JP4922042B2 - 光触媒能を有するプラズマ電極、光触媒アパタイトの活性方法、ガス浄化方法、及びガス浄化装置 - Google Patents

光触媒能を有するプラズマ電極、光触媒アパタイトの活性方法、ガス浄化方法、及びガス浄化装置 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマエネルギーにより光触媒活性を有するアパタイトを活性化させ、該光触媒活性を有するアパタイトの作用と、プラズマエネルギーの作用との相乗効果により、有害成分の分解除去を簡便かつ効果的に行なうことが可能な光触媒能を有するプラズマ電極、光触媒アパタイトの活性方法、該活性方法を用いたガス浄化方法、及びガス浄化装置に関する。
従来より、プラズマを利用した空気浄化システムが存在する。このシステムでは、プラズマ放電場中(プラズマ空間内)に臭い物質などを含む空気を導入し、その高いエネルギーにより臭い分子がバラバラに分解されることで、脱臭効果を得るものである。また、臭い物質だけでなく、ウイルスやアレルゲン物質(花粉やダニの死骸)などについても、前記臭い分子と同様にプラズマによって分解できるため、空気の浄化作用が期待できる。
前記プラズマを安定して放電させるには、電極間の距離をより狭く、かつ均一化することが重要である。しかし、大気圧プラズマを使った空気浄化を行う場合、電極間の狭いプラズマ空間内を、汚れた空気を通過させるのは困難で、処理効率に劣る問題がある。効率化を図るには、一回の処理における分解能力を引き上げる、即ち、プラズマ空間を長く形成するなどの対策が必要となり、装置が膨大化する、コスト高となるなどの問題がある。また、電極間距離を大きくするとプラズマ放電が不安定となるため、電圧を高くする必要があり消費電力が増大する問題がある。
一方、酸化分解作用、抗菌作用、防汚作用等を発揮する、酸化チタン(TiO)等の一部の半導体物質の有する光触媒活性が注目され、エアコンや空気清浄機におけるフィルター等に利用されている。
前記プラズマや光触媒を単独で用いる技術に加え、近年、該プラズマの作用と光触媒の作用の双方を利用したガス浄化システムが開示されている(特許文献1及び2参照)。例えば、特許文献1では、前記酸化チタンで表面処理した電極間に電圧を印加してプラズマを生じさせ、該プラズマ電場中にNOxガス、SOxガスなどの浄化対象ガスを通過させることにより、浄化対象ガスの分解が行なわれる。また、プラズマの光によって光触媒活性が励起された前記光触媒によっても分解が行なわれ、浄化対象ガスの分解が促進される。このように、プラズマの作用と光触媒の作用との相乗効果により、浄化対象ガスを効率的に分解することができる。
しかし、前記酸化チタン等の前記半導体物質の場合、有害物質やウイルスなどに対する吸着能に乏しく、その光触媒機能に基づく十分な分解作用、抗菌作用、防汚作用等が得られ難いという問題がある。
一方、前記空気清浄機におけるフィルターに、吸着性能に優れる光触媒活性を有するアパタイトを付着させたものが開示されている(特許文献3参照)。特許文献3では、空気がフィルターを通過する際に、プラズマ放電により空気中の有害物質やウイルスなどを帯電させ、前記フィルターの光触媒活性を有するアパタイトによる有害物質やウイルスなどを吸着させるとともに、前記プラズマの光によりその光触媒活性を活性化して、吸着された有害物質やウイルスなどの分解を行なうものである。
しかし、この場合、プラズマエネルギーにより有害成分を分解することについては開示がない。
したがって、光触媒活性を有するアパタイトによる有害成分の分解能と、プラズマエネルギーによる有害成分の分解能とを合わせ持ち、かつ、その相乗効果により有害物質の分解除去を簡便かつ効果的に行なうことが可能な光触媒能を有するプラズマ電極、光触媒アパタイトの活性方法、ガス浄化方法、及びガス浄化装置は未だ提供されていないのが現状である。
特開2001−187319号公報 特開2002−221027号公報 特開2005−161022号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、プラズマエネルギーにより光触媒活性を有するアパタイトを活性化させ、該光触媒活性を有するアパタイトの作用と、プラズマエネルギーの作用との相乗効果により、分解対象物の分解を簡便かつ効果的に行なうことが可能な光触媒能を有するプラズマ電極、光触媒アパタイトの活性方法、並びに、プラズマエネルギーによる有害物質の分解能と、該プラズマエネルギーにより励起された光触媒アパタイトの有する有害物質の吸着能及び分解能との相乗効果により、有害物質の分解除去を簡便かつ効果的に行なうことが可能なガス浄化方法、及びガス浄化装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、後述する付記に列挙した通りである。
本発明の光触媒能を有するプラズマ電極は、電圧の印加により大気圧プラズマを発生する放電部を少なくとも備えたプラズマ電極であって、該放電部の放電面の少なくとも一部に複数の突起部を有し、該突起部間に光触媒活性を有するアパタイトを、該突起部の高さよりも低くなるよう担持させたことを特徴とする。
該光触媒能を有するプラズマ電極においては、放電部に電圧が印加され、大気圧プラズマが発生する。該プラズマエネルギーにより、例えば、プラズマ放電場(以下、プラズマ空間と称することがある)中を通過する気体中の有害成分などの分解対象物が分解される。また、光触媒活性を有するアパタイト(以下、「光触媒アパタイト」と称することがある)の優れた吸着能により、有害成分が吸着される。前記大気圧プラズマの発生により生じる光が、前記光触媒アパタイトに照射され、その光触媒活性が励起される。該光触媒活性により、前記光触媒アパタイトに吸着された有害成分が分解される。その結果、プラズマエネルギーによる有害成分の分解能と、前記光触媒アパタイトが有する有害成分の分解能との相乗効果により、NOx、SOx、酸化エチレンガスなどの有害物質、臭い成分、ウイルスなどの病原、その他の有害成分が、簡便かつ効果的に分解除去される。
従来、不導体である光触媒アパタイトを電極表面に成膜などにより付着させるのは困難である。また、該不導体の光触媒アパタイトで電極表面を被覆した場合、プラズマ放電が不安定となることがあり、分解処理に高電圧が必要となって消費電力が増大することがある。
しかし、本発明の前記光触媒能を有するプラズマ電極では、放電面に突起部を設け、該突起部の先端を、前記光触媒アパタイトから突出させているので、安定した放電が可能となり、プラズマエネルギーによる分解性能を向上させることができるとともに、消費電力の節約が可能となる。
また、前記突起部間に前記光触媒アパタイトを担持させているので、成膜などの特殊な技術を必要とせず、前記光触媒アパタイトを電極に確実かつ簡単に付着させることができ、生産性も向上する。また、安定した大気圧プラズマの発光により、前記光触媒アパタイトによる有害成分の分解を効率的に行なうことができる。
本発明の光触媒アパタイトの活性方法は、本発明の前記光触媒能を有するプラズマ電極を用いたものであって、該プラズマ電極間に電圧を印加して大気圧プラズマを発生させ、該大気圧プラズマの光を、前記光触媒活性を有するアパタイトに照射することを特徴とする。
該光触媒アパタイトの活性方法では、電極間に電圧を印加して大気圧プラズマを発生させる。該大気圧プラズマのプラズマエネルギーにより、処理ガス、処理ガス中の有害成分、その他の分解対象物が分解される。一方、前記光触媒アパタイトの有する吸着能により、有害成分が吸着される。前記大気圧プラズマの光が、前記光触媒アパタイトに照射される。該光触媒アパタイトの光触媒活性が励起され、該光触媒アパタイトにより吸着された有害成分が分解される。その結果、プラズマエネルギーによる有害成分の分解能と、前記光触媒アパタイトが有する有害成分の分解能との相乗効果により、NOx、SOx、酸化エチレンガスなどの有害物質、臭い成分、ウイルスなどの病原、その他の有害成分が、簡便かつ効果的に分解除去される。
該光触媒アパタイトの活性方法では、本発明の前記光触媒能を有するプラズマ電極を用いているので、低電圧でも安定したプラズマ放電が可能となり、光触媒活性の励起を、効率的に行なうことができる。
本発明のガス浄化方法は、本発明の前記光触媒アパタイトの活性方法を用いたガス浄化方法であって、前記プラズマ電極間に電圧を印加して発生した大気圧プラズマと、該大気圧プラズマの光によって光触媒活性が励起された光触媒アパタイトとにより、浄化対象ガスを分解することを特徴とする。
該ガス浄化方法においては、放電部に電圧が印加され、大気圧プラズマが発生する。該プラズマエネルギーにより、例えば、プラズマ放電場中を通過する浄化対象ガス中のNOx、SOx、酸化エチレンガスなどの有害物質、臭い成分、ウイルスなどの病原、その他の有害成分(分解対象物)が分解される。また、前記光触媒アパタイトの吸着能により、前記有害成分が吸着される。前記プラズマの発生により生じる光が、光触媒アパタイトに照射され、その光触媒活性が励起される。該光触媒活性により、光触媒アパタイトに吸着された有害成分が分解される。その結果、プラズマエネルギーによる有害成分の分解能と、前記光触媒アパタイトが有する有害成分の吸着能及び分解能との相乗効果により、浄化対象ガス中のNOx、SOx、酸化エチレンガスなどの有害物質、臭い成分、ウイルスなどの病原、その他の有害成分が、簡便かつ効果的に分解され、優れたガスの浄化が可能となる。
本発明のガス浄化装置は、本発明の前記ガス浄化方法に用いられることを特徴とする。
該ガス浄化装置においては、放電部に電圧が印加され、大気圧プラズマが発生する。該プラズマエネルギーにより、例えば、プラズマ放電場中を通過する浄化対象ガス中のNOx、SOx、酸化エチレンガスなどの有害物質、臭い成分、ウイルスなどの病原、その他の有害成分(分解対象物)が分解される。また、前記光触媒アパタイトの吸着能により、前記有害成分が効率的に吸着される。前記プラズマの発生により生じる光が、光触媒アパタイトに照射され、その光触媒活性が励起される。該光触媒活性により、光触媒アパタイトに吸着された有害成分が分解される。その結果、プラズマエネルギーによる有害成分の分解能と、光触媒アパタイトが有する有害成分の吸着能及び分解能との相乗効果により、浄化対象ガス中のNOx、SOx、酸化エチレンガスなどの有害物質、臭い成分、ウイルスなどの病原、その他の有害成分が、簡便かつ効果的に分解され、ガスの優れた浄化が可能なガス浄化装置が得られる。
本発明によると、従来における前記問題を解決することができ、プラズマエネルギーにより光触媒アパタイトを活性化させ、該光触媒アパタイトの有する有害成分の吸着能及び分解能と、プラズマエネルギーによる有害成分の分解能との相乗効果により、有害成分の分解除去を簡便かつ効果的に行なうことが可能な光触媒能を有するプラズマ電極、光触媒アパタイトの活性方法、該活性方法を用いたガス浄化方法、及びガス浄化装置を提供することができる。
(光触媒能を有するプラズマ電極)
本発明の光触媒能を有するプラズマ電極は、放電部と、光触媒活性を有するアパタイト(光触媒アパタイト)とを少なくとも有してなり、プラズマの作用と光触媒の作用とを融合させたものである。
<放電部>
前記放電部は、放電面の少なくとも一部に、複数の突起部を有し、該突起部間に光触媒アパタイトを担持させている。この場合、突起部の高さよりも光触媒アパタイトが低くなるように担持させ、突起部の先端が光触媒アパタイトに埋もれることなく、光触媒アパタイトから外方に突出するようにする。
このように、放電面に突起部を設け、かつ、突起部を光触媒アパタイトよりも外方に突出させていることにより安定した放電が可能となり、プラズマエネルギーの分解能を効率的かつ経済的に発現させることができる。
前記放電部の構造としては、電圧の印加により大気圧プラズマを発生させ、かつ、該大気圧プラズマの光により、光触媒アパタイトの光触媒活性を励起するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、金属製の第一の電極板と、第二の電極板とからなり、いずれか又は双方の放電面に、突起部を設けて光触媒アパタイトを担持させてもよい。
また、第一の電極板と、第二の電極板との間に、円筒型の第三の電極を配置し、第一の電極板と円筒型の第三の電極との間、及び第二の電極板と円筒型の第三の電極との間に、各々プラズマ空間が形成されるように形成してもよい。これら第一〜第三の電極の放電面の少なくともいずれかに、突起部を設けて光触媒アパタイトを担持させる。
前記突起部としては、その形状、大きさ、数などは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、突起部の先端が、尖端であるのが好ましく、少ない電圧で安定したプラズマ放電が可能となる。
前記尖端を有する突起部を得るため、例えば、放電面に、断面が三角形状の長尺な突条を複数本、平行に突設けて突起部としてもよいし、放電面に、V字状の溝を複数本、平行に凹設して、溝間に突起部を設けてもよい。また、円錐形、角錐形の突起部を複数個、設けてもよい。
また、前記複数の突起部の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ランダムに配置してもよいが、等間隔で配置するのが好ましく、より安定したプラズマ放電が可能となるとともに、光触媒アパタイトを均一かつ安定して担持させることができる。
前記放電部に印加する電圧としては、数kV〜十数kVが好ましく、低電圧であっても効果的な放電が可能となる。
光触媒アパタイトは、紫外線により光触媒活性が励起されるものを用いるのが好ましい。前記大気圧プラズマの光の波長は、380nmであり、光触媒アパタイトの励起波長と一致するため、光触媒アパタイトの光触媒活性を効果的に励起させることができる。
前記光触媒アパタイトの突起部間への担持方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、光触媒アパタイトを含有するコート剤や塗料に、前記電極を浸漬して、放電面を光触媒アパタイトでコーティングし、光触媒層を形成する。次に、突起部の尖端が光触媒層から突出するよう、突起部を研磨して光触媒アパタイトを除去することにより、突起部間に、光触媒アパタイトを担持させることができる。
<光触媒アパタイト>
前記光触媒アパタイトとしては、前記大気圧プラズマの光の照射により活性化されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光触媒アパタイトの形態としては、特に制限はなく、その形状、大きさ、比重等については適宜選択することができるが、例えば、粒子状(粒状)、粉状、多孔質固形状、などが好適に挙げられる。これらの中でも、前記プラズマ電極に、浸漬、コーティングなどによって付着させ易い点で、粒子状(粒状)であるのが特に好ましい。
また、前記粒子状(粒状)の光触媒アパタイトは、更に表面に凹凸を有する形状、例えば、イガグリ形状であるのが好ましい。この場合、その表面積が拡大し、分解対象物との接触効率がより向上する。
前記光触媒アパタイトの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前光触媒アパタイトが前記粉状乃至粒子状(粒状)である場合の粒度分布(粒子径分布)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記粒度分布がシャープである(狭くなる)程、前記光触媒アパタイトを、前記コート剤や塗料などに均一に分散させることができる。
前記光触媒の光触媒活性の発現に必要な光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光触媒アパタイトの光触媒能の励起が大気圧プラズマの光により行なわれるものである点で、紫外光に対して吸収性を示し、光触媒活性を発現可能であるのが好ましい。
前記光触媒アパタイトは、該アパタイトの優れた吸着特性により、気体中のNOx、SOx、酸化エチレン、その他の有害物質や、ウイルス、バクテリアなどの病原などの有害成分に対する吸着特性に優れる。また、前記大気圧プラズマの光の励起された光触媒活性(光触媒能)により、表面に吸着している前記有害成分(分解対象物)から電子を奪い取ることができ、該有害成分を酸化し、分解させることができる。
前記光触媒の具体的な材質乃至組成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光触媒活性(光触媒能)を有するアパタイトなどが特に好適に挙げられる。該光触媒が、光触媒活性を有するアパタイトであると、該アパタイトの優れた吸着特性により、前記気体中に含まれる前記有害成分に対する吸着特性に優れる点で有利であり、また、その光触媒活性(光触媒能)により、吸着した前記有害成分を効率的に光触媒活性により分解除去可能である点で有利である。
これらの光触媒の中でも、光触媒活性を有するアパタイトと、更に紫外光吸収性金属原子を少なくともを含んでなるものが好ましい。また、可視光吸収性金属原子を含んでなるものを用いてもよい。前記光触媒が、前記紫外光吸収性金属原子を含んでいると、大気圧プラズマから生じる紫外光の照射条件下での使用に好適な点で有利であり、前記可視光吸収性金属原子を含んでいると、紫外光以外の可視光などでの光触媒の活性化が可能となる点で有利である。
なお、本発明においては、前記光触媒アパタイトは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光触媒アパタイトは、光触媒活性を有するのに必要な金属原子(以下、光触媒活性を発現可能な金属原子と称することがある。)として、チタン(Ti)を有するアパタイトである。前記チタンを有するアパタイトに光が照射されると、該光触媒活性を有するのに必要な金属原子であるチタンの作用により該アパタイトが活性化され、該アパタイトの表面に吸着している前記有害成分(分解対象物)から電子を奪い取ることができ、該有害成分を酸化し、分解させることができる。
前記アパタイトとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、下記一般式(1)で表されるもの、などが好適に挙げられる。
前記一般式(1)において、Aは、金属原子を表し、該金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、ランタン(La)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ユウロピウム(Eu)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、などが挙げられる。これらの中でも、吸着性に優れる点で、カルシウム(Ca)が特に好ましい。
Bは、リン原子(P)及び硫黄原子(S)のいずれかを表し、これらの中でも、生体親和性に優れる点で、リン原子(P)が好ましい。
Oは、酸素原子を表す。
Xは、水酸基(OH)、CO、及びハロゲン原子のいずれかを表し、これらの中でも、前記Aの金属原子と共に金属酸化物型の光触媒性部分構造を形成可能な点で、水酸基(OH)が特に好ましい。なお、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、などが挙げられる。
m、n、z、及びsは、整数を表し、例えば、電荷バランスが良好な点で、mは、8〜10が好ましく、nは、3〜4が好ましく、zは、5〜7が好ましく、sは、1〜4が好ましい。
前記一般式(1)で表されるアパタイトとしては、例えば、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト若しくはクロロアパタイト、又は、これらの金属塩、リン酸三カルシウム若しくはリン酸水素カルシウム、などが挙げられる。これらの中でも、上記一般式(1)における、Xが水酸基(OH)であるハイドロキシアパタイトが好ましく、上記一般式(1)における、Aがカルシウム(Ca)であり、Bがリン原子(P)であり、かつXが水酸基(OH)であるカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)、即ち、Ca10(PO)(OH)が特に好ましい。
前記カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)は、カチオンに対してもアニオンに対してもイオン交換し易いため、病原その他の有害物質(分解対象物)に対する吸着特性に優れ、特にタンパク質等の有機物に対する吸着特性に優れており、、加えて、ウイルス、カビ、細菌等の微生物等に対する吸着特性にも優れ、これらの増殖を阻止乃至抑制し得る点で好ましい。
前記アパタイトの前記光触媒アパタイトにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、85〜97mol%であるのが好ましく、85〜90mol%であるのがより好ましい。
前記アパタイトの含有量が、85mol%未満であると、前記光触媒の光触媒活性が十分でないことがあり、97mol%を超えても、それに見合う効果が得られず、また、該光触媒の前記有害成分(分解対象物)に対する吸着特性や光触媒活性などが低下することがある。
なお、前記アパタイトの前記光触媒における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子としては、光触媒中心として機能し得る限り特に制限はなく、光触媒活性を有するものとして公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、光触媒活性に優れる点で、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)、インジウム(In)、鉄(Fe)、などから好適に選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。これらの中でも、特に前記光触媒活性(光触媒能)に優れる点で、チタン(Ti)が好ましい。
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の前記光触媒における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光触媒における全金属原子に対し、5〜15mol%であるのが好ましく、8〜12mol%であるのがより好ましい。
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の含有量が、5mol%未満であると、前記光触媒の光触媒活性が十分でないことがあり、15mol%を超えても、それに見合う効果が得られず、また、該光触媒の分解対象物に対する吸着特性や光触媒活性等が劣化することがある。
なお、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の前記光触媒における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子が、前記アパタイトの結晶構造を構成する金属原子の一部として該アパタイトの結晶構造中に取り込まれる(置換等される)ことによって、該アパタイトの結晶構造内に、光触媒機能を発揮し得る「光触媒性部分構造」が形成される。
このような光触媒性部分構造を有する前記アパタイトは、光触媒活性を有し、また、アパタイト構造部分が吸着特性に優れ、光触媒活性を有する公知の金属酸化物よりも、有害成分(分解対象物)に対する吸着特性に優れるため、前記病原の分解作用、抗菌作用、前記病原の増殖阻止乃至抑制作用、更には、防汚作用などにも優れる。
前記光触媒活性を有するアパタイトとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記光触媒活性を有するアパタイトの市販品としては、例えば、前記カルシウム・チタンハイドロキシアパタイトでは、太平化学産業株式会社製の商品名「PCAP−100」などが好適に挙げられる。図1に、該「PCAP−100」の二次粒子の電子顕微鏡写真を示す。該写真によれば、ナノオーダーの微細な一次粒子が凝集して、球状の二次粒子が形成されている。
前記可視光吸収性金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、波長400nm以上の光に対し、吸収特性を有するもの、などが好適に挙げられ、具体的には、クロム(Cr)及びニッケル(Ni)から選択される少なくとも1種などがより好ましく、前記光触媒の光触媒活性の状態を目視にて視認可能にする観点からは、その光触媒活性の状態により、淡黄色から淡青色へと、更に淡青色から濃青色へと変色可能なクロム(Cr)が好ましい。
前記可視光吸収性金属原子の前記光触媒における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、全金属原子に対し、0.001〜1mol%であるのが好ましく、0.01〜1mol%がより好ましい。
前記可視光吸収性金属原子の含有量が、0.001mol%未満であると、前記光触媒の可視光の吸収能が十分でないことがあり、1mol%を超えてもそれに見合う効果が得られず、前記光触媒の前記有害成分(分解対象物)に対する吸着性能が低下等してしまうことがある。
なお、前記可視光吸収性金属原子の前記光触媒における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
前記紫外光吸収性金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光触媒の可視光吸収性及び紫外光吸収性を飽和させない点で、タングステン(W)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかであるのが好ましい。これらは、前記光触媒中に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
前記紫外光吸収性金属原子の含有量としては、全金属原子に対し、0.001〜0.1mol%であるのが好ましい。
前記紫外光吸収性金属原子の含有量が、0.001mol%未満であると、前記光触媒の紫外光の吸収能が十分でないことがあり、0.1mol%を超えてもそれに見合う効果が得られず、前記光触媒アパタイトの前記有害性分(分解対象物)に対する吸着性能が低下したり、可視光の吸収能が低下等してしまうことがある。
なお、前記紫外光吸収性金属原子の前記光触媒における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
前記光触媒アパタイトにおいては、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子と、前記紫外光吸収性金属原子と、前記可視光吸収性金属原子との含有量の合計としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、15mol%以下が好ましく、3〜15mol%がより好ましい。
前記含有量の合計が、15mol%を超えてもそれに見合う光触媒活性の向上効果が得られず、却って光触媒活性が低下することがある。
前記光触媒アパタイトの具体例としては、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子がチタン(Ti)であり、前記アパタイトがカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP):Ca10(PO)(OH)であり、前記可視光吸収性金属原子がクロム(Cr)であるものが好ましく、更に、前記紫外光吸収性金属原子を含み、該紫外光吸収性金属原子がタングステン(W)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかであるものがより好ましい。
このような光触媒アパタイトは、前記有害成分(分解対象物)の吸着性能に優れ、また、前記光触媒が前記紫外光吸収性金属原子も含む場合には、大気圧プラズマから生じる紫外光により光触媒アパタイトの光触媒能を活性化させるのに好適に使用可能である。そして、該光触媒アパタイトは、可視光及び紫外光のいずれを照射した場合においても光触媒活性が飽和することがなく、長期間にわたって優れた光触媒活性を示し、特に紫外光を長期間にわたって照射した場合においても光触媒活性が飽和することがなく優れた光触媒活性(光触媒能)を維持可能な点で有利である。
前記光触媒アパタイトの構造としては、例えば、単層構造、積層構造、多孔質構造、コア・シェル構造、などが挙げられる。
なお、前記光触媒の同定・形態等の観察は、例えば、TEM、XRD、XPS、FT−IR等に行うことができる。
前記光触媒活性を有するアパタイトの二次粒子の粒子径としては、1〜10μmが好ましい。
光触媒活性を有するアパタイトの一次粒子(単結晶)としては、10nm〜1μmの粒子径分布を有するのが好ましい。
前記光触媒アパタイトは、公知の方法に従って製造することができ、例えば、前記光触媒活性を有するアパタイト中に、上述した可視光吸収性金属原子と、更に必要に応じて上述した紫外光吸収性金属原子とをドープさせることにより製造することができる。
前記ドープの態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、置換、化学結合、吸着などが挙げられるが、これらの中でも、反応の制御が容易であり、ドープされた後で前記可視光吸収性金属原子等が脱離等することがなく、これらを前記光触媒中で安定に保持させることができる点で、置換が好ましい。
前記置換の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光触媒活性を有するアパタイトとして、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを用いた場合、該金属原子の少なくとも一部を、前記紫外光吸収性金属原子等により置換させる態様、などが好適に挙げられる。この態様の場合には、前記紫外光吸収性金属原子等が、前記アパタイトに脱落不能に保持される点で有利である。
前記紫外光吸収性金属原子等による置換の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換、などが好適に挙げられる。該置換がイオン交換の場合には、置換効率に優れる点で有利である。
前記ドープの具体的な方法、即ち前記光触媒活性を有するアパタイト中への前記紫外光吸収性金属原子等のドープの具体的な方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記紫外光吸収性金属原子を含む化合物等を溶解させた(共存させた)水溶液中に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを浸漬させることにより行う浸漬法、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトの原料と、前記紫外光吸収性金属原子を含む化合物等を溶解させた(共存させた)水溶液中で、該原料と該紫外光吸収性金属原子等を共沈させる共沈法、などが好適に挙げられる。
なお、前記水溶液は、静置しておいてもよいが、攪拌した方が前記置換が効率的に行われる点で好ましい。なお、該攪拌は、公知の装置、手段を用いて行うことができ、例えば、マグネティックスターラーを用いてもよいし、攪拌装置を用いてもよい。これらの方法の中でも、簡便に操作可能な点で、浸漬法がより好ましい。
なお、前記浸漬法においては、上述のように、前記紫外光吸収性金属原子を含む化合物等を溶解させた(共存させた)水溶液中に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを浸漬させてもよいし、逆に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを分散させた水溶液中に、前記紫外光吸収性金属原子等を含む化合物とを前記水溶液中に溶解させてもよい。
また、上述の製造例では、前記光触媒活性を有するアパタイトを出発物質として用いているが、これに代えて、上述したアパタイトと、上述した光触媒活性を有するのに必要な金属原子とを出発物質として用いて、前記紫外光吸収性金属原子等のドープと同時に、あるいはそれに先立って、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を、前記アパタイトにドープさせてもよい。この場合には、前記紫外光吸収性金属原子等のドープと、前記光触媒活性を有するアパタイトの形成とを同時に行うことになり、あるいは、前記光触媒活性を有するアパタイトを形成してから、次に、前記紫外光吸収性金属原子等のドープを行うことになる。
なお、前記光触媒活性を有するアパタイトを出発物質として用いる態様の場合には、予めNiがドープされているカルシウム・チタンハイドロキシアパタイト(TiHAP)を、前記光触媒活性を有するアパタイトとして好適に使用することができる。
前記ドープの際の前記水溶液中での前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.3〜1.0質量%が好ましく、0.4〜0.6質量%がより好ましい。
前記アパタイトの濃度が、0.3質量%未満であると、光触媒活性が低下することがあり、1.0質量%を超えても、それに見合う光触媒活性の向上効果が得られず、却って光触媒活性が低下することがある。
前記ドープの際の前記水溶液中での前記可視光吸収性金属原子の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1×10−4〜1×10−3Mが好ましく、1×10−4〜5×10−4Mがより好ましい。
前記可視光吸収性金属原子の濃度が、1×10−4M未満であると、可視光応答性が低下することがあり、1×10−3Mを超えても、それに見合う可視光応答性の向上効果が得られず、却って可視光応答性が低下することがある。
前記ドープの際の前記水溶液中での前記紫外光吸収性金属原子の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1×10−3〜1×10−2Mが好ましく、9×10−3〜1×10−2Mがより好ましい。
前記紫外光吸収性金属原子の濃度が、1×10−3M未満であると、紫外光に対する光触媒活性が低下することがあり、1×10−2Mを超えても、それに見合う光触媒活性の向上効果が得られず、却って紫外光に対する活性が低下することがある。
前記ドープの際における、前記水溶液中に浸漬させる前記可視光吸収性金属原子の形態としては、該水溶液中への溶解容易性、該水溶液中での該紫外光吸収性金属原子の濃度調整の容易性等の点で、該可視光吸収性金属原子の塩又は水和物の形態であるのが好ましい。
該塩又は水和物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記可視光吸収性金属原子が、クロム(Cr)及びニッケル(Ni)である場合には、これらから選択される少なくとも1種を含む塩であるのが好ましく、塩化物や硫酸塩では光触媒活性を低下させることがあるため、硝酸塩やアンモニウム塩であるのが特に好ましい。
前記ドープを行う反応系としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、液中、空気中、などで行うことができるが、液中で行うのが好ましい。
この場合、該液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水乃至水を主体にした液が好ましい。
なお、該液を収容する容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ラージスケールであれば混合器、攪拌器などが挙げられ、スモールスケールであればビーカーなどが好適に挙げられる。
前記ドープの際の条件としては、特に制限はなく、温度、時間、圧力等については目的に応じて適宜選択することができる。
前記温度としては、特に制限はなく、材料の種類や量比等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、例えば、通常、0℃〜100℃程度であり、室温(20℃〜30℃)が好ましい。前記時間としては、特に制限はなく、材料の種類や量比に応じて異なり、一概に規定することはできないが、通常、10秒〜30分間程度であり、1〜10分間がより好ましい。前記圧力としては、特に制限はなく、材料の種類や量比等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、通常、大気圧であるが好ましい。
なお、前記光触媒における、前記光触媒活性を有する金属、前記紫外光吸収性金属原子等の量は、これらの添加量(M)、あるいは前記条件を適宜調整することにより、所望に制御することができる。
前記焼成は、前記光触媒活性を有するアパタイト中に、前記紫外光吸収性金属原子等をドープさせた後(前記ドープ工程の後)、ドープが完了した該アパタイトを600〜800℃で焼成する工程である。
前記焼成の温度が、600℃未満であると、光触媒活性が最大とならないことがあり、800℃を超えると、分解が生ずることがある。
前記焼成の条件、例えば、時間、雰囲気、圧力、装置等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記時間としては、前記ドープが完了したアパタイトの量等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、例えば、1時間以上が好ましく、1〜2時間がより好ましい。前記雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、大気雰囲気などが挙げられるが、大気雰囲気が好ましい。前記圧力としては、例えば、大気圧などが挙げられる。前記装置としては、公知の焼成装置を使用することができる。
前記焼成を行うことにより、前記紫外光吸収性金属原子等をドープした、前記光吸収活性を有するアパタイトの結晶性を高めることができ、前記光触媒における光触媒能(吸着特性、光触媒活性などを含む)をより高めることができる。
ここで、前記光触媒の製造方法の一例について説明する。前記ドープを前記置換で行う場合、具体的には前記置換をイオン交換により共沈法で行う場合には、まず、脱炭酸ガス処理をした純水に、例えば、前記アパタイトとしてカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)の硝酸カルシウムの水溶液と、該CaHAPに前記光触媒活性を有する金属としてチタンをドープさせるための、該チタンを含む硫酸チタンの水溶液と、前記可視光吸収性金属原子であるクロムを含む硝酸クロムの水溶液と、前記紫外光吸収性金属原子である短癖点を含む12タングストリン酸n水和物の水溶液とを所定量で混合する。次いで、得られた混合物に燐酸を添加し、更にアンモニア水を添加してpHを9に調整する。得られた懸濁液を、100℃にて6時間エージング(熟成、結晶成長)し、濾過する。濾別した沈殿を純水で洗浄し、乾燥する。その後、650℃まで1時間かけて昇温して焼成する。以上により、前記紫外光吸収性原子としてバナジウム(V)を、前記可視光吸収性金属原子としてクロム(Cr)を、それぞれドープしたTiHAP粉体(光触媒)が製造される。
また、前記ドープを前記置換で行う場合、具体的には前記置換をイオン交換により浸漬法で行う場合には、まず、前記可視光吸収性金属原子としてクロムを含む硝酸クロム(III)九水和物を純水に溶解し、硝酸クロム水溶液を調製する。ビーカーに前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子(チタン)を有してなるアパタイトとしてのカルシウム・チタンハイドロキシアパタイト(TiHAP)を秤量し、そこに前記硝酸クロム水溶液を添加する。この混合液をマグネティックスターラーで5分間攪拌した後、濾紙でアスピレータを使用して吸引濾過を行い、純水で洗浄し、100℃のオーブンで2時間乾燥することにより、前記可視光クロムをドープさせたTiHAP粉体を得た。次に、前記紫外光吸収性金属原子としてのバナジウムを含むバナジン酸アンモニウムを純水に溶解し、バナジウム酸アンモニウム水溶液を調製した。ビーカーに上記クロムドープTiHAPを秤量し、前記バナジウム酸アンモニウム水溶液を添加する。この混合溶液をマグネティックスターラーで攪拌した後、濾紙でアスピレータを使用して吸引濾過を行い、純水で洗浄し、100℃のオーブンで2時間乾燥した。その後、マッフル炉で650℃にて1時間の焼成(大気雰囲気)を行った。以上により、前記可視光吸収性金属原子であるクロム及び前記紫外光吸収性金属原子であるバナジウムをドープさせたTiHAP粉体(光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイト)からなる光触媒が製造される。
<光触媒能を有するプラズマ電極の具体的態様>
本発明の光触媒能を有するプラズマ電極の一例を、図2に示す。該プラズマ電極は、図2に示すように、金属板からなる第一の電極1(電極板)と、第二の電極2(電極板)との間に、棒状(円柱状)電極3を、図2中の矢印方向に回転可能に配置して放電部4を構成している。これらに接続した電源5から、電圧を印加することにより、前記第一の電極1と棒状電極3との間、及び前記第二の電極2と棒状電極3との間に、大気圧プラズマが発生し、プラズマ空間6が形成される。前記棒状電極3は、その放電面に一定間隔でV字状の溝7が形成され、尖端状の先端を有する複数の突起部8が、一定間隔で放射状に形成されている。該突起部8間の前記溝7内に、光触媒アパタイトを担持させ、光触媒層9を形成している。該光触媒層9の厚みは、前記突起部8の高さよりも低く形成し、突起部8の先端を光触媒層9から外方に突出させている。なお、前記棒状電極3は、不動に形成してもよいが、本態様のように回転可能に形成することにより、棒状電極3の光触媒層9全体に大気圧プラズマの光を照射することが可能となり、光触媒層9を局所的にではなく均一に活性化させることができ、光触媒アパタイトによる有害成分の分解能を効率的に発揮させることができる。
図2のようなプラズマ電極10では、電圧の印加により前記電極1、2、3間に大気圧プラズマが発生する。該プラズマ空間6内を、有害ガス、ウイルスなどの有害成分(分解対象物)が通過することにより、該有害成分がプラズマエネルギーによって分解されるとともに、光触媒層9の有する吸着能により吸着される。該光触媒層9により吸着された有害成分は、大気圧プラズマの光により光触媒活性が励起された光触媒層9により分解される。このように、プラズマエネルギーによる分解作用と、光触媒アパタイトの分解作用とにより、有害成分を効率的に分解除去することができる。
なお、前記態様では、棒状電極のみに突起部及び光触媒層を設けているが、他の異なる態様として、第一、第二の電極のいずれか又は双方に、突起部及び光触媒層を設けてもよい。
また、前記実施形態では、第一及び第二の電極板の間に円筒状電極を配置しているが、更に異なる形態として、円筒状の電極内に、前記棒状電極を不動又は回転可能に配置してもよい。
本発明の光触媒能を有するプラズマ電極によると、プラズマエネルギーにより光触媒アパタイトの光触媒活性が励起され、該光触媒アパタイトの吸着能及び分解能と、プラズマエネルギーの分解能との相乗効果により、分解対象物の分解を簡便かつ効果的に行なうことができる。
(光触媒アパタイトの活性方法)
本発明の前記光触媒アパタイトの活性方法は、本発明の前記光触媒能を有するプラズマ電極を用いるものであって、電極間に電圧を印加して大気圧プラズマを発生させ、該大気圧プラズマの光を、光触媒活性を有するアパタイトに照射することを少なくとも含む。
該大気圧プラズマの光の照射により、前記光触媒アパタイトの光触媒活性が励起され、優れた酸化分解作用、抗菌作用、防汚作用が発揮される。
前記光触媒アパタイトとしては、本発明の前記光触媒能を有するプラズマ電極で用いたものと同様のものが好適に用いられる。これらの中でも、光触媒能に優れ、前記大気圧プラズマの光(波長380nm)で光触媒能が励起される観点から、光触媒活性を有するのに必要な金属原子として、チタンを有する光触媒チタンアパタイトが最も好ましく挙げられる。
また、前記光触媒アパタイトを担持させた電極に近接して、更に、前記光触媒アパタイトを付着させた基材を配置してもよい。該基材は、1個のみ配置してもよいし、大気圧プラズマの光が届く範囲内で、2個以上を配置してもよく、光触媒能を向上させることができる。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不織布、織布などからなるフィルターが好ましい。該フィルターに、光触媒アパタイトを付着させることにより、フィルター内を有害成分を含む気体などが通過する際に、有害成分が光触媒アパタイトに吸着される。また、光触媒アパタイトにより吸着しにくい比較的大きな埃、粉塵、細菌などであっても、フィルターにより捕捉することができる。そして、大気圧プラズマの光が、フィルターの光触媒アパタイトに照射されることにより、光触媒能が励起されて、前記光触媒アパタイトに吸着された有害成分が分解除去される。
本発明の前記光触媒アパタイトの活性方法によれば、電極間に生じるプラズマエネルギーにより光触媒アパタイトの光触媒活性が励起され、該光触媒アパタイトの酸化分解作用、抗菌作用、防汚作用などの優れた光触媒能が得られる。
(ガス浄化方法及びガス除去装置)
本発明の前記ガス除去方法は、本発明の前記光触媒アパタイトの活性方法を用いて行なわれ、電極間に電圧を印加して発生した大気圧プラズマと、該大気圧プラズマの光によって光触媒活性が励起された光触媒アパタイトとにより、浄化対象ガスを分解することを少なくとも含み、必要に応じて、大気圧プラズマから発生するオゾンの除去、フィルターなどによる有害成分の捕捉などを行なってもよい。
本発明の前記ガス浄化装置は、本発明の前記ガスの浄化方法に用いられ、例えば、大気圧プラズマを発生させる電極と、該大気圧プラズマの光により励起される光触媒アパタイトと、を少なくとも有し、必要に応じて、大気圧プラズマから発生するオゾンの除去手段、フィルターなどの有害成分の捕捉手段、などを有してもよい。また、浄化対象ガスの導入口と、導出口とを備えたチャンバーを有し、該チャンバー内に電極及び光触媒アパタイトを配置してもよい。
前記ガス浄化方法及びガス浄化装置においては、放電部に電圧が印加され、大気圧プラズマが発生する。該プラズマエネルギーにより、例えば、プラズマ放電場中を通過する浄化対象ガス中のNOx、SOx、酸化エチレンガスなどの有害物質、臭い成分、ウイルスなどの病原、その他の有害成分(分解対象物)が酸化分解される。また、優れた吸着能を有する光触媒アパタイトにより、前記有害成分が吸着される。前記プラズマの発生により生じる光が、光触媒アパタイトに照射されることにより、その光触媒活性が励起される。該光触媒活性により、光触媒アパタイトに吸着された有害成分が分解される。その結果、プラズマエネルギーによる有害成分の分解能と、光触媒アパタイトが有する有害成分の分解能との相乗効果により、浄化対象ガス中のNOx、SOx、酸化エチレンガスなどの有害物質、臭い成分、ウイルスなどの病原、その他の有害成分(分解対象物)が、簡便かつ効果的に分解され、優れたガス浄化作用が得られる。
以下、本発明の前記ガス浄化装置について説明することにより、本発明のガス浄化方法についても明らかにする。
<電極>
前記電極としては、本発明の前記光触媒能を有するプラズマ電極が用いられ、必要に応じて、従来公知の電極を併用してもよい。該従来公知の電極に光触媒アパタイトを付着させてもよいし、該電極からの大気圧プラズマが照射可能な位置に、光触媒アパタイトを付着させた基材などを配置してもよい。
本発明の前記光触媒能を有する電極を用いることにより、光触媒アパタイトを電極に付着させたり、光触媒アパタイトを付着させた基材を配置する手間がなく、しかも、安定して大気圧プラズマを発生させることができ、光触媒アパタイトの光触媒活性を簡易かつ効果的に励起させることができ、優れた光触媒能が得られるとともに、大気圧プラズマの作用の相乗効果により、優れたガス浄化作用が得られる。
<光触媒アパタイト>
前記光触媒アパタイトとして、本発明の前記光触媒能を有するプラズマ電極で用いたものと同様のものが好適に用いられる。これらの中でも、光触媒能に優れ、前記大気圧プラズマの光(波長380nm)で光触媒能が励起される観点から、光触媒活性を有するのに必要な金属原子として、チタンを有する光触媒チタンアパタイトが最も好ましく挙げられる。
前記光触媒アパタイトとしては、前述のように、大気圧プラズマを発生させる電極表面に付着させてもよいし、浄化対象ガスの流通経路に、光触媒アパタイトを付着させた基材を配置してもよい。該基材は、1個又は2個以上を前記電極の上流側に配置してもよいし、下流側に配置してもよいし、2個以上を上流側と下流側に配置してもよい。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光触媒アパタイトの活性方法で述べたような、不織布、織布などからなるフィルターが好ましく、光触媒アパタイトの簡易な付着が可能となるとともに、粒子径の大きな有害物質や細菌などを捕捉することができる。
<オゾン除去手段>
前記オゾン除去手段は、大気圧プラズマにより発生するオゾンを外部に放出させないために設けるものであり、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、優れたオゾン分解能を有する活性炭を担持させたフィルターを用いることにより、オゾン除去を簡易かつ確実に行なうことができる。
<捕捉手段>
前記捕捉手段は、処理対象ガス内に含まれる有害物質、臭い成分、ウイルスなどの病原、その他の有害成分を、捕捉する手段であり、前記フィルターなどが好適に挙げられる。なお、このようなフィルターで有害成分を捕捉することにより、プラズマ発光により生じたオゾンが、処理対象ガスとともにフィルター側に流れてくると、該オゾンによりフィルターに付着した有害成分を分解又は不活性化することができ、ガス浄化作用を、より向上させることができる。
<ガス浄化装置の具体的態様>
−第一の態様−
前記ガス浄化装置の第一の態様としては、図2に示すような光触媒アパタイトを突起部間に備えたプラズマ電極そのものをガス浄化装置として用いることができる。該プラズマ電極の詳細は、上述したとおりである。
また、図示はしないが、図2に示すような光触媒能を有するプラズマ電極を、浄化対象ガスの導入口と、導出口とを備えたチャンバー内に配置し、ガス浄化装置を形成してもよい。
−第二の態様−
前記ガス浄化装置の第二の態様を、図3に示す。該図3に示すガス浄化装置100は、処理対象ガスの導入口14と導出口15とを備えたチャンバー16内に前記本発明の光触媒能を有するプラズマ電極10を備え、該電極10の図3中に矢印で示す処理対象ガスの流れに対して、上流側(導入口14側)及び下流側(導出口15側)に、光触媒アパタイトを付着させたフィルター11a、bを配置し、前記電極10から発生する大気圧プラズマの光を照射可能としている。また、該フィルター11aの上流側及びフィルター11bの下流側に、光触媒アパタイトを付着させていないフィルター12a、12bを各々配置し、更に、フィルター12bの下流側に、オゾン除去機能を有するフィルター13を配置している。
また、前記プラズマ電極10では、図4に示すように、放電部4が、縦方向に3セット配置されている。各放電部4は、金属板で形成された第一の電極1及び第二の電極2の間に、ガラス棒の表面を金属でコーティングして形成した棒状電極3が配置されている。該棒状電極3は、表面に突起部(不図示)が形成され、該突起部間に、光触媒アパタイトが担持されている。また、前記プラズマ電極10は、各放電部4内を、処理対象ガスが流通可能に形成されている。
図3に示すガス浄化装置100では、導入口14から導入される処理対象ガスが、各フィルター12a、11a、11b、12b、13内を通過して導出口15から排出される間に、処理対象ガスに含まれる埃、粉塵、細菌などが、フィルターによって捕捉されるとともに、これらでは捕捉できない小さなウイルス、化学成分などが、フィルター11a、11bの光触媒アパタイトによって吸着される。また、プラズマ電極10に担持させた光触媒アパタイトによっても有害成分が吸着される。プラズマ電極10に電圧を印加してプラズマを発生させることにより、プラズマ電極10のプラズマ空間内を通過する処理対象ガス中の有害成分が、オゾンにより酸化分解される。また、大気圧プラズマの光が照射されることにより、プラズマ電極10に担持させた光触媒アパタイトと、前記フィルター11a、11bの光触媒アパタイトとの光触媒活性が励起され、該光触媒アパタイトにより吸着された有害成分が酸化分解される。
このように、大気圧プラズマの分解作用と、光触媒アパタイトの分解作用との相乗効果により、優れたガス浄化が可能となる。
また、プラズマ電極10から生じるオゾンが、フィルター11b、12b側に流れてくることにより、該フィルター11b、12bで捕捉された有害成分が酸化分解され、よりガス浄化作用を向上させることができる。なお、オゾンは、オゾン除去機能を備えたフィルター13により分解されるため、外部に排出されることはなく、浄化が良好に行なわれた処理対象ガスが、導出口15から排出される。
なお、一度の処理で浄化が仕切れなかった場合、又はより確実な浄化を行なうため、導出口15から排出された処理対象ガスを、導入口14からチャンバー16内に導入して、繰り返し浄化処理を行ってもよく、ガス浄化度をより向上させることができる。
本発明のガス浄化方法及びガス浄化装置においては、プラズマエネルギーにより光触媒アパタイトが活性化され、該光触媒アパタイトの作用と、プラズマエネルギーの作用との相乗効果により、処理対象ガスに含まれるNOx、SOxな、酸化エチレンガスなどの有害物質、臭い成分、ウイルスなどの病原、その他の有害成分の分解を簡便かつ効果的に行なうことが可能で、優れたガス浄化作用が得られる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<ガス浄化装置>
ガス浄化装置として、インパクトワールド株式会社製のVOC(Volatile Organic Compound)分解装置(μPS−FL01−T002)を使用した。該VOC分解装置内には、図2に示すように、金属板製の第一及び第二電極1、2との間に、放射状に複数の突起部8を設けた棒状(円柱状)電極3が回転可能に配置されている。該棒状電極3の突起部8間に、光触媒アパタイトとして、図1に示すカルシウム・チタンハイドロキシアパタイト(TiHAP;太平化学産業株式会社製、PCAP−100、平均粒子径3〜8μmの白色粉体)を担持させて、光触媒能を有するプラズマ電極を作製した。
<ガス浄化実験>
病院では、滅菌ガスとして酸化エチレンが使用されるが、この成分は人体にとっても好ましくない。該病院内の環境浄化(ガス浄化)を想定して、酸化エチレンを10ppm含んだ空気を、前記ガス浄化装置内に1m/minで導入して、酸化エチレンの分解による浄化能力の測定実験を行なった。なお、空気中の酸化エチレン濃度は、ガスクロマトグラフィーにより測定した。
その結果、図5に示すように、約20分後に酸化エチレン濃度を0.3ppmまで減少させることができ、優れたガス浄化作用が得られたことが判った。
前記ガス浄化装置では、酸化エチレンが大気圧プラズマにより発生したオゾンによって、アセトアルデヒドとホルムアルデヒドとに酸化分解される。これらが、光触媒アパタイトにより吸着された後、酸化分解されて、無害な水と二酸化炭素とに分解される。また、一部分解しきれなかったアセトアルデヒド及びホルムアルデヒドは、再度ガス浄化装置内に導入され、プラズマエネルギーにより更に小さな分子構造の成分に分解されたり、光触媒アパタイトに分解されることにより、最終的に無害な水と二酸化炭素とに分解される。
(比較例1)
ガス浄化装置として、インパクトワールド株式会社製のVOC分解装置(μPS−FL01−T002)を使用し、棒状電極に光触媒アパタイトを担持させなかったこと以外は、実施例1と同様にして、酸化エチレンガスの浄化実験を行なった。
その結果、図5に示すように、酸化エチレン濃度を0.3ppmまで減少させるのに、60分以上の時間が必要であった。
(比較例2)
ガス浄化装置として、インパクトワールド株式会社製のVOC分解装置(μPS−FL01−T002)を使用し、光触媒アパタイトの代わりに、棒状電極に酸化チタンを担持させたこと以外は、実施例1と同様にして、酸化エチレンガスの浄化実験を行なった。
その結果、図5に示すように、酸化エチレン濃度を0.3ppmまで減少させるのに、30分以上の時間が必要であった。
(実施例2)
<ガス浄化装置及び浄化実験>
実施例1のガス浄化装置に代え、図4に示すプラズマ電極を備え、プラズマ電極10の上流側及び下流側に、光触媒アパタイトをとして、実施例1と同様の太平化学産業株式会社製、PCAP−100を付着させたフィルター11a、11bを配置した、図3に示すようなガス浄化装置を用いることがきる。該ガス浄化装置においても、実施例1と同様に、大気圧プラズマの作用と光触媒アパタイトの作用の相乗効果により、短時間で優れたガス浄化が可能である。
(比較例3)
<ガス浄化装置及び浄化実験>
比較例3では、実施例2と同様のガス浄化装置において、プラズマ電極10の上流側と下流側に配置したフィルター11a、11bに、光触媒アパタイトを付着させずに、ガス浄化実験を行なう。この場合ガス浄化がプラズマエネルギーのみで行なわれるため、処理効率が悪く、ガス浄化に長時間を要する。
本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 電圧の印加により大気圧プラズマを発生する放電部を少なくとも備えたプラズマ電極であって、該放電部の放電面の少なくとも一部に複数の突起部を有し、該突起部間に光触媒活性を有するアパタイトを、該突起部の高さよりも低くなるよう担持させたことを特徴とする光触媒能を有するプラズマ電極。
(付記2) 前記突起部の先端が、尖端である付記1に記載の光触媒能を有するプラズマ電極。
(付記3) 前記複数の突起部が、等間隔で位置された付記1から2のいずれかに記載の光触媒能を有するプラズマ電極。
(付記4) 前記光触媒活性を有するアパタイトが、カルシウムハイドロキシアパタイトCa10(PO(OH)である付記1から3のいずれかに記載の光触媒能を有するプラズマ電極。
(付記5) 付記1から4のいずれかに記載の光触媒能を有するプラズマ電極を用いた光触媒アパタイトの活性方法であって、該プラズマ電極間に電圧を印加して大気圧プラズマを発生させ、該大気圧プラズマの光を、前記光触媒活性を有するアパタイトに照射することを特徴とする光触媒アパタイトの活性方法。
(付記6) 前記大気圧プラズマの光の波長が、380nmである付記5に記載の光触媒アパタイトの活性方法。
(付記7) 前記大気圧プラズマを発生させるプラズマ電極表面に、前記光触媒活性を有するアパタイトを付着させた付記5から6のいずれかに記載の光触媒アパタイトの活性方法。
(付記8) 前記大気圧プラズマを発生させるプラズマ電極に近接して、前記光触媒活性を有するアパタイトを付着させた基材を少なくとも1個配置した付記5から7のいずれかに記載の光触媒アパタイトの活性方法。
(付記9) 付記5から8のいずれかに記載の光触媒アパタイトの活性方法を用いたガス浄化方法であって、前記プラズマ電極間に電圧を印加して発生した大気圧プラズマと、該大気圧プラズマの光によって光触媒活性が励起された光触媒アパタイトとにより、浄化対象ガスを分解することを特徴とするガス浄化方法。
(付記10) 前記大気圧プラズマの光の波長が、380nmである付記9に記載のガス浄化方法。
(付記11) 付記9又は10に記載のガス浄化方法に用いられることを特徴とするガス浄化装置。
(付記12) 前記浄化対象ガスの流通経路であって、大気圧プラズマを発生させる前記プラズマ電極の上流側及び下流側の少なくともいずれかに、前記光触媒活性を有するアパタイトを付着させた基材を少なくとも1個配置した付記11に記載のガス浄化装置。
(付記13) 前記プラズマ電極及び前記光触媒活性を有するアパタイトが、浄化対象ガスの導入口と、導出口とを備えたチャンバー内に配置された付記11又は12に記載のガス浄化装置。
本発明の光触媒能を有するプラズマ電極は、プラズマエネルギーにより光触媒アパタイトを活性化させ、該光触媒アパタイトの有する吸着能及び分解能と、プラズマエネルギーによる分解能との相乗効果により、分解対象物の分解除去を簡便かつ効果的に行なうことが可能となる。そのため、本発明の光触媒アパタイトの活性方法、ガス浄化方法、ガス浄化装置に好適に用いることができる。
本発明の光触媒アパタイトの活性方法は、プラズマエネルギーにより光触媒アパタイトを効果的に活性化させることができ、該光触媒アパタイトの有する吸着能及び分解能と、プラズマエネルギーによる分解能との相乗効果により、分解対象物の分解除去を簡便かつ効果的に行なうことが可能となる。そのため、本発明のガス浄化方法、ガス浄化装置に好適に用いることができる。
本発明のガス浄化方法及びガス浄化装置は、プラズマエネルギーにより光触媒アパタイトを効果的に活性化させることができ、該光触媒アパタイトの有する吸着能及び分解能と、プラズマエネルギーによる分解能との相乗効果により、分解対象物の分解除去を簡便かつ効果的に行なうことが可能となる。そのため、空気浄化装置、排気ガスその他の有害ガス分解装置、VOC分解装置など、環境浄化に好適に用いることができる。
図1は、本発明で用いられる光触媒チタンアパタイトの一例で、その電子顕微鏡写真である。 図2は、本発明の光触媒能を有する電極、又はガス浄化装置の一例を示す概略説明図である。 図3は、本発明のガス浄化装置の第二の例を示す概略説明図である。 図4は、図3に用いた電極を示す概略説明図である。 図5は、実施例1及び比較例1、2におけるガス浄化実験の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 第一の電極
2 第二の電極
3 棒状電極
4 放電部
5 電源
6 プラズマ空間
7 溝
8 突起部
9 光触媒層
10 プラズマ電極
11 フィルター(光触媒アパタイト有り)
12 フィルター(光触媒アパタイトなし)
13 フィルター(オゾン除去手段)
14 導入口
15 導出口
16 チャンバー
100 ガス浄化装置

Claims (5)

  1. 処理対象ガスの導入口及び導出口を備えたチャンバー内に、
    電源に接続された第一の電極と第二の電極との間に、
    表面に等間隔で形成された複数の尖端部が形成され、かつ隣接する該尖端部間に、光触媒アパタイトが担持されてなる棒状電極を配してなり、
    前記第一の電極と前記棒状電極と前記第二の電極とにより、プラズマを発生させる放電部を形成したことを特徴とするガス浄化装置。
  2. 前記放電部を複数有してなる請求項1に記載のガス浄化装置。
  3. 棒状電極が回転可能である請求項1から2のいずれかに記載のガス浄化装置。
  4. 前記放電部よりも導入口側及び導出口側にフィルターを配してなる請求項1から3のいずれかに記載のガス浄化装置。
  5. 棒状電極が、ガラス棒の表面に金属コーティングがされ、かつ放射状に複数の尖端部が形成され、隣接する該尖端部間に光触媒アパタイトが担持されてなる請求項1から4のいずれかに記載のガス浄化装置。

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