JP3705844B2 - 誘導発熱ローラ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、誘導発熱ローラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の熱処理用等に供される誘導発熱ローラ装置は、図4の縦断面図および図5の横断面図で示すようにロール41と、このロール41の中空内部に円筒状に形成された鉄心43の周囲に誘導コイル42を巻回した電磁誘導機構40を配置し、誘導コイル42に交流の電源を印加して鉄心43を励磁させ、その磁束により回転するロール41の内周壁に電流を誘起させ、この電流によつてロール41をジュール発熱させるように構成されている。
【0003】
このような誘導発熱ローラ装置では、電磁誘導機構40をロール41と極力近接配置しないとロール41との磁気結合が低下し、力率も低下することから、円筒状に形成された鉄心43の軸芯とロール41の軸芯鉄心43とを一致させて同心状に配置し、鉄心43をロール41の内周壁に近接するようにされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年この種誘導発熱ローラ装置の利用開発が進められ、ロール外径や長さが様々に大きく異なる誘導発熱ローラ装置が要求されるようになってきている。しかし、前述のように従来の誘導発熱ローラ装置では、電磁誘導機構40の鉄心43を円筒状に形成し、鉄心43の軸芯とロール41の軸芯鉄心43とを一致させて同心状に配置し、鉄心43をロール41の内周壁に近接するようにされているため、ロール41の外径や長さの異なりに対応して電磁誘導機構40も自ずと様々の外径や長さのものを設計し、製作する必要があり、誘導発熱ローラ装置の製作がコスト高になっている。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、電磁誘導機構が様々のロールの外径や長さに対応することができ、製作コストの低減を図ることを可能にし、更には、ロール表面の温度分布の均一性や熱歪等に対応することが可能な誘導発熱ローラ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、ロールと前記ロールの内周壁近傍位置で前記内周壁に沿って配置された電磁誘導機構とからなる誘導発熱ローラ装置において、前記電磁誘導機構は、両端部に磁性板を固着した鉄心に巻回された誘導コイルからなる電磁誘導ユニットを前記ロールの内周壁周方向に複数個配置してなることを特徴とする誘導発熱ローラ装置とすることにより達成される。
【0007】
また、本発明の上記目的は、請求項1に記載した発明において、前記ロールは、その肉厚内部に周方向適宜の間隔で、軸方向に延び内部に気液二相の熱媒体を減圧封入した複数のジャケット室を有し、前記電磁誘導ユニットを前記ロールの内周壁軸方向に沿い複数個配置してなることを特徴とする誘導発熱ローラ装置とすることによっても達成される。
【0008】
さらに、本発明の上記目的は、ロールと、前記ロールの中空内部に配置された電磁誘導機構とからなる誘導発熱ローラ装置において、前記ロールは、その肉厚内部に周方向適宜の間隔で、軸方向に延び内部に気液二相の熱媒体を減圧封入した複数のジャケット室を有し、前記電磁誘導機構は、鉄心に巻回された誘導コイルからなる電磁誘導ユニットを前記ロールの内周壁軸方向に沿い複数個、かつ、周方向に複数個配置するとともに、前記軸方向に沿って配置された複数個の電磁誘導ユニットのそれぞれに相異なる位相の電源を接続してなることを特徴とする誘導発熱ローラ装置とすることによっても達成される。
【0009】
【作用】
本発明の上記構成によれば、電磁誘導機構が鉄心に巻回された誘導コイルからなる電磁誘導ユニットを複数個組み合わせて形成されているため、電磁誘導発熱機構をロールの外径や長さに対応して逐次設計し、製造する必要が無く、鉄心に巻回された電磁誘導ユニットを標準化し、その標準化された電磁誘導ユニットの数量を変更するだけで形成できる。したがって、誘導発熱ローラ装置の製作コストの低減を図ることが可能になる。また、誘導コイル個々に印加する電圧を制御することによってロール表面の温度分布の均一性や熱歪等に容易に対応することが可能になる。
【0010】
また、ロールの肉厚内部に周方向適宜の間隔で、軸方向に延び内部に気液二相の熱媒体を減圧封入した複数のジャケット室が設けられているので、ロールの誘導電流による発熱は、気液2相の熱媒体を気化、蒸発させ、発生した蒸気は、ジャケット室内を適宜に移動し低温状態にあるジャケット室の内壁に触れて凝縮する。その時潜熱を放出してその部の温度を上昇させる。また、凝縮した熱媒体は再び液相部に戻り、以下これを繰り返すことにより、ロールの表面全域に亘ってより一増均一な温度分布が得られる。
【0011】
さらに、ロールの軸方向に沿って複数個の電磁誘導ユニットが配置されることによって、通電する電磁誘導ユニットの選択あるいは通電量の調整によってロールの軸方向に対する加熱のばらつきを修正することができ、ロールが特に長い場合には効率的にロール表面の温度分布の均一性や熱歪等に対応することができる。
【0012】
【実施例】
以下、図1〜図3を参照して本発明の実施例について説明する。なお、図1ないし図3を通じて同一もしくは共通する部分には同一の符号が付してある。
【0013】
図1は、本発明の一実施例の誘導発熱ローラ装置の縦断面図であり、図2は、図1の誘導発熱ローラ装置の横断面図である。図1および図2において、1は外表面に被加熱物を当接して回転加熱するロールで、図示しない架台に支持された軸2に回転可能に軸支されている。
【0014】
ロール1の肉厚内部には、軸方向にロール1の幅に跨って連通するジャケット室11が形成され、そのジャケット室11はロール1の周方向に適宜の間隔を設けて複数形成され、図示していないが各ジャケット室11間は適宜例えば2本置きに互いに連通するように形成されている。また、各ジャケット室11には、気液2相の熱媒体12が減圧封入されている。
【0015】
ロール1の中空内部には、ロール1の内壁周方向に沿って複数(この実施例では8個)の電磁誘導ユニット3が配置され、各電磁誘導ユニット3は、軸2に固着された支柱21に固定支持され、ロール1の内壁の近傍位置で軸方向内壁と対峙している。電磁誘導ユニット3は、適宜の長さ(この実施例ではロール1の軸方向内壁幅に見合う長さ)の鉄心31にコイル(誘導コイル)32が巻回され、鉄心31の両端部のそれぞれにロール1の内周壁に磁束を通すための磁性板33を固着して構成されている。すなわち、この実施例は、電磁誘導機構が鉄心31に巻回された誘導コイル32からなる電磁誘導ユニット3が複数個ロール1の内壁周方向に沿って配置されている。
【0016】
軸2には、誘導コイル32に電力を供給する電線24を配設するために軸方向にロール1の外部で開口する孔22が形成され、この孔22はロール1の内部の適宜位置で開口する孔23と連通している。
【0017】
各電磁誘導ユニット3に交流電源(図示しない)を接続して交流電圧を印加すると、各電磁誘導ユニット3はそれぞれ交番磁束を発生する。この交番磁束は鉄心31、磁性板33及びロール1の内周壁を流れ、ロール1にこの交番磁束と交叉する電流(誘導電流)がロール1の周方向に発生し、この電流によるジュール熱によりロール1は発熱する。この場合、各電磁誘導ユニット3が発生する磁束の位相を同一方向とし、相互で打ち消し合わないようにする必要があるが、各電磁誘導ユニット3に印加する電源の位相を同一方向とすれば良い。
【0018】
ロール1の誘導電流による発熱は、ジャケット室1に減圧封入されている気液2相の熱媒体12を加熱し、この加熱によって気液2相の熱媒体12は気化、蒸発し、これによって発生した蒸気は、ジャケット室11内を適宜に移動し低温状態にあるジャケット室1の内壁に触れて凝縮する。その時潜熱を放出してその部の温度を上昇させる。また、凝縮した熱媒体12は再び液相部に戻り、以下これを繰り返し、ロール1の表面全域に亘って均一の温度分布が得られる。
【0019】
このように、電磁誘導ユニット3をロール本体1の内壁周方向に沿って複数個配置するようにすると、例えば、同一のロール外径であっても、電磁誘導ユニット3の数量の変更、あるいは通電する電磁誘導ユニット3の選択により、比例的に加熱に必要とする電気容量を変更することができる。また、ロールの外径が異なる場合には、その電気容量に応じて電磁誘導ユニット3の数量を調整すれば良く、電気容量や寸法の異なる複数種類の電磁誘導機構を準備しなくても、ロール外径の異なるものに対しても電磁誘導ユニット3は簡単に適用することができる。
【0020】
図3は、本発明の他の実施例の誘導発熱ローラ装置の縦断面図であり、ロール1、軸2及び電磁誘導ユニット3に係る構成は、図1および図2の実施例と同様であり、ここではその詳細な説明は省略し、図1および図2の実施例と異なる部分について説明する。
【0021】
この実施例の誘導発熱ローラ装置は、ロール1の内壁周方向に沿って複数の電磁誘導ユニット3が配置され、かつ、ロール1の内壁軸方向に沿って複数(この実施例では3個)の電磁誘導ユニット3が配置されている。このように軸方向に沿って複数の電磁誘導ユニット3を配置すると、軸方向に沿って配置されている電磁誘導ユニット3のそれぞれに位相の異なる3相もしくは多相電源の相順に従って接続でき、また、通電する電磁誘導ユニット3の選択あるいは通電量の調整によってロール1の軸方向に対する加熱のばらつきを修正することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、電磁誘導機構が鉄心に巻回された誘導コイルからなる電磁誘導ユニットを複数個組み合わせて形成されているため、電磁誘導発熱機構をロールの外径や長さに対応して逐次設計し、製造する必要が無く、鉄心に巻回された電磁誘導ユニットを標準化し、その標準化された電磁誘導ユニットの数量を変更するだけで形成できる。したがって、誘導発熱ローラ装置の製作コストの低減を図ることが可能になる。また、誘導コイル個々に印加する電圧を制御することによってロール表面の温度分布の均一性や熱歪等に容易に対応することが可能になる。
【0023】
また、ロールの肉厚内部に周方向適宜の間隔で、軸方向に延び内部に気液二相の熱媒体を減圧封入した複数のジャケット室が設けられているので、ロールの誘導電流による発熱は、気液2相の熱媒体を気化、蒸発させ、発生した蒸気は、ジャケット室内を適宜に移動し低温状態にあるジャケット室の内壁に触れて凝縮する。その時潜熱を放出してその部の温度を上昇させる。また、凝縮した熱媒体は再び液相部に戻り、以下これを繰り返すことにより、ロールの表面全域に亘ってより一増均一な温度分布が得られる。
【0024】
さらに、ロールの軸方向に沿って複数個の電磁誘導ユニットが配置されることによって、通電する電磁誘導ユニットの選択あるいは通電量の調整によってロールの軸方向に対する加熱のばらつきを修正することができ、ロールが特に長い場合には効率的にロール表面の温度分布の均一性や熱歪等に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の誘導発熱ローラ装置の縦断面図である。
【図2】図1の誘導発熱ローラ装置の横断面図である。
【図3】本発明の他の実施例の誘導発熱ローラ装置の縦断面図である。
【図4】従来の誘導発熱ローラ装置の縦断面図である。
【図5】図4の誘導発熱ローラ装置の横断面図である。
【符号の説明】
1 ロール
2 軸
3 電磁誘導ユニット
11 ジャケット室
12 気液2相の熱媒体
21 支柱
31 鉄心
32 コイル(誘導コイル)
33 磁性板

Claims (3)

  1. ロールと前記ロールの内周壁近傍位置で前記内周壁に沿って配置された電磁誘導機構とからなる誘導発熱ローラ装置において、前記電磁誘導機構は、両端部に磁性板を固着した鉄心に巻回された誘導コイルからなる電磁誘導ユニットを前記ロールの内周壁周方向に複数個配置してなることを特徴とする誘導発熱ローラ装置。
  2. 前記ロールは、その肉厚内部に周方向適宜の間隔で、軸方向に延び内部に気液二相の熱媒体を減圧封入した複数のジャケット室を有し、前記電磁誘導ユニットを前記ロールの内周壁軸方向に沿い複数個配置してなることを特徴とする請求項1に記載の誘導発熱ローラ装置。
  3. ロールと前記ロールの中空内部に配置された電磁誘導機構とからなる誘導発熱ローラ装置において、前記ロールは、その肉厚内部に周方向適宜の間隔で、軸方向に延び内部に気液二相の熱媒体を減圧封入した複数のジャケット室を有し、前記電磁誘導機構は、鉄心に巻回された誘導コイルからなる電磁誘導ユニットを前記ロールの内周壁軸方向に沿い複数個、かつ、周方向に複数個配置するとともに、前記軸方向に沿って配置された複数個の電磁誘導ユニットのそれぞれに相異なる位相の電源を接続してなることを特徴とする誘導発熱ローラ装置。
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