JP7333076B2 - 帯電防止性抗菌防黴膜材 - Google Patents
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Description
〔化1〕
R(AO)nOOC-X-COO(AO)mR
(式中、Xは:C6H4、C6H8、C6H10、C2H4~C8H16、Rは:C3~15の直鎖または分岐鎖のアルキル基(Rは互いに同一または異なる)、Aは:C2~4の アルキレン基、mとnは1~10の整数(互いに同一または異なる)で表される化合物)
〔化2〕
R1CO(OCH2CH-R2)nCOOR3
(式中、R1及びR3は:C3~15の直鎖または分岐鎖のアルキル基、またはアルケニル基、R2は:H、CH3、C2H5、nは3~20の整数で表される化合物)
※本発明において、数多くある菌種、黴種、ウイルス種のうちの代表的一部に対しての有効性を確認したことでの、抗菌防黴効果、抗ウイルス効果の応用の可能性を提案するのもで、未知を含めたあらゆる菌種、黴種、ウイルス種に対する有効性を示唆するものではない。
〔化1〕
R(AO)nOOC-X-COO(AO)mR
(式中、Xは:C6H4、C6H8、C6H10、C2H4~C8H16、Rは:C3~15の直鎖または分岐鎖のアルキル基(Rは互いに同一または異なる)、Aは:C2~4のアルキレン基、mとnは1~10の整数(互いに同一または異なる)で表される化合物)
〔化2〕
R1CO(OCH2CH-R2)nCOOR3
(式中、R1及びR3は:C3~15の直鎖または分岐鎖のアルキル基、またはアルケニル基、R2は:H、CH3、C2H5、nは3~20の整数で表される化合物)
(1)表面抵抗率測定(JIS K7194準拠)
23℃、相対湿度50%RHで膜材片を24時間静置後、下記の抵抗率計(JIS K7194準拠)を用い表面抵抗率を3回測定し、その平均値を表面抵抗率とした。帯電防止性の基準は表面抵抗率109Ω/□以下とし、109Ω/□以下であれば、アレルゲン性(黴、ダニダスト、花粉)物質の静電吸着が抑止可能、アレルゲン性物質を寄せ付け難いものとした。
1)高抵抗・抵抗率計
株式会社三菱化学アナリテック製「ハイレスタUP MCP-HT800(レンジ103~1014Ω)
2)低抵抗・抵抗率計
株式会社三菱化学アナリテック製「ロレスタGX MCP-T700(レンジ10-4~107Ω)」
(2)抗菌性(JIS Z2801:2010年準拠)
シート状物試験片(ラジカル発生層のある試験片はラジカル発生層)の表面に菌液を滴下して植菌し(植菌数104)、試験片が菌液に接するように、菌液と試験片シート状物を密着させ、35℃、相対湿度90%以上の環境下、ブラックライト(ピーク365nm)照射(ラジカル発生層形成のある試験片のみ:照射距離2.5cm)条件下で24時間培養した。培養後、試験片シートを洗い流し1cm2あたりの生菌数を測定し、抗菌活性値(対象区における菌数対数値から実施例または比較例の試験片シート状物における菌数対数値を差し引いた値)を算出した。
また実施例のシート状物試験片にブラックライトの照射、または蛍光灯の照射を行わず、ブラックライトもしくは蛍光灯の有無による抗菌効果の対比試験を行った結果を参考例の扱いとした。
表中の数値は試験片1cm2当たりの生菌数であり、「ND」は生菌の不検出(Not Detected)とする。菌液調整溶液は1/200NB培地を用いた。使用した菌種を以下に示す。
黄色ぶどう球菌「Staphylococcus aureus subsp. aureus 12732」
大腸菌「Escherichia coli NBRC 3972」
※ブラックライト 機種SL-B01A5(オーム電機株式会社)実施例9~12
W55mm×H160mm×D25mm
※直管蛍光灯 4W(FL4D)×2本(パナソニック株式会社)実施例13~16
(3)防黴性(JIS Z2911培養試験)
幅3cm×長さ3cmのシート状物(ラジカル発生層のある試験片はラジカル発生層)に、下記試験用黴の胞子を接種し、ポテト・デキストロース寒天培地上に置き、ブラックライト(ピーク365nm)照射、または蛍光灯照射(ラジカル発生層形成のある試験片のみ:照射距離2.5cm)条件下、28℃×7日間、及び14日間、黴の発生状況を観察し、以下の判定基準で評価した。
また実施例のシート状物試験片にブラックライトの照射、または蛍光灯の照射を行わず、ブラックライトもしくは蛍光灯の有無による防黴効果の対比試験を行った結果を参考例の扱いとした。
1:接種部分に菌糸の発育が認められない
2:接種部分に認められる菌糸の発育部分の面積が全面積の1/3を超えない
3:接種部分に認められる菌糸の発育部分の面積が全面積の1/3を超える
〈試験用黴〉(A)+(B)+(C)の混合黴
(A)Aspergillus niger NBRC 105649(黒黴)
(B)Penicillium citrinum NBRC 6352(青黴)
(C)Cladosporium cladosporioides NBRC 6348(クロカワ黴)
※ブラックライト 機種SL-B01A5(オーム電機株式会社)実施例9~12
W55mm×H160mm×D25mm
※直管蛍光灯 4W(FL4D)×2本(パナソニック株式会社)実施例13~16
(4)抗ウイルス性(ISO 21720)
※プラスチック製品向け抗菌試験方法:ISO 22196(JIS Z2801)準拠
試験方法:一般財団法人カケンテストセンター法
5cm×5cmの試験片(ラジカル発生層のある試験片はラジカル発生層)に0.4mlのネコカリシウイルス(feline calicivirus)液を滴下し、4cm×4cmのフィルムで被覆し、25℃×24Hr静置(ブラックライト:ピーク365nm照射、または蛍光灯照射(ラジカル発生層形成のある試験片のみ:照射距離2.5cm条件下)した後、抗ウイルス活性値を測定。
抗ウイルス活性値は、抗ウイルス未加工の試験片の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数の平均値から、抗ウイルス加工品の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数の平均値を差し引いた値で、抗ウイルス活性値2.0以上(ウイルスの減少率1/100以上、抗ウイルス活性値3.0以上はウイルスの減少率1/1000)を効果ありと判断する。
また実施例のシート状物試験片にブラックライトの照射、または蛍光灯の照射を行わず、ブラックライトもしくは蛍光灯の有無による抗ウイルス性の効果の対比試験を行った結果を参考例とした。
(5)ブロッキング抑止効果(積重法)
10cm×10cmサイズの正方形試料2枚を位置ズレのないよう(一方の試料の表面に、もう一方の試料の裏面が重なる状態)に重ね、2枚のガラス板(10cm×10cmサイズ×5mm厚)で挟み、5kg荷重×35℃×240時間静置後、取り出した積重試料の一角を2cm(対角を結ぶ線上の距離)剥がしてスタンドにクリップ止めで固定し、もう一方の一角2cm(対角を結ぶ線上の距離)部を重り(100g)を装備したクリップで掴み、重りから手を離した瞬間から2枚の試料が分離するまでの時間(荷重した試料が落下するまでの時間)を計測した。この試験試料の密着面積は92cm2である。
※シート巻回体を横に倒して長期間床置した状態を想定した試験
1(極めて良好):分離して即時落下
2(良好):3秒以内
3(やや不良):3秒超10秒以内
4(不良):10秒を超えても分離しない
5(劣悪):癒着して樹脂層が剥がれる
ポリエステル繊維平織基布(経糸1111dtexマルチフィラメント糸条:糸密度22本/2.54cm×緯糸1111dtexマルチフィラメント糸条:糸密度24本/2.54cm:空隙率21%:質量165g/m2)を基材として、その両面に下記〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる厚さ0.2mmのカレンダー成型フィルムを表層、及び裏層として熱圧着ブリッジ溶融ラミネートにより「表フィルム層/織物/裏フィルム層」とする、厚さ0.75mm、質量785g/m2のターポリン(1)を得た。
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂組成物
塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
液状エステル化合物(1) 30質量部
※nオクタノールにエチレンオキシドを付加したアルコールとアジピン酸との反応によ
るアジピン酸ジエステル:(エーテル結合2個〔化1〕に相当:分子量490の可塑剤)
4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)30質量部
※分子量394の可塑剤
エポキシ化大豆油(安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ルチル型酸化チタン(白顔料) 5質量部
ベンゾトリアゾール骨格化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム/ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(〔CF3SO2〕2N-):イオン液体化合物(1) 3質量部
※イオン液体化合物(1)と液状エステル化合物(1)との併用質量比は1:10、イオン液体化合物(1)と可塑剤との併用質量比は1:20
実施例1のターポリン(1)において〔配合1〕の液状エステル化合物(1)30質量部を、n-オクタノールにエチレンオキシドを付加したアルコールと無水フタル酸の反応によるフタル酸ジエステル:液状エステル化合物(2):(エーテル結合2個〔化1〕に相当:分子量510の可塑剤)、30質量部に置換えた〔配合2〕とした以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/m2のターポリン(2)を得た。
実施例1のターポリン(1)において〔配合1〕の液状エステル化合物(1)30質量部を、nオクタノールにプロピレンオキシドを付加したアルコールとセバシン酸との反応によるセバシン酸ジエステル:液状エステル化合物(3):(エーテル結合2個〔化1〕に相当:分子量574の可塑剤)、30質量部に置換えた〔配合3〕とした以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/m2のターポリン(3)を得た。
実施例1のターポリン(1)において〔配合1〕の液状エステル化合物(1)30質量部を、テトラエチレングリコールのオクチル酸エステル:液状エステル化合物(4):(エーテル結合3個〔化2〕に相当:分子量478の可塑剤)、30質量部に置換えた〔配合4〕とした以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/m2のターポリン(4)を得た。
実施例1のターポリン(1)において〔配合1〕の1-エチル-3-メチルイミダゾリウム/ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド:イオン液体化合物(1)3質量部を、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム/テトラフルオロボレート(BF4 -):イオン液体化合物(2)3質量部に置換えた〔配合5〕とした以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/m2のターポリン(5)を得た。
実施例1のターポリン(1)において〔配合q〕の1-エチル-3-メチルイミダゾリウム/ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド:イオン液体化合物(1)3質量部を、1-ブチル-3-メチルピリジニウム/ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(〔CF3SO2〕2N-):イオン液体化合物(3)3質量部に置換えた〔配合6〕とした以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/m2のターポリン(6)を得た。
実施例1のターポリン(1)において〔配合1〕の1-エチル-3-メチルイミダゾリウム/ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド:イオン液体化合物(1)3質量部を、1-ブチル-3-メチルピリジニウム/トリフルオロメタンスルホネート(CF3SO3 -):イオン液体化合物(4)3質量部に置換えた〔配合7〕とした以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/m2のターポリン(7)を得た。
実施例1のターポリン(1)において〔配合1〕の1-エチル-3-メチルイミダゾリウム/ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド:イオン液体化合物(1)3質量部を、N,N,N-トリメチル-N-ブチルアンモニウム/クロライド(Cl-):イオン液体化合物(5)3質量部に置換えた〔配合8〕とした以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/m2のターポリン(8)を得た。
実施例1のターポリン(1)、実施例2のターポリン(2)、実施例5のターポリン(5)、実施例6のターポリン(6)、各々のターポリンの表面上に、下記〔配合9〕の塗工液を用い、100メッシュのグラビアロール塗工を行い、120℃の熱風炉で2分間加熱乾燥してゾルゲル硬化を完結させ、紫外線(200nm~399nm)励起型の光触媒性金属酸化物粒子を担持するラジカル発生層(1)を付帯する、質量787g/m2のターポリン(9-12)を得た。
〔配合9〕ラジカル発生層用溶液
エチルシリケート(Si(OC2H5)4:SiO2換算40質量%)5質量%、及び
[Si5O4(OC2H5)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体
25質量部
加水分解触媒:2%塩酸 1質量部
光触媒性酸化チタンゾル(1次粒子径5nm:紫外線励起型) 5質量部
水(50質量%)/エタノール(50質量%) 100質量部
実施例3のターポリン(3)、実施例4のターポリン(4)、実施例7のターポリン(7)、実施例8のターポリン(8)、各々のターポリンの表面上に、下記〔配合10〕の塗工液を用い、100メッシュのグラビアロール塗工を行い、120℃の熱風炉で2分間加熱乾燥してゾルゲル硬化を完結させ、可視光線(400nm~780nm)励起型の光触媒性金属酸化物粒子を担持するラジカル発生層(2)を付帯する、質量787g/m2のターポリン(13-16)を得た。
〔配合10〕ラジカル発生層用溶液
エチルシリケート(Si(OC2H5)4:SiO2換算40質量%)5質量%、及び
[Si5O4(OC2H5)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体
25質量部
加水分解触媒:2%塩酸 1質量部
光触媒性酸化タングステンゾル(1次粒子径5nm:Si/N共ドープ:
Feイオン助触媒の可視光線励起型) 5質量部
水(50質量%)/エタノール(50質量%) 100質量部
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる厚さ0.2mm、質量310g/m2のカレンダー成型フィルム(1)を得た。
〔配合2〕軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる厚さ0.2mm、質量310g/m2のカレンダー成型フィルム(2)を得た。
〔配合3〕軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる厚さ0.2mm、質量310g/m2のカレンダー成型フィルム(3)を得た。
〔配合4〕軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる厚さ0.2mm、質量310g/m2のカレンダー成型フィルム(4)を得た。
〔配合5〕軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる厚さ0.2mm、質量310g/m2のカレンダー成型フィルム(5)を得た。
〔配合6〕軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる厚さ0.2mm、質量310g/m2のカレンダー成型フィルム(6)を得た。
〔配合7〕軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる厚さ0.2mm、質量310g/m2のカレンダー成型フィルム(7)を得た。
〔配合8〕軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる厚さ0.2mm、質量310g/m2のカレンダー成型フィルム(8)を得た。
実施例17のフィルム(1)、実施例18のフィルム(2)、実施例21のフィルム(5)、実施例22のフィルム(6)、各々のフィルムの表面上に、〔配合9〕の塗工液を用い、100メッシュのグラビアロール塗工を行い、120℃の熱風炉で2分間加熱乾燥してゾルゲル硬化を完結させ、紫外線(200nm~399nm)励起型の光触媒性金属酸化物粒子を担持するラジカル発生層(1)を付帯する、質量312g/m2のフィルム(9-12)を得た。
実施例19のフィルム(3)、実施例20のフィルム(4)、実施例23のフィルム(7)、実施例24のフィルム(8)、各々のフィルムの表面上に、〔配合10〕の塗工液を用い、100メッシュのグラビアロール塗工を行い、120℃の熱風炉で2分間加熱乾燥してゾルゲル硬化を完結させ、可視光線(400nm~780nm)励起型の光触媒性金属酸化物粒子を担持するラジカル発生層(2)を付帯する、質量312g/m2のフィルム(13-16)を得た。
イオン液体化合物、及び分子量390以上の可塑剤を併用質量比1:20で含有する軟質塩化ビニル樹脂組成物からなるターポリン1~8は、何れも表面抵抗率109Ω/□程度か、それよりも優れた帯電防止性を有することで、黴、ダニダスト(死骸、糞塵)、花粉などのアレルゲン物質を静電吸着する心配のないもので、さらに抗菌性・防黴性・抗ウイルス性を有し、しかもターポリン同士のブロッキングの心配のない使い勝手のよい態様であった。イオン液体化合物の有機系カチオンが菌・黴の細胞膜のリン脂質のアニオン部位に引き寄せられた後、イオン液体化合物の有機系カチオンのアルキル鎖が細胞膜のリン脂質の疎水部と疎水性相互作用することによって膜に入り込み、カチオン部が細胞膜に蓄積することで菌・黴の細胞膜を破壊し、死滅させた。ウイルスに対しては核酸のDNA、またはRNAの塩基にイオン液体化合物(カチオン、またはアニオン)が配位して、DNA、RNAの複製を阻害する作用でウイルスの増殖を抑制した。
[実施例9~16の効果]
ターポリン1,2,5,6に紫外線励起型のラジカル発生層(1)を付帯するターポリン9~12は、ブラックライト(紫外線)照射によって、照射30分経過後から抗菌性・防黴性・抗ウイルス性の効果を即効的に発現するなど、ターポリン1~8よりも短時間で抗菌性・防黴性・抗ウイルス性を発現し、しかもこれらの効果をさらに増強した。またターポリン3,4,7,8に可視光線励起型のラジカル発生層(2)を付帯するターポリン13~16は、可視光照射によって、照射30分経過後から抗菌性・防黴性・抗ウイルス性の効果を即効的に発現するなど、ターポリン1~8よりも短時間で抗菌性・防黴性・抗ウイルス性を発現し、しかもこれらの効果をさらに増強した。ラジカル発生層は紫外線励起、または可視光線励起によって、菌・黴の細胞膜へのラジカル酸化攻撃を行って細胞膜を破壊し死滅させ、菌・黴の増殖を抑止した。この作用はイオン液体化合物の作用(実施例1~8:前述の菌・黴の細胞膜を破壊、ウイルスのDNA、RNAの複製を阻害)と相乗的となった。ウイルスに対しては核酸のDNA、またはRNAの二重螺旋をラジカル酸化攻撃して破壊する作用でDNA、RNAの複製を阻害してウイルスの増殖を抑制した。この作用はイオン液体化合物の作用(実施例1~8:前述の菌・黴の細胞膜を破壊、ウイルスのDNA、RNAの複製を阻害)と相乗的となった。そしてターポリン9~16は、ラジカル発生層(1),(2)に含むゾルゲル縮合体の存在によって、ターポリン同士のブロッキング性がターポリン1~8よりも格段優れたものとなった。紫外線励起型、または可視光線励起型のラジカル発生層を片面に付帯するターポリン9~16は、紫外線及び可視光線の照射の無い環境下における抗菌性・防黴性・抗ウイルス性などの性能は、各々の基材であるターポリン1~8と同等で、夜間、暗闇でも抗菌性・防黴性・抗ウイルス性などの効果発現可能なものであった。
[実施例17~32の効果]
カレンダー成型フィルム1~8は、各々ターポリン1~8で用いたフィルムと同一、カレンダー成型フィルム9~16は、各々ターポリン9~16で用いたフィルムと同一(紫外線励起型、または可視光線励起型のラジカル活性層付帯)であるため、これらのフィルムの帯電防止効果、抗菌性・防黴性・抗ウイルス性、及びブロッキング防止効果などは、各々ターポリン1~16と同機構、同等性能である。カレンダー成型フィルム1~16は、ウイルス感染に対する防御空間構築用、間仕切り構築用などに用いることができ、特に〔配合1〕の軟質塩化ビニル樹脂組成物から、三酸化アンチモン(難燃剤)10質量部、及びルチル型酸化チタン(白顔料)5質量部を省略した組成物からカレンダー成型された透明フィルムは、ウイルス感染に対する、パーソナル空間構築用、対人カウンターの間仕切り構築用、フェイスガード(シールド)などの用途に適している。
実施例1のターポリン(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(配合1)の液状エステル化合物(1)30質量部を、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)30質量部に置換し、軟質塩化ビニル樹脂組成物中の可塑剤を4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)60質量部とし、分子中にエーテル結合を有する可塑剤を含有しないこと以外は実施例1と同様として、質量785g/m2のターポリン(17)を得た。得られたターポリンの帯電防止性は実施例1のターポリン(1)よりも劣る7.3×1010Ω/□であったが、抗菌性・防黴性は同等であった。
実施例1のターポリン(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(配合1)のイオン液体化合物(1)、3質量部を省略した以外は実施例1と同様として質量785g/m2のターポリン(18)を得た。得られたターポリンの帯電防止性は実施例1のターポリン(1)よりも劣る8.5×1011Ω/□で、抗菌性・防黴性も劣るものであった。
実施例1のターポリン(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(配合1)のイオン液体化合物(1)、3質量部を18質量部に増量した以外は実施例1と同様として質量785g/m2のターポリン(19)を得た。得られたターポリンの帯電防止性は実施例1のターポリン(1)よりもやや優れた2.2×109Ω/□で、抗菌性・防黴性もやや優れていたが、イオン液体化合物(1)のブリードが顕著となり、ブロッキングを引き起こしていた。
実施例1のターポリン(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(配合1)の4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)30質量部を、フタル酸ジブチル(分子量278)30質量部に変更し、また液状エステル化合物(1)30質量部を、nブタノールにエチレンオキシドを付加したアルコールとアジピン酸との反応によるアジピン酸ジエステル:(エーテル結合2個〔化1〕に相当:分子量378の可塑剤)である液状エステル化合物(5)30質量部に変更した以外は実施例1と同様として質量785g/m2のターポリン(20)を得た。得られたターポリンの帯電防止性は実施例1のターポリン(1)と同等の6.8×109Ω/□で、抗菌性・防黴性・抗ウイルス性も同等であったが、経時的に可塑剤(フタル酸ジブチル)、及び液状エステル化合物(5)のブリードが顕著となり、ブロッキングを引き起こしていた。
※本発明において、数多くある菌種、黴種、ウイルス種のうちの代表的一部に対しての有効性を確認したことでの、抗菌防黴効果、抗ウイルス効果の応用の可能性を提案するのもで、未知を含めたあらゆる菌種、黴種、ウイルス種に対する有効性を示唆するものではない。
Claims (3)
- 少なくともイオン液体化合物、及び分子量390以上、574以下の可塑剤を含有する軟質塩化ビニル樹脂シートであって、この軟質塩化ビニル樹脂シートの一面上に、ゾルゲル縮合体を含むラジカル発生層が設けられていて、前記軟質塩化ビニル樹脂シートに含む前記可塑剤量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し35~90質量部、かつ、前記イオン液体化合物、及び前記可塑剤との併用質量比が、1:100~1:5であって、前記イオン液体化合物が、有機系カチオンと、無機系アニオン、及び/または有機系アニオンとの対イオンで形成され、前記有機系カチオンが、C 1 ~C 12 直鎖アルキル基、または分岐アルキル基を有するもので、イミダゾリウム系、イミダゾリニウム系、ピリジニウム系、ピラゾリウム系、ピロリジニウム系、ピペリジニウム系、アンモニウム系、ホスホニウム系、スルホニウム系、から選ばれた1種以上、かつ前記アニオンが、BF4 -、PF6 -、TaF6 -、NbF6 -、SiF6 -、AlF4 -、AlCl4 -、NO2 -、NO3 -、F-、Cl-、Br-、I-、CN-、AsF6 -、SbF6 -、NbF6 -、TaF6 -、CF3SO2 -、(CF3SO2)2N-、p-CH3PhSO3 -、CH3CO2 -、CH3SO3 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)3C-、C3F7CO2 -、C4F9SO3 -、(C2F5SO2)2N-、(CF3SO2)(CF3CO)N-、(CN)2N-から選ばれた1種以上、であり、さらに前記ラジカル発生層が、紫外線(200nm~399nm)励起または可視光線(400nm~780nm)励起が可能な、酸化チタン、過酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、及び酸化鉄、から選ばれた1種以上の光触媒性金属酸化物であり、かつ、前記ゾルゲル縮合体が、シラノール基含有有機シラン化合物のゾルゲル縮合、またはチタノール基含有有機チタン化合物のゾルゲル縮合によって形成され、前記光触媒性金属酸化物を担持していることを特徴とする帯電防止性抗菌防黴膜材。
- 前記可塑剤が、〔化1〕、〔化2〕から選ばれた1種以上の液状エステル化合物(アルキル鎖中に1個以上のエーテル結合を有する分子量390以上の可塑剤)を30質量%以上含んでいる請求項1に記載の帯電防止性抗菌防黴膜材。
〔化1〕
R(AO)nOOC-X-COO(AO)mR
(式中、Xは:C6H4、C6H8、C6H10、C2H4~C8H16、Rは:C3~15の直鎖または分岐鎖のアルキル基(Rは互いに同一または異なる)、Aは:C2~4のアルキレン基、mとnは1~10の整数(互いに同一または異なる)で表される化合物)
〔化2〕
R1CO(OCH2CH-R2)nCOOR3
(式中、R1及びR3は:C3~15の直鎖または分岐鎖のアルキル基、またはアルケニル基、R2は:H、CH3、C2H5、nは3~20の整数で表される化合物) - 前記軟質塩化ビニル樹脂シートが織物を芯材として含み、この織物が、1)経糸及び緯糸からなる織物、または2)経糸及び左上バイアス糸/右上バイアス糸からなる三軸織物、または3)経糸、緯糸及び左上バイアス糸/右上バイアス糸からなる四軸織物、の何れかである請求項1または2に記載の帯電防止性抗菌防黴膜材。
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