JP6171156B2 - 防虫メッシュシート - Google Patents

防虫メッシュシート Download PDF

Info

Publication number
JP6171156B2
JP6171156B2 JP2013206884A JP2013206884A JP6171156B2 JP 6171156 B2 JP6171156 B2 JP 6171156B2 JP 2013206884 A JP2013206884 A JP 2013206884A JP 2013206884 A JP2013206884 A JP 2013206884A JP 6171156 B2 JP6171156 B2 JP 6171156B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
mesh sheet
mass
thermoplastic resin
resin layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013206884A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015071548A (ja
Inventor
狩野 俊也
俊也 狩野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiraoka and Co Ltd
Original Assignee
Hiraoka and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiraoka and Co Ltd filed Critical Hiraoka and Co Ltd
Priority to JP2013206884A priority Critical patent/JP6171156B2/ja
Publication of JP2015071548A publication Critical patent/JP2015071548A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6171156B2 publication Critical patent/JP6171156B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)
  • Catching Or Destruction (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は飛翔性害虫及び衣類害虫の忌避効果を有するメッシュシートに関する。詳しく述べると、本発明の防虫メッシュシートは、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュ、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシート、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーン、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートに関し、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫の飛来抑止や、ヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果などを使い始めから効果的に発現し、長期間安定持続する防虫メッシュシートに関する。
飛翔性害虫や室内害虫の防除対策として、殺虫剤成分が第1の樹脂糸の表面にコーティングされ、共力剤成分が第2の樹脂糸の表面にコーティングされ、これらを編んで又は織って形成した害虫防除ネット(特許文献1)。樹脂製のバリア層(防虫成分不透過層)と、紙製の中間層(防虫成分保持層)と、樹脂製の薬剤徐放層(防虫成分透過層)とがこの順番に積層された三層構造を有する防虫シート(特許文献2)などが開示されている。特に薬剤効果を長期間安定持続させる手段として例えば、防虫剤成分を含浸したシリカ系多孔質粒子をシート状基材に付着させた防虫シート(特許文献3)などが開示されている。しかしこれらのネットやシートでは、殺虫剤成分や防虫剤成分の効果的な放散と、長期間の徐放安定性とのバランスが悪く、使用開始から効果的な有効成分の放散がなされるものは短期間で効果が薄れ、長期間有効成分の放散が安定的であるものは使用開始時の有効成分の放散が不十分であることが多い。
従って、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュ、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシート、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーン、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートなどで、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、ヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を使い始めから効果的に発現し、その効果が安定持続可能な防虫メッシュシートは存在していなかった。
特開2010−057476号公報 特開2012−111707号公報 特開平10−286914号公報
本発明は、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュ、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシート、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーン、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートなどで、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、ヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を使い始めから効果的に発現し、その効果が安定持続可能な防虫メッシュシートの提供を行おうとするものである。
上記課題を解決するために、粗目織物を基布として、粗目織物全面を被覆する熱可塑性樹脂層とで構成された、多数の空隙部を有する可撓性メッシュシートにおいて、空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmとして、熱可塑性樹脂層にピレスロイド系化合物0.1〜5質量%と、ブリード性化合物0.1〜5質量%、及びブリードコントロール剤1〜10質量%とを含ませることによって、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、及びヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を有し、その効果が安定持続することを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の防虫メッシュシートは、粗目織物を基布として、粗目織物全面を被覆する熱可塑性樹脂層とで構成された、多数の空隙部を有する可撓性メッシュシートであって、前記空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有し、前記熱可塑性樹脂層にピレスロイド系化合物0.1〜5質量%と、ブリード性化合物0.1〜5質量%、及びブリードコントロール剤1〜10質量%とを含むことが好ましい。これによって特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、及びヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を使い始めから効果的に発現し、その効果を安定持続させることができる。
本発明の防虫メッシュシートは、前記ピレスロイド系化合物が、ペルメトリン、シペルメトリン、シフェノトリン、d−フェノトリン、レスメトリン、フラメトリン、アクリナトリン、プレレトリン、デカメスリン、シハロトリン、d−レスメトリン、テフルトリン、エンペントリン、フェンパレレート、エスフェンバレレート、エスビオトリン、フェンプロパトリン、エトフェンプロックス、エムペントリン、テフラメトリン、テラレトリン、トランスフルスリン、トラロメトリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、シフルトリン、ビフェントリン、ブラトリン、アレスリン、d−アレスリン、ピレトリン、d−テトラメスリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、ジメフルトリン、プロフルトリン、シネリン、ジャスモリンから選ばれた1種以上であることが好ましい。これによって特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、及びヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫に対する高い忌避効果を得ることができる。
本発明の防虫メッシュシートは、前記ブリード性化合物が、シリコーンオイル、ワックス類、植物油及びエポキシ化植物油から選ばれた1種以上であることが好ましい。これによって熱可塑性樹脂層の表面にブリード性化合物が滲み出易くなる(ブリード・ブルームし易くなる)が、これらブリード性化合物がブリードやブルームする際に、熱可塑性樹脂層に含有するピレスロイド系化合物がブリード性化合物と共にメッシュシート表面に移行することで使用開始から高い忌避効果を得ることができる。
本発明の防虫メッシュシートは、前記ブリードコントロール剤が、シリカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト、及び粘土鉱物から選ばれた1種以上であることが好ましい。これによって、熱可塑性樹脂層の表面へのブリード性化合物の滲み出し過多を抑止することができる。ブリードコントロール剤は一旦ブリード性化合物を担持し、経時的にブリード性化合物を放散することでブリード性化合物のブリードやブルームを長期間持続させ、これによってブリード性化合物のブリードやブルームと共に表面移行するピレスロイド系化合物の揮散を間接的に長期安定的にコントロールすることができる。
本発明の防虫メッシュシートは、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、及びヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を有し、その効果が安定持続するので、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュ、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシート、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーン、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートなどに適して使用することができる。本発明の防虫メッシュシートはイエカ類、ヤブカ類、ハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類、及びイガ、コイガ、イッテンコクガ、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、カシノシマメイガなどの小型蛾類などの飛翔性害虫の飛来抑止効果を有し、またヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、イガ、コイガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果も有している。
本発明の防虫メッシュシートの正面と断面の一部を示す図
本発明の防虫メッシュシートは、粗目織物を基布として、粗目織物全面を被覆する熱可塑性樹脂層とで構成された、多数の空隙部を有する可撓性メッシュシートであって、空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有し、熱可塑性樹脂層にピレスロイド系化合物0.1〜5質量%と、ブリード性化合物0.1〜5質量%、及びブリードコントロール剤1〜10質量%とを含む構成である。
本発明の防虫メッシュシートにおいて粗目織物全面を被覆する熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を主体としてピレスロイド系化合物と、ブリード性化合物、及びブリードコントロール剤とを含む組成物による含浸被覆物である。熱可塑性樹脂としては、軟質塩化ビニル樹脂(特に塩化ビニル樹脂ペーストゾル)、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリエステル系共重合体樹脂、フッ素樹脂、フッ素系共重合体樹脂、シリコン樹脂、シリコン系共重合体樹脂など、特に液状のもの(エマルジョンや塗料)が使用でき、これらは単独もしくは、2種以上の併用としてもよい。このとき熱可塑性樹脂層は、粗目織物の表面のみに形成されるものではなく、粗目織物の厚み内部に及んで含浸形成された部分を有する。
本発明において、粗目織物を構成する繊維は具体的に、ケナフ、コットンなどの天然繊維群(短繊維紡績糸条として使用)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ナイロン、ビニロン、アクリル、芳香族ポリエステル系、芳香族ポリアミド系、芳香族ヘテロ環ポリマー(ポリイミダゾール系、ポリオキサゾール系など)の合成繊維群、ガラス、シリカ、バサルト、アルミナ、炭素、ステンレスなどの無機繊維群、及びこれらの混用繊維、芯鞘繊維などが挙げられる。汎用的にはポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ナイロン繊維、ビニロン繊維などによるマルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、テープヤーンの形態である。またポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維などの合成繊維は、繊維紡糸時に任意の着色を施した原着繊維を使用することもできる。特に芳香族ポリエステル系、芳香族ポリアミド系、芳香族ヘテロ環ポリマー系などによる繊維糸条を用いることで得られるメッシュシート本体の物理的破壊強度を飛躍的に増強することができる。またガラス、シリカ、バサルト、アルミナ、炭素などによる無機繊維糸条を用いることで得られるメッシュシートに耐火性や不燃性を付与することができる。また繊維織物には特にマルチフィラメント糸条の断面からの水の毛管現象による浸入を防止するための撥水処理、また、着炎時に自己消火性を付与するための防炎処理、あるいは被覆樹脂層との密着性を向上させるための接着処理を施すことができる。
本発明において、粗目織物を構成する繊維糸条の形態は、マルチフィラメント、短繊維紡績、モノフィラメント、スプリットヤーン、テープヤーンなどいずれであってもよいが、特にマルチフィラメントを使用することで得られる防虫メッシュシートの風合いが柔らかくなり、防虫メッシュシートの取り扱い性が格段に向上する。マルチフィラメント糸条の繊度は、250(278dtex)〜2000(2222dtex)デニールの範囲が好ましい。建築養生メッシュ1類や大型シェードには1000(1111dtex)〜2000(2222dtex)デニールの糸条を用いた粗目織物、またはこれら糸条による粗目3本模紗織物が適している。250デニールの糸条の場合、粗目織物を構成する打ち込み密度は10〜22本/1インチ間隔、同様に500デニールの糸条の場合、8〜18本/1インチ間隔、1000デニールの糸条の場合、6〜14本/1インチ間隔、2000デニールの糸条の場合、4〜10本/1インチ間隔である。また建築養生メッシュ2類や窓用ロールスクリーンや家庭用雑貨メッシュシートには250(278dtex)〜1000(1111dtex)デニールの糸条を用いた平織粗目織物が適している。特にマルチフィラメント糸条は、撚りが掛けられるなどしてその断面形状が円形または楕円形の略円弧状の糸条が強度、引き裂き強度的に好ましい。
本発明の基布に使用する粗目織物は織布、編布の何れであってもよい。織布は、平織、綾織、繻子織、模紗織など公知の織布が挙げられるが、中でも平織織布が、得られるメッシュシートの経緯強度及び経緯伸張バランスが同等となり好ましい。織布は経糸条及び緯糸条で織製され、糸条間隙を均等において平行に配置した経糸、及び緯糸を含んで構成された空隙率6〜61%の粗目織物(糸条打込本数8〜40本/inch)であり、空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有していれば、粗目織物の厚さや質量に特に制限はない。このような粗目織布全体に対して、熱可塑性樹脂を主体としてピレスロイド系化合物と、ブリード性化合物、及びブリードコントロール剤とを含む組成物による含浸・被覆(熱処理を伴う)を施すことで、空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有する(空隙率5〜60%)防虫メッシュシートを得ることができる。得られる防虫メッシュシートの空隙部1個あたりの面積が0.25mm未満だと通気性と採光性を悪くすることがあり、また空隙部1個あたりの面積が10mmを越えると空隙部から飛翔性害虫や衣類害虫が侵入することがある。本発明の防虫メッシュシートは空隙部1個あたりの面積が特に1mm〜5mmを有し、空隙部の総和面積率である空隙率が10〜40%を満たすことが好ましい。空隙率は粗目織物の任意の単位面積領域に占める空隙部の総和面積率で、空隙部の総和面積は、単位面積領域に存在する糸条実体部の総和面積を求め、単位面積から差し引いた値で求められる。具体的には1インチ四方の粗目織物のデジタル画像をコンピューターに取り込み、糸条実体部と空隙部分との面積を画像計算する方法が挙げられる。また糸条の幅と、糸条の配置密度の設計から理論値として計算した値であってもよい。
熱可塑性樹脂層には、熱可塑性樹脂層の質量に対してピレスロイド系化合物を0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜2.5質量%含む。熱可塑性樹脂層の質量に対するピレスロイド系化合物の含有量が0.1質量%未満だと飛翔性害虫や衣類害虫の忌避効果が不十分となることがあり、また熱可塑性樹脂層の質量に対して5質量%を越えても飛翔性害虫や衣類害虫の忌避効果の比例的効果が得られない。ピレスロイド系化合物は、合成ピレスロイドとしてペルメトリン(C2120Cl)、シペルメトリン、シフェノトリン(C2425NO)、d−フェノトリン(C2326)、レスメトリン(C2225)、フラメトリン(C1822)、アクリナトリン、プレレトリン、デカメスリン、シハロトリン、d−レスメトリン、テフルトリン(C1717ClF)、エンペントリン、フェンパレレート、エスフェンバレレート、エスビオトリン、フェンプロパトリン、エトフェンプロックス(ベクトロン:C2528)、エムペントリン、テフラメトリン、テラレトリン、トランスフルスリン、トラロメトリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、シフルトリン(C2218ClFNO)、ビフェントリン(C2322ClF)、ブラトリン(C1821Cl)、アレスリン、d−アレスリン、ピレトリン、d−テトラメスリン(フタルスリン:C1925NO)、トランスフルトリン、メトフルトリン(C1820)、ジメフルトリン、プロフルトリン(C1718)、シネリン、ジャスモリンから選ばれた1種以上の殺虫性有機化合物である。また天然ピレスロイドとして菊酸、ピレトリン、シネリン、ジャスモリンなどの殺虫性有機化合物であってもよい。
熱可塑性樹脂層には、熱可塑性樹脂層の質量に対してブリード性化合物を0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜2.5質量%含むことによって、熱可塑性樹脂層の表面にブリード性化合物が滲み出易くなり(ブリード・ブルームし易くなり)、これらブリード性化合物がブリードやブルームを起す際に、熱可塑性樹脂層に含有するピレスロイド系化合物がブリード性化合物と共に、ピレスロイド系化合物がブリード性化合物に溶解した状態、または溶解しない状態でメッシュシート表面に移行することで使用開始から高い忌避効果を得ることができる。熱可塑性樹脂層の質量に対するブリード性化合物の含有量が0.1質量%未満だと飛翔性害虫や衣類害虫の忌避効果が初期的に不十分となることがあり、また熱可塑性樹脂層の質量に対して5質量%を越えると、ブリード過多となってメッシュシート表面にブリード性化合物が滲み出て防虫メッシュシートへの接触物(壁、床、家具、カーテン、衣服、人体)を汚すことがある。ブリード性化合物として、シリコーンオイル、ワックス類、植物油及びエポキシ化植物油から選ばれた1種以上を使用することができ、特にシリコーンオイルの使用が好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、ポリジメチルシロキサンジオール、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのストレートシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フルオロアルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アルキル・ポリエーテル変性シリコーンオイル、メタクリル酸変性シリコーンオイルなどの変性シリコーンオイルが挙げられ、なかでもアルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイルが好ましい。
ワックス類としては、炭化水素系(低分子ポリエチレン、パラフィン)、脂肪酸系(ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、複合型ステアリン酸、オレイン酸)、脂肪族アルコール系、脂肪族アマイド系(ステアロアミド、オキシステアロアミド、オレイルアミド、エルシルアミド、リシノールアミド、ベヘンアミド、メチロールアミド、メチレンビスステアロアミド、メチレンビスステアロベヘンアミド、高級脂肪酸のビスアミド酸、ステアロアミド、複合型アミド)、脂肪族エステル系(n−ブチルステアレート、メチルヒドロキシステアレート、多価アルコール脂肪酸エステル、飽和脂肪酸エステル、エステル系ワックス)、脂肪酸金属石鹸系族などを用いることができる。植物油としては、パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油、綿実油、オリーブオイル、ヤシ油、コーン油、ゴマ油、ひまし油、アマニ油、ケシ油、紅花油などを精製した油、これらブレンドによるサラダ油、及びこれら植物油をエポキシ化したもので、特にエポキシ化大豆油を用いることができる。
熱可塑性樹脂層には、熱可塑性樹脂層の質量に対してブリードコントロール剤を1〜10質量%、好ましくは2.5〜7.5質量%含むことによって、熱可塑性樹脂層の表面へのブリード性化合物の滲み出し過多を抑止することができる。ブリードコントロール剤は一旦ブリード性化合物を担持し、経時的にブリード性化合物を放散することでブリード性化合物のブリードやブルームを長期間持続させ、これによってブリード性化合物のブリードやブルームと共に表面移行するピレスロイド系化合物の揮散を間接的に長期安定的にコントロールすることを可能とする。熱可塑性樹脂層の質量に対するブリードコントロール剤の含有量が0.1質量%未満だとブリード性化合物の担持量が不足してブリード性化合物の滲み出し過多を抑止することができないことがあり、また熱可塑性樹脂層の質量に対して5質量%を越えても、ブリード性化合物の滲み出し過多を抑止する効果は頭打ちとなる。
ブリードコントロール剤としては、シリカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト、及び粘土鉱物から選ばれた1種以上であることが好ましい。シリカはケイ酸ナトリウムと鉱酸及び塩類による湿式法で得られた非晶質含水シリカで、吸油量90〜360cm/100g(JIS-K5101準拠)の多孔質合成シリカで、空孔サイズは25Å〜250Å、平均粒子径が1μm〜5μmの無定形が好ましい。ゼオライトは三次元骨格構造を有するアルミノシリケートであり、一般式としては、XM/nO・Al・YSiO・ZHOで表示される。このときMはイオンを表し1価又は2価の金属イオンである。nは金属イオンの原子価である。Xは金属酸化物の係数、Yはシリカの係数、Zは結晶水の数を表す。ゼオライトの具体例としては、例えば、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、T型ゼオライト、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデナイト、アナルサイム、クリノプチロライト、チャバサイト、エリオナイトなどが挙げられる。これらの合成ゼオライトの平均粒径は0.1μm〜2.5μmが好ましい。ゼオライト及びシリカはシランカップリング剤により表面処理が施され表面に官能基を保持するものであってもよい。ハイドロタルサイトは層状複水酸化物で、M2+ 3+ (OH)2x+2yy/n・zHOの一般式で表される不定比化合物であり好ましいハイドロタルサイトはMgAl(OH)16CO・4HOの一般式である。粘土鉱物としては、フッ素雲母、モンモリロナイト、スメクタイト、サポナイト、ハイデライト、ノントライト、ヘクトライト、スティブンサイト、バーミキュライト、ハロサイトなどが挙げられる。特にフッ素雲母はNa四珪素雲母を有機交換処理した平均粒子径10〜30μmのフッ素四珪素雲母が好ましく、モンモリロナイトは、(Al2−yMg)Si10(OH)・(M1/2 2+nHO式で表される平均粒子径0.1〜2.0μmの2八面体型含水層状珪酸塩鉱物が好ましい。(y=0.2〜0.6、M=交換性陽イオンNa, K, Ca, Mg, Hなど、n=層間水の量)、スメクタイトは、シリカ四面体(四配位)とアルミ八面体(六配位)が交互に層状となる構造で、シリカ/アルミが2:1の比率、平均粒子径0.1〜2.0μmが好ましい。これら粘土鉱物の陽イオン交換量は、10〜300ミリ当量/100gのものが好ましい。
熱可塑性樹脂層の厚さは0.01〜0.5mm、特に0.1〜0.35mmが好ましい。本発明において、粗目織物に熱可塑性樹脂層を設けた防虫メッシュシートは、粗目織物に対して液状の熱可塑性樹脂によるディッピングやコーティングによる含浸被覆によって形成される。液状の熱可塑性樹脂としては、エマルジョン樹脂、デイスパージョン樹脂などの水分散形態、熱可塑性樹脂を有機溶媒中に可溶化した塗料形態、及び塩化ビニル樹脂ペーストゾルなどの使用が好ましい。このようにして得られた防虫メッシュシートは空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有する(空隙率5〜60%)メッシュシートを得ることができる。得られる防虫メッシュシートの空隙部1個あたりの面積が0.25mm未満だと通気性と採光性を悪くすることがあり、また空隙部1個あたりの面積が10mmを越えると空隙部から飛翔性害虫や衣類害虫などが侵入することがある。本発明の防虫メッシュシートは空隙部1個あたりの面積が特に1mm〜5mmを有し、空隙部の総和面積率である空隙率が10〜40%を満たすことが好ましい。特に熱可塑性樹脂層の表面に、微粒子シリカ(特にコロイダルシリカ)、光触媒性物質(特に二酸化チタン)、有機シリケート化合物(メチル、またはエチルシリケートの加水分解縮合物)から選ばれた1種以上による薄膜を形成することによって汚れ防止性に優れた防虫メッシュシートを得ることができる。
本発明による防虫メッシュシートの使用は、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュで、そのサイズが、幅60〜200cm、長さ300〜600cmの規格であり、その周縁に肉厚補強された幅3〜6cmの周縁帯を有し、かつ、この周縁帯中央部に20〜40cmの等間隔(例えば30cm)でハトメを有するものである。周縁帯はメッシュシートを幅3〜6cmで折り返し、その間に幅3〜6cmの帯状の、ターポリン(ポリエステル繊維織物の両面に塩化ビニル樹脂フィルムを積層)、テープヤーン熱融着クロス(芯鞘テープヤーン)、テープヤーンクロス積層体(テープヤーンクロスの片面以上にポリエチレンフィルムなどを熱ラミネート)の何れかと、ハトメの係止ロープとを挟み込み、ミシン縫製または高周波溶着により袋綴じを行って形成される。ハトメはメッシュシート同士の連結に使用する、結束バンドまたは結束ロープの通し穴として機能し、ハトメの材質は真鍮製、または樹脂製の何れであってもよい。
本発明による防虫メッシュシートの使用は、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシェードで、窓サッシ部を庇覆いするようにして角度40〜90°で固定して使用される。使用形態は、専用フックやロープの固定装備により一夏常設するタイプ、巻取式シェードの形態で日照時間や日照の強弱に合わせて、メッシュシートを引き出し手摺フレームなどにフック固定したり、フック固定を外して巻取収納したりするタイプの何れであってもよい。メッシュシェードの設置は窓サッシフレームを基礎固定(フック式またはロープ式)とし、伸長方向先端部をベランダの手摺や物干し台などのフレームにデッキ固定(フック式またはロープ式)する。メッシュシェードは幅方向1m〜2.5m×長手方向1.5m〜2.5m程度のサイズがマンションのベランダ設置に適し、特に幅方向2m前後×長手方向2m前後のサイズが取り扱い性に優れ好ましい。メッシュシェード周側部には折り畳み縫製、芯補強縫製、熱可塑性樹脂シート、プラスチックフレームなどによる縁取補強加工が施され、これら縁取補強加工部分に装着フックやデッキ固定金具、ロープ固定のためのハトメ穴が設けられていることが好ましい。
本発明による防虫メッシュシートの使用は、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーンとして用いるメッシュシェードで、窓サッシ部全面を覆うことができる状態で、室内側もしくは室外側の窓サッシ上部に固定して使用され、巻取式のロールスクリーン(幅方向0.5m〜1.5m×長手方向0.5m〜1.5m程度)、またはタテ型スラット(幅方向5cm〜15cm×長手方向0.5m〜1.5m程度)の開閉式ブラインド、ヨコ型スラット(幅方向0.5m〜1.5m×長手方向5cm〜15cm程度)の開閉式ブラインドの何れであってもよい。ロールスクリーンやスラット周側部にはミシン縫製、樹脂加工などによるほつれ防止加工が施されていることが好ましい。
本発明による防虫メッシュシートは、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートに使用し、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫の飛来抑止効果や、ヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を得ることができる。これらの家庭雑貨シートの形態やサイズには特に限定は無く、幅1.0m〜2.0m×長さ1.0m〜5.0mの大型長尺メッシュシートの形態で販売し、ユーザーが使用目的に応じたサイズで使用するもの、予めクローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の寸法に合わせてサイズ化されたもの、など自在である。
本発明のる防虫メッシュシート(1)について図1により説明する。図1はメッシュシート(1)本発明の防虫メッシュシートの正面と断面の一部を示す図で、粗目織物(2)を基布として含み、その表裏全面を被覆する熱可塑性樹脂層(3)とで構成され、熱可塑性樹脂層(3)に、ピレスロイド系化合物(4)、ブリード性化合物(5)及びブリードコントロール剤(6)を含むものである。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記実施例及び比較例において、試験シートによる飛翔性害虫の忌避効果、及び衣類害虫の忌避効果は下記の試験方法により測定し、評価した。
1)飛翔性害虫の忌避効果(KT50)
試験1−1
6cm×6cmの正方形のシート片を直径8.5cmのガラスシャーレ内に敷き、蓋を被せた状態で25℃の環境に30分間馴染ませた。このシャーレ内にユスリカ(揺蚊)の成虫10匹を放ち、この時点からノックダウンしたユスリ蚊の数の計測を開始し、ユスリカのノックダウン数が半数の5匹目となった時間(秒)を「KT50値」として求め、この値が小さいほど防虫効果=忌避効果が高いものと判断した。
※KT50=Median knock-down time(50%の供試虫が抑転(生死に拘らず起き上がれなくなる)に要する時間。)
試験1−2
上記試験1後のシート片を6月〜8月の3ヶ月間室内に放置した。このシート片を用いて再度試験1と同じ試験を行い、ユスリカに対する忌避効果「KT50値」を求め、この値が小さいほど防虫効果=忌避効果が高いものと判断した。
2)衣類害虫の忌避効果(KT50)
試験2−1
6cm×6cmの正方形のシート片を直径8.5cmのガラスシャーレ内に敷き、蓋を被せた状態で25℃の環境に30分間馴染ませた。このシャーレ内にヒメカツオブシムシの幼虫10匹を放ち、この時点からノックダウンしたヒメカツオブシムシの幼虫の数の計測を開始し、ヒメカツオブシムシの幼虫のノックダウン数が半数の5匹目となった時間(秒)を「KT50値」として求め、この値が小さいほど防虫効果=忌避効果が高いものと判断した。
※KT50=Median knock-down time(50%の供試虫が抑転(生死に拘らず起き上がれなくなる)に要する時間。)
試験2−2
上記試験1後のシート片を6月〜8月の3ヶ月間室内に放置した。このシート片を用いて再度試験1と同じ試験を行い、ヒメカツオブシムシの幼虫に対する忌避効果「KT50値」を求め、この値が小さいほど防虫効果=忌避効果が高いものと判断した。
参考例1]
1)ポリエステルのマルチフィラメント糸条750d(833dtex)/3本模紗を経緯糸条として、経糸条8本/インチ、緯糸条8本/インチの打ち込みで製織した粗目模紗織物(質量175g/m:空隙率25%:空隙部面積1.0mm)を基布に用いた。〈基布1〉
2)次に基布1を被覆する熱可塑性樹脂層形成用に下記配合1の軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾルを配合調整した。
<配合1;熱可塑性樹脂層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成>
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(可塑剤) 65質量部
Ba−Zn系複合安定剤 1.5質量部
炭酸カルシウム(充填材) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.3質量部
酸化チタン(顔料) 5質量部
2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾール(防黴剤) 0.2質量部
ピレスロイド系化合物(ペルメトリン) 3質量部
シリコーンオイル(ブリード性化合物) 3質量部
シリカ(ブリードコントロール剤として空孔サイズ210Å、平均粒子径1.4μmの
無定形多孔質合成シリカ) 10質量部

ペルメトリン

3)基布1を上記[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル浴中に浸漬し、基布1にペースト塩化ビニル樹脂組成物を含浸被覆させ、これを引き上げると同時に1対のゴムロールで圧搾した後、180℃の熱風乾燥炉内で2分間熱処理を行い、ペースト塩化ビニル樹脂組成物をゲル化させて基布1の表裏全面に熱可塑性樹脂層を形成し質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
参考例2]
参考例1の[配合1]を下記[配合2]に変更した以外は参考例1と同様にして質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
<配合2;熱可塑性樹脂層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成>
*[配合1]と同じ組成物、但し[配合1]のピレスロイド系化合物(ペルメトリン)3質量部のみを下記[配合2]用ピレスロイド系化合物(フラメトリン)3質量部に変更した。

フラメトリン
参考例3]
参考例1の[配合1]を下記[配合3]に変更した以外は参考例1と同様にして質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
<配合3;熱可塑性樹脂層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成>
*[配合1]と同じ組成物、但し[配合1]のピレスロイド系化合物(ペルメトリン)3質量部のみを下記[配合3]用ピレスロイド系化合物(レスメトリン)3質量部に変更した。

レスメトリン
参考例4]
参考例1の[配合1]を下記[配合4]に変更した以外は参考例1と同様にして質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
<配合4;熱可塑性樹脂層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成>
*[配合1]と同じ組成物、但し[配合1]のピレスロイド系化合物(ペルメトリン)3質量部のみを下記[配合4]用ピレスロイド系化合物(エトフェンプロックス)3質量部に変更した。

エトフェンプロックス
参考例5]
参考例1で用いた基布1を下記基布2に変更した以外は参考例1と同様にして、配合1による熱可塑性樹脂層を設け、質量218g/m:空隙率44%:空隙部面積3,8mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は128g/mであった。
〈基布2〉
ポリエステルのマルチフィラメント糸条750d(833dtex)/3本模紗を経緯糸条として、経糸条4本/インチ、緯糸条4本/インチの打ち込みで製織した粗目模紗織物(質量90g/m:空隙率46%:空隙部面積4mm)を基布に用いた。
参考例6]
参考例1で用いた基布1を下記基布3に変更した以外は参考例1と同様にして、配合1による熱可塑性樹脂層を設け、質量378g/m:空隙率32%:空隙部面積2.2mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は216g/mであった。
〈基布3〉
ポリエステルのマルチフィラメント糸条1000d(1111dtex)を経緯糸条として、経糸条10本/インチ、緯糸条10本/インチの打ち込みで製織した粗目平織物(質量162g/m:空隙率34%:空隙部面積2.3mm)を基布に用いた。
参考例7]
参考例1で用いた基布1を下記基布4に変更した以外は参考例1と同様にして、配合1による熱可塑性樹脂層を設け、質量130g/m:空隙率26%:空隙部面積0.25mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は64g/mであった。
〈基布4〉
ポリエステルのマルチフィラメント糸条250d(278dtex)を経緯糸条として、経糸条26本/インチ、緯糸条28本/インチの打ち込みで製織した粗目平織物(質量66g/m:空隙率27%:空隙部面積0.3mm)を基布に用いた。
参考例8]
参考例1で用いた基布1を下記基布5に変更した以外は参考例1と同様にして、配合1による熱可塑性樹脂層を設け、質量160g/m:空隙率58%:空隙部面積9.0mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は83g/mであった。
〈基布5〉
ポリエステルのマルチフィラメント糸条250d(278dtex)/3本模紗を経緯糸条として、経糸条7本/インチ、緯糸条7本/インチの打ち込みで製織した粗目平織物(質量77g/m:空隙率60%:空隙部面積10mm)を基布に用いた。
参考例9]
参考例1の[配合1]を下記[配合5]に変更した以外は参考例1と同様にして質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
<配合5;熱可塑性樹脂層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成>
*[配合1]と同じ組成物、但し[配合1]のシリコーンオイル3質量部のみを下記[配合5]用ベヘンアミド(ワックス)1.0質量部に変更した。
参考例10]
参考例1の[配合1]を下記[配合6]に変更した以外は参考例1と同様にして質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
<配合6;熱可塑性樹脂層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成>
*[配合1]と同じ組成物、但し[配合1]のシリカ10質量部のみを下記[配合6]用ゼオライト(A型ゼオライト、粒子径1.2μm)10質量部に変更した。
参考例11]
実施例7の基布4を用いたメッシュシートにおいて、[配合1]を下記[配合7]に変更した以外は参考例7と同様にして、質量110g/m:空隙率27%:空隙部面積0.30mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は44g/mであった。
<配合7;熱可塑性樹脂層形成用アクリル樹脂エマルジョン組成>
アクリル樹脂(固形分濃度40質量%)エマルジョン 250質量部
メラミンシアヌレート(難燃剤) 20質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.3質量部
酸化チタン(顔料) 5質量部
2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾール(防黴剤) 0.2質量部
ピレスロイド系化合物(ペルメトリン) 3質量部
シリコーンオイル(ブリード性化合物) 3質量部
A型ゼオライト(ブリードコントロール剤:平均粒子径1.2μm) 10質量部

※)基布4を上記[配合7]のアクリル樹脂エマルジョン浴中に浸漬し、基布4にアクリル樹脂エマルジョン組成物を含浸被覆させ、これを引き上げると同時に1対のゴムロールで圧搾した後、130℃の熱風乾燥炉内で2分間乾燥処理を行い、基布4の表裏全面に熱可塑性樹脂層を形成した。
[実施例12]
実施例11のメッシュシートにおいて、[配合7]を下記[配合8]に変更した以外は実施例11と同様にして、質量115g/m:空隙率27%:空隙部面積0.30mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は49g/mであった。
<配合8;熱可塑性樹脂層形成用ウレタン樹脂エマルジョン組成>
ウレタン樹脂(固形分濃度40質量%)エマルジョン 250質量部
メラミンシアヌレート(難燃剤) 20質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.3質量部
酸化チタン(顔料) 5質量部
2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾール(防黴剤) 0.2質量部
ピレスロイド系化合物(ペルメトリン) 3質量部
オリーブオイル(ブリード性化合物) 3質量部
モンモリロナイト(ブリードコントロール剤として平均粒子径0.3μmの粘土鉱物)
10質量部

※)基布4を上記[配合8]のウレタン樹脂エマルジョン浴中に浸漬し、基布4にウレタン樹脂エマルジョン組成物を含浸被覆させ、これを引き上げると同時に1対のゴムロールで圧搾した後、130℃の熱風乾燥炉内で2分間乾燥処理を行い、基布4の表裏全面に熱可塑性樹脂層を形成した。
実施例12で得たメッシュシートはユスリカ及びヒメカツオブシムシの幼虫の忌避効果を有するもので、その3ヶ月後の忌避効果(屋内)にも優れていた。この効果は本発明の熱可塑性樹脂層において用いる「ピレスロイド系化合物」と「ブリード性化合物」及び「ブリードコントロール剤」の組み合わせによる相互作用で初めて得られたものである。
[比較例1]
参考例1のメッシュシートの熱可塑性樹脂層から「ピレスロイド系化合物3質量部」を省略した以外は参考例1と同様として質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。
[比較例2]
参考例1のメッシュシートの熱可塑性樹脂層から「シリコーンオイル(ブリード性化合物)3質量部」を省略した以外は参考例1と同様として質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。
[比較例3]
参考例1のメッシュシートの熱可塑性樹脂層から「シリカ(ブリードコントロール剤)10質量部」を省略した以外は参考例1と同様として質量427g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。
[比較例4]
参考例1のメッシュシートの基布1を下記基布6に変更した以外は参考例1と同様にして、配合1による熱可塑性樹脂層を設け、質量103g/m:空隙率71%:空隙部面積24mmのメッシュシートを得た。
〈基布6〉
ポリエステルのマルチフィラメント糸条750d(833dtex)/3本模紗を経緯糸条として、経糸条3本/インチ、緯糸条3本/インチの打ち込みで製織した粗目模紗織物(質量60g/m:空隙率72%:空隙部面積25mm)を基布に用いた。
比較例1のメッシュシートはユスリカ及びヒメカツオブシムシの幼虫の忌避効果(以下防虫効果という)が欠如し、比較例2のメッシュシートは製造直後の防虫効果が不十分であり、比較例3のメッシュシートは室内3ヶ月後の防虫効果が不十分であった。また比較例4のメッシュシートは空隙部の面積が大き過ぎるため防虫効果が欠如し、しかも空隙部からユスリカやヒメカツオブシムシの幼虫が通り抜けるなど、害虫の侵入対策に不適切なものであった。
本発明により得られるメッシュシートは、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、及びヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を有し、その効果が安定持続するので、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュ、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシート、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーン、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートなどに適して使用することができる。本発明の防虫メッシュシートはイエカ類、ヤブカ類、ハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類、及びイガ、コイガ、イッテンコクガ、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、カシノシマメイガなどの小型蛾類などの飛翔性害虫の飛来抑止効果を有し、またヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、イガ、コイガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果も有している。本発明の防虫メッシュシートは長期使用で飛翔性害虫の飛来抑止効果が減衰したとしても、通常のメッシュシートの物理的性能は保持するので建築養生メッシュ、ベランダの採光日除、室内窓用日除スクリーンなどの用途のまま使用継続することに何の支障も有さない。
1:メッシュシート
1−1:空隙部
2:粗目織物(基布)
3:熱可塑性樹脂層
4;ピレスロイド系化合物
5:ブリード性化合物
6:ブリードコントロール剤

Claims (3)

  1. 粗目織物を基布として、粗目織物全面を被覆する熱可塑性樹脂層とで構成された、多数の空隙部を有する可撓性メッシュシートであって、前記空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有し、前記熱可塑性樹脂層にピレスロイド系化合物0.1〜5質量%と、ブリード性化合物0.1〜5質量%、及びブリードコントロール剤1〜10質量%とを含み、前記ブリード性化合物が、シリコーンオイル、ワックス類、植物油及びエポキシ化植物油から選ばれた1種以上で、少なくとも植物油、及び/またはエポキシ化植物油を含み、また前記ブリードコントロール剤が、シリカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト、及び粘土鉱物から選ばれた1種以上であることを特徴とする防虫メッシュシート。
  2. 前記ピレスロイド系化合物が、ペルメトリン、シペルメトリン、シフェノトリン、d−フェノトリン、レスメトリン、フラメトリン、アクリナトリン、プレレトリン、デカメスリン、シハロトリン、d−レスメトリン、テフルトリン、エンペントリン、フェンパレレート、エスフェンバレレート、エスビオトリン、フェンプロパトリン、エトフェンプロックス、エムペントリン、テフラメトリン、テラレトリン、トランスフルスリン、トラロメトリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、シフルトリン、ビフェントリン、ブラトリン、アレスリン、d−アレスリン、ピレトリン、d−テトラメスリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、ジメフルトリン、プロフルトリン、シネリン、ジャスモリンから選ばれた1種以上である請求項1に記載の防虫メッシュシート。
  3. 前記植物油が、パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油、綿実油、オリーブオイル、ヤシ油、コーン油、ゴマ油、ひまし油、アマニ油、ケシ油、紅花油などを精製した油、これらブレンドによるサラダ油であり、また前記エポキシ化植物油がこれら植物油をエポキシ化したものである請求項1に記載の防虫メッシュシート。
JP2013206884A 2013-10-02 2013-10-02 防虫メッシュシート Active JP6171156B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013206884A JP6171156B2 (ja) 2013-10-02 2013-10-02 防虫メッシュシート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013206884A JP6171156B2 (ja) 2013-10-02 2013-10-02 防虫メッシュシート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015071548A JP2015071548A (ja) 2015-04-16
JP6171156B2 true JP6171156B2 (ja) 2017-08-02

Family

ID=53014222

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013206884A Active JP6171156B2 (ja) 2013-10-02 2013-10-02 防虫メッシュシート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6171156B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3479692A1 (en) * 2017-11-03 2019-05-08 Clariant Plastics & Coatings Ltd Pest repellent polymer compositions
JP6782021B2 (ja) * 2018-03-29 2020-11-11 平岡織染株式会社 防虫効果持続性に優れたシート
JP7199193B2 (ja) * 2018-10-10 2023-01-05 リケンテクノス株式会社 防虫機能を有するポリ塩化ビニル系樹脂組成物、及びガラス飛散防止フィルム
JP7245412B2 (ja) * 2021-09-01 2023-03-24 株式会社信日康 防虫樹脂、防虫繊維及びその加工物
CN114631524B (zh) * 2022-03-20 2024-09-20 温州源之白电器科技有限公司 驱虫装置
TW202348692A (zh) * 2022-03-24 2023-12-16 日商納美仕有限公司 樹脂組成物、接著劑、密封材、硬化物、半導體裝置及電子零件

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08245324A (ja) * 1995-03-15 1996-09-24 Hosokawa Kigyo Kk 防虫組成物及び防虫布帛
JP3735953B2 (ja) * 1995-07-10 2006-01-18 住友化学株式会社 害虫駆除方法
JP2000166399A (ja) * 1998-12-11 2000-06-20 Unitika Ltd 農園芸用防虫メッシュシート
JP5648279B2 (ja) * 2009-12-18 2015-01-07 住友化学株式会社 重合体組成物およびそれからなる成形体
JP2011127017A (ja) * 2009-12-18 2011-06-30 Sumitomo Chemical Co Ltd 重合体組成物およびそれからなる成形体
JP5648280B2 (ja) * 2009-12-18 2015-01-07 住友化学株式会社 重合体組成物およびそれからなる成形体
JP2011127018A (ja) * 2009-12-18 2011-06-30 Sumitomo Chemical Co Ltd 重合体組成物およびそれからなる成形体
JP5604861B2 (ja) * 2009-12-18 2014-10-15 住友化学株式会社 重合体組成物からなる成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015071548A (ja) 2015-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6171156B2 (ja) 防虫メッシュシート
JP6119009B2 (ja) 産業資材シート
TWI702910B (zh) 防蟲纖維以及使用此纖維之防蟲網
US8061377B2 (en) Insecticidal barrier with a durable lower part
US20100119720A1 (en) Process for insecticidal impregnation of a fabric or netting or other kind of non-living material
JP6119010B2 (ja) 産業資材シート
JP2013212238A (ja) 減臭メッシュシート
CN103119208A (zh) 具有3至12纤丝的杀生物性聚烯烃纱线
JP6678037B2 (ja) テント構造物用膜材
JP7333076B2 (ja) 帯電防止性抗菌防黴膜材
JP2015063494A (ja) メッシュシート
JP6782021B2 (ja) 防虫効果持続性に優れたシート
JP6675200B2 (ja) テント構造物用膜材
JP6191053B2 (ja) 防虫メッシュシート
TW201028088A (en) Insecticidal polymer matrix comprising PBO and DM
WO2011124227A1 (en) Biocidal acid-adjusted polymer with polypropylene
JP2020032721A (ja) テント構造物用膜材
JP2017122051A (ja) テント構造物用膜材
JP3196082U (ja) 防虫網
JP6539889B2 (ja) 消臭性吸音織物
JP7127029B2 (ja) 編物
WO2012069049A1 (en) A product with low density polymer resin releasing fipronil in a controlled way and use of such a product
JPH0256886B2 (ja)
JP5600228B2 (ja) フタロシアニンによる高分子マトリックスにおけるpboの保持
JP2015047147A (ja) グリーンカーテン

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160916

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170330

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170417

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170529

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170601

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6171156

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250