JP3705621B2 - 消臭および抗菌用の組成物およびこれを用いた繊維布帛 - Google Patents

消臭および抗菌用の組成物およびこれを用いた繊維布帛 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、消臭および抗菌用の組成物、特に粉末状の消臭剤、エアコンや空気清浄機のハニカム状の消臭フィルター、消臭性塗料、消臭性繊維布帛の加工に使用できる、消臭および抗菌用の組成物およびさらに防汚性を併せもつ組成物に関する。
【0002】
本発明は、また、このような組成物を用いた繊維布帛、特に衣料、カーテンなどのインテリア材料、衛生材料、靴の中敷きや靴のライナー材、エアコンや空気清浄機のフィルターなどに広く応用できる、消臭および抗菌機能を有する繊維布帛およびさらに防汚機能を有する繊維布帛に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来から、繊維、紙、塗料などの分野で、消臭機能を有する製品が知られている。このような製品に使用されている消臭性の材料は、ごく一部を除き、中和作用や吸着などによるものが主体であり、完全な消臭性を発揮するものではない。例えば、酸性の酸化チタン、硫酸アルミニウムなどは、塩基性のアンモニアなどの消臭には効果を発揮しても、中性や酸性の悪臭に対しては無力である。また、それ自体が塩基性である酸化亜鉛は、酸性の悪臭であるメチルメルカプタン、硫化水素などを中和して無臭物質に変えるが、中性や塩基性の悪臭に対しては無力である。さらに、これらの酸や塩基の中和作用による消臭方法は、消臭剤自体が飽和されると効果を発揮できない。よって、これらの消臭剤は、悪臭の処理能力に限度があり、しかも塩基性か酸性の物質に対してだけ作用し、中性の悪臭や種々の成分が複合した悪臭に対しては全く効果を発揮できない。
【0004】
また、活性炭やシリカなどの物理的な吸着を利用した消臭剤も知られている。これらは、周囲の悪臭成分を吸着してその濃度を低下させるが、悪臭成分の量が全体として減少することはないため、本質的な解決にはならない。
理想的には悪臭成分を完全に無臭の成分にまで分解させることであるが、このような作用を行う化学物質はごくわずかにしか知られていない。例えば、鉄/フタロシアニンがある。酵素的に酸化分解作用を行うこの物質は、レーヨン繊維に練り込まれて用いられており、例えば、この繊維をフトン綿に使用し、これによってアンモニアが消臭されることが確認されている。また悪臭成分である硫化水素は硫黄に、メルカプタンはジスルフィドに、アルデヒドはカルボン酸に、アミンはケトンとアンモニアにそれぞれ酸化されることが知られている。しかしながら、これらの分解物の中には臭気を持つものもあり、またこれらの消臭剤はすべての悪臭に有効とは言えない。すなわち、タバコ臭や汗の臭気の除去には有効ではない。
【0005】
複合された悪臭、例えば、タバコの燃焼ガスは数千の成分を含んでおり、これらを有効に消臭することは技術的に不可能であった。また、人体が汗をかいたときの主成分であるイソ吉草酸や腋臭の臭気成分は数種類の低級脂肪酸が混ざったものであり、これらを完全に無臭化することも困難であった。実生活における悪臭は、上記のように複雑な成分が混合した臭気であり、法定4大悪臭のように単一の成分からなる場合は少なく、そのため従来の消臭剤を用いて十分な消臭効果を得ることは事実上困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の問題点を一掃し、極めて優れた消臭および抗菌作用を有する組成物およびさらに防汚作用を有する組成物を提供しようとするものである。
本発明は、また、消臭および抗菌機能を有する繊維布帛およびさらに防汚機能を有する繊維布帛を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、貴金属ゼオライト触媒および金属酸化物を含む、消臭および抗菌用の組成物を提供する。
本発明は、また、さらに酸化チタン光触媒を含み、消臭および抗菌性に加えて防汚性を併せもつ組成物を提供する。
【0008】
本発明は、さらに、貴金属ゼオライト触媒および金属酸化物を含む組成物が付与された繊維材料を含む繊維布帛およびさらに酸化チタン光触媒が付与された繊維材料を含む繊維布帛を提供する。
本発明に有用な貴金属ゼオライト触媒としては、ゼオライトに白金やパラジウム等の貴金属を0.01〜10重量%の範囲で担持したものが好ましい。この貴金属ゼオライト触媒としては、消臭効果がより優れていることから、白金ゼオライト触媒を用いるのが特に好ましい。この触媒の作用機構は、常温で酸化作用を行って、例えば、タバコ燃焼ガス中の悪臭成分を分解することにより、臭気を減少させるものであると考えられる。また、この触媒には、酸化作用による殺菌作用もみられる。
【0009】
貴金属ゼオライト触媒の酸化作用による有機物質の分解は従来から知られており、遠赤外ヒーター、パネルヒーターや冷蔵庫内の消臭に使用されているが、これらは加熱条件下での使用に限られており、加熱が可能なヒーター部分に配置されて使用されているのであり、常温で用いた例は報告されていない。例えば、特開平4−354515には600℃まで加熱できるヒーター部に白金やパラジウムなどの貴金属をアルミナやシリカに担持したものを用いることが開示されているが、この場合も高温における酸化分解による消臭作用を利用しているのであって、常温で用いているのではない。
【0010】
また、常温での酸化分解を可能にした脱臭触媒として、マンガン系触媒と金ゼオライト触媒からなるハニカム型触媒を2層に形成したものが特開平4−265153に開示されているが、この触媒は本発明の消臭剤とは構成が明らかに異なっている。
しかして、常温下でタバコ臭気のように数千ともいえる有機物を含む悪臭を分解することを可能にしたのは、本発明が初めてである。
【0011】
タバコの燃焼ガスには、塩基性および酸性の有機物を初めとして、中性の有機化合物が数千種以上含まれる。従って、タバコ燃焼ガスの悪臭は、多数の有機物が混合した臭気である。これらの有機物の混合物を無臭にすることは常識的には不可能に近いと考えられるが、本発明者らは、貴金属ゼオライト触媒に金属酸化物を加えた組成物がタバコ燃焼ガスの悪臭を、酸化分解およびイオン吸着などの作用により、大幅に軽減することを思いがけなく見出し、本発明に到達したものである。
【0012】
貴金属ゼオライト触媒だけの場合、明らかにタバコ燃焼ガスの悪臭を軽減する効果はあるが、その程度が実用的に不満足である。しかるに、貴金属ゼオライト触媒に加えて金属酸化物を併用することにより、この問題点を解消することができたのである。ここで、好ましい金属酸化物としては、酸化亜鉛、多孔性の二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化チタンなどがあり、これらはそれ自体酸性のガスや塩基性のガスの消臭作用を有することが認められている。例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび酸化バリウムは有機酸と反応して無臭化する機能を有し、二酸化珪素や酸化チタンは塩基性ガスであるアンモニアなどと反応して無臭化する機能を有する。本発明では、金属酸化物として、酸性の物質を消臭する成分と塩基性の物質を消臭する成分とを組み合わせて用いるのが望ましい。例えば、酸化亜鉛/二酸化珪素の組み合わせ、酸化マグネシウム/二酸化珪素の組み合わせ、酸化亜鉛/酸化チタンの組み合わせなどである。もちろん、これらの金属酸化物を3種またはそれ以上併用することも差し支えない。
【0013】
これらの金属酸化物は、粉末状でもしくは溶剤や水に微粒子状に分散された状態で入手することができる。
さらに、本発明においては、上記の組成物にさらに酸化チタン光触媒を含むものが提供される。
ここで、酸化チタン光触媒とは、紫外線により励起して、水から水素を発生させたり、有機物を分解するものであり、具体的にはアナターゼ型およびルチル型の結晶型をしているものをいう。従来、繊維のダル化やクレーターの形成のために、または顔料として用いられていたアナターゼ型もしくはルチル型の酸化チタンは表面改質により光触媒活性を消去したものであり、光触媒活性を示さないものである。これに対して、光触媒用の酸化チタンは、水中のハロゲン含有有機物を炭酸ガスと水分子にまで分解することや、建築材料として無機物の表面に焼成付着させたときに、アセトアルデヒドの消臭作用を有することを確認した例がある。
【0014】
ところで、光触媒用の酸化チタンを有機性の樹脂と併用した場合、次のような問題を生じる。すなわち、その強力な酸化作用により有機性の樹脂が分解され、別の臭気を生じたり、着色する場合があるのである。例えば、酸化チタン光触媒にアクリル樹脂を併用し、これを塗料として用いてタバコ燃焼ガスの消臭性を試験した場合に、タバコ特有の臭気は明らかに軽減されるが、別の臭気が発生し、全体として悪臭が軽減されたことにならないということが認められる。また、酸化チタン光触媒をエマルジョン樹脂から形成された樹脂皮膜中に用いた場合に、界面活性剤が分解して悪臭が発生することがある。さらに、酸化チタン光触媒をフッソ系アクリル樹脂などといっしょに使用した場合、光照射で短時間に褐色に着色する。
【0015】
本発明によれば、貴金属ゼオライト触媒および金属酸化物に加えて酸化チタン光触媒を併用することにより、上記の酸化チタン光触媒固有の問題が解消され、前述した酸化チタン光触媒を含まない本発明の組成物に比べて、微弱な紫外線の存在があれば消臭スピードが向上した組成物が得られ、その抗菌性が増し、しかも得られる組成物は望ましい防汚性をも有することが見出されたのである。
【0016】
用いる酸化チタン光触媒の粒子径が大きすぎると、悪臭の分解速度が遅く、実用的でない場合がある。従って、酸化チタン光触媒は、100nm以下、特に50nm以下の粒子径を有するのが好ましい。本発明において、酸化チタン光触媒の粒子径は、一般にX線粒径と呼ばれるものであって、通常粉末X線回折法によって得られるX線回折図において半値幅をβとしたときに、以下のScherrerの式にて計算される。
【0017】
Lc =0.9λ/βcos θ
ここで、Lc はX線粒径(Å)であり、λはX線波長(Å)であり、θはピーク位置角度である。
本発明の組成物において、貴金属ゼオライト触媒と金属酸化物との割合は特に限定されるものではないが、重量比で5〜50:95〜50の範囲にあるのが好ましい。また、酸化チタン光触媒を併用する場合は、組成物全体の中に占める酸化チタン光触媒の割合が5〜50重量%であるのが好ましい。
【0018】
本発明の組成物は、例えば、粉末状で消臭剤として使用したり、樹脂と併用して消臭性の塗料としたり、繊維材料に樹脂バインダーを用いて固定し、消臭および抗菌機能を有する繊維布帛およびさらに防汚機能を有する繊維布帛として使用することができる。これに有用な樹脂としては、水溶解型、水分散型、溶剤可溶型の樹脂を使用することができる。具体的には、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂などがあり、特に限定されない。
【0019】
次に、本発明の組成物を用いた繊維布帛について説明する。
本発明に有用な繊維材料としてはポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維やレーヨンなどの再生繊維、綿、羊毛、絹などの天然繊維およびそれらの混繊、交織、混紡品があり、またバラ毛状であってもよく、またそれらは織物、編物、不織布などのいかなる布帛形態にあってもよく、通常の染色加工やプリントが施されていてもよい。
【0020】
本発明の組成物は、本来固体粉末状のものであるが、繊維材料に付与する場合には、水または溶剤に分散させた形態で樹脂バインダーと併用し、これを繊維材料に固定する方法によるのが便利である。
樹脂バインダーとしては、水溶解型、水分散型、溶剤可溶型の樹脂を使用することができる。具体的には、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂などがあり、特に限定されない。
【0021】
繊維材料に固定する方法としては、例えば、次のような方法がある。すなわち、本発明の組成物を微細粒子に粉砕し、次に水分散液とする。この水分散液を水分散性の樹脂バインダーもしくは水溶解性の樹脂バインダーと混合し、樹脂液を作成する。そして、この樹脂液で繊維材料を含浸し、マングルロールで絞り、乾燥するのである。また、本発明の組成物と樹脂バインダーを含む水系の樹脂液を増粘し、ナイフコーターなどの公知の装置でコートすることも可能である。あるいは、本発明の組成物を微細粒子に粉砕したものを溶剤可溶型の樹脂バインダーの溶剤溶液中に分散させ、これをさらに適当な粘度に溶剤で希釈し、得られた樹脂液で繊維材料を含浸し、マングルロールで絞り、乾燥する方法を使用することもできる。また、繊維材料の片面にナイフコーターなどの公知の装置によりコートしたり、グラビヤロールを用いて繊維材料の片面もしくは両面に付着させることもできる。
【0022】
本発明の組成物の繊維布帛に対する付着量は、0.1g/m2 以上であるのが好ましい。付着量が少なすぎる場合は、消臭のスピードが低く、実用性がなくなる。また、付着量が多すぎる場合は、消臭効果は高くなるが、繊維布帛の手ざわりが非常に硬くなり、用途によっては商品価値がなくなる場合がある。
本発明のの組成物および繊維布帛は、法定4大悪臭に指定されているアンモニア、硫化水素、メチルメルカプタンおよびトリメチルアミンの消臭はもちろんのこと、従来極めて困難と考えられてきたタバコ燃焼ガスより発生する悪臭の消臭に加えて、汗の臭気成分であるイソ吉草酸の消臭に顕著な効果がある。これらは、無数の成分を含むタバコ燃焼ガスの消臭に効果があることより、広範囲の処理困難な悪臭の消臭に効果があることは当然である。活性炭のような物理吸着材料では吸着容量に限度があり、中和機構によるものでは消臭剤が全部消費されれば性能は失われるのに対して、本発明の組成物および繊維布帛は化学分解とイオン的な吸着(中和)を組み合わせた消臭機構によっており、消臭効果の持続性に優れる。
【0023】
また、貴金属ゼオライト触媒の酸化力により、本発明の組成物および繊維布帛は、公知の抗菌防臭剤を抗菌防臭性繊維布帛と同様に、黄色ブドウ球菌などを殺菌する作用を有し、菌が人体代謝物などを分解する時に発生する悪臭を抑制する効果もある。
さらに、酸化チタン光触媒を含む組成物においては、微弱な紫外線の存在があれば消臭スピードが向上し、殺菌力も増し、また繊維布帛に付着したタバコのヤニなどの着色物質を分解るので、防汚効果を得ることもできる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに説明する。例中「部」は重量部である。
なお、実施例中の紫外線強度の測定は、ミノルタ製UVRADIOMETER UM-1(最大吸収波長367nm)を用いて行った。
また、粉末状の消臭剤組成物は、予めボールミルで48時間粉砕し、10ミクロン以下のものを分別して使用し、それ以外のものに関してはその粒子径を記載した。
【0025】
実施例1
下記の本発明組成物を含む下記組成の2液硬化型ウレタン塗料を作成した。
Figure 0003705621
アルミ板の上に上記2液硬化型ウレタン塗料を200g/m2 の量で塗布した後、乾燥機に入れ、80℃で3分間乾燥した。これにより得られた処理アルミ板を用い、タバコ燃焼ガスの消臭試験を以下のようにして行った。
【0026】
フィルター付きタバコに火をつけ、両面粘着テープを使用してガラス板の上に垂直に立てた。300mlのポリエチレン製の袋をこの上にかぶせ、約1秒間燃焼ガスを集めた。次に、この袋の中に10cm×10cmの大きさの上記の処理アルミ板を入れ、密封した。
比較のため、未処理アルミ板についても同様に試験した。
【0027】
1時間経過後に、ポリエチレン製の袋の中の臭気を官能的に判定した。処理アルミ板側はタバコ臭気が明らかに減少しているのに、未処理アルミ板側は強いタバコ臭がした。
【0028】
実施例2
下記の本発明組成物を含む水系塗料を調合した。
組成物を樹脂中に分散させるため、ボールミルで24時間処理した後、試験に用いた。
Figure 0003705621
アミル板の上に上記水系塗料を150g/m2 の量で塗布した後、乾燥機に入れ、80℃で3分間乾燥した。得られた処理アルミ板を用い、タバコ燃焼ガスの消臭試験を以下のようにして行った。フィルター付きタバコに火をつけ、両面粘着テープを使用してガラス板の上に垂直に立てた。300mlのポリエチレン製の袋をこの上にかぶせ、約1秒間燃焼ガスを集めた。次に、この袋に10cm×10cmの大きさの処理アルミ板を入れ、密封した。
【0029】
比較のため、未処理アルミ板についても同様に試験した。
1時間経過後に、ポリエチレン製の袋の中の臭気を官能的に判定した。処理アルミ板側はタバコ臭気が明らかに減少しているのに、未処理アルミ板側は強いタバコ臭がした。
【0030】
比較例1
下記の塗料を用いた以外は、実施例1と全く同様に試験を行った。
0.1%白金担持ゼオライト 10部
水系アクリル樹脂(固形分50%) 100部
これを塗布したアルミ板のタバコ消臭性を評価したところ、臭気を軽減することは認められたが、その効果は実施例1に劣るものであった。
【0031】
比較例2
下記の塗料を用いた以外は、実施例1と全く同様に試験を行った。
酸化マグネシウム 35部
サイリシア430 35部
(多孔性二酸化珪素、富士シリシア化学(株)商標)
水系アクリル樹脂(固形分50%) 100部
これを塗布したアルミ板のタバコ消臭性を評価したところ、臭気を軽減することは認められたが、その効果は実施例1に劣るものであった。
【0032】
比較例3
下記の塗料を用いた以外は、実施例1と全く同様に試験を行った。
1%パラジウム担持ゼオライト 10部
水系アクリル樹脂(固形分50%) 100部
これを塗布したアルミ板のタバコ消臭性を評価したところ、臭気を軽減することは認められたが、その効果は実施例1に劣るものであった。
【0033】
実施例3
下記の本発明組成物を調製した。
本発明組成物
0.5%白金担持ゼオライト 10部
酸化マグネシウム 20部
サイリシア430 20部
(多孔性二酸化珪素、富士シリシア化学(株)商標)
300mlの三角フラスコ中にタバコ燃焼ガスを1秒間集めた後、上記組成物の粉末1gを投入して密閉した。次いで、10秒間三角フラスコを振ってガスと接触させた。
【0034】
比較のため、上記組成物粉末を入れない場合および上記組成物に代えて粒状のやし殻活性炭(白鷺Gc4/8、武田薬品(株)商標)1gを使用した場合について同じ操作を行った。
三角フラスコを20分間放置した後、フラスコ内の臭気を判定した。結果を下記の表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003705621
【0036】
実施例4
酸化チタン光触媒の添加効果を試験するため、実施例3の本発明組成物を下記のものに変更した。
本発明組成物
0.5%白金担持ゼオライト 10部
酸化チタン光触媒 10部
(粒子径10nm、石原産業(株)製)
酸化マグネシウム 20部
サイリシア430 20部
(多孔性二酸化珪素、富士シリシア化学(株)商標)
300mlの三角フラスコ中にタバコ燃焼ガスを1秒間集めた後、上記組成物の粉末1gを投入して密閉した。次いで、10秒間三角フラスコを振ってガスと接触させた。
【0037】
実施例3の組成物粉末を入れた場合についても同様な試験を行った。
紫外線強度0.5mW/cm2 のブラックランプの下に三角フラスコを置き、10分間放置した後、フラスコ内の臭気を判定した。結果を下記の表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0003705621
【0039】
酸化チタン光触媒を添加した上記組成物を用いると、実施例3の組成物を用いた場合に比較して、紫外線照射下でタバコ消臭スピードが上がることが認められる。
【0040】
実施例5
ポリエステル100%からなる目付150g/m2 の不織布を試験に用いた。下記の本発明組成物を含む樹脂液を調製し、ボールミルで10時間分散した。
Figure 0003705621
グラビヤコーターを使用して上記不織布の両面にそれぞれ30g/m2 の量で上記樹脂液を塗布したのち、130℃で2分間乾燥した。得られた処理不織布を用い、タバコ燃焼ガスの消臭試験を以下のようにして行った。
【0041】
タバコに火をつけ、両面粘着テープを使用して垂直に立てた。300mlの三角フラスコをこの上にかぶせ、約20秒間燃焼ガスを集めた。10cm×10cmの大きさの処理不織布をこのフラスコ中に入れ、密栓した。
比較のため、未処理の不織布も同じ手順で試験した。
10分経過後、ガステック検知管でガス濃度を測定した。結果を下記の表3に示す。
【0042】
処理不織布は、明らかにタバコ燃焼ガスの成分を減少させており、刺激性ガスの除去効果が認められる。
フラスコの臭気を嗅いだところ、未処理不織布側はタバコ臭があるのに対して、処理不織布側はほとんど臭気がなかった。さらに、不織布を取り出し、付着した臭気を判定したところ、未処理のものは強いタバコ臭がするのに対して、処理したものは臭気が殆どなかった。
【0043】
【表3】
Figure 0003705621
【0044】
実施例6
ポリエステルからなる平織物であって、目付150g/m2 のものを試験に使用した。織物を処理するため、下記の本発明組成物を含む樹脂液を用意した。樹脂液中の組成物の凝集を避けるため、サンドミルを2回通過させ、分散した。
Figure 0003705621
100メッシュのグラビヤロールを使用し、上記織物の片面に30g/m2 の量で上記樹脂液を塗布した。10cm×10cmの処理織物をガラス板の上に固定した。
【0045】
比較のため、未処理の織物も同様に固定した。
汗の臭気成分であるイソ吉草酸の消臭試験を以下のようにして行った。イソ吉草酸の1%アセトン溶液を不織布に一滴滴下し、紫外線強度5.0mW/cm2 の太陽の下で2時間放置した後、臭気を官能的に判定した。未処理織物は激しい悪臭を発生したのに対して、処理織物には殆ど臭気が感じられなかった。
【0046】
実施例7
実施例5で作成した処理不織布を使用し、アンモニア、トリメチルアミンおよびイソ吉草酸を悪臭成分として用いて、消臭試験を行った。
300mlの三角フラスコに10×10cmの処理不織布を入れ、悪臭成分を添加して密栓し、5分間放置後、ガスの濃度をガステック検知管で測定した。
【0047】
結果を下記の表4に示す。
処理不織布はそれぞれの悪臭の除去効果に優れることが認められる。
【0048】
【表4】
Figure 0003705621
【0049】
実施例8
実施例6で得られた織物について、未処理の織物と抗菌性を比較した。抗菌試験方法として、繊維製品衛生加工協議会で定められた菌数測定法を使用した。菌種には黄色ブドウ球菌を使用した。
結果を下記の表5に示す。
【0050】
本発明の織物には抗菌性があることが認められる。
【0051】
【表5】
Figure 0003705621
【0052】
実施例9
ポリエステルからなる平織物であって、目付150g/m2 のものを試験に使用した。織物を処理するため、下記の本発明組成物を含む樹脂液を用意した。樹脂液中の組成物の凝集を避けるため、サンドミルを2回通過させ、分散した。
Figure 0003705621
100メッシュのグラビヤロールを使用し、織物の片面に30g/m2 の量で上記樹脂液を塗布した。次に、10cm×10cmの処理織物をガラス板の上に固定した。
【0053】
比較のため、未処理の織物も同様に固定した。
B重油を10%ベンゼン溶液にしたものを織物の中央部に滴下し、紫外線強度5.0mW/cm2 の太陽の下で40時間放置した。
本発明の処理織物側の重油は分解して汚れが消失したのに対して、未処理の織物側は重油の濃い茶褐色が残った。
【0054】
【発明の効果】
本発明の組成物および繊維布帛は、優れた消臭性および抗菌性を有し、あるいはさらに防汚性をも有する。本発明の組成物は粉末状でスプレー式の消臭剤や消臭フィルター等として、また本発明の繊維布帛は消臭フィルター、衣料、カーテンなどのインテリア材料、衛生材料、靴のライナー材などに広く利用することができる。

Claims (2)

  1. 白金ゼオライト触媒またはパラジウムゼオライト触媒と金属酸化物とを含む組成物が樹脂バインダーで固定化された繊維材料を含み、前記金属酸化物が少なくとも1種の酸性の物質を消臭する成分と少なくとも1種の塩基性の物質を消臭する成分とを含む繊維布帛。
  2. 繊維材料にさらに酸化チタン光触媒が付与されている請求項記載の繊維布帛。
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