JP6191053B2 - 防虫メッシュシート - Google Patents

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Description

本発明は飛翔性害虫及び衣類害虫の忌避効果を有するメッシュシートに関する。詳しく述べると、本発明の防虫メッシュシートは、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュ、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシート、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーン、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートに関し、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫の飛来抑止や、ヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果などを使い始めから効果的に発現し、長期間安定持続する防虫メッシュシートに関する。
飛翔性害虫や室内害虫の防除対策として、殺虫剤成分が第1の樹脂糸の表面にコーティングされ、共力剤成分が第2の樹脂糸の表面にコーティングされ、これらを編んで又は織って形成した害虫防除ネット(特許文献1)。樹脂製のバリア層(防虫成分不透過層)と、紙製の中間層(防虫成分保持層)と、樹脂製の薬剤徐放層(防虫成分透過層)とがこの順番に積層された三層構造を有する防虫シート(特許文献2)などが開示されている。特に薬剤効果を長期間安定持続させる手段として例えば、防虫剤成分を含浸したシリカ系多孔質粒子をシート状基材に付着させた防虫シート(特許文献3)などが開示されている。しかしこれらのネットやシートでは、殺虫剤成分や防虫剤成分の効果的な放散と、長期間の徐放安定性とのバランスが悪く、使用開始から効果的な有効成分の放散がなされるものは短期間で効果が薄れ、長期間有効成分の放散が安定的であるものは使用開始時の有効成分の放散が不十分であることが多い。
従って、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュ、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシート、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーン、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートなどで、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、ヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を使い始めから効果的に発現し、その効果が安定持続可能な防虫メッシュシートは存在していなかった。
特開2010−057476号公報 特開2012−111707号公報 特開平10−286914号公報
本発明は、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュ、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシート、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーン、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートなどで、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、ヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を使い始めから効果的に発現し、その効果が安定持続可能な防虫メッシュシートの提供を行おうとするものである。
上記課題を解決するために、マルチフィラメント糸条を経糸及び緯糸要素とする粗目織物を基布層として、この粗目織物全面を被覆する熱可塑性樹脂層とで構成された、多数の空隙部を有する可撓性メッシュシートにおいて、空隙部1個あたりの面積を0.25mm〜10mmとし、熱可塑性樹脂層及び前記基布層にピレスロイド系化合物を0.1〜5質量%含み、かつ熱可塑性樹脂層に吸着性粒子を1〜20質量%を含ませることによって、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、及びヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を有し、その効果が安定持続することを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の防虫メッシュシートは、マルチフィラメント糸条を経糸及び緯糸要素とする粗目織物に、ピレスロイド系化合物を付着させる含浸被覆処理が施されている粗目織物を基布層として、この粗目織物全面を被覆する熱可塑性樹脂層とで構成された、多数の空隙部を有する可撓性メッシュシートであって、前記空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有し、前記熱可塑性樹脂層及び前記基布層とのそれぞれに対して前記ピレスロイド系化合物0.1〜5質量%を含み、かつ前記熱可塑性樹脂層に吸着性粒子を1〜20質量%含み、前記吸着性粒子が、ハイドロタルサイト単独、または、シリカ、ゼオライト、及び粘土鉱物から選ばれた1種以上の無機粒子とハイドロタルサイトとの併用であることが好ましい。これによって特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、及びヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を使い始めから効果的に発現し、その効果を安定持続させることができる。
本発明の防虫メッシュシートは、前記ピレスロイド系化合物が、ペルメトリン、シペルメトリン、シフェノトリン、d−フェノトリン、レスメトリン、フラメトリン、アクリナトリン、プレレトリン、デカメスリン、シハロトリン、d−レスメトリン、テフルトリン、エンペントリン、フェンパレレート、エスフェンバレレート、エスビオトリン、フェンプロパトリン、エトフェンプロックス、エムペントリン、テフラメトリン、テラレトリン、トランスフルスリン、トラロメトリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、シフルトリン、ビフェントリン、ブラトリン、アレスリン、d−アレスリン、ピレトリン、d−テトラメスリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、ジメフルトリン、プロフルトリン、シネリン、ジャスモリンから選ばれた1種以上であることが好ましい。これによって特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、及びヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫に対する高い忌避効果を得ることができる。
本発明の防虫メッシュシートは、前記マルチフィラメント糸条を形成するフィラメント表面及びフィラメントとフィラメント間の微細空隙内に前記ピレスロイド系化合物を担持することが好ましい。これによってマルチフィラメント糸条にピレスロイド系化合物が内在し、この内在するピレスロイド系化合物が経時的に熱可塑性樹脂層に移行し、逐次熱可塑性樹脂層から揮散し、害虫に対して忌避効果を発現して失われるピレスロイド系化合物の補填とするサイクルによって長期間安定した忌避効果を得ることができる。
本発明の防虫メッシュシートは、前記粗目織物に、前記ピレスロイド系化合物を付着させる含浸被覆処理が施されていることが好ましい。これによってピレスロイド系化合物を含有する熱可塑性樹脂層内に含む基布層である粗目織物においてもピレスロイド系化合物を内在することによって、この内在するピレスロイド系化合物が経時的に熱可塑性樹脂層に移行し、逐次熱可塑性樹脂層から揮散し、害虫に対して忌避効果を発現して失われるピレスロイド系化合物の補填とするサイクルによって長期間安定した忌避効果を得ることができる。
本発明の防虫メッシュシートは、前記吸着性粒子が、ハイドロタルサイト単独、または、シリカ、ゼオライト、及び粘土鉱物から選ばれた1種以上の無機粒子とハイドロタルサイトとの併用であることが好ましい。これによって、熱可塑性樹脂層から揮散するピレスロイド系化合物の揮散性をコントロールすることで害虫に対する忌避効果を長期間安定持続させることができる。これらの吸着性粒子は熱可塑性樹脂層内で一旦ピレスロイド系化合物を担持し、経時的にピレスロイド系化合物を放散することでピレスロイド系化合物の効果を長期間持続させる。
本発明の防虫メッシュシートは、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、及びヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を有し、その効果が安定持続するので、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュ、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシート、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーン、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートなどに適して使用することができる。本発明の防虫メッシュシートはイエカ類、ヤブカ類、ハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類、及びイガ、コイガ、イッテンコクガ、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、カシノシマメイガなどの小型蛾類などの飛翔性害虫の飛来抑止効果を有し、またヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、イガ、コイガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果も有している。
本発明の防虫メッシュシートの正面と断面の一部を示す図
本発明の防虫メッシュシートは、マルチフィラメント糸条を経糸及び緯糸要素とする粗目織物に、ピレスロイド系化合物を付着させる含浸被覆処理が施されている粗目織物を基布層として、この粗目織物全面を被覆する熱可塑性樹脂層とで構成された、多数の空隙部を有する可撓性メッシュシートであって、空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有し、熱可塑性樹脂層及び前記基布層とのそれぞれに対してピレスロイド系化合物0.1〜5質量%を含み、かつ熱可塑性樹脂層に吸着性粒子を1〜20質量%含み、吸着性粒子が、ハイドロタルサイト単独、または、シリカ、ゼオライト、及び粘土鉱物から選ばれた1種以上の無機粒子とハイドロタルサイトとの併用の構成である。
本発明の防虫メッシュシートにおいて粗目織物全面を被覆する熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を主体としてピレスロイド系化合物と吸着性粒子とを含む組成物による含浸被覆物である。熱可塑性樹脂としては、軟質塩化ビニル樹脂(特に塩化ビニル樹脂ペーストゾル)、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリエステル系共重合体樹脂、フッ素樹脂、フッ素系共重合体樹脂、シリコン樹脂、シリコン系共重合体樹脂など、特に液状のもの(エマルジョンや塗料)が使用でき、これらは単独もしくは、2種以上の併用としてもよい。このとき熱可塑性樹脂層は、粗目織物の表面のみに形成されるものではなく、粗目織物の厚み内部に及んで含浸形成された部分を有する。
本発明において、粗目織物を構成する繊維は具体的に、ケナフ、コットンなどの天然繊維群(短繊維紡績糸条として使用)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ナイロン、ビニロン、アクリル、芳香族ポリエステル系、芳香族ポリアミド系、芳香族ヘテロ環ポリマー(ポリイミダゾール系、ポリオキサゾール系など)の合成繊維群、ガラス、シリカ、バサルト、アルミナ、炭素、ステンレスなどの無機繊維群、及びこれらの混用繊維、芯鞘繊維などが挙げられる。汎用的にはポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ナイロン繊維、ビニロン繊維などによるマルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、テープヤーンの形態である。またポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維などの合成繊維は、繊維紡糸時に任意の着色を施した原着繊維を使用することもできる。
本発明において、粗目織物を構成する繊維糸条の形態は、マルチフィラメント、短繊維紡績、モノフィラメント、スプリットヤーン、テープヤーンなどいずれであってもよいが、特にマルチフィラメントを使用することで得られる防虫メッシュシートの風合いが柔らかくなり、防虫メッシュシートの取り扱い性が格段に向上する。マルチフィラメント糸条の繊度は、250(278dtex)〜2000(2222dtex)デニールの範囲が好ましい。建築養生メッシュ1類や大型シェードには1000(1111dtex)〜2000(2222dtex)デニールの糸条を用いた粗目織物、またはこれら糸条による粗目3本模紗織物が適している。250デニールの糸条の場合、粗目織物を構成する打ち込み密度は10〜22本/1インチ間隔、同様に500デニールの糸条の場合、8〜18本/1インチ間隔、1000デニールの糸条の場合、6〜14本/1インチ間隔、2000デニールの糸条の場合、4〜10本/1インチ間隔である。また建築養生メッシュ2類や窓用ロールスクリーンや家庭用雑貨メッシュシートには250(278dtex)〜1000(1111dtex)デニールの糸条を用いた平織粗目織物が適している。特にマルチフィラメント糸条は、撚りが掛けられるなどしてその断面形状が円形または楕円形の略円弧状の糸条が強度、引き裂き強度的に好ましい。
本発明の基布に使用する粗目織物は織布、編布の何れであってもよい。織布は、平織、綾織、繻子織、模紗織など公知の織布が挙げられるが、中でも平織織布が、得られるメッシュシートの経緯強度及び経緯伸張バランスが同等となり好ましい。織布は経糸条及び緯糸条で織製され、糸条間隙を均等において平行に配置した経糸、及び緯糸を含んで構成された空隙率6〜61%の粗目織物(糸条打込本数8〜40本/inch)であり、空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有していれば、粗目織物の厚さや質量に特に制限はない。このような粗目織布全体に対して、熱可塑性樹脂を主体としてピレスロイド系化合物と吸着性粒子とを含む組成物による含浸・被覆(熱処理を伴う)を施すことで、空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有する(空隙率5〜60%)防虫メッシュシートを得ることができる。得られる防虫メッシュシートの空隙部1個あたりの面積が0.25mm未満だと通気性と採光性を悪くすることがあり、また空隙部1個あたりの面積が10mmを越えると空隙部から飛翔性害虫や衣類害虫が侵入することがある。本発明の防虫メッシュシートは空隙部1個あたりの面積が特に1mm〜5mmを有し、空隙部の総和面積率である空隙率が10〜40%を満たすことが好ましい。空隙率は粗目織物の任意の単位面積領域に占める空隙部の総和面積率で、空隙部の総和面積は、単位面積領域に存在する糸条実体部の総和面積を求め、単位面積から差し引いた値で求められる。具体的には1インチ四方の粗目織物のデジタル画像をコンピューターに取り込み、糸条実体部と空隙部分との面積を画像計算する方法が挙げられる。また糸条の幅と、糸条の配置密度の設計から理論値として計算した値であってもよい。
これら粗目織物にはピレスロイド系化合物を付着させる含浸被覆処理が施されていることが好ましい。これによってピレスロイド系化合物を含有する熱可塑性樹脂層内に含む基布層である粗目織物においてもピレスロイド系化合物を内在することによって、この内在するピレスロイド系化合物が経時的に熱可塑性樹脂層に移行し、逐次熱可塑性樹脂層から揮散し、害虫に対して忌避効果を発現して失われるピレスロイド系化合物の補填とするサイクルによって長期間安定した忌避効果を得ることができる。特にこのピレスロイド系化合物を、マルチフィラメント糸条を経糸及び緯糸要素とする粗目織物に付着させる含浸被覆処理において、マルチフィラメント糸条を形成するフィラメント表面及びフィラメントとフィラメント間の微細空隙内にピレスロイド系化合物を担持させることによって、マルチフィラメント糸条にピレスロイド系化合物が内在し、この内在するピレスロイド系化合物が経時的に熱可塑性樹脂層に移行して上記の補填サイクルを構成して長期間安定した忌避効果の持続に寄与する。具体的なピレスロイド系化合物については次に後述する。また粗目織物には特にマルチフィラメント糸条の断面からの水の毛管現象による浸入を防止するための撥水処理、また、着炎時に自己消火性を付与するための防炎処理、あるいは被覆樹脂層との密着性を向上させるための接着剤処理を施すこともできる。
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂層の質量に対してピレスロイド系化合物を0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜2.5質量%含む。熱可塑性樹脂層の質量に対するピレスロイド系化合物の含有量が0.1質量%未満だと飛翔性害虫や衣類害虫の忌避効果が不十分となることがあり、また熱可塑性樹脂層の質量に対して5質量%を越えても飛翔性害虫や衣類害虫の忌避効果の比例的効果が得られない。また基布層には、基布層の質量に対してピレスロイド系化合物を0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜2.5質量%含む。ピレスロイド系化合物は、合成ピレスロイドとしてペルメトリン(C2120Cl)、シペルメトリン、シフェノトリン(C2425NO)、d−フェノトリン(C2326)、レスメトリン(C2225)、フラメトリン(C1822)、アクリナトリン、プレレトリン、デカメスリン、シハロトリン、d−レスメトリン、テフルトリン(C1717ClF)、エンペントリン、フェンパレレート、エスフェンバレレート、エスビオトリン、フェンプロパトリン、エトフェンプロックス(ベクトロン:C2528)、エムペントリン、テフラメトリン、テラレトリン、トランスフルスリン、トラロメトリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、シフルトリン(C2218ClFNO)、ビフェントリン(C2322ClF)、ブラトリン(C1821Cl)、アレスリン、d−アレスリン、ピレトリン、d−テトラメスリン(フタルスリン:C1925NO)、トランスフルトリン、メトフルトリン(C1820)、ジメフルトリン、プロフルトリン(C1718)、シネリン、ジャスモリンから選ばれた1種以上の殺虫性有機化合物である。また天然ピレスロイドとして菊酸、ピレトリン、シネリン、ジャスモリンなどの殺虫性有機化合物であってもよい。
熱可塑性樹脂層には、熱可塑性樹脂層の質量に対して吸着性粒子を1〜20質量%、好ましくは2.5〜10質量%含むことによって、熱可塑性樹脂層から揮散するピレスロイド系化合物の揮散性をコントロールすることで害虫に対する忌避効果を長期間安定持続させることができる。これらの吸着性粒子は熱可塑性樹脂層内で一旦ピレスロイド系化合物を担持し、経時的にピレスロイド系化合物を放散することでピレスロイド系化合物の効果を長期間持続させる。熱可塑性樹脂層の質量に対する吸着性粒子の含有量が1質量%未満だと吸着性粒子の担持量が不足してピレスロイド系化合物の揮散過多を抑止する効果が不十分となり、また熱可塑性樹脂層の質量に対して20質量%を越えると、ピレスロイド系化合物の揮散過多を抑止する効果は頭打ちとなる。
吸着性粒子としては、シリカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト、及び粘土鉱物から選ばれた1種以上であることが好ましい。シリカはケイ酸ナトリウムと鉱酸及び塩類による湿式法で得られた非晶質含水シリカで、吸油量90〜360cm/100g(JIS-K5101準拠)の多孔質合成シリカで、空孔サイズは25Å〜250Å、平均粒子径が1μm〜5μmの無定形が好ましい。ゼオライトは三次元骨格構造を有するアルミノシリケートであり、一般式としては、XM/nO・Al・YSiO・ZHOで表示される。このときMはイオンを表し1価又は2価の金属イオンである。nは金属イオンの原子価である。Xは金属酸化物の係数、Yはシリカの係数、Zは結晶水の数を表す。ゼオライトの具体例としては、例えば、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、T型ゼオライト、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデナイト、アナルサイム、クリノプチロライト、チャバサイト、エリオナイトなどが挙げられる。これらの合成ゼオライトの平均粒径は0.1μm〜2.5μmが好ましい。ゼオライト及びシリカはシランカップリング剤により表面処理が施され表面に官能基を保持するものであってもよい。ハイドロタルサイトは層状複水酸化物で、M2+ 3+ (OH)2x+2yy/n・zHOの一般式で表される不定比化合物であり好ましいハイドロタルサイトはMgAl(OH)16CO・4HOの一般式である。粘土鉱物としては、フッ素雲母、モンモリロナイト、スメクタイト、サポナイト、ハイデライト、ノントライト、ヘクトライト、スティブンサイト、バーミキュライト、ハロサイトなどが挙げられる。特にフッ素雲母はNa四珪素雲母を有機交換処理した平均粒子径10〜30μmのフッ素四珪素雲母が好ましく、モンモリロナイトは、(Al2−yMg)Si10(OH)・(M1/2 2+nHO式で表される平均粒子径0.1〜2.0μmの2八面体型含水層状珪酸塩鉱物が好ましい。(y=0.2〜0.6、M=交換性陽イオンNa, K, Ca, Mg, Hなど、n=層間水の量)、スメクタイトは、シリカ四面体(四配位)とアルミ八面体(六配位)が交互に層状となる構造で、シリカ/アルミが2:1の比率、平均粒子径0.1〜2.0μmが好ましい。これら粘土鉱物の陽イオン交換量は、10〜300ミリ当量/100gのものが好ましい。
熱可塑性樹脂層の厚さは0.01〜0.5mm、特に0.1〜0.35mmが好ましい。本発明において、粗目織物に熱可塑性樹脂層を設けた防虫メッシュシートは、粗目織物に対して液状の熱可塑性樹脂組成物によるディッピングやコーティングによる含浸被覆によって形成される。液状の熱可塑性樹脂としては、エマルジョン樹脂、デイスパージョン樹脂などの水分散形態、熱可塑性樹脂を有機溶媒中に可溶化した塗料形態、及び塩化ビニル樹脂ペーストゾルなどの使用で、ピレスロイド系化合物及び吸着性粒子を含み、この溶液中に粗目織物を浸漬し、粗目織物に液状の熱可塑性樹脂組成物を含浸被覆し、これを乾燥熱処理することで、熱可塑性樹脂層及び基布層にピレスロイド系化合物0.1〜5質量%を含み、熱可塑性樹脂層には吸着性粒子を1〜20質量%含むメッシュシートを得ることができる。また、粗目織物は別途ピレスロイド系化合物の付着処理を施したものを使用してもよい。このようにして得られた防虫メッシュシートは空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有する(空隙率5〜60%)メッシュシートを得ることができる。得られる防虫メッシュシートの空隙部1個あたりの面積が0.25mm未満だと通気性と採光性を悪くすることがあり、また空隙部1個あたりの面積が10mmを越えると空隙部から飛翔性害虫や衣類害虫などが侵入することがある。本発明の防虫メッシュシートは空隙部1個あたりの面積が特に1mm〜5mmを有し、空隙部の総和面積率である空隙率が10〜40%を満たすことが好ましい。特に熱可塑性樹脂層の表面に、微粒子シリカ(特にコロイダルシリカ)、光触媒性物質(特に二酸化チタン)、有機シリケート化合物(メチル、またはエチルシリケートの加水分解縮合物)から選ばれた1種以上による薄膜を形成することによって汚れ防止性に優れた防虫メッシュシートを得ることができる。
本発明による防虫メッシュシートの使用は、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュで、そのサイズが、幅60〜200cm、長さ300〜600cmの規格であり、その周縁に肉厚補強された幅3〜6cmの周縁帯を有し、かつ、この周縁帯中央部に20〜40cmの等間隔(例えば30cm)でハトメを有するものである。周縁帯はメッシュシートを幅3〜6cmで折り返し、その間に幅3〜6cmの帯状の、ターポリン(ポリエステル繊維織物の両面に塩化ビニル樹脂フィルムを積層)、テープヤーン熱融着クロス(芯鞘テープヤーン)、テープヤーンクロス積層体(テープヤーンクロスの片面以上にポリエチレンフィルムなどを熱ラミネート)の何れかと、ハトメの係止ロープとを挟み込み、ミシン縫製または高周波溶着により袋綴じを行って形成される。ハトメはメッシュシート同士の連結に使用する、結束バンドまたは結束ロープの通し穴として機能し、ハトメの材質は真鍮製、または樹脂製の何れであってもよい。
本発明による防虫メッシュシートの使用は、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシェードで、窓サッシ部を庇覆いするようにして角度40〜90°で固定して使用される。使用形態は、専用フックやロープの固定装備により一夏常設するタイプ、巻取式シェードの形態で日照時間や日照の強弱に合わせて、メッシュシートを引き出し手摺フレームなどにフック固定したり、フック固定を外して巻取収納したりするタイプの何れであってもよい。メッシュシェードの設置は窓サッシフレームを基礎固定(フック式またはロープ式)とし、伸長方向先端部をベランダの手摺や物干し台などのフレームにデッキ固定(フック式またはロープ式)する。メッシュシェードは幅方向1m〜2.5m×長手方向1.5m〜2.5m程度のサイズがマンションのベランダ設置に適し、特に幅方向2m前後×長手方向2m前後のサイズが取り扱い性に優れ好ましい。メッシュシェード周側部には折り畳み縫製、芯補強縫製、熱可塑性樹脂シート、プラスチックフレームなどによる縁取補強加工が施され、これら縁取補強加工部分に装着フックやデッキ固定金具、ロープ固定のためのハトメ穴が設けられていることが好ましい。
本発明による防虫メッシュシートの使用は、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーンとして用いるメッシュシェードで、窓サッシ部全面を覆うことができる状態で、室内側もしくは室外側の窓サッシ上部に固定して使用され、巻取式のロールスクリーン(幅方向0.5m〜1.5m×長手方向0.5m〜1.5m程度)、またはタテ型スラット(幅方向5cm〜15cm×長手方向0.5m〜1.5m程度)の開閉式ブラインド、ヨコ型スラット(幅方向0.5m〜1.5m×長手方向5cm〜15cm程度)の開閉式ブラインドの何れであってもよい。ロールスクリーンやスラット周側部にはミシン縫製、樹脂加工などによるほつれ防止加工が施されていることが好ましい。
本発明による防虫メッシュシートは、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートに使用し、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫の飛来抑止効果や、ヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を得ることができる。これらの家庭雑貨シートの形態やサイズには特に限定は無く、幅1.0m〜2.0m×長さ1.0m〜5.0mの大型長尺メッシュシートの形態で販売し、ユーザーが使用目的に応じたサイズで使用するもの、予めクローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の寸法に合わせてサイズ化されたもの、など自在である。
本発明のる防虫メッシュシート(1)について図1により説明する。図1はメッシュシート(1)本発明の防虫メッシュシートの正面と断面の一部を示す図で、粗目織物(2)を基布として含み、その表裏全面を被覆する熱可塑性樹脂層(3)とで構成され、熱可塑性樹脂層(3)に、ピレスロイド系化合物(4)及び吸着性粒子(5)を含むものである。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記実施例及び比較例において、試験シートによる飛翔性害虫の忌避効果、及び衣類害虫の忌避効果は下記の試験方法により測定し、評価した。
1)飛翔性害虫の忌避効果(KT50)
試験1−1
6cm×6cmの正方形のシート片を直径8.5cmのガラスシャーレ内に敷き、蓋を被せた状態で25℃の環境に30分間馴染ませた。このシャーレ内にユスリカ(揺蚊)の成虫10匹を放ち、この時点からノックダウンしたユスリ蚊の数の計測を開始し、ユスリカのノックダウン数が半数の5匹目となった時間(秒)を「KT50値」として求め、この値が小さいほど防虫効果=忌避効果が高いものと判断した。
※KT50=Median knock-down time(50%の供試虫が抑転(生死に拘らず起き上がれなくなる)に要する時間。)
試験1−2
上記試験1後のシート片を6月〜8月の3ヶ月間室内に放置した。このシート片を用いて再度試験1と同じ試験を行い、ユスリカに対する忌避効果「KT50値」を求め、この値が小さいほど防虫効果=忌避効果が高いものと判断した。
2)衣類害虫の忌避効果(KT50)
試験2−1
6cm×6cmの正方形のシート片を直径8.5cmのガラスシャーレ内に敷き、蓋を被せた状態で25℃の環境に30分間馴染ませた。このシャーレ内にヒメカツオブシムシの幼虫10匹を放ち、この時点からノックダウンしたヒメカツオブシムシの幼虫の数の計測を開始し、ヒメカツオブシムシの幼虫のノックダウン数が半数の5匹目となった時間(秒)を「KT50値」として求め、この値が小さいほど防虫効果=忌避効果が高いものと判断した。
※KT50=Median knock-down time(50%の供試虫が抑転(生死に拘らず起き上がれなくなる)に要する時間。)
試験2−2
上記試験1後のシート片を6月〜8月の3ヶ月間室内に放置した。このシート片を用いて再度試験1と同じ試験を行い、ヒメカツオブシムシの幼虫に対する忌避効果「KT50値」を求め、この値が小さいほど防虫効果=忌避効果が高いものと判断した。
[実施例1]
1)ポリエステルのマルチフィラメント糸条750d(833dtex)/3本模紗を経緯糸条として、経糸条8本/インチ、緯糸条8本/インチの打ち込みで製織した粗目模紗織物(質量175g/m:空隙率25%:空隙部面積1.0mm)を基布に用いた。〈基布1〉
2)次に基布1を被覆する熱可塑性樹脂層形成用に下記配合1の軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾルを配合調整した。
<配合1;熱可塑性樹脂層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成>
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(可塑剤) 65質量部
Ba−Zn系複合安定剤 1.5質量部
炭酸カルシウム(充填材) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.3質量部
酸化チタン(顔料) 5質量部
2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾール(防黴剤) 0.2質量部
ピレスロイド系化合物(ペルメトリン) 3質量部
シリカ(吸着性粒子として空孔サイズ210Å、平均粒子径1.4μmの無定形多孔質
合成シリカ) 10質量部

ペルメトリン

3)基布1を上記[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル浴中に浸漬し、基布1にペースト塩化ビニル樹脂組成物を含浸被覆させ、これを引き上げると同時に1対のゴムロールで圧搾した後、180℃の熱風乾燥炉内で2分間熱処理を行い、ペースト塩化ビニル樹脂組成物をゲル化させて基布1の表裏全面に熱可塑性樹脂層を形成し質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
[実施例2]
実施例1の[配合1]を下記[配合2]に変更した以外は実施例1と同様にして質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
<配合2;熱可塑性樹脂層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成>
*[配合1]と同じ組成物、但し[配合1]のピレスロイド系化合物(ペルメトリン)3質量部のみを下記[配合2]用ピレスロイド系化合物(フラメトリン)3質量部に変更した。

フラメトリン
[実施例3]
実施例1の[配合1]を下記[配合3]に変更した以外は実施例1と同様にして質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
<配合3;熱可塑性樹脂層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成>
*[配合1]と同じ組成物、但し[配合1]のピレスロイド系化合物(ペルメトリン)3質量部のみを下記[配合3]用ピレスロイド系化合物(レスメトリン)3質量部に変更した。

レスメトリン
[実施例4]
実施例1の基布1を下記基布2に変更した以外は実施例1と同様にして、配合1による熱可塑性樹脂層を設け、質量427g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
〈基布2〉
基布1にペルメトリンを含浸被覆処理した粗目模紗織(質量176.5g/m:空隙率25%:空隙部面積1.0mm
※ペルメトリン10質量%濃度のメチルエチルケトン溶液浴中に基布1を浸漬し、基布1にペルメトリンを含浸被覆させ、これを引き上げると同時に1対のゴムロールで圧搾した後、100℃の熱風乾燥炉内で1分間熱処理を行った。(基布1に対するペルメトリン含有率0.85質量%)
[実施例5]
実施例2の基布1を下記基布3に変更した以外は実施例1と同様にして、配合2による熱可塑性樹脂層を設け、質量427g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
〈基布3〉
基布1にフラメトリンを含浸被覆処理した粗目模紗織(質量176.5g/m:空隙率25%:空隙部面積1.0mm
※フラメトリン10質量%濃度のメチルエチルケトン溶液浴中に基布1を浸漬し、基布1にフラメトリンを含浸被覆させ、これを引き上げると同時に1対のゴムロールで圧搾した後、100℃の熱風乾燥炉内で1分間熱処理を行った。(基布1に対するフラメトリン含有率0.85質量%)
[実施例6]
実施例3の基布1を下記基布4に変更した以外は実施例1と同様にして、配合3による熱可塑性樹脂層を設け、質量427g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
〈基布4〉
基布1にレスメトリンを含浸被覆処理した粗目模紗織(質量176.5g/m:空隙率25%:空隙部面積1.0mm
※レスメトリン10質量%濃度のメチルエチルケトン溶液浴中に基布1を浸漬し、基布1にレスメトリンを含浸被覆させ、これを引き上げると同時に1対のゴムロールで圧搾した後、100℃の熱風乾燥炉内で1分間熱処理を行った。(基布1に対するレスメトリン含有率0.85質量%)
[実施例7]
実施例1で用いた基布1を下記基布5に変更した以外は実施例1と同様にして、配合1による熱可塑性樹脂層を設け、質量378g/m:空隙率32%:空隙部面積2.2mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は216g/mであった。
〈基布5〉
ポリエステルのマルチフィラメント糸条1000d(1111dtex)を経緯糸条として、経糸条10本/インチ、緯糸条10本/インチの打ち込みで製織した粗目平織物(質量162g/m:空隙率34%:空隙部面積2.3mm)を基布に用いた。
[実施例8]
実施例1で用いた基布1を下記基布6に変更した以外は実施例1と同様にして、配合1による熱可塑性樹脂層を設け、質量130g/m:空隙率26%:空隙部面積0.25mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は64g/mであった。
〈基布6〉
ポリエステルのマルチフィラメント糸条250d(278dtex)を経緯糸条として、経糸条26本/インチ、緯糸条28本/インチの打ち込みで製織した粗目平織物(質量66g/m:空隙率27%:空隙部面積0.3mm)を基布に用いた。
[実施例9]
実施例1で用いた基布1を下記基布7に変更した以外は実施例1と同様にして、配合1による熱可塑性樹脂層を設け、質量160g/m:空隙率58%:空隙部面積9.0mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は83g/mであった。
〈基布7〉
ポリエステルのマルチフィラメント糸条250d(278dtex)/3本模紗を経緯糸条として、経糸条7本/インチ、緯糸条7本/インチの打ち込みで製織した粗目平織物(質量77g/m:空隙率60%:空隙部面積10mm)を基布に用いた。
[実施例10]
実施例1の[配合1]を下記[配合4]に変更した以外は実施例1と同様にして質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
<配合4;熱可塑性樹脂層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成>
*[配合1]と同じ組成物、但し吸着性粒子として[配合1]のシリカ10質量部のみを下記[配合4]用A型ゼオライト(平均粒子径1.2μm)10質量部に変更した。
[実施例11]
実施例1の[配合1]を下記[配合5]に変更した以外は実施例1と同様にして質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。熱可塑性樹脂層の質量は250g/mであった。
<配合5;熱可塑性樹脂層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂ゾル組成>
*[配合1]と同じ組成物、但し吸着性粒子として[配合1]のシリカ10質量部のみを下記[配合5]用モンモリロナイト(平均粒子径0.3μmの粘土鉱物)10質量部に変更した。
実施例1〜10で得たメッシュシートは何れもユスリカ及びヒメカツオブシムシの幼虫
の忌避効果を有するもので、その3ヶ月後の忌避効果(屋内)にも優れていた。この効果は本発明の熱可塑性樹脂層と基布層において用いる「ピレスロイド系化合物」と熱可塑性樹脂層に用いる「吸着性粒子」の組み合わせによる相互作用によって初めて得られたものである。
[比較例1]
実施例1のメッシュシートの熱可塑性樹脂層から「ピレスロイド系化合物3質量部」を省略した以外は実施例1と同様として質量425g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。
[比較例2]
実施例1のメッシュシートの熱可塑性樹脂層から「シリカ(吸着性粒子)10質量部」を省略した以外は実施例1と同様として質量427g/m:空隙率23%:空隙部面積0.9mmのメッシュシートを得た。
[比較例3]
実施例1のメッシュシートの基布1を下記基布8に変更した以外は実施例1と同様にして、配合1による熱可塑性樹脂層を設け、質量103g/m:空隙率71%:空隙部面積24mmのメッシュシートを得た。
〈基布8〉
ポリエステルのマルチフィラメント糸条750d(833dtex)/3本模紗を経緯糸条として、経糸条3本/インチ、緯糸条3本/インチの打ち込みで製織した粗目模紗織物(質量60g/m:空隙率72%:空隙部面積25mm)を基布に用いた。
比較例1のメッシュシートはユスリカ及びヒメカツオブシムシの幼虫の忌避効果(以下防虫効果という)が欠如し、比較例2のメッシュシートは室内3ヶ月後の防虫効果が不十分であった。また比較例3のメッシュシートは空隙部の面積が大き過ぎるため防虫効果が欠如し、しかも空隙部からユスリカやヒメカツオブシムシの幼虫が通り抜けるなど、害虫の侵入対策に不適切なものであった。
本発明により得られる防虫メッシュシートは、特に蚊や蛾などの飛翔性害虫、及びヒメカツオブシムシ、イガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果を有し、その効果が安定持続するので、1)ビルやマンションなどの建築工事・修繕工事の現場に張囲して用いる養生メッシュ、2)家屋やマンションのバルコニーやベランダに取付して採光日除として用いるメッシュシート、3)公共施設、大型商業施設、オフィス、ホテルなどの宿泊施設、などの室内窓用日除スクリーン、4)クローゼット、押入、衣類タンス、下駄箱など収納家具の中敷などに用いる家庭雑貨シートなどに適して使用することができる。本発明の防虫メッシュシートはイエカ類、ヤブカ類、ハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類、及びイガ、コイガ、イッテンコクガ、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、カシノシマメイガなどの小型蛾類などの飛翔性害虫の飛来抑止効果を有し、またヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、イガ、コイガなどの幼虫で衣類を食い荒らす害虫の忌避効果も有している。本発明の防虫メッシュシートは長期使用で飛翔性害虫の飛来抑止効果が減衰したとしても、通常のメッシュシートの物理的性能は保持するので建築養生メッシュ、ベランダの採光日除、室内窓用日除スクリーンなどの用途のまま使用継続することに何の支障も有さない。
1:メッシュシート
1−1:空隙部
2:粗目織物(基布層)
3:熱可塑性樹脂層
4;ピレスロイド系化合物
5:吸着性粒子

Claims (3)

  1. マルチフィラメント糸条を経糸及び緯糸要素とする粗目織物に、ピレスロイド系化合物を付着させる含浸被覆処理が施されている粗目織物を基布層として、この粗目織物全面を被覆する熱可塑性樹脂層とで構成された、多数の空隙部を有する可撓性メッシュシートであって、前記空隙部1個あたりの面積0.25mm〜10mmを有し、前記熱可塑性樹脂層及び前記基布層とのそれぞれに対して前記ピレスロイド系化合物0.1〜5質量%を含み、かつ前記熱可塑性樹脂層に吸着性粒子を1〜20質量%含み、前記吸着性粒子が、ハイドロタルサイト単独、または、シリカ、ゼオライト、及び粘土鉱物から選ばれた1種以上の無機粒子とハイドロタルサイトとの併用であることを特徴とする防虫メッシュシート。
  2. 前記ピレスロイド系化合物が、ペルメトリン、シペルメトリン、シフェノトリン、d−フェノトリン、レスメトリン、フラメトリン、アクリナトリン、プレレトリン、デカメスリン、シハロトリン、d−レスメトリン、テフルトリン、エンペントリン、フェンパレレート、エスフェンバレレート、エスビオトリン、フェンプロパトリン、エトフェンプロックス、エムペントリン、テフラメトリン、テラレトリン、トランスフルスリン、トラロメトリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、シフルトリン、ビフェントリン、ブラトリン、アレスリン、d−アレスリン、ピレトリン、d−テトラメスリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、ジメフルトリン、プロフルトリン、シネリン、ジャスモリンから選ばれた1種以上である請求項1に記載の防虫メッシュシート。
  3. 前記マルチフィラメント糸条を形成するフィラメント表面及びフィラメントとフィラメント間の微細空隙内に前記ピレスロイド系化合物を担持する請求項1または2に記載の防虫メッシュシート。
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