帯電量を有する静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、長期耐久でも潜像に忠実な画像を得続けることのできる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0011】
本発明の目的は、無色あるいは淡色の電荷制御剤を有する、色再現性の良好なカラートナーを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の構成によって達成される。
【0013】
少なくとも結着樹脂、着色剤及びナフトールあるいはその誘導体とアルデヒドのナフトール二量体縮合物を有し、該二量体縮合物が下記一般式(1)〜(4)から選ばれる少なくとも一つのナフトールユニットで構成され、連結基−CR4H−で縮合されていることを特徴とする静電荷像現像用トナーによって達成される。
【0014】
【化2】
(式中、R1及びR2は、水素、アルキル基、アリール基を表し、R2は複数個有していてもよく、R3は水素を表し、Xは連結位置を表し、−CR4H−を介し他のXへ連結し、R4は水素、アルキル基を表す。)
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
従来帯電制御剤として提案されてきたフェノール縮合物は、環状物である。これに対して本発明は、ナフトール二量体構造を有する成分からなる。
【0017】
ナフトール二量体構造を有する縮合物は、一般の結着樹脂となじみがよく分散性に優れる。この成分と結着樹脂とよく混ざることで結果的に良好な帯電性が得られる。さらに、ドット再現性に優れ、濃度一様性に優れた画像を得ることができる。
【0018】
このような縮合物を含有するトナーにおいては、高いレベルで均一な帯電量が得られる。そのため、高温高湿環境はトナー飛散の生じやすい環境であるが、ナフトール二量体の縮合物を含有することにより、トナー飛散は抑えられる。
【0019】
本発明において用いられる特定の構造を有する二量体縮合物は、ナフトール類とアルデヒド類をアルカリ性条件下で、加熱することによって得ることができる。合成、洗浄、抽出に用いることのできる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール、エーテル、ヘキサン、ジオキサン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0020】
本発明の縮合物の構造としては、一般式(1)〜(4)における置換基Rnにおいて、縮合反応を阻害しないものであれば、適用可能である。
【0021】
一般式(1)〜(4)における置換基R1では、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アリサイクリック基である場合、帯電量の高さ、帯電の立ち上がりが良好になりやすい。その中でもフェニル基、クミル基、シクロヘキシル基、アルキル基が良く、さらに好ましくはフェニル基、アルキル基を有するのが、帯電の持続性を向上させ、適度な帯電量を保持するようになり、転写、定着においても制御がしやすくなる。このことにより転写、定着での画像の乱れが低減する。
【0022】
一般式(1)〜(4)における置換基R2では、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アリサイクリック基、水素である場合、帯電量の高さ、帯電の均一性が良好になり、転写されずに回収される廃トナーの帯電量が安定し、廃トナーにまつわる種々のトラブル、特にクリーニング工程におけるトラブルを未然に防ぐことが可能である。フェニル基、アルキル基が良く、さらに好ましくはアルキル基であるものが分散性が向上し、安定した帯電量を保持するようになる。
【0023】
一般式(1)〜(4)における置換基R3では水素原子が好ましいが、トリメチルシリル基、アセチル基が合成しやすく、トナー性能に有害な不純物が含まれにくいので良い。
【0024】
−CR4H−におけるR4では水素原子が好ましいが、その他ではメチル基が縮合反応を阻害せず好ましい。
【0025】
二量体を構成するフェノールの置換基が異なる縮合物も好ましく用いられる。また、複数種の二量体を含有することも好ましく、中でも対称型と非対称型の混合物も好ましく用いられる。2種以上用いることにより、得られる粉体の結晶性がくずれ、トナーヘの分散性、帯電の立ち上がり方を調整することができる。
【0026】
本発明の化合物をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。内添する場合の好ましい添加量としては結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の範囲で用いられる。また、外添する場合は、0.01〜5質量部が好ましく、特にメカノケミカル的にトナー表面に固着させるのが好ましい。
【0027】
また本発明の化合物は、従来の技術で述べたような公知の電荷制御剤と組み合わせて使用することもできる。
【0028】
以下に本発明の縮合物の具体的構造を例示する。
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】
本発明においては、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の無機酸化物や、カーボンブラック、フッ化カーボンなど粒径の細かい粒子の無機微粉末を添加することが好ましい。
【0034】
シリカ、アルミナ、酸化チタンは、トナー表面に分散させた時に細かい粒子となる方が流動性付与性が高くなるので好ましい。平均粒径としては5〜100nmになるものが良く、さらに好ましくは5〜50nmが良い。BET法で測定した窒素吸着による比表面積では40m2/g以上(特に80〜400m2/g)の範囲のものが被処理微粉体として好ましく、表面処理された微粉体としては、20m2/g以上(特に40〜300m2/g)の範囲のものが好ましい。
【0035】
これらの微粉体の適用量は、トナー重量基準で、0.03〜5%添加した時に適切な表面被覆率になる。
【0036】
本発明に用いる無機微粉体の疎水化度としては、30%以上の値を示すのが好ましい。疎水化処理剤としては、含ケイ素表面処理剤であるシラン化合物とシリコーンオイルが好ましい。
【0037】
例えば、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン等のようなアルキルアルコキシシランや、ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン等のシランカップリング剤を用いることができる。
【0038】
また、以下の正帯電性のものも、帯電量の調整等のため用いても良い。アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤や、アミノ変性のシリコーンオイル等を用いることができる。
【0039】
本発明のトナーは、キャリアと混合して二成分トナーとして用いることができる。キャリアの電流値は、キャリア表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を調整して20〜200μAにするのが良い。
【0040】
キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂など或いは、これらの混合物を用いることができる。
【0041】
キャリアコアの磁性材料としては、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物や、鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの合金を用いることができる。また、これらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等が挙げられる。
【0042】
本発明では磁性材料を含有させて磁性トナーとして用いることもできる。本発明では磁性微粉体の粒度分布の変動係数が40%以下のものを用いるのが好ましい。
【0043】
磁性微粉体の粒度分布の変動係数を40%以下とすることにより、磁性微粉体が均一に分散するようになる。より好ましくは30%以下が良い。分散が良い理由は、微小過ぎて凝集性の高い粒子が少ないからであろう。また、帯電量も高くなる傾向にある。
【0044】
なお、粒径は個数平均であり、変動係数とは分散の標準偏差を平均粒径で割った値である。
【0045】
磁性微粉体の平均粒径としては、0.05〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.1〜0.4μmが良い。磁性トナー中に含有させる量としては樹脂成分100質量部に対し40〜120質量部が好ましい。
【0046】
本発明に用いる磁性微粉体の材料としては、例えば、マグネタイト、γ−酸化鉄、フェライト、鉄過剰型フェライト等の酸化物や、鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの合金を用いることができる。また、これらの磁性材料に添加できる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等が挙げられる。
【0047】
本発明に使用される結着樹脂の種類としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナフトール樹脂、天然変性ナフトール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が使用できる。
【0048】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、ビニルトルエン等のスチレン誘導体;例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル等のメタクリル酸エステル類;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル等のような二重結合を有するジカルボン酸類;例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のようなビニルエステル類;例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のようなエチレン系オレフィン類;例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のようなビニルケトン類;例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のようなビニルエーテル類;等のビニル系単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0049】
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0050】
結着樹脂がスチレン−アクリル系の場合、トナーの分子量分布が、THF可溶分のGPCによる分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つピークが存在し、分子量10万以上の領域に少なくとも1つピークが存在し、分子量分布10万以下の成分が50〜90%となるような結着樹脂が好ましい。
【0051】
結着樹脂がポリエステル系の樹脂の場合は、同様のトナーの分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つピークが存在し、分子量10万以下の成分が60〜100%となるような結着樹脂が好ましい。さらに好ましくは、分子量5千〜2万の領域少なくとも1つピークが存在するのが良い。
【0052】
この中でも、ポリエステル樹脂は定着性に優れ、カラートナーに適しているが、特に一般式(5)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸またはその酸無水物またはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えばフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など)とを共縮重合したポリエステル樹脂が、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
【0053】
【化7】
(式中Rは、エチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。)
【0054】
本発明では、トナーにワックス成分を含有させるのは好ましい形態のひとつである。
【0055】
本発明に用いられる炭化水素系ワックスとしては、例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合したアルキレンポリマー、低圧下でチーグラー触媒で重合したアルキレンポリマー、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、一酸化炭素・水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分を水素添加して得られる合成炭化水素等が使用できる。これらの炭化水素系ワックスのうち、特定の成分を抽出分別した炭化水素系ワックスが特に適している。プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留を利用した分別結晶方式などの方法によって、低分子量を除去したもの、低分子量分を抽出したもの、およびさらにこれから低分子量成分を除去したものなどが好ましい。
【0056】
この他、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックス、脂肪族固形アルコール等も用いることができる。
【0057】
また、これらのワックスの分子量で好ましい範囲は、数平均分子量(Mn、ポリエチレン換算)が500〜1200で、重量平均分子量(Mw)が800〜3600のものが好ましい。分子量が上記範囲より小さくなると耐ブロッキング性、現像性に劣るようになり、上記範囲より分子量が大きくなると、良好な定着性、耐オフセット性が得にくくなる。
【0058】
本発明では、ワックスのMw/Mnが5.0以下が良く、より好ましくは3.0以下が良い。
【0059】
これらワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部用いるのが効果的である。
【0060】
本発明に使用される着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリールメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系染顔料等従来公知の染顔料を単独或いは混合して使用し得る。
【0061】
本発明で用いられる各種特性付与を目的とした添加剤としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
【0062】
(1)研磨剤:金属酸化物(チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化アルミニウム,酸化マグネシウム,酸化クロムなど)・窒化物(窒化ケイ素など)・炭化物(炭化ケイ素など)・金属塩(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウム)など。
【0063】
(2)滑剤:フッ素系樹脂粉末(ポリフッ化ビニリデン,ポリテトラフルオロエチレンなど)・脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど)など。
【0064】
(3)荷電制御性粒子:金属酸化物(酸化錫,酸化チタン,酸化亜鉛,酸化ケイ素,酸化アルミニウムなど)・カーボンブラック・樹脂微粒子など。
【0065】
これら添加剤は、トナー粒子100質量部に対し、0.05〜10質量部が用いられ、好ましくは0.1〜5質量部が用いられる。これら添加剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。
【0066】
本発明に係るトナーを製造するにあたっては、上述したようなトナー構成材料をボールミルその他の混合機により十分混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、機械的な粉砕、分級によってトナーを得る方法が好ましい。他には、結着樹脂を構成すべき単量体に所定の材料を混合して乳化懸濁液とした後に、重合させてトナーを得る重合法トナー製造法;あるいはコア材、シェル材から成るいわゆるマイクロカプセルトナーにおいて、コア材あるいはシェル材、あるいはこれらの両方に所定の材料を含有させる方法;結着樹脂溶液中に構成材料を分散した後、噴霧乾燥することによりトナーを得る方法;等の方法が応用できる。さらに必要に応じ所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分に混合し、本発明に係るトナーを製造することができる。
【0067】
また近年はトナー粒径の小径化が進んできており、体積平均粒径10μm以下のような場合でも、帯電均一性が促進され、トナーの凝集性も軽減され、画像濃度の向上、カブリの改善等現像性が向上する。特に体積平均粒径6.0μm以下のトナーを用いると、極めて高精細な画像が得られる。体積平均粒径は2.5μm以上である方が十分な画像濃度が得られて好ましい。一方でトナーの小粒径化が進むと縮合物の遊離も生じやすくなるが、本発明のトナーは分散性に優れているので良好な現像性が維持される。
【0068】
本発明のトナーの体積平均粒径は、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、電解液はISOTON R−II(1%NaCl水溶液、コールターサイエンティフィックジャパン社製)を用いて測定する。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、体積、個数を測定して、体積平均粒径を算出する。
【0069】
体積平均粒径が6μm以上の場合は100μmのアパーチャーを用い2〜60μmの粒子を測定し、体積平粒径6〜2.5μmの場合は50μmのアパーチャーを用い1〜30μmの粒子を測定し、体積平均粒径2.5μm未満の場合は30μmのアパーチャーを用い0.6〜18μmの粒子を測定する。
【0070】
【実施例】
以下、具体的実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0071】
本発明に用いられる結着樹脂は以下のようなものである。まず、懸濁重合法で開始剤として2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを用いたスチレン−ブチルアクリレート共重合体A(St/BA=78/20,Tg=67℃,Mw=810,000)を作製した。ついで、溶液重合法でスチレン−ブチルアクリレート−モノブチルマレート共重合体B(St/BA/MBM=83/15/2,Tg=61℃,Mw=15,000)を作製した。共重合体Bを70質量部に対し共重合体Aを30質量部を溶液中で混合したものを結着樹脂とした。
【0072】
<実施例1>
・結着樹脂 100質量部
・マグネタイト 100質量部
(八面体、平均粒子径0.20μm、BET=8.1m2/g、σs=84.7Am2/kg、σr=10.6Am2/kg)
・低分子量ポリプロピレンワックス(融点140℃) 4質量部
・縮合物例1 2質量部
【0073】
上記材料をヘンシェルミキサーでよく前混合した後、130℃に設定した二軸混練押し出し機によって溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕物を更に風力分級機で分級し、重量平均粒径6.7μmの分級微粉体を得た。
【0074】
得られた分級微粉体100質量部に、乾式法で製造されたシリカ微粉体100質量部をヘキサメチルジシラザン10質量部とジメチルシリコーン10質量部で処理した疎水性シリカ1.2質量部(BET比表面積182m2/g)を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、目開き150μmのメッシュで篩い負帯電性一成分磁性トナー1を得た。
【0075】
得られたトナー1について、次に示す各評価試験を行った。
【0076】
画像評価試験
市販のプリンターLBP−930(キヤノン(株)社製)を用い、15000枚のプリントを行い、画像濃度、カブリを評価した。(評価環境:23℃/60%RH)
【0077】
画像濃度は、「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて測定した。カブリは、「反射濃度計」(東京電色技術センター社製)を用いて、転写紙の反射濃度と、ベタ白をコピーした後の転写紙の反射濃度とを測定し、その差分をカブリ値とし、その値が小さい方がカブリ抑制が良い。
【0078】
濃度の面内均一性は、幅20mm,長さ100mmのベタライン(プロセス進行方向)の交互画像の後に1ドット1スペース画像をプリントし、1ドット1スペースの濃淡差により評価した。この濃度差が小さい方が濃度の面内一様性が良いものである。
【0079】
画質は、孤立ドットを100個画像形成し100個のうち何ドット表すことができたかによって評価する。ドット再現数が多い方が高画質といえるものである。
【0080】
画像評価試験の評価結果を表1に示す。
【0081】
<実施例2>
実施例1において、縮合物1を縮合物2に変更する以外は実施例1と同様にして、分級微粉体並びにトナー2を得た。
【0082】
このトナー2について、実施例1と同様に各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0083】
<実施例3>
実施例1において、縮合物1を縮合物4に変更する以外は実施例1と同様にして、分級微粉体並びにトナー3を得た。
【0084】
このトナー3について、実施例1と同様に各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0085】
<実施例4>
実施例1において、縮合物1を縮合物5に変更する以外は実施例1と同様にして、分級微粉体並びにトナー4を得た。
【0086】
このトナー4について、実施例1と同様に各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0087】
<実施例5>
実施例1において、縮合物1を縮合物1、2及び3の混合物(混合比1/1/2)に変更し、外添剤の量を1.5質量部に変えた以外は実施例1と同様にして、分級微粉体並びにトナー5を得た。
【0088】
このトナー5について、実施例1と同様に各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0089】
<実施例6>
実施例1において、縮合物1を縮合物4、5及び6の混合物(混合比1/1/2)に変更し、外添剤の量を1.5質量部に変えた以外は実施例1と同様にして、分級微粉体並びにトナー6を得た。
【0090】
このトナー6について、実施例1と同様に各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0091】
<実施例7>
実施例1において、縮合物1を縮合物7、8及び9の混合物(混合比1/2/1)に変更し、外添剤の量を1.5質量部に変えた以外は実施例1と同様にして、分級微粉体並びにトナー7を得た。
【0092】
このトナー7について、実施例1と同様に各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0093】
<実施例8>
実施例1において、縮合物1を縮合物10、11及び12の混合物(混合比1/2/1)に変更し、外添剤の量を1.5質量部に変えた以外は実施例1と同様にして、分級微粉体並びにトナー8を得た。
【0094】
このトナー8について、実施例1と同様に各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0095】
<実施例9>
実施例1において、縮合物1を縮合物17に変更し、外添剤の量を1.5質量部に変えた以外は実施例1と同様にして、分級微粉体並びにトナー9を得た。
【0096】
このトナー9について、実施例1と同様に各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0097】
<実施例10>
実施例1において、縮合物1を縮合物20に変更し、外添剤の量を1.5質量部に変えた以外は実施例1と同様にして、分級微粉体並びにトナー10を得た。
【0098】
このトナー10について、実施例1と同様に各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0099】
<比較例1>
実施例1において、縮合物1を下に示す縮合物33に変更し、外添剤の量を1.5質量部に変えた以外は実施例1と同様にして、分級微粉体並びにトナー11を得た。
【0100】
このトナー11について、実施例1と同様に各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0101】
【化8】
【0102】
<比較例2>
実施例1において、縮合物1を下に示す縮合物34に変更し、外添剤の量を1.5質量部に変えた以外は実施例1と同様にして、分級微粉体並びにトナー11を得た。
【0103】
このトナー11について、実施例1と同様に各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0104】
【化9】
【0105】
<実施例11>
【0106】
上記材料をヘンシェルミキサで予備混合した後、100℃に設定した二軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を冷却しカッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた粉砕機を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、体積平均径7.8μmの分級品を得た。得られた分級微粉体100質量部に、硫酸法で製造されたアナターゼ型チタニア微粉体100質量部をイソブチルトリメトキシラン10質量部とジメチルシリコーン10質量部で処理した疎水性チタニア(BET比表面積75m2/g)1.5質量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、目開き200μmのメッシュで篩いトナー13を得た。
【0107】
得られたトナー13について、次に示す各評価試験を行った。
【0108】
画像評価試験
市販のカラープリンターLBP−2030(キヤノン株式会社製)を用い、3000枚プリントを行い、画像濃度、カブリを評価した。(評価環境:23℃/60%RH)
【0109】
画像濃度は、「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて測定した。カブリは、「反射濃度計」(東京電色技術センター社製)を用いて、転写紙の反射濃度と、ベタ白をコピーした後の転写紙の反射濃度とを測定し、その差分をカブリ値とし、その値が小さい方がカブリ抑制が良い。カブリの測定は、画像形成前の転写材及び画像形成後の白地部について、反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC−6DS 東京電色社製)を用いて反射濃度を5点測定し、平均値を求める。画像形成前後での反射濃度の差をカブリの評価とする。
【0110】
濃度の面内均一性は、幅20mm,長さ100mmのベタライン(プロセス進行方向)の交互画像の後に1ドット1スペース画像をプリントし、1ドット1スペースの濃淡差により評価した。この濃度差が小さい方が濃度の面内一様性が良いものである。
【0111】
画質は、孤立ドットを100個画像形成し100個のうち何ドット表すことができたかによって評価する。ドット再現数が多い方が高画質といえるものである。
【0112】
画像評価試験の評価結果を表2に示す。
【0113】
<実施例12>
【0114】
上記材料をヘンシェルミキサで予備混合した後、100℃に設定した二軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を冷却しカッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた粉砕機を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、体積平均径7.7μmの分級品を得た。得られた分級微粉体100質量部に、熱分解法で製造されたγ型アルミナ微粉体100質量部をn−ブチルトリメトキシラン10質量部、ジメチルシリコーン5質量部で処理した疎水性アルミナ(BET比表面積82m2/g)1.5質量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、目開き200μmのメッシュで篩いトナー14を得た。
【0115】
このトナー14を用い、実施例11と同様のランニング試験を行った。画像濃度、カブリ、濃度ムラ等の現像性評価結果を表2に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】
【発明の効果】
本発明の静電荷像現像用トナーによれば、本発明に示した特定のナフトール縮合二量体縮合物を荷電制御剤として用いることにより、トナーの帯電特性および現像特性を向上させることができ、帯電付与能力が改善され現像特性を向上させることができ、画像濃度低下やカブリ発生等の無く、ドット再現に優れ面内濃度一様性にも優れた高精細画像を安定して提供することができる。
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