JP6539889B2 - 消臭性吸音織物 - Google Patents

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本発明は臭気吸着による減臭効果を有する産業資材用織物に関する。詳しく述べれば、本発明の産業資材用織物は、屋内競技場、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場、駅舎、空港、ショッピングモールなどの天井に設置される天井面積構成膜材(膜天井)、天井付帯物(空中膜)、懸垂幕、横断幕として、さらに、食品工場、化学品工場、畜産施設、水産施設、ゴミ処理施設などにおける、空間仕切り、壁掛け、敷物、空中膜として、各々反響防止など吸音効果に優れ、使用環境における悪臭成分、及びVOC成分などの臭気成分全般に対してバランス良く濃度を減少させる減臭効果、及び経時的に人間の感知限界濃度に低減する消臭効果を有する消臭性吸音織物に関する。
先に本出願人は粗目織物と、粗目織物を被覆する熱可塑性樹脂層とで構成された、特定の充実率と単位表面積とを有する可撓性メッシュシートの熱可塑性樹脂層に、臭気分子に対して、物理的吸着性を有する無機多孔性物質、化学反応性を有する無機酸化・還元性物質、及び無機分解反応触媒物質などの臭気分子不活性化粒子を任意に用いることにより、体臭、ペット臭、調理臭、ゴミ臭、カビ臭などの生活臭全般を低減させる機能を付帯させたメッシュシート(特許文献1)を提案した。また特許文献2には、消臭性・難燃性布帛製造用後加工剤の第1液として、消臭剤、バインダー、架橋剤及び風合い改良剤を混合分散した水性分散液が例示され、消臭剤に、酸化亜鉛、シリカ、ゼオライト、ヒドラジン系化合物及び、スチレン−無水マレイン酸加水分解物の1種または複数種の混合物を使用することで臭気全般に対する消臭作用を得ることの組成が特許文献2に開示されている。これら特許文献1及び2では多種類の臭気分子に対応させるためには、酸性の悪臭成分、塩基性の悪臭成分に相性の良い化学物質や吸着性物質などを併用することを必須とするが、実際は特性の異なる化学物質や吸着性物質の併用種を多くするほど、これらの存在が互いに邪魔し合うこと、例えば酸性の悪臭成分に結合した化学物質の存在は、塩基性の悪臭成分に結合する化学物質の作用を鈍くすることで塩基性の悪臭成分の除去を不十分なものとしたり、吸着性物質からは一旦吸着した悪臭成分を放出したりするなど、他の消臭成分や吸着性物質の作用を阻害して、結果的に意図したような生活臭全般に対する減臭効果や消臭効果が持続して得られない実態が垣間見えている。
特開2013−212238号公報 特開2012−072509号公報
本発明は、膜天井、空中膜、間仕切りなどの内装材として吸音(反響防止)効果に優れ、使用環境における悪臭成分、及びVOC成分などの臭気成分全般に対してバランス良く濃度を減少させる減臭効果、及び経時的に人間の感知限界濃度に低減する消臭性、かつ吸音性の産業用織物を提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、特定の無機化合物を含有する樹脂コーティング糸条(A)及び、特定の無機化合物を含有する樹脂コーティング糸条(B)を特定の本数比率で織編要素に含むシート状織物として、特定の通気度を有することで、吸音(反響防止)効果に優れ、しかも臭気成分全般(VOC含む)に対して長期間バランス良く濃度を減少させる減臭効果、及び経時的に人間の感知限界濃度に引き下げる消臭効果を発現できる、内装材に適した織物が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の消臭性吸音織物は、樹脂コーティング糸条(A)及び樹脂コーティング糸条(B)を2:1〜1:2の本数比率で織編要素に含む通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒のシート状織物であって、前記樹脂コーティング糸条(A)の樹脂コーティングが二酸化珪素及びゼオライトの質量比を2:1〜1:5とする混合粒子を5〜30質量%含み、かつ、前記樹脂コーティング糸条(B)の樹脂コーティングが金属酸化物及びゼオライトの質量比を2:1〜1:5とする混合粒子を5〜30質量%含むことが好ましい。これによって、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性悪臭に対する減臭効果を有する二酸化珪素粒子を含有する樹脂コーティング糸条(A)と、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールなどの酸性悪臭に対する減臭効果を有する金属酸化物粒子を含有する樹脂コーティング糸条(B)との併用により、各々の樹脂コーティング糸条が塩基性悪臭と酸性悪臭とを選択的に、互いに阻害し合うことなく不活性化する役割を担うことができ、二酸化珪素粒子と金属酸化物粒子とが別々の糸条に存在し、それらが共存することで、塩基性悪臭と酸性悪臭との吸着能を互いに阻害する従来問題を解決し、しかも樹脂コーティング糸条(A)と樹脂コーティング糸条(B)の双方にゼオライト粒子を含有することでシンナーやトルエンなどの有機溶剤、ホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質臭などに対する吸着性も有するので、臭気成分全般(VOC含む)に対して長期間バランス良く濃度を減少させる減臭効果、及び経時的に人間の感知限界濃度に引き下げる消臭効果を発現し、さらに通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒の空隙部は通気により消臭効果をより高いのもとするのみならず、この通気度範囲において優れた吸音(反響防止)効果を発現する。
本発明の消臭性吸音織物は、前記金属酸化物が、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、及び酸化銅から選ばれた1種以上であることが好ましい。これによって硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールなどの酸性悪臭に対する減臭効果を効果的に発現することができる。
本発明の消臭性吸音織物は、前記樹脂コーティング糸条(A)、及び樹脂コーティング糸条(B)の少なくとも一方の樹脂コーティングが、気泡痕を1〜25体積%含むことが好ましい。気泡痕を1体積%〜25体積%含むことによって織物の表面積をより大きいものとする効果、及び通気度を高くする効果で、臭気分子の吸着及び捕集効率を向上させると同時に吸音効果を向上させる。
本発明の消臭性吸音織物は、前記樹脂コーティング糸条(A)、及び前記樹脂コーティング糸条(B)の少なくとも一方が扁平楕円断面を有し、その扁平楕円断面における高さ:幅の比が3:4〜1:4であることが好ましい。これによって織物の表面積を大きいものとする効果で臭気分子の吸着及び捕集効率を向上させると同時に吸音効果を向上させる。
本発明の消臭性吸音織物は、前記織編要素が、1)経糸条群及び緯糸条群、または2)経糸条群及び左斜上・右斜上バイアス糸条群で、かつ前記シート状織物が単層織物、二重織物、及び三重織物、から選ばれた何れか1種であることが好ましい。特に2)の織編要素は三軸織物だと織物の表面積を大きくして臭気分子の吸着及び捕集効率を向上させると同時に織編要素を複雑とすることで吸音効果を向上させ、また特に二重織物、三重織物とすることで織物の表面積を増大して臭気分子の吸着及び捕集効率をより向上させると同時に、織編要素を立体複雑化することで吸音効果をより向上させる。
本発明の消臭性吸音織物は、前記樹脂コーティング糸条(A)、及び樹脂コーティング糸条(B)の少なくとも一方の樹脂コーティングが、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルを25〜80質量部を主体に含む軟質塩化ビニル樹脂組成物で構成されることが好ましい。意図的に内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)の疑いのあるフタル酸エステル系可塑剤を使用しないことで、特に乳幼児の経口摂取や経気摂取、母体から胎児への間接摂取によるホルモン作用異常のリスクを回避することができる。
本発明の消臭性吸音織物は、前記樹脂コーティングが、さらにスメクタイト系粘土鉱物、合成スメクタイト、セリサイト、フッ素雲母、及び膨張黒鉛から選ばれた1種以上の層状無機化合物、及び/またはモリブデン化合物粒子を含むことが好ましい。これによって火災時の火炎熱により層状無機化合物が体積膨張することで織物の空隙部を閉塞させ、空隙部からの火炎の突き抜けや有毒ガスの漏出を遮断し、塩化ビニル樹脂とモリブデン化合物粒子の作用により燃焼炭化物を強固とする残滓層(塩素−モリブデン複合酸化物)を形成することで、空隙部からの火炎の突き抜けや有毒ガスの漏出などの遮断効果を持続させることで建築基準法に準じる不燃性を具備する吸音膜材とすることができる。
本発明の消臭性吸音織物は、前記製織交点が熱融着していることが好ましい。これによって得られる織物に形態安定性を付与し、外力による変形や破壊(裂け、穴開き)の事故に対する抵抗力を増すことができる。
本発明の消臭性吸音織物は、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性悪臭に対する減臭効果を有する二酸化珪素粒子を含有する樹脂コーティング糸条(A)と、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールなどの酸性悪臭に対する減臭効果を有する金属酸化物粒子を含有する樹脂コーティング糸条(B)との併用により、各々のコーティング糸条が塩基性悪臭と酸性悪臭を選択的に、互いに阻害し合うことなく不活性化する役割を担うことができ、二酸化珪素粒子と金属酸化物粒子とが別々の糸条に存在し、それらが共存することで、塩基性悪臭と酸性悪臭との吸着能を互いに阻害する従来問題を解決し、しかも樹脂コーティング糸条(A)と樹脂コーティング糸条(B)の双方にゼオライト粒子を含有することでシンナーやトルエンなどの有機溶剤、ホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質臭などに対する吸着性も有するので、臭気成分全般(VOC含む)に対して長期間バランス良く濃度を減少させる減臭効果、及び経時的に人間の感知限界濃度に引き下げる消臭効果を発現し、通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒の空隙部により消臭効果を高くするのみならず、この通気度範囲において得に優れた吸音(反響防止)効果を発現するので、屋内競技場、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場、駅舎、空港、ショッピングモールなどの天井に設置される天井面積構成膜材(膜天井)、天井付帯物(空中膜)、懸垂幕、横断幕などの使用に適し、さらに、食品工場、化学品工場、畜産施設、水産施設、ゴミ処理施設などにおける、空間仕切り、壁掛け、敷物、空中膜などに適して用いることができる。上記用途において、本発明の消臭性吸音織物には写真や画像・イラストレーション・文字などのデザインや広告効果を附帯させることもできるので産業上の利用に有用である。
本発明の消臭性吸音織物の外観の一部を拡大して示した図 本発明の消臭性吸音織物の外観の一部を拡大して示した図
本発明の消臭性吸音織物は、樹脂コーティング糸条(A)及び樹脂コーティング糸条(B)を織編要素(経・緯糸条群または経・バイアス糸条群)に含むシート状織物(単層織物、二重織物、三重織物)であって、樹脂コーティング糸条(A)の樹脂コーティングが二酸化珪素及びゼオライトの混合粒子を含み、かつ、樹脂コーティング糸条(B)の樹脂コーティングが金属酸化物及びゼオライトの混合粒子を含み、更に樹脂コーティングが気泡痕を含み、樹脂コーティング糸条が扁平楕円断面を有するものである。
本発明の消臭性吸音織物において、樹脂コーティング糸条(A)を形成する樹脂コーティング部分に用いる熱可塑性樹脂、及び樹脂コーティング糸条(B)を形成する樹脂コーティング部分に用いる熱可塑性樹脂は、互いに同種の熱可塑性樹脂であることが製織交点における熱融着性、及び交点融着強度保持のために好ましい。用いる熱可塑性樹脂は、軟質塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリエステル系共重合体樹脂、フッ素樹脂、フッ素系共重合体樹脂、シリコン樹脂、シリコン系共重合体樹脂などが使用でき、これらは単独もしくは、2種以上の併用としてもよい。樹脂コーティング部分の厚さは0.03mm〜0.6mm、特に0.05mm〜0.3mmが好ましい。本発明において得に好ましい熱可塑性樹脂は、塩化ビニル樹脂(可塑剤、安定剤等を配合した軟質〜半硬質塩化ビニル樹脂を包含する)、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、およびフッ素系共重合体樹脂である。これらの熱可塑性樹脂を被覆した樹脂コーティング糸条は、芯糸をコーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、熱可塑性樹脂をホットメルト状態(150〜300℃)でコーティングダイスノズル孔から押出すと同時に、芯糸を引き取り冷却することで得られる。また塩化ビニル樹脂ペーストゾルのような粘重液状物、有機溶剤に可溶化した熱可塑性樹脂溶液、エマルジョンやラテックスのような水性樹脂に芯糸をディッピングし、芯糸全体に含浸、もしくは部分的に含浸させ、かつ芯糸全体を被覆する態様を含み、これを熱処理乾燥して得た樹脂コーティング糸条であってもよい。樹脂コーティング糸条には必要に応じて顔料、可塑剤、安定剤、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化劣化防止剤、接着剤、防炎剤、防黴剤、抗菌剤、帯電防止剤など公知の添加剤を含むことができる。特に樹脂コーティング糸条(A)と樹脂コーティング糸条(B)との着色を互いに異にすること、または複数の着色樹脂コーティング糸条(A)及び(B)を使用し、さらに織編組織をコントロールすることで織物の折柄模様を発色的にデザインできる。着色剤はアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、染付けレーキ顔料、アントラキノン系顔料類、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料などの有機顔料、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、三酸化アンチモン、酸化鉄、酸化鉛、酸化クロム、酸化ジルコニウム、スピネル構造酸化物、ルチル型酸化物などの無機顔料の他、パール顔料、アルミ粉顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、染料などを自由に使用でき、その組み合わせに制限は無い。
本発明の消臭性吸音織物において、樹脂コーティング糸条(A)の樹脂コーティングには二酸化珪素及びゼオライトを質量比2:1〜1:5、好ましくは1:1〜1:3とする混合粒子を5〜30質量%、好ましくは8〜24質量%含むものとする。また樹脂コーティング糸条(B)の樹脂コーティングには金属酸化物及びゼオライトを質量比2:1〜1:5、好ましくは1:1〜1:3とする混合粒子を5〜30質量%、好ましくは8〜24質量%含むものとする。樹脂コーティング糸条(A)及び樹脂コーティング糸条(B)ともに、ゼオライトの質量比が2:1(ゼオライト)未満に少なくなると、トルエン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのVOC系悪臭に対する消臭効果が希薄化することがある。ゼオライトは天然及び合成ゼオライトの何れでも使用でき、平均粒子径0.5μm〜5μmのものが適する。ゼオライトはA型、X型、LSX型、L型、Y型、ベータ型、フェリライト型、モルデナイト型など、三次元骨格構造を有し、一般式M2/n0・NaO・Al・2.5SiO・xHOで表される(一般式中のxは結晶水の数を表す整数で、Mは陽イオン、nは陽イオンの原子価を示す)。陽イオンは、アルカリ金属(ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属(カルシウムイオン、マグネシウムイオン)、アンモニウムイオンなどである。また樹脂コーティング糸条(A)において、二酸化珪素の質量比が1(二酸化珪素):5(ゼオライト)未満に少なくなると、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性悪臭に対する消臭効果が希薄化することがある。また樹脂コーティング糸条(B)において、金属酸化物の質量比が1(金属酸化物):5(ゼオライト)未満に少なくなると、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールなどの酸性悪臭に対する消臭効果が希薄化することがある。二酸化珪素は合成非晶質シリカ(湿式法、または乾式法)による球状シリカ、または不定型シリカ、シリカゲル粒子、表面に孔径2〜50nmのメソ孔を有するメソポーラスシリカなど平均粒子径0.05μm〜3μmのものが適する。また金属酸化物は、具体的に酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、及び酸化銅から選ばれた1種以上で平均粒子径0.01μm〜1μmのものが適する。特に酸化亜鉛、酸化アルミニウムが好ましく、必要に応じて酸化亜鉛と酸化アルミニウムのブレンド、さらには光触媒活性酸化亜鉛、光触媒活性酸化チタンなども使用できる。
また樹脂コーティングには必要に応じて、活性炭、添着活性炭、白竹炭、活性白土、ベントナイト、セピオライト、アルミノ珪酸金属塩、珪酸銅、シラス、シリカ−マグネシア、モレキュラーシーブ、電気石(トルマリン鉱石)、金属フタロシアニン錯体、金属フタロシアニン錯体テトラカルボン酸、(これらの錯体形成金属として、銅、鉄、コバルト、マンガンなど)などを0.1〜5質量%程度併用していてもよく、さらにヒドラジン化合物、スチレン−マレイン酸加水分解物、シクロデキストリン、ポリフェノール類、テルペノイド類、フラボノイド類などを補助的に0.1〜3質量%程度併用してもよい。
樹脂コーティング糸条(A)、及び樹脂コーティング糸条(B)の少なくとも一方の樹脂コーティングが、粒径0.03mm〜0.8mm程度の気泡痕を1〜25体積%、特に5〜15体積%程度含むことで見掛け表面積以上の実質的に有効な表面積を設けることで臭気分子との接触面積を増し、通気性とガス交換性を促す効果によって減臭(消臭)効果を著しく向上させると同時に、より吸音効果を高くすることができる。これらの気泡痕は連続気泡化することでガス交換性及び通気性に優れた構造、または部分的に連続気泡化したガス交換通気性の構成とするものである。これらの気泡痕は液状粘性体の熱可塑性樹脂組成物の機械攪拌による強制的な気泡巻込ムースの塗工と熱処理による気泡痕形成、液状粘性体の熱可塑性樹脂組成物(アルコール、トルエン、メチルエチルケトンなどの有機溶剤含有、または水分)の塗工と熱処理蒸散による揮発痕形成、公知の化学発泡剤(アゾジカルボアミド、オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、p−トルエンスルフォニルヒドラジド、ジアゾアミノベンゼン、アゾビスイソブチロニトリルなど熱分解温度が180〜250℃のもの)を含有する熱可塑性樹脂組成物層を熱処理して化学発泡剤を強制的に熱分解させての揮発性ガス生成による気泡痕形成、砂糖粒や塩粒などの水溶性粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物層の水洗処理による砂糖粒や塩粒の溶出による空洞痕形成など、何れの方法によって形成された気泡痕であってもよい。
特に樹脂コーティング糸条(A)及び/または(B)の樹脂コーティングを、軟質塩化ビニル樹脂で構成する場合、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルを25〜80質量部を主体に含む軟質塩化ビニル樹脂組成物で構成することが好ましい。内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)の疑いのあるフタル酸エステル系可塑剤を使用しないことで、特に乳幼児の経口摂取や経気摂取、母体から胎児への間接摂取によるホルモン作用異常のリスクを回避できる。シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルは、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルから選ばれた1種以上の化合物を含む。ジアルキルエステルにおいてアルキル基は個々に同一または異なって、炭素(C)数4〜13の脂肪族一価の基、例えば直鎖状アルキル基、分岐鎖状のアルキル基、脂環族基などである。シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルによる可塑剤は例えば、シクロヘキサンジカルボン酸ジ−2−エチルヘキシル(別名シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル)(C8:MW393)、シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(C9:MW421)が特に好ましく、その他シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル(C4:MW281)、シクロヘキサンジカルボン酸ジイソブチル(C4:MW281)、シクロヘキサンジカルボン酸ジヘキシル(C6:MW337)、シクロヘキサンジカルボン酸ジヘプチル(C7:MW362)、シクロヘキサンジカルボン酸ジノニル(C9:MW421)、シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル(C10:MW450)、シクロヘキサンジカルボン酸ジデシル(C10:MW450)、シクロヘキサンジカルボン酸ブチルベンジル(C4,C7:MW315)などが例示され、これらはすべてシクロヘキサン環に対するジカルボン酸ジアルキルエステルの結合位置が、オルト位(1,2−位置)、メタ位(1,3−位置)、パラ位(1,4−位置)の3態様を全て包含するものである。
樹脂コーティング糸条(A)及び/または(B)の樹脂コーティングを、軟質塩化ビニル樹脂で構成する場合、樹脂コーティングの配合に、スメクタイト系粘土鉱物、合成スメクタイト、セリサイト、フッ素雲母、及び膨張黒鉛から選ばれた1種以上の層状無機化合物、及び/またはモリブデン化合物粒子を含むことが好ましい。層状無機化合物は熱膨張性を有し、層状無機化合物を含有する樹脂コーティング糸条は火災時の火炎熱(模擬的にはコーンカロリーメーター試験:ASTM-E1354)で体積膨張して織物の空隙部を閉塞させる効果で、空隙部からの火炎の突き抜けや有毒ガスの漏出を遮断し、それによって避難誘導の安全の信頼性をより高いものとし、さらに塩化ビニル樹脂とモリブデン化合物粒子の作用により燃焼炭化物を強固とする残滓層(塩素−モリブデン複合酸化物)を形成することで、空隙部からの火炎の突き抜けや有毒ガスの漏出などの遮断効果を持続させる。層状無機化合物の配合量は樹脂コーティングに対し1.5〜10質量%の含有率が好ましい。層状無機化合物は樹脂コーティング糸条の製造時のホットメルト状態(温度150〜300℃)で顕著な体積膨張を発現するものは本発明の使用に適さない。またモリブデン化合物粒子の配合量は樹脂コーティングに対し1.5〜10質量%の含有率が好ましい。
スメクタイト系粘土鉱物は、2:1型スメクタイトで、ケイ素と酸素からなる層(シリカ四面体層)が、アルミニウムと酸素からなる層(アルミニウム八面体層)を挟んだ、「シリカ四面体層/アルミニウム八面体層/シリカ四面体層」構造層を一単位とし、この構造層が積重したものである。2八面体型スメクタイトの具体例として、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイトなど、3八面体型スメクタイトの具体例として、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイトなどが挙げられる。合成スメクタイトは、シリカ四面体(四配位)層とアルミニウム八面体(六配位)層が交互に積重した構造で、シリカ/アルミが2:1の質量比率が好ましい。セリサイト(絹雲母)は白雲母の微細なもので平均粒子径1〜20μmのものである。またフッ素雲母はNa四珪素雲母を有機交換処理した平均粒子径1〜20μmのフッ素四珪素雲母が使用できる。また、スメクタイト系粘土鉱物(モンモリロナイトなど)の層間に四級アンモニウム化合物を置換変性したインターカレーション型の層状化合物なども使用できる。膨張黒鉛は、天然黒鉛を濃硫酸、硝酸、セレン酸などと、濃硝酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩などによる処理品が使用でき、これらはグラファイト状層構造を有する結晶質化合物のため、熱による発生ガスで膨張することで不燃性の炭化層を形成する。
モリブデン化合物粒子は、三酸化モリブデン、モリブデン酸、リンモリブデン酸、二硫化モリブデン、モリブデン酸ナトリウム、七モリブデン酸六アンモニウム、モリブデン酸二アンモニウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸カルシウム亜鉛、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸炭酸カルシウムなどが挙げられ、特に塩素含有樹脂(塩化ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩素化ポリエチレン)などとの併用により、これら塩素含有樹脂の燃焼炭化物を強固とする残滓層(塩素−モリブデン複合酸化物)を形成する。
また樹脂コーティングには難燃剤粒子を併用することができ、難燃剤粒子は、a).金属リン酸塩、金属有機リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム、及びポリリン酸アンモニウム誘導体(メラミン変性体など)などのリン原子含有化合物、b).(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物(ジシアンジアミドなど)、尿素系化合物(ジメチロール尿素など)、及び、これらの誘導体化合物(例えばメラミンシアヌレート)などの窒素原子含有化合物、c).金属水酸化物(水酸化アルムニウムなど)、金属酸化物(酸化アンチモンなど)、金属炭酸塩化合物(塩基性炭酸マグネシウムなど)、金属硫酸塩化合物(硫酸バリウムなど)、ホウ酸化合物(ホウ酸亜鉛など)、及び無機系化合物複合体(ハイドロタルサイトなど)などの無機系化合物、d).臭素置換有機化合物、塩素置換有機化合物から選ばれた1種以上である。
本発明の消臭性吸音織物において、樹脂コーティング糸条(A)及び樹脂コーティング糸条(B)の芯糸は、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、バサルト繊維、炭素繊維などの無機マルチフィラメント、及びステンレス繊維などの金属マルチフィラメント、ポリpフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリpベンズアミド繊維、pフェニレン3,4オキシジフェニレンテレフタルアミド共重合繊維などのアラミド繊維、ポリpフェニレンベンゾイミダゾール繊維、ポリpフェニレンベンゾオキサゾール繊維、ポリpフェニレンベンズチアゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリスルホン繊維などの耐熱マルチフィラメントまたは短繊維紡績糸、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維などの合成マルチフィラメントまたは短繊維紡績糸、セルロースの水酸基を、ホウ酸エステル化、またはリン酸エステル化、またはケイ酸エステル化した不燃化綿、不燃化ケナフなどの短繊維紡績糸などが使用できる。
芯糸はマルチフィラメント糸条が好ましく、フィラメント直径3〜10μm、繊度69〜2223dtex、特に138〜1112dtexのマルチフィラメント糸条で、フィラメント数50〜500本、特に100〜300本を集束して無撚糸、または撚糸に束ね、その断面形状を円形、楕円形、及び扁平(横長に潰れた楕円形)とする糸条であり、本発明の消臭性吸音織物においては特に扁平楕円断面のマルチフィラメント糸条が好ましい。扁平楕円断面のマルチフィラメント糸条を芯糸に用いた樹脂コーティング糸条(A)及び/または(B)も同様に扁平楕円断面を有し、樹脂コーティング糸条(A)及び/または(B)の扁平楕円断面における高さ:幅の比が3:4〜1:4、特に2:3〜2:5の扁平楕円であることが、得られる織物の表面積を大きくする効果により、臭気分子の吸着及び捕集効率を向上させると同時に吸音効果も向上するのみならず、織物の引裂強度を向上させる。またマルチフィラメント糸条は隙間を含む嵩高糸であってもよく、これらはフィラメント同士が隙間を持って絡み合ったタスラン加工糸、インターレース加工糸、ウーリー加工糸なども使用できる。これら嵩高糸のように、繊維質で連続空間をもつ材料(表面積が大きい材料)に音が入射すると、音はその小さな空間内で乱反射を起し、フィラメントとの摩擦や抵抗、フィラメントの振動などによって、音エネルギーの一部が熱エネルギーとして消費され易くなる。これらのマルチフィラメント糸条は、撥水処理、吸水防止処理、接着処理、難燃処理などの薬剤処理を施したものを用いてもよい。
本発明の消臭性吸音織物は、樹脂コーティング糸条(A)及び樹脂コーティング糸条(B)を2:1〜1:2の本数比率、特に好ましくは1:1の本数比率で併用して製織された製織交点を有する織物で、織編要素の例として、1)経糸条群及び緯糸条群、または2)経糸条群及び左斜上・右斜上バイアス糸条群で、かつ前記織物が単層織物、二重織物、及び三重織物、から選ばれた何れか1種の態様である。織編要素が1)経糸条群及び緯糸条群の場合、双方の群に樹脂コーティング糸条(A)、及び樹脂コーティング糸条(B)を規則的交互配置またはランダム配置で含む態様、或いは樹脂コーティング糸条(A)を経糸条群に、樹脂コーティング糸条(B)を緯糸条群に使い分けた態様、またはこの反対の使い分け態様が例示でき、これらは各々、単層織物、二重織物、及び三重織物の何れかの態様である。また三軸織物として織編要素が2)経糸条群及び左斜上・右斜上バイアス糸条群の場合も同様に、双方の群に樹脂コーティング糸条(A)、及び樹脂コーティング糸条(B)を規則的交互配置またはランダム配置で含む態様、或いは樹脂コーティング糸条(A)を経糸条群に、樹脂コーティング糸条(B)をバイアス糸条群に使い分けた態様、またはこの反対の使い分け態様が例示でき、これらは各々、単層織物、二重織物、及び三重織物の何れかの態様で、織編要素1)及び2)の織編交点の孔状隙間の総和を空隙率と定義した時の値は5%以下が好ましい。孔状隙間に音が入射すると、特定の周波数において共鳴振動が生じ、孔状隙間で空気が振動し、音エネルギーを減衰させるので、孔状隙間の孔径は直径0.05〜1.0mmの範囲で、好ましくは0.05〜0.5mmと特に小さく、孔状隙間数が(タテ8個×ヨコ8個)〜(タテ60個×ヨコ60個)/25.4mmの範囲で、特に(タテ12個×ヨコ12個)〜(タテ33個×ヨコ33個)/25.4mmをピークに吸音効果を高いものとする。この孔状隙間を抜ける空気量は、(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒、特に10〜50cc/cm2/秒が好ましい。
単層織物は、平織物、2/2ななこ(バスケット)織物、2/2畝織物、綾織物:2/1綾織物、2/2綾織物、3/1斜文(四枚綾)、3/1破れ斜文(四枚綾)、3/2斜文(五枚綾)、4/1斜文(五枚綾)、5/1斜文(六枚綾)、4/2斜文(六枚綾)、1・3/1・1斜文(六枚綾)など、朱子織物:2飛び4/1朱子(五枚朱子)、3飛び4/1朱子(五枚朱子)、2飛び3/2朱子(五枚朱子)、3飛び3/2朱子(五枚朱子)など、及びこれらの変化平織物、変化綾織物、変化朱子織物など、さらに蜂巣織物、梨子地織物、破れ斜文織物、昼夜朱子織物、もじり織物(紗織物、絽織物)、縫取織物、ラッセル編物などが使用でき、これらは質量0.2〜1.2kg/m、空隙率5%以下(織編交点に生じる孔状隙間の総和の占有率)、かつ通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たすものが例示される。
二重織物は、表経・裏経の経糸条及び表緯・裏緯の緯糸条を用いて上下2枚に重なり合った織物で、上部の織物が表経糸条と表緯糸条とで空隙率10%以下(織編交点に生じる孔状隙間の総和の占有率)を成し、下部の織物が裏経糸条と裏緯糸条とで空隙率10%以下(織編交点に生じる孔状隙間の総和の占有率)を成し、質量0.4〜2.4kg/m、共有空隙率5%以下(積重した織物に生じる孔状隙間の重なり部分の総和の占有率)、かつ通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たすものが例示される。同様に表経・裏経の経糸条及び表斜・裏斜のバイアス糸条を用いて上下2枚に重なり合った織物で、上部の織物が表経糸条と表斜糸条とで空隙率10%以下(織編交点に生じる孔状隙間の総和の占有率)を成し、下部の織物が裏経糸条と裏斜糸条とで空隙率10%以下(織編交点に生じる孔状隙間の総和の占有率)を成し、質量0.4〜2.4kg/m、共有空隙率5%以下(積重した織物に生じる孔状隙間の重なり部分の総和の占有率)、かつ通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たすものが例示される。通気度が5cc/cm2/秒未満だと臭気分子の吸着及び捕集効率を低くすると同時に吸音効果を悪くすることがある。共有空隙率は吸音膜材を水平に置き、これを垂直方向から観察したときに上部の織物の空隙部と下部の織物の空隙部とが互いに重なり合って、2枚の織物を貫通する共有空隙部の総和の単位面積当たりの占有率である。すなわち上部の織物の糸条が下部の織物の空隙部に重なって配置され、あるいは下部の織物の糸条が上部の織物の空隙部に重なって配置されることで共有空隙率は小さい値となり、重なり具合によっては見掛け0となる。経二重織物は1組の緯糸条に表経と裏経が組織して一重の織物の裏にも1つ余分の経糸条が織付いたもので表経と裏経の配列は1:1、2:1、3:1などである。緯二重織物は1組の経糸条に表緯と裏緯が組織して一重の織物に別の緯糸条が織付いたもので表緯と裏緯の配列は1:1、2:1、3:1などである。経緯二重織物は2枚の織物を同一織機で織り、その織糸条で上下2枚の織物(各々質量0.4〜1.2kg/m)を接結したものである。
同様に三重織物は、表経・中経・裏経の経糸条及び表緯・中緯・裏緯の緯糸条を用いて上中下の織物3枚が積重した織物で、上部織物、中部織物、下部織物、各々が、空隙10%以下(織編交点に生じる孔状隙間の総和の占有率)、かつ質量0.2〜1.0kg/mで成り、質量0.6〜3.0kg/m共有空隙率5%以下(積重した織物に生じる孔状隙間の重なり部分の総和の占有率)、かつ通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たすもので、同様に経三重織物(1組の緯糸条に表経・中経・裏経が組織)、緯三重織物(1組の経糸条に表緯・中緯・裏緯が組織)、経緯三重織物:a)3枚の織物を同一織機で織り、その織糸条で下部織物から中部織物に接結し、中部織物から上部織物に接結したもの、b)上部織物から中部織物に接結し、中部織物から下部織物に接結したもの、c)上部織物から中部織物に接結し、下部織物から中部織物に接結したもの、d)上中下3枚の織物の耳部だけを接結したものが例示できる。通気度が5cc/cm2/秒未満だと臭気分子の吸着及び捕集効率を低くすると同時に吸音効果を悪くすることがある。
二重織物は具体的にフライシャットル織機、エアージェット織機、スルーザー織機、レピア織機、ウォータージェット織機などを用い、経樹脂コーティング糸条及び緯樹脂コーティング糸条からなる右上がりの2/1斜文(綾)織の組織を有する上部織物と、経樹脂コーティング糸条及び緯マルチフィラメントからなる左上がりの2/1斜文(綾)織の組織を有する下部織物とを、下部織物の経樹脂コーティング糸条が所定本数おきに上部織物の緯樹脂コーティング糸条に浮くようにして接結点で繋ぎ合わせ、同時に下部織物の緯樹脂コーティング糸条が所定本数おきに上部織物の経樹脂コーティング糸条に浮くようにして接結点で繋ぎ合わせた二重織物で、上部織物と下部織物との接結点は1平方インチ面積当たり8〜50ヶ所設けることが好ましい。このような二重織物を用いた吸音膜材においては、織布を右上がりの2/1斜文(綾)織の組織を有する上部織物と、左上がりの2/1斜文(綾)織の組織を有する下部織物とからなる二重織物とすることで、上部織物と下部織物の斜文(綾)織の組織が交差してそれぞれの織物の空隙部同士が完全に重なることがないので共有空隙率5%以下を満たす。この二重織物は共有空隙率5%以下で、特に見掛け0%であっても通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たすことができる。これは上部織物と下部織物との界面の隙間が通気部(消臭効果)として機能し、上部織物と下部織物との空隙部を立体的に連結する作用による。このような立体的な連続通気部は音響の拡散吸収に効果的に寄与する。また、経樹脂コーティング糸条と緯樹脂コーティング糸条との織交点は熱癒着により互いに固定されたものは吸音膜材の形態安定性に優れ、特に織り交点に熱溶融固定が一切なされないか、熱癒着が軽微なものは織物を柔軟とする。織交点の熱癒着による固定は、二重織物全体に及んでいてもよく、また上下左右に等間隔、もしくはランダムな部分的な織り交点の熱癒着であってもよい。
同様に三重織物では、各織物の斜文線が隣接する織物の斜文線と交差するものは各織物の斜文線が隣接する織物の斜文線と交差するため、それぞれの織物の空隙部同士が完全に重なることがないので共有空隙率5%以下を満たす。このような三重織物は共有空隙率5%以下で、特に見掛け0%であっても通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たすことができる。これは上部織物と中部織物の界面、中部織物と下部織物との界面の2つの界面の隙間が通気部として機能し、上部織物、中部織物、下部織物の各々の空隙部を立体的に連結する作用による。このような立体的な連続通気部は音響の拡散吸収に効果的に寄与する。また二重織物、及び三重織物構は、右上がりのM/N斜文(綾)織の組織を有する上部織物と、左上がりのM/N斜文(綾)織の組織を有する下部織物とからなる二重織物(M=2〜5の整数,N=1)または(M=1,N=2〜5の整数)、また、右上がりのM/N斜文(綾)織の組織を有する上部織物及び下部織物と、左上がりのM/N斜文(綾)織の組織を有する中部織物とからなる三重織物(M=2〜5の整数,N=1)または(M=1,N=2〜5の整数)などである。同様に本発明の吸音膜材は四重織物、五重織物などであっても相応の消臭効果及び吸音効果を得る。
同様に、平織物、模紗織、五枚朱子織(2飛び4/1朱子、3飛び4/1朱子、2飛び3/2朱子、3飛び3/2朱子)による重ね織物の場合は織物(上部/下部、または上部/中部/下部)の組織ズレ部分が互いに同一部分に重ならないように織組織の組織ズレ部分を表組織と裏組織で相反する場所に上下左右に1完全組織ずらした織物とする。真正面からは隙間がずれているため共有空隙率5%以下を満たすが、特に見掛け0%であっても通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たすことができる。これは織物(上部/下部、または上部/中部/下部)の1つまたは2つの界面の隙間が通気部(消臭効果)として機能し、各々の織物の空隙部を立体的に連結する作用による。このような立体的な連続通気部は音響の拡散吸収に効果的に寄与する。また、経糸条及び左斜上・右斜上バイアス糸条を用いた織物2枚または3枚が重なり合った三軸重ね織物で、各部の織物の空隙率10%以下で成り、質量0.8〜3.0kg/m、共有空隙率5%以下、かつ通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たす三軸平織物、または三軸バスケット織物または三軸模紗織物など、さらに経糸条、緯糸条及び左斜上・右斜上バイアス糸条を用いた織物を2枚または3枚が重なり合った四軸重ね織物で、各部の織物の空隙率10%以下で成り、質量0.8〜3.0kg/m、共有空隙率5%以下、かつ通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たす四軸平織物、または四軸バスケット織物または四軸模紗織物などであってもよい。
上述した織物個々において樹脂コーティング糸条同士の織交点は熱癒着により互いに固定されたものは消臭性吸音織物の形態安定性に優れ、織り交点に熱溶融固定が一切なされないものや熱癒着が軽微なものは消臭性吸音織物のフレキシブル性をより柔軟とする。織交点の熱癒着による固定は、織物全体に及んでいてもよく、また上下左右に等間隔、もしくはランダムな部分的な織り交点の熱癒着であってもよい。熱癒着は、樹脂コーティング層の軟化温度以上の加熱を施し、製織交点を溶融癒着させる手段、例えば150〜300℃の熱風セット、150〜230℃の熱ロールによる織物全面ニップ、または部分的ニップ、熱板による織物全面プレス、または部分的プレスなどが例示できる。
本発明の消臭性吸音織物の施工は、屋内競技場、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場、駅舎、空港、ショッピングモールなどの天井に設置される天井面積構成膜材(膜天井)、天井付帯物(空中膜)、懸垂幕、横断幕として、さらに、食品工場、化学品工場、畜産施設、水産施設、ゴミ処理施設などにおける、空間仕切り、壁掛け、敷物、空中膜の施工として、幅1m〜3mの任意、長さ1m〜50mの任意の規格シートを自在に組み合わせ、織物面側を音響の入射面として装着する。特に1).1枚が幅1m〜3m程度、長さ1m〜5m程度の織物は、四角形、長方形、三角形、菱形、などの形態でアルミフレーム(押材)により織物全周を固定したパネル同士の組み合わせで、天井梁システムに固定することや、吊り下げることでフラット天井や幾何学立体天井に使用でき、2).また1枚が幅1m〜3m程度、長さ1m〜10m程度の長尺織物は、幅方向の2辺を天井梁やアルミ押材に固定し、張力を掛けずに織物を自重で弛んだ半円弧状態に懸垂し、多数の織物で半円弧の並びを表現したデザインアート天井に使用でき、3).また1枚が幅1m〜3m程度、長さ1m〜5m程度の織物は、四角形、長方形、三角形、菱形、などの形態で織物の外周のポイント毎にハトメ、ターンバックル、取付金具、ジョイントナットなどを設け、ロープやバネを用いて天井梁システムにサスペンジョン固定することで張力をコントロールして得たドレープを利用するデザインアート天井に使用することができる。4). また、家屋、店舗、オフィスビル、商業施設、各種公共施設などの居住空間においては、間仕切として目隠し効果を目的とする衝立使用ができる。また、本発明の消臭性吸音織物は幅(緯糸方向)が100cm以下、長さ方向(経糸方向)100cm以下のサイズで用いることもでき、例えば、トイレ壁掛けタペストリー、トイレ・浴室の敷物、下駄箱や押入れの敷物、ペット用ケージ内敷物、介護ベッド用敷物などの形態で使用でき、A4サイズ以下での使用例としては靴の中敷(下駄箱収納時)も可能である。本発明の消臭性吸音織物は任意の着色が可能であり、公知の印刷技術の応用により、メッシュシート片面または両面に写真画像・イラストレーション・文字などをプリントして、装飾効果や広告効果を附帯させることもできる。
本発明の消臭性吸音織物は使用環境による程度差はあるが、1ヶ月程度経過したら下記処理のメンテナンスの何れか、または複数の処理を施すことで、本発明の消臭性吸音織物の臭気吸着性能を、初期の50%以上に回復させることができ、定期的なメンテナンスを行うことで、消臭性吸音織物として繰り返しの使用が可能である。1)消臭性吸音織物全体に対して、水道水、工業用水、降雨、などによる水洗い・浸漬を10〜25℃で10〜60分間、または40〜80℃の温水による洗い・浸漬を5〜30分間行い、吸着した水溶性の臭気成分を溶出除去する。2)消臭性吸音織物全体に対して、電気ヒーターによる直接加熱または熱風加熱を50℃以上100℃以内で10〜60分間行い、吸着した臭気成分を放出除去する。3)晴天時に屋外で、吊るし、2つ折り鞍掛け、地面置き、の何れかの状態で天日干しを1〜6時間行い、太陽光熱と紫外線による作用で吸着した臭気成分を放出除去する。特に、1)処理後に2)の処理を連続するメンテナンス、または1)処理後に3)の処理を連続するメンテナンスが回復効率的に優れ好ましい。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記実施例及び比較例において、試験シートの減臭性・消臭性、及び臭気吸着性能の回復効果は下記の試験方法により測定し、評価した。
〈減臭性・消臭性〉
容積5LのTedlar(登録商標)バッグに10ppmのアンモニアガス3L封入し、1
0cm×10cmサイズの試験シートをバッグ内に入れ、30分後のアンモニアガ
ス濃度を測定、次にアンモニアガス試験後シートを10ppmのイソ吉草酸ガス3L
封入バッグ内に移動させて30分後のイソ吉草酸濃度を測定、次にイソ吉草酸ガス
試験後シートを10ppmの硫化水素ガス3L封入バッグ内に移動させて30分後の
硫化水素濃度を測定、最後に硫化水素ガス試験後シートを10ppmのトルエンガス
3L封入バッグ内に移動させて30分後のトルエン濃度を測定し、同一試験シート
で連続して4種のガスに対する消臭試験を行った。
〈臭気吸着性能の回復効果〉
2−1)10cm×10cmサイズの試験シートを容積5LのTedlar(登録商標)
バッグに入れ、試験シートの表裏面ともバッグ内壁に触れないようバッグ内に固定
し、濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境に60分
間晒し、10分毎にアンモニアガス濃度を検知管で測定し1回目の減臭曲線を描い
た。取出した試験シートを新たなTedlar (登録商標)バッグに入れ、1回目の試験
同様濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境に120
分間晒し、10分、30分、60分、120分毎にアンモニアガス濃度を検知管で
測定し2回目の減臭曲線を描いた。同様に3回目の試験を繰り返し3回目の減臭曲
線を描いた。
2−2)3回目の試験を終えた試験シートを5Lの水道水を入れたバット内に浸漬
した状態で20℃×60分間静置し水洗処理した。次に取出した試験シートを80
℃設定のギアーオーブン(電気ヒーター)内に吊るして30分間の熱風加熱処理を
行った。この水洗〜加熱処理を行った試験シートを、再度容積5LのTedlar(登録
商標)バッグに入れ、試験シートの表裏面ともバッグ内壁に触れないようバッグ内
に固定し、濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境に
120分間晒し、10分、30分、60分、120分毎にアンモニアガス濃度を検
知管で測定し4回目(再生処理後)の減臭曲線を描き、1〜3回目の減臭曲線と比
較した。
2−3)上記1)試験と同じ要領で、連続で4種のガスに対しての減臭試験を行い
、回復の処理を施した後(2−2処理後)の減臭曲線と、初回の減臭曲線との比較
を行った。
〈吸音率〉
織物面側を音響の入射面として、JIS A1405(垂直入射法)によるNoise Reduction Coefficient(NRC値)を250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hzの各吸音率の算術平均値を求めた。
〈通気度〉
JIS L1096 8.27.1 A法に定めるフラジール形法により求めた。
[実施例1]
1)樹脂コーティング糸条(A)−1
無アルカリガラスのマルチフィラメント糸条(フィラメント径9μm、400本フィラメント:75番手:687dtex)の扁平糸を芯糸とし、下記配合1の軟質塩化ビニル系樹脂によるペーストゾル組成物の液浴中にディッピングして軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物を芯糸の全周に被覆した後、180℃でゲル化処理して樹脂コーティング層(合成ゼオライト及び二酸化珪素の含有量14.2質量%)を形成して、糸条断面における高さ:幅の比が3:5の扁平楕円断面を有し、ピンク色に着色した樹脂コーティング糸条(A)−1を得た。
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物(樹脂コーティング糸条(A)−1用)
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(可塑剤) 70質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
エポキシ化大豆油(可塑剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
合成ゼオライト(平均粒子径5μm) 15質量部
二酸化珪素(メソポーラスシリカ:平均粒子径1μm) 15質量部
アゾジカルボアミド(化学発泡剤) 4質量部
ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 0.3質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
層状無機化合物(モンモリロナイト:平均粒子径8μm) 10質量部
モリブデン酸カルシウム亜鉛(モリブデン化合物粒子) 5質量部
ルチル型酸化チタン(白顔料) 2質量部
キナクリドンレッド(赤顔料) 1質量部
2)樹脂コーティング糸条(B)−1
無アルカリガラスのマルチフィラメント糸条(フィラメント径9μm、400本フィラメント:75番手:687dtex)の扁平糸を芯糸とし、下記配合2の軟質塩化ビニル系樹脂によるペーストゾル組成物の液浴中にディッピングして軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物を芯糸の全周に被覆した後、180℃でゲル化処理して樹脂コーティング層(合成ゼオライト及び酸化亜鉛の含有量14.2質量%)を形成して、糸条断面における高さ:幅の比が3:5の扁平楕円断面を有し、ライトブルー色に着色した樹脂コーティング糸条(B)−1を得た。
〔配合2〕軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物(樹脂コーティング糸条(B)−1用)
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(可塑剤) 70質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
エポキシ化大豆油(可塑剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
合成ゼオライト(平均粒子径5μm) 20質量部
酸化亜鉛(金属酸化物:平均粒子径1μm) 10質量部
アゾジカルボアミド(化学発泡剤) 4質量部
ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 0.3質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
層状無機化合物(モンモリロナイト:平均粒子径8μm) 10質量部
モリブデン酸カルシウム亜鉛(モリブデン化合物粒子) 5質量部
ルチル型酸化チタン(白顔料) 2質量部
フタロシアニンブルー(青顔料) 1質量部
3)織物1
経糸条群及び緯糸条群ともに〔樹脂コーティング糸条(A)−1を2本、樹脂コーティング糸条(B)−1を2本〕nを繰り返し単位とする2/2ななこ(バスケット)織物による単層織物で、経糸群は1インチ間28本(うち樹脂コーティング糸条(A)−1の本数は14本)の織密度、また緯糸群は1インチ間30本(うち樹脂コーティング糸条(A)−1の本数は15本)の織密度とする織物を得た。樹脂コーティング糸条(A)−1と樹脂コーティング糸条(B)−1との本数比率は1:1(占有体積比1:1)であった。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、バスケット織の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、空隙率2%、通気度45cc/cm2/秒、質量860g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の2/2ななこ織柄の〔織物1〕を得た。
[実施例2]
〈織物(2)〉
実施例1の配合2に用いた酸化亜鉛(金属酸化物:平均粒子径1μm)10質量部を酸化アルミニウム(金属酸化物:平均粒子径1μm)10質量部に置き換え(配合3)、樹脂コーティング糸条(B)−1の配合の一部を変更した樹脂コーティング糸条(B)−2とした以外は実施例1と同様にして、実施例1と同規格の〔織物2〕(空隙率2%、通気度45cc/cm2/秒、質量860g/m)を得た。
[実施例3]
〈織物(3)〉
経糸群として樹脂コーティング糸条(A)−1の打ち込み密度が42本/インチ、緯糸群として樹脂コーティング糸条(B)−1の打ち込み密度が36本/インチである二重織物を、上層織物組織を右上がりの2/1の斜文織、下層織物組織を左上がりの2/1の斜文織、上層織物と下層織物とを5本跨ぎの結線で結接して製織して得た織物は、樹脂コーティング糸条(A)−1と樹脂コーティング糸条(B)−1との本数比率は7:6(占有体積比7:6)であった。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、二重織物の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、空隙率1.2%、通気度16cc/cm2/秒、質量1160g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の〔織物3〕を得た。
〔実施例4〕
〈織物(4)〉
経糸群として樹脂コーティング糸条(A)−1の打ち込み密度が28本/インチ、左斜上・右斜上バイアス糸群として樹脂コーティング糸条(B)−2の打ち込み密度が20本/インチである上層三軸織物と、経糸群として樹脂コーティング糸条(A)−1の打ち込み密度が28本/インチ、左斜上・右斜上バイアス糸群として樹脂コーティング糸条(B)−2の打ち込み密度が20本/インチである下層三軸織物とを、下層三軸織物の樹脂コーティング糸条(A)−1が5本跨ぎの結線で上層三軸織物の樹脂コーティング糸条(B)−2に結接し、また下層三軸織物の樹脂コーティング糸条(B)−2が5本跨ぎの結線で上層三軸織物の樹脂コーティング糸条(A)−1に結接して製織した得た三軸二重織物は、樹脂コーティング糸条(A)−1と樹脂コーティング糸条(B)−2との本数比率は7:10(占有体積比7:9)であった。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、三軸二重織物の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、共有空隙率0.5%、通気度6cc/cm2/秒、質量2020g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の〔織物4〕を得た。
〔実施例5〕
〈樹脂コーティング糸条(B−3)〉
樹脂コーティング糸条(B)−1の芯糸を、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(アラミド繊維:フィラメント径12μm、843dtex)の扁平糸に変更し、配合2の軟質塩化ビニル系樹脂によるペーストゾル組成物の液浴中にディッピングして軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物をマルチフィラメント糸条の全周に被覆した後、180℃でゲル化処理して樹脂被覆層を形成して、糸条断面における高さ:幅の比が2:5の扁平楕円断面を有して樹脂コーティング糸条(B)−3を得た。
〈織物(5)〉
経糸条群及び緯糸条群ともに〔樹脂コーティング糸条(A)−1を2本、樹脂コーティング糸条(B)−3を2本〕nを繰り返し単位とする2/2ななこ(バスケット)織物による単層織物で、経糸群は1インチ間28本(うち樹脂コーティング糸条(A)−1の本数は14本)の織密度、また緯糸群は1インチ間30本(うち樹脂コーティング糸条(A)−1の本数は15本)の織密度とする織物を得た。樹脂コーティング糸条(A)−1と樹脂コーティング糸条(B)−3との本数比率は1:1(占有体積比4:5)であった。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、バスケット織の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、空隙率2%、通気度45cc/cm2/秒、質量780g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の2/2ななこ織柄の〔織物5〕を得た。
〔実施例6〕
〈織物(6)〉
経糸群として樹脂コーティング糸条(A)−1の打ち込み密度が42本/インチ、緯糸群として樹脂コーティング糸条(B)−3の打ち込み密度が36本/インチである二重織物を、上層織物組織を右上がりの2/1の斜文織、下層織物組織を左上がりの2/1の斜文織、上層織物と下層織物とを5本跨ぎの結線で結接して製織して得た織物は、樹脂コーティング糸条(A)−1と樹脂コーティング糸条(B)−3との本数比率は7:6(占有体積比7:8)であった。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、二重織物の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、空隙率1.2%、通気度16cc/cm2/秒、質量1050g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の〔織物6〕を得た。
〔実施例7〕
〈樹脂コーティング糸条(B−4)〉
樹脂コーティング糸条(B)−1の芯糸を、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(アラミド繊維:フィラメント径12μm、843dtex)の扁平糸に変更し、配合3の軟質塩化ビニル系樹脂によるペーストゾル組成物の液浴中にディッピングして軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物をマルチフィラメント糸条の全周に被覆した後、180℃でゲル化処理して樹脂被覆層を形成して、糸条断面における高さ:幅の比が2:5の扁平楕円断面を有して樹脂コーティング糸条(B)−4を得た。
〈織物(7)〉
経糸群として樹脂コーティング糸条(A)−1の打ち込み密度が28本/インチ、左斜上・右斜上バイアス糸群として樹脂コーティング糸条(B)−4の打ち込み密度が20本/インチである上層三軸織物と、経糸群として樹脂コーティング糸条(A)−1の打ち込み密度が28本/インチ、左斜上・右斜上バイアス糸群として樹脂コーティング糸条(B)−4の打ち込み密度が20本/インチである下層三軸織物とを、下層三軸織物の樹脂コーティング糸条(A)−1が5本跨ぎの結線で上層三軸織物の樹脂コーティング糸条(B)−4に結接し、また下層三軸織物の樹脂コーティング糸条(B)−4が5本跨ぎの結線で上層三軸織物の樹脂コーティング糸条(A)−1に結接して製織した得た三軸二重織物は、樹脂コーティング糸条(A)−1と樹脂コーティング糸条(B)−4との本数比率は7:10(占有体積比7:9)であった。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、三軸二重織物の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、共有空隙率0.5%、通気度6cc/cm2/秒、質量1820g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の〔織物7〕を得た。
〔実施例8〕
〈樹脂コーティング糸条(A−2)〉
樹脂コーティング糸条(A)−1の芯糸を、炭素繊維(フィラメント径10μm、660dtex)の扁平糸に変更し、配合1の軟質塩化ビニル系樹脂によるペーストゾル組成物の液浴中にディッピングして軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物をマルチフィラメント糸条の全周に被覆した後、180℃でゲル化処理して樹脂被覆層を形成して、糸条断面における高さ:幅の比が2:5の扁平楕円断面を有する樹脂コーティング糸条(A)−2を得た。
〈樹脂コーティング糸条(B−5)〉
樹脂コーティング糸条(B)−1の芯糸を、炭素繊維(フィラメント径10μm、660dtex)の扁平糸に変更し、配合2の軟質塩化ビニル系樹脂によるペーストゾル組成物の液浴中にディッピングして軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物をマルチフィラメント糸条の全周に被覆した後、180℃でゲル化処理して樹脂被覆層を形成して、糸条断面における高さ:幅の比が2:5の扁平楕円断面を有する樹脂コーティング糸条(B)−5を得た。
〈織物(8)〉
経糸条群及び緯糸条群ともに〔樹脂コーティング糸条(A)−2を2本、樹脂コーティング糸条(B)−5を2本〕nを繰り返し単位とする2/2ななこ(バスケット)織物による単層織物で、経糸群は1インチ間28本(うち樹脂コーティング糸条(A)−2の本数は14本)の織密度、また緯糸群は1インチ間30本(うち樹脂コーティング糸条(A)−2の本数は15本)の織密度とする織物を得た。樹脂コーティング糸条(A)−2と樹脂コーティング糸条(B)−5との本数比率は1:1(占有体積比1:1)であった。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、バスケット織の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、空隙率2.5%、通気度55cc/cm2/秒、質量760g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の2/2ななこ織柄の〔織物8〕を得た。
〔実施例9〕
〈織物(9)〉
経糸群として樹脂コーティング糸条(A)−2の打ち込み密度が42本/インチ、緯糸群として樹脂コーティング糸条(B)−3の打ち込み密度が36本/インチである二重織物を、上層織物組織を右上がりの2/1の斜文織、下層織物組織を左上がりの2/1の斜文織、上層織物と下層織物とを5本跨ぎの結線で結接して製織して得た織物は、樹脂コーティング糸条(A)−2と樹脂コーティング糸条(B)−3との本数比率は7:6(占有体積比7:6)であった。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、二重織物の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、空隙率1.4%、通気度18cc/cm2/秒、質量1110g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の〔織物9〕を得た。
〔実施例10〕
〈織物(10)〉
経糸群として樹脂コーティング糸条(A)−1の打ち込み密度が28本/インチ、左斜上・右斜上バイアス糸群として樹脂コーティング糸条(B)−5の打ち込み密度が20本/インチである上層三軸織物と、経糸群として樹脂コーティング糸条(A)−1の打ち込み密度が28本/インチ、左斜上・右斜上バイアス糸群として樹脂コーティング糸条(B)−5の打ち込み密度が20本/インチである下層三軸織物とを、下層三軸織物の樹脂コーティング糸条(A)−1が5本跨ぎの結線で上層三軸織物の樹脂コーティング糸条(B)−5に結接し、また下層三軸織物の樹脂コーティング糸条(B)−5が5本跨ぎの結線で上層三軸織物の樹脂コーティング糸条(A)−1に結接して製織した得た三軸二重織物は、樹脂コーティング糸条(A)−1と樹脂コーティング糸条(B)−5との本数比率は7:10(占有体積比7:9)であった。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、三軸二重織物の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、共有空隙率0.8%、通気度8cc/cm2/秒、質量1920g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の〔織物10〕を得た。
実施例1〜10の織物1〜10は、二酸化珪素及びゼオライトを質量比1:1とする混合粒子を14.3質量%含む樹脂コーティングで被覆した樹脂コーティング糸条(A)、及び(酸化亜鉛または酸化アルミニウム)及びゼオライトを質量比1:2とする混合粒子を14.3質量%含む樹脂コーティングで被覆した樹脂コーティング糸条(B)を7:6〜7:10の範囲の本数比率で併用して製織された各々、バスケット(ななこ)織物、二重織物、三軸二重織物などで、樹脂コーティング糸条(A)と樹脂コーティング糸条(B)とに、各々二酸化珪素粒子及び金属酸化物(酸化亜鉛または酸化アルミニウム)を振り分け、樹脂コーティングに同時にこれらが混在しないように設計したことによって、各々の樹脂コーティング糸条が塩基性悪臭と酸性悪臭を選択的に、互いに阻害し合うことなく不活性化する役割を担うことができ、二酸化珪素粒子と金属酸化物粒子とが別々の糸条に存在し、それらが共存することで、塩基性悪臭と酸性悪臭との吸着能を互いに阻害する従来問題を解決できること、また両者の樹脂コーティング糸条双方にゼオライト粒子を含有することでシンナーやトルエンなどの有機溶剤、ホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質臭などに対して吸着性を有するので、臭気成分全般(VOC含む)に対して長期間バランス良く濃度を減少させる減臭効果、及び経時的に人間の感知限界濃度に引き下げる消臭効果を有するメッシュシートが得られること、さらに減臭効果が飽和状態となっても、(熱)水洗、ヒーター加熱、及び天日干し、の単独、または併用の処理によって臭気吸着率を初期の50%以上に容易に回復できることなどの特徴が確認された。また通気度(JIS L1096:フラジール法)6〜55cc/cm2/秒の空隙部は通気により消臭効果をより高いのもとするのみならず、この通気度範囲において優れた吸音(反響防止)効果を発現した。
[比較例1]
実施例1と同様、経糸条群及び緯糸条群ともに〔樹脂コーティング糸条(A)−1を2本、樹脂コーティング糸条(B)−1を2本〕nを繰り返し単位とする2/2ななこ(バスケット)織物による単層織物において、織密度を減らし、経糸群は1インチ間20本(うち樹脂コーティング糸条(A)−1の本数は10本)の織密度、また緯糸群は1インチ間22本(うち樹脂コーティング糸条(A)−1の本数は11本)の織密度とする目空き織物を得た。樹脂コーティング糸条(A)−1と樹脂コーティング糸条(B)−1との本数比率は1:1(占有体積比1:1)である。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、バスケット織の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、空隙率26%、通気度425cc/cm2/秒、質量540g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の2/2ななこ織柄の〔織物11〕を得た。織物11の消臭効果は実施例1〜10の織物1〜10と遜色の無いものであったが、通気度が425cc/cm2/秒と100cc/cm2/秒を大きく上回ることで織物11では吸音効果が得られないものであった。
[比較例2]
実施例1と同様、経糸条群及び緯糸条群ともに〔樹脂コーティング糸条(A)−1を2本・2本・2本・2本、樹脂コーティング糸条(B)−1を2本〕nを繰り返し単位とする2/2ななこ(バスケット)織物による単層織物において、経糸群は1インチ間28本(うち樹脂コーティング糸条(A)−1の本数は22.4本/インチ)の織密度、また緯糸群は1インチ間30本(うち樹脂コーティング糸条(A)−1の本数は24本/インチ)の織密度とする織物を得た。樹脂コーティング糸条(A)−1と樹脂コーティング糸条(B)−1との本数比率は4:1(占有体積比4:1)である。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、バスケット織の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、空隙率2%、通気度45cc/cm2/秒、質量860g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の2/2ななこ織柄の〔織物12〕を得た。織物12の吸音効果は実施例1の織物1と遜色の無いものであったが、樹脂コーティング糸条(A)−1の使用を樹脂コーティング糸条(B)−1の4倍としたことで、経時的に、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールなどの酸性悪臭に対する減臭効果が失効し、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性悪臭に対する減臭効果のみが有効持続するような生活悪臭軽減に対してバランスの悪いものとなった。
[比較例3]
実施例1と同様、経糸条群及び緯糸条群ともに〔樹脂コーティング糸条(A)−1を2本、樹脂コーティング糸条(B)−1を2本・2本・2本・2本〕nを繰り返し単位とする2/2ななこ(バスケット)織物による単層織物において、経糸群は1インチ間28本(うち樹脂コーティング糸条(B)−1の本数は22.4本/インチ)の織密度、また緯糸群は1インチ間30本(うち樹脂コーティング糸条(B)−1の本数は24本/インチ)の織密度とする織物を得た。樹脂コーティング糸条(A)−1と樹脂コーティング糸条(B)−1との本数比率は1:4(占有体積比1:4)である。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、バスケット織の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、空隙率2%、通気度45cc/cm2/秒、質量860g/m、外観がピンクとライトブルーの混在の2/2ななこ織柄の〔織物13〕を得た。織物13の吸音効果は実施例1の織物1と遜色の無いものであったが、樹脂コーティング糸条(B)−1の使用を樹脂コーティング糸条(A)−1の4倍としたことで、経時的に、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性悪臭に対する減臭効果が失効し、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールなどの酸性悪臭に対する減臭効果のみが有効持続するような生活悪臭軽減に対してバランスの悪いものとなった。
[比較例4]
実施例1の織物1において、樹脂コーティング糸条(A)及び樹脂コーティング糸条(B)を変更し、樹脂コーティング糸条(C)に統合した以外は実施例1と同様とし、経糸条群及び緯糸条群ともに、樹脂コーティング糸条(C)〔2本・2本〕を繰り返し単位とする2/2ななこ(バスケット)織物を得た。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、化学発泡剤の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、バスケット織の織り交点を熱癒着して接着して織り組織が固定された、空隙率2%、通気度45cc/cm2/秒、質量860g/m、外観が白色の2/2ななこ織柄の〔織物14〕を得た。織物14は、同じ樹脂コーティングの中に二酸化珪素粒子と金属酸化物(酸化亜鉛または酸化アルミニウム)が混在することによって、アンモニアのような塩基性悪臭を先に吸着すると、次にイソ吉草酸のような酸性悪臭の吸着能を阻害することで、実施例1と同等の減臭効果が得られず、同様にイソ吉草酸のような酸性悪臭を先に吸着すると、次にアンモニアのような塩基性悪臭の吸着能を阻害することで、実施例1と同等の減臭効果を得ることができないなど、生活臭全般に対する減臭効果や消臭効果が不十分なものであった。
樹脂コーティング糸条(C)
無アルカリガラスのマルチフィラメント糸条(フィラメント径9μm、400本フィラメント:75番手:687dtex)の扁平糸を芯糸とし、下記配合4の軟質塩化ビニル系樹脂によるペーストゾル組成物の液浴中にディッピングして軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物を芯糸の全周に被覆した後、180℃でゲル化処理して樹脂コーティング層(合成ゼオライト及び二酸化珪素の含有量14.2質量%)を形成して、糸条断面における高さ:幅の比が3:5の扁平楕円断面を有し、白色に着色した樹脂コーティング糸条(C)を得た。
〔配合4〕軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物(樹脂コーティング糸条(C)用)
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(可塑剤) 70質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
エポキシ化大豆油(可塑剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
二酸化珪素(メソポーラスシリカ:平均粒子径1μm) 10質量部
合成ゼオライト(平均粒子径5μm) 10質量部
酸化亜鉛(金属酸化物:平均粒子径1μm) 10質量部
アゾジカルボアミド(化学発泡剤) 4質量部
ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 0.3質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
層状無機化合物(モンモリロナイト:平均粒子径8μm) 10質量部
モリブデン酸カルシウム亜鉛(モリブデン化合物粒子) 5質量部
ルチル型酸化チタン(白顔料) 3質量部
本発明により得られる消臭性吸音織物は、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性悪臭に対する減臭効果を有する二酸化珪素粒子を含有する樹脂コーティング糸条(A)と、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールなどの酸性悪臭に対する減臭効果を有する金属酸化物粒子を含有する樹脂コーティング糸条(B)との併用により、各々のコーティング糸条が塩基性悪臭と酸性悪臭を選択的に、互いに阻害し合うことなく不活性化する役割を担うことができ、二酸化珪素粒子と金属酸化物粒子とが別々の糸条に存在し、それらが共存することで、塩基性悪臭と酸性悪臭との吸着能を互いに阻害する従来問題を解決し、しかも樹脂コーティング糸条(A)と樹脂コーティング糸条(B)の双方にゼオライト粒子を含有することでシンナーやトルエンなどの有機溶剤、ホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質臭などに対する吸着性も有するので、臭気成分全般(VOC含む)に対して長期間バランス良く濃度を減少させる減臭効果、及び経時的に人間の感知限界濃度に引き下げる消臭効果を発現し、通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒の空隙部により消臭効果を高くするのみならず、この通気度範囲において得に優れた吸音(反響防止)効果を発現するので、屋内競技場、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場、駅舎、空港、ショッピングモールなどの天井に設置される天井面積構成膜材(膜天井)、天井付帯物(空中膜)、懸垂幕、横断幕などの使用に適し、さらに、食品工場、化学品工場、畜産施設、水産施設、ゴミ処理施設などにおける、空間仕切り、壁掛け、敷物、空中膜などに適して用いることができる。上記用途において、本発明の消臭性吸音織物には写真や画像・イラストレーション・文字などのデザインや広告効果を附帯させることもできるので産業上の利用に有用である。
1:消臭性吸音織物
1−1:樹脂コーティング糸条(A)
1−2:樹脂コーティング糸条(B)

Claims (8)

  1. 樹脂コーティング糸条(A)及び樹脂コーティング糸条(B)を2:1〜1:2の本数比率の織編要素に含む通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒のシート状織物であって、前記樹脂コーティング糸条(A)の樹脂コーティングが二酸化珪素及びゼオライトの質量比を2:1〜1:5とする混合粒子を5〜30質量%含み、かつ、前記樹脂コーティング糸条(B)の樹脂コーティングが金属酸化物及びゼオライトの質量比を2:1〜1:5とする混合粒子を5〜30質量%含むことを特徴とする消臭性吸音織物。
  2. 前記金属酸化物が、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、及び酸化銅から選ばれた1種以上である請求項1に記載の消臭性吸音織物。
  3. 前記樹脂コーティング糸条(A)、及び樹脂コーティング糸条(B)の少なくとも一方の樹脂コーティングが、気泡痕を1〜25体積%含む請求項1または2に記載の消臭性吸音織物。
  4. 前記樹脂コーティング糸条(A)、及び前記樹脂コーティング糸条(B)の少なくとも一方が扁平楕円断面を有し、その扁平楕円断面における高さ:幅の比が3:4〜1:4である請求項1〜3の何れか1項に記載の消臭性吸音織物。
  5. 前記織編要素が、1)経糸条群及び緯糸条群、または2)経糸条群及び左斜上・右斜上バイアス糸条群で、かつ前記シート状織物が単層織物、二重織物、及び三重織物、から選ばれた何れか1種である請求項1〜4の何れか1項に記載の消臭性吸音織物。
  6. 前記樹脂コーティング糸条(A)、及び樹脂コーティング糸条(B)の少なくとも一方の樹脂コーティングが、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルを25〜80質量部を主体に含む軟質塩化ビニル樹脂組成物で構成される請求項1〜5の何れか1項に記載の消臭性吸音織物。
  7. 前記樹脂コーティングが、さらにスメクタイト系粘土鉱物、合成スメクタイト、セリサイト、フッ素雲母、及び膨張黒鉛から選ばれた1種以上の層状無機化合物、及び/またはモリブデン化合物粒子を含む請求項6に記載の消臭性吸音織物。
  8. 前記製織交点が熱融着している請求項1〜7の何れか1項に記載の消臭性吸音織物。
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