JP2934122B2 - 高温調理機器用皮膜およびその製造方法 - Google Patents

高温調理機器用皮膜およびその製造方法

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JP2934122B2 JP15864193A JP15864193A JP2934122B2 JP 2934122 B2 JP2934122 B2 JP 2934122B2 JP 15864193 A JP15864193 A JP 15864193A JP 15864193 A JP15864193 A JP 15864193A JP 2934122 B2 JP2934122 B2 JP 2934122B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に、電子レンジや
オーブントースター等の加熱室の壁面、ホットプレート
や調理鍋等の加熱調理面等の基材の上に形成される皮膜
の構造に関するものであり、特に食品油質が付着して
も、油染みが目立たないようにするとともににおいを無
臭化するように改良された高温調理機器用皮膜に関する
ものである。さらに、このような高温調理機器用皮膜の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の高温調理機器としてのオーブンレ
ンジおよびホットプレートをそれぞれ図面に示す。図3
はオーブンレンジの斜視図であり、図4はオーブンレン
ジに用いられている内箱の斜視図である。オーブンレン
ジ2は本体部4とドア6とからなる。本体部4には、内
箱8が嵌込まれており、内箱8は、左右の側壁10a,
10bと天板12と底板14と背板16と前板18とか
らなる。天板12には、天板12に設けられたヒータ
(図示せず)の熱を、内箱8内に導入するための複数個
の孔が設けられてなる高温熱照射孔部20が設けられて
いる。なお、22はドアの裏面である。
【0003】図5は電気ホットプレートの断面図であ
る。電気ホットプレート24はプレート板26と蓋28
とからなる。プレート板26はアルミニウム合金鋳物ダ
イキャスト材で形成されており、シーズヒータ30が埋
め込まれている。
【0004】そして、オーブンレンジの内箱8の壁面お
よび電気ホットプレートのプレート板26の調理面25
には、耐熱性を有するステンレス鋼板、ほうろう仕上げ
した鋼板あるいは4フッ化エチレン樹脂、PES樹脂、
シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂等の結合材と無機
質顔料と充填材とからなる耐熱性高分子組成物またはセ
ラミックが塗布された耐熱性金属が使用されている。
【0005】ところで、高温高速の調理機器の開発にお
いては、調理食品の味をよくするために、また時間の有
効利用を図るために、調理時間を短縮するという要求が
ある。そのため、食料品を高温下で処理する必要があ
り、調理面25、オーブンの内箱の内壁、ドア内面を高
温耐熱性のものにする必要がある。しかしながら前述し
た従来のオーブンレンジおよび電気ホットプレートで
は、高温耐熱性の点において不十分であった。
【0006】そこで、ポリチタノカルボシランを結合材
とする有機溶剤ワニス、耐熱性の金属酸化物または複合
酸化物からなる耐熱顔料、および塗料用添加剤を含む塗
料を、ホットプレートの調理面またはオーブンレンジの
内箱の壁面等に焼き付けて耐熱酸化性、耐食性および清
掃性の向上ならびに食品の焦げつき防止を図る技術が開
示されている(以下、先行技術1という)。
【0007】また、これらをさらに改良するために、上
記ポリチタノカルボシランを結合材とした塗料と馴染み
のよいフッ素樹脂粉末を20%以下の配合量で添加した
塗料を最上層部に塗膜形成する技術がある(特開平2−
282626号公報:先行技術2という)。
【0008】またさらに、上記フッ素樹脂粉末を配合し
たポリチタノカルボシランを結合材とした塗料を塗膜形
成した上に、さらに、フッ素樹脂の薄膜状の非粘着性皮
膜を最上層部に形成した技術がある(特開平3−326
18号公報:先行技術3という)。
【0009】次の改良として、先行技術3のフッ素樹脂
の薄膜状の非粘着性皮膜の下に、セラミック層と異なる
色調を有するツブツブ斑点模様状の凹凸層を形成した技
術がある(特開平4−93517号公報:先行技術4と
いう)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き先行技術で
は、汚れの付着を容易に取り除くことはできるが、脱臭
機能は有せしめられていない。公知の脱臭技術として、
オーブン壁面の一部分、天板、底板、背板にセルフクリ
ーニングのほうろうや耐熱塗装、あるいはセラミック塗
装を行って油質の汚れを分解する施工方法がある。とこ
ろが、これによっても付着した油質を分解して汚れを軽
減することはできるが、においを除去することはできな
かった。
【0011】そのため、魚、肉などを調理した後、異な
る食品を調理するときに、以前に調理した残存臭気が新
しく調理する食品に移って調理食品をまずくする原因と
なる。消費者からは、新しく調理するときには以前に調
理した残存臭気が除去、軽減できて、調理食品ににおい
移りのない調理壁面機能が強く要望されているけれど
も、その技術は十分確立していない。
【0012】そこで、本発明は、上記に鑑み、ポリチタ
ノカルボシランの持つ高温耐熱性とフッ素樹脂膜の持つ
非粘着性という特徴を保持しつつ、かつ、油染み跡を目
立たなくするとともに、残存調理臭を感じないようにし
た高温調理機器用皮膜およびその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、高温調理機器の調理面あるいは加熱室壁面等の基
材Eの上に形成される皮膜であって、主成分であるポリ
チタノカルボシランワニス、耐熱顔料を含む黒色塗料が
前記基材E上に塗布されセラミック化したセラミック層
Dからなる下塗膜と、前記セラミック層とフッ素樹脂と
の混合層Aに脱臭用触媒粉末Xが混合された中塗膜と、
セラミック層Dと異なる色調を有するツブツブ斑点模様
状の凹凸層Bと、該凹凸層Bを覆うフッ素樹脂層Cとか
ら構成された上塗膜との3層からなる高温調理機器用皮
膜である。
【0014】そして、触媒粉末Xは、セラミック粉末に
貴金属を担持させた貴金属触媒と金属酸化物からなる酸
化触媒とを配合し、セラミック粉末は臭気吸着機能を有
したものである。
【0015】この皮膜の製造方法は、主成分であるポリ
チタノカルボシランワニス、耐熱顔料を含む塗料で下塗
膜を基材E上に塗布形成した後に、前記塗料にフッ素樹
脂粉末および触媒粉末を混合した塗料で中塗膜を塗布形
成し、この中塗膜を室温乾燥あるいは強制乾燥し、この
中塗膜の上に、ディスパージョン型フッ素樹脂の液状塗
料を塗布して、乾燥、焼成するものである。
【0016】
【作用】上記課題解決手段において、脱臭用触媒Xを含
有した黒色混合層Aの上に、黒色混合層Aと異なる色調
を有するツブツブ斑点模様の凹凸層Bが形成されてい
る。そのため、調理終了後、食品油質が付着しても、光
干渉現象によって油染みが目立たなくなる。また、触媒
Xによる臭気成分の吸着と酸化分解作用によって、清掃
して残った臭気は吸着され、次のオーブン調理時の熱に
よって酸化分解されて無臭化する。
【0017】
【実施例】図1は本発明の一実施例に係る高温調理機器
用皮膜の断面図である。基材Eの上に、下塗膜のセラミ
ック層Dとなる塗料が10〜20μmの仕上げになるよ
うにスプレー塗布される。基材Eには、予め脱脂、錆落
とし、化成処理、サンドブラスト等の前処理を行ったア
ルミニウムめっき鋼板、Al−Znめっき鋼板(ガルバ
リウム鋼板)、13あるいは18Cr系ステンレス鋼板
が用いられる。
【0018】下塗膜用塗料としては、ポリチタノカルボ
シラン(例えば、宇部興産株式会社製のチラノコート)
を結合材とした有機溶剤ワニスに、高温に耐えるFe,
Co,Mn,Cr等の金属酸化物または複合酸化物の有
機顔料、増粘剤、シリコーンオイルおよび有機溶剤を混
合してなるものを使用した。この塗料の一般的な配合割
合を次にまとめる。
【0019】 チラノコートを含む有機溶剤ワニス:20〜30部 耐熱顔料:30〜40部 分散剤とオイル:1〜2部 溶剤:30〜40部 なお、上記配合割合において、塗料の比重が1.1〜
1.8、塗料の不揮発分が55〜60%になるように配
合されるのが好ましい。また、塗料の色は、耐熱顔料お
よび添加剤を厳選して、真っ黒に近い黒色がよい。
【0020】次に、セラミック層Dの上に、中塗膜用塗
料が10〜20μmの仕上げになるようにスプレー塗布
される。この塗料には、前記塗料の配合割合に追加し
て、フッ素樹脂粉末(ヘキストジャパン株式会社製のホ
スタフロン#9205)を15±5部と脱臭用触媒Xを
5〜10部添加混合した白味のない黒色塗料が好まし
い。この中塗膜を室温乾燥あるいは強制乾燥し、有機溶
剤を揮発させ、あるいは半焼成状態にすると、セラミッ
ク層とフッ素樹脂層との混合層Aが形成される。
【0021】脱臭用触媒Xは、アルミナ、シリカ、ゼオ
ライト、カーボンなどのセラミック粉末に白金、パラジ
ウム等の触媒を担持させた貴金属触媒と、マンガン、
銅、鉄、ニッケルなどの金属酸化物からなる酸化触媒を
混合したものである。また、この触媒に、セピオライ
ト、ゼオライト、アルミナ、シリカの臭気成分を吸着す
る機能を有する吸着材を混合しておく。
【0022】そして、混合層Aの上に、触媒無添加の中
塗膜用塗料がツブツブ斑点状に、石目模様(皮シボ模
様)の凹凸層Bとなるようにスプレー塗布される。この
塗料には、マイカ粉顔料を2%の範囲内で添加混合した
ものを使用するが、これに限るものではなく、これに類
する層間密着性と高温耐熱性を有する塗料であればよ
い。
【0023】次に、上塗膜のフッ素樹脂層Cとなるディ
スパージョン型4フッ化エチレン樹脂のフッ素樹脂の液
状塗料(例えば、ダイキン工業株式会社の商標”シルク
ウェア”黒色系品番EK−4609BK)を5μm以下
の厚みになるように、薄く、霜降り状あるいは薄く連続
して塗布し、室温乾燥あるいは150℃、20分の予備
乾燥を経て、380〜420℃の温度で10〜20分間
焼結する。すると、図1に示す断面構造を有する皮膜が
形成される。
【0024】次に、上述のような構造を有する皮膜を、
従来の皮膜に比べて残存する臭気が皆無となるようにす
るための留意点について説明する。
【0025】まず、チラノコートを含む有機溶剤ワニス
および耐熱顔料を主成分とする混合層A用塗料が、従来
塗料に比べて、臭気成分を吸着する吸着材と酸化分解す
る触媒粉末とを配合した複合触媒組成にされていること
である。すなわち、従来の顔料は、チタン酸アルミ、M
n−Fe−Cuの複合酸化物の顔料を用いていたのに対
して、本実施例においてはこれら顔料にプラスしてゼオ
ライト、Mn系触媒、Pt系触媒等を添加し、さらに顔
料と触媒の配合とチラノコートバインダの最適配合量を
求めて、黒色仕上がりの混合層Aにした点である。
【0026】脱臭用触媒の脱臭効果を調べた結果を表1
に示す。これにより、塗料に添加して最も脱臭効果のあ
るものは、貴金属触媒や合成ゼオライトであることがわ
かる。また、脱臭効果があって耐薬品性のよいものは酸
化触媒であることがわかる。
【0027】
【表1】
【0028】ここで塗料Aとは、ポリチタノカルボシラ
ンを結合材とした塗料にフッ素樹脂粉末を20%以下の
配合量で添加した塗料のことである。貴金属触媒は、例
えばエヌ・イー・ケムキャット株式会社製の0.5%P
t−アルミナである。酸化触媒は、例えば東ソー株式会
社製の電解二酸化マンガンFMである。合成ゼオライト
は、例えば東ソー株式会社製のゼオラムA−4である。
活性アルミナは、例えば水澤化学工業株式会社製のアル
ミナAである。シリカは、例えば富士デヴィソン株式会
社製のサイロイド63である。セピオライトは、例えば
水澤化学工業株式会社製のセピオライトSである。タル
クは、例えば日本タルク株式会社製のタルクMS−Aで
ある。ベントナイトは、例えば日本タルク株式会社製の
ベントナイトである。チタン酸カリウムは、例えば大塚
化学株式会社のトフィカYNである。脱臭性能とは、対
象物質トリメチルアミン(魚の腐敗臭)に対しての脱臭
効果である。脱臭効果で、○は非常に効果あり、△は効
果あり、▽はわずかに効果あり、×はほとんど効果なし
を表す。耐熱性とは、400℃で16時間加熱した後の
皮膜の変色および密着の度合いである。耐薬品性とは、
40℃の3%水酸化ナトリウム水溶液および3%酢酸水
溶液に3時間浸漬したときの被膜の変色および密着の度
合いである。被膜性能とは、耐洗剤性、耐沸騰水性、耐
汚染性、耐食性などの高温調理機器用皮膜として必要な
性能である。耐熱性、耐薬品性および被膜性能で、○は
異常なし、△はやや問題あり、×は問題ありを表す。
【0029】また、塗料Aに添加すべき材料の最適な混
合比率を選定するための材料の変化試験を行い、その結
果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】ここで塗料Aとは、ポリチタノカルボシラ
ンを結合材とした塗料にフッ素樹脂粉末を20%以下の
配合量で添加した塗料のことである。貴金属触媒は、例
えばエヌ・イー・ケムキャット株式会社製の0.5%P
t−アルミナである。酸化触媒は、例えば東ソー株式会
社の電解二酸化マンガンFMである。合成ゼオライト
は、例えば東ソー株式会社製のゼオラムA−4である。
脱臭性能とは、対象物質トリメチルアミン(魚の腐敗
臭)に対しての脱臭効果である。脱臭効果で、○は非常
に効果あり、△は効果あり、×はほとんど効果なしを表
す。耐熱性とは、400℃で16時間加熱した後の皮膜
の変色および密着の度合いである。耐薬品性とは、40
℃の3%水酸化ナトリウム水溶液および3%酢酸水溶液
に3時間浸漬したときの皮膜の変色および密着の度合い
である。被膜性能とは、耐洗剤性、耐沸騰水性、耐汚染
性、耐食性などの高温調理機器用皮膜として必要な性能
である。耐熱性、耐薬品性および被膜性能で、○は異常
なし、△はやや問題あり、×は問題ありを表す。
【0032】これにより、上記3種類の材料で混合比率
を5〜10%にすると、脱臭性能、耐熱性、耐薬品性、
被膜性能に優れた塗料とすることができる。
【0033】また、この配合にて作成されたオーブンの
脱臭性能試験結果を表3に示す。これにより、脱臭コー
ト塗装オーブンの脱臭性能が優れていることがわかる。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】ここで、ステンレス製オーブンとは、無塗
装のオーブンのことである。従来塗装オーブンとは、先
行技術4の方法で作成されたオーブンのことである。脱
臭コート塗装オーブンとは、表4に示す配合の脱臭用触
媒を混合した塗料で作成されたオーブンのことである。
脱臭性能測定は次の方法で行う。初期脱臭性能は、内容
積27500cm2のオーブンレンジ庫内塗装品(ブラ
ンクは無塗装品)のパンチング部などの穴をアルミニウ
ム製マスキングテープで、前面部をアルミホイル(クッ
キングホイル/東洋アルミホイルプロダクツ製:厚み1
5μm)で両面テープを用いて塞ぐ。なお、前面部を塞
ぐ前に庫内にステンレス鋼板で台を作り、その上にあら
かじめ250℃で5分間加熱したアルミニウム板(70
×70×6mm)を置き、さらにその上に時計皿(45
φ×1.7mm)を載せる。メスピペットでトリメチル
アミン3%水溶液を0.3ml時計皿の上に滴下し、ア
ルミニウム板の余熱で蒸気化させ(約5分間)、10分
後にアミン類検知管(ガステック製)で残留濃度を測定
する。また、加熱後脱臭性能は、上記と同様の操作でト
リメチルアミンを蒸気化させた後、200℃で30分加
熱したものについて、10分後にアミン類検知管(ガス
テック製)で残留濃度を測定する。なお、NDは検知管
の検出限度の0.5ppm以下のことである。
【0037】次の留意点として、混合層Aが効率よく臭
気成分を吸着し、酸化するように凹凸層Bのツブツブ仕
上げの状態と色調およびフッ素樹脂層Cの仕上げの状態
と色調を選定した点である。
【0038】実施例では、凹凸層Bとして、混合層Aの
色調よりやや色差のある、白味がかったセラミック塗料
(チラノコート)またはフッ素樹脂塗料が選ばれ、混合
層Aが十分露出するようにツブツブの占める面積も40
%以下にツブツブの大きさ、形状を調整している。
【0039】そして、最適の条件下で混合層Aを形成
し、さらに、最適に選ばれた条件下でツブツブ斑点模様
の混合層Bを形成することによって、油染みを目立たな
くすると同時に触媒により臭気成分を吸着および酸化分
解することができる。すなわち、付着した食品の油脂分
が混合層Aに染み込んでも、その染み跡は混合層Aの黒
色と凹凸層Bのツブツブ斑点による光干渉現象によって
見た目に染み跡が見えなくなり、その結果、油染みが目
立たなくなる。そして、臭気成分も除去する。さらに、
フッ素樹脂層Cは霜降り状あるいは薄く連続して塗布し
仕上げているため、4フッ化エチレン樹脂膜の持つガス
透過性とピンホールの効果で臭気が混合層Aまで到達可
能となり、触媒Xの吸着脱臭効果に寄与し、さらにフッ
素樹脂膜の非粘着性による汚染防止と清掃性およびにお
い付着をよせつけない。このときに、大切なのが、前述
したように、フッ素樹脂層Cの膜厚が厚くなり過ぎる
と、吸着と触媒効果を低下するので、フッ素樹脂層Cが
霜降り状あるいは薄膜状仕上げに調整して仕上げ作業す
ることが重要である。
【0040】次に、本発明の高温調理機器用皮膜を図3
および図4に示すオーブンレンジに適用して、適切な塗
布方法、ディスパージョン型フッ素樹脂塗料の積層手
順、焼成条件を求めた。内箱8の左右の側壁10a,1
0b、底板14、背板16、前板18および前板18と
接触するドア6の裏面22には、250〜450℃の範
囲の温度に耐え得るように、アルミニウムメッキ鋼板、
ガルバリウム鋼板あるいはSUS430,SUS41
0,SUS304のステンレス鋼板が用いられた。天板
12にはヒータが設けられており(図示せず)、その最
大温度が800℃にもなるので、天板12には耐熱性に
優れたSUS444等のステンレス鋼板が使用される。
【0041】(実施例1)まず、下塗膜用塗料でオーブ
ン8の天板12、底板14、背板16、左右側壁10
a,10bの内表面と前板18の表面に、セラミック層
Dが10〜20μmの仕上がり厚みになるように塗装吹
付けを行なう。次に、中塗膜用塗料を用いて、天板12
以外の部分、すなわち底板14、背板16、左右側壁1
0a,10bおよび前板18に、触媒Xを含有した混合
層Aが10〜20μmの厚みになるように、吹付け塗装
を行なう。天板12は800℃のヒータが取付けられる
ため、下塗膜用塗料を用いて、図2に示すようなセラミ
ック層Dのみの1コート仕上げにする。これにより、8
00℃までの耐熱性を有する耐久性のある塗膜が堅持で
きる。
【0042】次に、天板12を除いた面に、触媒無添加
の中塗膜用塗料を用いて、図1に示すように、まばらに
分散されたツブツブ状の斑点模様仕上げの凹凸層Bを形
成する。さらに、天板12を除いた面に、上塗膜用塗料
を用いて霜降り状もしくは薄い連続したフッ素樹脂層C
になるように、吹付け仕上げを行う。その後、150
℃、10〜15分の予備乾燥後、380〜420℃、1
0〜20分の焼成を行い、セラミック化とフッ素樹脂の
塗膜化を行って、仕上げとする。なお、背板16の外側
に熱風を循環させるためのヒータが配設される場合に
は、そのような場合にはフッ素樹脂塗料のコーティング
は行わない。上述の工程で、特に注意をしなければなら
ない点は、触媒無添加の中塗膜用塗料のツブツブ状に分
散した皮膜が大きい斑点あるいは小さい斑点にならない
ように、また量が多すぎたり、少なすぎたりしないよう
に、すなわち、適性なパターン見本になるように吹付け
量および吹付けパターンを調節する点である。この斑点
が少なかったり、多すぎて白化すると、油染みが目立ち
やすくなるので、注意して仕上げる必要がある。
【0043】なお、上述のセラミック層D用の塗料に白
色顔料を配合した塗料を用いて、斑点模様に仕上げて
も、実施例と同様の効果を実現する。また、セラミック
層用塗料に、フッ素樹脂層C用塗料と同一のフッ素樹脂
塗料を用いて、斑点仕上げを行っても実施例と同様の効
果を実現する。
【0044】(実施例2)図5に示すホットプレートの
場合には、上記実施例の工程とは異なり、800℃以上
の耐熱性が要求される天板および400℃以上の耐熱性
が要求される背板がないため、基材上にセラミック層用
塗料→混合層用塗料→触媒無添加の混合層用塗料→フッ
素樹脂層用塗料のコーティングを行って、実施例1と同
じ乾燥、焼成を行って仕上げる。
【0045】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、本発明の範囲内で上記実施例に多くの修
正および変更を加え得ることは勿論である。上記実施例
ではセラミック層Dを形成した場合について説明した
が、このセラミック層Dを省略した構造、セラミック層
D+混合層A+フッ素樹脂層C、セラミック層D+混合
層Aのみ、あるいはセラミック層Dに本発明の触媒を添
加した1コート構造のものも使途によって使用できる。
また、上塗膜は、凹凸層とフッ素樹脂層とから構成しな
くても、フッ素樹脂層だけであってもよい。
【0046】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明の
高温調理機器用皮膜によると、黒色セラミック層の上
に、脱臭用触媒を含有する混合層とツブツブ斑点模様の
凹凸層とフッ素樹脂層が形成されているので、調理終了
後、食品油質が皮膜に付着しても、光干渉現象によって
油染みが目立たなくなると同時に、触媒により臭気成分
が吸着、酸化分解で脱臭されるという効果を奏する。
【0047】これによって、前の調理の残存臭気が新し
く調理する食品に移ることがなくなり、調理食品がまず
くなることを防ぐことができる。したがって、脱臭効果
に優れた皮膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る高温調理機器用皮膜の
断面図
【図2】本発明が適用されたオーブンレンジの天板に形
成される皮膜の断面図
【図3】オーブンレンジの斜視図
【図4】オーブンレンジに嵌め込まれる内箱の斜視図
【図5】電気ホットプレートの断面図
【符号の説明】
A 混合層 B 凹凸層 C フッ素樹脂層 D セラミック層 E 基材 X 触媒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B32B 15/08 102 B32B 15/08 102B (56)参考文献 特開 平6−337117(JP,A) 特開 平4−93517(JP,A) 特開 昭55−155738(JP,A) 特開 平4−203810(JP,A) 特開 昭55−132641(JP,A) 特開 昭57−134562(JP,A) 特開 平2−282626(JP,A) 特開 平3−32618(JP,A) 特開 平5−140505(JP,A) 特開 平2−53871(JP,A) 特開 平1−167379(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47J 36/02 C09D 127/12 F24C 7/02 511 F24C 14/00 F24C 15/00 B32B 15/08 102

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温調理機器の調理面あるいは加熱室壁
    面等の基材の上に形成される皮膜であって、 主成分であるポリチタノカルボシランワニス、耐熱顔料
    を含む黒色塗料が前記基材上に塗布されセラミック化し
    たセラミック層からなる下塗膜と、前記セラミック層と
    フッ素樹脂との混合層からなる中塗膜と、フッ素樹脂か
    らなる上塗膜との3層からなる高温調理機器用皮膜にお
    いて、 前記セラミック層とフッ素樹脂との混合層に、脱臭用触
    媒粉末が混合されたことを特徴とする高温調理機器用皮
    膜。
  2. 【請求項2】 触媒粉末は、セラミック粉末に貴金属を
    担持させた貴金属触媒と金属酸化物からなる酸化触媒と
    を配合したことを特徴とする請求項1記載の高温調理機
    器用皮膜。
  3. 【請求項3】 セラミック粉末が臭気吸着材とされたこ
    とを特徴とする請求項2記載の高温調理機器用皮膜。
  4. 【請求項4】 下塗膜を10〜20μm、中塗膜を10
    〜20μm、上塗膜を5μm以下の厚みにして、3層全
    体を30〜40μmの厚みに形成したことを特徴とする
    請求項1、2または3記載の高温調理機器用皮膜。
  5. 【請求項5】 上塗膜が、セラミック層と異なる色調を
    有するツブツブ斑点模様状の凹凸層と、該凹凸層を覆う
    フッ素樹脂層とから構成されたことを特徴とする請求項
    4記載の高温調理機器用皮膜。
  6. 【請求項6】 主成分であるポリチタノカルボシランワ
    ニス、耐熱顔料を含む塗料で下塗膜を基材上に塗布形成
    した後に、 前記塗料にフッ素樹脂粉末および触媒粉末を混合した塗
    料で中塗膜を塗布形成し、 この中塗膜を室温乾燥あるいは強制乾燥し、 この中塗膜の上に、ディスパージョン型フッ素樹脂の液
    状塗料を塗布して、乾燥、焼成する高温調理機器用皮膜
    の製造方法。
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