JPH10130619A - 酸化亜鉛微粒子付着複合体及びその製造方法 - Google Patents

酸化亜鉛微粒子付着複合体及びその製造方法

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JPH10130619A
JPH10130619A JP8291719A JP29171996A JPH10130619A JP H10130619 A JPH10130619 A JP H10130619A JP 8291719 A JP8291719 A JP 8291719A JP 29171996 A JP29171996 A JP 29171996A JP H10130619 A JPH10130619 A JP H10130619A
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zinc oxide
oxide fine
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fine particles
suspension
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JP8291719A
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Yasuhide Yamaguchi
靖英 山口
Kenji Suzuoka
健司 鈴岡
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】酸化亜鉛微粒子の有する抗菌・脱臭活性が維持
されており且つ酸化亜鉛微粒子が基体に強固に付着され
ている酸化亜鉛微粒子付着複合体及びその製造方法を提
供すること。 【解決手段】酸化亜鉛微粒子懸濁水から基体表面に沈着
した酸化亜鉛微粒子が該基体表面に結合剤なしで強固に
付着し且つ露出している酸化亜鉛微粒子付着複合体、酸
化亜鉛微粒子懸濁水と基体とを接触させて該酸化亜鉛微
粒子を該基体表面に沈着させることからなる酸化亜鉛微
粒子付着複合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌・脱臭・紫外線
吸収・光触媒・防汚・浄化の各活性を有する酸化亜鉛微
粒子付着複合体及びその製造方法に関し、より詳しくは
酸化亜鉛微粒子が基体表面に結合剤なしで強固に付着し
且つ露出しており、抗菌・脱臭・紫外線吸収・光触媒・
防汚・浄化の各活性を有している酸化亜鉛微粒子付着複
合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化亜鉛は抗菌活性を有し、硫化水素、
亜硫酸ガスなどの硫黄系ガスを選択的に吸収する脱臭活
性を有し、紫外線吸収活性を有し、更に酸化チタンと同
様に光触媒活性を有し、防汚・浄化活性を有することが
知られている。紫外線を含む光が酸化亜鉛等の光触媒に
当たることによって光触媒活性が生じ、その光触媒活性
により酸化活性が生じ(光触媒反応と呼ばれている)、
悪臭ガスの分解、殺菌などが生じることが報告されてい
る。
【0003】酸化亜鉛の抗菌活性、脱臭活性、紫外線吸
収活性、光触媒活性、防汚活性及び/又は浄化活性を利
用するために酸化亜鉛を基体に固定して利用することが
しばしば行われている。酸化亜鉛を基体に固定する方法
として、従来は、酸化亜鉛微粒子を成形材料の樹脂中に
練り込んで樹脂成形品や繊維中に含ませるか、酸化亜鉛
微粒子を塗料中に分散させて得た酸化亜鉛分散塗料を塗
布するか、又は酸化亜鉛微粒子及び結合剤を含有する分
散液を塗布し、熱処理して付着させる(例えば特開平5
−156510号公報に記載の方法)かしていた。
【0004】このように樹脂に練り込んだり、塗料中に
分散させたりする場合には、ほとんどの酸化亜鉛が樹脂
や塗料中に閉じ込められて表面に露出されにくく、それ
で酸化亜鉛微粒子自身が強い抗菌・脱臭力を有している
にも関わらず酸化亜鉛の添加効果が少なく、また、塗料
を繊維製品に塗布した場合には繊維が固くなったり、塗
りムラができたりするという欠点があった。この対策と
して、酸化亜鉛微粒子を樹脂に練り込んだ後、これにイ
オン照射、オゾン等によってエッチングしてより多くの
酸化亜鉛微粒子を表面に露出させる方法(例えば特開平
1−156576号公報に記載の方法)などが行われて
きた。ところがこのような方法を行っても表面に露出す
る酸化亜鉛微粒子はさほど増加せず、むしろそのような
エッチング処理を行うと樹脂や繊維が脆弱になってしま
うという欠点があった。
【0005】分散液を塗布する場合(特開平5−156
510号公報に記載の方法)には、分散媒を蒸発させ且
つ結合剤による付着を達成するためには熱処理が必要で
あり、更に酸化亜鉛微粒子の表面に結合剤が付着して酸
化亜鉛の活性、効果を低下させるので、抗菌効果は練り
込みの場合とさほど変わらず、弱いものであり、また酸
化亜鉛の持つチョーキング作用により樹脂や結合材を劣
化させることがあるという欠点があった。
【0006】基体表面に酸化亜鉛を付着させる方法とし
ては、溶射法も考えられるが、この場合には酸化亜鉛の
粒径が数μm以上になり且つ酸化亜鉛同士が融着してい
るため例えば繊維製品に付着させた場合には基体の柔軟
性、触感が失われ、実用的でなくなる。また、スパッタ
法や蒸着法で酸化亜鉛を付着させることも可能である
が、この場合には基体最外面にしか付着できないので、
繊維製品などの場合には内部の繊維表面まで均一に酸化
亜鉛を付着させることはできない。また、抗菌・脱臭剤
としては酸化亜鉛以外にも有機・無機系薬剤が用いら
れ、有機系薬剤では表面に塗布することも行われてき
た。しかし安全性・耐久性と抗菌活性及び脱臭活性とを
合わせ持つ素材を求めるならば、酸化亜鉛を用いること
が望ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
種々の従来技術の欠点を解消するためになされたもので
あり、本発明の目的は、上記のような欠点の生じること
のない酸化亜鉛微粒子付着複合体及びその製造方法を提
供することにあり、即ち、酸化亜鉛微粒子の有する抗菌
・脱臭活性が維持されており且つ酸化亜鉛微粒子が基体
に強固に付着されている酸化亜鉛微粒子付着複合体及び
その製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成するために種々研究を重ねた結果、予想外に
も、酸化亜鉛微粒子を酸化亜鉛微粒子懸濁水から基体表
面に沈着させると、結合材等を用いなくても、酸化亜鉛
微粒子が基体表面に結合剤なしで強固に付着することを
見いだし本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明の抗菌・脱臭・紫外線吸収・
光触媒・防汚・浄化の各活性を有する酸化亜鉛微粒子付
着複合体は、酸化亜鉛微粒子懸濁水から基体表面に沈着
した酸化亜鉛微粒子が該基体表面に結合剤なしで強固に
付着し且つ露出していることを特徴とする。また、本発
明の、上記のような酸化亜鉛微粒子付着複合体の製造方
法は、酸化亜鉛微粒子懸濁水と基体とを接触させて該酸
化亜鉛微粒子を該基体表面に沈着させることを特徴とす
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の構成要件について
具体的に説明する。本発明の酸化亜鉛微粒子付着複合体
においては、酸化亜鉛微粒子が沈着する対象となる基体
は合成繊維、天然繊維、無機繊維、それらの繊維製品、
紙製品、合成樹脂成形品等のいかなる素材、形状でもよ
く、好ましくは繊維、織布、不織布等の繊維製品、紙製
品、フィルムである。基体が繊維製品や紙製品である場
合には、本発明においては、それらの製品を構成してい
る個々の繊維が基体であり、個々の繊維に酸化亜鉛微粒
子が付着することになる。
【0011】本発明の酸化亜鉛微粒子付着複合体におい
ては、上記のような基体がその表面に酸化亜鉛微粒子懸
濁水から沈着した酸化亜鉛微粒子を有しており、その酸
化亜鉛微粒子が基体表面に結合剤なしで強固に付着し且
つ露出している。従来、ポリプロピレンやポリエチレン
などの樹脂は表面の活性が低いのでその表面に酸化チタ
ン等の無機粉体を付着させるためには結合剤が必須であ
ると考えられており、又そのように実施されてきたが、
予想外にも、酸化亜鉛微粒子を酸化亜鉛微粒子懸濁水か
ら基体表面に沈着させると、結合材等を用いなくても、
酸化亜鉛微粒子が基体表面に結合剤なしで強固に付着す
ることが確認された。特に熱可塑性繊維にはムラ無く均
一に沈着でき、従って基体が不織布であっても、繊維1
本1本が酸化亜鉛微粒子を容易に均一に担持することが
できる。本発明において、「強固に付着」とは、洗濯、
乾燥操作に耐え得る程度を意味する。
【0012】本発明の酸化亜鉛微粒子付着複合体は抗菌
・脱臭・紫外線吸収・光触媒・防汚・浄化の各活性を有
する。なお、本発明において、「抗菌」とは、大腸菌な
どの菌類やかびを死滅させることを意味し、「脱臭」と
は悪臭を放つ気体を減少させることを意味し、分解、吸
着あるいは化学反応のいずれによるものであるかは問わ
ない。酸化亜鉛は、特に硫黄系ガスと反応し易く、硫化
水素、亜硫酸ガス、メチルメルカブタンなどの工場排ガ
ス、便所、生ごみなどから出る悪臭に対して有効であ
る。「紫外線吸収」とは、紫外線を吸収して透過させな
いことを意味し、「光触媒活性」とは、酸化亜鉛が紫外
線等の照射により励起され、発生した電子及び正孔が酸
化亜鉛の表面に付着している物質と電子授受を行うこと
によりその付着物質を酸化或いは還元して分解すること
を意味する。また、「防汚」とは、表面に付着した汚染
物質を分解することによって表面の汚染の程度を軽減す
ることを意味し、「浄化」とは、気体中又は液体中の汚
染物質を分解して気体又は液体を清浄な状態に維持する
ことを意味する。
【0013】本発明においては、例えば、基体として織
布、不織布又は紙製品を用いて酸化亜鉛微粒子を付着さ
せることにより、抗菌、脱臭、防汚機能を有する通気
性、通水性フィルターや、抗菌、脱臭、防汚機能を有
し、通気性、通水性、保水性を有する布巾、おしぼり、
おむつ、マスク、衛生用品や、抗菌、防黴性繊維シート
を提供することができ、また透明フィルムを用いて酸化
亜鉛微粒子を付着させることにより、紫外線遮蔽性透明
フィルムを提供することができる。
【0014】本発明の酸化亜鉛微粒子付着複合体におい
ては、全ての酸化亜鉛が完全に露出しているので、練り
込みや結合剤との混合塗布の場合に比べて、極めて少量
の酸化亜鉛の付着量でも十分な抗菌、脱臭効果を有し、
特に脱臭性能に大きな差が現れる。これは、抗菌活性は
微量の亜鉛イオンの溶解で生じるが、脱臭では露出して
いる酸化亜鉛の表面積に比例するため、差が大きくなる
ためである。
【0015】上記のような酸化亜鉛微粒子付着複合体を
製造するための本発明の製造方法においては、酸化亜鉛
微粒子懸濁水と基体とを接触させて該酸化亜鉛微粒子を
該基体表面に沈着させる。この酸化亜鉛微粒子懸濁水は
酸化亜鉛微粒子を水中に懸濁させて得られるものであ
る。この水は水道水でも、蒸留水でも、イオン交換水で
もよいが、本発明の酸化亜鉛微粒子付着複合体の用途に
よっては、鉱物質イオンを含まないことが好ましい。ま
た、酸化亜鉛微粒子懸濁水中の酸化亜鉛濃度が高過ぎる
と酸化亜鉛の凝集や付着ムラが生じやすくなるので、酸
化亜鉛濃度は好ましくは5重量%以下、より好ましくは
1重量%以下にする。酸化亜鉛微粒子懸濁水のpHにつ
いては、基体への酸化亜鉛微粒子の付着量の点で中性〜
弱アルカリ性であることが好ましく、pH7〜9程度で
あることがより好ましい。また、酸化亜鉛微粒子懸濁水
の温度についてはあまり影響がない。
【0016】本発明の製造方法においては、基体を酸化
亜鉛微粒子懸濁水中に浸漬するか、酸化亜鉛微粒子懸濁
水を基体に噴霧するか、又は塗布することによって酸化
亜鉛微粒子懸濁水と基体とを接触させることができる。
このように接触させた後、水洗し、乾燥する。水洗する
までの接触時間については、酸化亜鉛微粒子懸濁水中の
酸化亜鉛濃度によっても影響を受けるが、1〜2秒程度
であっても酸化亜鉛微粒子が基体表面に十分に付着する
ので、その接触時間は長時間である必要がなく、普通に
は1分以内、好ましくは30秒以内で十分である。
【0017】最終の酸化亜鉛微粒子付着複合体製品の使
用時に酸化亜鉛微粒子が脱離することがないようにする
ために、即ち、酸化亜鉛微粒子付着複合体製品の使用時
に離脱するような酸化亜鉛微粒子が存在しないようにす
るためには、酸化亜鉛微粒子懸濁水と基体とを接触させ
た後、水の噴射やもみ洗いなどによって良く洗浄して余
分の酸化亜鉛微粒子を除去した方がよい。乾燥の際の温
度及び時間は基体の種類によって制限される場合もある
が、一般的には洗浄水が蒸発する程度の温度及び時間で
よく、また、熱風乾燥か無風高温乾燥かによって変化す
るが、例えば不織布のようなものを熱風乾燥する場合に
は100℃で数秒〜数分程度でよい。
【0018】本発明において酸化亜鉛微粒子が酸化亜鉛
微粒子懸濁水から基体表面に沈着することによて基体表
面に結合剤なしで強固に付着する理由については、現時
点では明確には理解できていないが、酸化亜鉛微粒子懸
濁水中において酸化亜鉛微粒子が若干溶解した状態で基
体表面に接触し、この溶解により酸化亜鉛微粒子表面に
活性点が生じて酸化亜鉛微粒子が基体表面に強固に付着
するか、あるいはその酸化亜鉛溶解物が乾燥後にバイン
ダーとして作用して酸化亜鉛微粒子が基体表面に強固に
付着するためと推定される。
【0019】なお、本発明で用いる基体表面が疎水性で
ある場合には、基体表面を例えば界面活性剤、酸、アル
カリ、アルコール、オゾン、紫外線、放射線等による処
理して親水性にした後、酸化亜鉛微粒子を基体表面に沈
着させることにより、より多量の酸化亜鉛微粒子を基体
表面に強固に付着させることができる。本発明の酸化亜
鉛微粒子付着複合体においては、酸化亜鉛微粒子が樹脂
や結合剤中に埋没されていないので、酸化亜鉛が有する
抗菌・脱臭活性を遅延無く発揮させることができる。
【0020】
【実施例】以下に実施例及び比較例によって本発明を説
明する。 実施例1 乾式法によって製造した酸化亜鉛粉末(1次粒子径約
0.2μm)1g、2g又は5gをそれぞれイオン交換
水1リットル中に入れ、良く攪拌して懸濁水を得た。こ
れらの懸濁水のpHは7.6であった。これらの懸濁水
中にポリプロピレン製不織布(スパンボンド製法、目付
20g/m2 、繊維径約20μm)(10cm×10c
m)を入れ、30秒間攪拌した。攪拌の後、この不織布
を蒸留水で良く洗浄し、その後100℃で5分間乾燥し
た。
【0021】それぞれの酸化亜鉛懸濁水の濃度と処理後
の不織布の重量増加率とは次の通りであった:酸化亜鉛懸濁水の濃度 不織布の重量増加率 0.1重量% 3.4重量% 0.2重量% 3.7重量% 0.5重量% 3.6重量% また、X線回折を行った結果、処理後の全ての不織布に
ついて酸化亜鉛の回折ピークが確認され、さらに走査型
電子顕微鏡(SEM)にて不織布の繊維表面を観察した
結果、酸化亜鉛微粒子が不織布の各繊維表面に密着して
いることが確認された。さらにキシレノールオレンジ指
示薬をそれぞれの不織布上に一滴滴下したところ、全て
の不織布についてオレンジ色の指示薬はすみやかに濃い
ピンク色に変色し、亜鉛イオンが溶出したことが確認さ
れた。このことは酸化亜鉛が表面に露出しており、素早
く反応することを示している。なお、イオン交換水の代
わりに水道水を用いて上記の方法と同様に処理した場合
にも同一の結果が得られた。
【0022】比較例1 酸化亜鉛粉末を含有しないイオン交換水1リットルに実
施例1で用いた不織布と同じ不織布を入れ、実施例1と
同じ時間攪拌し、実施例1と同じ条件下で乾燥させた。
処理後の不織布の表面は、目視では平滑で付着物は確認
されなかった。キシレノールオレンジ指示薬を一滴滴下
したが、オレンジ色の指示薬は長時間経っても変色しな
かった。
【0023】比較例2 実施例1で用いた酸化亜鉛粉末と同じ酸化亜鉛粉末20
重量%、アクリル系樹脂バインダー30重量%及び酢酸
エチル50重量%を混合して得た塗料を、実施例1で用
いたポリプロピレン製不織布と同じ不織布(10cm×
10cm)に塗布したのち、60℃で半日間乾燥した。
この不織布にキシレノールオレンジ指示薬を一滴滴下し
たところ、オレンジ色の指示薬は3分程度経過後にわず
かにピンク色を呈した。即ち、実施例1で得た不織布に
比べて変色するまでの時間は極めて長かった。このこと
は酸化亜鉛の表面露出量が極めて少ないことを示してい
る。
【0024】実施例2 実施例1で酸化亜鉛懸濁水濃度0.5重量%で得た不織
布、比較例1及び比較例2で得た不織布をそれぞれ別の
ガラスシャーレに入れ、それらの不織布上に大腸菌菌液
150μl(大腸菌含有量約3×104 個)を滴下し
た。滴下直後、及び滴下後一定時間経過後にそれぞれ不
織布から菌液を回収し、それぞれ標準寒天培地に滴下し
て24時間培養し、コロニー数を計測した。それらの計
測結果を第1表に示す。
【0025】
【0026】これらの結果から、実施例1の表面に酸化
亜鉛が付着した不織布は良好な抗菌活性が見られたが、
比較例1の未処理の不織布は大腸菌を死滅させることは
できなかった。また、比較例2の結合材によって酸化亜
鉛を結合させた不織布は実施例1の不織布に比べて抗菌
力の即効性が小さかった。
【0027】実施例3 実施例1で酸化亜鉛懸濁水濃度0.5重量%で得た不織
布及び比較例1で得た不織布を太陽光又はブラックライ
トにそれぞれ2週間暴露した。これらの不織布を2×8
cmに切り取り、各々2枚に重ね合わせ、その両端を固
定し、一般長繊維不織布試験方法(日本工業規格L19
06)に準じた方法で引張強度を測定した。それらの結
果を第2表に示す。
【0028】
【0029】第2表に示す結果から明らかなように、実
施例1の酸化亜鉛を固着した不織布でも太陽光又はブラ
ックライトによる不織布の劣化は認められなかった。ま
た、この酸化亜鉛付着不織布を絹及び木綿の黒布とそれ
ぞれ接触させて日本工業規格K5400に準じた方法で
不織布からの酸化亜鉛の脱離性を目視で評価したが、酸
化亜鉛の脱離は確認できなかった。
【0030】実施例4 湿式合成法によって製造した酸化亜鉛粉末(1次粒子径
約20nm)3gをイオン交換水1リットル中に入れ、
良く攪拌して懸濁水を得た。この懸濁水のpHは7.8
であった。この懸濁水中にポリエチレン製不織布(スパ
ンボンド製法)(10cm×10cm)を入れ、30秒
間攪拌した。攪拌の後、この不織布を蒸留水で良く洗浄
し、その後100℃で5分間乾燥した。
【0031】得られた不織布は重量が3.2重量%増加
していた。また、X線回折を行った結果、酸化亜鉛の回
折ピークが確認された。さらに走査型電子顕微鏡(SE
M)にて不織布の繊維表面を観察した結果、酸化亜鉛微
粒子が不織布の各繊維表面に密着していることが確認さ
れた。さらにキシレノールオレンジ指示薬を一滴滴下し
たところ、オレンジ色の指示薬はすみやかに濃いピンク
色に変色し、亜鉛イオンが溶出したことが確認された。
【0032】この不織布を容積9リットルの密封ガラス
容器中に配置し、この容器中にメチルメルカプタンを注
入した。注入時の密封容器内のメチルメルカプタン濃度
は40ppmであったが、時間の経過と共に濃度は急速
に低下し、30分後には8ppmになり、120分後に
は1ppm以下になった。従って、酸化亜鉛処理を行っ
た不織布は極めて高い脱臭能力があることが実証され
た。
【0033】実施例5 ポリプロピレン製不織布(スパンボンド製法、目付20
g/m2 、繊維径約20μm)(10cm×10cm)
を界面活性剤(0.5重量%オレイン酸ナトリウム水溶
液)中に15分間浸漬し、蒸留水で洗浄し、その後10
0℃で5分間乾燥して得た不織布と、界面活性剤で処理
していない以外は同一の不織布とを用意した。一方、湿
式合成法によって製造した酸化亜鉛粉末(1次粒子径約
50nm)を第3表に示す種々の濃度となる量でイオン
交換水1リットル中に入れ、良く攪拌して懸濁水を得
た。これらの懸濁水中に上記の不織布を入れ、10秒間
攪拌した。攪拌の後、これらの不織布を蒸留水で良く洗
浄し、その後100℃で5分間乾燥した。得られた不織
布は重量が第3表に示す量増加していた。
【0034】 実施例5においては界面活性剤で処理した場合を説明し
ているが、界面活性剤の代わりに酸、アルカリ又はアル
コールを用いて処理した場合にも同様の結果が得られ
た。
【0035】比較例3 二酸化チタン3gをイオン交換水1リットル中に入れ、
良く攪拌して懸濁水を得た。この懸濁水のpHは7.5
であった。この懸濁水中にポリプロピレン製不織布(ス
パンボンド製法、目付20g/m2 、繊維径約20μ
m)(10cm×10cm)を入れ、30秒間攪拌し
た。攪拌の後、この不織布を蒸留水で良く洗浄し、その
後100℃で5分間乾燥した。
【0036】得られた不織布は重量が2.3重量%増加
していた。また、X線回折を行った結果、二酸化チタン
の回折ピークが確認された。走査型電子顕微鏡(SE
M)にて不織布の繊維表面を観察した結果、不織布表面
には二酸化チタンはほとんど付いておらず、繊維間に絡
み合っているに過ぎなかった。この二酸化チタン担持不
織布をイオン交換水中に入れて1時間攪拌すると、溶液
中に白色の微粒が生じた。分析の結果、それが酸化チタ
ンであることが確認された。従って、二酸化チタンの場
合には、本発明の製造方法を適用しても、基体表面に二
酸化チタンを付着させることはできなかった。
【0037】実施例6 乾式法によって製造した酸化亜鉛粉末(1次粒子径約
0.2μm)5gをイオン交換水1リットル中に入れ、
良く攪拌して懸濁水を得た。この懸濁水に硫酸水溶液又
は水酸化ナトリウム水溶液を添加して第4表に示すpH
の懸濁水を調製した。これらの懸濁水中にポリプロピレ
ン製不織布(スパンボンド製法、目付20g/m2 、繊
維径約20μm)(10cm×10cm)を入れ、30
秒間攪拌した。攪拌の後、この不織布を蒸留水で良く洗
浄し、その後100℃で5分間乾燥した。それぞれの酸
化亜鉛懸濁水のpHと処理後の不織布の重量増加率とは
第4表に示す通りであった。
【0038】 第4表のデータから明かなように、不織布への酸化亜鉛
微粒子の付着量はpH7〜9程度、即ち中性〜弱アルカ
リ性で良好となる。
【0039】
【発明の効果】本発明の酸化亜鉛微粒子付着複合体にお
いては酸化亜鉛微粒子が基体表面に結合剤なしで付着し
且つ露出しており、それで抗菌・脱臭・防汚・浄化・紫
外線吸収・光触媒活性を十分に発揮することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61L 9/00 A61L 9/00 C D06M 11/44 D06M 11/12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化亜鉛微粒子懸濁水から基体表面に沈着
    した酸化亜鉛微粒子が該基体表面に結合剤なしで強固に
    付着し且つ露出していることを特徴とする抗菌・脱臭・
    紫外線吸収・光触媒・防汚・浄化の各活性を有する酸化
    亜鉛微粒子付着複合体。
  2. 【請求項2】基体が繊維、繊維製品又は紙製品であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の酸化亜鉛微粒子付着複合
    体。
  3. 【請求項3】基体が熱可塑性繊維又は熱可塑性繊維製品
    であることを特徴とする請求項2記載の酸化亜鉛微粒子
    付着複合体。
  4. 【請求項4】酸化亜鉛微粒子付着複合体が抗菌性フィル
    ター、抗菌・脱臭性衛生用品又は抗菌・防黴性繊維シー
    トであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の酸
    化亜鉛微粒子付着複合体。
  5. 【請求項5】酸化亜鉛微粒子懸濁水と基体とを接触させ
    て該酸化亜鉛微粒子を該基体表面に沈着させることを特
    徴とする、請求項1、2、3又は4記載の酸化亜鉛微粒
    子付着複合体の製造方法。
  6. 【請求項6】酸化亜鉛微粒子懸濁水中の酸化亜鉛微粒子
    の濃度が1重量%以下であることを特徴とする請求項5
    記載の製造方法。
  7. 【請求項7】界面活性剤、酸、アルカリ、アルコール、
    オゾン、紫外線又は放射線により表面処理された基体を
    用いることを特徴とする請求項5又は6記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】基体を酸化亜鉛微粒子懸濁水中に浸漬する
    か、酸化亜鉛微粒子懸濁水を基体に噴霧するか又は塗布
    することによって酸化亜鉛微粒子懸濁水と基体とを接触
    させることを特徴とする請求項5、6又は7記載の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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