JP3479736B2 - 空気浄化システム - Google Patents

空気浄化システム

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JP3479736B2
JP3479736B2 JP24754697A JP24754697A JP3479736B2 JP 3479736 B2 JP3479736 B2 JP 3479736B2 JP 24754697 A JP24754697 A JP 24754697A JP 24754697 A JP24754697 A JP 24754697A JP 3479736 B2 JP3479736 B2 JP 3479736B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は空気清浄機、エアコ
ン、暖房機、除湿器、加湿器、掃除機等やさらには自動
車の空気吸入口や車内の空調装置等に応用できる空気浄
化システムに関し、さらに詳細には、半導体光触媒と非
晶質リン酸カルシウムとを複合一体化した半導体光触媒
複合粒子を使用したフィルターと400nm以下の波長
を含む光を発する光源とを備えることで空気中の様々な
臭いを分解除去することができる、あるいは優れた抗菌
性を発揮できる空気浄化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタン、酸化亜鉛等に代表される半
導体光触媒は、光触媒活性を示す半導体光触媒として知
られている。この光触媒活性とは、酸化物半導体粒子が
そのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光(一般に
紫外線)を吸収して励起され、発生した電子及び正孔が
その粒子表面に吸着している物質と電子授受を行うこと
により、その吸着物質を酸化、あるいは還元して分解す
ることをいう。
【0003】また、このような光触媒活性を利用した応
用例は数多く出願されている。例えば特開平7−284
523号公報には、熱交換機、ファン、フィルターを内
設した空気調和機が開示されている。この空気調和機で
は、フィルターの前後にカラム等に充填した酸化チタン
等を光が当たるように配することで、殺菌、減菌力を発
揮できるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】また、上記公報には酸
化チタン等を不織布に含浸または付着させたフィルター
を使用できることも記載されているが、一般的に使用さ
れている合成樹脂製の素材からなるフィルターに光触媒
活性をもつ酸化チタンを使用して含浸または付着した場
合には、光触媒活性による強い酸化作用により半導体光
触媒と接触するフィルター素材や接着剤等が分解され、
樹脂の物性低下を招いたり、着色したりする問題が生じ
る。
【0005】本発明は、上記の問題点を解決した空気清
浄機、エアコン、暖房機、除湿器、加湿器、掃除機等や
さらには自動車の空気吸入口や車内の空調装置等に応用
できる空気浄化システムを提供するため、鋭意研究して
なされたもので、合成樹脂等からなる通気性素材や、さ
らには接着剤を使用して得たフィルターを使用しても、
光触媒活性による強い酸化作用によりフィルター素材が
分解し、物性低下を招いたり、着色したりすることを抑
制し、かつ半導体光触媒の持つ光触媒活性を発揮できる
空気浄化システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、粒子状半導体
光触媒と粒子状非晶質リン酸カルシウムとが複合一体化
された複合粒子を含むフィルターと400nm以下の波
長を含む光を発する光源とを備えたことを特徴とする空
気浄化システムである。上記の空気浄化システムは、特
に空気を流通させる手段を設ける必要のない自動車の空
気吸入口、すなわち自動車が走行することで空気が空気
吸入口から吸入されるような場合に好適に応用すること
ができる。
【0007】また、本発明は、粒子状半導体光触媒と粒
子状非晶質リン酸カルシウムとが複合一体化された複合
粒子を含むフィルターと、400nm以下の波長を含む
光を発する光源と、空気を流通させる手段とを備えたこ
とを特徴とする空気浄化システムである。上記の空気浄
化システムは、空気清浄機、エアコン、暖房機、除湿
器、加湿器、掃除機等やさらには自動車車内の空調装置
等に応用することができる。
【0008】また、このような目的に使用する粒子状半
導体光触媒と粒子状非晶質リン酸カルシウムとが複合一
体化された複合粒子としては、該複合粒子中に含まれる
粒子状半導体光触媒の粒子径が粒子状非晶質リン酸カル
シウムの粒子径よりも小さいことを特徴とする半導体光
触媒複合粒子、もしくは、非晶質リン酸カルシウムの粒
子のまわりに半導体光触媒の粒子を固着してなる粒子を
複合一体化してなることを特徴とする半導体光触媒複合
粒子が好ましい。
【0009】本発明における半導体光触媒としては、酸
化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムや、CdS、CdS
e、WO3、Fe23、SrTiO3、KNbO等が挙げ
られ、これらを単独で、もしくは2種以上混合して使用
することができる。また、本願の目的達成のために、特
に、半導体光触媒として、その光触媒活性が強いことか
ら酸化チタンが好ましく、このような酸化チタンとして
はアナターゼ型酸化チタンやルチル型酸化チタンのいず
れも好ましく使用できる。
【0010】また、これら半導体光触媒の活性を高める
ために、上記半導体光触媒に、白金、パラジウム、ロジ
ウム、ルテニウム等の金属や、銀、銅、亜鉛等の金属を
胆持させることもできる。この場合、活性度に応じて1
〜20重量%の金属を適時使用することができる。半導
体光触媒は、粒子径が小さい程、すなわちその比表面積
が大きい程、光触媒活性が高くなるため、半導体光触媒
の粒子の平均粒径は、0.001〜1μmであるのが好
ましく、特に0.001〜0.1μmであるのが好まし
い。また、半導体光触媒粒子の粒子径は粒子状非晶質リ
ン酸カルシウムの粒子径よりも小さいことが望ましい。
この理由は定かではないが、光触媒活性による強い酸化
作用により各種の基材が分解し、着色したりすることを
抑制し、かつ半導体光触媒の持つ光触媒活性を発揮でき
るからである。
【0011】本発明で使用する非晶質リン酸カルシウム
(Amorphous Calcium Phosphate :以下、ACPと略す
ことがある。)は、攪拌下の水酸化カルシウム懸濁液
に、中性又は弱アルカリ性の水溶性高分子分散剤、例え
ば、弱アルカリ性のトリアクリル酸アンモニウム塩等を
添加して混合溶液を得た後、その混合溶液を撹拌しなが
らリン酸水溶液を滴下して、pHを11〜5に調整する
ことにより、大きな比表面積を備えたACPとしてを得
ることができる。特に、攪拌下の水酸化カルシウム懸濁
液に上記した水溶性高分子分散剤を添加してACPを合
成することで、得られたACPを含むスラリー中の粒子
の平均粒径を0.01〜10μmとすることができる。
また、上記した水溶性高分子分散剤の添加量は水酸化カ
ルシウム懸濁液(以下、スラリーと称することがあ
る。)に対して0.1〜10重量%、好ましくは 0.
1〜3重量%に設定することが望ましい。
【0012】また、ACPを合成するに際して、スラリ
ー温度を50℃以下に保つことは、より大きな比表面積
を備えた多孔質のACPを得るために有利である。この
ようにして得られたACP粒子を含むスラリー中では、
ACP粒子は凝集しやすいので、高速攪拌機、より望ま
しくは対流式高速攪拌機を使用して、攪拌することで粒
子状のACPを分散したスラリーを維持することができ
る。なお、本明細書における粒子の粒径は、レーザー回
折法により測定したものである。
【0013】本発明で使用するACPは、焼成していな
いことを特徴とするものであって、焼成しないことによ
り、非常に微細な粒子が得られ、かつ粒子の比表面積を
大きく保つことができ、優れた吸着効果を発揮すること
ができるものである。また、本発明で使用するACP
は、粉末X線解析法による回析パターンから、結晶水を
含むリン酸三カルシウム〔式:Ca3(PO4)2・nH
2O〕であることが分かり、また、そのパターンがブロ
ードであることから、非晶質であることが確認された。
さらに、上記ACP粒子は結晶水を含むことから、静電
気的に活性な物質であると思われ、表面が帯電している
種々の菌体やウイルスや、アルデヒド基、アンモニア基
等を有する異臭物質やSOx,NOx等を吸着し易くな
っているものと想定される。
【0014】なお、上記スラリーに抗菌性金属イオンを
添加し、その抗菌性金属イオンをACP粒子に吸着させ
て、得られる多孔質粒子に抗菌性を付与してもよい。こ
のような抗菌性金属イオンとしては、金、銀、亜鉛、
銅、錫、鉛、砒素、白金、鉄、アンチモン、ニッケル、
アルミニウム、バリウム、カドミウム、マンガンなどの
イオンが挙げられ、それらを単独で使用してもよいし、
それらの混合物、金属化合物、あるいはそれらの水溶液
を使用してもよい。
【0015】上記スラリー中に、スラリーに対して50
重量%以下となるように抗菌性金属粉末、抗菌性金属化
合物、あるいはそれらの水溶液を混合することにより、
抗菌性金属イオンを吸着した非晶質リン酸カルシウム
は、本発明の非晶質リン酸カルシウムとしての好ましい
態様の一つである。抗菌性金属粉末、抗菌性金属化合物
粉末の粒径は、反応性を高めるために10μm以下であ
るのが望ましい。また、スラリーと、抗菌性金属粉末、
抗菌性金属化合物粉末あるいは抗菌性金属水溶液とは室
温中、アルカリ性の下で混合するのが望ましい。
【0016】また、本発明で使用するACPと半導体光
触媒とが複合一体化した半導体光触媒複合粒子を製造す
るために、粒子状半導体光触媒の粒子径が粒子状非晶質
リン酸カルシウムの粒子径よりも小さいことが好まし
い。具体的には、所定の粒子径のACP粒子を含むスラ
リーにACP粒子の粒子径よりも小さい粒子径を有する
半導体光触媒を添加するが、このACPと半導体光触媒
とを含む混合スラリーは、高速攪拌機、より望ましくは
対流式高速攪拌機を使用して、攪拌することによって、
さらに、この混合スラリーには上記した水溶性高分子分
散剤が含まれていることによって、それぞれの粒子の凝
集を抑制した混合スラリーとすることができる。このよ
うなそれぞれの粒子の凝集を抑制した混合スラリーを、
例えば、噴霧乾燥造粒法等の方法によって、造粒乾燥す
ることで、非晶質リン酸カルシウムの粒子のまわりに半
導体光触媒の粒子が固着されてなる粒子を複合一体化し
た複合粒子を得ることができる。
【0017】また、混合スラリー中のACPと半導体光
触媒とを合計した含有量は、1〜90重量%となるよう
に調整するのが好ましく、特に5〜50重量%となるよ
うに調整するのが好ましい。スラリーにおけるACPと
半導体光触媒とを合計した含量が90重量%を越える
と、スラリーの粘度が高くなり、非晶質リン酸カルシウ
ムの粒子のまわりに半導体光触媒の粒子を固着した複合
粒子を造粒するのに不適となるからである。また、スラ
リー中のACPと半導体光触媒とを合計した含有量を1
〜90重量%の範囲で変化させることにより、所望の平
均粒径を有するACPと半導体光触媒とが複合一体化し
た半導体光触媒複合粒子を製造することができるが、異
臭物質や菌等の吸着分解を促進するために、複合粒子の
比表面積は10m2/g以上の多孔質体とすることが好
ましいので、この点から複合粒子の平均粒子径は0.1
〜200μmであることが好ましい。
【0018】本発明の半導体光触媒とACPとが複合一
体化した半導体光触媒複合粒子は、半導体光触媒が30
〜95重量%とACPが5〜70重量%含まれた構成で
あることが好ましく、さらには半導体光触媒が50〜9
5重量%とACPが5〜50重量%含まれた構成である
ことが好ましい。この理由は、半導体光触媒複合粒子中
の半導体光触媒の割合が95重量%を越えると光触媒活
性による強い酸化作用により樹脂等が分解し易くなるか
らであり、また、半導体光触媒の割合が30重量%未満
では充分な半導体光触媒の持つ光触媒活性が期待できな
くなる場合があるからである。
【0019】上記のACPと半導体光触媒の粒子の凝集
を抑制した混合スラリーを造粒乾燥して、本発明の半導
体光触媒複合粒子を得ることができるが、このような造
粒乾燥法としては、上記した噴霧乾燥造粒法や、その他
ではフリーズドライ後に粉砕してなる造粒法、高速攪拌
型造粒法などを用いることができる。特に、噴霧乾燥造
粒法が好ましく、この理由は、ACPと半導体光触媒の
粒子を複合一体化した半導体光触媒複合粒子の比表面積
を10m2/g以上の多孔質体とすることが容易にでき
るからである。このような、半導体光触媒複合粒子の比
表面積を10m2/g以上の多孔質体としたものは、種
々の菌体やウイルスや、アルデヒド基、アンモニア基等
を有する異臭物質やSOx,NOx等を吸着する能力が
高く、最も優れた態様の一つである。
【0020】上述してきたような半導体光触媒とACP
とが複合一体化した複合粒子は、粒子状半導体光触媒の
粒子径が粒子状非晶質リン酸カルシウムの粒子径よりも
小さいことが好ましく、さらに非晶質リン酸カルシウム
の粒子のまわりに半導体光触媒の粒子を固着してなる粒
子を複合一体化した半導体光触媒複合粒子であることが
好ましい。このような複合粒子は半導体光触媒とACP
とを混合した場合と比較して、比重が重い半導体光触媒
が分離することがない。また、上述したような半導体光
触媒の持つ光触媒活性が発揮できるので消臭、抗菌等の
効果を発揮でき、さらにフィルター素材や接着剤を光触
媒活性による強い酸化作用により分解し、物性低下を招
いたり、着色したりすることがなく、取り扱いも容易で
ある。
【0021】本発明の空気浄化システムでは、上記の複
合粒子を含むフィルターを使用するが、このようなフィ
ルターは上記複合粒子をフィルター基材に含ませられれ
ば、特に限定されない。フィルター基材としては、例え
ば、紙、織布、不織布、プラスチックフォーム等の基材
の製造時に複合粒子を加えてもよいし、前記の基材に接
着剤を介して接着してもよい。また、あらかじめ上記複
合粒子と接着剤とを混合したものをスプレー等で基材に
吹き付けたり、スクリーン印刷法やロールコーターによ
り印刷することもできる。特に、上記複合粒子が基材の
表面に露出するような方法で接着・印刷するのが好まし
い。これは、消臭・抗菌する対象物が上記の複合粒子と
接触する機会を増大させ、ACP粒子と光半導体組成物
とが複合一体化されているので前記異臭物質等を効率よ
く捕集し、これを光半導体組成物が効率よく分解するこ
とができるからである。
【0022】接着剤を使用する場合には、接着剤として
硬化型樹脂や有機溶剤可溶の合成樹脂・天然系樹脂を含
む水溶液型接着剤や有機溶剤型接着剤等が好ましく使用
できる。またこれらの接着剤には架橋剤を併用すること
もできる。水溶液型接着剤としては、例えば硬化型樹脂
に架橋剤を併用したエマルジョン系接着剤等が挙げられ
る。また、有機溶剤型接着剤としては、有機溶剤可溶の
合成樹脂・天然系樹脂を有機溶剤に溶解したものが使用
できる。このような樹脂としては、例えば、アクリル酸
エステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹
脂、メラミン系樹脂等が挙げられ、また、天然樹脂とし
ては、例えば、セラック樹脂、コーパルゴム、ダンマル
ゴム等が挙げられる。架橋剤としては、例えば、イソシ
アネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系樹
脂、メラミン系樹脂等が挙げられる。
【0023】基材における上記の複合粒子の含有量は、
1〜100g/m2、特に2〜50g/m2であるのが好
ましい。1g/m2未満では、充分な消臭・抗菌能力を
発揮するのが困難な場合があり、100g/m2を超え
て使用してもさらなる消臭・抗菌能力が得られない場合
が多いの不経済となるからである。
【0024】本発明で使用する光源は400nm以下の
波長を含む光を発する光源であることが必要で、例えば
太陽光や、主に紫外線を発するブラックライト、水銀
灯、蛍光灯等の人工光であってよい。これらの中でも特
に、光源として350nm付近の波長を含む光をより多
く発する光源が好ましく、この点から紫外線を発するブ
ラックライト等がより好ましく使用できる。また、本発
明で使用できる空気を流通させる手段としては、ファン
や送風機等が挙げられる。
【0025】以上説明した本発明の空気浄化システム
は、空気清浄機、エアコン、暖房機、除湿器、加湿器、
掃除機等やさらには自動車の空気吸入口や車内の空調装
置等に応用することができ、優れた消臭・抗菌能力を発
揮することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によって詳
細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。 (実施例1)本発明における半導体光触媒複合粒子を次
にようにして製造した。なお、この半導体光触媒複合粒
子の製造に用いた装置を図1に概略的に示す。図1にお
いて、9はエアフィルター、10は電気ヒータであり、
エアフィルター9を通り電気ヒータ10によって加温さ
れた熱空気は、熱ガス室11からスプレードライヤー5
内に入り、スプレードライヤー5のアトマイザー6によ
り噴霧されるスラリー3を乾燥造粒しつつ、排出孔12
からサイクロン8に向けて流出するようになっている。
【0027】攪拌下の水酸化カルシウム懸濁液に対し、
水溶性高分子分散剤として弱アルカリ性のトリアクリル
酸アンモニウム塩を0.5重量%添加して、混合溶液を
得た。得られた混合溶液を対流式高速攪拌機を使用して
攪拌しながら、リン酸水溶液を滴下し、pHを10に調
整することにより、平均粒子径約0.1μmのACP粒
子を含むスラリーを得た。得られたスラリーを引き続き
対流式高速攪拌機を使用して攪拌しながら、イオン交換
水に平均粒子径約0.007μmの酸化チタン(石原産
業株式会社製、商標名:ST−01)を対流式高速攪拌
機を使用して攪拌分散した溶液を加え、酸化チタンとA
CPとの割合が重量比で50:50となる混合スラリー
を得た。
【0028】得られた酸化チタン粒子1とACP粒子2
を含む混合スラリー3を対流式高速攪拌機を使用して、
さらに15分間攪拌し、この混合スラリー3を定量ポン
プ4によりスプレードライヤー(大川原化工機械社製L
−8)5のアトマイザー6に供給した。そのアトマイザ
ー6を高速回転させて、スプレードライヤー5内の乾燥
用の熱空気流中に上記混合スラリー3を噴霧し、噴霧造
粒乾燥法により造粒乾燥した。この造粒乾燥によって、
半導体光触媒複合粒子7を得た。得られた半導体光触媒
複合粒子は球状であり、平均粒子径は10μmであっ
た。比表面積をBET法により測定したところ、比表面
積は80m2/gであった。
【0029】この半導体光触媒複合粒子は、図2に示す
電子顕微鏡写真からも明らかなように、非晶質リン酸カ
ルシウムの粒子のまわりに酸化チタンの粒子が固着され
た複合粒子であることが確認された。また、後述する接
着性処理液に分散し、塗布した後にも、本発明で使用す
る複合粒子は、酸化チタンの粒子が非晶質リン酸カルシ
ウムの粒子のまわりから離脱せず、非晶質リン酸カルシ
ウムの粒子のまわりに酸化チタンの粒子が固着している
ことが確認された。また、電子顕微鏡写真における酸化
チタンの粒子と非晶質リン酸カルシウムの粒子とを明確
にするために、図3には酸化チタンの2次凝集粒子の写
真を示し、さらに、図4には非晶質リン酸カルシウムの
2次凝集粒子の写真を示した。図3の電子顕微鏡写真か
らは、球状の酸化チタンの2次凝集粒子が観察される。
また、図4の電子顕微鏡写真からは、略棒形状の非晶質
リン酸カルシウムが凝集した粒子が観察される。
【0030】なお、上記造粒における操作条件は次の通
りであった。定量ポンプ4による混合物スラリー3の供
給量は1〜3kg/hであり、エアフィルター9を介し
て電気ヒーター10によって加温された熱空気の温度
は、熱ガス室11の入口温度が150〜250℃に、サ
イクロン8に繁がる排出孔12における出口温度が80
℃を常に超えるように制御され、また、アトマイザー6
の回転数は10000〜37000rpmの範囲内に設
定した。
【0031】(製造例2)攪拌下の水酸化カルシウム懸
濁液に対し、水溶性高分子分散剤として弱アルカリ性の
トリアクリル酸アンモニウム塩を0.5重量%添加し
て、混合溶液を得た。得られた混合溶液を攪拌しなが
ら、リン酸水溶液を滴下し、pHを10に調整すること
により、平均粒子径約0.1μmのACP粒子を含むス
ラリーを得た。得られたスラリーを製造例1と同じスプ
レードライヤーを使用して、非晶質リン酸カルシウムの
粒子を得た。得られたACP粒子は平均粒子径が12μ
mで、比表面積をBET法により測定したところ、比表
面積は70m2/gであった。得られたACP粒子と実
施例1で使用したものと同じ酸化チタンとを重量比で5
0:50の比率で混合してACP粒子と酸化チタンとの
ブレンド粒子を得た。
【0032】(実施例1)アクリル酸エステル系樹脂エ
マルジョン100gに対して、製造例1で得た複合粒子
を20gとエポキシ樹脂3gを加えて攪拌して処理液を
得た。得られた処理液を目付300g/m2のポリエス
テル製フィルターの表面にスクリーン印刷によって塗布
し、次いで約130℃で乾燥してフィルターとした。な
お、フィルター1m2当たりの上記の複合粒子の担持量
は20gとなるよう上記処理液を塗布した。
【0033】(比較例1)実施例1で使用した複合粒子
を製造例2で得たACP粒子と酸化チタンとのブレンド
粒子とした以外は実施例1と同様にしてフィルターを作
成した。
【0034】(比較例2)実施例1で使用した複合粒子
を実施例1で使用したものと同じ酸化チタン10gとし
た以外は実施例1と同様にしてフィルターを作成した。
【0035】(フィルターの劣化テスト)実施例1及び
比較例1〜2によって得られたフィルターを炎天下、気
温約31℃にて放置して暴露試験を実施し、フィルター
の劣化状況を観察した。結果として、実施例1のフィル
ターではほとんど変色がなく、劣化が認められなかっ
た。これに対して、比較例1ではフィルターが部分的に
黄変し劣化が認められた。これは、酸化チタンが編分散
したものと推測される。また、比較例2ではフィルター
が全体に黄変し、フィルターの劣化が観察された。
【0036】(消臭性テスト1)実施例1で得たフィル
ター(フィルター面積0.3m2)とこのフィルター全
面に光が当たるように10Wのブラックライトを配し、
さらに送風能力2m3/分のファンを備えた空気浄化装
置を作成した。この空気浄化装置を使用して以下の手順
で異臭物質の1つであるアセトアルデヒドの消臭テスト
を実施した。1m3の密閉容器内に空気浄化装置を設置
し、ファンを運転した後、容器内での濃度が10ppm
となるようアセトアルデヒドを投入した。その後の容器
内のアセトアルデヒドの濃度を時間の経過を追って測定
した。なお、アセトアルデヒドの濃度はガステック社製
の検知管(No,92L)を使用して測定した。結果
は、約250分後には容器内のアセトアルデヒドの濃度
は0.5ppmまで下がり、上記の空気浄化装置はアセ
トアルデヒドを分解できることが確認できた。
【0037】(消臭性テスト2)消臭性テスト1で作成
したものと同じ空気浄化装置を使用して、30m3の容
積の閉め切った会議室において、8名がたばこを1本ず
つ喫煙した後、その直後と1時間後に別の5人が入室
し、室内の臭気を下記の基準にて評価した。なお、空気
浄化装置は8名全てがたばこを1本ずつ喫煙した後に運
転した。 評価基準: 0:無臭 1:やっと感知できる臭い 2:何の臭いかわかる臭い 3:楽に感知できる臭い 4:強い臭い 5:強烈な臭い その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明の空気浄化システムは半導体光触
媒と非晶質リン酸カルシウムとを複合一体化した半導体
光触媒複合粒子を使用したフィルターと400nm以下
の波長を含む光を発する光源とを備えてなるもので、空
気清浄機、エアコン、暖房機、除湿器、加湿器、掃除機
等やさらには自動車の空気吸入口や車内の空調装置等に
応用して空気中の様々な臭いを分解除去することができ
る、あるいは優れた抗菌性を発揮することができる。
【0040】また、フィルターには粒子状半導体光触媒
と粒子状非晶質リン酸カルシウムとを複合一体化した複
合粒子が含まれているので、フィルター素材や接着剤を
光触媒活性による強い酸化作用により分解し、物性低下
を招いたり、着色したりすることを抑制することができ
る。また、非晶質リン酸カルシウムの粒子の粒子と複合
一体化した複合粒子を使用してあるので、比重が重く分
離しやすい酸化チタン等の半導体光触媒が分離すること
がなく、この非晶質リン酸カルシウム粒子が種々の菌体
やウイルスや、アルデヒド基、アンモニア基等を有する
異臭物質やSOx,NOx等を吸着し、これを効果的に
半導体光触媒が分解するという相乗効果を発揮できるの
で、高い消臭、抗菌性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体光触媒複合粒子の製造に用いた装置の概
略構成図である。
【図2】実施例1で得られた半導体光触媒複合粒子の電
子顕微鏡写真(100,000倍)。
【図3】酸化チタンの粒子の電子顕微鏡写真(100,000
倍)。
【図4】非晶質リン酸カルシウムの粒子の電子顕微鏡写
真(100,000倍)。
【符号の説明】
1…酸化チタン粒子 2…ACP粒子 3…混合スラリー 4…定量ポンプ 5…スプレードライヤー 6…アトマイザー 7…ACP多孔質粒子 8…サイクロン 9…エアフィルター 10…電気ヒータ 11…熱ガス室 12…排出孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 9/00 A61L 9/01 B01D 53/86

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子状半導体光触媒と粒子状非晶質リン
    酸カルシウムとが複合一体化された複合粒子を含むフィ
    ルターと400nm以下の波長を含む光を発する光源と
    を備え、半導体光触媒複合粒子の比表面積が10m2/
    g以上の多孔質体であることを特徴とする空気浄化シス
    テム。
  2. 【請求項2】 粒子状半導体光触媒と粒子状非晶質リン
    酸カルシウムとが複合一体化された複合粒子を含むフィ
    ルターと、400nm以下の波長を含む光を発する光源
    と、空気を流通させる手段とを備えた空気浄化システム
    であって、前記複合粒子が比表面積が10m2/g以上
    の多孔質体であることを特徴とする空気浄化システム。
  3. 【請求項3】 前記の複合粒子中に含まれる粒子状半導
    体光触媒の粒子径が粒子状非晶質リン酸カルシウムの粒
    子径よりも小さいことを特徴とする請求項1、2に記載
    の空気浄化システム。
  4. 【請求項4】 前記の複合粒子は、非晶質リン酸カルシ
    ウムの粒子のまわりに半導体光触媒の粒子が固着してな
    る粒子を複合一体化してなるものであることを特徴とす
    る請求項1、2に記載の空気浄化システム。
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