JP2002200148A - 不飽和炭化水素系アルデヒドガス用消臭剤 - Google Patents

不飽和炭化水素系アルデヒドガス用消臭剤

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JP2002200148A
JP2002200148A JP2000400589A JP2000400589A JP2002200148A JP 2002200148 A JP2002200148 A JP 2002200148A JP 2000400589 A JP2000400589 A JP 2000400589A JP 2000400589 A JP2000400589 A JP 2000400589A JP 2002200148 A JP2002200148 A JP 2002200148A
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deodorant
resin
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gas
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Toshiro Hirukawa
敏郎 蛭川
Osamu Takagi
修 高木
Noriyuki Yamamoto
則幸 山本
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】不飽和脂肪族炭化水素系アルデヒドガスに対す
る消臭能に優れた消臭剤を提供する。 【解決手段】光触媒からなる不飽和炭化水素系アルデヒ
ドガス用消臭剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光触媒を利用した不
飽和炭化水素系アルデヒドガス用消臭剤に関する。
【0002】
【従来の技術】高齢化先進国である日本では、爽やかで
若々しくありたいと考える中高年の人が増えている一
方、中高年の体臭を嫌がる人は多く、体臭を除去する消
臭剤の開発が望まれている。中高年の体臭の原因は不飽
和基含有脂肪族系炭化水素系アルデヒドガスの一種であ
るノネナールであることが、知られている。ノネナール
臭の消臭に対して、ノネナールの生成を抑制する方法
や、他の臭気成分で目立たなくする(マスキング)方法が
考えられる。しかし、マスキング効果は個人差が強く、
また最近の市場動向では、マスキングより無臭化が求め
られており、未だ有効な消臭剤は開発されていない。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、不飽和脂
肪族炭化水素系アルデヒドガスに対する消臭能に優れた
消臭剤を提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、光触媒を用いることが上記課題を解決する上
で極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明は、光触媒からなる不飽和炭化水
素系アルデヒドガス用消臭剤である。
【0005】○光触媒 本発明における光触媒は、紫外線もしくは可視光等の光
が照射されることにより化学反応の触媒として働く物質
のことであり、光の照射により励起された電子や正孔が
空気中の酸素や水分子に働きかけ、各種活性酸素種を発
生させる作用を有するものである。好ましい光触媒とし
て酸化チタン、酸化亜鉛等があり、消臭性能、安全性、
加工性などから酸化チタンが好ましい。ここでいう酸化
チタンとは酸化チタンの他、含水酸化チタン、水和酸化
チタン、オルソチタン酸、メタチタン酸、水酸化チタン
と一般に呼ばれるものを含み、結晶型はアナターゼ型、
ルチル型、ブルッカイト型などがあり、いずれを用いて
も良いが、光触媒性能の優れたアナターゼ型を用いるこ
とが好ましい。更に光触媒粒子の光触媒機能を向上させ
るために、その内部および/又はその表面にV,Fe,
Co,Ni,Cu,Zn,Ru,Rh,Pt,Pdおよ
びAgからなる群より選ばれる元素の少なくとも一種の
金属および/またはその化合物を含有させても良い。ま
た、光触媒粒子の粒径は優れた光触媒機能を有すること
から微細なものが好ましく、より好ましくは5〜100
00nmの範囲、更に好ましくは10〜5000nmの
範囲である。
【0006】○光触媒とガス吸着材との複合体 本発明においては前記の光触媒をそのまま用いても良い
が、光触媒とガス吸着材との複合体を用いることによ
り、消臭性能を向上することができる。本発明における
光触媒とガス吸着材との複合体とは、光触媒粒子の単一
粒子又はその集合粒子の表面に、ガス吸着材が島状に分
布している状態、光触媒粒子の表面の全面がガス吸着材
で被覆されている状態、あるいはガス吸着材が光触媒粒
子間の隙間に充填されている状態、又は、ガス吸着材に
光触媒粒子が担持されている状態等をいう。ガス吸着材
は、ガス吸着能を有していればよく、ガス吸着能の大き
い活性炭、ケイ素の酸化物、珪酸塩、不溶性叉は難溶性
の4価金属リン酸塩が好ましい。
【0007】本発明に使用される活性炭は、通常1gあ
たり数百m2あるいはそれ以上の大きな比表面積を有
し、高いガス吸着性を示す炭素材料であればいずれも用
いることができる。活性炭の原料には、通常ヤシガラま
たは木材等の炭化物、あるいは石炭が使用されるがいず
れでも良い。また賦活方法も水蒸気あるいは二酸化炭素
により高温で賦活する方法、または塩化亜鉛、リン酸、
濃硫酸等の化学薬品で処理する方法等いずれの方法によ
って得られたものでも良い。活性炭の形状は破砕炭、粒
状炭あるいは顆粒炭のいずれでも使用できる。
【0008】本発明における好ましいケイ素の酸化物は
酸化ケイ素、ケイ酸、シリカゲル等である。ケイ素の酸
化物には、硫黄系の悪臭に対する消臭性能を向上させる
ためにZn、Cn、Mnなどの金属の酸化物、または水酸
化物を含有させることも可能である。本発明における好
ましいケイ酸塩は、珪酸ソーダ、珪酸カルシウム、珪酸
ジルコニウム等である。
【0009】本発明の不溶性叉は難溶性の4価金属リン
酸塩の好ましい具体例としてリン酸ジルコニウム、リン
酸チタン、リン酸スズなどのリン酸塩があるが、リン酸
ジルコニウム、リン酸チタンが特に好ましい。これらの
化合物には、α型結晶、β型結晶、γ型結晶、ナシコン
型結晶等、種々の結晶型を有する結晶質のものと非晶質
のものがあり、いずれの結晶型あるいは非晶質であって
もよいが、非晶質であることがより好ましい。また、本
発明における不溶性叉は難溶性の4価金属リン酸塩は硫
黄系の悪臭に対する消臭性能を向上させるためにZn、
Cu、Mnなどの金属を含有していても良い。
【0010】光触媒の表面にガス吸着材が被覆された複
合体におけるガス吸着材の含有量は0.1〜30wt%の
範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜10wt%の範
囲である。含有量が0.1wt%より小さいと悪臭吸着性
能が十分ではない。含有量が30wt%より大きいと光触
媒能が十分得られない。また、ガス吸着材に光触媒を担
持した複合体におけるガス吸着材の含有量は30〜99
wt%の範囲が好ましく、より好ましくは50〜90wt%の
範囲である。ガス吸着材の含有量が30wt%より小さい
と光触媒を強く担持することができず、光触媒が落下、
剥離する恐れがある。また、含有量が99%より大きい
と光触媒能が十分得られない。
【0011】本発明の消臭剤は、通常粉体状で得られ、
好ましい平均粒径は0.01〜50μmであり、より好
ましくは0.01〜20μmであり、さらに好ましくは
0.1〜5μmである。平均粒径が0.01μm未満で
は取扱いが困難である、再凝集しやすいといった問題が
あり好ましくない。また、50μmより大きいと、バイ
ンダー等の表面処理剤に分散させ繊維等に後加工する場
合に表面処理剤中で均一に分散させにくい等の問題があ
り好ましくない。また、使用目的により本発明の消臭剤
を粒状化してもよい。粒状体の製造方法は通常粉体を粒
状化する方法はいずれも用いることができる。例えば、
シリカゲル、アルミナゾル、粘土等をバインダーとして
用い、粒状体とする方法がある。粒径は粒状体の硬さ
や、密度、粉砕強度のなどにより様々に調整することが
できるが、取り扱いのし易さから0.1mm以上とするこ
とが好ましい。
【0012】ガス吸着材が光不活性である場合、ガス吸
着材で光触媒の表面を被覆した消臭材は、樹脂製品に練
り込んだ際、樹脂と光触媒とが接触しなくなるため、光
照射下での樹脂の劣化を抑制できる。
【0013】本発明における消臭剤は、光触媒を使用し
不飽和脂肪族炭化水素系アルデヒドガスを光分解により
消臭する消臭剤であるが、不飽和脂肪族炭化水素系アル
デヒドガスと化学的に反応、あるいはこのガスを物理的
に吸着する材料と混合したり、併用してもよい。このよ
うな材料として、例えば、分子中にアミノ結合、尿素結
合、アミド結合またはイミド結合などのNH結合を有する
化合物を大豆粉、血粉、ポリエステル樹脂、ポリアクリ
ル系樹脂等の有機物固体や、多孔質二酸化ケイ素、活性
炭の他、セピオライト、雲母などの粘土鉱物の無機物固
体に担持させたもの、あるいは珪酸アルミニウムが挙げ
られる。
【0014】本発明における消臭剤は、特に不飽和脂肪
族炭化水素系アルデヒドガスに対して有効であるが、体
臭には不飽和脂肪族炭化水素系アルデヒドガス以外にも
各種成分が含まれるので、対象とするガスによって、そ
の他の消臭剤と混合したり、併用することも可能であ
る。
【0015】硫化水素、メチルメルカプタンなどの硫黄
含有悪臭に対しては、銅、亜鉛、マンガンなどの金属イ
オンを担持した4価金属リン酸塩当を用いることができ
る。
【0016】酢酸、イソ吉草酸、酪酸などの酸性悪臭ガ
スを消臭する為に、無機陰イオン交換体を併用すること
もできる。陰イオン交換体として、水和酸化ジルコニウ
ム、ハイドロタルサイト化合物およびその焼成物などが
挙げられる。ハイドロタルサイト化合物およびその焼成
物が特に酸性悪臭ガス消臭性能に優れる。ハイドロタル
サイト化合物は下記一般式〔1〕で表わされるハイドロ
タルサイト構造を有する化合物であり、マグネシウム−
アルミニウムハイドロタルサイト、亜鉛−アルミニウム
ハイドロタルサイトなどがある。
【0017】
【化1】
【0018】ハイドロタルサイト焼成物は、ハイドロタ
ルサイト化合物を約500℃以上で焼成し、炭酸根や水
酸基が脱離することにより得られる化合物である。
【0019】更に、他の機能性の液体や固体と混合して
も良い。他の機能を有した物としては、抗菌剤や防カビ
剤、紫外線吸収剤、昆虫忌避剤など、希望する機能を有
するものであれば、特に限定しない。
【0020】本発明の消臭剤は、繊維、塗料、シート等
の種々の消臭性製品として利用できる。 ○消臭性繊維 本発明の消臭剤を繊維に含有させることにより消臭性繊
維を得ることができる。繊維としては、天然繊維及び合
成繊維のいずれであっても良く、また、短繊維、長繊維
及び芯鞘構造をもった複合繊維等いずれであっても良
い。用いることができる繊維用樹脂は公知のものはいず
れも使用することはできるが、好ましい具体例として、
例えばポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリエチレ
ン、ポリビニル、ポリビニリデン、ポリウレタン及びポ
リスチレン樹脂等がある。これらの樹脂は、単独ポリマ
ーであっても共重合体であってもよい。共重合体とする
場合、その各成分の重合割合に特に制限はない。
【0021】繊維用樹脂に消臭剤を含有させる方法には
特に制限はなく、例えば、消臭剤を後加工で塗布する場
合には、消臭剤を含有した水系あるいは有機系懸濁液
を、塗布やディッピング等の方法で繊維表面に付着さ
せ、溶媒を除去することにより繊維表面にコーティング
することができる。必要に応じ水系あるいは有機系懸濁
液に、界面活性剤等の分散性を向上させるための薬剤を
添加してもよい。界面活性剤等はアニオン系、ノニオン
系、カチオン系等いずれのものでも必要に応じて使用で
きる。また、繊維表面への付着力を増すためのバインダ
ーを混合してもよい。バインダーとしては、溶媒を除去
した後に付着力が出ればいずれでもよい。消臭剤を含有
する水系の懸濁液のpHは特に制限はないが、消臭剤の
性能を十分に発揮させるためにはpHが6〜8付近であ
ることが好ましい。
【0022】繊維用樹脂に含有させる消臭剤の割合は、
特に限定はされない。一般に担持量を増やせば消臭性を
強力に発揮させ、長期間持続させることができるが、あ
る程度以上に担持させても消臭効果に大きな差が生じな
いこと、あるいは繊維の強度が低下することがあるの
で、好ましくは繊維用樹脂100重量部当たり0.1〜
20重量部であり、より好ましくは0.5〜10重量部
である。また、樹脂中には目的に応じて添加剤、例え
ば、艶消し剤、着色剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、安定
剤、難燃剤、抗菌防臭剤、防黴剤、赤外線吸収剤及び紫
外線吸収剤等を含んでいても良い。
【0023】○消臭性塗料 本発明の消臭剤を塗料に含有させることにより消臭性塗
料を得ることができる。塗料成分は、塗膜形成要素と塗
膜形成助剤からなる。塗膜形要素剤は、塗膜の主体とな
る塗膜要素の他、可塑剤、硬化剤、乳化剤及び分散剤等
の塗膜副要素並びに顔料からなり、塗膜形成助要素は溶
剤又は希釈剤等からなる。上記塗膜主要素に特に制限は
なく、天然植物油、天然樹脂、半合成樹脂及び合成樹脂
のいずれであっても良く、また熱可塑性樹脂、熱硬化性
樹脂のいずれであっても良い。
【0024】好ましい油脂及び樹脂としては、例えばあ
まに油、しなきり油、大豆油等の乾性油又は半乾性油、
ロジン、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸酪
酸セルロース、ベンジルセルロース、ノボラック型又は
レゾール型のフェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノア
ルキド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、シリコーン樹
脂、ホモポリマー型熱硬化性、コポリマー型熱硬化性、
変成型熱硬化性又は熱硬化性のフッ素樹脂、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹
脂及びポリ塩化ビニリデン樹脂等がある。
【0025】本発明の塗料組成物は液状であり、溶液型
及び分散型のいずれでもよく、溶媒も特に制限はなく、
親油性有機溶剤、親水性有機溶剤及び水のいずれでもよ
い。又、本発明の液状組成物はいかなる機構により硬化
するタイプでもよく、具体的には酸化重合型、湿気重合
型、加熱硬化型、触媒硬化型、紫外線硬化型、及びポリ
オール硬化型等がある。
【0026】本発明における消臭剤が水に対して不溶性
又は難溶性であるため、その形成成分の溶出が少なく、
又有機溶剤に対して安定であるため、塗料組成物を極め
て容易に調製することができる。具体的には、上記消臭
剤と塗料成分をボールミル、ロールミル、デイスパーや
ミキサー等の一般的な混合装置を用いて十分に分散、混
合すればよい。
【0027】本発明の塗料組成物を塗布する方法には特
に制限はなく、塗膜形成要素の特性に応じて公知の方法
に従って塗布すればよい。又、本発明の塗料組成物を硬
化する方法も特に制限はなく、常温乾燥、加熱、紫外
線、可視光又は電子線等の光線を照射する方法等のいず
れでもよく、塗料組成物の硬化機構に応じて適宜公知の
硬化手段を採用することができる。
【0028】本発明の塗料組成物に含有させる消臭剤の
割合は、特に限定はされない。一般に含有量を増やせば
消臭性を強力に発揮させ、長期間持続させることができ
るが、ある程度以上に含有させても消臭効果に大きな差
が生じないこと、あるいは塗装面の光沢がなくなった
り、割れが生じたりするので、好ましくは塗料組成物1
00重量部当たり0.1〜20重量部であり、より好ま
しくは0.5〜10重量部である。又、塗料組成物中の
消臭剤含有量を多くし、塗料の粘度を上げたペースト状
の塗料組成物を予め用意し、塗装時に溶剤で希釈して用
いることもできる。この場合、ペースト状の塗料組成物
中の消臭剤の好ましい含有量は、塗料組成物100重量部
あたり、30〜70重量部である。
【0029】○消臭性シート 本発明の消臭剤をシートに含有させることにより消臭性
シートを得ることができる。本発明におけるシートは、
柔軟で折り曲げ可能なものであれば、その材質、微構造
等に制限はない。好ましい材質は樹脂、紙等、あるいは
これらの複合物であり、好ましい微構造は多孔質であ
る。シートの好ましい具体例として、和紙、合成紙、不
織布、樹脂フィルム等があり、特に好ましいシートは天
然パルプ及び/又は合成パルプからなる紙である。
【0030】好ましい天然パルプとして、木材パルプ、
靭皮繊維、葦パルプ、バガスパルプ、ワラパルプ、竹パ
ルプ等があり、好ましい合成パルプとして、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リ塩化ビニル、ポリスチレン、アルミナ繊維、炭素繊
維、ガラス繊維、ジルコニア繊維、アルミナ・シリカ繊
維等からなる合成繊維がある。
【0031】天然パルプを使用すると、微細に枝分かれ
した繊維間に消臭剤粒子の粉末が挟まれ、特に結合剤を
使用しなくても実用的な担持体となるが、耐薬品性の点
で天然パルプの繊維は合成パルプより若干劣るので、使
用される系によってはこの点を改善するため合成パルプ
を使用してもよい。
【0032】合成パルプを使用する場合には、繊維間に
粉体を挟み込むことにより消臭剤粒子を担持することが
困難となることがあるので、抄紙後の乾燥工程において
繊維の一部を溶融し、粉末と繊維との間の付着力を増加
させたり、繊維の一部に別の熱硬化性樹脂繊維を混在さ
せることもよい。
【0033】このように天然パルプと合成パルプとを適
当な割合で混合して使用すると、種々の特性を調整した
紙を得ることができ、一般に合成パルプの割合を多くす
ると、強度、耐水性、耐薬品性及び耐油性等に優れた紙
を得ることができ、一方、天然パルプの割合を多くする
と、吸水性、ガス透過性、親水性、成形加工性及び風合
い等に優れた紙を得ることができる。
【0034】シートに上記消臭剤を担持させる方法には
特に制限はない。消臭剤の担持は、シートの製造時又は
シートの製造後のいずれでもよく、例えば、紙に担持す
る場合、抄紙工程のいずれかの工程において消臭剤を導
入したり、バインダーと共に消臭剤を分散させた液体を
予め製造した紙に塗布、浸漬又は吹き付ける方法があ
る。以下、一例として、抄紙工程時に消臭剤を導入する
方法について、更に詳細に説明する。
【0035】抄紙工程自体は公知の方法に従って行えば
よく、例えば、以下のようにして行うことができる。ま
ず、所定の割合で消臭剤とパルプとを含むスラリーに、
カチオン性及びアニオン性の凝集剤をそれぞれ全スラリ
ー重量の5重量%以下添加して凝集体を生成する。各凝
集剤の使用量をスラリー全体の5重量%よりも多くする
と、凝集体が大きくなり過ぎたり、所定の大きさの凝集
体とならず、消臭剤粒子を均一に分散した紙を得ること
が困難となることがあるにで、その使用量は5重量%以
下とすることが好ましい。次いで、この凝集体を公知の
方法によって抄紙を行うと共に、これを温度100〜1
90℃で乾燥させることにより、消臭剤を担持した紙を
得ることができる。
【0036】好ましいカチオン性の無機凝集体として、
硫酸アルミニウム、水酸化亜鉛等があり、好ましいカチ
オン性有機凝集剤として、カチオン性デンプン、ポリア
クリルアミド−カチオン性モノマー共重合体、ポリビニ
ルベンジルトリメチル、アンモニウムクロライド、ポリ
ビニルピリジン塩、縮合型高分子凝集剤としての陽性ポ
リアミド、水溶性尿素樹脂、ポリチオ尿素塩、陽性ポリ
尿素、ポリアミノトリアゾール、アミン−エピクロルヒ
ドリン重縮合物塩、アンモニアエピクロルヒドリン重縮
合部塩等があり、好ましいアニオン性有機凝集剤とし
て、重合型高分子のカルボキシル−メチル−スターチ
(CMS)、カルボキシル−メチル−セルロース(CM
C)、ポリアクリルアミド−カチオン性モノマー共重合
体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、マレイン酸共
重合体等がある。アニオン性凝集剤とカチオン性凝集剤
とを併用すると、消臭剤粒子とパルプとの凝集により良
好に行うことができる。尚、上記以外の凝集剤としてポ
リアクリルアミド系等のノニオン系或いは両性凝集剤も
使用することができる。
【0037】又、抄紙工程時又は抄紙工程後に、塗布、
浸漬又は吹き付け等により、紙に対する消臭剤の付着力
を向上させる好ましいバインダーとして、以下のものが
ある。すなわち、天然樹脂、天然樹脂誘導体、フェノー
ル樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ケト
ン樹脂、クマロン・インデン樹脂、石油樹脂、テルペン
樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、アルキド樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、塩化ビニル、酢
酸ビニル共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアル
コール、ポリビニルブチラール、塩素化ポリプロピレ
ン、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン及びセルロ
ース誘導体等である。尚、アルミナ繊維等の無機繊維を
用いる場合、紙100重量部あたり5重量部以内のNBR
ラテックスあるいはSBRラテックス等の結合剤を併用
することが好ましい。
【0038】塗布、浸漬又は吹き付けにより消臭剤を担
持させることが好ましい紙として、例えば、複雑紙、薄
葉紙(例えば、ティシュペーパー、トイレットペーパ
ー、ナプキン、タオル紙及び生理紙)、包装紙、塗工紙
(例えば、アート紙、コート)、非塗工紙、印刷紙、図
面紙、ラミネート紙等があり、板紙としては、ダンボー
ル紙、白板紙、黄板紙、チップボール紙、コルゲート
紙、紙幣原紙及び台紙等がある。
【0039】消臭剤の担持量は、一般に担持量を増やせ
ば消臭性を強力に発揮させ、長期間持続させることがで
きるが、ある程度以上に担持させても消臭効果に大きな
差が生じないので、消臭剤の好ましい担持量は、抄紙工
程時に消臭剤担持させて、シートの表面と内部の全体に
担持させる場合、シート100重量部あたり0.1〜10重量部
であり、塗布等、シートの表面に消臭剤を担持させる場
合0.05〜10g/m2である。
【0040】本発明の消臭性シートは消臭剤が化学的及
び物理的に優れた安定性を有しているため、加工方法に
制限ははく、長期にわったて消臭性を発揮させることが
できる。従って、成形することができる形態には特に制
限はなく、通常の紙に可能な形態はすべて可能であり、
例えば、パイプ、ハニカム、箱、巻き物、袋および折り
紙で作られる各種形態等がある。
【0041】○用途 本発明の消臭剤は、アクロレイン、クロトンアルデヒ
ド、プロピオールアルデヒド、ノネナール等の不飽和脂
肪族炭化水素系アルデヒドガスに対する消臭効果に優れ
ているので、中高年の体臭に対する消臭効果が望まれる
種々の分野で利用可能である。本発明の消臭繊維は、消
臭性を必要とする各種の分野で利用可能であり、例えば
肌着、ストッキング、靴下、布団、布団カバー、座布
団、毛布、絨毯、カーテン、カバー、ソファー、シー
ト、カーシート、エアーフィルターを始めとして、多く
の繊維製品に使用できる。又、本発明の消臭塗料は、消
臭性を必要とする各種の分野で利用可能であり、例え
ば、建物の内壁、外壁、鉄道車両の内壁等で使用でき
る。又、本発明の消臭性シートは消臭性を必要とする各
種の分野で利用可能であり、例えば、医療用包装紙、食
品用包装紙、鮮度保持紙、紙製衣料、空気清浄フィルタ
ー、壁紙、不織布、紙、フィルム、ティッシュペーパ
ー、トイレットペーパー等がある。
【0042】○作用 本発明の消臭剤は、紫外線及び/または可視光により励
起された電子や正孔が空気中の酸 素や水分子と作用し
て生成する各種活性酸素が、不飽和炭化水素系アルデヒ
ドを分解する と考えられる。また、光触媒とガス吸着
材を複合化した場合には、まずガス吸着材が不飽和炭化
水素系 アルデヒドを吸着する。吸着することにより、
光触媒近傍の不飽和脂肪酸系アルデヒドガ ス濃度が高
くなるため、不飽和炭化水素系アルデヒドの分解反応が
効率的に進むと考えら れる。
【0043】
【実施例及び比較例】以下、本発明を実施例によりさら
に具体的に説明する。 (実施例1〜4および比較例1〜3)試料A〜Dの消臭
剤(表1)、及び比較の為、比較例a〜cの消臭剤(表
2)を調製した。各消臭剤の一種0.05gをテドラーバッ
グに入れ、表3に示す悪臭ガス1Lを注入し、1mW/cm2
のブラックライト(以下BLと表記する)を2時間照射
した後のテドラーバッグ中の残存ガス濃度を後述する臭
気試験方法で測定した(BL照射)。また、同様の試験
を紫外線が当たらない状態で実施した(暗所)。これら
の結果を表4に示した。
【0044】(実施例5〜8及び比較例4〜6)純水10
0重量部に、表1に示す本発明の消臭剤(実施例)、又
は表2に示す消臭剤(比較例)を10重量部及びアクリル
系バインダー(NS-1200 東亞合成(株)製)を20重量部
添加して、懸濁液を調製した。この懸濁液をポリエステ
ル繊維100重量部に対して10重量部塗布し150℃で乾燥す
ることにより、消臭性繊維(消臭剤の含有量は樹脂100
重量部に対して1部)を得た。この消臭性繊維3gをテ
ドラーバッグに入れ、1mW/cm2のBLを2時間照射した
後のテドラーバッグ中の残存ガス濃度を後述する臭気試
験方法で測定した(BL照射)。また、同様の試験を紫
外線が当たらない状態で実施した(暗所)。これらの結
果を表5に示した。
【0045】(実施例9〜12及び比較例7〜9)溶剤
としてのキシレン100重量部に、アクリル樹脂(J-500
SCジョンソンポリマー社(株)製)を70重量部、分散剤
(BYK-10 BYK Chemie(株)製)を3重量部、増粘剤
(ベントンSD2 ウィルバーエルス(株)製)を2重量部、
及び表1に示す本発明の消臭剤又は表2に示す消臭剤
(比較例)を200重量部添加し、3本ロールで良く練り分
散させてペースト状組成物を得た。これをキシレンで10
倍に希釈し、70×150mmの亜鉛めっき鋼板の両面に膜厚1
00μmで塗付した。この70×150mmの亜鉛めっき鋼板1枚
をテドラーバッグに入れ、表3に示す悪臭ガス1Lを注
入し、1mW/cm2のBLを2時間照射した後のテドラーバ
ッグ中の残存ガス濃度述する臭気試験方法で測定した
(BL照射)。また、同様の試験を紫外線が当たらない
状態で実施した(暗所)。これらの結果を表6に示し
た。
【0046】(実施例13〜16及び比較例10〜1
2)純水100重量部に、表1に示す本発明の消臭剤又は
表2に示す消臭剤(比較例)を10重量部、及びアクリル
系バインダー(NS-1200 東亞合成(株)製)を20重量部
添加して懸濁液を調製した。この懸濁液を和紙100重量
部に対して10重量部塗布し150℃で乾燥することによ
り、消臭性和紙(消臭剤の塗布量は和紙1m2あたり2g)
を得た。この消臭性和紙3.0gをテドラーバッグに入れ、
表3に示す悪臭ガス1Lを注入し、1mW/cm2のBLを2
時間照射した後のテドラーバッグ中の残存ガス濃度を後
述する臭気試験方法で測定した(BL照射)。また、同
様の試験を紫外線が当たらない状態で実施した(暗
所)。これらの結果を表7に示した。
【0047】○臭気試験方法 上記のようにして得たテドラーバッグ中の臭いを事務系
の職員10人に目隠しをして嗅いでもらい、無臭と感じ
たものを「○」、臭気を感じるが、我慢できる程度と感
じたものを「△」、我慢できないと感じたものを「×」
と評価させ、各々の評価をした人数を表した。
【0048】
【表1】 1)試料Bの調製方法 チタンテトライソプロコキシド30mlを1モルの硝酸
水溶液90ml中に室温で攪拌しながら徐々に添加し、
更に3時間攪拌を継続して透明な酸化チタンのコロイド
溶液を調製した。このコロイド溶液にヤシガラ活性炭
(クラレケミカル(株)製「クラレコールGG」)を100
g加えて、2時間攪拌した。この酸化チタン担持活性炭
を洗浄液のpHが6以上になるまで蒸留水で洗浄した。
これを300℃で焼成し、酸化チタン担持活性炭(試料
B)を調製した。尚、試料BはXRDによりアナターゼ
型結晶系を有することが確認された。 2)試料Cの調製方法 純水500mlに酸化チタン(日本アエロジル社製、P
−25)100gを入れ分散させた。この分散液にケイ
酸ナトリウムを蒸留水で希釈しSiO2含有量を10重
量%とした溶液20gを入れ1N−硫酸でpH7とし
た。滴下後室温で2時間攪拌した後、沈殿物を十分洗浄
した。110℃で乾燥し酸化チタン−二酸化ケイ素複合
体(試料C)を作製した。尚、試料CのXRDによりア
ナターゼ型結晶系を有することが確認された。 3)試料Dの調製方法 純水80mlに酸化チタン(日本アエロジル社製、P−
25)5gおよび85%リン酸7.5gを入れ十分攪拌
後、120℃で6時間合成し、得られた生成物を十分洗
浄した後110℃で乾燥することにより、非晶質リン酸
チタンで被覆された酸化チタン光触媒(試料D)を得
た。尚、試料DのP含有量は0.8wt%であり、また、
XRDによりリン酸チタンは非晶質であることが確認さ
れた。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】表4の結果より、本発明の消臭剤は不飽和
脂肪族炭化水素系アルデヒドガスに対する消臭性能に優
れることがわかる。又、表5〜表7の結果より本発明の消
臭剤を繊維の表面へ添加したり、塗料に入れて塗装した
り、あるいは紙(シート)へ添加したりした場合におい
ても、不飽和脂肪族炭化水素系アルデヒドガスに対する
消臭性能に優れることがわかる。
【0056】
【発明の効果】本発明の消臭剤及びこれを含有させた消
臭性製品は、不飽和脂肪族炭化水素系アルデヒドガスに
たいする消臭能力に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 20/02 B01J 20/20 D 20/10 35/02 J 20/20 B01D 53/36 J 35/02 ZABH Fターム(参考) 4C080 AA05 AA07 AA10 CC02 CC04 CC05 CC12 HH04 HH05 HH08 JJ03 JJ04 JJ05 JJ06 KK08 LL10 MM02 MM05 MM06 NN02 NN04 NN05 NN06 NN22 NN26 NN27 NN28 QQ03 4D048 AA19 AA22 BA05X BA06X BA07X BA41X BA44X BB01 BB03 BB08 CC41 EA01 EA04 4G066 AA05B AA05C AA18B AA18D AA22B AA22C AA23B AA23D AA30B AA30C AA50B AA50C CA02 CA52 DA03 4G069 AA03 AA08 BA02A BA02B BA04A BA04B BA08A BA08B BA48A BB14A BB14B BC50B CA17 DA06 EA01Y EA02Y EA03Y EA08 EB18Y EC22Y FA02 FA03 FB13 FB23

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光触媒からなる不飽和炭化水素系アルデヒ
    ドガス用消臭剤。
  2. 【請求項2】光触媒が、ガス吸着材と複合化されたこと
    を特徴とする請求項1記載の不飽和炭化水素系アルデヒ
    ドガス用消臭剤。
  3. 【請求項3】ガス吸着材が、活性炭、珪素酸化物、珪酸
    塩、不溶性叉は難溶性の4価金属リン酸塩から選ばれる
    少なくとも1種であることを特徴とする請求項2記載の
    不飽和炭化水素系アルデヒドガス用消臭剤。
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