JP3703448B2 - 電子放出素子、電子源基板、表示装置及び電子放出素子の製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源基板、表示装置及び電子放出素子の製造方法 Download PDF

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    • H01J9/027Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes of thin film cathodes

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子放出素子及びそれを電子源として用いた表示装置等の画像形成装置に関し、更に詳しくは表面伝導型電子放出素子の放電抑制に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子放出素子としては熱電子源と冷陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には電界放出型素子(FE型素子)、金属/絶縁層/金属型素子(MIM素子)、表面伝導型電子放出素子(SCE素子)等がある。
【0003】
この中でSCE素子には、基板上に配置された対向する一対の電極に、亀裂を有する導電性薄膜が接続された構成の電子放出素子がある。この電子放出素子は、上記導電性薄膜に予めフォーミングと称される通電処理を施すことによって、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質させて、亀裂を含む電気的に高抵抗な箇所を形成し、その後、素子電極間に電圧を印加して、導電性薄膜面に平行な電流を流すと、上記亀裂および/またはその周辺の電子放出部から電子放出を生じる現象を利用するものである。
【0004】
これに関連した先行技術の文献としては、導電性薄膜をインクジェット装置を用いて形成する素子作成に関しては特開平09−102271号公報(特許文献1)や特開2000−251665号公報(特許文献2)に、これらの素子をXYマトリクス形状に配置した例としては、特開昭64−031332号公報(特許文献3)、特開平07−326311号公報(特許文献4)等に詳述されている。更には配線形成方法に関しては特開平08−185818号公報(特許文献5)や、特開平09−050757号公報(特許文献6)に、駆動方法については特開平06−342636号公報(特許文献7)等に詳述されている。
【0005】
このような電子放出素子の電子放出部は、上記のように、亀裂を含む電気的に高抵抗な箇所であり、電子放出の効率を上昇させるために該亀裂に臨む導電性薄膜の端部に炭素を主成分とする膜を形成するのが好ましい。
【0006】
上記炭素を主成分とする膜を形成する工程は活性化工程と呼ばれている。活性化工程は、例えば、有機物質のガスを含有する雰囲気下で、一対の素子電極間にパルスの印加を繰り返すことで行うことができる。このようにして得られた表面伝導型放出素子としては、例えば特開平09−298029号公報(特許文献8)に開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平09−102271号公報
【特許文献2】
特開2000−251665号公報
【特許文献3】
特開昭64−031332号公報
【特許文献4】
特開平07−326311号公報
【特許文献5】
特開平08−185818号公報
【特許文献6】
特開平09−050757号公報
【特許文献7】
特開平06−342636号公報
【特許文献8】
特開平09−298029号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この様な電子放出素子は、高効率な電子放出素子として大いに期待されているものであるが、フォーミングにおける通電処理によって電子放出部を形成するため、その亀裂部の形態は大きくばらついており、特に亀裂幅が不均一であることから生じる素子の放電現象が発生し、信頼性の高い電子放出素子の製造は困難な状況であった。
【0009】
この導電性薄膜の亀裂幅が不均一であることから生じる素子の放電現象について以下に説明する。
【0010】
図13に電子放出部の拡大図(概念図)を示す。(a)はフォーミング工程後の亀裂部の模式図で、(b)はさらに活性化工程を施した後の亀裂部分(導電性膜134の亀裂及び炭素を主成分とする膜136の間隙)の模式図である。これらの図の夫々において、上は平面図、下は断面図を示している。
【0011】
上述したように、電子放出部の形成は第1にフォーミング工程で導電性薄膜134への通電により行われ(図13(a))、さらに、活性化工程でその亀裂に臨む導電性薄膜134の端部に炭素を主成分とする膜136を形成するが、このとき亀裂部分には数百〜千℃の発熱が起きていると想定され、炭素の堆積と同時に導電性薄膜134の変形または蒸発による導電性薄膜134の亀裂位置の変動も起きる(図13(b))。
【0012】
図13(b)は、亀裂幅が10〜100nm、全体の大きさが1μm以下程度の部分の拡大図であるが、実際の導電性薄膜の大きさは、数十〜数百μmとするのが一般的である。
【0013】
また、表示素子では数千から数百万素子を設けることになる。
【0014】
上述したようにフォーミング工程が通電による亀裂形成であるため、図13(b)に示したような形態ばかりではなく、図14に示すように、大きな幅に広がった部分や島状に亀裂に取り残された残存物や亀裂の本線とは別の枝分かれ部分が出来る場合がある。この様な亀裂状態の導電性薄膜に対して活性化工程で炭素主成分膜の成膜を施しても、上記の島状残存物や枝分かれ部分の導電性薄膜は、大きな形状の変化をすることなくそのまま残ってしまう。
【0015】
我々の研究では、この様な形態の電子放出素子は、電子放出中の放電現象が起こりやすく、活性化中に与えることが出来る電圧の上限が低くなってしまう。また、その後真空加熱などの安定化工程を経て真空の外囲器中で電子放出素子として駆動する場合も全く同様に、放電を起こさないで駆動できる電圧の上限が低くなり、所望の電子放出電流が得られなかったり、または、所望の電子放出電流を得られる電圧を印加し続けた場合、素子放電を起こして電子放出素子が破壊されてしまうこともある。
【0016】
本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決することにあり、素子放電を抑制し、高効率な電子放出素子及びそれを電子源として用いた表示装置等の画像形成装置を提供すること、またそれらの製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の第1は、
基板上に配置された対向する一対の電極と、該一対の電極間に配置され、亀裂を有する導電性薄膜と、少なくとも前記亀裂に臨む前記導電性薄膜の端部に配置され、間隙を有する炭素を主成分とする膜が形成された電子放出素子であって、前記亀裂が、前記亀裂方向の長さの95%以上の領域で、亀裂幅が60nm以上800nm以下かつ前記亀裂幅の最大値と最小値との差が300nm以下であることを特徴とする。
【0018】
また、別の発明は、
基板上に配置された対向する一対の電極と、該一対の電極間に配置され、亀裂を有する導電性薄膜と、少なくとも前記亀裂に臨む前記導電性薄膜の端部に配置され、間隙を有する炭素を主成分とする膜が形成された電子放出素子であって、
前記亀裂の幅が、前記間隙より20nm以上大きいことを特徴とする。
【0019】
また、別の発明は、基板上に配置された対向する一対の電極と、該一対の電極間に配置され、亀裂を有する導電性薄膜と、少なくとも前記亀裂に臨む前記導電性薄膜の端部に配置され、間隙を有する炭素を主成分とする膜が形成された電子放出素子であって、
前記亀裂が、前記亀裂方向の長さの95%以上の領域で、亀裂幅が60nm以上800nm以下かつ前記亀裂幅の最大値と最小値との差が300nm以下であり、かつ、前記亀裂の幅が、前記間隙より20nm以上大きいことを特徴とする。
【0020】
また、上述の発明において、
「前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、12nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が4nm以下であること」、
「前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、10nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が3nm以下であること」、
「前記導電性薄膜が、パラジウムまたは白金を主成分とすること」、
「前記炭素を主成分とする膜は、グラファイト、アモルファスカーボンあるいはそれらの混合物からなること」、
をその好ましい態様として含むものである。
【0021】
ここで前記亀裂方向における両端部を除くとあるのは、導電性薄膜の膜厚を前記亀裂に略沿って測定した場合に、その端は導電性薄膜の途切れる部分であり、膜厚が急速に0になっていく領域であるので、その部分は除くという意味である。
【0022】
上記課題を解決するための本発明の更に別の発明は、
基板上に配置された対向する一対の電極と、該一対の電極間に配置され、亀裂を有する導電性薄膜と、少なくとも前記亀裂に臨む前記導電性薄膜の端部に配置され、間隙を有する炭素を主成分とする膜が形成された電子放出素子の製造方法であって、
前記導電性薄膜の成分を含有する導電性薄膜成分含有液を液滴付与する液滴付与工程を少なくとも含み、
前記液滴付与工程においては、
一箇所につき複数回重ねて液滴付与を行い、
前記一箇所につき複数回行う各液滴付与間に各液滴に含まれる溶媒100重量%のうちの96重量%〜99重量%を蒸発させることを特徴とする。
【0023】
また、
「前記導電性薄膜成分含有液が、金属元素と、アミノ酸基又はアミノアルコール基を含有する有機金属錯体化合物とを少なくとも含有する水溶液であること」、
「前記金属元素が、主成分としてパラジウム又は白金を少なくとも含むこと」、
「前記金属元素が、0.1重量%〜1.0重量%の範囲で前記水溶液に含まれること」、
「前記有機金属錯体化合物が、パラジウム−プロリン錯体または酢酸パラジウム−エタノールアミン錯体であること」、
「前記水溶液が、部分エステル化ポリビニルアルコールを含有すること」、
「前記水溶液が、水溶性多価アルコールを含有すること」、
「前記水溶性多価アルコールが、0.2重量%〜3.0重量%の範囲で前記水溶液に含まれること」、
「前記水溶性多価アルコールが、炭素数が2〜4の範囲の多価アルコールであること」、
「前記水溶性多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのうちのいずれか一つであること」、
「前記水溶液が、一価アルコールを含有すること」、
「前記液滴付与工程においては、
前記導電性薄膜成分含有液を水溶液とし、該水溶液中には、パラジウム−プロリン錯体をパラジウム元素濃度0.1重量%〜0.5重量%で含有し、部分エステル化ポリビニルアルコールを溶液中濃度0.05重量%〜0.5重量%で含有し、エチレングリコールまたはプロピレングリコールまたはその混合物を溶液中濃度0.2重量%〜3.0重量%で含有し、一価アルコールを溶液中濃度0重量%〜30重量%で含有し、
前記一箇所につき複数回行う各液滴付与間の間隔を、2〜10秒に制御すること」、
「前記導電性薄膜を、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、12nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が4nm以下で形成すること」、
「前記導電性薄膜を、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、10nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が3nm以下で形成すること」、
「前記液滴付与をするための液滴付与手段としてインクジェット装置を用いること」、
をその好ましい態様として含むものである。
【0024】
上記課題を解決するための更に別の発明は、
基板上に複数の電子放出素子が配置された電子源基板であって、該電子放出素子が、上記本発明の電子放出素子であることを特徴とする。
【0025】
上記課題を解決するための更に別の発明は、
電子放出素子と該電子放出素子への電圧印加手段とを具備する電子源と、該電子放出素子から放出される電子を受けて発光する発光体とを具備する表示装置であって、前記電子放出素子が、上記本発明の電子放出素子であることを特徴とする。
【0026】
上述したように、通常電子放出部に含まれる亀裂の形態のミクロな構造が不均一であり、放電現象が起こり易い電子放出素子となることが多く見られたが、本発明者らの放電を起こした亀裂形態の詳細な観察結果によると、放電を起こした亀裂部は、導電性薄膜の亀裂幅が小さく、炭素を主成分とする膜が十分に導電性薄膜を覆っていなかったり、または導電性薄膜の島状残存物が存在する確率が非常に高いことが判明した。
【0027】
これらの場合、駆動時の素子耐圧電圧は15〜16Vであった。
【0028】
逆に、素子全体にわたり炭素主成分膜が導電性膜の亀裂表面を覆うようにして間隙を形成し、導電性薄膜がその間隙の位置からある程度の距離を有している場合、素子の耐圧電圧は19〜23V程度あり、例えば表示装置などに用いる電子放出素子として必要な電子放出電流を得るために設定される駆動電圧(14〜16V程度)に対し信頼性を含めて十分な性能を有している電子放出素子が得られる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明者らのより詳細な検討により、炭素主成分膜間の間隙の大きさ(炭素主成分膜−炭素主成分膜間距離、図13(b)の内側の幅)は、活性化電圧にも依存するが、数nm〜40nm程度が良好な電子源特性を示し、該間隙の位置(図13(b)の内側の幅)から導電性薄膜の端部(図13(b)の外側の亀裂)の距離が少なくとも+10nm以上ある場合、上記のような高耐圧素子となることが判明した。これは、導電性薄膜の亀裂幅で規定すると60nm以上の亀裂幅であると言える。また、炭素膜間の間隙が上記数nm〜40nmの範囲外の素子であっても、導電性膜の亀裂の幅が、炭素膜間の間隙より20nm以上大きい電子放出素子の場合、素子の特性が長期間にわたって変化しない(素子の寿命が長い)素子が得られることを我々は確認している。尚、導電性膜の亀裂の幅が、炭素膜間の間隙より20nm以上100nm未満の範囲内で大きいと特に好ましい。また、上述したように亀裂が枝分かれを起こす場合も素子耐圧を低下させる要因となっていたが、導電性薄膜の亀裂が、前記亀裂方向の長さの95%以上の領域で、亀裂幅が60nm以上800nm以下かつ前記亀裂幅の最大値と最小値との差が300nm以下の均一幅である場合、枝分かれがなく素子耐圧の高い電子放出素子を得ることが出来た。
【0030】
また耐圧が高いことを利用し、高圧活性化工程を適用することにより通常より高効率な電子放出素子を得ることもできた。
【0031】
該炭素主成分膜が導電性膜の亀裂表面を被覆し、導電性薄膜の亀裂が、前記亀裂方向の長さの95%以上の領域で、亀裂幅が60nm以上800nm以下かつ前記亀裂幅の最大値と最小値との差が300nm以下であることを特徴とする換言すると、導電性膜の亀裂が均一幅である電子放出素子は、最終的には活性化工程でその形態を決定されるものであるため、その工程条件(印加電圧、炭素源の有機化合物材料、その濃度、他の物質の雰囲気ガス濃度)にも依存するが、フォーミング亀裂形成工程において、枝分かれや数百nm以上の広がった領域を作らず均一な亀裂を形成することが必要条件になる。フォーミング亀裂形成時点で広がった(例えば100nm以上)亀裂形態は、活性化を阻害し良好な電子源特性を得られない場合が多い。
【0032】
この均一なフォーミング亀裂形成に対する非常に有効な手段として
「導電性薄膜が、パラジウムまたは白金を主成分とすること」、
更にその特徴として、
「前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、12nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が4nm以下であること」、
「前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、10nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が3nm以下であること」、
が挙げられる。
【0033】
また、さらに該平坦な導電性薄膜を作成する有効な手段として、
「基板上に配置された対向する一対の電極と、該一対の電極間に配置され、亀裂を有する導電性薄膜と、少なくとも前記亀裂に臨む前記導電性薄膜の端部に配置され、間隙を有する炭素を主成分とする膜が形成された電子放出素子の製造方法において、
前記導電性薄膜の成分を含有する導電性薄膜成分含有液を液滴付与する液滴付与工程を少なくとも含み、
前記液滴付与工程においては、
一箇所につき複数回重ねて液滴付与を行い、
前記一箇所につき複数回行う各液滴付与間に各液滴に含まれる溶媒100重量%のうちの96重量%〜99重量%を蒸発させること」、
「前記導電性薄膜成分含有液が、金属元素と、アミノ酸基又はアミノアルコール基を含有する有機金属錯体化合物とを少なくとも含有する水溶液であること」、「前記金属元素が、0.1重量%〜1.0重量%の範囲で前記水溶液に含まれること」、
「前記有機金属錯体化合物が、パラジウム−プロリン錯体または酢酸パラジウム−エタノールアミン錯体であること」、
「前記水溶液が、部分エステル化ポリビニルアルコールを含有すること」、
「前記水溶液が、水溶性多価アルコールを含有すること」、
「前記水溶性多価アルコールが、0.2重量%〜3.0重量%の範囲で前記水溶液に含まれること」、
「前記水溶性多価アルコールが、炭素数が2〜4の範囲の多価アルコールであること」、
「前記水溶性多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのうちのいずれか一つであること」、
「前記水溶液が、一価アルコールを含有すること」、
「前記液滴付与工程においては、
前記導電性薄膜成分含有液を水溶液とし、該水溶液中には、パラジウム−プロリン錯体をパラジウム元素濃度0.1重量%〜0.5重量%で含有し、部分エステル化ポリビニルアルコールを溶液中濃度0.05重量%〜0.5重量%で含有し、エチレングリコールまたはプロピレングリコールまたはその混合物を溶液中濃度0.2重量%〜3.0重量%で含有し、一価アルコールを溶液中濃度0重量%〜30重量%で含有し、
前記一箇所につき複数回行う各液滴付与間の間隔を、2〜10秒に制御すること」、
が挙げられる。
【0034】
(電子放出素子)
本発明の電子放出素子の具体的な実施形態を、図1に示した概念図を用いて説明する。
【0035】
図1において1は基板に対応するガラス基板、2、3は電極に対応する素子電極、4は亀裂を有する導電性薄膜で、素子電極2、3に接続されている。また、5は導電性薄膜4に形成された亀裂を含む電子放出部であり、本発明はこの亀裂に特徴を有するものである。
【0036】
即ち、本発明においては、前記亀裂が、前記亀裂方向の長さの95%以上の領域で、亀裂幅が60nm以上800nm以下かつ前記亀裂幅の最大値と最小値との差が300nm以下であることを特徴とする。
【0037】
このような亀裂を有する電子放出素子は、亀裂の枝分かれがなく、高耐電圧の電子放出素子となる。また耐圧が高いことを利用し、高圧活性化工程を適用することにより、通常より高効率な電子放出素子を得ることもできる。
【0038】
ここで亀裂方向の長さとは、例えば図1(a)においてはW’に対応する長さであり、亀裂の幅方向に略直交する、亀裂の形成方向における長さを指している。尚、図示の便宜から、導電性薄膜4の形状は、図1(a)においては矩形で示したが、後述のインクジェット装置を用いた液滴付与によって導電性薄膜を形成した場合には、この形状は略円形となる。また、電子放出部5の形状においても、導電性薄膜4の中央に矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
【0039】
基板には、通常、ガラス基板がよく用いられる。その大きさおよびその厚みは、その上に設けられる電子放出素子構造の個数、および個々の電子放出素子の設計形状、および電子源の使用時に真空の外囲器の一部を構成する場合には、その外囲器を真空に保持するための耐大気圧構造等の力学的条件等に依存して適宜設定される。
【0040】
ガラスの材質としては、廉価な青板ガラスを使う事が一般的であるが、この上にナトリウムブロック層として、厚さ0.5μm程度のシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板等を用いる必要がある。この他にナトリウム含有量が少ないガラスや、石英基板でも作成可能である。
【0041】
また素子電極2、3の材料としては、一般的な導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、Au、Mo、Pt、Ru、Ti等の金属やPd−Ag等の金属が好適であり、あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体や、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)等の透明導電体等から適宜選択され、その膜厚は、好ましくは十nmから数μmの範囲が適当である。
【0042】
この時の素子電極間隔L、素子電極長さW、素子電極2、3の形状等は、電子放出素子が応用される形態等に応じて適宜設計されるが、間隔Lは好ましくは数百nmから1mm程度であり、より好ましくは素子電極間に印加する電圧等を考慮して1μmから100μmの範囲である。また、素子電極長さWは、好ましくは電極の抵抗値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲である。
【0043】
さらにこの素子電極は、市販の白金(Pt)等の金属粒子を含有したペーストを、オフセット印刷等の印刷法によって塗布形成する事も可能である。
【0044】
またより精密なパターンを得る目的で、Pt等を含有する感光性ペーストを、スクリーン印刷等の印刷法で塗布し、フォトマスクを用いて露光、現像するという工程でも形成可能である。
【0045】
導電性薄膜の膜厚は、素子電極2、3へのステップカバレージ、素子電極間の抵抗値、および後述するフォーミング処理条件、さらには本発明の目的である電子放出素子の放電耐圧等を考慮して適宜設定される。
【0046】
尚、図1に示した構成だけでなく、基板1上に、導電性薄膜4、対向する素子電極2,3の順に積層した構成とすることもできる。
【0047】
導電性薄膜4を構成する材料としては、例えばPd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、PdO,SnO2,In23,Sb23等の酸化物、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB4,GdB4等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,HfN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等、さらにこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
本出願人らの研究によると導電性薄膜材料には、後述する亀裂幅を制御する観点からパラジウム(Pd)又は白金(Pt)を主成分とする材料が特に適していた。また、膜厚は、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、12nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が4nm以下であること、さらに好ましくは、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、10nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が3nm以下であることが好ましい。
【0049】
パラジウムPdを主成分とする材料を用いてPdO膜を形成する場合、水素が共存する還元雰囲気下で通電加熱し、パラジウムPd膜とすると同時に亀裂部を形成することも出来るが、必ずしも水素雰囲気下を採用しなくとも通電のみで亀裂部を形成することも出来る。
【0050】
還元及び亀裂形成のサポートとして雰囲気をある程度の真空度に保つ事や50〜120℃程度に加熱をする場合もある。
【0051】
この亀裂部が電子放出部5を形成することになるが、電子放出の効率を上昇させるために、さらに、活性化工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。
【0052】
活性化工程とは、この電子放出亀裂部に炭素を主成分とする膜を形成する工程であり、例えば、有機物質のガスを含有する雰囲気下で、素子電極2,3間にパルス電圧の印加を繰り返すことで行うことができる。
【0053】
この際、前記炭素を主成分とする膜は、グラファイト、アモルファスカーボンあるいはそれらの混合物からなることが、膜からの脱ガスを抑え素子を長寿命化できるため好ましい。
【0054】
(製造方法)
本発明の電子放出素子の製造方法の具体的な実施形態を、図2〜図4に示したマトリクス状に電子放出素子を形成する際の工程を表す平面図を用いて説明するが、本発明はこの形態に限定されるものではない。
【0055】
尚、以下の説明では冗長を避けるため、電子源基板の製造方法を挙げるが、本発明の特徴は、この中の図4(e)を用いて説明する液滴付与工程にあり、本発明の電子放出素子の製造方法は、少なくともこの工程(e)を含む製造方法である。即ち、電子放出素子単体で製造する際には、以下で説明する多数の電子放出素子を接続するX、Y方向配線などの工程を省けば良い。
【0056】
図2〜図4において、21はガラス基板、22、23は素子電極、24はY方向配線、25は絶縁性膜、26はX方向配線、27は電子放出部(不図示)が形成される導電性薄膜である。
【0057】
(a)素子電極形成
ガラス基板21上に素子電極22、23を形成する(図2(a))。これらに用いられる好ましい材料、形状などは、上述の電子放出素子の実施形態での説明の通りである。
【0058】
(b)Y方向配線形成
Y方向配線24(下配線)は、素子電極の一方である23に接して、かつそれらを連結するようにライン状のパターンで形成するのが簡便である(図2(b))。例えば、金属を含有するフォトぺーストインキを用いて、スクリーン印刷した後、乾燥させてから、所定のパターンに露光、現像し、この後焼成して配線を形成する等の方法を用いることができる。
【0059】
配線の材料に関しては、多数の表面伝導型素子にほぼ均等な電圧が供給されるように低抵抗である事が望まれ、材料、膜厚、配線巾等が適宜設定される。好ましくは、材料としてAg、Cu、Pd、Fe、Ni及びこれらの複合材料等を用い、膜厚は、数μm〜数十μm程度、配線幅は数十μm〜数百μm程度で形成することである。
【0060】
なお終端部は配線取り出し電極として使うために、線幅を大きくしておくことが好ましい。
【0061】
(c)絶縁性膜形成
上下配線(Y方向配線と、後述のX方向配線)を絶縁するために、絶縁性膜25を配置する。図3(c)に示した形態では、後述のX方向配線(上配線)下に、先に形成したY方向配線(下配線)との交差部を少なくとも覆うように、かつ上配線(X配線)と素子電極の他方との電気的接続が可能なように、接続部にコンタクトホールを開けて形成している。
【0062】
例えば感光性のガラスペーストをスクリーン印刷した後、露光、現像する等で形成することができる。
【0063】
絶縁性膜の材料としては、PbO、シリカ、アルミナなどの酸化物及びこれらの混合物等が使用でき、膜厚は数μm〜数十μm程度、幅は配線の線幅にあわせて形成する。
【0064】
(d)X方向配線形成
X方向配線26(上配線)は、先に形成した絶縁性膜25の上に形成する(図3(d))。
【0065】
例えば、金属ペーストインキをスクリーン印刷した後乾燥させることを複数回繰り返し、その後焼成する等で形成できる。
【0066】
X方向配線26は、上記絶縁性膜25を挟んでY方向配線24と交差しており、絶縁性膜25のコンタクトホール部分で、Y方向配線とは接続されていないもう一方の素子電極22と接続されている。
【0067】
この配線によって素子電極22は連結されており、表示パネルとした場合には走査電極として作用する。
【0068】
好ましい配線の材料、膜厚、線幅などは、Y方向配線と同様である。
【0069】
また、外部駆動回路との引出し配線もこれと同様の方法で形成可能であり、さらには、外部駆動回路への引出し端子もこれと同様の方法で形成可能である。
【0070】
このようにしてXYマトリクス配線を有する基板を形成することができる。
【0071】
(e)導電性薄膜形成(液滴付与工程を含む)
電子放出部を形成するための導電性薄膜を素子電極間に形成する(図4(e))。
【0072】
本発明は、この導電性薄膜の形成方法に特徴を有する。即ち、この工程は、導電性薄膜の成分を含有する導電性薄膜成分含有液を液滴付与する液滴付与工程を含み、該液滴付与工程においては、一箇所につき複数回重ねて液滴付与を行い、前記一箇所につき複数回行う各液滴付与間に各液滴に含まれる溶媒100重量%のうちの96重量%〜99重量%を蒸発させることを特徴とする。
【0073】
後述の我々の調査にも示されているように、このように液滴付与を行うことによって、フォーミングを施した際に極めて均一性が高く、電子放出素子の性能を向上させることが可能な亀裂状態を実現できる。
【0074】
この均一なフォーミング亀裂形成に対する非常に有効な好ましい手段として「導電性薄膜が、パラジウムまたは白金を主成分とすること」、更にその特徴として、「前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、12nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が4nm以下であること」、「前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、10nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が3nm以下であること」、が挙げられる。
【0075】
なお、この平坦性を有する状態が好ましいとは、フォーミングを行う直前にこの状態にあることが好ましいという意味であり、自然乾燥のみによって導電性薄膜形成を完了する場合には、該乾燥終了後、加熱焼成して導電性薄膜を形成する場合には、該加熱焼成終了後に、この平坦性を有するように、液滴付与回数や、材料などを調節するということである。
【0076】
また、該平坦な導電性薄膜を作成する有効な手段として、「基板上に配置された対向する一対の電極と、該一対の電極間に配置され、亀裂を有する導電性薄膜と、少なくとも前記亀裂に臨む前記導電性薄膜の端部に配置され、間隙を有する炭素を主成分とする膜が形成された電子放出素子の製造方法であって、
前記導電性薄膜の成分を含有する導電性薄膜成分含有液を液滴付与する液滴付与工程を少なくとも含み、
前記液滴付与工程においては、
一箇所につき複数回重ねて液滴付与を行い、
前記一箇所につき複数回行う各液滴付与間に各液滴に含まれる溶媒100重量%のうちの96重量%〜99重量%を蒸発させること。」、「前記導電性薄膜成分含有液が、金属元素と、アミノ酸基又はアミノアルコール基を含有する有機金属錯体化合物とを少なくとも含有する水溶液であること」、「前記金属元素が、0.1重量%〜1.0重量%の範囲で前記水溶液に含まれること」、「前記有機金属錯体化合物が、パラジウム−プロリン錯体または酢酸パラジウム−エタノールアミン錯体であること」、「前記水溶液が、部分エステル化ポリビニルアルコールを含有すること」、「前記水溶液が、水溶性多価アルコールを含有すること」、「前記水溶性多価アルコールが、0.2重量%〜3.0重量%の範囲で前記水溶液に含まれること」、「前記水溶性多価アルコールが、炭素数が2〜4の範囲の多価アルコールであること」、「前記水溶性多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのうちのいずれか一つであること」、「前記水溶液が、一価アルコールを含有すること」、が好ましい。
【0077】
より具体的には、例えば、前記液滴付与工程においては、前記導電性薄膜成分含有液を水溶液とし、該水溶液中には、パラジウム−プロリン錯体をパラジウム元素濃度0.1重量%〜0.5重量%で含有し、部分エステル化ポリビニルアルコールを溶液中濃度0.05重量%〜0.5重量%で含有し、エチレングリコールまたはプロピレングリコールまたはその混合物を溶液中濃度0.2重量%〜3.0重量%で含有し、一価アルコールを溶液中濃度0重量%〜30重量%で含有し、前記一箇所につき複数回行う各液滴付与間の間隔を、2〜10秒に制御することが好ましい形態として挙げられる。
【0078】
また、前記液滴付与をするための液滴付与手段としてインクジェット装置を用いることが簡便で好ましく、前記インクジェット装置が、熱エネルギーによって液中に気泡を形成させ、該気泡の圧力によって液滴を吐出させる加熱方式であること、又は前記インクジェット装置が、圧電素子に電圧を印加することで生じる力学的エネルギーを利用して液滴を吐出させる圧電素子方式であることが、良く用いられている装置を使うことで低コストでの実施が可能であると共に、簡便に液滴付与ができるため好ましい。加熱方式のインクジェット装置の具体例としては、キヤノン社のバブルジェット(登録商標)がある。
【0079】
本工程の断面模式図を図5(a)〜(c)に示す。実際の工程では、基板上における個々の素子電極の平面的ばらつきを補償するために、基板上の数箇所に於いてパターンの配置ずれを観測し、観測点間のポイントのずれ量は直線近似して位置補完し、塗付する事によって、全画素の位置ずれをなくして、対応した位置に的確に塗付するようにするのが好ましい。
【0080】
なお、液滴付与工程の前には、上記基板を十分にクリーニングした後、撥水剤を含む溶液で表面を処理し、表面が適度な疎水性を有するようにしておくことが好ましい。これは、この後液滴付与する導電性薄膜成分含有液が、基板及び電極上に適度な広がりをもって配置されるようにする事が目的である。
【0081】
上記液滴付与終了後、300〜400℃程度の雰囲気内で20〜60分程度の焼成を行うのが好ましいが、自然乾燥のみとする場合もある。
【0082】
(f)フォーミング
フォーミングと呼ばれる本工程に於いては、上記導電性薄膜を通電処理して内部に亀裂を生じさせ、電子放出部を形成する。
【0083】
具体的な方法としては、例えば、上記基板の周囲の取り出し電極部を残して、基板全体を覆うようにフード状の蓋をかぶせて基板との間で内部に真空空間を作り、外部電源より電極端子部からXY配線間に電圧を印加し、素子電極間に通電する事によって、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質させることにより、電気的に高抵抗な状態の電子放出部を形成する等がある。
【0084】
この時若干の水素ガスを含む真空雰囲気下で通電加熱すると、水素によって還元が促進され、酸化パラジウムPdOがパラジウムPd膜に変化する。この変化時の導電性薄膜の還元収縮に加え、通電による局所的な発熱によって、亀裂が生じると考えられるが、この亀裂発生位置、及びその形状は元の導電性薄膜の均一性に大きく影響される。
【0085】
なおこのフォーミングにより形成した亀裂のみでも、所定の電圧下では電子放出が起こるが、現状の条件ではまだ発生効率が非常に低いものである。そのため、後述の活性化工程を行うことが好ましい。
【0086】
次にフォーミング処理に用いる電圧波形について簡単に紹介する。
【0087】
図6は、フォーミングにおける通電処理に用いる電圧波形の一例を表す図である。
【0088】
印加電圧にはパルス波形を用いることが多いが、パルス波高値を定電圧とするパルスを印加する場合(図6(a))と、パルス波高値を増加させながら印加する場合(図6(b))とがある。
【0089】
図6(a)に於いて、T1及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、例えば、T1、T2、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は電子放出素子の設計に応じて適宜選択して実施する。
【0090】
図6(b)では、T1及びT2の大きさは同様にとり、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)を、例えば0.1Vステップ程度ずつ増加させる形態を示している。
【0091】
なお、フォーミング処理の終了は、フォーミング用パルスの間に、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形しない程度の電圧、例えば0.1V程度のパルス電圧を挿入して素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えばフォーミング処理前の抵抗に対して1000倍以上の抵抗を示した時点で、フォーミングを終了する等で決定できる。
【0092】
(g)活性化
先に述べたように、フォーミングのみを施した状態の導電性薄膜では電子発生効率は非常に低いものである。よって電子放出効率を上げるために、活性化と呼ばれる処理を行うことが望ましい。
【0093】
この処理は有機化合物が存在する適当な真空度のもとで、前記のフォーミングと同様にフード状の蓋をかぶせて基板との間で内部に真空空間を作り、外部からXY配線を通じてパルス電圧を素子電極に繰り返し印加し、炭素原子を含むガスを導入して、それに由来する炭素あるいは炭素化合物を、前記亀裂に臨む導電性薄膜の端部近傍に該亀裂内部に間隙を有しながらカーボン膜として堆積させる工程である。
【0094】
このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の素子の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため場合に応じ適宜設定される。
【0095】
適当な有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ベンゾニトリル、トリニトリル、アセチレン等が使用できる。
【0096】
上記の有機物質のガスを含有する雰囲気下で、素子電極2,3間に活性化電圧Vactを印加することにより、雰囲気中に存在する有機物質から、炭素或は炭素化合物が素子上に堆積し、素子電流If,放出電流Ieが、著しく変化するようになる。かかる活性化電圧Vactも、前述の素子の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類などに応じ適宜設定されるが、フォーミング電圧Vformよりも大きい値に設定され、パルス幅、パルス間隔などは適宜設定される。尚、活性化電圧Vactをフォーミング電圧Vformより大きくする、例えば、フォーミング電圧に対して活性化電圧を1.5倍以上に設定した「高圧活性化」の場合、活性化時に素子放電を起こすことが懸念されるが、本願発明のように導電性膜の亀裂を所望に制御することによって、高圧活性化プロセスを行っても放電が回避できる。尚、高圧活性化を行うことで、電子放出素子として高効率な特性を得られるとともに、活性化時間の短縮が図れる。
【0097】
活性化工程の終了判定は、素子電流Ifおよび/または放出電流Ieを測定しながら、適宜行うことができる。またこれらの工程は、基板を加熱しながら行ってもよい。
【0098】
図9の(a)、(b)に、活性化工程で用いられる電圧印加の好ましい一例を示した。印加する最大電圧値は、素子の設計に応じて適宜選択される。図9の(a)中、T1は、電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。また、図9の(b)中、T1およびT1’はそれぞれ、電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、T1>T1’、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。
【0099】
このとき、素子電極23に与える電圧を正としており、素子電流Ifは、素子電極23から素子電極22へ流れる方向が正である。放出電流Ieがほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバルブを閉め、活性化処理を終了する。
【0100】
以上のような工程によって、本発明の電子放出素子を有する電子源基板を作成する事ができる。
【0101】
また、このような工程を経て得られた電子放出素子については、安定化工程を行うことが好ましい。この工程は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることが出来る。
【0102】
前記の活性化工程で、排気装置として油拡散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生するオイル成分に由来する有機ガスを用いた場合には、この成分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の有機成分の分圧は、上記炭素又は炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧で10-6Pa以下が好ましく、さらには10-8Pa以下が特に好ましい。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。このときの加熱条件は、80〜300℃が好ましく、さらに好ましくは200℃以上で、できるだけ長時間処理するのが望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条件により行う。真空容器内の圧力は極力低くすることが必要で、10-5Pa以下が好ましく、さらには10-6Pa以下が特に好ましい。
【0103】
安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去されていれば、圧力自体は多少上昇しても十分安定な特性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭素又は炭素化合物の堆積を抑制でき、結果として素子電流If,放出電流Ieが、安定する。
【0104】
(基本的特性)
上述のような素子構成と製造方法によって作成された本発明に係る電子放出素子の基本的特性について図7、図8を用いて説明する。
【0105】
図7は、前述した構成を有する電子放出素子の電子放出特性を測定するための測定評価装置の概略図である。
【0106】
図7において、1はガラス基板、2、3は素子電極、4は亀裂を含む電子放出部を備えた導電性薄膜、5は電子放出部を示す。また、51は素子に素子電圧Vfを印加するための電源、50は素子電極2、3間の電子放出部を含む導電性薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、54は電子放出素子の電子放出部より放出される電子による放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極、53はアノード電極54に電圧を印加するための高圧電源、52は放出電流Ieを測定するための電流計である。
【0107】
電子放出素子の素子電極間を流れる素子電流If、及びアノードへの放出電流Ieの測定のために、素子電極2、3に電源51と電流計50とを接続し、該電子放出素子の上方に高圧電源53と電流計52とを接続したアノード電極54を配置している。
【0108】
また、本発明の電子放出素子およびアノード電極54は真空装置内に設置され、その真空装置には真空容器55、真空ポンプ56および不図示の真空計等の真空装置に必要な機器が具備されており、所望の真空下で電子放出素子の特性の測定評価を行えるようになっている。
【0109】
図7に示した測定評価装置により測定された放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の典型的な例を図8に示す。なお、放出電流Ieと素子電流Ifは大きさが著しく異なるが、図8はIf、Ieの変化の定性的な比較検討のために、リニアスケールで縦軸を任意単位で表記した。
【0110】
本発明に係る電子放出素子は放出電流Ieに対する三つの特徴を有する。
【0111】
まず第一に、図8からも明らかなように、本発明に係る電子放出素子は、ある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図8中のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。すなわち、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子としての特性を示しているのが判る。
【0112】
第二に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0113】
第三に、アノード電極54に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。すなわち、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0114】
(電子線装置、表示装置)
《封着−パネル化》
上記のような単純マトリクス配置の電子源を用いた電子線装置、及び表示装置の一例について、図10を用いて説明する。
【0115】
図10において、80は電子放出素子が多数配置された電子源基板を指し、81はガラス基板であって、ここでの説明ではリアプレートと呼ぶ。82はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85が形成されたフェースプレートを指す。86は支持枠であり、リアプレート81、支持枠86及びフェースプレート82をフリットガラスによって接着し、400〜500℃で、10分以上焼成する等の方法で、封着して、外囲器90を構成する事ができる。
【0116】
この一連の工程を全て真空容器中で行う事で、同時に外囲器90内部を最初から真空にすることが可能となり、かつ工程もシンプルにすることが可能になる。
【0117】
図10においては、87が本発明の電子放出素子に相当する。88、89は、該電子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線である。
【0118】
一方、フェースプレート82、リアプレート81間に、スペーサーと呼ばれる不図示の支持体を適当な間隔で設置することにより、大面積パネルの場合にも大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器90を構成することもできる。
【0119】
図11はフェースプレート上に設ける蛍光膜の説明図である。
【0120】
封着時の真空度は1.3×10-5Pa程度の真空度が要求される他、外囲器90の封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行なう場合もある。これは、外囲器90の封止を行なう直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱法により、外囲器内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1.3×10-3乃至1.3×10-5Paの真空度を維持するものである。
【0121】
《表示装置》
前述した本発明にかかわる電子放出素子の基本的特性によれば、電子放出部からの放出電子は、しきい値電圧以上では対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と巾によって制御され、その中間値によっても電流量が制御され、もって中間調表示が可能になる。
【0122】
また多数の電子放出素子を配置した場合においては、各ラインの走査線信号によって選択ラインを決め、各情報信号ラインを通じて個々の素子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、任意の素子に適宜電圧を印加する事が可能となり、各素子をONすることができる。
【0123】
また中間調を有する入力信号に応じて電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式が挙げられる。
【0124】
図12は、国際テレビジョンシステム委員会(NTSC)方式の画像信号によって駆動される表示装置の一例を表す概念図である。
【0125】
図12において、101は画像表示パネル、102は走査回路、103は制御回路、104はシフトレジスタ、105はラインメモリ、106は同期信号分離回路、107は情報信号発生器、Vx及びVaは直流電圧源である。
【0126】
電子放出素子を用いた表示パネル101のX方向配線には、走査線信号を印加する走査回路102が、Y方向配線には情報信号が印加される情報信号発生器107が接続されている。
【0127】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0128】
(実施例1)
(a)素子電極形成
本例においては、アルカリ成分が少ないPD−200(旭硝子(株)社製)の2.8mm厚でサイズ350×300(mm)のガラスを用い、更にこの上にナトリウムブロック層としてSiO2膜100nmを塗付焼成したものを用いた。
【0129】
さらに素子電極22,23は、ガラス基板21上に、スパッタ法によってまず下引き層としてチタニウムTiを5nm、その上に白金Ptを40nmで成膜した後、ホトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングという一連のフォトリソグラフィー法によってパターニングして形成した。
【0130】
本例では素子電極の間隔L=10μm、W=100μmとした。
【0131】
(b)Y方向配線形成
共通配線としてのY方向配線は、素子電極の一方に接して、かつそれらを連結するようにライン状のパターンで形成した。材料には銀Agフォトぺ一ストインキを用い、スクリーン印刷した後、乾燥させてから、所定のパターンに露光し現像した。この後480℃前後の温度で焼成して配線を形成した。
【0132】
配線の厚さ約10μm、幅50μmである。なお終端部は配線取り出し電極として使うために、線幅をより大きくした。
【0133】
(c)絶縁性膜形成
上下配線を絶縁するために、層間絶縁層を配置した。後述のX方向配線の下に、先に形成したY方向配線との交差部を覆うように、かつX方向配線と素子電極の他方との電気的接続が可能なように、接続部にコンタクトホールを開けて形成した。
【0134】
工程はPbOを主成分とする感光性のガラスペーストをスクリーン印刷した後、露光、現像した。これを4回繰り返し、最後に480℃前後の温度で焼成した。この層間絶縁層の厚みは、全体で約30μmであり、幅は150μmである。
【0135】
(d)X方向配線形成
X方向配線は、先に形成した絶縁性膜の上に、Agペーストインキをスクリーン印刷した後乾燥させ、この上に再度同様なことを行い2度塗りしてから、480℃前後の温度で焼成した。上記絶縁膜を挟んでY方向配線と交差しており、絶縁性膜のコンタクトホール部分で素子電極の他方とも接続されている。
【0136】
この配線によって他方の素子電極は連結されており、パネル化した後は走査電極として作用する。
【0137】
このX方向配線の厚さは、約15μmである。外部駆動回路との引出し配線もこれと同様の方法で形成した。
【0138】
図示していないが、外部駆動回路への引出し端子もこれと同様の方法で形成した。
【0139】
このようにして画素ピッチ290×650(μm)、素子数720×240のマトリクス基板を作成した。
【0140】
(e)導電性薄膜形成
上記のようにして作成したマトリクス基板を十分にクリーニングした後、シランカップリング撥水剤を含む雰囲気に基板表面をさらし、表面が疎水性になるようにした。このときの基板面水の接触角は50〜60°であった。
【0141】
次に、電子放出部を形成する導電性薄膜を電極間に形成した。まず、部分鹸化ポリビニルアルコール(鹸化率88%)を重量濃度0.05%、2−プロパノールを重量濃度15%溶解した水溶液に、エチレングリコール(EG)を重量濃度2.0%、パラジウム−プロリン錯体をパラジウム重量濃度が0.10%となるように溶解して黄色の溶液を準備した。
【0142】
上記の水溶液の液滴を、液滴付与手段7としてピエゾ素子を用いた圧電素子方式のインクジェット装置を用い、工程(a)で形成した素子電極の間に液滴付与間の間隔を7秒として4回液滴を付与した。このときの温度は23℃、湿度は47%であった。
【0143】
上記の工程で作成した試料基板を、350℃で30分大気中焼成した。
【0144】
こうしてPdOからなる微粒子構造の導電性薄膜を形成した。
【0145】
電子プローブX線マイクロアナライザ(EPMA)測定法による導電性薄膜の略亀裂方向に沿った膜厚分布は、6.5〜7.2nmであり良好な平坦性を有していた(両端部5μmを除く)。
【0146】
<EPMA測定法の説明>
島津製作所製EPMA−810を用いて、加速電圧をPdO膜厚が十分透過する以上に設定し(本実験では15kVに設定)、後に形成される亀裂方向に数回スキャンし、PdO導電性薄膜中のPdカウント数を測定する。各種膜厚のPdO膜でこの測定を行った後、原子間力顕微鏡(AFM)(キーエンス製VZ7700型)とKLA−Tencor社製アルファステップ500型を用いて実際の膜厚を測定しEPMA測定法におけるPdカウント数と膜厚の相関を求める。
【0147】
実際のパネルサンプルの導電性薄膜膜厚測定をEPMA法で行うのは、高精細にパターニングされた電極や配線などで接触タイプの測定が困難であっても対応可能だからである。
【0148】
この試料に対して、工程(f)フォーミング、工程(g)活性化、および安定化工程を以下のように行った。
【0149】
上記の基板を、真空チャンバー内に保持して減圧し、基板を90℃に加熱した。この時点での導電性薄膜の抵抗値は1素子あたり12kΩであった。
【0150】
フォーミング電圧は12Vとし、図12の走査回路102に対応する回路を順次切り替えて全ラインを走査させて、各ラインに印加される電圧は図6の様な矩形波で、T1=0.1ms、T2=50msのパルスが印加される様にした。
【0151】
この状態でチャンバー内にH22%、N298%の混合ガスを1分間に5000Paの圧力上昇率で導入し、導電性薄膜を還元させた。導電性薄膜には還元の進行とともに、フォーミング亀裂が形成され、10分後には全ラインの導電性薄膜の抵抗値が1MΩ以上にまで上昇した。こうして、導電性薄膜の中央部に亀裂を含む電子放出部を形成した。
【0152】
次に、真空ポンプを使ってチャンバー内部の空気を排気した。内部の圧力がおよそ1×10-6Pa程度になってから、内部にトルニトリル蒸気を分圧1.1×10-4Paで導入し、基板温度は90℃に保ったままパルス電圧を印加し、60分間活性化を行い、導電性薄膜の亀裂に臨む少なくとも端部に、間隙を有する炭素を主成分とする膜が形成された。
【0153】
パルスは18V、1msの矩形パルスと、−18V、1msの矩形パルスとを交替で100Hzで印加した。活性化工程中の素子電流の増大の様子を観察したところ、全導電性膜にわたって均一な電流の増大が見られた。1ライン(720素子)当たり660mA程度で飽和した。
【0154】
この後、300℃、2×10-8Paで5時間、安定化工程を行った。
【0155】
こうして得られた電子源基板を測定評価装置の真空容器内にセットし、10ライン×120=1200素子に対し、駆動電圧Vf=16vでのIf、Ie(アノード電圧Va=1kV/2mm)を測定したところ、1素子当たりIf=0.88〜0.93mA、Ie=2.04〜2.19μA、効率(Ie/If)≒0.23%、Ieのバラツキが7%程度の高効率な素子であった。また、50ライン×720=36000素子に対して同様な駆動(60Hz、30μs、16V)を1時間行った後に真空容器より基板を取り出し、顕微鏡観察を行ったところ、放電によるダメージ、亀裂損傷画素は見られなかった。
【0156】
また、この試料基板を走査型電子顕微鏡(SEM)観察測定可能な大きさ(10mm平方)にカットして、1ラインから各5素子、計50素子の亀裂部観察を行ったところ、炭素を主成分とする膜の間隙の大きさは、数nm〜40nmの範囲であり、その外側(素子電極に近い側)に位置する導電性膜(本素子ではPd)の亀裂幅は、最小幅の素子が200nm〜380nm、最大幅の素子が280nm〜530nmでほぼ均一な亀裂状態を有していた。また、これらの導電性膜亀裂に枝分かれなどもなかった。
【0157】
(実施例2〜6及び比較例1〜5)
実施例1の工程(e)において、液滴付与間の間隔(表中の時間間隔)およびパラジウム重量濃度およびエチレングリコール(EG)濃度を表1のようにした以外は実施例1と同様にして各々電子放出素子を作成した。
【0158】
【表1】
Figure 0003703448
【0159】
これらの試料基板の導電性膜のEPMA測定法による形状と素子膜厚(素子電極間の電極平行方向、両端部5μmを除く)を表2に示す。
【0160】
【表2】
Figure 0003703448
【0161】
こうして得られた電子放出素子マトリクス基板を実施例1と同様に、測定評価装置の真空容器内にセットし、10ライン×120=1200素子に対し、駆動電圧Vf=16VでのIf、Ie(アノード電圧Va=1kV/2mm)を測定した。また、ある程度の特性が得られた試料では、10〜50ライン×720=7200〜36000素子に対して連続駆動(60Hz、30μs、16V)を1時間行った後の顕微鏡観察を行った。結果(放電によるダメージ、亀裂損傷画素の有無)を表3に示す(If、Ieの値は1素子当たり平均値)。
【0162】
【表3】
Figure 0003703448
【0163】
尚、表中の放電OKとは、放電無しかまたは極めて小さな規模の放電が、ごくわずかな回数発生した場合であり、結果として放電によるダメージが無いことを意味する。
【0164】
また、これらの試料基板も実施例1と同様に、SEM観察測定可能な大きさ(10mm□)にカットして、1ラインから各5素子、計50素子(一部の比較例では数素子)の亀裂部観察を行った。導電性薄膜の亀裂幅および枝分かれなどの状態観察結果を以下に示す。上段は最小幅の素子データ、下段は最大幅の素子データ。
【0165】
【表4】
Figure 0003703448
【0166】
表4においてA、B、C、Dは亀裂形態の様子を表すものであり以下のような状態を示している。
A:枝分かれや急激な亀裂幅の減少や拡大などが見られない素子である。
B:一部の素子で部分的な枝分かれ部分が存在し、一部で亀裂中に島状に取り残されたPd膜のため亀裂幅が非常に狭い部分や微小放電によると考えられる亀裂幅が急激に広がったエリアも存在する素子である。
C:ほとんどすべての素子で部分的な枝分かれ部分が存在し、亀裂中に島状に取り残されたPd膜のため亀裂幅が非常に狭い部分や微小放電によると考えられる亀裂幅が急激に広がったエリアも存在する素子である。
D:亀裂が連続しておらず途切れている素子である。
【0167】
表4が示すように、表3で示される素子放電耐性が高く良好な電子源特性を示す各実施例の素子は、亀裂観察の結果、導電性薄膜の亀裂が枝分かれなどもなく、その幅がすべて60nm以上800nm以下でかつ亀裂幅の最大値と最小値との差が300nm以下のほぼ均一な亀裂状態を有していることが確認できた。
【0168】
また、Pd重量濃度0.1%、EG重量濃度0%、1.0%、2.0%の組成で液滴付与間の間隔を変えた、比較例1、実施例2、比較例2、実施例1、実施例3と全く同一な条件で導電性薄膜を形成する工程において、以下に示す方法によりそれぞれの液滴付与間の間隔における液滴中の蒸発溶媒量を測定した。
【0169】
まず液滴付与間の間隔0秒における液滴体積は、液滴の吐出量から算出した。
【0170】
また、溶媒蒸発率100%すなわち完全乾燥状態は、液滴付与後に200℃のクリーンオーブンで30分間加熱することにより作製した。200℃で加熱したのは導電性薄膜成分含有液に含まれる溶媒を全て除き、かつ、その他の成分を分解させないためである。完全乾燥状態の膜はAFM(キーエンス製VZ7700型)およびKLA−Tencor社製アルファステップ500型を用いて測定し実際の膜厚及び膜体積を求めた。十数水準の膜厚の素子についてこの測定を行うと共に、光学顕微鏡を用いて、光源の強度を規格化した上で透過光画像を取り込み、それらの透過光強度比を三谷商事製画像処理ソフトウェアWinRoofを用いて求めた。この結果から透過光強度比と膜厚および膜体積の相関を決定した。
【0171】
各液滴付与間の間隔での溶媒蒸発率は、付与された液滴をリアルタイムで観察できるように光学顕微鏡を設置し、液滴付与間の間隔2秒、7秒、12秒のそれぞれの透過光画像を取り込み、同様に透過光強度比を求めて液滴体積を決定した。
【0172】
以上の測定によって残存している溶媒の量を求めたその結果、溶媒蒸発率は以下の表5のようになった。
【0173】
【表5】
Figure 0003703448
【0174】
この様に、目的の亀裂状態を達成した実施例の素子は、該各液滴付与間の導電性薄膜成分含有液の溶媒蒸発が、96重量%以上99重量%以下の範囲で行われるように制御して行なわれていることが確認できた。
【0175】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法に従い電子放出素子を作製するならば、素子放電を抑制し、高効率な電子放出素子、電子源基板を得ることができる。また結果として、表示品位の良い表示装置を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子放出素子の一例を示す概念図である。
【図2】マトリクス状に電子放出素子を形成する際の工程を表す平面図である。
【図3】マトリクス状に電子放出素子を形成する際の工程を表す平面図である。
【図4】マトリクス状に電子放出素子を形成する際の工程を表す平面図である。
【図5】液滴付与工程を表す断面模式図である。
【図6】フォーミングにおける通電処理に用いる電圧波形の一例を表す図である。
【図7】電子放出素子の特性を測定するための測定評価装置の概略図である。
【図8】図7に示した測定評価装置により測定された放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の典型的な例を表す図である。
【図9】活性化工程に用いる電圧波形の一例を表す図である。
【図10】単純マトリクス配置の電子源基板を用いた電子源、及び、表示等に用いる画像形成装置の一例の概念図である。
【図11】フェースプレート上に設ける蛍光膜の実施形態の例を表す平面図である。
【図12】NTSC方式の画像信号によって駆動される表示装置の一例を表す概念図である。
【図13】電子放出部の拡大図を表す概念図である。
【図14】電子放出部の拡大図を表す概念図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2,3 素子電極
4 導電性薄膜
5 電子放出部
7 液滴付与手段
8 液滴
21 ガラス基板
22,23 素子電極
24 Y方向配線
25 絶縁性膜
26 X方向配線
27 導電性薄膜
28 電子源基板
50 電流計
51 電源
52 電流計
53 高圧電源
54 アノード電極
55 真空容器
56 真空ポンプ
80 電子源基板
81 ガラス基板
82 フェースプレート
83 ガラス基板
84 蛍光膜
85 メタルバック
86 支持枠
87 導電性薄膜
88 X配線
89 Y配線
90 外囲器
91 高圧端子
92 黒色導電材
93 蛍光体
101 表示パネル
102 走査回路
103 制御回路
104 シフトレジスタ
105 ラインメモリ
106 同期信号分離回路
107 情報信号発生器
108 電子源基板
109 フェースプレート
110 高圧電源
134 導電性薄膜
136 炭素を主成分とする膜

Claims (18)

  1. 基板上に配置された対向する一対の電極と、該一対の電極間に配置され、亀裂を有する導電性薄膜と、少なくとも前記亀裂に臨む前記導電性薄膜の端部に配置され、間隙を有する炭素を主成分とする膜が形成された電子放出素子であって、
    前記亀裂が、前記亀裂方向の長さの95%以上の領域で、亀裂幅が60nm以上800nm以下かつ前記亀裂幅の最大値と最小値との差が300nm以下であることを特徴とする電子放出素子。
  2. 前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、12nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が4nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、10nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が3nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
  4. 前記導電性薄膜が、パラジウムまたは白金を主成分とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子放出素子。
  5. 前記炭素を主成分とする膜は、グラファイト、アモルファスカーボンあるいはそれらの混合物からなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子放出素子。
  6. 基板上に配置された対向する一対の電極と、該一対の電極間に配置され、亀裂を有する導電性薄膜と、少なくとも前記亀裂に臨む前記導電性薄膜の端部に配置され、間隙を有する炭素を主成分とする膜が形成された電子放出素子であって、
    前記亀裂の幅が、前記間隙より20nm以上大きいことを特徴とする電子放出素子。
  7. 前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、12nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が4nm以下であることを特徴とする請求項6に記載の電子放出素子。
  8. 前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、10nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が3nm以下であることを特徴とする請求項6に記載の電子放出素子。
  9. 前記導電性薄膜が、パラジウムまたは白金を主成分とすることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の電子放出素子。
  10. 前記炭素を主成分とする膜は、グラファイト、アモルファスカーボンあるいはそれらの混合物からなることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の電子放出素子。
  11. 基板上に配置された対向する一対の電極と、該一対の電極間に配置され、亀裂を有する導電性薄膜と、少なくとも前記亀裂に臨む前記導電性薄膜の端部に配置され、間隙を有する炭素を主成分とする膜が形成された電子放出素子であって、
    前記亀裂が、前記亀裂方向の長さの95%以上の領域で、亀裂幅が60nm以上800nm以下かつ前記亀裂幅の最大値と最小値との差が300nm以下であり、かつ、前記亀裂の幅が、前記間隙より20nm以上大きいことを特徴とする電子放出素子。
  12. 前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、12nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が4nm以下であることを特徴とする請求項11に記載の電子放出素子。
  13. 前記導電性薄膜が、前記亀裂方向における両端部を除く前記導電性薄膜長さの80%以上の領域で、10nm以下の膜厚でありかつ膜厚の最大値と最小値との差が3nm以下であることを特徴とする請求項11に記載の電子放出素子。
  14. 前記導電性薄膜が、パラジウムまたは白金を主成分とすることを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載の電子放出素子。
  15. 前記炭素を主成分とする膜は、グラファイト、アモルファスカーボンあるいはそれらの混合物からなることを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の電子放出素子。
  16. 基板上に配置された対向する一対の電極と、該一対の電極間に配置され、亀裂を有する導電性薄膜と、少なくとも前記亀裂に臨む前記導電性薄膜の端部に配置され、間隙を有する炭素を主成分とする膜が形成された電子放出素子の製造方法であって、
    前記導電性薄膜の成分を含有する導電性薄膜成分含有液を液滴付与する液滴付与工程を少なくとも含み、
    前記液滴付与工程においては、
    一箇所につき複数回重ねて液滴付与を行い、
    前記一箇所につき複数回行う各液滴付与間に各液滴に含まれる溶媒100重量%のうちの96重量%〜99重量%を蒸発させることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  17. 基板上に複数の電子放出素子が配置された電子源基板であって、該電子放出素子が、請求項1から15のいずれかに記載の電子放出素子であることを特徴とする電子源基板。
  18. 電子放出素子と該電子放出素子への電圧印加手段とを具備する電子源と、該電子放出素子から放出される電子を受けて発光する発光体とを具備する表示装置であって、前記電子放出素子が請求項1から15のいずれかに記載の電子放出素子であることを特徴とする表示装置。
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