JP3560276B2 - 脱臭紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光触媒を用いた脱臭紙及びその用途に関し、詳しくは脱臭、抗菌、VOC分解性能を持ち、マイクロカプセルを用い光触媒効率を向上させた光触媒を用いた光触媒脱臭紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【従来の技術】
最近、環境アセスメントをはじめとする環境の見直しが地球規模で行われているなか、人々は生活環境をさらに向上させるために、身の回りの環境を見直そうという気運が高まっている。ここ数年で、「抗菌」、「防かび」、「殺菌作用」等の言葉が日常生活を送る上で頻繁に目にするようになった。例を挙げると、シャープペン、ボールペン、ノート、自動車のハンドル、シーツ、プラスチック製の台所用品などの様に「抗菌性」等の言葉が商品価値を高めるプラスアルファの機能として付加されることが多くなっている。
【0003】
抗菌に関して特に世間の人々が関心を寄せた理由として、1996年の病原性大腸菌O−157の発生により多数の死者を出したことが挙げられる。その事件をきっかけとして、より多くの抗菌性製品が市場に出回るようになった。一方、HIVやMRSA院内感染等は、21世紀の高齢化社会を迎えるにあたって大きな社会問題となることは避けて通れない問題であろう。従って、このような問題を解決するための一つの手段として、近年光触媒が脚光を浴びている。中でも、光触媒能力に優れ、人体に安全な光触媒酸化チタンが多く使用され、様々な形での研究開発が行われている。
【0004】
光触媒の一つである酸化チタンは従来から、白色顔料として製紙、プラスチック、塗料、化粧品など広い範囲にわたって工業的に利用されている。その理由として、酸化チタンは300〜400nmの紫外光をよく吸収するために紫外線吸収剤として働き、且つ安価であるためである。
【0005】
酸化チタンそのものを紫外線吸収剤として用いた場合、酸化チタンは紫外線を吸収すると共に電子及び正孔対を生じ、その正孔対は表面の水分と反応して、強い酸化力を有するヒドロキシルラジカル等の活性酸素種を生成する。そこで、従来は正孔対と水分の反応を防ぎ、活性酸素種の生成を抑制するために表面処理を行った酸化チタンを紫外線吸収剤として用いていた。
【0006】
近年、酸化チタンをはじめとする光触媒の見直しがされ、従来欠点とされていた酸化力を積極的に発揮させようとする動きが工業界で起きてきた。すなわち、活性酸素種の酸化力は大部分の有機物やNOXやSOXなどの無機物を分解する能力を持つことがわかっており、特開平7−102678号公報及び特開平8−175887号公報には院内感染を予防するためのセラミック又は陶磁質の構造体が、特開平8−173520号公報には環境浄化用の装飾品が開示されている。
【0007】
この光触媒効果を有する光触媒が見直されている一つの理由として、脱臭剤としては活性炭等の吸着脱臭剤とは異なり永続的であり、また、殺菌剤としてみた場合、塩素系、酸性、アルカリ性殺菌剤のように人体に影響を及ぼすこともなく無害であることが挙げられる。
【0008】
光触媒の紙への応用は、光触媒の酸化作用により隣接するセルロース繊維が分解されて強度低下が生じるため、非常に困難であった。しかし、その問題を解決するために、予め光触媒酸化チタンを水中で凝集させてセルロース繊維と接触する面積を低下させることで強度低下を抑えることが可能な酸化チタン内添紙が特開平8−266602号公報に、同様に光触媒の歩留まりを向上させるために微細繊維と酸化チタンを凝集させてセルロース繊維の水素結合を利用する留め方が特開平8−266601号公報に提案されている。また、紙内部の光触媒を有効利用するために紙全体の透明性を向上させて、内部の光触媒まで光が透過する様に工夫した方法が特開平8−120594号公報に提案されている。
【0009】
紙へ光触媒を担持させる方法としては、原料に内添し、常法により抄造することによって得る内添方法と光触媒を塗料化した材料を塗布する塗工方法がある。塗工方法としては、基紙に使用するセルロース繊維を水溶性無機物質で処理した後に水不溶化させて基紙を抄造した後に、その上に光触媒酸化チタン層を設ける方法が特開平8−173805号公報に、さらに基紙と光触媒を直接接触する事を防止するために、基紙と光触媒層の間に皮膜形成性無機物含有層を設けることにより強度低下を抑制し、耐久性を向上させた方法が特開平8−173762号公報に提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
紙に光触媒を担持させる方法には、大きく分けて内添方法と塗工方法があるが、光触媒は基本的に表面反応であるため、効率的に光触媒反応を起こすためには光触媒に光が当たること、分解する物質が光触媒に接触あるいは接近することが必要不可欠である。このようなことを考慮すると、内添の場合は紙内部まで光が透過しにくいため有効な方法でないことが分かる。従って、光が光触媒に到達しやすく、分解する物質が接触あるいは接近しやすいことを考慮すると紙へ光触媒を塗工し、表面に光触媒塗工層として存在させる塗工方法が優れていることは明らかである。
【0011】
本発明では、発泡性マイクロカプセルを用いることにより、紙へ光触媒含有層の塗工工程中にかかる熱により、発泡性マイクロカプセルを発泡させることで光触媒酸化チタン含有層の比表面積を増加させ脱臭能力を向上させた脱臭紙を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の請求項1に係る発明は、基紙の少なくとも一方の面に、光触媒30〜90重量部、有機系バインダー2〜30重量部、無機系バインダー8〜40重量部、発泡性マイクロカプセル0.5〜5重量部からなる光触媒含有層を5〜20g/m 2 設けたことを特徴とする脱臭紙である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の脱臭紙は、少なくとも基紙、光触媒含有層の順で2層が必要である。これは必要に応じて3層以上の層構成をとることができ、また、必要に応じて紫外線吸収層を光触媒含有層の下に設けることもできる。
【0014】
この発明の基紙に用いる製紙用繊維としては、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP),針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP),広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP),広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP),針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ、楮,ミツマタ,藁,麻,竹,ワラ,リンター,バガス,ケナフおよびエスパルト等の非木材パルプや、ポリオレフィン等の合成パルプ、レーヨン、ビニロン、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維の単独若しくは混合したものが使用できる。
【0015】
基紙の製造は、前記したごとき製紙用繊維に、必要に応じて染料や顔料等の着色剤を添加し、さらに必要に応じて、クレー、炭酸カルシウム等の各種の填料を30〜75重量%高充填したり、ロジン系、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、デンプン系、ポリアクリルアミド等の乾燥紙力増強剤、メラミン樹脂、ポリアミン・ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂等の湿潤紙力増強剤、硫酸バンド、ポリアクリルアミド等の定着剤等の慣用的な製紙用副資材を適宜併用し、常法により長網抄紙機、円網抄紙機を用いて抄造する。
【0016】
また基紙に難燃性、不燃性が必要なときは抄造中あるいは抄造後に難燃処理を施す場合もある。難燃剤としてはスルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、スルファミン酸アンモニウム、縮合リン酸アルキルエステル誘導体、硫酸グアニジン、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸等の水溶液もしくは水に分散可能なものが使用出来る。他の方法としては、粉体を65重量%以上混抄して難燃、不燃化を図る方法もある。
【0017】
更に、基紙表面の難燃性を向上させるために水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の結晶水を持った物質を主成分とする塗料を塗工することもできる。
【0018】
本発明で使用できる基紙の種類としては、一例として上記した難燃紙以外にアート紙、コート紙、上質紙、クラフト紙等に代表される印刷情報用紙、包装用紙、雑種紙、段ボール原紙、不織布などが挙げられる。
【0019】
本発明に用いられる光触媒としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の金属酸化物、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化鉛、硫化銅、硫化モリブデンなどの金属硫化物などの公知の光触媒粒子を少なくとも一種以上選択して用いることが出来る。中でも、酸化チタンが優れた光触媒能を有し、化学的安定性、人体に対して無害、比較的安価の面から好ましい。
【0020】
本発明において述べる、酸化チタンとはアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸等の各種の酸化チタンあるいは水酸化チタン、含水水酸化チタンを意味する。
【0021】
本発明の光触媒が光触媒反応により有害物質等を分解するためには、光触媒にバンドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光を照射する必要がある。そこで生じた活性酸素種(OH・、・O2 −、H2O2など)が有害物質を分解していき、最終的に二酸化炭素や水などの最終生成物へと分解する。このような作用により、殺菌効果、抗菌効果が発生する。
【0022】
有害物質の例を挙げると、アルデヒド類、アミン類、アルコール類等の炭化水素、トリハロメタン、テトラクロロエチレン、フロン等の有機ハロゲン化合物やSOX、NOX等がある。このほか、分解可能なものとしては、BOD、農薬、タンパク質、アミノ酸等があり、菌類、かび類などの殺菌も可能である。
【0023】
光触媒にバンドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光、すなわち400nm以下の光を照射するための光源としては、太陽光、蛍光灯、水銀灯、キセノンランプ、ブラックライトなどの紫外光を含むものが挙げられる。
【0024】
本発明では、基紙上に紫外線吸収層を設けることもでき、吸収層より光源に近い方の層で吸収しきれなかった紫外光をこの層で吸収することにより、基紙への影響を抑える目的で設ける。
【0025】
セルロース繊維の強度低下の原因となるエネルギーの高い波長すなわち紫外光を吸収することにより、基紙の寿命が向上する。紫外線吸収層が吸収することが望ましい波長領域は、400nm以下の紫外光であり、特に短波長側の光を吸収することが望ましい。
【0026】
光触媒酸化チタン含有層に比表面積を増加させる目的で用いるマイクロカプセルは、樹脂微粒子中に低沸点溶剤を内包したもので、70〜150℃の比較的低温度で直径が3〜5倍、体積で10〜120倍に膨張する平均粒径が5〜30μmの粒子である。
【0027】
樹脂としては、通常塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの共重合体からなる熱可塑性樹脂が使用され、低沸点溶剤としては通常イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素などの低沸点溶剤を使用する。発泡性マイクロカプセルの製法は、従来の公知の方法がいずれも使用できる。
【0028】
発泡性マイクロカプセルは、外殻を形成する樹脂の軟化点以上に加熱されると樹脂が軟化し始めて、同時に封入されてある低沸点溶剤が気化して蒸気圧が上昇し、その結果樹脂が押し広げられて膨張し、独立気胞を形成する。更に加熱し続けると、気胞が壊れそこがクレーター状になり比表面積を増加させることが可能となる。
【0029】
これらの発泡性マイクロカプセルとしては、松本油脂製薬株式会社製造の「マツモトマイクロスフェアー F−30D」、「同 F−20D」、「同 F−50D」や日本フィライト株式会社販売の「エクスパンセル WU」、「同 DU」などが知られているが、本発明に使用する発泡性マイクロカプセルはこれらに限定されるものではない。
【0030】
紫外線吸収層に用いる填料としては、光触媒として使用される粉末物質の表面処理を施し光触媒活性を低下あるいは無くしたもの、従来から化粧品や紙内添材料として使用されている酸化チタンや亜鉛華が代表的なものであり、他には紫外線吸収剤をマイクロカプセル化したものなどが適宜使用される。
【0031】
紫外線吸収層の紫外線吸収剤のバインダーとして使用される物質としては、水、溶媒に溶解、分散可能なものが選択できるが、生産コストの面から水系の処方を選択することが好ましい。
【0032】
水に溶解または分散可能な有機系バインダーとしては、例えばスチレン−ブタジエンラテックス、変性スチレン−ブタジエンラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエンラテックス、変性メチルメタクリレート−ブタジエンラテックス、、クロロプレンラテックス、ブチルラテックス、ポリブテンラテックス、ポリウレタンラテックス、チオコールラテックス、ポリエチレンエマルジョン、エチレン酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニリデンエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ポリテトラフルオロエチレンエマルジョン等の水系ラテックスや水系エマルジョンやポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、でんぷん、カゼイン等の合成および天然高分子の単独或いは2種類以上を混合して使用可能である。
【0033】
紫外線吸収層を設ける理由は、前述したとおり400nm以下の光を吸収することを目的とするため、上述した紫外線吸収層に用いる填料やバインダーのほかに紫外線吸収層全体として、400nm以下の光をできるものであれば塗工層、フィルム、蒸着層など適宜選択して使用可能である。
【0034】
光触媒含有層に使用する光触媒のバインダーとしては、上記した紫外線吸収層の紫外線吸収剤のバインダーを使用できるが、ポリテトラフルオロエチレンエマルジョン等のフッ素樹脂やシリコン樹脂等、酸化劣化に強い有機系のバインダーを使用することが好ましい。
【0035】
本発明の光触媒含有層には、光触媒の酸化作用による酸化劣化を防止するために、無機系のバインダーを有機系のバインダーと併用することができる。この併用で、無機系バインダーのみの場合に比較して、紙へコルゲート加工時などの応力が加わったときの塗工面が割れにくくなる。これは、無機系バインダーのみを用いると乾燥後はガラス状の塗工面となり、僅かな応力が加わるだけでひび割れが生じ、脱落しやすくなる。しかし、有機系バインダーを併用するとひび割れ箇所の接着剤として有機系バインダーが働くために割れが大きくならないため、割れにくくなるのである。更に、無機系バインダーのみでは発泡時にマイクロカプセルとの比重差で塗工層内部に留まることが不可能なため表面に浮いてきてしまう。しかし、有機系のバインダーを併用することによって、塗工層内部で有効に発泡させることが可能となる。
【0036】
無機系バインダーとしては、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、サポナイト、ヘクトライト、スメクタイト、セピオライトなどの被膜形成性の無機物が使用出来、バインダーとして作用することが可能な無機化合物は列挙した無機化合に限定されることなくいずれも使用できる。
【0037】
【実施例】
実施例1
不燃性基紙(商品名:TT−120C、特種製紙(株)製造)に、光触媒酸化チタン(商品名:PC−101、チタン工業(株)製造)50重量部、無機系バインダー(商品名:スノーテックス C、日産化学(株)製造)10重量部、有機系バインダー(商品名:ポリラック750、三井東圧化学工業(株)製造)5重量部、発泡性マイクロカプセル(商品名:マツモトマイクロスフェアー F−20D、松本油脂製薬株式会社製造)2重量部を含んだ光触媒含有層を乾燥重量で10g/m2塗工し、加熱乾燥することで脱臭紙を得た。
【0038】
実施例2
不燃性基紙(商品名:TT−120C)に、酸化チタン(商品名:KRONOS KA−80、チタン工業(株)製造)90重量部に対し、有機バインダー(商品名:ポリラック750)10重量部を含んだ紫外線吸収層を5g/m2塗工し、更にその上に光触媒酸化チタン(商品名:PC−101)50重量部、無機系バインダー(商品名:スノーテックス C)10重量部、有機系バインダー(商品名:ポリラック750)10重量部、発泡性マイクロカプセル(商品名:マツモトマイクロスフェアー F−20D)2重量部を含んだ光触媒含有層を乾燥重量で10g/m2塗工し、加熱乾燥することにより脱臭紙を得た。
【0039】
実施例3
不燃性基紙(商品名:TT−120C)に、酸化チタン(商品名:KRONOS KA−80)90重量部に対し、有機バインダー(商品名:ポリラック750)10重量部を含んだ紫外線吸収層を10g/m2塗工し、更にその上に光触媒酸化チタン(商品名:PC−101)50重量部、無機系バインダー(商品名:スノーテックス C)10重量部、有機バインダー(商品名:ポリラック750)20重量部、発泡性マイクロカプセル(商品名:マツモトマイクロスフェアー F−20D)5重量部を含んだ光触媒含有層を乾燥重量で20g/m2塗工し、加熱乾燥することにより脱臭紙を得た。
【0040】
実施例4
不燃性基紙(商品名:TT−120C)に、酸化チタン(商品名:タイペークR−820、石原産業(株)製造)80重量部に対し、有機バインダー(商品名:ポリラック515−6、三井東圧化学工業(株)製造)20重量部を含んだ紫外線吸収層を5g/m2塗工し、更にその上に光触媒酸化チタン(商品名:ST−01、石原産業(株)製造)70重量部、無機系バインダー(商品名:スノーテックス C)20重量部、有機系バインダー(商品名:クリヤー E、恒和化学工業(株)製造)10重量部、発泡性マイクロカプセル(商品名:マツモトマイクロスフェアー F−20D)5重量部を含んだ光触媒含有層を乾燥重量で15g/m2塗工し、加熱乾燥することにより脱臭紙を得た。
【0041】
実施例5
基紙(PPC用紙)に、光触媒酸化チタン(商品名:ST−21、石原産業(株)製造)80重量部、無機系バインダー(商品名:スノーテックス C)10重量部、有機系バインダー(商品名:クリヤー E)10重量部、発泡性マイクロカプセル(商品名:マツモトマイクロスフェアー F−20D)1重量部を含んだ光触媒含有層を乾燥重量で15g/m2塗工し、加熱乾燥することにより脱臭紙を得た。
【0042】
実施例6
基紙(PPC用紙)に、酸化チタン(商品名:タイペーク R−820、石原産業(株)製造)80重量部に対し、有機バインダー(商品名:ポリラック515−6)20重量部を含んだ紫外線吸収層を10g/m2塗工し、更にその上に光触媒酸化チタン(商品名:ST−21)60重量部、無機系バインダー(商品名:スノーテックス C)30重量部、有機系バインダー(商品名:クリヤー E)10重量部、発泡性マイクロカプセル(商品名:マツモトマイクロスフェアー F−20D)3重量部を含んだ光触媒含有層を乾燥重量で15g/m2塗工し、加熱乾燥することにより脱臭紙を得た。
【0043】
比較例1
不燃性基紙(商品名:TT−120C)に、光触媒酸化チタン(商品名:PC−101)50重量部、無機系バインダー(商品名:スノーテックス C)10重量部を含んだ光触媒含有層を乾燥重量で10g/m2塗工し、加熱乾燥することで脱臭紙を得た。
【0044】
比較例2
不燃性基紙(商品名:TT−120C)に、酸化チタン(商品名:KRONOS KA−80)90重量部に対し、有機バインダー(商品名:ポリラック750)10重量部を含んだ紫外線吸収層を5g/m2塗工し、更にその上に光触媒酸化チタン(商品名:PC−101)50重量部、無機系バインダー(商品名:スノーテックスC)10重量部を含んだ光触媒含有層を乾燥重量で2g/m2塗工し、加熱乾燥することにより脱臭紙を得た。
【0045】
比較例3
不燃性基紙(商品名:TT−120C)に光触媒酸化チタン(商品名:PC−101)50重量部、無機系バインダー(商品名:スノーテックス C)10重量部、発泡性マイクロカプセル(商品名:マツモトマイクロスフェアー F−20D)20重量部を含んだ光触媒含有層を乾燥重量で10g/m2塗工し、加熱乾燥することにより脱臭紙を得た。
【0046】
比較例4
基紙(PPC用紙)に光触媒酸化チタン(商品名:ST−21)80重量部、有機系バインダー(商品名:クリヤー E)10重量部を含んだ光触媒含有層を乾燥重量で15g/m2塗工し、加熱乾燥することにより脱臭紙を得た。
【0047】
比較例5
基紙(PPC用紙)に、光触媒酸化チタン(商品名:ST−21)80重量部、無機系バインダー(商品名:スノーテックスC)2重量部、有機系バインダー(商品名:クリヤー E)10重量部を含んだ光触媒含有層を乾燥重量で15g/m2塗工し、加熱乾燥することにより脱臭紙を得た。
【0048】
以上の実施例1〜6と比較例1〜5で得られた各脱臭紙の評価結果を表1に示す。なお評価は下記方法により行った。
【0049】
脱臭性能評価
脱臭性能の評価は、図1に示す装置を用いて、下記条件にて行い、光照射を開始して5時間後の実験装置内のホルムアルデヒド濃度を測定した。
有害ガス:ホルムアルデヒド
初期ホルムアルデヒドガス濃度:100ppm
試料サイズ:10cm×20cm
UV強度:1mW/cm2
実験装置容積:30L
流速:10L/min
【0050】
物性評価
スガ試験機製オートフェードメーター(型式:FAI−AU−B)にて、6時間光照射した後の脱臭紙の耐折強さを JIS P 8115に規定される「紙及び板紙のMIT形試験器による耐折強さ試験方法」により評価を行った。表示した値は、MD方向である。参考までに、TT−120C及びPPC用紙の耐折強さを表下部に示した。
【0051】
塗工性
塗工時にハジキ、塗りムラ、乾燥時の割れ等が観察されるか否かを評価した。
【0052】
耐候性
スガ試験機製オートフェードメーター(型式:FAI−AU−B)にて、6時間光照射した後の粉落ち、変色性などを観察した。
【0053】
【表1】
【0054】
表1の結果から、以下のことが判明した。
(1)脱臭性能では、光触媒含有層の塗工量が少ない比較例2は分解能力が他のサンプルと比較して2〜3倍悪いことが分かり、光触媒含有層の塗工量としては5〜20g/m2に調製することが好ましい。20g/m2より多いと塗工層として厚くなり、塗工時や使用時などにひび割れが生じやすくなると同時に、過剰の性能であることが予想できる。
【0055】
(2)耐折強さの測定結果より、紫外線吸収層を設けると、未照射の基紙とほとんど変わらない強さを維持できる。しかし、光触媒層自体が紫外線を吸収する性質を持っているために極端な光照射による強度の低下は見られない。しかし、長時間使用するとこの差がはっきりと現れてくることが予想できるために、紫外線吸収層を設けることは基紙の劣化を防止するためには有効な手段である。
【0056】
(3)塗工性の結果から、無機系バインダーのみを使用した比較例1〜3はムラ、及びひび割れが生じた。これは、無機系バインダーのみを使用した場合、塗工面が乾燥後に非常に硬い皮膜となるため、基紙が僅かに曲がったり折れたりすることで容易にひび割れが生じる。そのため有機系バインダーの使用は、ひび割れ防止の大きな役目を果たす。
【0057】
(4)耐光性の結果から、有機系バインダーのみを使用した比較例4及び有機系バインダーと少量の無機系バインダーを使用した比較例5では、光照射により粉落ちが発生することが確認された。これは、光触媒の酸化作用で周囲の有機系バインダーが分解されたことに起因する為と考えられる。また、無機系のバインダーの使用量が少なすぎるとバインダー効果が発揮されないことも明らかになった。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したごとく、この発明の光触媒脱臭紙によれば、以下に記載する顕著な効果を奏する。
【0059】
(1)発泡性マイクロカプセルを光触媒含有層に混合し、加熱乾燥させることにより発泡させると比表面積が増加し、光触媒効率の良い脱臭効果が得られる。
【0061】
(3)無機系のバインダーを混合することで光触媒の酸化作用による粉落ちを防止できる。
【0062】
(4)有機系のバインダーを併用することで塗工適性が向上し、なおかつ塗工機の洗浄時に汚れを無機バインダー単独の場合に比較して速やかに行える。
【0063】
(5)有機系バインダーの併用で塗工層を効率良く内部から発泡させることが出来る。
【0064】
(6)有機系のバインダーを無機系バインダーと併用することで、脱臭紙の加工等でコルゲート加工時にひび割れが生じにくくなる。
【0065】
以上のような特性を生かし、本発明で得られた脱臭紙は空気清浄機、脱臭機、壁紙、抗菌紙、滅菌紙、照明用反射板などに使用することが出来る。
【0066】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱臭紙の脱臭性能を評価するための試験装置である。
【図2】本発明の脱臭紙の断面図である。
【図3】本発明の紫外線吸収層を設けた脱臭紙の断面図である。
【符号の説明】
1 循環ポンプ
2 ガスバッグ
3 反応器
4 光触媒脱臭紙
5 UVランプ
6 基紙
7 光触媒含有層
8 発泡性マイクロカプセル
9 紫外線吸収層
Claims (1)
- 基紙の少なくとも一方の面に、光触媒30〜90重量部、有機系バインダー2〜30重量部、無機系バインダー8〜40重量部、発泡性マイクロカプセル0.5〜5重量部からなる光触媒含有層を5〜20g/m2設けたことを特徴とする脱臭紙。
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