JP6601953B2 - 消臭性シート及びその消臭性能の再生方法 - Google Patents
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〈減臭性・消臭性〉
容積5LのTedlar(登録商標)バッグを4個用意し、各々のバッグに濃度10ppmに
調整した個々の化学物質ガス、アンモニア(塩基性)、イソ吉草酸(酸性)、硫化
水素(酸性)、トルエン(VOC)を各々3L封入し、10cm×10cmサイズ
の試験シートを、試験シートの表裏面ともバッグ内壁に触れないようにアンモニア
バッグ内に固定し、30分後のアンモニアガス濃度を測定し、この試験シートを
次にイソ吉草酸バッグ内に固定し30分後のイソ吉草酸ガス濃度を測定し、この
試験シートを次に硫化水素バッグ内に固定し、30分後の硫化水素ガス濃度を測定
し、この試験シートを次にトルエンバッグ内に固定し、30分後のトルエンガス
濃度を測定した。
〈臭気吸着性能の回復〉
2−1)10cm×10cmサイズの試験シートを容積5LのTedlar(登録商標)
バッグに入れ、試験シートの表裏面ともバッグ内壁に触れないようバッグ内に固定
し、濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境に60分
間晒し、10分毎にアンモニアガス濃度を検知管で測定し1回目の減臭曲線を描い
た。取出した試験シートを新たなTedlar (登録商標)バッグに入れ、1回目の試験
同様濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境に120
分間晒し、10分、30分、60分、120分毎にアンモニアガス濃度を検知管で
測定し2回目の減臭曲線を描いた。同様に3回目の試験を繰り返し3回目の減臭曲
線を描いた。
2−2)3回目の試験を終えた試験シートを5Lの水道水を入れたバット内に浸漬
した状態で20℃×60分間静置し水洗処理した。次に取出した試験シートを80
℃設定のギアーオーブン(電気ヒーター式)内に吊るして30分間の熱風加熱処理
を行った。この水洗〜加熱処理を行った試験シートを、再度容積5LのTedlar(登
録商標)バッグに入れ、試験シートの表裏面ともバッグ内壁に触れないようバッグ
内に固定し、濃度10ppmに調整したアンモニアガスを3L封入したバッグ内環境
に120分間晒し、10分、30分、60分、120分毎にアンモニアガス濃度を
検知管で測定し4回目(再生処理後)の減臭曲線を描き、1回目(初期消臭性能)
の減臭曲線のピークとの対比による再生率を求めた。
2−3)上記1)試験と同じ要領で、連続で4種のガスに対しての減臭試験を行い
、回復の処理を施した後(2−2処理後)の減臭曲線ピークと、1回目(初期消臭
性能)の減臭曲線ピークとの対比による再生率を求めた。
〈通気度〉
JIS L1096 8.27.1 A法に定めるフラジール形法により求めた。
1).樹脂被覆層を有する糸条(1)
(無アルカリ)ガラス繊維糸条(フィラメント径9μm、400本フィラメント:75番手:687dtex)のマルチフィラメント扁平糸を芯糸とし、コーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、下記配合1の軟質塩化ビニル系樹脂ペースト状組成物をコートダイスノズル孔から押出すことで芯糸の全周に樹脂被覆を行い、180℃の熱処理ゲル化工程を経て、これを冷却して引き取ることで樹脂被覆糸条(1)を得た。
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
ペースト塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(可塑剤) 60質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
エポキシ化大豆油(可塑剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
※酸/塩基二極性複合体粒子
〔酸化亜鉛/二酸化珪素〕複合体(平均粒子径1μm) 20質量部
合成ゼオライト(平均粒子径2μm) 15質量部
アゾジカルボアミド(熱分解ガス発生物質) 4質量部
ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 0.3質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
酸化チタン(白顔料) 2質量部
2)〈通気性可撓シート(1)〉
樹脂被覆糸条(1)を経糸条群及び緯糸条群として、各々2本揃とする2/2ななこ(バスケット)織物による単層織物で、経糸条群は1インチ間28本の織密度、また緯糸条群は1インチ間30本の織密度とする織物を得た。次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、熱分解ガス発生物質の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、2/2ななこ織物の織り交点を熱融着により織り組織が固定された、空隙率2%(0.1mm2以下の空隙部の総和)は、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(1)を得た。糸条2本揃とする2/2ななこ(バスケット)織物、経糸条群は1インチ間28本の織密度、緯糸条群は1インチ間30本の織密度とする空隙率2%の織物の織交点に生じる空隙部の数は、(28/2)−1本×(30/2)−1本=182個/インチ2、またインチ2に対する2%は12.9mm2であるから1個の空隙部の面積は約0.07mm2となる。
〈通気性可撓シート(2)〉
実施例1の配合1に用いた酸/塩基二極性複合体粒子としての〔酸化亜鉛/二酸化珪素〕複合体(平均粒子径1μm)20質量部を、〔酸化マグネシウム/二酸化珪素〕複合体(平均粒子径1μm)20質量部に置換えた(配合2)による樹脂被覆糸条(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例1と同規格の2/2ななこ(バスケット)織物:空隙率2%(1個の空隙部の面積は約0.07mm2)、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2を得た。
〈通気性可撓シート(3)〉
実施例1の配合1に用いた酸/塩基二極性複合体粒子としての〔酸化亜鉛/二酸化珪素〕複合体(平均粒子径1μm)20質量部を、〔酸化亜鉛/アルミナ/二酸化珪素〕複合体(平均粒子径1μm)20質量部に置換えた(配合3)による樹脂被覆糸条(3)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例1と同規格の2/2ななこ(バスケット)織物:空隙率2%(1個の空隙部の面積は約0.07mm2)、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2を得た。
〈通気性可撓シート(4)〉
実施例1の配合1に用いた酸/塩基二極性複合体粒子としての〔酸化亜鉛/二酸化珪素〕複合体(平均粒子径1μm)20質量部を、〔酸化マグネシウム/アルミナ/二酸化珪素〕複合体(平均粒子径1μm)20質量部に置換えた(配合4)による樹脂被覆糸条(4)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例1と同規格の2/2ななこ(バスケット)織物:空隙率2%(1個の空隙部の面積は約0.07mm2)、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2を得た。
〈通気性可撓シート(5)〉
実施例1の樹脂被覆糸条(1)を用い、経糸群の打ち込み密度42本/インチ、緯糸群の打ち込み密度36本/インチである二重織物を、上層織物組織を右上がりの2/1の斜文織、下層織物組織を左上がりの2/1の斜文織、上層織物と下層織物とを5本跨ぎの結線で結接して製織し、次にこの織物を200℃で2分間熱処理を施し、熱分解ガス発生物質の熱分解ガス生成による発泡気泡痕(12体積%)を形成すると同時に、二重織物の織り交点を熱融着して接着して織り組織が固定された、空隙率1.2%(1個の空隙部の面積は約0.02mm2)、通気度18cc/cm2/秒、質量1160g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(5)を得た。
〈通気性可撓シート(6)〉
実施例5の樹脂被覆糸条(1)を、実施例3の樹脂被覆糸条(3)に置き換えた以外は、実施例5と同様として、空隙率1.2%(1個の空隙部の面積は約0.02mm2)、通気度18cc/cm2/秒、質量1160g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(6)を得た。
〈通気性可撓シート(7)〉
実施例1で用いた樹脂被覆糸条(1)を、ポリエステル(PET)繊維(フィラメント径10μm、833dtex)のマルチフィラメント扁平糸を芯糸とし、コーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、配合1の軟質塩化ビニル系樹脂ペースト状組成物をコートダイスノズル孔から押出すことで芯糸の全周に樹脂被覆を行い、180℃の熱処理ゲル化工程を経て、これを冷却して引き取ることで得られた樹脂被覆糸条(5)に変更した以外は実施例1と同様として、2/2ななこ織物:空隙率2%(1個の空隙部の面積は約0.07mm2)、通気度30cc/cm2/秒、質量780g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(7)を得た。
〈通気性可撓シート(8)〉
実施例5の樹脂被覆糸条(1)を、ポリエステル(PET)繊維(フィラメント径10μm、833dtex)のマルチフィラメント扁平糸を芯糸とし、コーティングダイスに芯通しした押出成型機を用い、配合3の軟質塩化ビニル系樹脂ペースト状組成物をコートダイスノズル孔から押出すことで芯糸の全周に樹脂被覆を行い、180℃の熱処理ゲル化工程を経て、これを冷却して引き取ることで得られた樹脂被覆糸条(6)に変更した以外は実施例5と同様として、空隙率1.2%(1個の空隙部の面積は約0.02mm2)、通気度18cc/cm2/秒、質量1050g/m2、外観が白色の通気性可撓シート(8)を得た。
実施例1の配合1を下記配合5に変更し、配合5で樹脂被覆した糸条(7)を用いた以外は実施例1と同様として、空隙率2%、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2外観が白色の2/2ななこ織柄の通気性可撓シート(9)を得た。得られたシート(9)は、酸化亜鉛、及び二酸化珪素を含むものであったが、酸/塩基二極性複合体粒子〔酸化亜鉛/二酸化珪素〕複合体の形態を取らないことで、実施例1のシート(1)と比較して、アンモニア、イソ吉草酸、硫化水素、トルエンとも減臭効果に劣り、それによってアンモニア、イソ吉草酸、硫化水素、トルエンなどの臭気吸着性能の回復性を大きく損なうものであった。
〔配合5〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
配合1において、酸/塩基二極性複合体粒子〔酸化亜鉛/二酸化珪素〕複合体(平均粒子径1μm)20質量部を省略し、酸化亜鉛(平均粒子径1μm)10質量部、二酸化珪素(平均粒子径1μm)10質量部と置き換えた以外は配合1と同一。
実施例1の配合1を下記配合6に変更し、配合6で樹脂被覆した糸条(8)を用いた以外は実施例1と同様として、空隙率2%、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2外観が白色の2/2ななこ織柄の通気性可撓シート(10)を得た。得られたシート(10)は、〔酸化亜鉛/二酸化珪素〕複合体の含有量がゼオライトの1/4と少ないことで、実施例1のシート(1)と比較して、特にアンモニア、イソ吉草酸、硫化水素の減臭効果が不十分であり、しかもそれによってアンモニア、イソ吉草酸、硫化水素の減臭効果の回復性も不十分なものであった。
〔配合6〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、酸/塩基二極性複合体粒子〔酸化亜鉛/二酸化珪素〕複合体(平均粒子径1μm)20質量部を7質量部に減量し、合成ゼオライト(平均粒子径2μm)15質量部を28質量部に増量し、酸/塩基二極性複合体粒子とゼオライトの質量比を1:4に変更した以外は配合1と同一。
実施例1の配合1を下記配合7に変更し、配合7で樹脂被覆した糸条(9)を用いた以外は実施例1と同様として、空隙率2%、通気度30cc/cm2/秒、質量860g/m2外観が白色の2/2ななこ織柄の通気性可撓シート(11)を得た。得られたシート(11)はゼオライトの含有量が〔酸化亜鉛/二酸化珪素〕複合体の1/10と少ないことで、実施例1のシート(1)と比較して特にトルエンの減臭効果が不十分で、トルエンの減臭効果の回復性の効果も希薄なものであった。
〔配合7〕軟質塩化ビニル樹脂ペースト組成物
※配合1において、酸/塩基二極性複合体粒子〔酸化亜鉛/二酸化珪素〕複合体(平均粒子径1μm)20質量部を33質量部に増量し、合成ゼオライト(平均粒子径2μm)15質量部を3質量部に減量し、酸/塩基二極性複合体粒子とゼオライトの質量比を10:1に変更した以外は配合1と同一。
Claims (4)
- 樹脂被覆層を有する糸条を織編要素に含む通気性可撓シートであって、前記樹脂被覆層が、〔酸化亜鉛/二酸化珪素〕複合体、〔酸化マグネシウム/二酸化珪素〕複合体、〔酸化亜鉛/アルミナ/二酸化珪素〕複合体(但しゼオライトを除く)、及び〔酸化マグネシウム/アルミナ/二酸化珪素〕複合体(但しゼオライトを除く)から選ばれた1種以上の酸/塩基二極性複合体粒子と、ゼオライトを含み、前記酸/塩基二極性複合体粒子と前記ゼオライトの質量比を4:1〜1:1とすることを特徴とする消臭性シート。
- 前記樹脂被覆層が、気泡痕を1〜25体積%含む請求項1に記載の消臭性シート。
- 前記織編要素の製織交点の、一部または全部が熱融着している請求項1または2に記載の消臭性シート。
- 臭気成分を吸着している請求項1〜3の何れかの消臭性シートを、1)水洗、または水への浸漬を行うことで前記臭気成分を溶出除去する工程、2)ヒーター加熱(熱風)により、前記臭気成分を放出除去する工程、3)天日干し(日射熱、紫外線)により、前記臭気成分を放出除去する工程、の何れかの単独リセット工程によって、好ましくは1)と2)の併用リセット工程、または1)と3)の併用リセット工程によって、初期消臭性能の50%以上に回復させる消臭性シートの消臭性能の再生方法。
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