JP3704834B2 - 車両の助手席用エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の助手席用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の前方のインストルメントパネルに配設される助手席用エアバッグ装置は、図8に示すように、円筒形状のインフレータ11および折り畳まれた状態のエアバッグ(図示は省略)等を含むエアバッグユニットを収容するためのモジュールカン(エアバッグケース)10を備えている。このモジュールカン10は、長手方向の両側面が閉止されたほぼ円筒形状とされており、エアバッグを膨出・展開させるための矩形状の開口部12を備えている。
【0003】
そして、車両が正面衝突等により急減速すると、エアバッグユニット内の起動装置が作動して、インフレータ11内に封入されたガス発生物質が大量のガスを発生し、このガスがインフレータ11の周面に形成されたガス孔13を通ってエアバッグ内に流入し、エアバッグを急激に膨張させる。モジュールカン10の開口部12は、脆弱部であるティアラインを備えたリッド部材(図示は省略)で覆われており、急激に膨張したエアバッグがリッド部材をティアラインに沿って破断して、助手席に着座する乗員に向かって膨出・展開して、車両急減速時の衝撃から乗員を保護するように構成されている。
【0004】
ところで、上述したエアバッグ装置において、モジュールカン10の開口部12の上縁部12aと下縁部12bとが、エアバッグの膨出動作により上下方向へ変位(口開き変形)して、周囲のインストルメントパネル部分まで変形させてしまうという問題があり、この対策として、例えば特開平4−151347号公報に開示されているように、モジュールカン10の開口縁部の上縁および下縁に沿って補強用フランジを設けることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エアバッグが動作しない程度の車両減速によって乗員の頭部がエアバッグ装置のリッド部材およびその上方のインストルメントパネル部分に強く当接した場合に、モジュールカン10の開口縁部が補強用フランジ等によって強固に補強されている構造では、衝撃吸収性をさらに向上させ得る余地が残されている。
【0006】
また、補強用フランジがモジュールカン10の開口縁部から上下に突出していると、インストルメントパネルのデザインが制約を受けるという問題もある。
【0007】
上述の事情に鑑み、本発明は、モジュールカンの開口縁部の口開き変形の防止を図りつつ、衝撃緩和性をさらに向上させることができる車両の助手席用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による車両の助手席用エアバッグ装置は、請求項1に記載したように、エアバッグユニットを収容しかつ車両後方に向かって開口したモジュールカンの開口縁部またはその近傍に、該開口縁部の口閉じ方向には変位自在とされ、かつ前記開口縁部の口開き方向には変位が拘束された補強部材が取り付けられており、前記補強部材は、前記モジュールカンの開口縁部の上部側の下方への変位を許容し得るように設けられていて、前記モジュールカンの開口縁部の内側において、該開口縁部との間にエアバッグ端部を挟んで設けられたリテーナリングよりなるとともに、底板部とこの底板部の両端に設けられた一対の垂直板部とよりなる下方部材と、天板部とこの天板部の両端に設けられた一対の垂直板部とよりなる上方部材とよりなり、かつ該上方部材の垂直板部と前記下方部材の垂直板部とが、前記上方部材の各垂直板部にそれぞれ形成された上下方向に長い透孔の下端に挿通された係止部材によって係止されて、前記上方部材の下方への変位が許容されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載したように、上記モジュールカンの側壁部に、このモジュールカンの開口縁部の口閉じ方向への変位を容易にする脆弱部を設けることが好ましい。
【0010】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明によれば、モジュールカンの開口縁部またはその近傍に、この開口縁部の口閉じ方向には変位自在とされ、かつ前記開口縁部の口開き方向には変位拘束された補強部材が取り付けられていることにより、モジュールカンの開口縁部の口開き変形の防止を図りつつ、エアバッグが動作しない程度の車両減速によって乗員の頭部がエアバッグ装置のリッド部材およびその上方のインストルメントパネル部分に強く当接した場合の衝撃緩和性をさらに向上させることができる。
【0011】
また、上記補強部材が、モジュールカンの開口縁部の上部側の下方への変位を許容し得るように設けられていることにより、上記衝撃緩和作用を確実に行なわせることができる。
【0012】
また、上記補強部材が、モジュールカンの開口縁部との間にエアバッグ端部を挟んで設けられるリテーナリングを兼用することにより、補強部材を設けたことによる部品点数の増加を防ぐことができる。
【0013】
また、補強部材の上方部材の垂直板部と下方部材の垂直板部とが、上方部材の各垂直板部にそれぞれ形成された上下方向に長い透孔の下端に挿通された係止部材によって係止されているので、下方部材に対する上方部材の上方への変位が拘束されるとともに、モジュールカンの開口縁部に上方から衝撃が加えられると、上方部材は係止部材が長い透孔の上端に達する位置まで下方へ移動することができるから、簡単な構成によって上記効果を奏し得る。
【0014】
請求項2に記載した発明によれば、モジュールカンの側壁部に、このモジュールカンの開口縁部の口閉じ方向への変位を容易にする脆弱部を設けることにより、上記衝撃緩和作用が助長される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明によるエアバッグ装置の概略構成を示す縦断面図、図2は補強部材を正面断面図、図3は補強部材の平面図、図4は補強部材の側面図である。
【0017】
このエアバッグ装置は、車両の助手席の前方に配設されたインストルメントパネルに設けられるもので、図1に示すように、円筒形状のインフレータ21および折り畳まれた状態のエアバッグ22等を含むエアバッグユニットを収容するためのモジュールカン(エアバッグケース)20を備えている。
【0018】
モジュールカン20の開口縁部の車室側には、裏面に断面形状がV字状の谷をなすティアライン30aを備えた合成樹脂材よりなるリッド部材30が配置され、エアバッグ22の膨脹時には、リッド部材30がティアライン30aに沿って破断されるようになっている。
【0019】
モジュールカン20の開口縁部近傍の内側には、エアバッグ22の端部をモジュールカン20の開口縁部の近傍に係止するためのリテーナリングを兼ねる枠状の補強部材23が適当なスペーサ27等を介して取り付けられ、エアバッグ22の端部がモジュールカン20と補強部材23の間に挟まれた態様で固定されている。
【0020】
この補強部材23は、図2〜図4に示すように、正面図で見てコ字状に形成にされた下方部材24と、同じくコ字状に形成された上方部材25とにより構成されている。
【0021】
上記補強部材23の下方部材24は、細長い底板部24aと、この底板部24aの両端から上方へ折り曲げられて形成された一対の垂直板部24b,24bとよりなり、底板部24aの両側縁には、上方へ折り曲げられたフランジ24c,24cが垂直板部24b,24bにまで亘って形成されている。上方部材25は、天板部25aと、この天板部25aの両端から下方へ折り曲げられて形成された一対の垂直板部25b,25bとよりなり、天板部25aの両側縁には、上方へ折り曲げられたフランジ25c,25cが垂直板部25b,25bにまで亘って形成されている。
【0022】
両部材24,25は、各垂直板部24b,25bにおいて、円盤状フランジ26a,26aを両端に備えたピン26(係止部材)によって係止されて枠状に組み付けられているが、下方部材24の各垂直板部24bには、上記ピン26の外径よりやや大きい内径を有するピン挿通孔24dが形成されているが、上方部材25の各垂直板部25bには、上下方向に長い長孔よりなるピン挿通孔25dが形成され、かつ長孔よりなるピン挿通孔25dの下端にピン26が位置する態様で両部材24,25が組み付けられている。
【0023】
したがって、下方部材24に対する上方部材25の上方への変位は拘束されており、これによって、モジュールカン20の開口縁部の上縁部分の口開き方向の変位が規制されている。一方、モジュールカン20の開口縁部の近傍部分に対して上方から所定値以上の圧力が加えられると、上方部材25が距離d(図4)だけ下方へ変位し得ることになり、これによって、モジュールカン20の開口縁部の上縁部分の下方への変位、すなわち口閉じ方向の変位が許容されるように構成されている。
【0024】
本実施の形態は、このような構成を有することにより、モジュールカン20の開口縁部の口開き変形の防止を図りつつ、エアバッグ22が動作しない程度の車両減速によって乗員の頭部がエアバッグ装置のリッド部材30およびその上方のインストルメントパネル部分に強く当接した場合の衝撃緩和性をさらに向上させることができる。
【0025】
また、図1〜図4に示す構成に加えて、例えば図5に示すように、モジュールカン20の開口縁部の近傍の側壁部20a,20aに、比較体大面積の孔28を複数形成してもよい。このような孔28を設けることによって、この部分が脆弱部となるため、モジュールカン20の開口縁部の口開き方向の変位を拘束しつつ、口閉じ方向の変位を助長することができる。
【0026】
あるいは、図1〜図4に示す構成に加えて、図6,図7に示すように、モジュールカン20の側壁部20a,20aのインフレータ21より前方部分を上下2つの部分31,32に分割するとともに、下方部分31の上縁部31aおよび上方部分32の下縁部32aをそれぞれ鉤状に内方へ折り曲げて互いに係合状態とすることによっても、モジュールカン20の開口縁部の口開き方向の変位を拘束しつつ、口閉じ方向の変位を助長することができること明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるエアバッグ装置の概略構成を示す縦断面図
【図2】 補強部材の正面断面図
【図3】 補強部材の平面図
【図4】 補強部材の側面図
【図5】 モジュールカンの側壁部に脆弱部を形成した状態を示す斜視図
【図6】 モジュールカンの側壁部を上下に分割し、かつ互いに係合させた状態を示す斜視図
【図7】 図6における側壁部の構成を示す拡大断面図
【図8】 従来のエアバッグ装置の概略構成を示す斜視図
【符号の説明】
20 モジュールカン
21 インフレータ
22 エアバッグ
23 補強部材
26 ピン(係止部材)
30 リッド部材
Claims (2)
- エアバッグユニットを収容しかつ車両後方に向かって開口したモジュールカン(20)の開口縁部またはその近傍に、該開口縁部の口閉じ方向には変位自在とされ、かつ前記開口縁部の口開き方向には変位が拘束された補強部材(23)が取り付けられており、
前記補強部材(23)は、
前記モジュールカン(20)の開口縁部の上部側の下方への変位を許容し得るように設けられていて、前記モジュールカン(20)の開口縁部の内側において、該開口縁部との間にエアバッグ(22)端部を挟んで設けられたリテーナリングよりなるとともに、底板部(24a)とこの底板部(24a)の両端に設けられた一対の垂直板部(24b,24b)とよりなる下方部材(24)と、天板部(25a)とこの天板部(25a)の両端に設けられた一対の垂直板部(25b,25b)とよりなる上方部材(25)とよりなり、かつ該上方部材(25)の垂直板部(25b)と前記下方部材(24)の垂直板部(24b)とが、前記上方部材(25)の各垂直板部(25b)にそれぞれ形成された上下方向に長い透孔(25d)の下端に挿通された係止部材(26)によって係止されて、前記上方部材(25)の下方への変位が許容されていることを特徴とする車両の助手席用エアバッグ装置。 - 前記モジュールカン(20)の側壁部(20a,20a)に、該モジュールカン(20)の開口縁部の口閉じ方向への変位を容易にする脆弱部(28)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の車両の助手席用エアバッグ装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP25593296A JP3704834B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 車両の助手席用エアバッグ装置 |
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JPH10100830A JPH10100830A (ja) | 1998-04-21 |
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- 1996-09-27 JP JP25593296A patent/JP3704834B2/ja not_active Expired - Fee Related
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