JP2017089071A - 消臭性難燃シート - Google Patents
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Abstract
【課題】公共施設・商業施設・産業施設において、特に天井面積構成膜材(膜天井)、天井付帯物(空中膜)、空間仕切りなど大面積施工に用いる膜材で、消臭(減臭)効果を発現し、さらに吸音効果を有する、建築基準法に適用可能な膜材の提供。
【解決手段】樹脂被覆層を有する糸条を織編要素に含む通気性可撓シートで、樹脂被覆層が、〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体、及び/または〔酸化マグネシウム/アルミナ〕複合体(A)と、〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体、及び/または〔二酸化チタン/アルミナ〕複合体(B)とを、(A):(B)質量比2:1〜1:2とする酸化物複合体混合物(C)と、無機層状化合物粒子群、及び熱分解ガス発生物質群から選ばれた1種以上の体積膨張性物質(D)を、樹脂被覆層に対して1〜20質量%含ませる。
【選択図】なし
【解決手段】樹脂被覆層を有する糸条を織編要素に含む通気性可撓シートで、樹脂被覆層が、〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体、及び/または〔酸化マグネシウム/アルミナ〕複合体(A)と、〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体、及び/または〔二酸化チタン/アルミナ〕複合体(B)とを、(A):(B)質量比2:1〜1:2とする酸化物複合体混合物(C)と、無機層状化合物粒子群、及び熱分解ガス発生物質群から選ばれた1種以上の体積膨張性物質(D)を、樹脂被覆層に対して1〜20質量%含ませる。
【選択図】なし
Description
本発明は臭気吸着による減臭効果を有するシート状織物に関し、詳しくは、屋内競技場施設、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場、駅舎、空港、ショッピングモールなど公共施設・商業施設の天井に設置される天井面積構成膜材(膜天井)、天井付帯物(空中膜)、懸垂幕、横断幕として、また食品工場、化学品工場、畜産農業施設、水産施設、ゴミ処理施設など産業施設における、空間仕切り、壁掛け、敷物、空中膜として、さらに日除けテント、ブラインド、タペストリー、押入・下駄箱用、トイレマット・タペストリー、キッチンマットなど住居設備など、各種用途環境における悪臭成分、及びVOC成分などの臭気成分全般に対して濃度を効果的に減少させる減臭効果、及び経時的に人間の感知限界濃度に低減する消臭効果を発現し、しかも建築基準法の適用材料に適合し、さらに吸音効果を有する消臭性難燃シートに関する。
先に本出願人は粗目織物と、粗目織物を被覆する熱可塑性樹脂層とで構成された、特定の充実率と単位表面積とを有する可撓性メッシュシートの熱可塑性樹脂層に、臭気分子に対して、物理的吸着性を有する無機多孔性物質、化学反応性を有する無機酸化・還元性物質、及び無機分解反応触媒物質などの臭気分子不活性化粒子を任意に用いることにより、体臭、ペット臭、調理臭、ゴミ臭、カビ臭などの生活臭全般を低減させる機能を付帯させたメッシュシート(特許文献1)を提案した。また特許文献2には、四大悪臭成分(アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチルカプタン)をはじめとする塩基性、硫黄系、酸性の各悪臭成分及び、アルデヒド化合物に対して消臭効果を発揮する消臭性繊維製品(衣類・カーテンなど)の製造方法として、(A)二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物、(B)非晶質シリカ及び/又はシリカアルミナとフィロケイ酸塩及び/又はアルミニウムフィロケイ酸塩との複合物、(C)ポリヒドラジド化合物、並びに、(D)ポリカルボン酸及び/又はポリカルボン酸の塩を含有する分散液を、繊維素材に付与する方法が開示されている。しかし、これら特許文献1のメッシュシート及び特許文献2の繊維製品では、公共施設・商業施設・産業施設において、特に天井面積構成膜材(膜天井)、天井付帯物(空中膜)、空間仕切りなど大面積施工に用いるに、建築基準法の適用材料認定(国土交通大臣認定)を必須とするところ、ASTM-E1354「建築材料の燃焼性試験方法」、建築基準法施行令108条の2、及び1998年改正建築基準法第2条9号など、高度の難燃性を満たすことができない。従って、公共施設・商業施設・産業施設において、消臭(減臭)効果を発現し、さらに吸音効果を有する、建築基準法に適用可能な膜材が望まれていた。
本発明は、公共施設・商業施設・産業施設において、特に天井面積構成膜材(膜天井)、天井付帯物(空中膜)、空間仕切りなど大面積施工に用いる膜材で、消臭(減臭)効果を発現し、さらに吸音効果を有する、建築基準法に適用可能な膜材を提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、樹脂被覆層を有する糸条を織編要素に含む通気性可撓シートにおいて、樹脂被覆層が、塩基性複合体粒子群(A)と、酸性複合体粒子群(B)とを、特定比で併用する酸化物複合体混合物(C)と、体積膨張性物質(D)を、樹脂被覆層に含むことで、消臭(減臭)効果を発現し、さらに吸音効果を有する、建築基準法に適用可能な膜材が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の消臭性難燃シートは、樹脂被覆層を有する糸条を織編要素に含む通気性可撓シートであって、前記樹脂被覆層が、〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体、及び〔酸化マグネシウム/アルミナ〕複合体から選ばれた1種以上の塩基性複合体粒子群(A)と、〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体、及び〔二酸化チタン/アルミナ〕複合体から選ばれた1種以上の酸性複合体粒子群(B)とを、(A):(B)質量比3:2〜2:3とする酸化物複合体混合物(C)と、無機層状化合物粒子群、及び熱分解ガス発生物質群から選ばれた1種以上の体積膨張性物質(D)を、前記樹脂被覆層に対して1〜20質量%含むことが好ましい。これによって、硫化水素(卵の腐敗臭)、メチルメルカプタン(玉葱の腐敗臭)、酢酸、イソ吉草酸(足の裏臭)、ノネナール(加齢臭)などの酸性悪臭に対する減臭(消臭)効果を有する塩基性複合体粒子群(A)と、アンモニア(尿臭)、トリメチルアミン(魚の腐った臭)などの塩基性悪臭に対する減臭(消臭)効果を有する酸性複合体粒子群(B)とを同一糸条に併用しても、粒子群(A)及び粒子群(B)が酸性悪臭と塩基性悪臭とを選択的に、互いに阻害し合うことなく不活性化する役割を担うことができ、また体積膨張性物質(D)を含むことで、本発明の消臭性難燃シートをASTM-E1354「建築材料の燃焼性試験方法」で評価した時に樹脂被覆層が体積膨張する作用により糸条を太らせて、通気性可撓シートの有する通気性部位を閉塞させることで建築基準法の適用材料(国土交通大臣認定)に適合可能とする。
本発明の消臭性難燃シートは、前記無機層状化合物粒子群が、スメクタイト系粘土鉱物、合成スメクタイト、セリサイト、フッ素雲母、及び膨張黒鉛から選ばれた1種以上であることが好ましい。これによって火災時の火炎熱(模擬的にはコーンカロリーメーター試験:ASTM-E1354)により層状無機化合物粒子が急激に体積膨張することで、樹脂被覆層を体積膨張させて糸条径を太らせることにより通気性可撓シートの有する通気性部位を瞬時に閉塞し、通気部からの火炎の突き抜けや有毒ガスの漏出を遮断することで建築基準法の適用材料(国土交通大臣認定)に適合可能とする。
本発明の消臭性難燃シートは、前記熱分解ガス発生物質が、アゾジカルボアミド、オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、p−トルエンスルフォニルヒドラジド、ジアゾアミノベンゼン、アゾビスイソブチロニトリルから選ばれた1種以上であることが好ましい。本発明の消臭性難燃シートの製造工程において、180〜220℃程度の熱処理を施すことによって、熱分解ガス発生物質を熱分解させ、樹脂被覆層に1〜25体積%の気泡痕を含ませることで、樹脂被覆層の表面積を増大させ、それにより塩基性複合体粒子群(A)と、酸性複合体粒子群(B)の減臭(消臭)効果をより迅速かつ効率的なものとする。また熱分解ガス発生物質を熱分解させずに樹脂被覆層に温存する場合には、火災時の火炎熱(模擬的にはコーンカロリーメーター試験:ASTM-E1354)により熱分解ガス発生物質が発泡膨張し、糸条径を太らせる作用により通気性可撓シートの有する通気性部位を瞬時に閉塞する。
本発明の消臭性難燃シートは、前記樹脂被覆層が、さらにゼオライト粒子(E)を含み、前記酸化物複合体混合物(C)との質量比(C):(E)を4:1〜1:1とすることが好ましい。これによってシンナーやトルエンなどの有機溶剤、ホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質臭などに対する吸着性を附帯するので、より臭気成分全般(VOC含む)に対して濃度を減少させる減臭効果、及び経時的に人間の感知限界濃度に引き下げる消臭効果を発現させることができる。
本発明の消臭性難燃シートは、前記樹脂被覆層が、気泡痕を1〜25体積%含むことが好ましい。これによって樹脂被覆層の表面積を増大させ、それにより塩基性複合体粒子群(A)と、酸性複合体粒子群(B)の減臭(消臭)効果をより迅速かつ効率的なものとする。
本発明の消臭性難燃シートは、前記樹脂被覆層が、モリブデン化合物含有軟質塩化ビニル樹脂組成物を主体とし、前記モリブデン化合物の含有率が、前記樹脂被覆層に対して0.1〜5質量%であることが好ましい。これによって塩化ビニル樹脂とモリブデン化合物粒子の作用により燃焼炭化物を強固とする残滓層(塩素−モリブデン複合酸化物)を形成することで、通気性可撓シートの空隙部からの火炎の突き抜けや有毒ガスの漏出などの遮断効果を長時間持続させることで建築基準法の適用材料(国土交通大臣認定)に適合可能とする。
本発明の消臭性難燃シートは、前記織編要素の製織交点の一部または全部が熱融着していることが好ましい。これによって得られる通気性可撓シートにフレキシブル性及び形態安定性の兼備をコントロールすると同時に、ぶつかり変形や破壊(裂け、穴開き)の事故に対する抵抗力を増すことができる。
本発明の消臭性難燃シートは、前記通気性可撓シートが、JIS L1096:フラジール法の通気度5〜100cc/cm2/秒を満たすことが好ましい。通気性可撓シートの通気部はガス交換を促すことで消臭効果向上に寄与するのみならず、この通気度範囲において吸音(反響防止)効果を発現する。またこの通気度範囲の通気性可撓シートにおいて、これら通気性部位は体積膨張性物質(D)の存在によって、火災時の火炎熱(模擬的にはコーンカロリーメーター試験:ASTM-E1354)により体積膨張性物質(D)が急激に体積膨張することで、樹脂被覆層を体積膨張させて糸条径を太らせることにより通気性可撓シートの有する通気性部位を瞬時に閉塞し、通気部からの火炎の突き抜けや有毒ガスの漏出を遮断することで建築基準法の適用材料(国土交通大臣認定)に適合可能とする。
本発明の消臭性難燃シートは、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールなどの酸性悪臭に対する減臭(消臭)効果を有する塩基性複合体粒子群(A)と、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性悪臭に対する減臭(消臭)効果を有する酸性複合体粒子群(B)とを同一糸条に併用しても、粒子群(A)及び粒子群(B)が酸性悪臭と塩基性悪臭とを選択的に、互いに阻害し合うことなく不活性化する役割を担うことができ、また体積膨張性物質(D)を含むことで、本発明の消臭性難燃シートをASTM-E1354「建築材料の燃焼性試験方法」で評価した時に樹脂被覆層が体積膨張する作用により糸条を太らせて、通気性可撓シートの有する通気性部位を閉塞させることで建築基準法の適用材料(国土交通大臣認定)に適合可能とする。また特に通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒の通気部はガス交換を促すことで消臭効果向上に寄与するのみならず、この通気度範囲において吸音(反響防止)効果を発現するので、屋内競技場施設、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場、駅舎、空港、ショッピングモールなどの天井に設置される天井面積構成膜材(膜天井)、天井付帯物(空中膜)、懸垂幕、横断幕として、また食品工場、化学品工場、畜産農業施設、水産施設、ゴミ処理施設などにおける、空間仕切り、壁掛け、敷物、空中膜として、さらに住居関連では日除けテント、ブラインド、タペストリー、押入・下駄箱用、トイレマット・タペストリー、キッチンマットなどに適して用いることができる。上記用途において、本発明の消臭性難燃シートには写真や画像・イラストレーション・文字などのデザインや広告効果を附帯させることもできるので産業上の利用に極めて有用である。
本発明の消臭性難燃シートは、樹脂被覆層を有する糸条を織編要素に含む通気性可撓シートであって、樹脂被覆層が、〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体、及び〔酸化マグネシウム/アルミナ〕複合体から選ばれた1種以上の塩基性複合体粒子群(A)と、〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体、及び〔二酸化チタン/アルミナ〕複合体から選ばれた1種以上の酸性複合体粒子群(B)とを、(A):(B)質量比2:1〜1:2とする酸化物複合体混合物(C)と、無機層状化合物粒子群、及び熱分解ガス発生物質群から選ばれた1種以上の体積膨張性物質(D)を、樹脂被覆層に対して1〜20質量%含み、さらに樹脂被覆層がゼオライト粒子(E)を含み、酸化物複合体混合物(C)との質量比(C):(E)を4:1〜1:1とし、さらに樹脂被覆層が気泡痕を1〜25体積%含み、さらに織編要素の製織交点の一部または全部が熱融着して、さらにJIS L1096:フラジール法の通気度5〜100cc/cm2/秒を満たすものである。
本発明の消臭性難燃シートにおいて、樹脂被覆層を有する糸条とは、糸条の全周が樹脂で覆われた外観の態様で、糸条の全周が樹脂で覆われた外観の態様であれば、糸条内部空隙の一部または全部に樹脂が含浸固着した態様も樹脂被覆層を有する糸条として扱う。糸条を被覆する樹脂は、通気性可撓シートの製織交点における熱融着性を確保するために、熱可塑性樹脂が好ましく、これらは具体的に、軟質塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリエステル系共重合体樹脂、フッ素系共重合体樹脂、などが使用でき、これらは単独もしくは、2種以上の併用としてもよい。糸条を被覆する樹脂被覆層の厚さは0.03mm〜0.6mm、特に0.05mm〜0.3mmが好ましい。本発明において特に好ましい熱可塑性樹脂は、塩化ビニル樹脂(可塑剤、安定剤等を配合した軟質〜半硬質塩化ビニル樹脂を包含する)、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、およびフッ素系共重合体樹脂である。これらの熱可塑性樹脂を被覆した糸条は、糸条をコーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、特定配合の熱可塑性樹脂をホットメルト状態(150〜300℃)でコーティングダイスノズル孔から押出すと同時に、樹脂被覆糸条を引き取り冷却することで得られる。また樹脂被覆層を有する糸条は、塩化ビニル樹脂ペーストゾルのような粘重液状組成物、有機溶剤に可溶化した熱可塑性樹脂溶液組成物、エマルジョンやラテックスのような水性熱可塑性樹脂組成物に糸条をディッピングし、糸条全体に含浸、もしくは部分的に含浸させ、これを熱処理乾燥して得た含浸被覆糸条を用いてもよい。樹脂被覆層には必要に応じて顔料、可塑剤、安定剤、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化劣化防止剤、接着剤、防炎剤、防黴剤、抗菌剤、帯電防止剤など公知の添加剤を含むことができる。着色剤はアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、染付けレーキ顔料、アントラキノン系顔料類、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料などの有機顔料、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、三酸化アンチモン、酸化鉄、酸化鉛、酸化クロム、酸化ジルコニウム、スピネル構造酸化物、ルチル型酸化物などの無機顔料の他、パール顔料、アルミ粉顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、染料などを自由に使用でき、その組み合わせに制限は無い。
樹脂被覆層には、塩基性複合体粒子群(A)と、酸性複合体粒子群(B)とを、(A):(B)質量比2:1〜1:2で含み(A+B=C)、樹脂被覆層の質量に対する酸化物複合体混合物(C)の含有率は3〜30質量%、特に5〜20質量%、好ましくは10〜20質量%である。3質量%未満だと消臭効果が不十分となることがあり、また30質量%を超えると樹脂被覆層の形成加工に支障をもたらすと同時に、樹脂被覆層の強度を脆くするなどのデメリットを生じることがある。塩基性複合体粒子群(A)は具体的に〔酸化亜鉛/アルミナ(Al2O3)〕複合体、及び/又は〔酸化マグネシウム/アルミナ(Al2O3)〕複合体で、硫化水素(卵の腐敗臭)、メチルメルカプタン(玉葱の腐敗臭)、酢酸、イソ吉草酸(足の裏臭)、ノネナール(加齢臭)などの酸性臭の無(減)臭化に作用する平均粒子径0.01μm〜5μm程度の粒子群である。〔酸化亜鉛/アルミナ(Al2O3)〕複合体は、水溶性亜鉛塩と、水溶性アルミニウム塩、または水溶性アルミン酸塩とを水媒体中で(加熱)複分解・熟成させることで得られ具体的に、塩化亜鉛と塩化アルミニウムとの複分解・熟成によって得ることができる。同様に〔酸化マグネシウム/アルミナ(Al2O3)〕複合体は、水溶性マグネシウム塩として、塩化マグネシウムを用いることで得られる。また酸性複合体粒子群(B)は具体的に〔二酸化珪素/アルミナ(Al2O3)〕複合体、及び/又は〔二酸化チタン/アルミナ(Al2O3)〕複合体で、アンモニア(尿臭)、トリメチルアミン(魚の腐った臭)など塩基性臭の無(減)臭化に作用する平均粒子径0.01μm〜5μm程度の粒子群である。〔二酸化珪素/アルミナ(Al2O3)〕複合体は、ケイ酸ナトリウム(水酸化ナトリウム存在下)と、水溶性アルミニウム塩、または水溶性アルミン酸塩とを水媒体中で(加熱)複分解・熟成することで得られ具体的に、ケイ酸ナトリウムと塩化アルミニウムとの反応・熟成によって得ることができる。同様に〔二酸化チタン/アルミナ(Al2O3)〕複合体は、具体的に、塩化チタンと塩化アルミニウムとの複分解・熟成によって得ることができる。
酸化物複合体混合物(C)を含む樹脂被覆層には、さらにゼオライト粒子(E)を含み、酸化物複合体混合物(C)との質量比(C):(E)を4:1〜1:1、好ましくは2:1〜1:1とすることで、シンナーやトルエンなどの有機溶剤、ホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質臭などに対する吸着性を附帯するので、より臭気成分全般(VOC含む)に対して濃度を減少させる減臭効果、及び経時的に人間の感知限界濃度に引き下げる消臭効果を発現する。ゼオライトはA型、X型、LSX型、L型、Y型、ベータ型、フェリライト型、モルデナイト型など、三次元骨格構造を有し、一般式M2/nO・Na2O・Al2O3・2.5SiO2・xH2Oで表される(一般式中のxは結晶水の数を表す整数で、Mは陽イオン、nは陽イオンの原子価を示す)平均粒子径0.1μm〜5μmのものが使用できる。陽イオンは、アルカリ金属(Naイオン、Kイオン、Liイオン)、アルカリ土類金属(Caイオン、Mgイオン)、NH4イオンなどである。
また樹脂被覆層には必要に応じて、活性炭、添着活性炭、白竹炭、活性白土、ベントナイト、セピオライト、アルミノ珪酸金属塩、珪酸銅、シラス、シリカ−マグネシア、モレキュラーシーブ、電気石(トルマリン鉱石)、金属フタロシアニン錯体、金属フタロシアニン錯体テトラカルボン酸、(これらの錯体形成金属として、銅、鉄、コバルト、マンガンなど)などを樹脂被覆層の質量に対して0.1〜5質量%程度併用していてもよく、さらにヒドラジン化合物、スチレン−マレイン酸加水分解物、シクロデキストリン、ポリフェノール類、テルペノイド類、フラボノイド類などを補助的に0.1〜3質量%程度併用してもよい。
また樹脂被覆層には、体積膨張性物質(D)として、無機層状化合物粒子群、及び/又は熱分解ガス発生物質群を樹脂被覆層の質量に対して1〜20質量%含む。無機層状化合物粒子群は具体的に、スメクタイト系粘土鉱物、合成スメクタイト、セリサイト、フッ素雲母、及び膨張黒鉛から選ばれた1種以上である。また熱分解ガス発生物質は具体的に、アゾジカルボアミド、オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、p−トルエンスルフォニルヒドラジド、ジアゾアミノベンゼン、アゾビスイソブチロニトリルから選ばれた1種以上である。樹脂被覆層にこれらの体積膨張性物質(D)を含有することによって、火災時の火炎熱(模擬的にはコーンカロリーメーター試験:ASTM-E1354)により層状無機化合物粒子、及び/又は熱分解ガス発生物質群が急激に体積膨張することで、樹脂被覆層を体積膨張させて糸条径を太らせることにより通気性可撓シートの有する通気性部位を瞬時に閉塞し、通気部からの火炎の突き抜けや有毒ガスの漏出を遮断することで建築基準法の適用材料(国土交通大臣認定)に適合可能とする。特に熱分解ガス発生物質群では、本発明の消臭性難燃シートの製造工程において、180〜220℃程度の熱処理を施すことによって、熱分解ガス発生物質を熱分解させ、樹脂被覆層に1〜25体積%の気泡痕を含ませることで、樹脂被覆層の表面積を増大させ、それにより塩基性複合体粒子群(A)と、酸性複合体粒子群(B)の減臭(消臭)効果をより迅速かつ効率的なものとする。また熱分解ガス発生物質を熱分解させずに樹脂被覆層に温存する場合には、火災時の火炎熱(模擬的にはコーンカロリーメーター試験:ASTM-E1354)により熱分解ガス発生物質が発泡膨張し、糸条径を太らせる作用により通気性可撓シートの有する通気性部位を瞬時に閉塞する作用をもたらす。
スメクタイト系粘土鉱物は、2:1型スメクタイトで、ケイ素と酸素からなる層(シリカ四面体層)が、アルミニウムと酸素からなる層(アルミニウム八面体層)を挟んだ、「シリカ四面体層/アルミニウム八面体層/シリカ四面体層」構造層を一単位とし、この構造層が積重したものである。2八面体型スメクタイトの具体例として、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイトなど、3八面体型スメクタイトの具体例として、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイトなどが挙げられる。合成スメクタイトは、シリカ四面体(四配位)層とアルミニウム八面体(六配位)層が交互に積重した構造で、シリカ/アルミが2:1の質量比率が好ましい。セリサイト(絹雲母)は白雲母の微細なもので平均粒子径1〜20μmのものである。またフッ素雲母はNa四珪素雲母を有機交換処理した平均粒子径1〜20μmのフッ素四珪素雲母が使用できる。また、スメクタイト系粘土鉱物(モンモリロナイトなど)の層間に四級アンモニウム化合物を置換変性したインターカレーション型の層状化合物なども使用できる。膨張黒鉛は、天然黒鉛を濃硫酸、硝酸、セレン酸などと、濃硝酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩などによる処理品が使用でき、これらはグラファイト状層構造を有する結晶質化合物のため、熱による発生ガスで膨張することで不燃性の炭化層を形成する。
特に本発明の消臭性難燃シートにおける樹脂被覆層は、モリブデン化合物含有軟質塩化ビニル樹脂組成物を主体とし、樹脂被覆層に対するモリブデン化合物の含有率を、0.1〜5質量%とする態様が好ましい。これによって塩化ビニル樹脂とモリブデン化合物の作用により燃焼炭化物を強固とする残滓層(塩素−モリブデン複合酸化物)を形成することで、通気性可撓シートの空隙部からの火炎の突き抜けや有毒ガスの漏出などの遮断効果を長時間持続させることで建築基準法の適用材料(国土交通大臣認定)に適合可能とする。モリブデン化合物は、三酸化モリブデン、モリブデン酸、リンモリブデン酸、二硫化モリブデン、モリブデン酸ナトリウム、七モリブデン酸六アンモニウム、モリブデン酸二アンモニウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸カルシウム亜鉛、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸炭酸カルシウムなどが挙げられ、特に塩素含有樹脂(塩化ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩素化ポリエチレン)などとの併用により、これら塩素含有樹脂の燃焼炭化物を強固とする残滓層(塩素−モリブデン複合酸化物)を形成する。
また樹脂被覆層には難燃剤粒子を併用することができ、難燃剤粒子は、a).金属リン酸塩、金属有機リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム、及びポリリン酸アンモニウム誘導体(メラミン変性体など)などのリン原子含有化合物、b).(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物(ジシアンジアミドなど)、尿素系化合物(ジメチロール尿素など)、及び、これらの誘導体化合物(例えばメラミンシアヌレート)などの窒素原子含有化合物、c).金属水酸化物(水酸化アルムニウムなど)、金属酸化物(酸化アンチモンなど)、金属炭酸塩化合物(塩基性炭酸マグネシウムなど)、金属硫酸塩化合物(硫酸バリウムなど)、ホウ酸化合物(ホウ酸亜鉛など)、及び無機系化合物複合体(ハイドロタルサイトなど)などの無機系化合物、d).臭素置換有機化合物、塩素置換有機化合物から選ばれた1種以上である。
また樹脂被覆層には、粒径0.03mm〜0.3mm程度の気泡痕を1〜25体積%、特に5〜15体積%程度含むことで実質的に有効な表面積を増大させることで臭気分子との接触面積を増し、ガス交換性を促す効果によって迅速かつ効果的な減臭(消臭)効果を得る同時に、吸音効果を向上させることができる。これらの気泡痕は連続気泡化することでガス交換性及び通気性に優れた構造、または部分的に連続気泡化したガス交換通気性の構成とするものである。これらの気泡痕は液状粘性体の熱可塑性樹脂組成物の機械攪拌による強制的な気泡巻込ムースの塗工と熱処理による気泡痕形成、液状粘性体の熱可塑性樹脂組成物(アルコール、トルエン、メチルエチルケトンなどの有機溶剤含有、または水分)の塗工と熱処理蒸散による揮発痕形成、熱分解ガス発生物質群(アゾジカルボアミド、オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、p−トルエンスルフォニルヒドラジド、ジアゾアミノベンゼン、アゾビスイソブチロニトリルなど熱分解温度が180〜250℃のもの)を含有する熱可塑性樹脂組成物層を熱処理して熱分解ガス発生物質群を強制的に熱分解させての揮発性ガス生成による気泡痕形成、砂糖粒や塩粒などの水溶性粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物層の水洗処理による砂糖粒や塩粒の溶出による空洞痕形成など、何れの方法によって形成された気泡痕であってもよい。
樹脂被覆層を有する糸条における糸条材質は、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、バサルト繊維、炭素繊維などの無機マルチフィラメント、及びステンレス繊維などの金属マルチフィラメント、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリパラベンズアミド繊維、パラフェニレン3,4オキシジフェニレンテレフタルアミド共重合繊維などのアラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾイミダゾール繊維、ポリパラフェニレンベンゾオキサゾール繊維、ポリパラフェニレンベンズチアゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリスルホン繊維などの耐熱マルチフィラメントまたは短繊維紡績糸、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維などの合成マルチフィラメントまたは短繊維紡績糸、セルロースの水酸基を、ホウ酸エステル化、またはリン酸エステル化、またはケイ酸エステル化した不燃化綿、不燃化ケナフなどの短繊維紡績糸などが使用できる。これらの繊維は、撥水処理、吸水防止処理、接着処理、難燃処理などの薬剤処理を施した形態で用いてもよい。
糸条はマルチフィラメント糸条、または短繊維紡績糸条が好ましく、フィラメント直径3〜10μm、繊度69〜2223dtex、特に138〜1112dtexのマルチフィラメント糸条で、フィラメント数50〜500本、特に100〜300本を集束して無撚糸、または撚糸に束ね、その断面形状を円形、楕円形、及び扁平(横長に潰れた楕円形)とする糸条であり、本発明においては特に扁平楕円断面のマルチフィラメント糸条が好ましく、樹脂被覆糸条も同様に扁平楕円断面を有することが好ましい。この樹脂被覆糸条の扁平楕円断面における高さ:幅の比が3:4〜1:4、特に2:3〜2:5の扁平楕円であることが、得られる織物の表面積を大きくする効果により、臭気分子の吸着及び捕集効率を向上させると同時にシートの引裂強度を向上させる。またマルチフィラメント糸条はフィラメント間にルーズ隙間を含む嵩高糸であってもよく、これらはフィラメント同士が隙間を持って絡み合ったタスラン加工糸、インターレース加工糸、ウーリー加工糸などである。これら嵩高糸のように、繊維質で連続空間をもつ材料(表面積が大きい材料)に音が入射すると、音はその小さな空間内で乱反射を起し、フィラメントとの摩擦や抵抗、フィラメントの振動などによって、音エネルギーの一部が熱エネルギーとして消費され易くなるので効果的である。短繊維紡績糸条は、10番手(591dtex)、20番手(295dtex)、30番手(197dtex)、40番手(148dtex)、60番手(97dtex)の範囲のもの、特に10番手(591dtex)、14番手(422dtex)、16番手(370dtex)、20番手(295dtex)、24番手(246dtex)、30番手(197dtex)の範囲が好ましく使用できる。(番手数は10の倍数に限定されるものではない。)これらの短繊維紡績糸条は単糸及び、双糸、さらには単糸3本以上の撚糸、またはこれらの2本合糸、あるいは2本合撚糸などの糸条態様、さらにマルチフィラメント糸条を内層(芯)として外層(鞘)に短繊維糸条を巻き付けて紡績したコアスパン糸条態様で使用されることで、得られる織物の表面積(毛羽による表面積増大効果)を大きくする効果により、臭気分子の吸着及び捕集効率を向上させる。
本発明の消臭性難燃シートは、樹脂被覆された糸条を織編要素に含むシート状織物で、その織編要素の例として、1)経糸条群及び緯糸条群(二軸織物)、または2)経糸条群及び左斜上・右斜上バイアス糸条群(三軸織物)、または3)経糸条群、緯糸条群、及び左斜上・右斜上バイアス糸条群(四軸織物)で、かつ前記織物が単層織物、二重織物、及び三重織物、から選ばれた何れか1種の態様である。織編要素1)及び2)の織編交点の孔状隙間(通気部)の総和を空隙率と定義した時の値は5%以下が好ましい。孔状隙間に音が入射すると、特定の周波数において共鳴振動が生じ、孔状隙間で空気が振動し、音エネルギーを減衰させるので、孔状隙間の孔径は直径0.05〜1.0mmの範囲で、好ましくは0.05〜0.5mmと特に小さく、孔状隙間数が(タテ8個×ヨコ8個)〜(タテ60個×ヨコ60個)/25.4mm2の範囲で、特に(タテ12個×ヨコ12個)〜(タテ33個×ヨコ33個)/25.4mm2をピークに吸音効果を高いものとする。この孔状隙間(通気部)を抜ける空気量は、(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒、特に10〜50cc/cm2/秒が吸音性の効果的発現、及び消臭性のための効果的通気性に優れ好ましい。
単層織物は、平織物、2/2ななこ(バスケット)織物、2/2畝織物、綾織物:2/1綾織物、2/2綾織物、3/1斜文(四枚綾)、3/1破れ斜文(四枚綾)、3/2斜文(五枚綾)、4/1斜文(五枚綾)、5/1斜文(六枚綾)、4/2斜文(六枚綾)、1・3/1・1斜文(六枚綾)など、朱子織物:2飛び4/1朱子(五枚朱子)、3飛び4/1朱子(五枚朱子)、2飛び3/2朱子(五枚朱子)、3飛び3/2朱子(五枚朱子)など、及びこれらの変化平織物、変化綾織物、変化朱子織物など、さらに蜂巣織物、梨子地織物、破れ斜文織物、昼夜朱子織物、もじり織物(紗織物、絽織物)、縫取織物、ラッセル編物などが使用でき、これらは質量0.2〜1.2kg/m2、空隙率5%以下(織編交点に生じる孔状隙間の総和の占有率)、かつ通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たすものが例示され、この通気度により吸音効果の発現及び消臭効果発現のための通気性に優れる。
二重織物は、表経・裏経の経糸条及び表緯・裏緯の緯糸条を用いて上下2枚に重なり合った織物で、上部の織物が表経糸条と表緯糸条とで空隙率10%以下(織編交点に生じる孔状隙間の総和の占有率)を成し、下部の織物が裏経糸条と裏緯糸条とで空隙率10%以下(織編交点に生じる孔状隙間の総和の占有率)を成し、質量0.4〜2.4kg/m2、共有空隙率5%以下(積重した織物に生じる孔状隙間の重なり部分の総和の占有率)、かつ通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たすものが例示される。このうち経二重織物は1組の緯糸条に表経と裏経が組織して一重の織物の裏にも1つ余分の経糸条が織付いたもので表経と裏経の配列は1:1、2:1、3:1などである。緯二重織物は1組の経糸条に表緯と裏緯が組織して一重の織物に別の緯糸条が織付いたもので表緯と裏緯の配列は1:1、2:1、3:1などで、また経緯二重織物は2枚の織物を同一織機で織り、その織糸条で上下2枚の織物(各々質量0.4〜1.2kg/m2)を接結したものである。同様に三重織物は、表経・中経・裏経の経糸条及び表緯・中緯・裏緯の緯糸条を用いて上中下の織物3枚が積重した織物で、上部織物、中部織物、下部織物、各々が、空隙10%以下(織編交点に生じる孔状隙間の総和の占有率)、かつ質量0.2〜1.0kg/m2で成り、質量0.6〜3.0kg/m2共有空隙率5%以下(積重した織物に生じる孔状隙間の重なり部分の総和の占有率)、かつ通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒を満たす、経三重織物、緯三重織物、経緯三重織物などである。
上述した織物個々において糸条同士の織交点は熱融着により互いに固定されたものはシート状織物の形態安定性に優れ、織り交点に熱溶融固定が一切なされないものや熱癒着が軽微なものは消臭性難燃シートのフレキシブル性をより柔軟とする。織交点の熱融着による固定は、織物全体に及んでいてもよく、また上下左右に等間隔、もしくはランダムな部分的な織り交点の熱融着であってもよい。熱融着は、樹脂被覆層の軟化温度以上の加熱を施し、製織交点を溶融癒着させる手段、例えば150〜300℃の熱風セット、150〜230℃の熱ロールによる織物全面ニップ、または部分的ニップ、熱板による織物全面プレス、または部分的プレスなどが例示できる。
本発明の消臭性難燃シートの施工は、屋内競技場、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場、駅舎、空港、ショッピングモールなどの天井に設置される天井面積構成膜材(膜天井)、天井付帯物(空中膜)、懸垂幕、横断幕として、さらに、食品工場、化学品工場、畜産施設、水産施設、ゴミ処理施設などにおける、空間仕切り、壁掛け、敷物、空中膜の施工として、幅1m〜3mの任意、長さ1m〜50mの任意の規格シートを自在に組み合わせ、織物面側を音響の入射面として装着する。特に1).1枚が幅1m〜3m程度、長さ1m〜5m程度の織物は、四角形、長方形、三角形、菱形、などの形態でアルミフレーム(押材)により織物全周を固定したパネル同士の組み合わせで、天井梁システムに固定することや、吊り下げることでフラット天井や幾何学立体天井に使用でき、2).また1枚が幅1m〜3m程度、長さ1m〜10m程度の長尺織物は、幅方向の2辺を天井梁やアルミ押材に固定し、張力を掛けずに織物を自重で弛んだ半円弧状態に懸垂し、多数の織物で半円弧の並びを表現したデザインアート天井に使用でき、3).また1枚が幅1m〜3m程度、長さ1m〜5m程度の織物は、四角形、長方形、三角形、菱形、などの形態で織物の外周のポイント毎にハトメ、ターンバックル、取付金具、ジョイントナットなどを設け、ロープやバネを用いて天井梁システムにサスペンジョン固定することで張力をコントロールして得たドレープを利用するデザインアート天井に使用することができる。4). また、家屋、店舗、オフィスビル、商業施設、各種公共施設などの居住空間においては、間仕切として目隠し効果を目的とする衝立使用ができる。また、本発明の消臭性難燃シートは幅(緯糸方向)が100cm以下、長さ方向(経糸方向)100cm以下のサイズで用いることもでき、例えば、トイレ壁掛けタペストリー、トイレ・浴室の敷物、下駄箱や押入れの敷物、ペット用ケージ内敷物、介護ベッド用敷物などの形態で使用でき、A4サイズ以下での使用例としては靴の中敷(下駄箱収納時)も可能である。本発明の消臭性難燃シートは任意の着色が可能であり、公知の印刷技術の応用により、メッシュシート片面または両面に写真画像・イラストレーション・文字などをプリントして、装飾効果や広告効果を附帯させることもできる。
本発明の消臭性難燃シートは使用環境による程度差はあるが、1ヶ月程度経過したら下記処理のメンテナンスの何れか、または複数の処理を施すことで、本発明の消臭性難燃シートの臭気吸着性能を、初期の50%以上に回復させることができ、定期的なメンテナンスを行うことで、消臭性難燃シートとして繰り返しの使用が可能である。1)消臭性難燃シート全体に対して、水道水、工業用水、降雨、などによる水洗い・浸漬を10〜25℃で10〜60分間、または40〜80℃の温水による洗い・浸漬を5〜30分間行い、吸着した水溶性の臭気成分を溶出除去する。2)消臭性難燃シート全体に対して、電気ヒーターによる直接加熱または熱風加熱を50℃以上100℃以内で10〜60分間行い、吸着した臭気成分を放出除去する。3)晴天時に屋外で、吊るし、2つ折り鞍掛け、地面置き、の何れかの状態で天日干しを1〜6時間行い、太陽光熱と紫外線による作用で吸着した臭気成分を放出除去する。特に、1)処理後に2)の処理を連続するメンテナンス、または1)処理後に3)の処理を連続するメンテナンスが回復効率的に優れ好ましい。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記実施例及び比較例において、試験シートの減臭性・消臭性、及び臭気吸着性能の回復効果は下記の試験方法により測定し、評価した。
〈減臭性・消臭性〉
容積5LのTedlar(登録商標)バッグを4個用意し、各々のバッグに濃度10ppm
に調整した個々の化学物質ガス、アンモニア(塩基性)、イソ吉草酸(酸性)、硫
化水素(酸性)、トルエン(VOC)を各々3L封入し、10cm×10cmサイ
ズの試験シートを、試験シートの表裏面ともバッグ内壁に触れないようにアンモニ
アバッグ内に固定し、30分後のアンモニアガス濃度を測定し、この試験シートを
次にイソ吉草酸バッグ内に固定し30分後のイソ吉草酸ガス濃度を測定し、この
試験シートを次に硫化水素バッグ内に固定し、30分後の硫化水素ガス濃度を測定
し、この試験シートを次にトルエンバッグ内に固定し、30分後のトルエンガス濃
度を測定した。
〈臭気吸着性能の回復〉
2−1)10cm×10cmサイズの試験シートを容積5LのTedlar(登録商標)
バッグに入れ、試験シートの表裏面ともバッグ内壁に触れないようバッグ内に固定
し、濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境に60分
間晒し、10分毎にアンモニアガス濃度を検知管で測定し1回目の減臭曲線を描い
た。取出した試験シートを新たなTedlar (登録商標)バッグに入れ、1回目の試験
同様濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境に120
分間晒し、10分、30分、60分、120分毎にアンモニアガス濃度を検知管で
測定し2回目の減臭曲線を描いた。同様に3回目の試験を繰り返し3回目の減臭曲
線を描いた。
2−2)3回目の試験を終えた試験シートを5Lの水道水を入れたバット内に浸漬
した状態で20℃×60分間静置し水洗処理した。次に取出した試験シートを80
℃設定のギアーオーブン(電気ヒーター)内に吊るして30分間の熱風加熱処理を
行った。この水洗〜加熱処理を行った試験シートを、再度容積5LのTedlar(登録
商標)バッグに入れ、試験シートの表裏面ともバッグ内壁に触れないようバッグ内
に固定し、濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境に
120分間晒し、10分、30分、60分、120分毎にアンモニアガス濃度を検
知管で測定し4回目(再生処理後)の減臭曲線を描き、1〜3回目の減臭曲線と比
較した。
2−3)上記1)試験と同じ要領で、連続で4種のガスに対しての減臭試験を行い
、回復の処理を施した後(2−2処理後)の減臭曲線と、初回の減臭曲線との比較
を行った。
〈吸音率〉
織物面側を音響の入射面として、JIS A1405(垂直入射法)によるNoise Reduction Coefficient(NRC値)を250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hzの各吸音率の算術平均値を求めた。
〈通気度〉
JIS L1096 8.27.1 A法に定めるフラジール形法により求めた。
〈不燃試験〉(ASTM-E1354:コーンカロリーメーター試験法)
輻射電気ヒーターによる50kW/m2の輻射熱を膜材面に20分間照射し、この発熱性試験において、20分間の総発熱量と発熱速度を測定し、試験後の膜材外観を観察し、下記(a)〜(c)を満たすものを建築基準法に適合する不燃材料と判断した。
(a)総発熱量:8MJ/m2以下
(b)発熱速度:10秒以上継続して200kW/m2を超えない
(c)外観観察:直径0.5mmを超えるピンホール陥没痕の発生がない
〈防炎性〉
JIS A1322に従って測定し、防炎1級〜3級を判定した。
防炎1級:炭化長 5cm以下:残炎なし :1分後残塵なし
防炎2級:炭化長10cm以下:残炎5秒以下:1分後残塵なし
防炎3級:炭化長15cm以下:残炎5秒以下:1分後残塵なし
〈減臭性・消臭性〉
容積5LのTedlar(登録商標)バッグを4個用意し、各々のバッグに濃度10ppm
に調整した個々の化学物質ガス、アンモニア(塩基性)、イソ吉草酸(酸性)、硫
化水素(酸性)、トルエン(VOC)を各々3L封入し、10cm×10cmサイ
ズの試験シートを、試験シートの表裏面ともバッグ内壁に触れないようにアンモニ
アバッグ内に固定し、30分後のアンモニアガス濃度を測定し、この試験シートを
次にイソ吉草酸バッグ内に固定し30分後のイソ吉草酸ガス濃度を測定し、この
試験シートを次に硫化水素バッグ内に固定し、30分後の硫化水素ガス濃度を測定
し、この試験シートを次にトルエンバッグ内に固定し、30分後のトルエンガス濃
度を測定した。
〈臭気吸着性能の回復〉
2−1)10cm×10cmサイズの試験シートを容積5LのTedlar(登録商標)
バッグに入れ、試験シートの表裏面ともバッグ内壁に触れないようバッグ内に固定
し、濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境に60分
間晒し、10分毎にアンモニアガス濃度を検知管で測定し1回目の減臭曲線を描い
た。取出した試験シートを新たなTedlar (登録商標)バッグに入れ、1回目の試験
同様濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境に120
分間晒し、10分、30分、60分、120分毎にアンモニアガス濃度を検知管で
測定し2回目の減臭曲線を描いた。同様に3回目の試験を繰り返し3回目の減臭曲
線を描いた。
2−2)3回目の試験を終えた試験シートを5Lの水道水を入れたバット内に浸漬
した状態で20℃×60分間静置し水洗処理した。次に取出した試験シートを80
℃設定のギアーオーブン(電気ヒーター)内に吊るして30分間の熱風加熱処理を
行った。この水洗〜加熱処理を行った試験シートを、再度容積5LのTedlar(登録
商標)バッグに入れ、試験シートの表裏面ともバッグ内壁に触れないようバッグ内
に固定し、濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境に
120分間晒し、10分、30分、60分、120分毎にアンモニアガス濃度を検
知管で測定し4回目(再生処理後)の減臭曲線を描き、1〜3回目の減臭曲線と比
較した。
2−3)上記1)試験と同じ要領で、連続で4種のガスに対しての減臭試験を行い
、回復の処理を施した後(2−2処理後)の減臭曲線と、初回の減臭曲線との比較
を行った。
〈吸音率〉
織物面側を音響の入射面として、JIS A1405(垂直入射法)によるNoise Reduction Coefficient(NRC値)を250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hzの各吸音率の算術平均値を求めた。
〈通気度〉
JIS L1096 8.27.1 A法に定めるフラジール形法により求めた。
〈不燃試験〉(ASTM-E1354:コーンカロリーメーター試験法)
輻射電気ヒーターによる50kW/m2の輻射熱を膜材面に20分間照射し、この発熱性試験において、20分間の総発熱量と発熱速度を測定し、試験後の膜材外観を観察し、下記(a)〜(c)を満たすものを建築基準法に適合する不燃材料と判断した。
(a)総発熱量:8MJ/m2以下
(b)発熱速度:10秒以上継続して200kW/m2を超えない
(c)外観観察:直径0.5mmを超えるピンホール陥没痕の発生がない
〈防炎性〉
JIS A1322に従って測定し、防炎1級〜3級を判定した。
防炎1級:炭化長 5cm以下:残炎なし :1分後残塵なし
防炎2級:炭化長10cm以下:残炎5秒以下:1分後残塵なし
防炎3級:炭化長15cm以下:残炎5秒以下:1分後残塵なし
[実施例1]
1).樹脂被覆層を有する糸条(1)
(無アルカリ)ガラス繊維糸条(フィラメント径9μm、400本フィラメント:75番手:687dtex)のマルチフィラメント扁平糸を芯糸とし、コーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、下記配合1の軟質塩化ビニル系樹脂ペースト状組成物をコートダイスノズル孔から押出すことで芯糸の全周に樹脂被覆を行い、180℃の熱処理ゲル化工程を経て、これを冷却して引き取ることで樹脂被覆糸条(1)を得た。
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
ペースト塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(可塑剤) 60質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
エポキシ化大豆油(可塑剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
※塩基性複合体粒子(A)
〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体(平均粒子径1μm) 15質量部
※酸性複合体粒子(B)
〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体(平均粒子径1μm) 15質量部
※ゼオライト粒子(E)
合成ゼオライト(平均粒子径2μm) 15質量部
※体積膨張性物質(D)
アゾジカルボアミド(熱分解ガス発生物質) 4質量部
※体積膨張性物質(D)
無機層状化合物(モンモリロナイト:平均粒子径8μm) 10質量部
ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 0.3質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
モリブデン酸カルシウム亜鉛(モリブデン化合物粒子) 5質量部
酸化チタン(白顔料) 2質量部
2)〈通気性可撓シート(1)〉
樹脂被覆糸条(1)を経糸条群及び緯糸条群として、各々2本揃とする2/2ななこ(バスケット)織物による単層織物で、経糸条群は1インチ間28本の織密度、また緯糸条群は1インチ間30本の織密度とする織物を得た。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、熱分解ガス発生物質の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、2/2ななこ織物の織り交点を熱融着により織り組織が固定された、空隙率2%(0.1mm2以下の空隙部の総和)は、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(1)を得た。糸条2本揃とする2/2ななこ(バスケット)織物、経糸条群は1インチ間28本の織密度、緯糸条群は1インチ間30本の織密度とする空隙率2%の織物の織交点に生じる空隙部の数は、(28/2)−1本×(30/2)−1本=182個/インチ2、またインチ2に対する2%は12.9mm2であるから1個の空隙部の面積は約0.07mm2となる。
1).樹脂被覆層を有する糸条(1)
(無アルカリ)ガラス繊維糸条(フィラメント径9μm、400本フィラメント:75番手:687dtex)のマルチフィラメント扁平糸を芯糸とし、コーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、下記配合1の軟質塩化ビニル系樹脂ペースト状組成物をコートダイスノズル孔から押出すことで芯糸の全周に樹脂被覆を行い、180℃の熱処理ゲル化工程を経て、これを冷却して引き取ることで樹脂被覆糸条(1)を得た。
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
ペースト塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(可塑剤) 60質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
エポキシ化大豆油(可塑剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
※塩基性複合体粒子(A)
〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体(平均粒子径1μm) 15質量部
※酸性複合体粒子(B)
〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体(平均粒子径1μm) 15質量部
※ゼオライト粒子(E)
合成ゼオライト(平均粒子径2μm) 15質量部
※体積膨張性物質(D)
アゾジカルボアミド(熱分解ガス発生物質) 4質量部
※体積膨張性物質(D)
無機層状化合物(モンモリロナイト:平均粒子径8μm) 10質量部
ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 0.3質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
モリブデン酸カルシウム亜鉛(モリブデン化合物粒子) 5質量部
酸化チタン(白顔料) 2質量部
2)〈通気性可撓シート(1)〉
樹脂被覆糸条(1)を経糸条群及び緯糸条群として、各々2本揃とする2/2ななこ(バスケット)織物による単層織物で、経糸条群は1インチ間28本の織密度、また緯糸条群は1インチ間30本の織密度とする織物を得た。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、熱分解ガス発生物質の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、2/2ななこ織物の織り交点を熱融着により織り組織が固定された、空隙率2%(0.1mm2以下の空隙部の総和)は、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(1)を得た。糸条2本揃とする2/2ななこ(バスケット)織物、経糸条群は1インチ間28本の織密度、緯糸条群は1インチ間30本の織密度とする空隙率2%の織物の織交点に生じる空隙部の数は、(28/2)−1本×(30/2)−1本=182個/インチ2、またインチ2に対する2%は12.9mm2であるから1個の空隙部の面積は約0.07mm2となる。
[実施例2]
〈通気性可撓シート(2)〉
実施例1の配合1に用いた塩基性複合体粒子(A)としての〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を、〔酸化マグネシウム/アルミナ〕複合体15質量部に置換え、同様に配合1に用いた酸性複合体粒子(B)としての〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を〔酸化チタン/アルミナ〕複合体15質量部に置換えた(配合2)による樹脂被覆糸条(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例1と同規格の2/2ななこ(バスケット)織物:空隙率2%(1個の空隙部の面積は約0.07mm2)、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2を得た。
〈通気性可撓シート(2)〉
実施例1の配合1に用いた塩基性複合体粒子(A)としての〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を、〔酸化マグネシウム/アルミナ〕複合体15質量部に置換え、同様に配合1に用いた酸性複合体粒子(B)としての〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を〔酸化チタン/アルミナ〕複合体15質量部に置換えた(配合2)による樹脂被覆糸条(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例1と同規格の2/2ななこ(バスケット)織物:空隙率2%(1個の空隙部の面積は約0.07mm2)、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2を得た。
[実施例3]
〈通気性可撓シート(3)〉
実施例1の配合1に用いた塩基性複合体粒子(A)としての〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を、〔酸化マグネシウム/アルミナ〕複合体15質量部に置換えた(配合3)による樹脂被覆糸条(3)を用い、経糸群の打ち込み密度42本/インチ、緯糸群の打ち込み密度36本/インチである二重織物を、上層織物組織を右上がりの2/1の斜文織、下層織物組織を左上がりの2/1の斜文織、上層織物と下層織物とを5本跨ぎの結線で結接して製織し、次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、熱分解ガス発生物質の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、二重織物の織り交点を熱融着して接着して織り組織が固定された、空隙率1.2%(1個の空隙部の面積は約0.02mm2)、通気度18cc/cm2/秒、質量1160g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(3)を得た。
〈通気性可撓シート(3)〉
実施例1の配合1に用いた塩基性複合体粒子(A)としての〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を、〔酸化マグネシウム/アルミナ〕複合体15質量部に置換えた(配合3)による樹脂被覆糸条(3)を用い、経糸群の打ち込み密度42本/インチ、緯糸群の打ち込み密度36本/インチである二重織物を、上層織物組織を右上がりの2/1の斜文織、下層織物組織を左上がりの2/1の斜文織、上層織物と下層織物とを5本跨ぎの結線で結接して製織し、次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、熱分解ガス発生物質の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、二重織物の織り交点を熱融着して接着して織り組織が固定された、空隙率1.2%(1個の空隙部の面積は約0.02mm2)、通気度18cc/cm2/秒、質量1160g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(3)を得た。
[実施例4]
〈通気性可撓シート(4)〉
実施例1の配合1に用いた酸性複合体粒子(B)としての〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を〔酸化チタン/アルミナ〕複合体15質量部に置換えた(配合4)による樹脂被覆糸条(4)を用いた以外は実施例3と同様の二重織物として、空隙率1.2%(1個の空隙部の面積は約0.02mm2)、通気度18cc/cm2/秒、質量1160g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(4)を得た。
〈通気性可撓シート(4)〉
実施例1の配合1に用いた酸性複合体粒子(B)としての〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を〔酸化チタン/アルミナ〕複合体15質量部に置換えた(配合4)による樹脂被覆糸条(4)を用いた以外は実施例3と同様の二重織物として、空隙率1.2%(1個の空隙部の面積は約0.02mm2)、通気度18cc/cm2/秒、質量1160g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(4)を得た。
[実施例5]
〈通気性可撓シート(5)〉
ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(アラミド繊維:フィラメント径12μm、843dtex)のマルチフィラメント扁平糸を芯糸とし、コーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、下記配合5の軟質塩化ビニル系樹脂ペースト状組成物をコートダイスノズル孔から押出すことで芯糸の全周に樹脂被覆を行い、180℃の熱処理ゲル化工程を経て、これを冷却して引き取ることで得られた樹脂被覆糸条(5)に変更した以外は実施例1と同様として、2/2ななこ織物:空隙率3%(1個の空隙部の面積は約0.1mm2)、通気度45cc/cm2/秒、質量825g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(5)を得た。
〔配合5〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を20質量部に増量し、酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を10質量部に減量し、(A):(B)質量比を2:1に変更した以外は配合1と同一。
〈通気性可撓シート(5)〉
ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(アラミド繊維:フィラメント径12μm、843dtex)のマルチフィラメント扁平糸を芯糸とし、コーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、下記配合5の軟質塩化ビニル系樹脂ペースト状組成物をコートダイスノズル孔から押出すことで芯糸の全周に樹脂被覆を行い、180℃の熱処理ゲル化工程を経て、これを冷却して引き取ることで得られた樹脂被覆糸条(5)に変更した以外は実施例1と同様として、2/2ななこ織物:空隙率3%(1個の空隙部の面積は約0.1mm2)、通気度45cc/cm2/秒、質量825g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(5)を得た。
〔配合5〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を20質量部に増量し、酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を10質量部に減量し、(A):(B)質量比を2:1に変更した以外は配合1と同一。
[実施例6]
〈通気性可撓シート(6)〉
炭素繊維(フィラメント径8μm、660dtex)のマルチフィラメント扁平糸を芯糸とし、コーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、下記配合6の軟質塩化ビニル系樹脂ペースト状組成物をコートダイスノズル孔から押出すことで芯糸の全周に樹脂被覆を行い、180℃の熱処理ゲル化工程を経て、これを冷却して引き取ることで得られた樹脂被覆糸条(6)に変更した以外は実施例1と同様として、2/2ななこ織物:空隙率2.5%(1個の空隙部の面積は約0.09mm2)、通気度38cc/cm2/秒、質量810g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(6)を得た。
〔配合6〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を10質量部に減量し、酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を20質量部に増量し、(A):(B)質量比を1:2に変更した以外は配合1と同一。
〈通気性可撓シート(6)〉
炭素繊維(フィラメント径8μm、660dtex)のマルチフィラメント扁平糸を芯糸とし、コーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、下記配合6の軟質塩化ビニル系樹脂ペースト状組成物をコートダイスノズル孔から押出すことで芯糸の全周に樹脂被覆を行い、180℃の熱処理ゲル化工程を経て、これを冷却して引き取ることで得られた樹脂被覆糸条(6)に変更した以外は実施例1と同様として、2/2ななこ織物:空隙率2.5%(1個の空隙部の面積は約0.09mm2)、通気度38cc/cm2/秒、質量810g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(6)を得た。
〔配合6〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を10質量部に減量し、酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を20質量部に増量し、(A):(B)質量比を1:2に変更した以外は配合1と同一。
[実施例7]
〈通気性可撓シート(7)〉
実施例1で用いた樹脂被覆糸条(1)を、ポリエステル(PET)繊維(フィラメント径10μm、833dtex)のマルチフィラメント扁平糸を芯糸とし、コーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、配合1の軟質塩化ビニル系樹脂ペースト状組成物をコートダイスノズル孔から押出すことで芯糸の全周に樹脂被覆を行い、180℃の熱処理ゲル化工程を経て、これを冷却して引き取ることで得られた樹脂被覆糸条(7)に変更した以外は実施例1と同様として、2/2ななこ織物:空隙率2%(1個の空隙部の面積は約0.07mm2)、通気度30cc/cm2/秒、質量780g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(7)を得た。
〈通気性可撓シート(7)〉
実施例1で用いた樹脂被覆糸条(1)を、ポリエステル(PET)繊維(フィラメント径10μm、833dtex)のマルチフィラメント扁平糸を芯糸とし、コーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、配合1の軟質塩化ビニル系樹脂ペースト状組成物をコートダイスノズル孔から押出すことで芯糸の全周に樹脂被覆を行い、180℃の熱処理ゲル化工程を経て、これを冷却して引き取ることで得られた樹脂被覆糸条(7)に変更した以外は実施例1と同様として、2/2ななこ織物:空隙率2%(1個の空隙部の面積は約0.07mm2)、通気度30cc/cm2/秒、質量780g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(7)を得た。
[実施例8]
〈通気性可撓シート(8)〉
樹脂被覆糸条(7)を経糸条群及びバイアス糸条群とする単層織物で、経糸条群は1インチ間22本の織密度、右上バイアス糸条群は1インチ間18本、左上バイアス糸条群は1インチ間18本の織密度とする三軸織物を得た。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、熱分解ガス発生物質の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、織り交点を熱融着により織り組織が固定された、空隙率2.2%(1個の空隙部の面積は約0.025mm2)、通気度33cc/cm2/秒、質量980g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(8)を得た。
〈通気性可撓シート(8)〉
樹脂被覆糸条(7)を経糸条群及びバイアス糸条群とする単層織物で、経糸条群は1インチ間22本の織密度、右上バイアス糸条群は1インチ間18本、左上バイアス糸条群は1インチ間18本の織密度とする三軸織物を得た。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、熱分解ガス発生物質の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、織り交点を熱融着により織り組織が固定された、空隙率2.2%(1個の空隙部の面積は約0.025mm2)、通気度33cc/cm2/秒、質量980g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(8)を得た。
実施例1〜8の通気性可撓シート1〜8は、何れも樹脂被覆層を有する糸条を織編要素に含み、樹脂被覆層には、〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体、及び〔酸化マグネシウム/アルミナ〕複合体から選ばれた1種以上の塩基性複合体粒子群(A)と、〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体、及び〔二酸化チタン/アルミナ〕複合体から選ばれた1種以上の酸性複合体粒子群(B)とを、(A):(B)質量比2:1〜1:2とする酸化物複合体混合物(C)と、無機層状化合物粒子群、及び熱分解ガス発生物質群から選ばれた1種以上の体積膨張性物質(D)を、樹脂被覆層に対して1〜20質量%含むもので、この要件を満たすことによって、塩基性複合体粒子群(A)の存在により、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールなどの酸性悪臭に対する減臭(消臭)効果と、酸性複合体粒子群(B)の存在によって、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性悪臭に対する減臭(消臭)効果を同時発現し、また樹脂被覆層にゼオライト粒子を含有することでシンナーやトルエンなどの有機溶剤、ホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質臭などに対しても吸着性を発現し、さらに吸着効果が飽和状態となっても、(熱)水洗、ヒーター加熱、及び天日干し、の単独、または併用の処理によって臭気吸着率を初期の50%以上に容易に回復できることなどの特徴が確認された。また通気度(JIS L1096:フラジール法)0.5〜65cc/cm2/秒の空隙部は通気によるガス交換で消臭効果をより高いのもとするのみならず、この通気度範囲において優れた吸音(反響防止)効果を発現した。特にガラス繊維糸条を芯糸とする樹脂被覆糸を織編要素とする実施例1〜4の通気性可撓シート(1)〜(4)、及び炭素繊維糸条を芯糸とする樹脂被覆糸を織編要素とする実施例6の通気性可撓シート(6)は、1個当たりの空隙部面積が0.1mm2以下の隙間を多数有するものであるが、これらのシートを輻射電気ヒーター加熱した時(火災シミュレーション)に、樹脂被覆層に含む無機層状化合物粒子群、熱分解ガス発生物質群などが樹脂被覆層の体積を膨張させて糸条径を太らせることで、個々の0.1mm2以下の空隙部を閉塞させることで、建築基準法の適用材料認定を得ることを可能とする。また実施例5の通気性可撓シート(5)はJIS A1322の防炎2級、実施例7,8の通気性可撓シート(7),(8)はJIS A1322の防炎1級であった。
[比較例1]
実施例1の配合1を下記配合7に変更し、配合7で樹脂被覆した糸条(8)を用いた以外は実施例1と同様として、空隙率2%、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2外観が白色の2/2ななこ織柄の通気性可撓シート(9)を得た。得られたシート(9)は、酸化亜鉛、二酸化珪素、及びアルミナを含むものであったが、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体の形態、及び酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体の形態を取らないことで、実施例1のシート(1)と比較して、アンモニア、イソ吉草酸、硫化水素、トルエンとも減臭効果に劣り、それによってアンモニア、イソ吉草酸、硫化水素、トルエンなどの臭気吸着性能の回復性を大きく損なうものであった。
〔配合7〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部、及び酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量の合計30質量部を省略し、酸化亜鉛(平均粒子径1μm)10質量部、二酸化珪素(平均粒子径1μm)10質量部、及びアルミナ(平均粒子径1μm)10質量部の合計30質量部と置き換えた以外は配合1と同一。
実施例1の配合1を下記配合7に変更し、配合7で樹脂被覆した糸条(8)を用いた以外は実施例1と同様として、空隙率2%、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2外観が白色の2/2ななこ織柄の通気性可撓シート(9)を得た。得られたシート(9)は、酸化亜鉛、二酸化珪素、及びアルミナを含むものであったが、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体の形態、及び酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体の形態を取らないことで、実施例1のシート(1)と比較して、アンモニア、イソ吉草酸、硫化水素、トルエンとも減臭効果に劣り、それによってアンモニア、イソ吉草酸、硫化水素、トルエンなどの臭気吸着性能の回復性を大きく損なうものであった。
〔配合7〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部、及び酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量の合計30質量部を省略し、酸化亜鉛(平均粒子径1μm)10質量部、二酸化珪素(平均粒子径1μm)10質量部、及びアルミナ(平均粒子径1μm)10質量部の合計30質量部と置き換えた以外は配合1と同一。
[比較例2]
実施例1の配合1を下記配合8に変更し、配合8で樹脂被覆した糸条(9)を用いた以外は実施例1と同様として、空隙率2%、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2外観が白色の2/2ななこ織柄の通気性可撓シート(10)を得た。得られたシート(10)は酸性複合体粒子(B)の含有量が塩基性複合体粒子(A)の1/5と少ないことで、実施例1のシート(1)と比較して特にアンモニアの減臭効果が不十分なものであり、しかもそれによってアンモニアの臭気吸着性能の回復性も不十分なものであった。
〔配合8〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を25質量部に増量し、酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を5質量部に減量し、(A):(B)質量比を5:1に変更した以外は配合1と同一。
実施例1の配合1を下記配合8に変更し、配合8で樹脂被覆した糸条(9)を用いた以外は実施例1と同様として、空隙率2%、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2外観が白色の2/2ななこ織柄の通気性可撓シート(10)を得た。得られたシート(10)は酸性複合体粒子(B)の含有量が塩基性複合体粒子(A)の1/5と少ないことで、実施例1のシート(1)と比較して特にアンモニアの減臭効果が不十分なものであり、しかもそれによってアンモニアの臭気吸着性能の回復性も不十分なものであった。
〔配合8〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を25質量部に増量し、酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を5質量部に減量し、(A):(B)質量比を5:1に変更した以外は配合1と同一。
[比較例3]
実施例1の配合1を下記配合9に変更し、配合9で樹脂被覆した糸条(10)を用いた以外は実施例1と同様として、空隙率2%、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2外観が白色の2/2ななこ織柄の通気性可撓シート(11)を得た。得られたシート(11)は塩基性複合体粒子(A)の含有量が酸性複合体粒子(B)の1/5と少ないことで、実施例1のシート(1)と比較して、特にイソ吉草酸、及び硫化水素の減臭効果が不十分なものであり、しかもそれによってイソ吉草酸、及び硫化水素の臭気吸着性能の回復性も不十分なものであった。
〔配合9〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を5質量部に減量し、酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を25質量部に増量し、(A):(B)質量比を1:5に変更した以外は配合1と同一。
実施例1の配合1を下記配合9に変更し、配合9で樹脂被覆した糸条(10)を用いた以外は実施例1と同様として、空隙率2%、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2外観が白色の2/2ななこ織柄の通気性可撓シート(11)を得た。得られたシート(11)は塩基性複合体粒子(A)の含有量が酸性複合体粒子(B)の1/5と少ないことで、実施例1のシート(1)と比較して、特にイソ吉草酸、及び硫化水素の減臭効果が不十分なものであり、しかもそれによってイソ吉草酸、及び硫化水素の臭気吸着性能の回復性も不十分なものであった。
〔配合9〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、塩基性複合体粒子(A);〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体15質量部を5質量部に減量し、酸性複合体粒子(B):〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体15質量部を25質量部に増量し、(A):(B)質量比を1:5に変更した以外は配合1と同一。
[比較例4]
実施例1の配合1を下記配合10に変更し、配合10で樹脂被覆した糸条(11)を用いた以外は実施例1と同様として、空隙率2%、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2外観が白色の2/2ななこ織柄の通気性可撓シート(12)を得た。得られたシート(12)は体積膨張性物質(D)を含有しないことで、火災時の火炎熱(模擬的にはコーンカロリーメーター試験:ASTM-E1354)により急激に体積膨張することが無いので、樹脂被覆層を体積膨張させて糸条径を太らせることが出来ず、通気性可撓シートの有する通気性部位を瞬時に閉塞させる効果を得ず、通気部からの火炎の突き抜けや有毒ガスの漏出を遮断することが出来ないものであった。
〔配合10〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※実施例1の配合1から体積膨張性物質(D):アゾジカルボアミド(熱分解ガス発生物質)4質量部、及び無機層状化合物(モンモリロナイト:平均粒子径8μm)10質量部を省略した以外は配合1と同一。
実施例1の配合1を下記配合10に変更し、配合10で樹脂被覆した糸条(11)を用いた以外は実施例1と同様として、空隙率2%、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2外観が白色の2/2ななこ織柄の通気性可撓シート(12)を得た。得られたシート(12)は体積膨張性物質(D)を含有しないことで、火災時の火炎熱(模擬的にはコーンカロリーメーター試験:ASTM-E1354)により急激に体積膨張することが無いので、樹脂被覆層を体積膨張させて糸条径を太らせることが出来ず、通気性可撓シートの有する通気性部位を瞬時に閉塞させる効果を得ず、通気部からの火炎の突き抜けや有毒ガスの漏出を遮断することが出来ないものであった。
〔配合10〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※実施例1の配合1から体積膨張性物質(D):アゾジカルボアミド(熱分解ガス発生物質)4質量部、及び無機層状化合物(モンモリロナイト:平均粒子径8μm)10質量部を省略した以外は配合1と同一。
本発明の消臭性難燃シートは、硫化水素(卵の腐敗臭)、メチルメルカプタン(玉葱の腐敗臭)、酢酸、イソ吉草酸(足の裏臭)、ノネナール(加齢臭)などの酸性悪臭に対する減臭(消臭)効果を有する塩基性複合体粒子群(A)と、アンモニア(尿臭)、トリメチルアミン(魚の腐った臭)などの塩基性悪臭に対する減臭(消臭)効果を有する酸性複合体粒子群(B)とを同一糸条に併用しても、粒子群(A)及び粒子群(B)が酸性悪臭と塩基性悪臭とを選択的に、互いに阻害し合うことなく不活性化する役割を担うことができ、また体積膨張性物質(D)を含むことで、本発明の消臭性難燃シートをASTM-E1354「建築材料の燃焼性試験方法」で評価した時に樹脂被覆層が体積膨張する作用により糸条を太らせて、通気性可撓シートの有する通気性部位を閉塞させることで建築基準法の適用材料(国土交通大臣認定)に適合可能とする。また特に通気度(JIS L1096:フラジール法)5〜100cc/cm2/秒の通気部はガス交換を促すことで消臭効果向上に寄与するのみならず、この通気度範囲において吸音(反響防止)効果を発現するので、屋内競技場施設、体育館、屋内プール、イベントホール、公会堂、冠婚葬祭式場、駅舎、空港、ショッピングモールなどの天井に設置される天井面積構成膜材(膜天井)、天井付帯物(空中膜)、懸垂幕、横断幕として、また食品工場、化学品工場、畜産農業施設、水産施設、ゴミ処理施設などにおける、空間仕切り、壁掛け、敷物、空中膜として、さらに住居関連では日除けテント、ブラインド、タペストリー、押入・下駄箱用、トイレマット・タペストリー、キッチンマットなどに適して用いることができる。上記用途において、本発明の消臭性難燃シートには写真や画像・イラストレーション・文字などのデザインや広告効果を附帯させることもできるので産業上の利用に極めて有用である。
Claims (8)
- 樹脂被覆層を有する糸条を織編要素に含む通気性可撓シートであって、前記樹脂被覆層が、〔酸化亜鉛/アルミナ〕複合体、及び〔酸化マグネシウム/アルミナ〕複合体から選ばれた1種以上の塩基性複合体粒子群(A)と、〔二酸化珪素/アルミナ〕複合体、及び〔二酸化チタン/アルミナ〕複合体から選ばれた1種以上の酸性複合体粒子群(B)とを、(A):(B)質量比2:1〜1:2とする酸化物複合体混合物(C)と、無機層状化合物粒子群、及び熱分解ガス発生物質群から選ばれた1種以上の体積膨張性物質(D)を、前記樹脂被覆層に対して1〜20質量%含むことを特徴とする消臭性難燃シート。
- 前記無機層状化合物粒子群が、スメクタイト系粘土鉱物、合成スメクタイト、セリサイト、フッ素雲母、及び膨張黒鉛から選ばれた1種以上である請求項1に記載の消臭性難燃シート。
- 前記熱分解ガス発生物質が、アゾジカルボアミド、オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、p−トルエンスルフォニルヒドラジド、ジアゾアミノベンゼン、アゾビスイソブチロニトリルから選ばれた1種以上である請求項1または2に記載の消臭性難燃シート。
- 前記樹脂被覆層が、さらにゼオライト粒子(E)を含み、前記酸化物複合体混合物(C)との質量比(C):(E)を4:1〜1:1とする請求項1〜3の何れか1項に記載の消臭性難燃シート。
- 前記樹脂被覆層が、気泡痕を1〜25体積%含む請求項1〜4の何れか1項に記載の消臭性難燃シート。
- 前記樹脂被覆層が、モリブデン化合物含有軟質塩化ビニル樹脂組成物を主体とし、前記モリブデン化合物の含有率が、前記樹脂被覆層に対して0.1〜5質量%である請求項1〜5の何れか1項に記載の消臭性難燃シート。
- 前記織編要素の製織交点の、一部または全部が熱融着している請求項1〜6の何れか1項に記載の消臭性難燃シート。
- 前記通気性可撓シートが、JIS L1096:フラジール法の通気度5〜100cc/cm2/秒を満たす請求項1〜7の何れか1項に記載の消臭性難燃シート。
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JP2015224779A JP2017089071A (ja) | 2015-11-17 | 2015-11-17 | 消臭性難燃シート |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
CN110042592A (zh) * | 2019-04-01 | 2019-07-23 | 深圳市帝邦服装有限公司 | 一种阻燃服及其制备工艺 |
WO2021112007A1 (ja) * | 2019-12-04 | 2021-06-10 | ユニチカ株式会社 | 膜材料及び膜材料の製造方法 |
CN113774668A (zh) * | 2021-09-22 | 2021-12-10 | 杭州港华纺织有限公司 | 一种涤纶加弹丝及其生产方法 |
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2015
- 2015-11-17 JP JP2015224779A patent/JP2017089071A/ja active Pending
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